2007年06月11日
 ■  e7T95276氏作SS「目には青葉山ほととぎす初鰹」

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その159
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1180967022/l50



760 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/06/09(土) 22:25:02 e7T95276
流れとは何の関係もなく、ちょっと一本上げてみる。
この所、ようやくこっちにも揚がり始めた&いいのを食べられる時期に来たんで。



◇  ◇  ◇


「めに あおばー」
「やま ほととぎすー」
「はつがつおー!」
「いっただきまーす! イエー!!」
 その絶叫を合図に、戦争が始まった。
「ふもふもふも!」
「ふーも! ふもふも! ふも!」
「ふもももももも!」
 食べながら周囲を牽制しつつ、さりげなくレフリーのブラインドを突きながら
姑息なファウルプレーを繰り返して自分の分け前を確保しようとする大食い3人
衆。まあそんな事でファウルを取るレフリーもへったくれも居るものではないが。


 その惨状を目の当たりにして、保護者であるゼオラと統夜は例によって例の如
く「恥をかかせおって…」と言わんばかりの表情で深くため息をつく。
「本当に、この子たちにかかると」
「季節感も風情も悉く因果地平の彼方に吹っ飛んで行くなぁ」
 かように、まだ更生を諦めて居ない保護者たちの苦悩を目の当たりにしながら
、既に矯正を諦め達観に至ってしまった保護者…カティアとラトゥーニがこんな
言葉を口にする。
「まあ、あれはあれで置いておいて、こっちは別に食べてればいいのよ」
「うん」
 異様に的確なその指摘を受けて、なんとかゼオラも統夜も気を取り直し、自分
たちの目の前にある鰹のタタキを口に運び始める。薬味は丁寧にすり下ろされた
ショウガ。当然調理はレーツェルの手によるもので、食材の吟味にも抜かりはない。
 その味をひと口確かめて、統夜が充実感溢れる顔をして、しみじみと呟いた。
「うん、夏が来た…っていう感じだな」
 その表情を見て、カティアとラトゥーニがいやに真剣な顔をして頷く。無論カ
ティアの視線の先に居るのは統夜な訳だが、ラトゥーニの方が視線を向けている
お方のリアクションはというと。
「しかし、初鰹というには遅すぎないか?」
 その言葉を聞いて、戦場から一言。
「ふも!? ふもふもふ! ふもっふふもふもふふふ!」
「テニアは、『うわ!? 食通だ! 嫌な食通がいる!』と言ってます」
「カティアありがとう。あとテニア自重しろ」
 きわめて冷静な統夜のつっこみが終わった直後、調理人レーツェルが嫌な食通
のもとにやって来る。
「まあ、リュウセイ君が言う通り、厳密な初鰹というのには遅いな」
「厳密な?」
「旧暦の4月1日…だから、5月の半ばぐらいか。そこから一週間以内に関東の
沖で採れた鰹の事を、そもそも初鰹と言ったんだ」
「はあ…」
「で、『女房に小一年』という初鰹というのはこれを指す訳だが、正直に言うと
あまり美味しいものではない…という気もする。純粋に味で言えば戻りの方が上
だしな」
「戻り?」
「秋になって、三陸沖でUターンして来る鰹だよ」
 その言葉を聞いて、リュウセイと統夜が自分の記憶の中の光景を思い出していた。
「ああ!」
「そう言えば秋にもスーパーに並びますもんね、鰹って」
「その通り。まあ、そういう事を言い出すときりが無いから話を本筋に戻して」
 リュウセイも含めて本質が真面目な人間が揃っているこのテーブルの一同は、
真剣にレーツェルの話に聞き入っていた。それを確認しながら、レーツェル先生
の講義はさらに続く。
「この時期の鰹は北上して行くに従って、次第に身が締まって行く。江戸で言う
初鰹の時期よりも前に鰹が揚がる高知だと、実は江戸だとか、今の時期の気仙沼
・大船渡辺りで揚がる鰹よりも身が柔らかく、臭みも強めになるんだな」
「そうなんですか」
「そのために生まれた料理法が鰹のタタキで、意外にもこの時期の鰹の事を高知
の人に聞くと『そんな美味いもんじゃない』という答えが返ってくる事も多い」
 そこまでレーツェルの話を聞いたところで、ふと視線を逸らしたゼオラが、
ある事に気付いた。
「あれ? カズマ君にミヒロちゃん、お箸が進んでないわね」
 その指摘を受けて、慌てふためいてカズマとミヒロがこう応じる。
「そ、そんな事ないですよ、ゼオラさん」
「うん、美味しいよね、お兄ちゃん」
 しかし、その言葉と一体化されていた笑顔は微妙に、だが確実に引きつってい
た。その理由をそこはかとなく察して、レーツェルがこう言った。
「薬味か?」
 答えて曰く。
「ええっと、その」
「薬味と言えば薬味…ごにょごにょ…」
「よし、わかった」
 そこでレーツェルが取り出したのは、まずニンニクのスライス。
「関東ではショウガだが、高知ならこれがまず薬味の筆頭だ。これだろう?」
 しかし。
「うん…」
「こ、これも美味しいですね」
 違う。
 彼らの表情が明らかにそう言っていた。
「なるほど、それなら…」
 その言葉とともにレーツェルは厨房に消え、様々な薬味を皿に取って戻ってくる。

「万能葱」
「……」

「葱」
「……」

「ミョウガ」
「……」

「芥子」
「あ、うん」
「でもちょっとちが…」

「スダチ」
「近…」
「おし…」

 その展開を目の当たりにして、カティアが小声で呟く。
「全部薬味を使っちゃったじゃない。まさか鰹そのものが…」
 余りにも正直すぎる、同居人の悪い癖が露骨に出てしまったその言葉を、統夜
はできるだけ穏当な口調になるように、という気遣いをしながら、しかし明確に
たしなめる。
「こらカティア。言っていい事と悪いことがあるだろ?」
 その言葉に、カティアも素直に応じた。
「すいません、失言でした」
 それを確認した上で、統夜はここまでの展開を一度脳内で整理して見た。
「鰹そのものは文句のつけようが無い。薬味…であることはカズマ君もミヒロ
ちゃんも認めている」
 さらに、リュウセイもこれに参加する。
「そして芥子の辛味とスダチの酸味が『近い』」
 実はこの時点で、レーツェルは正解に気づいていた。ただ、自分の講義を生
真面目に聞いてくれた生徒の出来を確かめてみよう、といういたずら心が働き、
あえて推理に没頭する統夜とリュウセイを見守る体制に入っていた。
「リュウセイさん、ポン酢じゃ…?」
「いや、それじゃあ味の要素はスダチとあんまり変わらないだろ」
「ああ、そうか…」
「これにあと加わるとすれば…うーん、今までにない物で、臭みを消す要素」
「まろやかさ…クリームとか、油?」
 その言葉に、カズマとミヒロがわずかに反応する。
 そしてその直後。
「何だ、今日の夕飯はカルパッチョか」
 そう呟きながら、スレイがテーブルに着いた。しかしその直後、スレイの表
情がにわかに曇り始める。そして、丁寧ではあるが苛立ちがはっきりと見てれ
る口調で、こう口を開く。
「レーツェルさん、貴方ともあろう人が、何たる見落としを」
 わけがわからず首を捻り続ける統夜たちをよそに、スレイはその皿に足りな
いと判断した物をはっきりと言葉にした。
「マヨネーズを忘れています!」
 そしてカズマとミヒロが、その言葉を待ってましたとばかりにこう続ける。
「そうですよねスレイさん!」
「カルパッチョって言ったら、マヨネーズがかかってないと駄目ですもんね!」
「レーツェルさん、俺たちにもマヨネーズお願いします!」
 そしてその状況を見て、見習い探偵2人組は。
『ええーっ!?』
『そんなんアリかよ!?』
 と顔に書いて、その場に固まっていた。
 それを見て取って、この皿をカルパッチョと判断しているスレイは有無を言
わさず彼らの皿にもマヨネーズをぶっかける。
「うわっ!?」
「嘘っ!?」
「何が不満なのかわからんが、とにかく食べるんだ。好き嫌いは良くないぞ」
「いえ」
「しかし…」
「いいから、食べるんだ」
 あからさまな怒りとともにスレイが吐き捨てたその一言を受けて、リュウセ
イと統夜はそれぞれの経験則から、こういう結論に達した。
『この手の女の人に』
『逆らっても、いい事って何もないもんな…』
 そして、やけくそ半分でマヨネーズまみれの鰹を醤油につけて口に運ぶ。
「あれ?」
「うん、これはこれで」
「血なまぐさい感じが消えて、なかなか」
 そしてその言葉を受けたスレイは、すっかり得意満面になって、
「そうだろう、そうだろう」
 と言いながら、何度も頷いている。
 鰹にマヨネーズという食べ合わせは、実際にかなり有名な組み合わせである。
その食べ味はリュウセイと統夜が評したとおり。ただ、やはり日本人にとって
は常識から外れ気味の味わい方であり、店の方でカルパッチョにでも仕立てて
いない限り、なかなか家庭外では頼みにくいものでもある。
「カズマ君とミヒロちゃんだけが微妙な顔をしていたのは、そういう事か」
「うーん、まだまだ修行が足りないなぁ…」
「ふーもっふー、ふもふも、もっふふももも、もっふ、ふもっふ」
「テニアは『そうだよー、統夜は、もっと豪華な、ごはん、作って』と言って
います」
「もっふもっふ」
「アラド君は、『そうだそうだ』と言っています」
 カティアの通訳を確認した上で、統夜とゼオラは、またしても大きなため息
とともにこう応じる。
「お前の食欲に対応して豪華なご飯を作っていたら」
「お財布がいくつあっても足りないでしょ!?」
 その光景を勝利の微笑みで見つめながら、スレイはさらにテンションを上げ
てこう口走り、そしてチューブを握り締める。
「さあ、皆の皿にもマヨネーズをかけてやろう。遠慮するな」
 一同は、その光景を見て思った。
『あれ?』
『この光景って、確か前にもどこかで…』
『確実に、見たことがあるような』
 そしてスレイが全員の皿の上にまんべんなくマヨネーズを振りかけてご満悦
の顔を作った瞬間。
 何者かが、彼女の肩を叩いた。
「ん?」
 そして彼女が振り向いた先に居たのは。
「ウオンチュッ!」
 と親指を立てて絶叫している、うすた調の。
「チイ姉ちゃんだー!!」
「やっぱり来ちゃったー!!」
 そして、この時点で盛大な勘違いを起こしているアカネは、スレイの肩をむ
んずと掴み、一気にこうまくしたてる。
「いやあ、素晴らしい! 実に素晴らしいわ! スレイさん! 前々から見ど
ころのある人だとは思っていたけど、これほどまでとは! さあ、これから私
の部屋でまる3日ばかり、マヨネーズと筋肉、主に僧帽筋へのマヨネーズの塗
りこみ方について熱く語りましょう! ええそうしましょう! 決まり! 
もう決まり!」
「え、ちょ、アカネさん、うわ!」
「レッツゴー!!」
「嫌ぁぁぁぁ—っ!!」
 スレイの声が、うすた走りをかますアカネによってドップラー効果とともに
フェイドアウトしていく光景を見て、一同は無言で合掌するほか成すすべが無
かった。


#スレイ彼氏欲しい計画(現状)
 彼氏   0
 ロボ   1

 変態   5(+1)




◇  ◇  ◇



762 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/06/09(土) 22:33:52 Slz0w61A
鰹にマヨ・・・美味しんぼかッ!



763 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/06/09(土) 22:34:28 Coq6vd5C
>>760
最後の何ーーっ!?
あとアカネ・・・w


2007年06月10日
 ■  VXyeufNV氏作SS「続くオンマイオウン inJ」

スーパーロボット大戦J 萌えスレ8夜目
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1158345975/l50


96 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/09/27(水) 09:33:17 VXyeufNV
フルメタベースのJSSを考え付いたんだけど……ここに張ってもいいかな……?





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とっぷり日も暮れて、そろそろ寝ようかという時に、電話が鳴った。見覚えの
無い番号だったのでいぶかしんだが受話器の向こうから聞こえたのは聞き知っ
た声だった。
「もしもし?」
「……紫雲か?」
「なんだ、宗介か?どうしたんだよ」
 まだテレビを見ている三人の邪魔にならないようワイヤレスを自室まで持っ
ていく。

「なんだ、宗介か?どうしたんだよ」 「時間が無い。手短に話す」by二伐目氏

「時間が無い。手短に話す」
 彼らしからぬ強引な話の持っていき方にいささか驚きつつも話を聞いている
と、彼の切羽詰る理由がよくわかった。
 例のガウルンと同じ組織の幹部が千鳥かなめの部屋に侵入していたこと。そ
の幹部から最後通告のような台詞を受け、現在潜伏中であること。
「事が事だけに、お前や兜、弓にしか頼めん。ラフトクランズは動かせるか?」
 ウィスパードとかいうものの関係でかなめが誘拐されたのだという事実を知
っているのはあの場に居たメンバーだけである。
「ああ……俺の声紋、指紋、虹彩ならいつでもネルガルのドックに入れるよう
にしてもらってる。必要になるか?」
「そうならなければいいが……脱出路の確保より先に敵のASが来るかもしれん」
「アーバレストは?」
「連中の目標はミスリル全体とも考えられる。ダナンの連中に無理はさせられ
ん」
 つまり、仮に敵がヴェノムタイプのASを繰り出してきたらマジンカイザーや
ラフトクランズの力技で突っ切るしかないということか。
「既に兜、弓にも連絡しているが数で押されては敵わんかもしれん。……こん
なことを頼める義理ではないかもしれんが、手を貸して欲しい」
 妙にそうたのまれた。
「何言ってるんだ、仲間だろう?俺たちは」
「……すまん」
 リビングに受話器を戻しにいく。
「相良くんですか?」
 コーヒーを入れているカティアが尋ねてきた。テレビでやっている特番、ま
だまだ見るつもりらしい。
「ああ。それじゃあそろそろ俺は寝るよ。お前らも早めに切り上げろよ」
「はい」
 再び自室に引き込み、寝間着から外出用の服に着替え、他の服やら何やらを
布団の下に入れる。寝ているように見えなくも無い。
 あすの夕方までには戻る。と書置きを机の上に残してそっと部屋を出て玄関
まで行き、音を殺して家を出た。


「あれ……?」
 一瞬、扉の開く音がした気がしてカティアは廊下を覗き込む。誰もいない。
 統夜が買い物にでも出かけたのかと部屋を覗くとベッドの上、布団にくるま
った人影があった。
「どしたの?」
 リビングに戻ったカティアにテニアが尋ねる。
「なんでもないわ。気のせいだったみたい」
 首を振りながらコーヒーとお茶請けをお盆に載せ、テレビの前でごろごろし
ている二人のほうへ向かった。

 最寄の大通りからタクシーを拾って一路神奈川方面へ。
 車内で少しでも休息をとっていた方が良かったのかもしれないが、半年振り
の戦いが目前に迫っているためか一睡も出来なかった。
 ガウルンのいた組織とミスリルとはこれまでにも何度かやりあっていたらしい。
 夏休み明け直後に宗介とかなめがそろって無断欠席をしたのも十中八九その関係だろうと統夜は見ていたし、この前のクリスマスにはシージャック犯を装ったミスリルの皆さんと海上で鉢合わせもした。
 そこでふぅと一つ深呼吸。
 大丈夫だ。これまでも何度かピンチはあったけど乗り越えてきた。こんな風に不安に押しつぶされそうなときだって凌いで来たじゃないか。だから、大丈夫。
「…………」
 時計は2時を過ぎている。
「あいつら……もう寝たかな……?」

 調布市を一望できる丘の上。写生大会のときなどに訪れたこの場所に二体の
巨人が待機していた。
「うう寒いなぁ……」
 三月とはいえ夜の空気の中、かじかむ手をこすり合わせる。
 宗介からの要請でこっそり研究所から出撃した後、いつでも駆けつけられる
ようにここに潜んでいるように言われて、一時間交替で即応体制をとろうとし
ていたのだがこの寒さでは寝られそうも無い。
「あら、珍しいわねちゃんと甲児君が起きてるなんて」
「そりゃないぜ、さやかさん。って言っても、この寒さじゃ寝られないっての
が本音なんだけどな」
「まあ」
「けど、さやかさんの方こそ寝てなくていいのかい?あと三十分もすれば交替
だぜ」


 今は甲児の担当区分である。
「正直言うとあたしも寒さがちょっとね」
「何だ、それじゃあ始めからいっしょにいれば良かったぜ」
 ふっと何も言わない通信機を見る。
「このまま何も起こらないまま……またすぐかなめちゃんも戻ってくればいい
んだけどな」
「そうね……」

「ど……どういうことなんですか!」
 ネルガル横須賀ドック、そこの前で統夜は声を上げていた。
「ですから、支社長命令で今日一日は誰がなんと言ってもここから先は立ち入
り禁止なんです」
 警備兵との押し問答で統夜は足止めを食らっていた。
 この警備兵とも初対面ではない。月一でサイトロンリンクを行うために来て
いるのだが……。
「こんな時間ですが……また今度出直してきてもらうということで」
「今じゃなきゃ間に合わないんです!」
 そこでふと思い当たるのはクリスマスの事件。
 あの客船の船長は例の組織のメンバーだったらしい。そんな風に何処かの企
業にこっそりと、連中の根が伸びてきていれば……?
「……俺という戦力を削り取る気か」
「は?」
「いや、なんでもありません。出直してきますよ」
「はい。お気をつけて」
 くるりと踵を返す。諦めた訳ではない。支社長クラスの命令で待ったがかか
っているのなら……そう、旧ナデシコの面々と接触してアカツキへ一刻も早く
コンタクトを取り、ここを開けてもらわなければならない。
「おや、紫雲さんこんな所でどうしました?」
「プロスさん!」
 懐かしい顔に驚く。しかしこれは僥倖だ。上手くいけば大したタイムラグも
無く行けるかもしれない。
「えっと……どうしても、今、ラフトクランズが必要なんですけど……」
「何か、問題でもありましたか?」
「はい。現在支社長命令でここから先は今日一日立ち入り禁止となっておりま
して……」
 これには警備兵の方が応えた。
「支社長命令?ふぅむ……おかしいですなぁ。命令の内容そのものが」

「は……それは私も感じていますが……何分命令ですので」
「……わかりました。ここで紫雲さんに悪印象をもたれて、今後ネルガルに協
力していただけなくなっては我社の利益に反しますからな。私が会長代理とい
うことで許可しましょう」
「い、いいんですか!?」
 それは願ったりかなったりであるが……。
「何、かまいません。元々異質な命令なのですし会長のほうには私から後で許
可をいただいておけば彼が咎められることもありませんし、なんなら私に不意
打ちを受けたということにしていただいても結構ですので」
 びくっと一瞬身構える警備兵。
「ああ、本当にやるわけではありませんからご安心を。ブラフという奴ですな」
「そ、そうですか……」
「さて、参りましょうか」
 スタスタと統夜よりも先に奥へ進むプロスペクター。
「助かりました、プロスさん」
「いやいや、紫雲さんには色々とお世話になりましたし……何より死地を渡り
歩いた戦友ですからな」
 きらり、と眼鏡を光らせつつプロスペクター。
「そういえば、なんでこんなタイミングでここに?いえ、助かったからありが
たいんですけど……」
「いえいえ、それは企業秘密という奴でして……そういう紫雲さんこそどうな
さったので?」
「え……?」
 言われてみれば、そりゃおかしかろう。まだ夜も空けきらないこの時間、機
動兵器を欲するなどと……。
「まあいいでしょう。紫雲さんが無為な破壊に目覚めたとも思えませんし、あ
の部隊に居た方の行動がそういったものであるとも思えませんしね」
 最深部へと向かうロック。
「紫雲統夜。キーワード、フューリーが騎士エ=セルダ・シューン」
 声紋、指紋、虹彩、キーワード、全てが合致しハッチが開放される。そこに
佇む蒼の巨人。
「それでは紫雲さん、御武運を」
「ただ移動の足に使うかも知れませんよ?」
 半年振りに袖を通すパイロットスーツ。
「それは無いでしょう。今のあなたの顔は戦う者のそれですよ」
 まいいったな、と言う様に後頭部をかく。


 半年振りに乗るラフトのコクピットに三人の姿は無い。だが、この半年でサ
イトロンのリンケージ率は上昇している。俺一人でも問題は無い。
「ハッチ開放。いつでもどうぞ、紫雲さん」
 結局最後の発進まで付き合ってくれたプロスにラフトで頭を下げ、ネルガル
の地下ドックから蒼の騎士が空へ舞った。

 南半球の都市、シドニー。ペーパーカンパニー<アルギュロス>のオフィスで
ロス・イゴール将軍は黙々と仕事を行っていた。
「ボーダ提督がお付きになられました」
 部下からのそんな報告にも一つ頷くだけで再び眼前の書類とにらめっこをす
る。
 ミスリルの中で彼が中心になって作り上げた部隊、獣戦機隊は問題だらけな
がらも頑張っているようだった。
 エレベーターが開き、隻眼の男と中年の男性が入ってきた。
「これから忙しくなるぞ、大佐」
 一緒に入ってきたワグナー大佐にそう言葉を投げかけるボーダ提督へ敬礼を
向けると向こうも返してきた。
「イゴール将軍、どうかね?君の息子は」
「なかなかの親不幸っぷりをしめしてくれていますよ。連絡の一つもよこさな
い。それよりもアマルガムの件ですが」
「うむ。敵の指揮系統が、既存のものとは全く異なるからな。そうでなければ、
われわれがここまで後手に——」
 そこで、衝撃が走った。この指揮室の正面からのものでオペレーター達がふ
っとび反射的にボーダを庇うように動いたロス・イゴールの体もその衝撃に飲
み込まれていった。

 チンッとトースターからこんがり焼けたトーストが跳ね上がり、フライパン
の上で目玉焼きが心地いい音を奏でている。
「ね、見てみてカティア〜!十兵衛焼き〜」
 と、見せるフライパンの中には一方は潰され、一方はそのままの二連目玉焼
き。
「あなたね……」
 ふぅ、と呆れるため息をつく。
「なんだよ〜、そんな反応はないじゃん。そもそもあのアニメ見せてくれたの
カティアだし。……ところで統夜は?今日はやけに遅いけど」
「メルアが起こしに言ってるわ。ほんと、昨日は一番最初に寝たはずなんだけ
ど……」
「あああああ〜!」
 そのメルアの絶叫が聞こえてきた。
「な、何!?」


「メルア、どうしたっ!」
 フライパンを戻し、駆け出すテニア。カティアもそれに続く。
 声の出所であった統夜の部屋に駆け込むと一枚の紙を持ち、ぶるぶるとメル
アが震えている。
「か、カティアちゃん〜、テニアちゃん〜!」
 うるうると目を涙ぐませて震える手でその紙を差し出す。
「な、なに?」
 その紙を見ると
『あすの夕方までには戻る』
 …………
「統夜はっ!?」
 ばっとテニアが布団をめくるがそこには衣類の山。
「い、いなくなっちゃいましたぁ〜!」
 先程にも負けぬ悲鳴が近隣一体に響いた。



◇  ◇  ◇



105 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/09/27(水) 11:10:41 VXyeufNV
ひとまずここまでで……皆様の反応が良ければ続けさせていただきまする。



106 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/09/27(水) 11:16:17 lLT0yXNh
>>99_105
GJ!
実際にJの後日談としてもありえそうだ、
続けてください



107 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/09/27(水) 12:10:12 v4yBxm4Z
イゴールとかボーダーとかって誰だっけ?と必死で調べている俺がいる
用はGJ!



108 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/09/27(水) 14:32:57 9xDbpozD
ロス=イゴール:アランの親父のみならず獣戦機隊の親父。原作中、基地の白兵戦で死んじゃった。

ボーダー:ジェローム=ボーダー。ミスリル全てを統括する作戦本部の総責任者。実態はヤンキー親父。
     彼と彼の友人の奇行については『安心できない七つ道具?』の『老兵たちのフーガ』を参照のこと。

なにはともあれGJ! 貴官の続きを期待する。



109 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/09/27(水) 16:25:52 hJ3FOMM5
>>VXyeufNV
GJ!!
『先輩』の出番に期待します
(統夜が居れば出番はないかな?)



110 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/09/27(水) 17:03:31 ujXbwPE2
普通に面白いじゃないか
GJだよ


111 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/09/27(水) 17:41:13 VXyeufNV
たくさんの感想、ありがとうございます。
というわけで第二部、参りまする。



◇  ◇  ◇


 そんな日本地区よりもはるか南方の孤島。ミスリル、トゥアハー・デ・ダナ
ン艦隊のベースであるメリダ島で警報にたたき起こされて消火活動に回され、
不機嫌の頂点に達していた藤原忍はずかずかと歩いていた。
「ったく、なんだってんだ!こっちは一仕事終わったばっかりだってのに!」
「言ったって始まらないさ、忍」
 こちらも煤だらけになりながら沙羅。
「敵が来ている。その不満は全部そちらにくれてやることだ」
「当たり前だっ!」
 盛大に声を上げるリーダーにやれやれと亮は首を振った。
 格納庫の片隅にASオペレーター達が固まっている。そこへ獣戦機隊も合流
する。
 SRT要員のトップ、ウルズ1ベルファンガン・クルーゾー大尉の主導で経
状況が説明される。
 第一波のミサイル攻撃で地上施設の大半が破壊されたこと。そして、あの巨
大ASベヘモスの改良機が3機こちらへ向かっていること。接触は40分後。
脱出路確保のためこれを迎撃すること。
「おいおい、待ってくれよ。その『巨人』は例のラムダ・ドライバを搭載して
るんだろう?そんな機体を、しかも三機も迎え撃つって——そりゃ無理だぜ」
「同感だね。勝算は有るのかい?」
 クルツの言に沙羅が同意する。
「獣戦機隊とも思えぬ言葉だな」
「あのな、俺たちは死んで来いって言われてはいそうですかって頷くようない
い子じゃねえんだよ、大尉さん!」


「それでも迎え撃たねばならんのだ、藤原少尉」
 クルーゾーは静かに言った。
「この基地はかなりの規模の爆撃にも耐えられるように設計されてはいるが、
それにも限界がある。ベヘモス三機に上陸されれば、いずれドックので整備中
のデ・ダナンも破壊されるだろう」
「でもよ——」
「唯一の脱出手段だぞ」
「ここは絶海の孤島だ。救援などないし、敵もわざわざ捕虜をとろうとは思わ
ないだろう。デ・ダナンが失われれば、戦隊の人間全てがこの穴蔵で心中する
しかなくなる。あのベヘモスを倒すほかに生き延びる方法はない」
 ふむ、と亮は考え込む。あのデカブツとはあの有明のときとDr.ヘルの人
工島を攻略したとき、さらに今から考えると何かしらの関係が在ったとも思え
る鉄鋼竜要塞攻略のときにもあの姿はあった。
 その全てのときに味方には何体もの特機とあの白いASの姿があった。
 その上での現状の戦力差までに考えを伸ばしたとき、沈黙を破ってSRTの
スペック伍長が言った。
「じゃあ、こういうのはどうだ?こんな無茶な負け戦に付き合うのなんて、や
めてよ。これからテキトーなライフル持って司令センターに行こうぜ」
「やめなさい、スペック」
 マオの静止を無視してしゃべり続ける。
「テッサとデ・ダナンを無傷で差し出すって条件なら、敵も乗ってくるだろう
な。やつらだって兵法のイロハくらい知ってるだろう。逃げ場をなくした敗軍
の抵抗ってのは……そりゃもう、すげえもんだ。相当の損害をしなきゃならな
い。ビジネスライクな話し合いで済むなら、向こうも喜ぶと思うぜ」
「それ以上ざれごとを口にしてみろ。敵前逃亡と反逆罪を適用するぞ」
 その眼光に静止以上のものをのせてクルーゾーが言った。
「雇われ兵になに言ってるんだ?作戦本部が吹っ飛んじまったんだぜ?俺らの
ギャラを、あんたが払ってくれるっていうのか?え、大尉さんよ」
「貴様……」
「部隊の仲間のために喜んで死ねってか?ハリウッドのバカな戦争映画じゃね
えんだぞ?そういう単細胞のヒーロー気取りが一番始末に負えねえ」
 そこで一瞬ちらりとその視線が忍のほうを向いたのに本人が気づく。
「言っとくが、俺は犬死はごめんだぜ」
「おいスペック。誰のこと言ってやがる」
 一歩、前へ進む忍。


「……何のことですかな、少尉殿?」
「しらばっくれてんじゃねぇ。単細胞とか抜かしたとききっちりこっちのほう
を向いてたじゃねえか!」
「へぇ、自覚はあるのか」
「スペック、てめえ!」
「忍、やめなって!」
 雅人が制止しようとするがそれを押しのけてスペックの胸倉を掴む忍。
「旗色が悪くなったからって、敵に味方を売るような玉無し野郎に単細胞扱い
されるいわれはねぇ!」
「だからヒーロー気取りだってんだよ、特機乗り!」
 負けじとこちらもその胸倉に掴みかかる。そこで新たな声が割って入る。
「わたしを売る。なかなかの名案ですね」
 PRT要員を二名従えて、格納庫入り口からテッサが入ってきていた。
「大佐殿……」
「そういう話も出ているだろうと思って、様子を見に来ました」
「聞いてたのかい」
「ええ。途中からですけど」
「悪く思わないでくれよ。こっちも商売だからな」
 スッと半歩だけ、亮は体をずらしてスペックがテッサに飛び掛っても即応で
きるように身構えた。
「そうですね」
 しかし、飄々とテッサは聞き流すように頷くとPRT要員にこう言った。
「拳銃を貸してください」
 彼は一瞬躊躇した後、言われた通りにスイス製のオートマチックを抜いてテ
ッサに手渡した。
「ありがとう」
 いつもと変わらぬ笑みで一つお礼を言った後、安全装置をはずしてハンマー
を引き上げる。その動作はスムーズで危なっかしいところはどこにもない。
「スペックさんの考えに傾いてる人もいると思います。ですが、許しません。
反逆を企てる者は、わたしがこの場で射殺します」
 スペックは阿呆のようにぽかんと口を開けていたがようやく頭が意味を咀嚼
したところで小さなため息をついて肩をすくめた。
「おいおい、無理するなよ。あんたはいい子だと思うが——」
 その足元に轟音と共に撃ち込まれた弾丸はそれだけでは飽き足らないのか跳
弾しはるか後方の壁にその身を埋めた。
「態度をわきまえなさい、伍長。もしかして、わたしがわざわざここまで足を
運んで、涙ながらに協力を訴えるとでも思っていましたか?けなげな善意を期
待して、同情混じりの忠誠を請うとでも思っていたのかしら?」


 二の句の告げないスペックに容赦なく畳み掛けていく。
「ここにいる以上は、あなたも『戦士の回廊』を歩む者でしょう。自分の意思
でこの窮地にやってきた。違いますか?」
「いや……」
「わたしを名ばかりのお姫さまだとでも思っていたの?」
「…………」
「言ってみなさい。わたしがだれか。その役職と階級を」
 いつも通りの柔らかい口調。いつもどおりの美しい顔にはしかしそれを上回
る迫力を帯びていた。
スペックは乾ききった喉で唾を飲むと口を開いた。
「……テレサ……テスタロッサ大佐。トゥアハー・デ・ダナン戦隊の総司令官
です」
「よろしい。では、さきほどの発言を撤回して謝罪しなさい。いますぐ」
「……撤回します。冗談が過ぎたようです。申し訳ありませんでした」
「けっこう」
 銃のハンマーの位置を戻して、テッサは銃を返した。
「あいにくですけど、敵はミスリルの存在そのものを地上から、いえ。地球圏
から消すつもりです。わたしたちが合理的なつもりの交渉を持ちかけても、効
果は無いでしょうね」
 違いあるまいと一人頷く亮。自分たちを生かしておいても得るものなどある
まい。不利になったからと寝返るような兵隊などどこも欲しがらないだろう。
「スペック伍長。隊はあなたの技能を必要としています。反逆を煽動した罪は
、みんなが生き残ったら帳消しにしてあげましょう」
 それだけ言うとテッサはくるりと踵を返した。
「…………生き残る?どこにそんな望みがあるってんだ……?」
「バカヤロウ!なけりゃ作るんだよ!俺たちの手で!」
「藤原少尉はよく理解しておいでのようですね。それとも野性の本能かしら?」
 にっこりと微笑みながらもう一度だけこちらを見る。
「もう一度わたしの報告書を読みなさい。頭を使って、工夫をしなさい。疑問
があるなら、わたしやレミングに助言を請いなさい。そんなこともできない木
偶の坊なの?」
 忍には縁遠い言葉だな、と雅人は思ったが空気を読む自負はあったので(自
負だけだが)口には出さずにおいた。
「どうも勘違いしているようですね。わたしは一度もあなたたちに『死ね』な
どと命令したことはありません。これまでも。そして——これからもです」
 あくまでも毅然たる態度の彼女にその場は静まり返り、スッと一同直立して
いきそれの最後の一人の雅人も直立の姿勢をとりながらぴゅうと口笛を鳴らし
た。


「テッサちゃん、かっこい〜!」
 茶化しでもなんでもなく、純粋な畏敬の言葉にテッサは素直に答えた。
「ありがとうございます。……生き延びなさい。命令です」
「イエス、マム!」
「幸運を」
 最後に微笑みながらそう言って彼女は去った。
 しんと静まり返った格納庫で、視線の集中を感じて観念したようにスペック
が口を開いた。
「あー、わかってる。わるかったよ、くそっ。イラついてただけだ。でもよ、
みんなちょっとは考えただろ?そんな目で見ねえでくれよ」
 スペックの言葉に大半が自嘲気味に嗤った。
 ケッ、どいつもこいつも……と忍はそっぽを向いたが、食って掛かろうとは
しなかった。
「……まったく、エンジェルといい彼女といいやられっぱなしだな。彼女の言
うとおりだ。悲壮な覚悟に浸るのはやめて、もう少し知恵を絞ろう。作戦の報
酬は己の命といったところか」
「妥当なギャラだ」
「ま、なんとかなるかもしれねえし……」
「あー、たまらん。嫁さんにしてえ」
 何て事を当のスペック自身が言うのだ。
「残念だったな」
 にやりと笑ってクルーゾーは言ってやった。
「彼女へのプロポーズは階級順だ」
 爆笑。
「さて……では対策会議の続きだ。この中でベヘモスと実際に戦って、一矢報
いた経験のある奴は誰だったかな?」
 自然、その視線は獣戦機隊とクルツに向いていき、そして獣戦機隊はクルツ
のほうを向いた。
「え……?俺?」

 街中の自然公園で起こった火災にカイザーとビューナスで降りてきたが、そ
こにはもう何も無かった。
「戦闘だったのは間違いないみたいだな……」
 爆発四散したらしい残骸はヘリのものだと見て取れたし、クリスマスの船上
でみた人間サイズASたちの残骸やその他戦闘員と見て取れる死体もあった。
「甲児君。この足跡は……」
 さやかに呼ばれて見てみるとカイザーやビューナスよりは小ぶりな、しかし
明らかに人よりは大きい足跡がとつとつと続いていた。


「ASのサイズよね、これ」
「ああ。きっとアーバレストだ」
 しかし、どうやらこの場から移動してしまったらしい。
「下手に探し出したら余計に危険になるかもしれないわね……」
「ああ。むしろ俺たちのほうで敵の注意をひきつけておこうぜ」

 朝のわずかな時間を利用し、調布市のあちこちで起きている破壊活動を報じ
るラジオに耳を傾けながら、じきにその位を退く陣代高校生徒会長林水敦信は
引継ぎのための書類を片付けていた。
 昨日の夕刻、部下の彼と交わした会話を思い起こしつつ、ため息をついた。
 憂慮。
 おおよそこの青年からは普段感じられぬそんな雰囲気が感じられた。
「林水会長っ!」
 そこへいささかの慌しさを伴って三人の少女が駆け込んできた。
「どうしたのかね?カティア君、テニア君、メルア君」
 先程までの表情は成りを潜め、いつもの生徒会長がそこに座っていた。
「統夜、知りませんか!?」
「行方、というのであれば今日はまだ彼は見ていないね」
 悠然とそう答える。
「じゃ、じゃあ、相良君は!?」
「……いや、彼も今日は見ていないな」
「そうですか……」
 見るからにしょぼんとする三名。
「どうかしたのかね?」
「今朝、気づいたら統夜の姿が見えなくって……」
「それで、思い出してみたら昨夜相良君から電話があったあと、誰かが出て行
った気がしたので……」
「相良さんと何か関係があると思ってそっちに連絡を取ろうとしても全然連絡
が取れないし、かなめさんもメールの返事が来ませんし……」
「…………」
 無言のまま林水はちらりとラジオに目をやった。……考えすぎなのだろうか?
行方の知れない宗介たちと、この事件……。



◇  ◇  ◇



118 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/09/27(水) 17:54:48 6XL61XCO
どっかで読んだことあるなと思ったら「続くオンマイオウン」か
しかし、上手くJキャラが組み込まれてるな…良作だと思う



123 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/09/28(木) 03:58:48 odPOfIr1
>>VXyeufNV
GJ!
期待してるからがんばってくれ



124 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/09/28(木) 08:28:20 q5vzmm2y
>>VXyeufNV
こちらからも言わせて貰おう
GJだ



151 :96 :2006/10/02(月) 01:49:27 pmM7c/CH
え〜、多数のGJありがとうございました。おかげさまでようやく完成いたしました。

落としどころをいろいろ悩んだのですが、いかがなものでしょうか?
皆様のご感想など、頂けると幸いです。



◇  ◇  ◇


『忍、来たよ!』
 雅人の声に目を見開く。
 今回の作戦で三機のベヘモスはそれぞれA,B,Cと区別され、Aにはマオとクルーゾー、Cには獣戦機隊、Bにはクルツをリーダーとした残り全てのSRT要員が配されていて本命とされており、A,C対応班はB撃破までの間になるだけ時間を稼ぐように言われていた。
A,B対応班にはそれぞれ多数の無人兵器がつけられていたが、C班には獣戦機のみであった。
 これは根本的に運用方法が違うというのが第一理由で、獣戦機には元々他の無人機を運用するための装置が無かったのと、わずかな時間ではそれを取り付けるのが不可能だったこと、彼等自身が必要なしと判断したことがその理由だった。
 ダンクーガといえども、その火力でラムダ・ドライバを突破できる確証は無かったがそれでも獣戦機が分離すれば十分にかく乱は可能だろうと忍は考えていた。
 今回、メリダ島にダンクーガがいたのはあくまでも偶然である。本来四つの戦隊のいずれにも属さず、衛星軌道上のガンドールに待機している彼らは、東南アジア地区での任務後、機体の損傷が激しかったためこちらのほうへ緊急避難的に帰還したのだ。
 そのため、頼みであるガンドールとも別行動であり現在の最大火力は
『亮!断空砲フォーメーションだ!』
「行くぜ!」
 身構えた青の巨体に照準を合わせる。
『マキシマムレベル!シュート!』
 ダンクーガから放たれた光はラムダ・ドライバに一度阻まれ、それを貫き通し、ベヘモスが大きくよろめいて……それだけだった。
『ちっくしょう!なんて頑丈さだ、あの青達磨!』
 もしコダールだったならば、ラムダ・ドライバで削がれた威力でも殲滅するのに十分な出力だっただろうが、ベヘモスの装甲はそれほど柔ではないらしい。青い塗装ははげ、装甲にも亀裂が走っていたがまだまだ戦闘に問題はなさそうだ。
「忍、来るぞ!」
『各機分離散開!妖精の目を起動!注意力散漫になってたら遠慮なく弾丸をぶち込んでやれ!』
 獣戦機がばらけ、エネルギーを本体にまわして空になったブースターを砲弾が貫いた。
 これでもう、補給なしに断空砲は撃てない。
『こちらビースト1!ダンクーガの最大火力で迎撃するも敵の損傷は軽微!足止めに入る!』
 妖精の目はラムダ・ドライバの発動箇所を光学的に表現する機器で、これによって力場の効力の薄いところ=注意力散漫な箇所を判別することが出来るのだ。
 本来ならあえて注意力を薄くしていき、出来るだけ薄くしていったところに必殺の一撃を叩き込むのが正しいやり方なのだがそこが獣戦機隊の獣戦機隊たる所以で、注意力散漫になったところを叩かれればベヘモスの搭乗者はそちらに注意を引き、その分他が薄くなる。そこを叩けばまた他が薄くなる……と繰り返していく……人間なのだから四方八方に気を配っておくことなど出来るはずもなく、出来たとしてもそれを長時間続けるのは相当の精神力を消耗するものであり……つまり、忍たちは我慢比べをやろうというのだ。相手を精神的に疲労させていき、もはや集中力が持たなくなった時点で一斉攻撃を仕掛ける。
 初代ベヘモスの搭乗者タクマは薬物でもってそれを伸ばしていた。今回の搭乗者も同様の可能性があるが、それにしたところで無限ではない。
 四人がかりの根性勝負で負ける気などさらさらなかった。
『ウルズ2より各機へ!』
 そこで通信機からマオの声が響く。
『軽微ながらも、巨大ASに損傷を与えた!』
 たったの二人で、しかもダンクーガほどの火力もなしで、である。
『いけるわ。ただし気をつけて。敵の火力は圧倒的よ』
『聞いたか!?四人がかりのオレたちが、負けるわけにはいかねえぜ!』
『当たり前だろ?』
『見せてやろうじゃないの、俺たちの野生をさ!』
「俺たちで撃破することも、不可能ではあるまい」
 上空から急降下しつつ、ミサイルとバルカンの雨を降らせる。下方の注意が散漫になったところでビッグモスの巨砲が撃ち込まれる。微弱ながらも展開していたラムダ・ドライバに阻まれ、装甲に傷をつけるには至らない。
 苛立ったようにバルカンを撃ち込んでくるがビッグモスとて並みの重戦車ではない。バルカンごときはものともせずにパルスレーザーを撃ち込んでいく。
 実質的に言えばビッグモスとベヘモスの大きさに大した差はない。そもそも、ヒューマノイド形態ではその全高は頭一つ小さい程度なのだ。
 亮の方もこの巨体でマトモに避けようとは考えていないし最も警戒すべき物干し竿を取り回すには近い場所に陣取っていた。無理に撃とうとすれば、こちらには場所を変えるタイミングを取れるようにしている。
 クーガーとライガーはそのAS並みのサイズを生かして、この岩場の多い地形を移動していた。ベヘモスの40ミリバルカンでも十分破壊できる装甲でしかないが、まず捕らえきれない。そして上方から、おそらく本人は死んでも認めないだろうが注意をひきつけることを主目的とした忍のイーグルファイター。時たまヒューマノイドモードの滑空でライフルを撃ち込んではまたバルカンの射程外に退避するのを繰り返していた。
(いけるな)
 亮はそんな確信めいたものを抱いていた。が
『こちらパース1』
 カリーニンの声が聞こえる。
『いいニュースの直後だが、悪いニュースも伝えなければならない。敵の降下部隊が南東から接近中だ。多数のASと歩兵部隊だろう。敵はこの基地の地下を制圧するつもりだ。おそらく、十五分以内に白兵戦になる。それまでにベヘモスをできるだけ片付けなければならない。さもなければ——部隊は全滅だ。デ・ダナンも出航できないだろう。地下ドックから出たところで、狙い撃ちにされる』
『チッ、ちんたらやってる場合じゃねえってのか!』
 悪態をつく忍。
『そんな、無茶だよ!』
 半ば悲鳴の雅人。
『でも、どうしても、やらなきゃならないわけでしょ?』
『肯定だ』
 育ての子へと受け継がれた簡潔な言葉が響く。
『気楽に言ってくれるね』
 クーガーでライフルを撃ち込みつつ、沙羅もぼやく。
「どうする。ビッグモスだけでもそちらの足止めに回るか?」
『……いや、このまま攻撃を続ける!とっととこいつをぶちのめして、その後でそっちにも対応するぞ!』
『ちょっと忍、本気?』
『当たり前だ!』
 そこで一つ息を入れ、コクピット左のボタンに手をかける。
『やあってやるぜ!』

 既に三年生の通常授業は終了していて、本来成績の面から言っても林水が学校にいる理由は何もなかったが、彼の矜持から受験に向けての特別授業は受けていた。
 その最中、懐の携帯電話が震えた。
 教師の目を盗み、名前だけを確認する。……公衆電話だ。
 だが、この状況での公衆電話は……。
「先生」
 挙手して、教室を退出して手洗いで電話に応答する。
「はい」
『先輩。頼みがあります』
 正しく予期していた声にいくらか安堵し、またいくらか気を張った。
「トラブルかね」
『ええ』
「わかった。どうすればいい?」
 今、全力で彼に協力したいと思った。昨日告げたとおり、時が尽きたらしい。これが、おそらく最後となるだろう。
『1100時に全校生徒、および職員を二分以内に校舎から出してください。自分の過失を原因としていただいてかまいません』
 つまり、校舎を空にしろということか。
「まいったな。停学ものだ」
『必要なんです』
 切羽詰ったように思える声に、今言うべき台詞ではなかったかと眉をひそめる。
「いや、冗談だよ。喜んでやろう」
『助かります』
「構わんさ。ただ——」
 小さく、ため息をつく。先程感じたことを尋ねる。
「これでお別れということかな?」
『……おそらく』
「そうか。達者でな。……君との一〇ヶ月は楽しかったよ。本当に楽しかった」
『俺もです。楽しかった』
 世辞でもなんでもない、初めて会ったときからそれだけは変わらぬ素直な後輩の言葉が、この時だけは悲しい。
「彼女にもよろしく言っておいてくれ。出来る限り力になるとも」
『はい』
 言うだけ無駄なことも判っている。自分には彼らの世界で物事を為すだけの器量はない。ただ、この学校でのみかろうじて彼と盟友であれた。
「幸運を」
 その自分の無力さにいささか怒りを覚えながら、彼は友のため階上の放送室へと向かった。その道中の火災報知機を押す。これだけで十分説教ものだなと自嘲しつつ、頭の中でシナリオを整える。
「テスト、テスト。こちらは生徒会です」
 生徒会長としての最後の職務は、人命救助だ。仮に自分の直感どおり、彼が自分に助けを求めるほど切迫した状況で『向こう』の、戦場という世界が侵食してきているのなら、一年半前あの機動兵器が落ちてきた以上の惨事となる。
「つい先程、北校舎で重大な災害が発生いたしました。当生徒会の補佐官——えー、ご想像の通り、彼です——彼が持ち込んだ化学兵器が、不幸な事故により漏洩しました。これから一〇〇秒以内に校庭まで避難してください。すこしでも遅れると死にます。お急ぎを」

 四機の獣戦機がアグレッシブビーストモードでの戦闘を開始してから既に八分。時間が、無い。
『ちっくしょぉぉぉおおお!』
 雄たけびを上げて突っ込むイーグルファイターも虚しくラムダ・ドライバ突破には至らず、島の南半分は既に制圧下に置かれているし、基地内にも一部侵入を許している。
「く……」
 幸いというか何というか、四機とも四肢はどこも欠損していない。装甲にひびが入っていても戦闘には支障は無い。しかしそれだけではダメなのだ。ここだけで五分に渡り合えていても。
 ベヘモスB対応班は多数の犠牲を払って撃滅したというが、それでも大勢に影響は与え切れていない。
(ジリ貧だな)
 ギリ、と奥歯をかんだところで通信が響く。
『藤原、合体だ!』
 はっと空を見上げるとイーグルファイターより一回り大きい飛行メカがあった。
『アランか!』
『ガンドールも援護の準備は完了している。ファイナルダンクーガに合体して、一撃でケリをつけるぞ』
『よぉし、それなら!キーワード!D,A,N,C,O,U,G,A!ダンクーガ!やぁってやるぜ!』
 合体の間隙を突こうとするベヘモスは逆にアランのブラックウィングに後背を突かれ、その隙に合体を完了させ、さらに背中にブラックウィングが合体する。
『断空剣!』
 柄から生えた切っ先を天に掲げる。
『エネルギー充填120%、ガンドール砲発射!』
 断空剣にガンドール砲のエネルギーが蓄えられる。
「愛の心にて、悪しき空間を断つ!」
『名づけて、断空光牙剣!やぁってやるぜ!』
 ベヘモスが両手を前に押し出してまで防御に専念する。これまでの最大の強度でもって展開されたラムダ・ドライバはしかしあっさりと突破され、光の牙は青い巨体を両断した。

『ターボスマッシャーパーンチッ!』
 カイザーの腕が飛び、不用意に接近したASシャドゥの腹をぶち抜く。
 二人は現在宗介からの要請で対空用ECMを最大出力で発信しているため完全に無防備となっているアーバレストを守っていた。
 学校内部と、常盤恭子にくくりつけられた爆弾の遠隔操作をキャンセルするためである。
『くっそ〜、こいつら後から後から湧いて来やがる!』
 ASだけではない。人間の歩兵も無人のアーバレストにとっては十分脅威となりうる。が、いくらあの戦争中不本意とはいえ人を殺したことのある甲児たちとしてもこんな目に見える形での人殺しにいい気はしない。
『ルストトルネェェェド!』
 比較的殺傷力の低い攻撃で押し戻す。高いビルから落ちているものもいるから何名かは死んでいるかもしれないが。
 恭子を人質にするような連中に慈悲など無用だと考えても、そうそう割り切れるものではない。
『このぉ、だめだって言ってるでしょ!』
 ビューナスの手がランチャーを構えた歩兵から武器を奪い取り、足元に光子力ビームを撃ち込む。
『警告。六時方向より敵対機接近。サベージ、1』
 アーバレストの外部スピーカーが告げる。
『くそっ!さやかさん!』
『ダメ、間に合わないわ!』
 後方から接近してきたサベージがヒートハンマーを振りかざしたところで、
「オルゴンソード、ファイナルモード!」
 虚空から現れた蒼騎士がサベージを二分していた。
「済まない、遅れた!」
『統夜!この野郎、どこほっつき歩いてやがった!』
「横須賀から出た直後に、こっちを目指してると思われるベヘモス・タイプのASがいたから足止めしてたんだ!」
 また一機のシャドゥを袈裟切りにする。
『ベヘモス!あいつらそんなものまで持ち込んでるの?』
「日本にあるスーパーロボット研究所の数を考えたらありえない話じゃないさ。実際そっちのほうは超電磁チームに任せてきたからね」
 ベヘモスは例えたどり着かないまでも注意を逸らす役割を担っていたのかもしれない。
「ところで、なんでアーバレストが動かないんだ?それに、確かこっちには来ないだろうって……」
『テッサちゃんが気を利かせてくれたんだとさ。実際、相良しか動かせないんだからこっちにこっちに回したほうがいいんだろ』
『それで、今は学校に仕掛けられた爆弾の遠隔操作をさせないために電波妨害に全出力を入れてるから動けないのよ』
『ECM作動中。あと三〇秒』
「爆弾!?」
『しかも恭子ちゃんを人質にしてやがったんだ。他の生徒は林水先輩が校舎から出してくれたから、今相良は恭子ちゃんの救出に行ってる……ファイヤァァァブラスタァァァッ!』
 飛び掛ってきた一機を迎撃する。
『ECM停止。本機はこれよりファイルX−2の特別司令に基づき、緊急避難モードを起動。回避行動を開始します』
 アーバレストのAI、アルの言葉と共に立ち上がるアーバレスト。跳躍し、近隣のビルに着地する。
「ジャミングが止んだ!」
 学校の方面を望遠する。……爆炎は、無い。
『やったぜ!』
 喝采を上げる甲児。
「いや、まだだ!敵はやる気だぞ!」
 未だに戦意は止まず、アーバレストを追う敵機を統夜はシューティングサイトに重ねた。

 メリダ島。
 基地司令部を放棄してテッサを先に逃がし、その他の人員も彼女についていかせた。
 ASを扱えない以外は十分な実力を持ったSRT要員ウルズ9ヤン・ジュンギュ伍長も付いていったようだ。
 アンドレイ・セルゲイビッチ・カリーニン少佐はたった一人、通路に居た。
 自らの選択が正しかったのか過ちであったのかはわからない。
 だが、あの銀髪の少年に賭けてみたくなったのもまた事実だ。
「アンドレイ・カリーニンだな?」
 アマルガム側の部隊長と思われる男がそう尋ねてきた。
「そうだ」
 マシンガンを捨て、カリーニンは応じた。

 大挙して日本地区に押し寄せたAS部隊にラストガーディアンからも秋津マサト達が迎撃に出ていた。
(こいつらの軍勢……)
 あのガウルンの扱っていた連中と同種のものだ。そう、アマルガムの部隊だ。
 木原マサキの知識にはその名が刻まれていた。否、元々マサキはあの組織の創設者の一人だった。が、自らの冥王計画の実現には遠いと見たマサキはアマルガムを離れ、鉄甲龍を同じくアマルガムを抜けたルラーンと共に作り上げたのだ。ただ、あの戦役の最中現れた軍勢を見た時、アマルガムは鉄甲龍に吸収されたものと思っていたのだが……。
『AS部隊沈黙。任務完了よマサトくん』
「いや、まだだ。これは陽動に過ぎない」
『え?』
「敵の本命は……多分あそこだ」

 半ば廃墟となった街。学校の校庭、生徒たちの固まっているのと反対側に四機のロボットが居た。
 そちらも、行動にこそ支障はなさそうだったが装甲のあちこちにひびが入りひどい有様だった。
「……ボロボロだな」
 サイトロン粒子の物質化による機体修復を開始しつつ苦虫を噛み潰した顔で統夜は呻いた。三人が無事に避難してくれているといいが……。
『三人とも……こんな事に巻き込んでしまって……済まなかった』
『だから、気にすんなって』
『そうよ。学校のみんなも守れたじゃない。十分よ』
「宗介……千鳥さんと行くのか」
 統夜が直球に尋ねる。
『ああ……ひょっとしたらもう地上の、地球圏のどこにも安全な場所は無いんだろうが……逃げるしかない。俺はそうすることしか知らないんだ』
『私達の研究所に来れば……お父様も事情を説明すれば守ってくださるわ!』
『そうだ。何度敵が来ようと俺たちで蹴散らしてやるぜ!』
『ダメなんだ。それではダメなんだ!』
 宗介らしくも無く、叫ぶ。
『それでは君たちに迷惑がかかってしまう。最悪政府そのものを敵に回すことになりかねないんだ!お前たちなら、そんなことを気にしないでくれるかもしれない。だが、もう千鳥が限界なんだ!自分のために、他に迷惑がかかることを耐え切れないんだ!』
『け、けどよ……』
「!」
 そこで統夜の脳裏に閃く。
「待て、話は後だ。何か、来る!」
 それを裏付けるようにアーバレストのレーダーも捉える。
『大型輸送機が接近中。方位一八七。距離二〇。一機。速度五〇〇。高度一〇〇〇から降下中』
 アラーム音と共にアルが伝える。
『機種、C−17。敵味方識別、無し』
『この状況だ。間違いなく敵だぜ』
「だからって撃墜するわけにもいかない。ここで落とせば街に突っ込む」
 一気に高度を下げてきていて地上高三〇〇mあたりを通過していった。
『何だありゃあ?』
「いや、ASが降りたんだ!ECSを展開してるだけで、近くにいるぞ!」
 ばっとラフトクランズを上昇させ、サイトロンでスキャンをかける。校舎のほうにASが使ったと思われるパラシュートが落ちた。
(どこに……いる?)
 宗介も甲児も、さやかも油断無く辺りを見回すが、見えない敵が見えるようになるわけでもない。
 手を出しあぐねている中、アーバレストがバッと身を翻し、ボクサー散弾砲を撃ち放った。
 改めてそちらに目を向けると、いた。
 白銀の鋭角的な装甲に左右非対称の角を持った頭部。ラフトのバックパックにも似た肩のパーツは、まさか単独で飛行能力を持ったASだと言うのか?
「違う形だけど……こいつも持ってるな」
 ラムダ・ドライバを。でなければ素手でASが来るはずがあるまい。
『さて——相良宗介くん』
 腰に手を当てつつ、外部音声でその声が響いた。人を食ったようなしゃべり方だ。
「……ばらす気か」
 宗介の素性を学校のみんなに。
『——僕はそこの人々を人質にするつもりはない。その意味さえ感じていない。でも、あえて言っておくよ。これが最後の警告だと。諦めて彼女を渡す気はないかな?』
『てめえ、好き勝手言ってるんじゃないぜ!』
 カイザーがその胸部からファイナルブレードを抜き放って構える。
『答えならわかっているだろう』
 宗介も、外部音声で応えた。
『まあ、そうだろうね……でもさ。そういう物分りの悪さ……もしかして格好いいとでも思ってるの?』
『何の話だ』
『ちょっとね。そういうの、嫌いなんだよ』
 白銀のASの翼——やはり翼だった——が展開し、機体を浮遊させた。
 そして次の瞬間、猛烈な力でアーバレストは吹き飛ばされた。
『相良くん!』
『てめえ!やりやがったな!』
 吹き飛んだアーバレストのサポートにビューナスが回り、カイザーが切りかかった。
『てぇりゃあああ!』
「よせ、甲児!」
 が、統夜の制止も遅い。
 白銀のASのラムダ・ドライバに阻まれる。
『マジンカイザー……中々強力な機体のようだけど……ガウルンの乗った初期型にさえパワー負けしてたのに。「完全領域」と自由に交感してラムダ・ドライバの力を全て引き出せる僕に勝てるわけ無いだろう?』
『な、何!?』
 ラムダ・ドライバの力場に囚われて宙に浮き、その手の所作だけでマジンカイザーが錐揉みしながら飛んでいった。
『甲児くーん!』
 一瞬さやかがそちらに気をとられたとき、接近してきた白銀のASのラムダ・ドライバで上乗せされた手刀で逆袈裟に切り払われ、中破した。
『きゃああああああ!』
 身もだえするビューナスにはもう目もくれず、空を見上げた。
『それで?フューリーの騎士さんはどうするんだい?』
 見上げたそこに蒼い機体は無い。
 その後背で、オルゴン・クラウドを乗せたオルゴンソードとラムダ・ドライバが衝突していた。
「く……そ!」
『惜しかったね……こんな街中でなければ最大の攻撃力で挑めたんだろうけど。……力不足だよ』
 翻った左手がラフトクランズに力場をたたきつけた。
「ぐうぅうううう!」
 後ろにいる生徒たちの事もある、跳躍するわけにもいかず、オルゴン・クラウドを全開にして後ずさるだけで凌ぎきる。生徒たちには……大丈夫。そっちには突っ込んでいない。
「はっ……は!」
 この間に体勢を立て直したアーバレストが、完全に後ろを向いている敵ASにボクサーを向けた。背中の放熱板が伸びる。やった。アーバレストもラムダ・ドライバを駆動した。これで……
『見苦しいよ』
 それだけ言い、白銀のASの手刀がボクサーを持った腕ごと振り向きざまに切り裂く。
 それでも怯まず、頭部のチェーンガンを放つ。
 が、ラムダ・ドライバを乗せた最後の反撃も当たり前のように白銀のASの前には無力で、今度は頭を潰され、右膝が反対に曲がり、左足は大腿部から欠損し……
「宗介えぇっ!」
 シールドを展開して爪を開き、背後からその白い翼を狙うが、届かない。阻まれる。
 その間にもアーバレストの胸部、コクピット辺りを踏みつけ胸部装甲を引き剥がした。
「ああああああ!」
 絶叫した。友の命が目の前で尽きようとしていて。
『五月蝿い……!』
 半ばイラついたように声が響き、今度こそラフトクランズも吹き飛ばされ、宙を舞った。
 それを見届け、再びスクラップとなりかけているアーバレストに目をやり、半壊状態のオペレート席にいる男に、銃弾を打ち込まれた。
「…………っ!」
 不快だ。こいつも、さっきのドンキホーテもあの特機乗りも。それで彼らが屈服するわけでは無いことはわかっていたが、見ているだけで吐き気がした。
 もう一発、宗介のグロックが火を噴き、ラムダ・ドライバで後も残らず消し去ろうとしたところで、異変が起きた。
『警告。敵対機出現』
 アーバレストのさらに向こう側、禍々しい機体がそこにあった。
「遅かったか……」
 出現した特機、グレートゼオライマーのコクピットでマサトは呻いた。
『なんてこと……』
『ゼオライマー……木原マサキさんですね』
 宗介からそちらに眼を向ける白銀のAS。
「レナード・テスタロッサ……だったか」
『よく覚えていますよ。まだ僕は二歳だった。でも、あなたとの共振が無ければ僕の人生はもっと別のものになっていただろうから。それだけ印象的だった』
 うっとりとそれこそ懐かしむようにレナードの声が響く。
「アマルガムが動いてるだろうとは思った……けど、何で君がそこにいる?」
『僕の目的のためにはその方が都合が良かったんですよ。あなたの作り上げたこの民主的な組織の方がね』
「…………」
『まぁ、面白みが無くなっただけじゃなく、ウィスパードとしての力すら失った秋津マサトに興味は無いからね。お説教は聞かないよ』
 その手が再び宗介に向けられる。
「悪いが、彼は僕の恩人の想い人だ。殺させるわけにはいかない!」
 グレートゼオライマーが両手を構える。
『確かに次元連結システムならラムダ・ドライバなんか無いも同然だろうけど……でも、ここで冥王の力を開放すればどうなるだろうね?』
 白銀のASの向こう側、未だに避難しきれていない学校の生徒たちの姿が見えた。
「く……」
 外部音声出力を切る。
「美久、次元連結砲だ。出力を抑えて、ピンポイントでコクピットのレナードに直撃させる!」
『そんな、無茶よ!』
「他に手が無い!」
 スッと右手を上げるゼオライマー。
 おもわず身構える。まさか、本気でやるつもりか?秋津マサトはそんな人間ではないと聞いていたが……木原マサキならば、ためらわず攻撃するだろう。
「これで!……!?」
 入れていたレバーを引き戻す。長い黒髪の少女が間に入った。
『もうやめて……』
「千鳥さん!?」
 半壊したコクピットから這い出た宗介も、彼女を見た。
『おわりにして。ついていくから』
『だれにかな?』
『————あなたに』
 ASの頭部が宗介のほうに向く。
『聞こえたね、相良宗介くん』
 乗れといっているのか跪きながら、右手を差し出した。
『千鳥……やめろ……』
 呻きながらかなめの方へ一歩寄るが、彼女はASの手に乗る。
『もういいの』
『よくない……』
『あたしは大丈夫だから。あなたも……』
『絶対に……連れ戻す……この場所に……連れ戻す……』
《……普通に暮らしてたってね……》
 あの戦いの最中、かけられた言葉が内に蘇る。
《普通に暮らしてたってね、死にたくなるようなことはいくらでもあるのよ!》
 その上で、彼女があそこに向かったのなら。
(ああ……そうか)
 もう、心が、折れているのだ。彼女は。
 ゆっくりと上昇していく白銀のAS。
『追いましょう、マサトくん!』
 美久の言うとおりに、機体を上昇させていくが、なんとなく、わかっていた。
(多分、無駄だよ)
 今の彼女では、助け出しても迷惑するだけだろう。自分のせいで他人が傷ついてしまうことを許容できないやさしい人だから。
 だったら、狙われるのが自分だったら、始めから連中の方に行けば、大切な人は傷つかないから……。
(でも、千鳥さん。大切な人は、自分と関わりが有るからこそ大切な人なんだよ?)

 一機の特機と戦闘機、二機の第三世代型AS,超高高度からの移動要塞によるビーム攻撃。
『亮、鉄拳を食らわせてやれ!』
 しかし、数の差はいかんともし難く、じわりじわりと防衛線は後退して行き、必然的に最も狙われたくない場所を敵に教える結果となっていた。
「はあああああ!」
 ダンクーガの鉄拳が正面のASを粉砕した。第三世代型であろうとラムダ・ドライバの無いASが特機に対しては力不足も甚だしい。
『おまえら、そんなのはいいからあのデカブツを何とかしろってんだ!』
 メリダ島の崖先、クルツが40mmをバラ撒きつつ悪態をつく。
『うるせーっ!だったら細々したものこっちに寄越すんじゃねえ!』
「忍、くるぞ!」
 既に長大な大砲は無力化され、ミサイルも撃ちつくし、残るは頭部の機関砲とその巨体だ。デ・ダナンの発進口前で二つの巨体が力士よろしく組み合う。
 既に精神的に消耗が頂点に来つつあるのかラムダ・ドライバはその重量を支えるだけで障壁としての機能はほぼ失っていた。
『全砲門開け!零距離でぶち込んでやる!』
 パルスレーザー砲、ビームランチャー、連装キャノン砲を始めとしたダンクーガの火力が青い装甲に吸い込まれていく。
『忍!ダナンが動くよっ!』
『ちっ!引くぞ!』
 膝蹴りを一発かましてひるんだところで一気に距離をとった。そこへダナンから発射された六発のADCAP魚雷が全弾命中した。
『他の機はいい!ベヘモスに火力を集中しろ!』
 ここが正念場と見たクルーゾーの掛け声の下、ファルケとクルツのガーンズバックの40mmとブラックウィングのビーム砲、ダンクーガのダイガンが集中して浴びせられる。
 もはやまともに防御行動も行えていない。バランスも崩し勝った、と確信したところでドックから漫然と飛び出したダナンがベヘモスにぶちかましをかけた。
 それを解っていたのか、開いている上部甲板に降り立つM9とファルケ。
『獣戦機隊の皆さん、援護ありがとうございました』
『お、おう……』
 さしもの忍も度肝を抜かれていた。ちなみにあの最後のベヘモスはダナン体当たりの衝撃でバラバラになっていた。
「ふ……流石はダナンを駆る女(ヒト)だ。とんでもない女傑だな」
『藤原』
 ビーム砲で戦闘ヘリを落としながらブラックウィングが接近してきた。
『周辺の敵機は一掃した。この隙にガンドールへ撤退する』
 ファイナルダンクーガとなって一気に上昇をかける。
「さらばだ、七つの海をかける女神……願わくば、再び会わんことを」
 ビックモス部分のハッチを開け、亮は手にしていたバラを中空に投げた。

 激しい頭痛の中、意識が覚醒していく。
「あ……く……」
 目を開くと、泣きそうな顔でのぞき込む三人。
「っ統夜!」
 目が覚めた事を見て取り、抱きつくテニア。
「よ、よかった……」
 ぼろぼろと涙を流すメルア。
「お前ら……」
「もう少し待っててくださいね。ネルガルの救護チームがここに向かっていますから」
 起きあがろうとしたのをカティアに押さえられた。
「俺……一体……」
「あの銀色のロボットに吹き飛ばされてさ……あたし達、ほんと心配したんだからね!」
「そっか……俺……」
 銀色の……AS……。
「っ!あのASは!宗介の奴は!」
 一気に意識が覚醒する。抱きついているテニアやカティアの制止を振り切るように上半身も起こす。
「あのアームスレイブは……カ、カナメさんを……連れて行っちゃいましたぁ……」
 先程とはまた別の理由から涙を流すメルア。
「…………」
 言葉もなく、再びシートに倒れ込む。
「相良君も……行方が知れないわ。かなめさんが自分の身と引き替えに彼の安全を要求してたから生きているとは思うけど……」
「なんて……こった……」
 そこで自分の体に血が付いていることに気づいた。それをたどっていって頭に傷があるのだとわかった。そういえば体が冷えている割に顔が妙に生暖かい。
「……甲児やさやかは?」
「統夜よりは軽傷だよ」
「そうか……」
 最強の傭兵と魔神皇帝と騎士とが……まるで子供扱いだった……。
 言いようのない虚脱感に統夜は覆われていた。

 あれから五日後。
 二年前……体感的には一年半程度だが、ともかく自らの運命と出会った校庭に統夜は立っていた。
 頭に巻いた包帯をそっと撫でながら2−4を見る。珍しく無事な窓の向こうでさっきなにやら騒がしくなり、そして今は落ち着きを取り戻している……直に彼が来るだろう。
 校舎の方から歩いてきた宗介を正面から見据える。
「紫雲……いろいろと、助けられた。ありがとう……」
 直に顔を合わせるのが六日ぶりの友人はそれだけ言うと統夜の横を通り過ぎようとした。
「待てよ」
 その手をつかむ。
「行くんだろ、千鳥さんを追って」
「そうだ」
「だったら手伝わせろ。責任は俺にだってある」
「無理だ。お前の腕は知っているが、ロボットが扱えればいいというものでもない」
「だが、お前の兵隊の技能を駆使しても彼女の行方をつかむのは至難の業だ。……違うか?」
 宗介は答えず、統夜の手を振り払おうとする。
「……お前には何も責任はない。これまで通り、普通の生活を続ければいい。それも戦いだ」
「そうもいかないんだよ……」
 振り払うに任せて、統夜は宗介の背中に言う。
「あの三人も千鳥さんと同じだ。地球人でありながらサイトロンを扱えるようにされてる三人は狙われる可能性がある」
 そこでハッと振り返る。
「あの三人にも、今まで言ってなかったけど実はミスリルからガード役の人も来てもらってたし、実際今までに二回。お世話になってる」
「…………」
「まぁ……もう連絡も付けられなくなってるけど……」
 再び正面から向き合う。
「……アカツキ会長がナデシコBの就航を巻き上げてくれたから、それに乗り込めるようにしてもらった。半年にもならない平和な時間で、あいつらにも申し訳ないけど先に行かせてある。……だから、宗介。お前も来い。その中で千鳥さんも探せばいい」
「……ネルガルは信用ならない。万が一、千鳥を助け出せてもあいつらがウィスパードのことを知れば……」
「アカツキ会長の間は大丈夫だよ。あの人は、商売第一のような顔をしていて、その実旧ナデシコクルーで一番人間的だからね」
「だが……」
「そんなに気になるんなら彼女を助けた後、艦を降りて人目のないところに行けばいい。どうせそのつもりなんだろう」
「…………」
 じっと考え込む宗介。
「それに、ナデシコの最初の目的地は南の島だ。……五日前、ここの襲撃に合わせて戦闘光が確認された、地図に載ってない島の調査に行くそうだ」
「!」
 その意味するところを察して顔を上げる。
「消息が解らないだけなんだから、まだ希望はあるだろ。なにか手がかりもあるかも知れない」
「…………」
「な、宗介。また俺たちが力合わせれば、千鳥さんだって助け出せるさ」

「と、いうわけでぇー」
 ナデシコBブリッジ。
 艦長の定位置に付いているのはテンカワ・ユリカではなく、ホシノ・ルリでもなく、ネルガル会長アカツキ・ナガレその人だった。
「僕がこの度、ナデシコB艦長となったアカツキ・ナガレだ」
「なんでだ」
 とりあえずストレートにつっこむ統夜。
「何でって……君はテンカワ婦人をここに引っ張って来いって言うのか?」
「なんで会長のあんたがここにいるんだって聞いてるんだ」
「それだけ今回の事は重要な事態だってことさ。考えてもみたまえ。ミスリルの押さえてくれていた連中は巨大な軍需産業らしきフシがある。エステバリスの有用性にようやく軍のお偉いさん方が気づいてくれて、ミスリルと関係があったっぽいジオトロンもごたごたしてる。ここでアマルガムを押さえ切れれば、エステを軍の主力機として売り込むことも夢じゃあなくなるって寸法さ」
「強がるなよ、アカツキ。相良達の学校が襲撃されたと聞いて一番焦っていたのはお前だろう?」
 ネルガル兵器開発部所属となっていたダイゴウジ・ガイがにやりと笑いながら言う。
「……君たちに善人扱いされるのは心外だと、前にも言ったろう?」
「照れるなよ。そんなあんただから俺たちも頼れるんだ」
「……まぁいい。どっちみち僕はお飾りに過ぎないよ。実務はホシノ君に一任するし、戦闘になれば僕もエステででるしね」
「……それでもエステが二機にラフトクランズとあり合わせからくみ上げたM9しか無いじゃない」
 ぼそりとオペレーター席のルリがツッコミを入れる。そんなルリを体よく無視し、アカツキは指を向ける。
「ナデシコB、発進!目標、旧ミスリル西太平洋艦隊トゥアハー・デ・ダナンベースキャンプ、メリダ島!」
「了解。オモイカネ、サポートお願いね」
『了解!』
 必要最低限の人員構成での出港だった。かつての仲間の十分の一も集まらず、それでもそこに絶望はない。
「無事だと……せめてテスタロッサさん達が生きてるって手がかりが、あればいいな」
「ああ……そう、だな」
 キュ、と握り拳を作る。目に映るのは、直接二度見た銀髪の少年。
「紫雲」
「なんだ?」
「俺たちは、勝てるな?」
「……勝つさ」
 一つ大きくうなずく。
「テスタロッサさん達も見つけ出して、またみんなの力を合わせて、何度も地球を救った俺たちの手で、今度は千鳥さんを助け出そう」
 統夜の言葉に頷き、相良宗介はブリッジから青い空を見上げた。
 ここに来ることを決める前は、カシムに自分を戻そうかとも思っていた。あの戦闘マシーンでなければ彼女は救えないと思った。
 だが、彼らの助けがあれば大丈夫だ。アルを失っても、相良宗介のままでも、千鳥かなめを助け出すのに不都合はない。そう——
「問題ない(ノープロブレム)」
 だ。



◇  ◇  ◇



152 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/10/02(月) 05:11:10 brYF6URv
>>151
とりあえず、これだけの長さのSS、GJです。


153 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/10/02(月) 16:08:42 Fz+4cvnd
>>151乙
携帯からは読めないので、職場のパソでプリントしたよ
A4で12Pも在るとは思わんかった(^^;)

感想は後程

2007年06月05日
 ■  qWE+kSJn氏作SS「白金の闇騎士」&「異界の闇騎士」

ラミア・アクセルvsジョッシュ・ラキ
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/gamerobo/1153754185/l50


623 :D萌スレPart7->>895 :2006/10/16(月) 23:36:23 qWE+kSJn
リクエストされたラミアとアクセルの方のSS、ここに貼ってもいいかな……?



624 :それも名無しだ :2006/10/16(月) 23:45:13 i9qJKoMw
>>623
いいんじゃないかな、ここはラミアとアクセルも範疇だから



625 :D萌スレPart7->>895 :2006/10/16(月) 23:51:27 qWE+kSJn
では……
ラミアの口調とアクセルのアホっぷりが上手く再現できてるか些か不安ですが、ひとまずキス1。



◇  ◇  ◇


「ラーミ〜アちゃんっ」
 妙なイントネーションで呼び止められ、ラミア・ラヴレスが振り返ると、目下記憶喪失
中の元上司が駆け寄ってきていた。
「なんでございますでしょう?」
「いや、特に用って訳でもないけどさ、ただそっちも待機中でしょ?一緒にいたいな〜と
思って」

 記憶を失って再び彼女の目の前に現れたアクセル・アルマー。
 彼の話によると、いろいろと回っていたらしい。
 まず目覚めたのはオーストラリアで、エルアインスの中で傷だらけになっていたらしい。
そこをカリオンのスレイ・プレスティに拾われて、しばらく行動を共にした後、彼女が兄
の今際の際に立ち会うために訪れたテスラ研で、ベガリオンに乗り換えた彼女に置いてい
かれたりしていた。
 そのテスラ研では直接に面識が無かったため誰もが瞬時に思い出せず、アクセルという
名を思い出した者もあまりにも違いすぎるその印象に同じ名前の別人だろうと考えてしま
っていた。
 その後テスラ研でテストパイロットをやっていたが、今度は艦隊を率いて再び現れたエ
アロゲイターに対抗するためかつてのハガネ・ヒリュウ隊のように戦力を集結することに
なったスペース・ノア級五番艦に出向した際、同乗していたイルムガルド・カザハラ中尉
が当人なのではないかと危惧。その判断のために教導隊からラミアも出向させられ、彼の
見聞を行っていた。
「やっぱり、あいつか?」
「はい……こちらの世界のアクセル隊長であることもあり得まするが、そうなるとなんと
も……」
 艦長室にて、ラミアとイルムと、艦長のアーウィン・ドースティンがいた。
「だが、君の話では彼はオーストラリアに居たという。ホワイトスターが変貌したアイン
ストの一番大きい破片が落着したのもあの地だ。スレイ・プレスティとやらの証言も欲し
いが、状況証拠からすると間違いなく当人だろう」
「ですが、あの隊長は間違いなく記憶喪失なのですわ。それは疑いない」
「だから、なんだ」
 眼鏡を外し、アーウィンの肉眼がラミアを捉える。
「先の戦争中もキョウスケ・ナンブ中尉を、任務ではなく私怨でもってしつこくつけ回し
たという。記憶が戻れば同様のことになるのは目に見えているだろう」
「それは……」
「彼には艦を降りてもらって、しかるべき場所で監視付きで療養してもらうのが筋だろう」
「…………」
 そのことは、よくわかっている。それが一番確かなのだとも、だが……。
「まぁまぁ、お前の正論もよくわかるけどな」
 ぱんぱんと手をたたき、イルムがデスクのうえに手を乗せる。
「アクセルは軍属って訳じゃないんだぜ、そもそも俺たちに強要なんて出来ないよ」
「イルム、お前な……」
「それに元を正せばラミアだってシャドウミラーなんだ」
「それは知っている。だが、だからといって同列に出来るか」
 階級的には三つも差のある二人だが、オフィシャルの場でなければその交わす言葉は士
官学校時代と変わりない。どこぞのナンバー1(故人)と童顔艦長とは大違いだ。
 閑話。
 巡洋艦などでは副長のことをナンバー1と呼ぶ。
 閑話休題。
 そこでラミアが話し始める。
「私は、かつてのハガネ・ヒリュウ隊のメンバーと出会うまではただの人形でしたです。
ですが、あなた達との出会いによって私は人間になれた。……だから、今の記憶喪失の隊
長も変わることが出来ちゃったりすると、私は思っておられます」
 それをじっと見つめていた二人だが、先に動いたのはイルムだった。
「よし!それじゃあラミア。あいつの記憶が戻っても、仲間でいられるようにあいつを変
えて見せろ」
「おい、何を勝手に……」
「はい、変えてみせますでございます」
「…………」
 一人、しばらく頭を抱えていたアーウィンはようやく決を下した。
「わかったよ。“公然と”あいつの保護観察を任せる、ラミア少尉。……これでいいんだ
ろう」
「はい。任務、了解しましてございます……!」
 一礼して、艦長室を退出するラミア。
「はぁ……甘くなったんじゃないか、イルム」
「いやいや、どうにもリュウセイやらマサキやらの影響かな?」
「こういう時の冷徹さでは俺やリンでも敵わなかったお前がな……」
「よしてくれよ、そんな言い方。俺がまるで冷血漢みたいじゃないの」
「……よく言えるな、その口で。まあいい。これをミーナに渡して来い」
 ピラリと一枚の命令書を渡す。
「なんだ?……アクセルの監視任務を解く?ミーナだったのか、今まで」
「アクセル自身が言い出したんだ」
『やっぱ、俺みたいな身元不詳がぶらぶらしちゃいけませんよね〜。監視でも何でも付け
てくれてかまいませんよ。あ、でも出来れば可愛い女の子がいいな〜』
「……で、その場にいたミーナが立候補したわけだ」
「女の子?」
 眉をひそめるイルム。
「同じ事をアクセルも言って、グレースやパットも含めてあいつを締め上げてたな」
 みんな同い年である。
「ともかく、自由時間もそっちのけでアクセルを嗅ぎ回っていて、ジェスの奴が構っても
らえずますます自室の盆栽にのめり込むというあまりにも不健全な状況になっていたから
な……」
「苦労してんだね〜」
 同情するような顔を向ける。
「お前もとっとと階級を上げろ。そして俺を手伝え」
「いや〜、俺にはそんな佐官なんて無理無理」
「ナイメーヘンで最終的に主席だった貴様に言われたくはない。はっきり言う。未だに根
に持ってるからな!」
「やだな〜、ウィンちゃん。リンだってそんな話持ち出さないぜ?」
「あいつはお前にぞっこんだからな。そんな小さいことを気にする奴だと思われたくない
んだろう」
 冷ややかに見つめる。ちなみにリンは三位だった。
「本題にはいるが、あのアクセルという男、味方になるか?」
「さて……な。根本的な原因はわからんがあいつとキョウスケとの因縁て言うのはライバ
ルに近しいモノがある。俺とお前みたいな、な。それを上手く持ってくれば、こっちに引
き込むのも可能だろう」

「ミーナにおまかせ!ミーナにおまかせ!ミーナにおまかせ!おまかせ〜!」
 レクリエーションルームにて、アクセルと女パイロット連中がカラオケに興じていた。
「いや〜、流石お姉様方。いいお声をしとりますな〜」
 一応中の人は皆歌手デビューしている。
「それでは4番、不詳、もとい不肖アクセル、突撃ラブハート!俺の歌を聞け〜!」
「いえ〜い!」
「いよっ!サウンドフォース!」
 楽屋ネタ丸出しの、半ば宴会と化したそこにラミアが現れた。
「Let's go!突き抜けようぜ夢で見た夜明け〜まだまだ遠いけど〜」
 それに気づいたアクセルが歌いながら、ソファに座るようにジェスチャーした。
 歌い終えて、ラミアの隣にどっかと腰を下ろすアクセル。
「ラミアちゃん、どしたの?もしかして、俺に会いに来たとか?」
「はいです」
「マジで!?マンモスラッキー!嬉しいなぁ、君みたいな可愛い子に好かれるなんて……」
 その手を取ってぎゅっと握りしめるアクセル。
「お、なんだなんだ、カラオケか?俺も誘ってくれたっていいだろうに……」
 今度はイルムが入ってきて、曲を入れる。
「え〜、だってイルムの十八番って陰気な曲なんですもん〜」
「エゴイストの夜をバカにするな!」
 グレースの非難を受けながらミーナに命令書を突き出す。
「何これ……?え?」
「艦長からの命令。アクセルの監視はラミアが引き継ぐんだとさ」
「え〜!?そんな、つまんない!」
 本当につまらなさそうに口をとがらせる。
「えーと……つまりラミアちゃんが来たのはお仕事って事?」
「そうでございますことよ」
 見るからにがっくりと来ているアクセル。
「とほほ……なんだな、これが」

 カラオケも終わって、スクランブル要員に入っているアクセルはブリーフィングルーム
へ向かう。
「ああ……俺はこんなにもラミアちゃんのことを想っているのに……いやいや、一緒にい
てくれることをここは喜ぶべきか……」
 道中、やけに芝居がかった風にそんなことを苦悩しているアクセル。
 正直ラミアは何故自分でも彼を庇うような発言をしたか、わからなかった。かつてアラ
ドを庇ったときと同じく、感覚的にそうしなければならないと自意識が告げたからなのだ
が、そういえばそもそも何故自分はあの時も彼を庇ったのか結論を出していなかった。
 今一度あの時の状況を思い返してみる。
 あの時のアラドは、自らのパートナーである(あの時は知るよしも無かったが)ゼオラ
を庇って機体を破壊されていた。
 軍人としてみればあまりにも非効率的な行為だが、今の自分ならばわかる。それは必死
で大切な者を守ろうとする行為で、一概に褒められたモノではないがその心は間違いなく
尊ばれるべきものであるはずで……
 つまり、自分は彼に好感を抱いたのだろう。
 その方程式で言うとアクセルにも自分は好感を持っているのだろうか。
 ……そうかもしれない。かつての彼は傲慢で、他者を見下していたが、今の彼は人なつ
っこく、自分を三枚目にしながら他者との壁を積極的に取り払おうとしている。それは、
好感を持てることだ。
「それにしてもなー……監視が解かれないって事は……俺、もしかして敵だった?」
 昼食でも尋ねるかのように、ごく自然にそんなことを尋ねられた。
「……なぜ?」
 自分の表情が薄いことをラミアは初めて感謝したが、アクセルにはその間だけで十分だ
った。廊下の隅にしゃがみ込んで床にのの字を指で書く。
「だってさ、最初ミーナ姐さんが監視についてて、やってきたラミアちゃんにあれこれ聞
かれてから、そのラミアちゃんに監視されるって……これはラミアちゃんに関係の深い敵
だったのかなーとか思う訳なんだな、これが」
 たとえ記憶を失っていても隊長は隊長か、といささか見当違いな方で感心する。
「ま、一目会ったときからビビッと来てたんだな、これが。この娘とは何か関係があるぞ!
って……」
「たい……アクセルさん……」
 アクセルはやおら立ち上がり、ラミアの手を取ると
「そう!俺たちは戦場で銃を向け合うロミオとジュリエットだった!違う陣営に属してい
た俺たちは、惹かれ合いながらも互いの想いを告げることも叶わず、そして俺は行方不明
になり記憶喪失になって帰ってきた……」
 などと宣いながら反対側に大きく手を上げていた。どこの舞台俳優か。
「だが、記憶を失った今ならば何のしがらみも無く言える。好きだっ!ラミアちゃん!」
「…………」
 事態の展開が急すぎ、自身の人生経験では裁ききれない状況にただ口をぱくぱくしてい
る事しか出来ないラミアだった。
「……ウケなかった?」
 というかそれを冗談と取れるほどに成熟できていない。
「ま、いいや。どっちにしろ俺が敵だったのは、確定事項っぽいしな、これが」
 くるりと踵を返し、再びブリーフィング・ルームに向かう。
「正直、記憶が戻りたくないんだよね……たまにフッと思い出しそうになる時って、ラミ
アちゃんとも、姐さん達とも、この艦のみんなとも敵になっちゃいそうで……」
 それに追いつき、腕をとる。
「……だったら、記憶が戻った後も今のご自分を忘れないでいてくださいです……。そう
すれば、私たちとも敵対せずに、仲間でいられたりします」
「出来るかな?時たま、記憶喪失前の思考でモノを考えたりしてるっぽいんだけど……え
らい冷血な思考なんだな、これが」
「だめですわ」
 ぎゅっと、アクセルの腕を抱きしめる。
「その思考に捕らわれてはいけませんのです。そのアクセルさんに戻ってはだめでござい
ますわ」
「ラミアちゃん……」
 アクセルは感動していた。自分の腕に押しつけられた胸の張りの良さと弾力とに。
「わかったよ、ラミアちゃん。俺、君のためにもきっと自分を無くさない」
 ギャグ五割、助平根性四割、一割だけ本気でかっこつけながらアクセルは言った。
 が、それを真っ正面から受け止めてしまうのが今のラミアだ。
「私のために、でございますですか?」
「そうそう。男ってのは、好きな女の子のためなら何だって出来るんだな、これが」
 にぱっと笑いながら調子のいいことを言っているアクセル。そろそろ落としどころかと
オチに入る。
「んじゃあ、今の俺を忘れないように熱烈で衝撃的なチッスを……」
 ん〜、とわざとデフォルメされたタコのような口になって目をつむり、ラミアに近づけ
る。
 が、いつまで経ってもひっぱたかれる様子がない。疑問に思い、目を開けてみるときょ
とんとした顔のラミアがいた。
「チッス……キス、だったりしちゃったりしますか?」
「う……ああ、そうキスキス」
 しばらく考える仕草をした後、ラミアはアクセルの目をのぞき込むように尋ねた。
「キスすれば、記憶が戻っても今のアクセルさんでいてくれますのですか?それなら……」
 スッと、ラミアの方から目を閉じた。
(な、なに〜!?)
 アクセルとしては呆れて離れても、頬を引っぱたかれても、キャラ的に美味しいと思っ
ていたのだが、ここに来て予想外の方向に美味しくなって来ている。
(え?これなに!?どっきり!?)
 周囲を見回すが、誰も覗いている様子はない。
(こ、これは……据え膳食わぬは男の恥という奴か!)
 未だにしがみついたままだったラミアの手を離し、その剥き出しの肩に手を乗せてそっ
と顔を近づける。
 別に喜んで口づけするような相手じゃないぞ、なんてつまらん事を言っている奴が胸の
裡にいたが、そいつが時たま呼び起こされる過去の記憶だというのもわかっていたので、
平気で黙殺してプックリとしたラミアの唇に自身のそれを重ねた。
(うわー、うわー!)
 唇の感触が、もう、脳のシナプスが焼き切れようかというほどに脳内を駆けめぐる。
 そのまま貪り尽くしたい衝動に襲われたが、流石に初めてのキスから(本当は二度目だ
が)そんな事をしては幻滅されるだろうと、自制する。
(おちつけ……キスは許してくれたんだ。こっからこつこつと行けばムフフなところまで
直ぐだ直ぐ!変な気ぃ起こして嫌われたら目も当てられねえぞ……うわぁけどこの唇……
舐め尽くしてぇ……)
 かなり精神力を削りながらも、辛うじてアクセルは唇を離す。でっかいおっぱいにばか
り気を取られるが彼女の魅力はその唇だ!と妙なところで確信を抱きながら。
「……?」
 正直、ラミアとしてはこんな中途半端で終わったのが意外だった。そもそも、以前一度
だけキスをしたことのあるこの目の前の男は、訳ありとはいえ初めっから口の中をねぶり
つくしてきたのだ。
 まぁ、かつて一度経験したことだからこそ、その程度で変わらないでいることを確約し
てくれるのなら、と応じたのだが。
「これで、終わりなんでございますか?」
「う?ああ……」
「もっと……凄い事されるのかと思っちゃってたりいたしましたの」
 ラミアにいわれた途端、文字通り悶絶し、壁にぶつかり、ごろごろと転がるアクセル。
「あ、アクセルさん!?」
 突然の奇行に心底心配するラミア。
(ダメ、我慢できない!もうやる!ヒィヒィ鳴かせたるっ!)
 おかしな方向に決意を固め、完全に野獣の目となるアクセル。正にアクセル全開。
 飛びかからんとしたとき、鳴り響くエマージェンシーコール。
「敵かっ!」
 戦闘モードの表情に切り替わるラミア。
 抱きしめようとしたアクセルの腕は空を切り、そのまま壁に激突する。
「くっそー!なんつータイミングで来やがる!」
 ぶつけた鼻をこすりながら立ち上がる。
「アクセルさん、行きますです!」
「異星人野郎どもぉ……この俺のリビドーの発散を阻止させたこと、死ぬほど後悔させて
やるからなぁ!」
 下品なことを大声で怒鳴りながら格納庫へと走るアクセル。
「ヴァイサーガは馴染んで来ているのでしょうかしら?」
「おうよ!俺の手となり足となり!連中に地獄を見せてやるんだな、これが!」
 八つ当たり気味に、やる気満々で目の血走っているアクセルが叫んだ。
 ……が、この戦闘が両者の運命を変えることなど、アクセルもラミアも、知りようもな
かった。



◇  ◇  ◇



626 :それも名無しだ :2006/10/17(火) 00:12:09 PS3Xvwnm
GJ!!
いやキャラの絡ませ方がうまいなぁ、続きもワクテカしながら待ってます


628 :それも名無しだ :2006/10/17(火) 00:39:28 cz3itBIf
GJ!
F組が出てくるのも嬉しい
「別に喜んで口づけするような相手じゃないぞ」てのも悪セル隊長ぽい台詞だ



629 :それも名無しだ :2006/10/17(火) 07:30:49 ljnD4mOu
GJ! F主人公sも面白い
ラミア口説くときの、女性と見ると芝居がかった調子で口説かずには居られない、って感じがぴったりだった

だけど、記憶喪失時のアクセルはがっつく感じじゃなくて、内心凄く冷めてる印象だったかな
真剣にボケもするけど、口で軽い事言いながら頭の中ではかなり打算的に考えてる、ってシーン多かったし




_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/




633 :623 :2006/10/18(水) 13:29:04 Scb6FvCd
どうも、皆さんのたくさんのGJありがとうございました。

え〜、これはタイムスケジュール的にはD萌スレで出した助手ラキよりもそこそこ前の話なんですが……
皆さんの同意が得られれば、この二つをつなぐミッシング・リンクも書きたいと思います。



634 :それも名無しだ :2006/10/18(水) 14:36:03 8N1r+WFB
反対する理由はない。
やりたまえ。
というか、書いてください。
お願いします。



635 :それも名無しだ :2006/10/18(水) 16:03:45 4egI3eJG
どんとこい


639 :623 :2006/10/18(水) 23:25:41 Scb6FvCd
何だかアクラミよりもその前後の方がメインになってしまったような……
すみません。



◇  ◇  ◇


「リュウセイ……久しぶりだな。まだ生きていたか」
 最初は、些細な遭遇戦だった。
 哨戒中にエアロゲイターと接触したSRXチームの援護に母艦であるハガネ自体が乗り出し、向こうの逐次戦力投入を捌き続けた後に、あの漆黒の堕天使が現れたのだ。
「イ……イングラム教官……」
 目を見開いたリュウセイの前で、バッと緑色の翼が広がる。
「貴様達が無事でいるということは、アーレフは敗れたか」
「あ、アーレフ……?」
 聞き覚えのない名前に尋ね返す。
「俺のフルコピーのクローンだ。俺の全人格を写し、お前達の前から姿を消した後の俺の身代わりとしてジュデッカの枷の犠牲となってもらった……」
「それじゃあ少佐……あなたは……」
「……俺は、間違いなく本物のイングラム・プリスケンだ」
 ニヤリ、と凶悪な笑みを向ける。
「さぁ、失望させるなよ?ネビーイームを退け、星間連合の一派をも蹴散らした貴様達の力を、俺に見せてみろ……!」
「チッ……」
 キョウスケが小さく舌打ちした。
 あの黒い機体はおそらくR−GUNリヴァーレの改修型。とすれば、自ずとその力はあれ以上となる。
 SRXチームと、ATXチーム……かつてのハガネ・ヒリュウ隊でも中核を成した二小隊だが、数に差が有りすぎる。やれるのか……?
「スチール2より各機へ!ノア5が来た!以降は向こうの部隊と連携して、これに当たれ!」
 テツヤの声が響いて、それに伴うように機体の方が大型艦の接近を伝えた。
 スペース・ノア級5番艦、ヒヒイロカネ。
「うわお、ラミアちゃん達も来てくれたのね?」
 真っ先に飛び出す黒と桃色の二つの特機。その内の一つで、異変が起きた。
「なん……だ……?アルト……アイゼン……?」
「アクセルさん?」
 その異変に気づいたラミアが声をかける。
「ゲシュペンスト……マーク……スリー……」
「!?隊長、記憶が!?」
「キョウスケ……ナンブ!」
 ヴァイサーガのリミッターが解除され、アクセルは無意識にコードを入力する。
「コード……光、刃、閃……!」
「アサルト1より各機へ。仕切り直しだ。ヒヒイロカネの連中と……」
 部下達への命令を告げていたキョウスケだが、結局最後までは言えなかった。それよりも先に黒い影が走ったからだ。
「ベーオ……ウルフぅぅぅ!」
 撃ち込まれた剣戟を、バンカーで受ける。
「アクセル・アルマー!?」
「ちょ、ちょっとぉ……なんであのストーカーがヒヒイロカネから出てくるのよぉ?」
「う、うううう……」
 うめき声を上げながら、後ずさるヴァイサーガ。
「しかもあれ、レモンからラミアちゃんが餞別にもらった奴じゃない!」
「アクセル隊長!隊長!いけませんです!先程の約束、お忘れになっちゃんですか!」
 慌ててそれを追ってきたアンジュルグがヴァイサーガの前に立ちふさがる。
「うぐ……うう……俺は……俺はぁっ!」
 苦悶に満ちた表情で、もがく。
「アクセルさん!」
「シャドウミラーの……!」
「アクセル!」
「!……貴様に、呼び捨てされる謂われはないっ!W17っ!」
 その言に、ぐるんと視界が回るほどの衝撃を受け、一瞬完全に無防備になるアンジュルグ。
「くっ……こんな、甘い連中と一緒にいたとは……!」
 頭の中がぐるぐるしている。
 理性が告げる。とっとと剣を抜け、と。
 感情が訴える。バカなことはやめろ、仲間だろう、と。
「くそっ!俺まで感化されたか!俺は!俺はアクセル・アルマーだぞっ!」
 そんな言葉と共に、ヴァイサーガは飛び去った。
 その後、また後ろで戦闘が始まったようだが、自分には関係のないことと切り捨てた。

異界の闇騎士

 クロガネ艦内。
 この異世界ラ・ギアスに呼び出されて既に一ヶ月。シュウ・シラカワの協力要請を受けて同行し始め一週間。
 ユウキ・ジェグナンは最近ろくにお茶も楽しめていなかった。
 協力してくれれば、地上界へ帰してくれるというシュウ・シラカワと手を組んだ辺りから話は始まる。
(それではこれから自分はトロンベに乗り、シラカワ博士を手伝うことにしよう)
 艦長としてやってきたエルザムがそんなことを言って、それではクロガネの指揮は誰が執るのかという話になったとき、何故かエルザムは何でもないことのようにユウを指名してきた。
 もちろん、自分のように若輩で少尉程度の階級の者が艦を指揮するわけにはいかないと断ったのだが、それでは民主的に行こう、とクルー全員で多数決を取るとユウが指揮を執ることに大半の者が賛成であった。
 ……全員の創意であるし、自分が信頼されているのだからその信頼を裏切るわけにはいかないとしぶしぶ承諾したユウだったが、何故か今彼の目の前には戦闘指揮には関係のない艦の平常運営に関する書類が回ってきていた。
(まさか少佐、このままなし崩し的に今後も面倒ごとを全部俺に押しつけようとしてるんじゃないだろうな……)
 そんなことを勘ぐりたくもなってしまう。
 というか今から考えれば『民主的』な選考も端から仕組まれていたのではないかとも思えてくる。
「ユ〜ウっ」
 そんな彼の恋人でもあるカーラがひょっこりと訪れた。指には、祖母が彼女に渡したらしい指輪がマリッジ・リングの位置に填っている。
「カーラか……」
「あ、ちょっと……二人っきりの時は……」
「仕事中だからな?」
 言葉を遮って、そう釘を刺す。それに思いっきり不満そうな目つきで返す。
「仕方ないだろう。何故か艦の平常運航まで任されたんだ」
 文句ならレーツェルさんに言ってくれ、とも言えず、鬱屈とした気持ちで書類を片づけていく。こっちだって会いたかったんだ!という本音はかけらも見せずに。
「でもさ、シラカワ博士についていって大丈夫なのかな?」
 正直な疑問を口にするカーラ。
 先のゼ・バルマリィ帝国第7辺境観察軍との決戦の後に、敵対したシュウ・シラカワとその乗機の真なる姿ネオ・グランゾンとの戦いは、ラグナロクのコードで極秘資料扱いで保存されている。
「あの時の博士の言動や、俺たちの感じた彼にまとわりつく念。それを考えると、今のシラカワ博士はこちらが手出ししない限り、危害を加えるつもりはないと思いたいな……」
——すべての者はいつか滅ぶ……今度は私の番であった……それだけのことです……
 彼の死に様を思い出すと共に、あの時味わった不快感が胸中によみがえる。
 しかし、非常識なものだ。死者が蘇るとは。
「それじゃあさ、あの赤毛はどう思う?」
「赤毛?ああ……全く破廉恥な奴だ。目のやり場に困る。それに……?」
 カーラが、思いっきり不審な目を向けている。
「何だ?」
「あたしは男の方を言ってるんだけど?」
「あ?あ……ああ!」
 何の疑問もなくサフィーネの方を持ってきていた。
「ふーん……ユウはそんなに気になってるわけ。あっちの方が。ふーん……」
 いかん、不機嫌だ。
 仕事をこなしながら臍を曲げてしまった彼女への対応を苦慮しなければならなくなったユウ。受難である。

 クロガネの展望室。
 その赤毛の男が仏頂面で居た。
 あの時、戦闘空域を離れてからエアロゲイターと戦う傭兵まがいのことをしながら生きてきた。
 結局踏ん切りが付かず、戦いを挑むことも、彼らの仲間に身を投じることも出来ずに居たが、何の因果かこんなところに飛ばされてしまって、また惰性で戦い続けている。
 今の自分はもうかつてのようには動けない。
 士官学校に通っていた頃の自分が記憶を失った事により表に出てきた。それは若く、青臭く、一笑に付すモノでありながら、どうしようもなく自分の中でウエイトを占めていた。
 おまけにあの時のラミアの言葉が自分を嘖ませ続けている。
——……だったら、記憶が戻った後も今のご自分を忘れないでいてくださいです……。
——そのアクセルさんに戻ってはだめでございますわ
——キスすれば、記憶が戻っても今のアクセルさんでいてくれますのですか?
 キス、の感触もまだ残っている。
 二年前、あいつが作られたときとは、全く違う印象と感触の……

 二年前。向こう側。
 腐敗を続ける連邦上層部にシャドウミラーが反旗を翻すための準備期間。
 イスルギも、FI社も引き入れた。Wシリーズと呼ばれる、レモンの人造人間達も数が揃いだしていた。
「それで、Wナンバーの最終調整を手伝ってもらいたいの」
「……何を手伝えと言うんだ。お前の専門のことなど、俺は欠片も知らんぞ」
「そう考えこまなくっていいわ。ただ、W11,13,16,17は女の子として建造するから、その教育を手伝って欲しいだけ」
 そこで、ピンと来た。
「わざわざ俺に頼むことか。お前の作る人形共なら相手をしたがる奴はいくらでもいるだろう」
 ダッチワイフを相手にする気はないと、言外に込める。
「あら、だからこそよ。私の可愛い作品をゲスな男達の性欲処理に当てるわけにはいかないもの。その点、あなたなら作業と割り切るでしょう?」
「…………」
 それが、自分の男に向ける言葉か。
「そんな顔をしないの。信頼してるって事なんだから」

 一ヶ月間、愛のない性交渉をし続けた。
 互いに快楽を求めるのではなく、手法の説明という作業だ。
 そして最後にロールアウトしたW17。
 いい加減人形共への応対も手慣れてきて、自分の中で教習プログラムじみたものも組みあがっていた。
 ブザーが鳴り、入るのを許可すると、W17が入ってきた。
 この最後の一体で、苦痛の宴も終わりを告げる。
「W17,参りました」
「ああ……用件は理解しているな?」
「はい」
「言ってみろ」
 別に聞く必要性は無い。ただの戯れだ。
「今後の情勢において、敵地への潜入が必要となったときのための技能学習です」
「く、くくく……」
 技能学習、か。言い得て妙なものだ。
「何か現状の認識に不備がございましたか」
「いや、それでいい。それで合ってるさ……」
 喉の奥で低く笑いながら顔を上げる。
「……今日は手始めにキスの仕方を覚えてもらう」
「はい」
「試しにキスとは何か、言ってみろ」
 これも、戯れだ。
「相手の唇、頬、手などに唇を付け、愛情や尊敬の情を伝える行為です」
 能面の顔で、端的に応える。
「そうだ。だが、人形であるお前に情を伝える必要など無い……俺の教える技能だけを覚えていればいい」
「はい」
 W17の顎をつかみ、両頬を指で押し、口を開かせる。
「俺の舌を入れる。それに絡み付かせろ」
 返事を待たず、目前の人形の中を蹂躙するために口を付け、舌を押し込んだ。
「ん……」
 それが、W17の初めて交わしたキスだった。
 愛はなく、嫌悪感もなく、ただ、目前の男の一部を受け入れるという……
 当時は考えもしなかった。否、彼女自身も何も感じては居なかっただろう。だが……
 今、当時のことを彼女はどう思っているのだろう……人格を獲得した彼女は……やはり……嫌悪しているか、この俺を……

 ……目が、覚めた。
 いつの間にやら眠りこけていたらしい。昔の夢を見た。
「やっぱり……嫌ってるだろうな……」
 だから、記憶が戻らないようにと念を押していたか……。
 そう結論づけた事により、もう自分があの頃の自分には戻れないことを半ば確信めいて理解した。……多分、キョウスケにも以前のような憎悪は抱けまい。ラミアを人形と見下すことも出来まい……。
 そこでようやく全身の感覚も目覚め、気配を察した。
 展望室の入り口に立っている少年がこちらを見ていた。……ジョシュア・ラドクリフとか言ったか。自分たちと同じく、地上から愛機エール・シュヴァリアーと共に呼び出されていた。
「何だ?」
「この艦の連中に、あんたは私怨で戦う奴だって聞いた」
 室内に足を踏み入れながら彼は言った。
「その相手がこの艦の仲間なんだと言うことも、あんたがかつてこの艦を相手に戦ってたことも」
 ベンチに座っているアクセルの側に立つ。
「そんなあんたが、どうしてこんな所にいる?」
「出て行けとでも言う気か?」
「そうじゃない。その男の所へ戦いを挑むのならわかる。その仲間のこの艦に敵対するのならそれも頷ける。けど、あんたは何をやっている?」
 若い目が、こちらを見つめる。
「情けない男と思うか?だがな、一度記憶を失って、それまでの自分を全否定するような自我を持った後でそれを取り戻すのは、辛いんだ」
「……だが、あんたはここで燻っている。自分を否定したのなら、その男と歩けばいいのにこんな中途半端なところで燻って、それもシュウ・シラカワといういいわけを使ってだ。それは腹立たしい、歯がゆいよ」
 言いたいことを言ってくれるな、と頭をかく。
「もしメンツを気にしてるのなら馬鹿馬鹿しいことだと言ってやるよ。聞いた話によればあんたは何度も敗退を繰り返した挙げ句、こうしている。体面を気にするような立場か?」
「お前の言うことは分かるがな、ラドクリフ。割り切るにももう少し時間が欲しいのさ、こいつがな」
 ようやく今の自分が何者なのか知ったばかりなのだ。
 次にあいつらに会ったら、素直にその道を共に歩もう。……そう心に決めてみて、初めて自分の裡にある澱が綺麗さっぱり消え去ったのを感じた。
 結局、本心では求めていたのだろう。再び彼らと共にあることを。
 苦笑して、ベンチから立ち上がって、その事に気づかせてくれた少年と肩を組む。記憶を失っていたときのように。果てしなく遠く、限りなく近い世界の過去に友としていたように。
「……思ったよりも馴れ馴れしいな、あんたは」
「感謝してるんだよジョシュア。お前の一押しで今の俺が何をすべきかが分かった気がするからな」
 過去の自分に無理に近づこうとするのは止めよう。記憶を失っていた時の奔放さで生きていこう。そうすれば、きっと、向こう側よりはずっと上手くいくはずだ……。



◇  ◇  ◇



640 :それも名無しだ :2006/10/18(水) 23:46:27 Egw0/mCi
GJ!!
個人的にイングラムが蛇足な気がしたけど、EX等のネタの絡ませ方は面白かったです
続き楽しみしています


2007年05月28日
 ■  「喫茶TIME DIVER 〜感動のバースデー〜」

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その157
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1180188755/l50


前回の続き



61 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/05/27(日) 02:12:58 tPFe2q8J
この誕生日な流れに感化されてついこんな時間までSSを書いてしまった……
え〜い!!喫茶TIME DIVERシリーズ最新作だ!!読んでけ泥棒!!
皆の者よ。後は頼んだ……ぞ(ZZZ………




◇  ◇  ◇

もはや説明が不要となってしまった程の人気店になった喫茶TIME DIVER。
今はもう夜遅く、普段なら閉店時間であるのだが何故か店内は明るかった。
店内に残っているのはアイビスを除いた店員&店長と何故かツグミ、スレイ、レーツェル、ユウが。
「連日手伝ってもらってすまないな」
「いいのよ別に。こっちだってお店貸して貰うんだから」
「この飾り付け、なかなか綺麗だな。誰が作ったんだ?」
「俺がムジカに教わりながら作った。飾り付けという物を作るのは大変だな。すぐ形が崩れてしまう」
「それはフォルカさんの力が強すぎるからだよ!!でも崩れなかったのはボクのより上手だったけど」
「フー。そこはこうだ」
「地球の飾り付けという物は意外と難しいですわね……副店長がこういう作業が上手なのも意外ですわ」
そう言いながら何かに使う飾り付けを作るのは久保、ツグミ、スレイ、フォルカ、ムジカ、フー、背後霊の6人。

そして厨房では残りのトウマ、レーツェル、ユウが何やら料理の下準備を。
「トウマ、なかなか筋が良いな」
「無数のバイトの経験は伊達じゃないって事さ。流石にレーツェルには負けるけどな」
「それは当たり前だろう」
「ぐっ!!ユウ、ハッキリ言うなよな…………」

何故このような事態になっているのか?そして何故アイビスはハブられているのか?その疑問は翌日に解消される事になった。

翌日。喫茶TIME DIVER開店10分前。
「ムジカ。おい、ムジカ……起きろ」
「ふにゃ?フォルカさん…………おはよう〜」
休憩室で寝ていた所をフォルカに揺り起こされるムジカ。どうやら泊り込みで何かの準備をしていたようだ。
「ムジカ。寝ぼけている場合ではないぞ。あと10分で開店時間だ」
「えええええええええ!?い、急いで着替えて朝ごはん食べて…………わーっ!!わーっ!!わーっ!!」
「おはようございま…………って。ムジカ?そんなに慌ててどうしたの?」
思いっきりテンパっているムジカ。そしてこのタイミングでアイビスが。
「あ!!アイビスさんおはよう。って挨拶している場合じゃなぁぁぁぁぁぁぁぁい!!」
机の上においてあった朝食(モーニングセットA)を急いで口に入れ、休憩室の横の洗面所で着替えと歯磨きと髪のセットを行なうムジカ。

「あ〜朝から疲れちゃったよ…………」
「だから言っただろう。無理をせず早く寝ろと」
そう言っているフォルカの目の下には薄〜〜〜〜〜〜〜〜いクマが出来ていた。
「一体何があったの?ムジカはここで寝ちゃってたし、フォルカさんには薄いけどクマが出来ているし。店長やフーさんも眠そうだったけど?」
「ああ。少し泊り込みで仕事をしていてな」
ここは誰もが正直な事を言ってしまいそうと思っていたフォルカが何と誤魔化した。どうやら対策としてムジカが教えたようである。
「へーっ。大変だったんだね。でもムジカもフォルカさんも無理しないでよ」
「精進する」
「大丈夫だって。ほら、2人とも急ごう!!」
一番遅れていたはずのムジカが何故か先頭に立ち、その後を着いて行く事になったフォルカとアイビス。

「お、ムジカやっと起きたか。遅いぞ」
「すみませ〜ん」
店内に入るなりトウマに怒られるムジカ。厨房に立つトウマは唯一の三徹なのだが、変わった様子は無い。
これも長いバイト経験で培われた能力なのだろうか…………

そしてあっという間に夕方に。今日も喫茶TIME DIVERは大入りだった。
「あ〜疲れた……今日もお客さん多かったですね」
「そうだったね。最近お客さん多いよね?」
「そうですわね。確か…………アイビスが入ってから増えてませんか?」
「それもそうだな。」
唯一の人がいなくなる時間の夕方時。ムジカ、アイビス、フー、フォルカは店内のイスに腰掛けていた。
すると、店の奥から店長こと久保がやってきた。
「アイビス。今日はもう上がって良いぞ」
「えっ!?どうしてですか?」
いきなりの上がり許可に驚くアイビス。確かに驚くだろう。
「いや、背後霊から今日はアイビスは予定があると聞いてな」
「ええ。確かに今日はイルイとの約束があるんですけど。でも、あたしだけ良いんですか?」
「大丈夫だ。それに用事があるのなら相手を待たせるのは悪いからな。行って来い」
「あ、ありがとうございます!!」
滅多に見せない本当の笑顔で言う店長。この笑顔と言葉に後押しされたアイビスは思わず直角お辞儀。

「では、また明日!!」
「またな」
「また明日〜」
「気をつけて」
私服に着替え帰るアイビスを見送るフォルカ、ムジカ、フー。
副店長が窓からアイビスが十分離れたのを確認し、店長に合図を送る。
すると、店長のエプロンのポケットから通信機が出てきた。
「こちらタイムダイバー2。ドラゴン2、スティール2、アイアン3、ストーク1、プラチナム1。各艦、状況を報告してもらいたい」
「こちらドラゴン2。ユウキ少尉はあと2分でそちらに到着するそうです」
「こちらスティール2代理の統夜です。スレイさんとツグミさんももうそろそろ着くそうです」
「こちらアイアン3代理のSRX2。兄さんはすでにそちらに向かっている」
「こちらストーク1。各界の著名人への連絡もバッチリだ」
「こちらプラチナム1。問題は無い」
「タイムダイバー2、了解した」
店長が通信を入れたのは何とハガネ、ヒリュウ改、クロガネ、ヴァルストーク、シロガネの各戦艦。
しかもヴァルストークの艦長ブレスは著名人への連絡を取ってあり、何故かハガネ、クロガネは代理が。

そして2分後。ほぼ同タイミングでユウとレーツェルとスレイとツグミが到着した。
「アイビスの引きつけはイルイに任せているから問題は無いぞ」
「その内に飾り付けを済ませて、みんなを呼ばないとね」
「料理も仕上げをするばいい程度まで仕上がっている」
「紅茶葉も持ってきた。好みに合わせて様々な紅茶葉を持ってきたぞ」
「よし。では仕上げてしまおう」
そう、昨日用意していた物はすべてアイビスの誕生日パーティーに使うための物であったのだ。
無論アイビスには内緒の極秘作業である。

「飾り付け、終わった〜」
「こっちも料理仕上がったぞ!!」
「店長、各艦への連絡完了しましたわ」
「これで後はパーティーの開始を待つだけだな」
30分に渡る飾り付け作業が終わり、料理も完成した。後は各艦のメンバーと主役の登場を待つだけである。
連絡を受けた各艦のメンバー、南極一家が来店し、各界の著名人からの祝いの電報が次々と舞い込んで来る。
「さて、最後の仕上げだ。こちらタイムダイバー2。ガンエデン1、アイビスを連れてこちらまで来てもらいたい」
「ガンエデン1、了解しました」
最後の仕上げにガンエデン1ことイルイに通信を入れる店長。いつの間にか店長服から私服へ着替えていた。

同時刻、イルイ側
「イルイ、今の電話って誰だったの?」
ちなみに、イルイとの約束とはイルイとのお出かけであった。幸せの余り顔が緩みっぱなしのアイビス。
「クォヴレーからだったの」
「クォヴレーから?何だったの?」
「えっと……昨日、お父さん達とお店に行った時に髪飾りを落としちゃって、預かってるから取りに来てくれないかって」
イルイは電話の内容こそ誤魔化してはいたが、髪飾りを落としていたのは事実である。ただし、この作戦のためでわざとではあったが。
「それじゃあ、早く行かなきゃ!!」
イルイの手を掴み、急いで喫茶TIME DIVERへ急ぐアイビス。

アイビスの素晴らしい猛ダッシュで店には2分弱で到着した。
「店長…………じゃなくてクォヴレー。イルイの髪ざ…………『パ〜ン!!パンパン!!』
店内に駆け込んだアイビス。だが、そのセリフは入った瞬間に鳴ったクラッカーの音で中断された。
「へっ…………?ど、どういうこと?」
いきなりのクラッカーと仲間達の顔を見て、目を白黒させるアイビス。
「どうもこうもないぞ。アイビス」
「す、スレイ?」
「アイビス、今日はあなたの誕生日でしょう?」
「う、うん。そうだけど?」
「みんながね、アイビスを驚かせようってドッキリ誕生日パーティーを考えたの。それで私はアイビスをここに連れて行く係りだったの。アイビス、ウソついてゴメンね」
「み、みんな…………」
スレイ、ツグミ、イルイの説明で状況を飲み込んだアイビス。目にはキラリと光る涙が。

「主役はこっちの席だ」
フォルカに連れられて、豪華な主役へと座らされるアイビス。すぐにムジカ、フー、久保がやってくる・
「レーツェルさんとトウマさんが作った料理やジョシュアさんや統夜さんも一緒に作ったデザートもあるよ!!」
「皆様からのプレゼントもたくさんありますわ」
「各界の著名人から祝電が来ているぞ。敵側ではシャア・アズナブルにギルバート・デュランダルにダイ・バザール大帝王に草壁春樹に幽羅帝…………
味方側では相羽タカヤに相良宗助に獅子王凱にテンカワ・アキトにアムロ・レイに伊佐未勇に秋津マサトに…………とにかく数え切れないな」
「きょ、去年より多い!?」
ダンボール箱2つ分の祝電を持ってくる久保。これにはアイビスも驚く。

「さて、主役も登場したし、祝いの言葉と乾杯と行こうか。あ、司会進行はこの僕、孫光龍が勤めさせてもらうよ」
いきなり出てきたのは孫光龍。再び驚くアイビス。
「な、何でアンタがここにいるの!?」
「いやぁ、クォヴレーに司会進行を頼まれてね。まぁ、細かい事は気にしない、気にしない」
「気にしたいけど……今日はいいかな?」
「そうそう。そうするのがいいよ。ではみなさん飲み物行き渡ったかな?」
返事の変わりにジュース、お酒、紅茶等個人の好きな飲み物の入ったコップを上に出す全員。
「では、大きな声でいこうか。せーのっ!!」

『アイビス、誕生日おめでとう!!』
「みんな…………ありがとう!!」
このハチャメチャなパーティは夜遅く、日付が変わる頃まで続いたそうな。



◇  ◇  ◇

2007年05月22日
 ■  4iuN7/AR氏作SS「オリジェネック天国〜神保町周辺〜」

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その155
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1179357741/l50


807 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/05/21(月) 09:30:47 j2+S8KLW
統夜「ふぁ・・・・みんな、おはよう」

メルア「統夜さん、おはようございます」
テニア「統夜っ、おはよう!!!」
カティア「ハッハッハッハッ」

統夜「ん〜・・・・カティア、朝から発情してるんじゃな・・・・・・・い」

未知との遭遇 by黒い兄氏

カティア「ハッハッハッハッ」

統夜「・・・・・・・・。」

メルア「え・・・・えと・・・・」
テニア「朝起きたら・・・・・・こうなってたんだよっ」

統夜「・・・・・・・・・・・・・・・なんで?」


AC見てたらこんなの思い浮かんだ

授業中なのに爆笑しちまったwwww



808 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/05/21(月) 09:47:35 gxJ34Vrl
807を見て俺は、「そこまでして会社を休みたいか八神くん」というのが浮かんだ。



819 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/05/21(月) 15:00:41 NFBemmrA
>>808
課長補佐代理心得、だっけか




_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/



894 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/05/21(月) 22:48:44 4iuN7/AR
>>807 を続けてみた。

 オチに続ける前の展開があさっての方向に爆走して書き上げるのが遅くなった。
 第1段落の次は212行目まで飛ばしても多分繋がる…と思う。
 あと、モデルになった食べ物屋さんは本来日曜休み&追加メニューは13:00
以降の提供なので、そこはご容赦。




◇  ◇  ◇


「んな訳あるか!」
 カティア本人の如く、既にテニア&メルアを説教する気まんまんの統夜。
説教に対するモチベーションが「おやびーん」と喋るオットセイの如く盛り上
がりまくっている状態だ。
 それを察して、テニアとメルアが散歩のお預けを喰らっている仔犬の顔をし
ながらこう反論する。
「本当だよー!」
「そうですー、ひどいです統夜さんー!」
 で、この状況下、カティア2号(仮名)こと、そこら辺にいた柴犬はと言うと。
「あそぶ? あそぶ?」
 と顔に書いて尻尾を全力で振り回している。その様子に毒気を抜かれた統夜
は、いくばくか冷静さを取り戻し、こめかみに掌を当てながらこう呟いた。
「…とりあえず、状況を整理しよう。昨日お前ら、どこに遊びに行った? 確
か俺がバイトって事で、3人で買い物に行くっていう予定だったよな?」
 その問いに対して、テニアとメルアは昨日一日あった事を仔細に説明し始めた。


「明日は新宿食い倒れツア—!!」
「却下」
「なんで—!?」
「お財布の中身を考えなさい。月末まであと何日あると思ってるの?」
 カティアの完璧なまでの正論に対し、テニアは不満げな顔でこう応じる。
「ぐうー」
「何それ」
「ぐうの音」
「なるほど。つまりあなたには反論の余地があるのね? ほら、言ってみなさい?」
「ございません」
 綺麗な土下座で、テニアはそう答えるしかなかった。その姿を見て、メルア
はカティアを説得するための材料が揃ったプランを必死に考える。
 あまりお金をかけずに、近場で、楽しめる場所。
 そして結論。
「吉祥寺に行って『小ざさ』の羊羹を」
「却下」
「どうしてですかー?」
「行列だけで半日潰しちゃうのは、もったいないでしょう?」
 カティアのその説得に、またまたテニアが口を挟む。
「うっそだー。アニメイトが込む前にさっさと買い物済ませたいだけじゃーん」
 直後、カティアがごっつええ笑顔でテニアにこう告げる。
「何か言った?」
 狩られる。本気と書いてマジで。
 そう判断したテニアは、
「あははー、何でもないでございますのことよー」
 即座に笑って誤魔化した。
 そしてその惨状を目の当たりにしながらも、メルアが状況の打開を図ってこ
う呟く。
「それじゃあ、カティアちゃんは何処に行きたいんですか?」
「秋h」
「却下!!」
「どうしてよ」
「それ、カティアちゃんだけ楽しいじゃん!」
「チュロスはもう飽きましたー」
「それに美味しいお店は高いし安い店は込んでるし量は少ないし」
 実際は統夜に以前連れて行ってもらった万世ビルのカツ屋がご飯&キャベツ
おかわり自由なのだが、アキバに行きたくない一心のテニアは、あえてカティ
アにその事を伝えずにおいた。そして案の定その策は当たり、
「うーん…」
 と唸ったっきり、カティアは黙り込んでしまう。
「ね? ほら、何か別のプランを考えようよー」
「そうね。あまりお金がかからなくて」
「ごはんが大盛りで安くて」
「お菓子が美味しくて」

 5分経過。

「どこよ、それ」
「面倒だから吉祥寺にしちゃう?」
「わーい、『小ざさ』ー」
「行きません」
「えー?」
 かくして完全に状況が手詰まりになりつつある中、テニアが半ば自棄になり
ながら愚痴る。
「うーん、あんまり今まで行った事のない街って、なかったかなー」
「…あ」
「どうしたんですか? カティアちゃん」
「そうだ。何時だったかアキバに行った時、統夜が『たまには一駅前で降りさ
せてくれよ…』って言ってた事あったわ」
「えーと、一駅前って?」
「御茶ノ水ですかー?」
「何かあったっけ、あんなとこ」
「ちょっと待って。確かここの本棚に…」
 そう呟きながら、居間の本棚をまさぐるカティア。そして数分後。
「あった! これよ!」
 とカティアが得意満面で取り出したのは、かつての高名な文学者の筆名をそ
のまま雑誌の名前にした、東京レトロ趣味の雑誌である。この雑誌、毎回違う
地域にスポットを当てて取り上げるため、十分にタウンガイドとしてもその用
を為す。そしてこの家にあるその雑誌はたった一冊。その本がガイドする街の
名前は、
「神田、神保町、御茶ノ水」
「あ!」
「これですねー」
 そしてその雑誌を数ページめくった結果。
「ここね」
「ここしかないよー!」
「美味しそうですねー」
 ようやく3者の意見が合致したのであった。


 という訳で、日曜日の御茶ノ水駅前、午前10時半。
「にしても」
「人生ナメてる街よねー、ここって」
「日曜日はほとんどのお店が11時からって一体…」
 3人はそう愚痴りつつも、道沿いの両脇に楽器屋が並んでいる坂の頂点から
、明大のリバティ・タワーの前を通り抜けると、スキーショップが出はじめる。
その辺りから食べ物屋も増え始め、さらに古本屋が間に挟まり始める。そのま
ま表通りに沿って行けば、そこが本の街・神保町の表玄関となるのだが。
「おなかへったー!」
 案の定と言うべきか、テニアのその一言で微妙に針路変更。明大前を過ぎて
セブンイレブンの入っているビルの脇から裏通りに入っていくと、そこは昭和
の昔から、いやあるいはそのずっと前から学生の腹を満たし続けて来たB級グ
ルメの天国のような場所になっている。ちなみに、テニアさんのこの日のター
ゲットはというと。
「えーとね、このちょっと先に、ごはん大盛りを頼むと泣いて土下座して謝り
たくなるくらい盛ってくれるとんかつ屋さんと、天ぷら屋さんがある筈なんだ
けど…」
「どっちにするの?」
「両方!」
 案の定、とでも言うべきテニアのリアクションに、カティアは冷静きわまり
ない口調でこう応じる。
「駄目。片方」
「けちー」
「まあまあ…」
 そんな事を言い合いながら、微妙に古ぼけたビルが立ち並ぶ裏通りを歩いて
いるうちに。
「ごま油の臭いがする…」
「あら、いい臭いね」
「この近くなんじゃないですかー?」
 江戸前の天ぷらは、白身の淡白な素材にコクと風味を足して味わう。だから
ごま油の風味をきっちりと効かせるのが肝だ。とは言え、そういった天ぷらは
高級店の物と相場が決まっており、それこそ統夜が居たら3日間は頭を抱え続
けるるような金額が吹っ飛ぶのが当然というものなのだが。
 ここは学生の街。それでは商売が成り立たない。素材は「そこそこ」ではあ
るが、ごま油の効いた風味、からりと揚がった衣、何より熱々の炊きたてご飯。
それを、漱石一枚でおつりを付けて出してくれる店があるのだ。
「あ、ここだここ!」
 そう絶叫したテニアが辿り着いた店は、無造作に開け放たれた入り口に藍の
暖簾がかけられ、その奥には掃除の行き届いた清潔な白木のテーブルが見える。
気取った訳ではなく、力んだ訳でもなく、そこはかとなく粋な空気。
 それを観て、メルアとカティアが思わず呟いた。
「わあー」
「なんか、『江戸』って感じ…」
 もっとも、その感慨も、
「おじさーん! あたし、天ぷら定食大盛り、あなごにおしんこも付けてー!」
 という絶叫によってある意味あっさりと打ち砕かれてしまったのであるが。


 昼食は、確かに美味かった。値段からすれば十分に水準を上回っている味で
あった。もっともカティアとメルアにはやや量が多く、それを気遣った店の人
が少なめに盛ったご飯も食べるのが辛かった、というのが正直な所ではあるの
だが。
 そういう訳で、「カティアにとっての」本筋である本屋巡りに入る前に、も
う一休み。地下鉄神保町駅の近くのまたまた裏通り、老舗喫茶店の立ち並ぶ一角。
その中でも一番の有名な老舗に、彼女らはいた。
「おいしいですー」
「うん、なんか懐かしい感じの味」
 そう論評しながら、メルアとテニアが飲んでいるのは、例の雑誌にも載って
いたいちごジュースとバナナジュース。メルアはそれにアイスクリームも付け
ている。一方その向かいに座っているカティアは、目の前のブレンドコーヒー
よりも、壁に書き込まれた白いマジックの落書きの数々を興味深く見つめている。
「歴史ね…歴史を感じるわ」
 その呟きに、メルアとテニアはこう応じる。
「おー、文学少女だ、文学少女がいる」
「カティアちゃん、頭良さそうに見えますー」
 その論評を受けて、カティアは決して本気ではないとわかる程度に眉をひそ
めつつ、さりげなく反論を試みる。
「あんたら、人をアホの子みたいに言わないの」
「あはは…」
「でも、なんか気に入っちゃったわ、この街。たまに来ようかしら」
「うん、ごはんもまだまだ美味しそうなお店がたくさんあるし! カレーでし
ょ、洋食屋さんでしょ、白山通りの方を登って行くと、ラーメン屋さんもレベ
ル高いみたいだし」
「甘味処もまだまだ沢山あるみたいですし」
 理由は三者三様であるが、それぞれにこの街には感じるところがあったようだ。
当然と言えば当然であろう。そもそもこの界隈、大学と専門学校とが馬鹿のよう
に密集している土地柄だ。学生の飽くなき知識欲をはるかな昔から満たし続け、
さらにその上に新たな地層を重ね続けて、新たな学生たちはもちろんの事、か
つて学生であった者たちの思い出も知識欲も決して裏切らない、不思議な魅力
のある街なのだ。
「さあ、いよいよ本筋、本屋さん巡りに行くわよ」
「おー、カティアちゃん気合入ってるー」
「頑張ってー」

 
 喫茶店を出ると、彼女らは交差点を渡り、「古書センタービル」に向かう。
そのビルの最上階、古いアナログレコードの専門店を皮切りに(成人男子向け
の書店は当然パスしながら)、古い映画のパンフレット、戦前のプロマイド、
昭和はもちろん、明治・大正のものまでが揃った児童書の山…と言った、普通
の古本屋ではありえないラインナップを眺めながら、カティアのペースに合わ
せてゆっくりとビルを降りてゆく。
 もっとも当のカティアも、アキバに行った時のように脊髄反射的に散財する
事はない。ただ、眺めているだけでも何か幸せな気分になる。統夜の言ってい
た言葉の意味を、しみじみと感じ取っていた。
 そして2階。この古書センタービルのある意味象徴である、漫画古書専門店。
それに気づいて、テニアとメルアが苦笑いとともにこう呟く。 
「えーと、大河の穴みたいな店なのかな」
「私、パスしてもいいですかー?」
「ちょっと待って…違うわ
「?」
「この店、アキバの店とは明白にベクトルが違うわ」
 そのカティアの言葉に従って、テニアとメルアが目にしたのは。
「わ!」
「昭和30年代の貸本漫画の復刻です」
「こっちには黄金期のガロのバックナンバーがみっちり…」
「うわっ、統夜の小さい頃の漫画雑誌のバックナンバーまで、たっくさん」
 そして店内の様子を眺めてみると、誰もがとうてい漫画専門店に来る客と思
えないような気難しい顔をして真剣に本を選んでいる。
「恐ろしい街ね、神保町…」


「あー、楽しかった!」
「また来ましょうねー」
「そうね」
 そう言い合いながら、交差点を渡り、御茶ノ水に戻ろうとする3人。一応こ
の角からなら神保町駅から地下鉄に乗って、あるいは白山通りを登って水道橋
経由…という選択肢もあるのだが、念の為彼女らは来た道を戻ろうとしていた。
 の、だが。
 それが悲劇の始まりだったのだ。
「ちょっと待って」
「?」
「この一軒だけ! この一軒だけ寄らせて!」
 カティアが両手を合わせて、テニアとメルアを拝み倒した。そしてそれを受
けて彼女らが見上げたその先にあったのは、黄色いビルに入った小さな本屋。
そして、その店から。
『あ、あやしいーっ!!』
『この本屋、アキバと同じ空気ですー!!』
 テニアとメルアは全力でウォーニングを受けていた。しかしそれはつまり、
「普段のカティア」にとっては望むべき空気でもある。
 まずい。危険だ。
 そう悟った二人は、カティアにこう応じた。
「う、うん」
「頑張ってねー、カティアちゃーん」
「あたしら、ここで待ってるから」
「そう? 悪いわね。じゃ、行って来るわ!」
 その言葉を残して、勇躍黄色いビルに特攻をかけるカティア。
 だがしかし。
「きゃああああ! 狭い狭い狭い苦しいって、こっち!? 降ります降ります
降ります嫌あああああ—っ!」
 という大絶叫を残して店内に吸い込まれて行ったかと思うと、そのまま反応
が途切れてしまった。
「か、カティアちゃん!?」
「うそ—!?」
 余りの出来事に、そう絶叫しながら店の入り口付近に近寄るテニアとメルア。
しかし、である。
 その店内には一箇所しかレジがなく、うなぎの寝床のような縦長の本屋の通路
は全てレジ待ちのお客さんで埋まっている。かつ、男性向けの本を持っている。
そして、入り口の真正面に当たるところの天井近くの壁に、
『女性向け 地下』
 という案内が書いてあった。
「えーと、つまり」
「カティアちゃんは入ったはいいけれど、この大行列に巻き込まれて」
「なんとか頑張って地下に向かったはいいけど」
「足でも踏み外して下まで落っこちた上」
「無事だったとしても、この行列が途切れるまで上がって来れない…」
 その言葉を最後に、テニアとメルアは瞬時にリスク計算を開始し、そして次に
取るべき行動を決定した。
「カティアちゃん!」
「グッドラック!」
 そう叫んで、その場から逃げ出したのだ。


 そして千川駅前。
「ど、どうしましょう…勢いでカティアちゃんを置き去りにしちゃいました…」
「なんとかなるっって! カティアちゃんなら自力で帰ってこられるよ!」
「でも、ひょっとしたらあの本屋さんじゃ…」
「うっ…」
「しかも、統夜さんが帰って来てもカティアちゃん戻ってこられなかったら」
「…………」
 かくして、蛭子漫画の登場人物のような嫌な汗を吹き出しながらその場に固
まるテニアとメルア。
「誤魔化す方法…誤魔化す方法…」
「なんとかしないと…」
 そんな事を呟いている両者の目の前で。
『何してんの? ごはんくれるの?』
 とでも言いたげな表情をして、利発そうな柴犬様がお座りしていた。
「カティアちゃんだ」
「?」
「メルア! この子はカティアちゃんなのよ! たった今から、この子はカテ
ィアちゃんなのよ! 面影あるわよね! ねっ!? ねっ!」
「そ、そう言われれば、そうですねー。この子がカティアちゃんなのねー」

「という訳で」
「つまりお前らのせいか」
「あはは、そんなに誉めないでよ」
「誉めてない!」
 その絶叫の後、統夜は滅多に無い剣幕で大説教を開始する。
「お前ら何考えてるんだ! だいたいいくら危険だと思ったからって見捨てる
ってのはどういう了見だ! 普段どれだけカティアに世話になってるか判って
るのか!? しかもまだカティア、帰って来てないんだぞ!?」
「わん」
「頼む…カティア2号、黙っててくれ…」
「こうなったら、この子がカティアちゃんっていう当初の方針を」
「貫かん!」
「当然ね」
「だってカティアちゃんは醜の御盾として立派に散って」
「だ・れ・が・し・ん・で・る・ん・で・す・っ・て?」
「…え?」
「はい?」
 その言葉とともに、蛭子漫画の顔でテニアとメルアが振り向いた先には。

 鬼の形相のカティアが、ぼろぼろの服を着て、ついでに紙袋にみっちりと
ベーコンでレタスな本を詰め込んで立っていた。

「あは、あはははは…」
「カティアちゃん、生きてたんですね、良かったですー」
 乾いた笑いと変な汗のブレンドによる、被告人たちのまるで真実味のないそ
の言葉を受け、裁判官カティアは重々しく判決を告げる。
「おしおきよ。月に代わってね…」
 そして、弁護人統夜も。
「今回は止める理由もないな」
「そんなぁー!!」
「ひどいです二人ともー」
「だまらっしゃい!!」


 ほんでもって。
「テニア2号ー、メルア2号ー、ご飯だぞー」
 統夜のその言葉を耳にして、テニア2号(ウエルシュ・コーギー)とメルア
2号(ゴールデン・レトリバー)がえさに駆け寄る。さらに。
「あ、カティア2号も」
「わん」
 カティア2号もなし崩しに紫雲家に居ついていた。
「よし、じゃあ俺達もご飯にしようか、カティア」
「はい」
「ところでカティア、そろそろテニア1号とメルア1号を許してやっても…」
 その言葉を途中で遮り、ものごっつええ笑顔でカティアは言った。
「まだ駄目です。もっと本気で反省するまであの子たちは許しません」
「…はい」


 そしてその頃、テニア1号とメルア1号はと言うと。
「ごはんー!!」
「おやつー!!」
「やかましい! きりきり修行せんか!」
 食べてはいけない禅寺修行一週間の旅に無料招待されていた。


 本日の教訓。
 因果応報。そして。

 泣く子と地頭と「姉」には勝てない。




◇  ◇  ◇



895 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/05/21(月) 22:52:55 P6HRult0
>>894
投下乙&2号にワロタw

>あと、モデルになった食べ物屋さんは本来日曜休み&追加メニューは13:00
>以降の提供なので、そこはご容赦。
ナイスなチョイスだったのでプニってやるw
ウリウリ (=´ω`)σ)*`Д´)ノ



898 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/05/21(月) 23:03:46 flrIijUv
>>894
某S予備校生&某B区在住なので、御茶ノ水ネイティブな俺が来ましたよ。

ビレッジでバンガードな遊べる本屋の本店はおすすめだが、それはそうとGJ


915 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/05/21(月) 23:39:22 8EixxZx4
>>894
なるほど、つまりテニア達はカティア二号用のあの黒髪鬘と服を用意したわけだな!?
当然お手製の!


 ■  vwStakZL氏作SS「BUST A MOVE」

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その155
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1179357741/l50


765 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/05/21(月) 00:33:20 3vQCQszG
流れは一旦ラースエイレムしといて。
ちょっとSS書いてみた。今日一日こんなことばっかり考えてた俺\(^o^)/オワタ
カズマとラミアとアリアのお話 投下所ロダにポイしました

では再開 時は動き出す…



◇  ◇  ◇


○月×日

(以下映像を交えてお楽しみください)
ぴんぽーん
「(動画漁り中)…ヌコハァハァ…ん?誰だろ」ピピピッ
『私だ。休暇中のところすまないが、頼みごとがある』
「—あぁ、良いぜ。今ロック外すから上がってくれ」
『感謝する』
ほどなく入ってきたのは、現極東方面教導隊隊員・ラミア=ラヴレスその人だった。
「助かる。当てにしていた者がいなくてな—ん?アリアか」
「んんにゅ?む、ラミアお姉ちゃん?」
返事をしたのはベッドに寝転がりながら俺の漫画を読むアリア。

つい先日ひょっこりヴァルストークに潜り込んでいたのだが、
その際の質問「お前らの責務だかなんだかはどうした」に対し
「久々にミヒロに会いたいから地球に行って良いかとパパに聞いたらOK出た」とのこと。
真相は大方アリアが「退屈だ」とかうるさいのでこっちに丸投げしたに違いない。親父モドキめ。
追い返すのも面倒なのでウチで働いてもらっている訳だ。以外にも使える奴で重宝している。

で、親父ネットワークの関係もありちょくちょく極東基地の連中とは仕事がらみで付き合っているのだが
近頃とりわけこのラミアとアリアの仲が良い。見た目とは逆にアリアの方がお姉ちゃんしているらしい。
「いろいろ教えてあげている」とはアリアの談。ザ・データベースの二つ名は伊達じゃないようだ。
で、今日もその流れかと思ったのだが…

「どうしたの?私じゃ解らない事?」
「ああ、多分な」
「むー」
「ラミアが俺に頼みごとってのは珍しいな。で、内容は?」
「コレだ」
言って取り出したのは「…ディスク…DVD…旧世代の記録メディアの一種だな。今も現役だけど」
「このディスクの再生に必要な個人端末が手元に無くてな。
リュウセイ少尉に頼んだのだが、生憎修理に出しているとの事だ。伝は無いかと尋ねた結果—」
「俺が該当したということね」

なるほど。甘い甘い特別教室へのお誘いじゃなかったわけね。ちょっと期待してた分少し泣いた。

「えーっと、規格はPS2か…しまってたのはどこだっけな…」ゴソゴソ「っと、有った」
「結構ごつい箱だね…確かコレは…記録対象2044391543-2だったかな?」
「何気に知ってるのね、お前…で、ディスクの方はどうだ?」
「お前って言うな!馬鹿カズマ…んーっと…ごめん、記憶に無いや」
「すまん。そうか…あ、一応動くか試したいけど、良いか?」
「問題ない」
「わかった。配線繋いで…っと。じゃ、入れるぞ」

「コレは…だんすだんすりあくたー?…ダンスゲームか。何でまたこんなもんを」
「エクセ姉さまに
『食欲中枢の機能異常で身体データの一部に異変が生じた。再調整したいがいいプランは無いか』
と聞いたらコレを渡された」
「…まぁ、あながち間違いではないか…」
「ねぇねぇラミアお姉ちゃん、コレどうやるの?」
「専用のツールで操作しろと言われた…これだ」バサッ
「矢印つきのマット?どうすんだろ」
「画面を見ていれば理解可能とも言っていたな」
「ふーん。ねぇねぇ、私やってみていい? 」
「問題ない。操作ツールは二つ有るしな」
「やったぁ!馬鹿カズマなんかそっちで見てなさーい♪」
「…はいはい。じゃ俺はヌコ動画に戻りますから…」

まぁ、少々騒がしくなるが、構わないだろう。
エクセレン少尉の、という所に少々引っかかるものを感じるが。
どうも俺はあの人のお気に入りらしい。先日も見事にやられた。
『飴』という餌を蒔いて『鞭』で刈り取るのを脇から観戦して酒の肴にしているとか。ド畜生。
とはいえ、今回はリュウセイの奴を経由しているから大丈夫か、と思った矢先。
ヌコが「…ダンス」跳ね回って「…ゲーム端末」遊んでいる「…エクセレン少尉」動画が、
そして「ふーん、足でタイミングよく矢印踏んでいけばいいのか。じゃ、やってみよっ!」「準備は万端だ」
との声が、今この部屋にあるファクターを一つにまとめ上げた。
ダンス、矢印マット、跳ね回る、エクセレン少尉、そしてラミアとアリア…いかん、これは、これはっ!
「ちょ、お前ら待t…ぐほぉッ!?」

『 飴 』 と い う 名 の 罠 だ ッ ! !


「む…これはなかなかどうして」ばいんばいん
「ひゃー、こ、こんなの…ううん、負けるもんかぁっ!」たゆんたゆん
「………………い、いかん」
落ち着け、こういう時はアレだ、素数だ。素数を数えろ、俺。
「1,3,5,7,11,13,17,19,23、にじゅう…」
「おっと…この服ではやり辛いな」ぷるん
「乳頭温泉っ?!」
行ったことも無い温泉の名前を叫んだ。いや、何処かは知らん。(秋田です)
「ぐぅ…ちょっと、二人とも…」
「どうした?受け答えしてる余裕はあまり無いが」「邪魔すんな馬鹿カズマ!」ばいんぽよん
「スンマセンツヅケテクダサイ…」 「そうか」「?変なの」
いかん、コレはコレで天国だが同時に地獄だ。テンションがレッドゾーンどころかリミットオーバーというか。
というかコレが罠なのは既にほぼ鉄板だ。急いで離脱しないと、
…間違いなく粛清の嵐が巻き起こる…い、いかん!マジなんとかしないと!

プラン1:飲み物を取ってくるとさり気なく部屋の外へ
「あー、ソウダ、ノミモノトッテコナイト」すたすた
「カズマ待った。あたしが勝つまでそこで見てるのっ」がしっ
3秒で撃沈…orz

プラン2:何事も無かったかのようにヌコ動画へ集中
「じ…じゃ、俺、ヌコ動画見てるかr」すたすた
「待てカズマ、勝負の審判をする約束だ」がしっ
そんな約束いつの間に成立っ!?…orz

プラン3:しょうがないので審判と称して下の方を見る
くっ、仕方ない、コレならなんとかナルハズ…ソスウソスウ…1,3,5,7,11,13,17,19,23、
「ふっ、はっ、とうっ…」「それ、それ、それぇぇぇぇっ!」ぷりぷりぷりーん
「…………………………………………………………………………………はっ!?」
くそっ、見入ってしまった…またか俺!orz

「ふう、やるな…」「ラミア姉ちゃんこそ!」いかん、熱くなって終わる気配が見当たらない。
「ふ、二人とももういいだろ?そろそろ休憩はさんだらどうだ? 」
「む、確かに…そうだな、もう一戦でケリをつけよう。どうだ?アリア」
「望むところだよっ…さっきのが本気だと思わないでね…ボディスーツ、高機動モードセット!」
『何ッ?!』
プシュー、バシュッ!
「って、ほぼ下着みたいになっただけじゃないか!」「やるな、機動力が20%上がっている」え?マヂデスカ?
いやしかしこれで興奮度は+100…それどころじゃない、生命の危機度が鰻上りな+1000くらいだろう。
生きろ、俺。

「じゃあ、マジコレ最後な…スタート!」
きっと俺のカウントダウンもスタートに違いない。ドアの向こうに姉と妹が来ないことを祈ろう。望み薄だが。
「よっ、ふっ、はっ…」「この程度じゃ負けないんだから!」ばいんばいん
「ふっ、どうした、息が乱れてきたぞ」「…えぇいっ!あたしの力、見せてあげる!そこ、そこ、そこおぉぉっ!」ぷるんぷるん
「ふん…ではこちらも本気を出させてもらおう…」「う、うそ!?あたしが追い詰められてる…!!」たゆんたゆん
大丈夫、だいぶ慣れてきた。主に血が一箇所に集まってくれたので思考もむしろクリアだ。
ソレを除けばもう理性が飛ぶなどありえない。大丈夫。こういう時のための素数だ。1,3,5,7,11,13,17,19,23、にじゅう

ぽろん『あっ』 「伝統芸能ッ!?てかそれは反則ぅぅうぅぅ!?」

…ごめん、今逝くよ…親父…母さん…
「ふう、同点か…惜しいな」「むーっ、もうちょっとで勝てたのに…カズマ?」

「も、もう駄目…」バタッ

(うわー、は、ハイパーおちんちんだ…)
(何だそのハイパーおちんちんとは)
(き、記録番号021302246146、カズマ特有の…その…)
(コレか)
(うわっ?!に、握っちゃ駄目っ!)
(お兄ちゃーん?さっきから何騒がしいの?入るよー。
…………アリ姉ちゃんとラミアお姉ちゃん、半裸でナニしてるの?)
(見てのとおりだ)
(…)
(あらあら、今日は大漁ね…うふふっ、料理のしがいがありそう♪)


それからの事はあまり覚えていない。何故か極端に体力が落ちているが、妙にすっきりした気分だ。
目が覚めたらミヒロにシホミ姉に長々と説教されたのはいつも通りのオチだったが。
エクセレン少尉は仲間と酒盛りまでして観戦していたらしい。お粗末さまでした。次回はアンタがツマミだ。覚悟しやがれ。

休暇も終わりに近い。さて、出発の準備をして寝るか。
明日こそは平穏かつ幸せに満ちた日でありますように。
…少し涙が出てしまった。畜生。

カズマ




◇  ◇  ◇


795 :765 :2007/05/21(月) 06:00:10 3vQCQszG
ところでだれも居ないようなので、とりあえずおっぱいしておきますね。
  _  ∩
 ( ゚∀゚)彡おっぱい!おっぱい!
   ⊂彡



796 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/05/21(月) 06:03:56 9Z1OvVoV
  _  ∩
 ( ゚∀゚)彡おっぱい!おっぱい!
   ⊂彡



797 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/05/21(月) 06:23:33 APiw3Ev5
朝も早くから、何してるんだ、自分………。
 _  ∩
 ( ゚∀゚)彡おっぱい!おっぱい!
   ⊂彡



798 :名無しさん◎お腹いっぱい。 :2007/05/21(月) 07:09:36 vwStakZL
おっぱい!おっぱい!



799 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/05/21(月) 07:24:18 wTEm7n9f
>>796−798
朝っぱら何やってんの!まったく…
貧乳回転斬り


2007年05月18日
 ■  ZU8WjInW氏作SS「Super Dog wars J」 Ver.2

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その154
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1178375856/l50


464 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/05/14(月) 18:17:19 ZU8WjInW
>>460
前にネコ耳メイドのカティアネタでSS書いた者としては猫耳の方がイメージ強い訳なんだが。
とりあえず犬ネタでSS書けとのご提示ですか?



465 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/05/14(月) 18:26:21 UpcFaKQL
そういやカティア萌えスレに犬ネタがあったな。だがあえて
>>464構わずぶちかませ!



533 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/05/14(月) 23:35:26 ZU8WjInW
とりあえず>>464でのネタを投下してみるテスト。
カティアスレの住人な為、あっちの方で前に書かせてもらったSSを知ってると吉かもしれぬ。



◇  ◇  ◇


 事の発端は、我が家の夕飯の席で某ぽちたまが流れた事から始まった。
「あー、可愛いなー! ねぇ、犬飼おうよ!」
相変わらずのノリなテニアにカティアは厳しい言葉を投げつける。
「ウチにそんなお金があると思ってるの? 単純に言うけど、それにちゃんと面倒とか見れる?」
『うっ!』
「しつけ・散歩・餌・その他もろもろきちんと面倒見れるの? 子犬と成犬とではイメージ違うかもしれないし、物じゃない命を養うって自覚を持てる?」
まるでお母さんのようにテニアに説教をするカティア。
「とにかく! ウチでは犬は飼いません! そうですよね、統夜」
「あっ・・・・ああ」
・・・・・俺はその流れ弾を喰らってしまった訳だが。
「でもカティアちゃん、詳しいですね」
メルアに言われるとカティアは顔を赤くして顔を背けた。
「・・・・・そ、それはまぁ・・・・結局、私も単純って・・・・コトよ・・・」
(つまり、カティアも飼いたいってコトか)
 事態が急展開したのは、俺が雑誌の懸賞でDSと「とあるソフト」を手に入れてからだった。
その懸賞。 DS本体とソフトを一本つけるという内容で、問題はそのソフトだった。
『nintendogs 柴&フレンズ』
それが、俺が手に入れたソフトの名前だった。
「・・・・いやー。 まさか、本当に当たるとは・・・・」
机の上に鎮座するDSとそのソフトを呆然と眺めてみる。
「とりあえず——やってみるか」
箱から本体を取り出し、ソフトを入れる。


 居間の机で家計簿をつけていたら、5時になっていた。
「いっけない。 もうこんな時間」
机の上の家計簿や筆記用具を片付け、この家の家主の部屋に向かう。
「統夜、いいですか? 今日の夕飯のことについて相談が・・・・」
軽くノックをし、部屋の中を覗く。
「ラフト、飯だぞー」
———バタン。
どうやら幻影が見えたようだ。
統夜が机に向かってなにやらユカイな状況になっていた。
もう一度扉を開く。
「よし、ラフト。 散歩いくぞー」
「・・・・・・統夜?」
頼れるパートナーにして、最愛の人の姿に思わず呆然とする。
「おっ、カティアか」
「なに・・・・してるんです?」
「いやさ、これ、懸賞で当たったんだけど」
統夜に言われ、彼が手にしているモノを覗く。
「これって・・・・犬を飼うってゲームですよね」
CMで見たとき、ちょっと買ってみたいなーと思ったりしたゲームだ。
「ラフトって名前にしたんだ」
「へぇ・・・・。 かわいいですね・・・・・」
画面の中の子犬の愛くるしい姿に統夜と二人で和む。
「統夜って犬が好きなんですね」
「や、これは誰でも和むだろ」
「確かに」

 カティアと二人で画面の中のラフトを暫く眺める。
「そういえば統夜。 私、前にネコ耳メイドやりましたよね」
「ああ。 そいうこともあったよな・・・・・まさか」
一瞬、かなり凄い絵が思い描かれ、すぐに消し去った。
「・・・・私が犬のコスプレしたら似合うと思いますか?」
恥らうカティアの言葉にさっき消し去った絵が再び描かれた。
犬耳をつけて、何故か俺のシャツを着たカティア。
無論、シャツのサイズが合う訳もないので手のトコロがかなり間抜けなことになっているが、かなりのエロスが漂っている。
そして彼女の腰元には左右に揺れる尻尾。
しかも、ズボンやスカートは『は・い・て・い・な・い』
「ぬおぅ!」
自分の脳裏でペタンと座り込む少女の姿に思わず吹き出す。
「統夜?」
きょとんと俺の想像図のモデル本人が俺のを覗き込む。
「いや・・・・なんでもない」
そうして紫雲家の日々は流れていった。

ちなみに、サイトロンで俺の想像図をのぞき見たカティアが想像図どおりの格好でベッドに忍び込んできたりしたことは、あったような、なかったような。

カティア犬 by赤い流星氏



◇  ◇  ◇



537 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/05/14(月) 23:37:45 bmW/8Vbc
>>533
果てしなくGJなんだけど個人スレに投下したるとより喜ばれるんでないかね。


538 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/05/14(月) 23:46:08 ZU8WjInW
>>537
確かにあっちの方がいいとは思ったことは思ったんだが
こっちで予告した以上、こっちで投下した方がいいと思ったんだ。
正直、スマンかった。



540 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/05/14(月) 23:48:16 uU0Aon5X
>>538
キニシナイ。そしてGJ



542 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/05/14(月) 23:51:36 UpcFaKQL
>>533さあ、今すぐカティア萌えスレにも投下する作業に戻るんだ。実にフランツ



548 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/05/15(火) 00:05:46 gJHRBeue
>>533
GJだ。統夜が端から見たら春先に多い人みたいになってて吹いたwww

2007年05月15日
 ■  uK3XOKa+氏作SS「ちびアラドのケーキ」

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その154
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1178375856/l50


975 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/05/11(金) 23:10:39 +6FeFPfT
…なんかエキドナがちびアラドとアラドに自分が作ったケーキを試食してもらえないかたずねてる光景が浮かんだ
そしてちょうどティータイムなのでウキーラと5人で優雅にお茶会という光景が


268 :前スレ975 :2007/05/13(日) 11:21:38 uK3XOKa+

ようやく前スレの最後で言ってたネタが書けた
ティータイムのネタだったはずなのに、全然ティータイムを書いてないのは気にしない
内容も時間がかかってしまったのも反省はするけども後悔はしない

ケーキ作りするちびアラド



◇  ◇  ◇


「ふむ、後は焼きおえたらトッピングをすればよいのだな…」

とても戦艦の中にあるとは思えないほど設備の整ったクロガネの厨房で彼女、エキドナ=イーサッキは本を片手にオーブンの前に立っていた。
彼女の目の前で稼動しているオーブンからは甘く、おいしそうな匂いがしている。
もうすぐ焼きあがるであろう、自分が生まれて初めて—と言っても、まだ数年も経過していないが—作ったケーキを前にここまでうまくいったことに満足しつつ、これを作るきっかけを作った自身の創造主、レモンの言葉を思い出していた。

「(せっかく戦い以外のこともできるんだから、何か趣味でも持ちなさい…か。とりあえず、幾つかもらった本から”お菓子作りの本”から適当に選んだケーキを作っているが…なかなかに難しいものだな。しかし…)」

このケーキをどうしたものだろう。ここまで作ったはいいものの、自分が使った分量は8〜10人分だと本には書いてある。
いくらなんでも、そんなに一人で食べることはできない。

「私としたことが、まさか確認ミスをするとはな…」

以前の自分なら考えられないことだが、過ぎたことはしょうがない。とにかく完成させて、自分で食べられるだけ食べたあとに誰かに御裾分けすればいいだろう。
そんな風に考えていると、オーブンから焼き終えたことを示すチーンという高い音が聞こえてきた。

「ふむ、細かいことは後で考えるか。先にトッピングを済ませてしまおう…うつったか?」

自分が口にした言葉にどこぞの突撃小僧の顔を浮かべつつ、エキドナは焼き終えたスポンジケーキをオーブンから取り出し、トッピングを始めた。


一方、どこぞの突撃小僧は…

「は…ハーックシュッ!…誰かうわさでもしてしてんのかな…それにしても、ちびのやつどこに行ったんだ?」

鬼ごっこ中のちびアラドを探してクロガネの艦内を歩いていたりする。

「あー、でも失敗したなぁ…遊んでやるとは言ったけど、まさかクロガネ全部を使った鬼ごっこなんて…見失ったら、探し出しようが無いぞこれ」

自身の分身である以上、なんとなくどこら辺にいるだろうというのは薄々感じるが、距離があるとその感覚もあまり働かない。
勘と運を頼りにして探し出すしかなかった。

「(それにしても…)」

自分が幼かったころも、今のちびのように遊んでもらっていたのだろうか。
昔の記憶は奪われてしまって存在しないが、自分にもたぶん両親がいたはずだ。…捨て子とかでフェフ博士に拾われてたとかだったらいやだが。
ともかく、ちびは分身であると同時に自分の子供のようなものだ。父親のように接してやりたいという気持ちがある。

「確か、カイ少佐って子供がいるって言ってたよな…今度子育ての仕方でも聞いてみよっかなー…おっ!」

今、少しだがちびの気配を感じた。どうやら、近くに隠れているらしい。
距離から考えて、食堂辺りだろう。行き先が決まったアラドは、今までよりも速度を上げて歩き出した。


「…何をしているのだ、お前は?」

今、エキドナの目の前には何かから隠れるかのようにうずくまっているちびアラドがいた。
トッピングを終え、ケーキを切り分けようとしたエキドナが下の戸棚から包丁を出そうとしたところ、その戸棚の中にいたのである。

「…ッ!…ッ!」
「…ふむ、アラド曹長と鬼ごっこをしている最中で、見つからないように隠れていたのか。しかしな、刃物があるところに隠れるのは感心しないぞ、ちびアラド。怪我でもしたらどうする。それと、それは鬼ごっことやらではなくて、かくれんぼというものではないのか?」
「!(ハッとした顔)」

気付いてなかったらしい。とりあえず、危ないので戸棚から抱きかかえて外に出す。少しまぶしそうに目を瞑ったのは、ずっと暗いところにいたからだろう。
あまり抱きかかえられたことが無いのか、自分の服をぎゅっと握ってくる。

「…なんとなく、悪い気分ではないな」

自分が無意識につぶやいた言葉に驚いた。まさか、自分がこんな言葉を発するとは…レモン様が聞けば喜んでくれたかもしれない。
何はともあれ、これからどうすればいいだろうか。下ろそうとしても服を離さないし、かといってこのままちびアラドを抱え続けているわけにもいかない。
さて、どうしたものか…

「ん〜と、こっちの方から…あれ、エキドナさん?…と、ちび?何でエキドナさんがちびを抱っこしてんすか?」
「む?アラド曹長か、ちょうどよかった。お前のファミリアが私の服を掴んで離さん。どうにかしてくれ」

アラドがエキドナとちびアラドに近づき、ちびアラドにこっちに来るよう言ったり、アラドが代わりに抱こうとしてもちっともエキドナから離れようとしない。どうも、エキドナに抱っこされるのが相当気に入ったらしい。

「困ったな…作業の途中だったのだが」
「え、マジッすか?俺が代わりにやるんで、ちびが自分から離すまでもう少し抱いてもらってていいすか?」

アラドの申し出にエキドナも同意する。どうせ後は切り分けるだけだったのだから、別に問題はないとふんだのだ。

「なら、そこにおいてあるケーキを切り分けてもらえるか。大体8等分くらいにしてくれればいい」
「これっすか?…うまそうなケーキですけど、ひょっとして…」
「私が作った…何か、おかしなところがあったか?」
「ちょっとクリームの塗りとかが少し荒い位で、おかしいところはないと思うっすけど…いや、そんな不安そうな顔しないでくださいよ」

少し不安そうな顔をしていたエキドナの顔が今度は安心したような顔に変わる。
…もっとも、その表情の変化はどちらの表情もほとんど気付くことができないようなものだったが。

「そうか、ならよかった…そういえば、アラド曹長は大食漢だったな。作りすぎて困っていたところだ。食べていくといい…こいつと一緒にな」
「…?」

一瞬、一瞬だけ、エキドナがちびアラドに顔を向けたとき、微笑んだように見えた。その顔がとてもきれいで…アラドは数瞬見惚れてしまっていた。

「…アラド曹長、どうかしたか?」
「…あ、いや、なんでもないっす。ごちになります」

とりあえず切り分けますねと、アラドはエキドナから視線をそらす。真っ赤になっていると自覚できるほど顔が熱い。
とてもエキドナの顔を直視することはできなかった。

「そういえば、そろそろティータイムと呼ばれる時間だな…紅茶でも入れてみるか」

アラドがケーキを切り分け終えたころ、エキドナが時計に目をやればちょうどそんな時間帯になっていた。

「あ、それならわざわざ入れなくても、多分そろそろユウキ少尉がここに「呼んだか?」ぃぃっ!?」
「何そんなにおどろいてんの、アラド?あ、こんにちは、エキドナさん」
「ちょ、ちょうど話してたところに出てこられたら誰でも驚くとおもうっす、リルカーラ少尉」

突然—少なくともアラドにはそう感じられた—現れたユウとカーラの二人にアラドは驚きを隠すことができないでいた。
たとえ来るだろうとわかっていても、心の準備をしていないでいると心臓に悪いものだ。

「ユウキ少尉とリルカーラ少尉はなぜここに?」
「ティータイムに紅茶を飲むのは当然のことなのでな…ここには、少佐が作り起きされているお菓子類もあるから、いつも利用している」
「まぁ、そんなわけで紅茶のみにきたんだけど…アラド、おいしそうなもの持ってるじゃない」

カーラの目がアラドの手元にあったケーキに向く。その目は獲物を狙う狩猟動物の目だ。

「それは私が作ったケーキだ。作りすぎてしまったので、食べてもらえると助かる」
「食べる食べる!ユウ、早く紅茶入れてみんなで食べようよ」
「急かすな、紅茶は入れる前の準備も大切なんだ。あらかじめカップを暖めておくことで(うんたらかんたら)」
「あー、もう、また始まった…しょうがないから、先にお皿出してケーキを分けちゃお…アラドの分は3人分くらい乗るお皿でいいよね?」
「あ、それでお願いするっす」

ユウが演説を繰り広げながら紅茶を入れる中、カーラはてきぱきと動いてケーキをそれぞれのお皿に移し、適当なテーブルの上に並べる。
いつもこんな風にティータイムを過ごしているのだろう。
カーラは準備しながらではあるが、実際にはユウの言葉をちゃんと聞いているであろうことがその苦笑した表情から窺える。
ユウも聞いてもらっていることがわかっているのだろう、別段気にした様子もない。いいコンビである。

「ところでさ、アラド」
「はい、何すか?」
「…なんで、エキドナさんがおちびちゃん抱っこしてるの?」

準備をほとんど終えたカーラがそれまで持っていたのであろう疑問をぶつけてくる。
まぁ、普通に考えればありえない画だ、当然の疑問だといえる。

「えーと、まぁ—かくかくしかじか—というわけでして」
「へー、でもほんと懐いちゃってるね。なんか、親子みたい」
「な!?何いってんすか!?」
「アラド、顔真っ赤だねー。でもそんな感じに見えるよ?こう、天然クール系奥さんとお母さん大好きな子供って感じ。ユウもそう思わない?」

カーラから話を振られ、ちょうど紅茶を注ぎ終えたユウが反応する。一応、こっちの話も聞いていたらしい。

「何を言っているんだ、お前は…まぁ、エキドナの髪も微妙に紫がかっている様に見えるから親子に見えないこともないな」
「ユ、ユウキ少尉まで…エキドナさんもなんか言って下さいよ」
「…天然クール系…そう見えているのか…」
「SOCCHI!?」

ほんの少しだけエキドナが不満そうな表情をする…が、その発言がまさにそれを示していることに気付いていないのが彼女らしい。

「まぁ、何はともあれみんな座れ、紅茶が冷めてしまう」
「はいはい、さ、座ろ」
「うむ、ご馳走になる」
「それじゃ、いただくっす」

5人—ちびはいまだに抱っこされているが—でテーブルを囲み一時のティータイムをすごす。
エキドナのお手製ケーキに舌鼓を打ったり談笑したりしながら楽しい時間は過ぎていくのであった…

終わり

ティータイム中、、生クリームを顔中につけてしまったちびアラドの顔をエキドナが拭いてあげてまた母親みたいだといわれたり、アラドの頬にくっついたクリームを取ってあげたり、それでまたアラドの顔が真っ赤になって慌ててしまい紅茶をこぼしてしまったり、それのせいでユウが怒って紅茶責めをアラドに決めたりしたがそれはまた別の話である。




◇  ◇  ◇




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270 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/05/13(日) 11:29:02 7UCZcLcl
>>268グッジョォォォォォォォォブ!!



271 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/05/13(日) 11:35:46 HbKHAK6R
>>268俺は最初から最後までGJだってのによお!



272 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/05/13(日) 11:54:04 aYroCC2A
>>268
GJなんだなこれが!


289 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/05/13(日) 14:22:39 8Sq2z9JB
ちょっと遅いかも知れんが・・・・>>268
お前のSSに俺が泣いてGJした!!


2007年05月13日
 ■  イングラム先生のお悩み相談室 (その7)

すぱろぐ大戦BBS・SS投下スレ
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/31790/1174560483/l50


前回の続き

29 :名無しのも私だ:2007/05/10(木) 22:31:09 ID:FePUrKcA
続々々々々・イングラム先生のお悩み相談室。
アクセル隊長の悩み、及びエキドナ更生。




◇  ◇  ◇

——居酒屋ハガネ
「しかし、客の入りが悪い店ですな。こうも閑古鳥が鳴いては、赤字経営なのでは?」
「はは、なに。儂とて、本業を疎かにするつもりはない。半ば道楽商売だ」
 今日も居酒屋に入り浸る先生は大将であるダイテツ=ミナセと雑談をしていた。ここ最近は相談室を訪れる人間は居らずに開店休業状態が続いている。
「何とも勿体無い話ですね」
「構わないさ。儲けなどは考えておらんよ」
 これだけ上質な酒と料理を振舞う店が繁盛しないと言うのは信じられない。しかし、ダイテツが趣味でこの店を経営していると言うのならそれも考えられる話だ。
 艦長職の片手間の商売ならば、逆に繁盛してもらっては困るのかも知れない。そしてその構図は先生にもそのまま当て嵌まるのだ。
「まあ、ほどほど忙しいのが望ましいが、余り暇が過ぎるのも考え物だがな」
 大将はコップに注がれた日本酒を飲みながら笑う。イングラムはその大将の仕草に相槌を打ちつつ、肴に箸を伸ばした。
——ガラガラッ
 ……そんな折に居酒屋の引き戸が開かれる。新たな客が入店して来た。
「噂をすれば影だな」
 大将はそんな事を漏らしながら、接客に動き始めた。

「……む?」
 スッ、とイングラムの横の席に客が座ろうとする。店内には他にも大量の空席があるのに、敢えてそうするこの客に先生は思う所があった。

「隣の席、座っても良いだろうか?」

 そうしてその客は少し遅れてイングラムに了承を取り付けてきた。
 少ししゃがれた癖のある声。覗き込むその顔は美形と言って差し支えない部類に入る。若干垂れた眼と、そこに輝く瞳は髪色と同じくすんだ赤色だ。
「ああ。構わない」
 これはどうも間違い無いらしい。久方振りに迷える子羊が先生の下を訪れた。その客の名はアクセル=アルマーと言った。

「いらっしゃい。随分と顔を見せなかったじゃないか」
「最近は忙しかったから、来る機会を得られなかったんだ、これがな」
「で、今日は何にする?」
「そう……島酒。青龍をロックで」
「うむ。つまみは?」
「イカの沖漬け」

「ほう」
 会話を聞く限り、アクセルは何度かこの店に顔を出した事があるらしい。……実にキャッスルヴァニアだ。
 今迄面を合わせた事は無かったが、幸運にも今回その機会に恵まれた。

「……さて」
「?」
「お初にお目に掛かる。イングラム少佐、俺はアクセル……」
「自己紹介は結構だ。要件だけを聞こう」
 酒の入ったグラスを傾けつつ、イングラムはアクセルの事を盗み見た。……この男の事は報告書を読んで知っている。
 シャドーミラー所属の特殊処理班隊長。Wシリーズを統べる者にして、戦士としての己に誇り持っている男。
……しかし、次元転移実験の失敗により一時期記憶を失い、壊れてしまった時期が数ヶ月あったらしいが。
「流石は少佐、話が早い。当たりを付けて、ハガネに来た甲斐があった」
「御託は良い。お前の持つ悩みとやら……聞かせてみろ」
 先生にとっては久方振りの客だ。辣腕を振るいたくて居ても立ってもいられないかった。指揮系統が違うのか、アクセルは敬語を使う素振りは見せなかった。無論、先生はそんな事は気にはしない。
「っ、ゴホン!それじゃあ、本題に入らせて貰うんだな」
 イングラムの放つ無言のオーラに気圧されたのだろうか?アクセルは咳払いをしつつ、己が抱える悩みを打ち明けた。

「俺の悩みは一つだけ。部下との温度差を埋めたい」


「む」
 中々に難しいお題をふっかけられた。どうやら、アクセルは自分と部下の間に溝を感じている様だ。
「こんな事は自分で処理しなくてはならない問題なのだろうけど、情けない事に俺はそれにどう対処して良いか分からない。だから、少佐に助言を貰いに来たんだな」
「成る程。お前と部下の間には軋轢があるのだな。……お前の部下と言うのは、Wシリーズと考えて良いのか?」
 軍隊だろうが私企業だろうが、人の上に立ち、指導する者は労務管理の責を負う。アクセルが持ちかけるのは中間管理職が通らねばならない気苦労の縮図だった。
 そう考えると、アクセルが普段どれだけの精神的疲労を負っているのかは想像に難くない。……イロモノ揃いのWシリーズの現場監督、及び指揮はさぞ大変なのだろう。
「ええ。……別に、そいつ等全員と仲が悪い訳じゃない。俺の手に余るのはたった一人だけなんだな」
「一人だけ?」
 イングラムは酒を呷りながら考えた。自分が知っている限り、思いつくWナンバーズは三人だけ。
 ウォーダン、エキドナ、ラミアの三人。そのどれもが一筋縄ではいかない人外だ。
「そう。……エキドナ=イーサッキ。彼女の事を相談したい」
「エキドナ、か」
 Wナンバー16。レモン=ブロウニングが開発したWナンバーの中で取り分け完成度の高い一品。
 人形としての自分に誇りを持ち、与えられた命令をこなす事こそが至上だと考えるヒトガタの見本品だ。
 アクセルは彼女の事が重荷になっているらしい。
「それで……お前はあの人形に何か不満があるのか?」
「ああ。ある」
 わざと人形と言う部分を強調して言うと、アクセルは若干だが眉間に皺を寄せた。
「それは何だ」
「備品としてエキドナを扱うのなら、彼女以上に扱いやすい道具はない。俺も、最初はそのつもりで扱っていた」
「今は違うと?」
「……確かに、彼女はどんな命令にも従うし、逆らう事も無い。昔はそれで良かったが、今は違う。俺の部下の中でエキドナだけが浮いているんだ」
 話を聞きながら、イングラムは愛用のオイルライターを取り出し、煙草を咥えた。話を聞く時に煙草を吸うのは先生のセオリーだ。こうして、煙草をふかす間は相手も声が良く聞こえるのだ。
「ふむ。それでお前は何が不満なんだ?」
「それは……」
 煙草の煙を吹きかけると、アクセルは少しだけ煙たそうな顔をした。こうして少しずつ相手の心を裸にしていくのは先生にとっては堪らない瞬間だ。
 そうしてイングラムの目論み通りにアクセルは動いた。
「彼女だけが変わらない。それが今の俺には許容出来ないし、エキドナにとっても良い事であるとは思えないんだな、これが」
「ハッ……成る程」
 その言葉でイングラムはアクセルの胸中が判った。それは裏を返せば、アクセル自身がエキドナを人形として扱う事を嫌っていると言う事に他ならない。
「お前も丸くなったものだな」
「かもしれない。でも、今はそれで良いと思っている」
 どうやら、頭を打った事でアクセルは人としての重要な部分を取り戻したらしい。そうでなくてはそんな台詞は出て来ないだろう。
 自分自身が変化し、同じ人形として創造されたラミアでさえ自我らしきものに目覚めている。ウォーダンについては知らないが、きっと同じ状況に居るのだろう。
 そんな周りの変化に反する様に変わらずに居るエキドナが今のアクセルには許せないのだ。例えそれが勝手な言い草だとしてもだ。

「……良く判った。確かに、お前が焦るのも尤もだし、荷が重いのも事実だろうな」
「少佐?」
「直接、俺がエキドナに話をしよう。アポを取り付けられるか?」
「ええ!?い、いや……流石にそこまでは宛てには」
 これ以上の状況の変化を望むのなら、イングラムはエキドナに直接合わねばならない。
 先生が言った言葉に面食らったアクセルはブンブンと首を振るが、先生はそれは突っ撥ねた。
「ふふ……俺を頼った時点で既にアウトだ。まあ、悪い様にはしないから、俺に任せてくれ」
「そこまで言うのなら……むう、本当に信じて構わないんだな?」
「無論だ。こちらには切り札もあるのでな。……注文が来ないようだな。俺の酒でよければ飲むか?」
 先生は自身満々に頷き、自分の酒をアクセルに勧め始める。……先生は機嫌がとても良い様だ。久々にやってきた鴨を逃したくない心が先生を突き動かす。
「はあ……それじゃあ、お言葉に甘えて」
「煙草も吸うか?」
「あー、自前のがあるから、結構」
「……そうか」
 イングラムは本気で残念そうな顔をした。案外、先生は友達が欲しいのかも知れない。
 ……その後、二人は看板になる時間まで酒を飲み続けた。


——数日後 イングラム私室
「む、来たか」
 チャイムの電子音が来客を告げていた。イングラムは書類整理を切り上げて、マイクに向かって返事をする。
「開いている。入ってくれ」
 そうして、来訪者は無駄の無い動作で室内に入ってきた。
「失礼する」
 来客の名はエキドナ=イーサッキ。先日、アクセルの口から語られた、彼にとっての目の上のたんこぶだった。
「ああ。態々来て貰って済まんな」
「・・・」
 別段、エキドナはイングラムの下を訪れる用事等は無い。それでも、彼の部屋を訪れたのは隊長であるアクセルの口添えがあってこそだろう。
 むっつりと黙りこくり、顔色一つ変えないエキドナは出来の良い人形の様にイングラムのデスクの前に突っ立って居た。
「成る程。話には聞いていたが、あの男が気にかけるのも頷けるな」
 先生は品定めでもするかの様にエキドナを見やった。
 薄桃色の短髪に何も映しては居ない様な翠色をした瞳。女性の性を強調する様な大きな胸や腿のラインは官能的。
 太腿に凶器がある際どい装いから覗く肌は真っ白で、血が通っているのかが疑わしく思えてくる。
 確かに、芸術品としてみれば一流かもしれない。だが、その外界の変化を認識していない様な硬い美貌はじっと眺めていると魂を凍えさせる様な冷たさがあった。
 少しだけ、アクセルの気持ちが心の底で判った気がした先生だった。
「……?」
「失礼した」
 あまりにもジロジロ見過ぎてしまったのか、エキドナは表情を変えずに、それでも怪訝な視線をイングラムに送った。それに対しイングラムは素直に謝った。
「さて、単刀直入に本題だ。お前が此処に呼ばれた理由……検討は付くか?」
「私には解らない。ただ、隊長の指示で貴方に会えとだけ言われてきた」
 鉄面皮を超えた能面じみた表情だった。それには先生とて苦笑を隠せない。
「アイツらしい簡潔な物言いだな。……エキドナ=イーサッキ」
「何か?」

「お前には生活態度を改めて貰おう」

 だが、ここまで来てしまった以上は後には引けない。成功しようが失敗しようが、何らかの結果を残さねばイングラムは自分自身で納得出来ない。
「仰る意味が良く理解出来ない」
 そうして、一切の迷い無く言った台詞はエキドナには理解出来なかった。
「……解り易い様に言い直そう。お前のその人形の様な振る舞いを治して欲しい」
「拒否する」
 イングラムは子供でも解る様に言葉を選び、再び言ったが、今度は真っ向から拒絶された。どうやら、中々の強敵らしい。
「何故だ?」
「必要性を感じない。私は人形として創造された。それを否定する事は間違っている」
「ほう」
 漸く、エンジンに火が入った気がする先生。この手の超然とした輩を論破し、凹ませるのは先生の得意と致す処なのだ。
「つまり、お前はその生き方が気に入っている訳か」
「気に入るも気に入らないも無い。それが私に許された唯一の生き方だ」
「許された?それは誰によってだ」
「無論、レモン様に」
 淡々と事務的に会話するエキドナからはやはり感情の揺らぎと言ったモノは感じられてこない。だが、彼女を揺るがす足掛かりを見つけ気がする先生はほくそ笑む。
 創造主であるレモンの名を口にした時、エキドナの瞳は輝いた気がした。
「ああ……レモン=ブロウニングか」
 面識は無いが、イングラムもその名は知っている。シャドーミラーお抱えの科学者にして、パイロットでもある女傑。アクセルの恋人にしてWシリーズの生みの親。
 エキドナはレモンに兵士として生み出されたのだ。
「で……その女に許された生き方だから、お前はそのレールの上を行くのか。では問うが、お前と言う存在は何なのだ?」
「シャドーミラーの為に生み出された人形。そしてその戦力を担う一兵士に過ぎない」
 文句の付け様の無い位に模範的な回答だった。案外、生まれた時にその様に調整が施されたのかも知れない。
「オリジナリティの無い答えだ。そうやって感情が無い様に振舞った処で、優秀な兵士とやらにはなれるものか?」
「勿論だ。兵士に感情は不要。機械と化し、与えられた命令を処理する事こそが至上」
「ふ、ふふっ……!」
「む」
 イングラムはその台詞が可笑しくて噴出してしまった。
 そのエキドナの様子が、嘗て別の世界であったゼロの名を冠する機体に乗る少年パイロットに似ていたのだ。
 そんな先生が不気味に映ったのか、エキドナは軽く警戒した。


「矛盾だな」
「何?」
「そうだろう?機械と化す……等と言ったが、お前は本当にそんな事が可能だと思っているのか?」
「……ああ」
 頭に浮かぶ言葉のままにエキドナに語るイングラムは真面目な視線を突き刺す。少しだけ間があったが、エキドナはその言葉に頷いた。
「無理だな。お前は逆立ちしたって機械には成れんよ」
「それは、どう言う事だ」
 が、先生はエキドナを否定した。何故こうも自信たっぷりに言えるのかが解らないエキドナは当然の様に聞き返す。
 気のせいかもしれないが、エキドナはムッとしている気がした。
「機械に成るにはお前は余りにも人間に近過ぎると言う事だ。お前の言う通り、戦うだけの機械が作りたいのならば、人間を雛形にする事等あるまい?」
「・・・」
 幾ら機械となる事を望んでも、人の形をしている以上はその時点でそうなる事は不条理であり、また不可能な事だとイングラムは言いたいらしい。
 エキドナは何かを考えている様に口を噤んでいた。
「仮に、お前が機械に成れたとしてら、その時点でもうお前は兵士ではない。銃器や戦車、PTと変わらない備品に過ぎんな」
 兵士である条件は人間である事だ。戦う為に国や軍隊などの組織に編入される人間を兵士と言う以上、エキドナの言は矛盾しているのだ。
「お前は根本の部分で間違えていないか?」
「な、何を……」
「何故、お前が人に似せられているのかと言う事だ」
 漸く、エキドナに揺らぎが見られ始めた。先生は言葉を紡ぎ続ける。
「レモンやヴィンデルが戦力を欲していたと言うのなら、お前やラミアの様なバイオロイドを作る必要等無い。それこそ、戦闘用のAIだけで事足りる筈だろう」
 その程度の技術力はシャドーミラーとて持っている。だが、エキドナは人造人間と言う指摘がなければ何処からどう見ても人間なのだ。

「それは……レモン様やヴィンデル様の趣味だと」

「ああ。その可能性もあるな。と言うか、水を差さんで貰おうか」
 やっと人間らしい反応が返ってきた。エキドナは真面目に反応しただけなのだろうが、先生にはそれが改心のボケに映ってしまった。

「憶測でモノは語りたくないが、きっとあの女は……人間を作ろうとしていたんだろうさ」
「レモン様が?」
 そんなエキドナの言葉を無視し、先生は心に浮かんだ仮説を口にしたそして、それは恐らく真実でもある。
「そう考えなくては辻褄が合わん。お前はコレでもかと言う位に生体部品が使われ、人脳もほぼ完璧に再現されているからな」
「私が……人間を目指して?」
「人間などと言う不合理、且つファジーな存在を態々を創るのは本当に骨が折れる事だろうよ。そんな不確定要素の塊さ、お前は」
「・・・」
 調達も難しく、コストも掛かるであろうパーツを組み合わせ、創られたエキドナ。レモンがどんな意図で人間を創ろうとしたかは本人にしか解らない事だが、彼女の目論見は上手くいったのだろう。
 心と言う一点を除けば、エキドナは人間と言って差し支えない。そして、その唯一の問題も解決しつつあった。
「な?最初から矛盾点はあっただろう。……が、聡明なお前はその事に気付きながら、それを考えない様に努めていた筈だ。違うか?」
 イングラムはエキドナの本質を見抜いた。人形に徹しようとしているのは、彼女がその生き方しか知らないからではない。
 自ら意志する事を放棄し、楽な生き方を選んでいるだけだ。流されていると言っても過言では無い。


「もう一度だけ問おう。お前は人形なのか?」
「わ、私は……」
 詰めの段階迄後一歩。先生は揺らいで、不安定になっているエキドナに尚問い続けた。
「お前もラミアと同じく、人格プログラムはインストールされている筈だ。何故、それを眠らせておく?」
「そんなものは……所詮は対人オプションに過ぎないモノだ」
 イングラムはエキドナの凍えた魂を励起する様に語る。彼女は心が無い訳ではない。意図的にそれを抑えているだけだ。
 だが、エキドナにも意地があるのだろう。今迄そうして生きて来た彼女のプライドが最後の壁となり立ちはだかる。
「それがどうかしたのか?」
「え?」
 予想していた答えにイングラムは前もって考えていた台詞で躊躇無く返した。エキドナの目が点になる。 
「例え作り物だとしても、贋物だとしても……お前にとってはそれが心だ。そうして、そんな心があってこそ、新たに開ける世界があるんだぞ」
 イングラムは既に勝ちを確信していた。
「どうして……そんな事が貴方に言える?」
 エキドナは追い詰められられながらも何とか体裁を取り繕おうと必死だった。最早そんな事をしても何も変わらないと言う事にも気付けていなかった。
「それは、言えるさ」
「どうして……」

「俺もまた、ユーゼスによって創られた人形だったからだ」

 切り札を持ち出した先生は笑う。
 細部は違うが誰かに創られたと言う部分では自分もエキドナも変わりは無い。その自分が変われたのだから、お前が変わらない道理は無い。
 ……そう先生は信じたい。
「そう言う、事……か」
 それを突きつけられたエキドナは漸く先生の言葉を信じる気になった。
「幸運な事に俺は心に目覚め、奴の呪縛はほぼ振り切ったがね」
 細かく見なければ解らないが、エキドナの瞳は確かに笑っていた。
 表情は固いままだったが、それはエキドナが人形で居る事を放棄した証の様に先生には感じられた。

「どうすれば……良いんだ?私は」
「簡単だ。お前のしたい事を行えば良い」
 エキドナは生きる為の標を欲していた。今迄眠らせていた自分の心をいきなり使おうとするのは無理がある。そうでなくても人形として生きて来たエキドナにはその生き方が染み付いているのだ。
「・・・」
「そう言っても、いきなりは難しいか。ふむ……」
 イングラムは至極単純に言ったがそれが難しいエキドナは俯いてしまった。そんな頼りなさげなエキドナを正しく導いてやる為にイングラムは煙草を咥えて思案を始める。
 そうして、咥えていた煙草を吸いきったと同時にイングラムの頭にはある考えが浮かんできた。
「今回の事はアクセルに泣きつかれて引き受けた事だ」
「隊長が私を?」
 それはアクセル=アルマーを引き合いに出す事だった。
「うむ。それだけ……お前の事を心配していると言う事さ」
「あ……っ」
 今、確かにエキドナの瞳が泳いだ。頭の中でアクセルの顔を思い浮かべたに違いない。先生はエキドナに止めを刺した。
「今、アイツの顔を想い描いたな?」
「そ、そんな事は……!」
 言葉では否定していても、その反応は明らかに狼狽している事を示している。後は簡単だった。
「暫く、アクセルの側に居る事だな」
「なっ」
 その先生の台詞の意図が理解出来ないのか、エキドナは面白い顔を晒し、声を詰まらせる。
「先ずは自分の為ではなく、アイツの為にしてやれる事を見つけろ。そうすれば、自ずと自分の欲望もハッキリして来るだろう」
「そ、そんな恐れ多い事は」
「アイツはお前の事を嫌っていない。お前もそうだ。恐れず、喰らい付け。案外、向こうもそうして欲しいと思っているかもな」
 イングラムが甘い毒を吐き、エキドナの心を冒した。
 アクセルはエキドナをもう人形とは見ていないだろうし、エキドナだってアクセルをただの上司以上に慕っている。先生は彼らを一目見ただけで理解したのだ。
「……解り、ました。そうしてみる」
 どれだけ固く自我を否定しようとしても、頭の中に慕っている人物が居るのならば、それが堤を決壊させる亀裂となる。
 そして、エキドナもその例には漏れなかった。
「まあ、気長にやってみれば良い。お前の妹だって出来た事だ。お前も、変われるさ」
「W17……いや、ラミアの様に?……そう、成れるだろうか」
「今、お前はそれを望んでいる筈だ。それだけでも大した進歩だよ」
「……ありがとう、少佐」
 人を変え、叶えるのは自分自身の意志があってこそだ。その一歩を踏み出したエキドナは大きく変われる可能性を秘めている。
 エキドナはイングラムの言葉に感銘を受けたのか、何故か頭を下げて礼を述べていた。
「話は以上だ。ご苦労だったな」
 先生は久方振りの勝利に酔い、相談室の幕は閉じられたのだった。


——数日後 BAR ヒリュウ
「創り手の意思に委ねられた生き方に身を投じるのも間違いでは無いのかも知れない。だが、エキドナにとって不幸だったのは、人形を人たらしめる要素を持っていたと言う事だな」
「そうね。そう言う点では私やラミアもまた同じね。無論、貴方もだけど」
 珍しくイングラムはヴィレッタに声を掛け、酒場の定位置で今回の瑣末について語っていた。
 創られた者の在り方の是非を問う訳ではないが、先生はその事を自分の片割れにも話しておきたかったのだ。
「誰かの都合で創られ、勝手に使われる生き方には華なぞ無い。未だ、エキドナはそれを理解するレベルには至っていないだろうがな」
「それはきっと時間が解決するでしょう。貴方がした事にはきっと価値があるって私は思うわよ」
 そう言って笑いかけるヴィレッタは微笑んでいた。人に似た存在であるエキドナはどう頑張っても人間になる事は無い。
 だが、それでも人の心に目覚めたのなら、その生き方に何らかの意味を見出す事は出来る。きっと、それが真実だ。

「お前はどうなんだ?」
「私?」
 若干、緊張した面持ちでイングラムはヴィレッタを見た。今迄聞きたかったが聞けなかった事をこの場で言おうとしていた。
「そうだ。俺はこの通りだが、お前もまた他人の都合で創られた。良かったと思うか?生まれて」
「・・・」
 突然振られた真面目な話題にヴィレッタは目を細め、少し考えた。そうして、一分ほど考えた後に、自分のグラスに満たされた褐色の液体を啜り、こう言った。
「ええ。勿論、そう思っているわ」
「それは……何故」
 その台詞が出る迄の空白が気になったイングラムは聞き返した。
「確かに、煩わしい事も腹が立つ事も沢山あるわよ?でも、それ以上に楽しい事や可笑しい事だってある。生きてないと、それは味わえないでしょう?」
「む……」
「こうして……貴方と一緒にお酒も飲める。それで十分じゃないかしら」
「はは、そうだな。その通りだ、ヴィレッタ」
 クッ、と笑いイングラムは納得した。 
 如何に使命を与えられて創られた存在と言えど、被造物である以上は確実に創造主の思惑を超える行動を取る事は神話の時代からのお約束だ。
 実際に、イングラムは別の世界でそれをやってのけたのだ。イングラムのクローンとして生み出されたヴィレッタもまた、同じなのかも知れない。
 こうして、酒を飲みながら取り留めない話で盛り上がっている実情を見ればそう考えざるを得なかった。

「で、お前はどう思うんだ?アラド」
「俺っスか?」
 イングラムの僚機であるアラドもまた、さっきから隣に控えていた。今迄会話の輪の中に入れなかったアラドは漸く巡って来た発言の機会に面食らっていた。
「えーっ、と……そうっスねえ」
 カルピスサワーの入ったグラスを揺らしながら、頭を回転させるアラドの顔は真剣だった。
「俺には難しい理論とかは解らないですけど」
「ああ」
 やっと自分の言葉を脳内で紡いだアラドはキリッとした顔付きでそれを言う。
「生きている以上は……それで良いんじゃないですか?」
「それは、どう言う事かしら」
「いえ、そのままの意味っスよ。酸いも甘いも噛分けるのは命あってのものだねでしょう?今を生きている事以上に重要な事はないと思うっス」
「ふふ……なるほど、ね」
 可愛い顔をして随分と核心に近い事を言ってくれると思うヴィレッタだった。
 全ては生きていると言う前提で始まっている。そして、生きると言う事は変わると言う事だ。人の心を持つのならば、その真理には抗えない。
 エキドナや自分達に限った話ではないのだ。
「貴方も変わったのね。少し、貫禄が出てきたんじゃないの?」
「いやあ、全然っスわ。でも大尉がそう思ってくれるなら、師匠の教育の賜物って事で」
 素直に賞賛したヴィレッタにアラドは照れ隠しする様にグラスを呷った。案外、褒められて恥ずかしい年頃なのかも知れない。
「……ですってよ。お兄ちゃん」
「そう思うだろう?実際、まだまだ仕込み足りないがな」
「いいっ!?か、勘弁して下さいっスよ……!」
 イングラムの口元はくの字に曲がっている。アラドは様々な技術や知識を青ワカメに植付けられていた。
 それがどんな代物かは本人達以外には解らないが、アラドの顔を見る限りは真っ当では無いモノで間違い無い。
 ヴィレッタはそんな歪な師弟関係を否定する気は無かった。

 そして……


——一ヶ月後 アフリカ アースクレイドル
「あの……た、アクセル隊長」
「ん?ああ、エキドナ。どうかしたか?」
「コーヒーを淹れたのですが……宜しければ、隊長に」
「俺に?……ああ。有り難く貰おう」
「は、はい!暫しお待ちを」

「上手くやれている様だな。しかしあの女、あんな顔も出来るのか」
 余りまくっている有給を消費し、この世界でのシャドーミラーの活動拠点にやってきた先生。その目的は一月前に世話を焼いたアクセルの仕事現場を見学する事だった。
 そうして、物陰から覗いた光景はそこそこに満足のいく成果を示していた。アクセルには刺々しい部分は見えない。エキドナも多少ぎこちない部分が残っているが、上手く歩み寄れている。
「イングラム=プリスケン。貴方に会ってから、あの娘は変わったわ。一体、どんな魔法を使ったのかしら?」
「ここ最近、隊長がエキドナに付きっ切りで寂しいですたい。何をしたのか白状して欲しいですのぉ」
 先生と同じくその光景を盗み見ていたレモンとラミアが少し怖い表情をしながら、問い詰めて来る。
「俺が何をしたと言うのだ?……出来る訳が無いだろう」
「「・・・」」
 取り合うのも馬鹿らしいのでイングラムはすっ呆け様とした。だが、そんな事で女二人の追撃をかわす事は出来なかった。
「そんな顔で睨まないでくれ。ただ、何時もの様に得意のイカサマトークを炸裂させただけだ」
 どんより濁った鈍色の視線に冷や汗をかきつつ、先生はそれだけ言って再び視線をアクセル達へと向けた。

「少し薄めだけど、良い香りなんだな、これが」
「あ、有り難う御座います」
「礼を言うのはこっちだ。俺の為にありがとうな」
「あっ……隊長//////」

「ほう。あそこで頭を撫でるとはやるな」
 ……あんな光景を見れるとは、アフリカくんだりを決行したのも無駄ではなかったのかも知れないと先生は思った。
 爽やかな笑みと共にアクセルがエキドナのおかっぱ頭を撫でている。その優しげな手付きにエキドナは顔を紅潮させて身を捩っていた。
 とてつもなく嬉しそうなエキドナの変貌振りには驚かされる。少なくとも、過去のエキドナには絶対出来ない反応だった。
「アクセルは女の扱いは得手、なのか?」
「さあ?どうだったかしら」
 その旨をレモンに聞いてみると、彼女は面白く無さそうに呟いた。
「どうした、レモン=ブロウニング。眉間に皺が寄ってるぞ」
「複雑なのよ。あの娘が自分の意志を持ってくれたのは嬉しいけど……ね」
 成る程、とイングラムは納得した。成り行きの関係だと言っても、アクセルとレモンが付き合っているのは事実だ。
 それなのに自分の娘と言っても過言ではないエキドナと懇ろに成りつつあるアクセルに色々と想う所があるのは間違い無い。
 ひょっとしたら、裏でアクセルはエキドナを仕込んでいるのかも知れない。
「くやしい……!でも……エキドナに嫉妬しちゃう!」(ビクッビクッ)
「ラミア=ラヴレス。お前は再調整を受けろ」
 ……どれだけ、根拠の無い仮定を頭に浮かべても、真実を知るには今の距離では無理だった。
 取り合えず確かなのは、ラミアがおかしいのは言語機能だけでは無いと言う事だ。

「お前達……仕事をしろ」
 シャドーミラーの責任者であるヴィンデルは不機嫌そうに言葉を放ったが、レモンもラミアも全く聞いてはいなかった。
「ま、良いんじゃないのか?」
 何とも平和な会話で涙が出て来る。これが闘争の永続を願う軍隊の中身だと言うのだから、大層悪い冗談の様な気がしてくる先生はヴィンデルの肩にポンッ、と手を置いた。
「良くないわっ!この青ワカメ!」
 誰からも相手にされない緑ワカメを慰める青ワカメ。……どうやら、ワカメ同士の友情を育むのは難しいらしかった。



◇  ◇  ◇




_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/


スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その153
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1178375856/l50



103 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/05/12(土) 15:42:57 81+oX0fc
どうでも良いけど、これはこうへーは検めたのか?
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/31790/1174560483/29-37
こんなこっそり投下されたら気付けないよ

まったくもってけしからん(;´Д`)ハアハア



104 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/05/12(土) 16:03:09 QuBrOpOS
なんだこれは!全くもってけしからん!(´Д`;)ハアハア



105 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/05/12(土) 16:25:56 d5db+lAY
>>103
実にけしからん!

腹が立ったからこうへーの床にちびえきどなを10体発注してやった。



106 :名無しさん◎お腹いっぱい。 :2007/05/12(土) 16:31:35 bL+FD356
    _  ∩
  ( ゚∀゚)彡 こうへー!こうへー!
  (  ⊂彡
   |   | 
   し ⌒J


読んだ後の気持ち


あれ?人の気持ちを見透かした方がいる?

2007年05月12日
 ■  PV4hF3Ly氏作SS「戦場のアークライト」

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その153
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1178375807/l50


77 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/05/06(日) 14:28:20 7Zolk0Et
D発売当初に、スレ(板?)がどんなカオスになってたのかは気になるな……
何が釣りで何がマジなのか、素で判断が付きかねる内容だから困る。
前情報なしでこんなもんやったら大混乱だろうに。

プロローグから早乙女のジジィィィィィ!!
総帥と白い悪魔が最初から共闘
ジョッシュ顔広すぎワロタ
ふたりはプロギュネ
マジに『歌うだけ』の7
グラキエース大変身
ザンスカール帝国残党まで自軍入りなんておかしいですよ!

個人的に、ジョシュアの人気は『破天荒な本編に普通の主人公』というギャップにある気がする。


80 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/05/06(日) 14:40:17 DvZQnCHN
竜馬「早乙女のジジィーッ!」
鉄也「俺は復讐を終えるまで戦う、俺は戦いのマシーンだ」
バサラ「戦いなんてくだらねぇ!俺の歌を聞けーッ!」
シュワルツ「キサマらジャップとゲッターは悪魔だ!」
助手「落ち着け」



81 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/05/06(日) 14:42:02 n8xWFH+9
>>77
64のはどんなだったんだ?未プレイだから分からないんだが。
Dレベルに世界が荒廃していたと聞いてたんだが。



85 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/05/06(日) 15:22:23 1tPiH9eG
>>81 SRW64の世界観について
簡単に説明すると、グラドス(レイズナー)やムゲ(ダンクーガ)によって「占領された地球」が
ゲーム開始時点の状況。主な敵としては
・異星人に取り入って貴族的な扱いを受ける連中(ロームフェラ、ガンダムWやレイズナー一部)
・どさくさに紛れて暴れだす連中(マジンガー・ゲッター系)
・異星人(開始時点はグラドス中心)

対する主人公勢は
・異星人に取り入っていたけど正義を貫くために反旗を翻す(スーパー女)
・世俗を離れて修行してたら占領されてた、師匠も死んだし俺は戦う(スーパー男)
・最下級市民として暮らしてたら戦闘に巻き込まれ、やむなく手近な機体に(リアル男)
・御嬢様だったけど戦争で全部失いゲリラで捨て鉢な生活。全滅寸前、こうなったらこの機体で(リアル女)

主人公チームは中盤になってゲリラという立場から大きく変わるけど、その中で
・地球圏の新しい支配者(OZ、ガンダムWでの敵組織)の指揮下での戦闘部隊として活動
という選択肢がある。


他のSRWと違うのは、ゲーム開始以前の展開で地球防衛に失敗した事かな。


86 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/05/06(日) 16:07:04 n8xWFH+9
>>85 説明ありがとう。

最初からどん底かよ。他の作品には見られないスタートだな。
そういえばシナリオレイターってDと同じ人だっけ?



87 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/05/06(日) 16:14:08 f/JUN4rV
Jの人でもある
今は何してんだろうな


88 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/05/06(日) 16:23:51 A478A2lq
シリーズ一悲惨だと思われるのにそれをみじんも感じさせないMXの地球最強すぎ。




_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/




83 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/05/06(日) 15:00:32 PV4hF3Ly
流れをぶちぎらせて貰って、こんなものかいてみた。
64のOG風味のアークSS。
つい勢いでやってしまった。でも反省はしていない。



◇  ◇  ◇


「——ん。あれ、俺……?」
「あ、アーク、気がついた? よかったぁ……そのまま死んじゃうのかと思った」
「……?」
 霞む視界は白く無機質な天井を映し出す。つん、と軽く鼻をつく独特の匂い。
 そして、その声の主を探して、ゆっくりと顔をそちらに向けた。
「おはよ、アーク!」
「頼むから、人が意識を覚醒した直後に物騒なことを言ってくれるのはやめてくれるかな」
 よく聞きなれた声。親しみのある声。
 だから彼にはそれが誰だかすぐに分かった。
「……エミリア」
 黒い長髪を揺らして、太陽のような笑顔を浮かべる少女はおどけたように言う。
「何よー、心配してあげたんじゃない。感謝はされても、恨まれる覚えはないわ」
「俺をこの状態にした犯人がいうセリフじゃないな。まず」
 少年は、溜息を吐き出しながら上半身を起こした。
 ようやくはっきりとし始めた思考は、どうして今此処にいるのかという経緯をトレースする。
 そう、珍しく幼馴染の彼女が手料理を振舞ってくれるということで、
 ちょうどその時雑談していたブラッドと共に食堂で彼女の手料理を食することになったのだ。

 しかし、少年はこの点で失敗していた。
 なぜなら彼は幼馴染が料理を苦手としていたことを知っていたからだ。
 ならば、どうして彼女について行ってしまったのか。
 答えは簡単だ。彼女に対して彼は拒否権というものを持てないからだ。
 話せば長くなるが、それが幼馴染として培ってきた関係なのだ。

 つまり、その話を聞いた時点で失敗。
 気づけば、あまりの不味さに気絶して医務室に運び込まれていたというわけだ。

「あ…そう言えばブラッドは?」
 すっかり忘れていたが、ブラッドもあの食事を食べていたはずだ。
 とてもじゃないが、彼が無事だとは到底少年には思えなかった。
 心配そうな少年の声に、からからと少女は笑い飛ばした。
「え、ブラッド君なら美味しそうに食べてくれたわよ? おかわりしてくれたぐらい」
「ブラッドもアラドタイプってことか……」
 彼の丈夫な胃に尊敬の念を抱きながら、呆れたように溜息を吐く。
「せめて、自分で味見してから食事に出せよな」
「もう、アークったら文句ばかり! そんなことじゃ大きくなれないよっ?」
「あのなぁ…」
 そんな軽口を叩きあいながらも、少年は何故だか穏やかな気分になっていることに気づいた。
 戦闘も激化し続ける戦況において、こういった日常は彼にとって心の清涼剤となっていた。
 いつまで続くか分からないこの戦争に、立場は違えど少なからず誰しもが緊張や不安と戦っていた。
 それは非戦闘要員である少女もそうだった。気丈そうに見えるが、本当は優しく繊細な心の持ち主だ。
 いつ、彼女の心が折れてもおかしくないというのに、それでも少女は明るく気丈に振舞っていた。

 けれど、それが皮肉にも少年を戦場に立たせる理由となっていた。
 彼女が笑ってくれるから、彼女のその心を支えるために、彼女の居場所を守るために。
 もちろん、早く戦争を終わらせたいという気持ちはあった。
 だがそんな大義名分で戦争に参加できるほど、少年少女の心は単純ではなかったし、成熟もしていなかった。

 それでも、少年は思う。

 彼女が笑ってくれるのなら、どこまでも戦い続けることができる、と。

「ね、アーク」
「何だよ、エミリア」
「……何があっても、アークは生きてね」
「急に何言ってるんだよ」
 少女の笑顔はいつもの明るさとは違い、どこか、子どもを温かく見守る母親のような笑顔を見せていた。
 あまりに真摯な眼差しと言葉に、少年は嫌な予感を覚えた。それが何かは分からない。
 分からないが、漠然とした不安が彼の心にのしかかる。
「いいから、約束して。貴方は強い人だから…大丈夫。この先もきっと戦っていけるわ」
「エミリア、君の言っていることが分からな…」
 困惑する少年を、少女はぎゅっと彼の身体を抱きしめた。ふわりと良い髪の香りが少年の鼻をくすぐる。
「これからもきっと貴方は深い闇のなかを歩き続ける…。
 でも、心配しないで。貴方はひとりじゃない。私も、お父さんたちも……あの人も、傍にいるから」
「分からない、分からないよ…エミリア」
 あの人って誰だ。大切なことを忘れているような気がする。
 けれど、それを思い出すのが何故かとても恐ろしく悲しく思えた。思い出したくない。
 少年は顔を彼女の胸に埋めながら、子どものように首を横に振る。知りたくない。何も思い出したくない。
 少女はそれを黙って抱きしめ、彼の髪を撫でてあやす。
「……ゴメンね。でも、もう…私たちのような人たちを出したくない。
 このまま戦いが続けば多くの人たちの哀しみが広がるだけ。お願い…アーク」
「エミリア……」
「ごめんなさい。アーク、私、貴方と一緒にいて楽しかったよ?
 もう…行かなくちゃ。また、いつか…どこかで会おうね」
 抱きしめてられていた少女の身体が透け始める。はっと少年は少女の顔を見上げる。
 悲しげな笑みを浮かべながらも、そこには穏やかな眼差しが少年を眺めていた。
「待って…待ってくれ! エミリア!!」

  そして 夢は 覚めた 


『…ク……アーク! アークライト・ブルー!』
「くっ……?」
 ノイズ交じりに通信機から声が聞こえる。この声は確か……
「キョウスケ隊長……?」
『……無事か。心配させるな』
 微かに安堵の色が声に混じっていたのは気のせいだろうか。
 そうか、ここは戦場。
 周りを見渡すと、そこはよく見慣れたコックピットの中だった。モニターには外の光景が広がっていた。
 轟々と赤く染まる瓦礫の街。破壊し尽されたコンクリートの森。
 この光景を戦場と一言で片付けられるほど生易しいものではなかった。
 明日からこの街の住人はどうやって暮らしていけばいいのだろうか。それを考えるだけでも憂鬱になった。
「アシュクリーフ……お前が見せたのか?」
 あの夢を。
 少年、アークは自らの愛機に問う。以前にも、同じような幻影を見せられた。
 その夢と幻影に一体何の意味があるのだろうか。もしかして、この街を救えなかった自分に対する戒めだろうか。
「隊長……、俺は無力です」
『……』
「結局、俺のしてきたことは無駄だったんでしょうか」
 あの日、あの時、あの場所。
 戦闘に巻き込まれ、アークは何もかもを失った。親しい家族も帰るべき場所も。
 もし、あの時、ベーオウルフズ隊長、キョウスケ=ナンブに拾われていなければ、おそらくは今でも絶望に暮れていただろう。
 あるいは絶望の果てに、自らの命を絶っていたかもしれない。そういう意味ではキョウスケに感謝してもしきれなかった。
 彼は自分に生きる意味を考える時間と場所を与えてくれた。
 けれど、そこにあるのは破壊と奪略と別れがあるだけだった。果たして、自分のしていることに意味があるのだろうか。
『自惚れるな』
「……隊長」
『お前ひとりで解決できるほど争いというものは、簡単なものではない。
 そして、戦争というものはひどく残酷なものだ。……だが、俺たちはそれを無駄にしてはならない。
 次に起こる争いを防ぐために、俺たちは少しでも学習していく義務がある』
 遠回しで、ぶっきら棒だが、彼なりの励ましだということはすぐに理解できた。
 いつも無口である彼がコレほどまでに饒舌になっていることが、その証拠であった。
「ありがとうございます、隊長」
 なんとなく、夢の中で少女を言ったことの意味が少しは理解できたような気がする。
 きっとこれからも先、自分の無力を痛感することはあるだろう。
 けれど、全てが全て無駄だというわけではない。それはキョウスケも言ったとおりだろう。
 少しでも守るべきものを守れたのなら、それはきっと一歩前進したことになる。それを次に繋げばもう一歩前に進める。
 果てしなく険しい道だが、歩いて行けない道ではない。
『……掃討戦に移る。各機追従して来い』
 キョウスケはアークの言葉に応えることなく、隊の部下に命令を下す。
「……俺たちも行こう、アシュクリーフ」
 
 きっと、未来は明るくないのかもしれない。何度も挫折することはあるだろう。
 それでも、前に進むことを恐れたら何も始まらない。
 そして、それはきっと今まで散って行った者たちの死を無駄にする行為に他ならない。
 だから、一歩前に足を踏み出す。

「エミリア、レラ……俺、もう少し頑張ってみるよ」

 いつかきっと、この争いが終息し、彼女らの死が無駄ではなかったことを証明できる日を願って。



◇  ◇  ◇


109 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/05/06(日) 19:01:34 OQd2lJwg
>>83
エミリアはいい娘さんやー
第一話でしんじゃうけども、顔グラもないけども、セリフすらないけども

2007年05月11日
 ■  「喫茶TIME DIVER〜新入りウェイトレス、その名はアイビス〜」

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その152
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1177949197/l50

前回の続き


522 :207 :2007/05/03(木) 23:19:45 LEutKN59
さてさて、タロットカードな流れを斬るので申し訳ないのだが
喫茶TIME DIVERのSS第2弾を影鏡にUP完了した事を報告させていただく。




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「喫茶TIME DIVER〜新入りウェイトレス、その名はアイビス〜」

ここはすでにお馴染みとなりつつあるかもしれない喫茶TIME DIVER。
本日この喫茶店にケイサル・エフェストドメ時の神雷級の衝撃が走るとは誰しも思っていなかった。
そう、数々の平行世界を渡り歩きある意味策士となっているかも知れない背後霊でさえも知らなかったのだった・・・・・


喫茶店TIME DIVERの面々 byどこぞのアホ氏

何はともあれ、喫茶TIME DIVER開店。
しかし、今日は開店直後なのに妙に客が多かったのである。普段の2倍の人数はいるようだった。
お客の対応に追われるムジカ、フォルカ、フーの3人と物凄い速度で料理を作るトウマ。
「モーニングセットのAが2つとBが3つです!!・・・ねえ、今日はお客さん多くない?」
「そうだな・・・・・こちらはモーニングセットのCとDが2つずつだ。」
「確かに・・・異常なほどですわね。こちらはモーニングセットのA〜Dまで3つずつとコーヒー3つですわ。」
「モーニングセットのA、C、Dが4つでBが5つとコーヒー3つだな!?」
いつもの2倍の速度で料理を作っていくトウマ。いつぞやのミナキではないが、モルモットウマという単語が全員の頭の中を巡った。
そしてコーヒーと聞いたフーは脱衣体勢になり、すかさず止めるムジカ。脱衣止めもすっかり板に付いてしまっている。

そんな中、店長と副店長は店の奥でアルバイトの面接中であった。
「ふむ・・・・・では次の質問。脱衣に抵抗は無いか?」
「え!?だ、脱衣ですか・・・・・・・・!?」
「背後霊の言う事は気にしなくていい。こっちの質問に答えてくれればいい。」
背後霊の口にありがたいお札を貼り付けながらアルバイト希望者に話しかける店長ことクォヴレー。
中は何故か暗く、アルバイト希望者の顔は見えない。

1時間後・・・・・・客足は何とか落ち着いた。ヘトヘトになっているムジカと余裕のトウマ、フォルカ、フー。
そして店の奥から店長&副店長、そして先程のアルバイト希望者がやってきた。
「今日から新しくアルバイトが1人入った。自己紹介は必要ないかもしれないが、頼む。」
「あ、はい。アイビス・ダグラスです。よろしくお願いします・・・・・・」
新しく入ったアルバイト・・・・それはアイビスだった。
「あれ?何でアイビスさんがここでバイトを?・・・・・トウマさん、もしかして紹介した?」
「いや、俺はアイビスには紹介した事ないぜ?スレイや統夜やジョシュアならよく紹介するが・・・・・」
ムジカがスーパーアルバイターのトウマに訊ねたのを聞き、クォヴレーが事情を話し始める。
「彼女は俺が何気なくタ○ンペ○ジに載せた募集を見て来た。彼女もいい加減に普通の食事をしたいそうだ。」
「スレイから前に聞いたが、結構・・・いや、かなり酷いらしいな。駄菓子食。」
「うん・・・・ツグミが工夫を凝らしてくれてるからおいしいにはおいしいけど・・・・やっぱ普通の食べたくて・・・・」
何ともな理由に固まるトウマ、ムジカ、フォルカ、フー。ちなみに、面接時には久保と背後霊も固まったそうだ。

さらに1時間後・・・・お昼のラッシュタイムに突入。
やはりラッシュ時だけあって人の数が多い。
2時間前よりも多い人に対応するため、今度は3倍の速度で料理を作るトウマ。注文を取るウェイター&ウェイトレスも必死だ。
アイビスもムジカやフーから細かい説明を受けたため、苦戦しながらもこなしていくアイビス。
だが、注文と受け料理を運ぶアイビスの格好は何故か喫茶TIME DIVERの制服ではなく英国風メイド服だった。
新人ウェイトレス アイビス byそれも私だ!!!氏
「オーダー入ります!!オムライスセット2つとハヤシライス3つでオムライス1つとハヤシライス2つはTIME DIVER盛りで残りは普通です!!」
「了解!!アイビス、あんまり無茶するなよ!!」
「あ、ありがとう・・・・・・」
トウマの親指立て付きの激励にちょっと頬の赤くなるアイビス。
その激励のおかげなのか、その後のアイビスは動きがかなり違っていた。

さらにさらに2時間後のラッシュタイム終了時。喫茶TIME DIVERではちょっとしたアクシデントが。
「クォヴレー、大変だ。」
「トウマ・・・・深刻な顔をしてどうした?」
「それがな・・・・・・材料が殆ど無くなったんだ。」
そう、あまりの客の多さに用意していた材料が無くなっていたのだった。
「そうか・・・・一時店を閉めて買出しに向かうとしよう。」
「そうだな。ムジカとアイビスの二人もバテバテだからなぁ・・・・・」
そう言ったトウマの視線の先には燃えつきかけているムジカとアイビスが。
「そうしよう。みんな集まってくれ。」
店長集合が掛かり、集まる全員。食材が無くなっているため買出しの間一時店を閉める事を伝える店長。
「確かに今日は人が多かったからな・・・・・それが得策だろう。」
「そうですわね・・・・・ムジカとアイビスもかなり危険そうですから。」
「ぼ、ボクにゃららいじょ〜ぶだひょ・・・・」
「ア、アタシひゃってらいじょ〜ぶ・・・・」
ヘトヘトすぎて呂律の回っていない2人。かなり危険である。
「二人とも、呂律が回ってないぞ。無理はするな。奥で休んでいろ。」
「フォルカ、頼んだぞ。クォヴレー、買出しは俺達で行くか。」
「いや、2人だと何かと大変だ。フー、同行してもらえるか?」
「分かりました。」
こうして店は一時休業。トウマ、クォヴレー、フーの3人が買出しに向かい、フォルカはアイビスとムジカの看病?に

喫茶TIME DIVERの奥。ここには少しだが部屋があり、その中の一室の休憩室にムジカとアイビスを運ぶフォルカ。
「2人とも、しっかりしろ。・・・・・寝てしまったのか?」
何とムジカとアイビスの2人は移動途中に寝てしまっていたのだった。とりあえず、手近に合ったソファに二人を座らせるフォルカ。
流石の修羅も疲れたのかソファの2人の間に座り込み、寝息を立てだすフォルカ。
寝ている2人が寝返りを打つ。すると、フォルカに抱きつくような格好になってしまった。
さらに寝ながらも気配を感じたフォルカが両脇の2人に一撃を入れようとしたが力が入らずに2人を抱き寄せるような手の位置になってしまった。
そんな状態になっているのも知らずに寝続ける3人・・・・・・

2時間後・・・・買出し部隊が帰ってきた。
「ふう・・・・これだけあれば何とかなるかな?」
「だろうな・・・・これからは仕入れ量を多くするか。」
「ところで・・・・ムジカ達はどこに?」
このフーの一言で3人は何も言わずに捜索を開始した。
「おーい、ムジカー、フォルカー、アイビスーどこだー?・・・・休憩室か。ここみたいだ・・・・・」
ドアを半分開けた状態で固まるトウマ。そこには先程と同じ体勢を維持している3人が。
「トウマ、見つけたの・・・・・・・」
「店長?トウマ?一体どうし・・・・」
固まっているトウマを見つけ、その視線の先の状態を見て同じように固まるクォヴレー&フー。
2人が固まったのと同時に目を覚ます3人。
「ふぁぁぁぁ・・・・あ〜よく寝たって・・・・・・えええええええええええええええええええ!?」
「ん・・・・いけないいけない。バイト初日から寝ちゃったって・・・・・・きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
「む、いかん。寝てしまったか・・・・・ん?」
絶叫するムジカ&アイビスとやや驚くフォルカ。
その後、アイビスとムジカの必死の弁明のためこの日の喫茶TIME DIVERは終日まで休業状態だったそうだ・・・・・・ 





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526 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/05/03(木) 23:29:05 FHZPZNEU
>>522
眠気を吹っ飛ばすSS投下をありがとォー!



527 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/05/03(木) 23:41:34 lgrv+Z9o
>>522ふう、眠気が吹っ飛ぶかと思ったぜ・・・

吹っ飛んだじゃねーかこの野郎!



530 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/05/03(木) 23:50:24 FHZPZNEU
>>522
スレイや統夜やジョシュアにならよく紹介する…か。

それぞれの制服を着た三人が容易に想像できるぜフゥーハハハァー

2007年05月09日
 ■  oftWFwoy氏作SS「アカシックブレイカァーッ!!」

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その151
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1177424739/l50



852 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/04/30(月) 20:03:53 oftWFwoy
そーいや昔マサキ&SRXチームのSSを書いたのを思い出した
ネタ的には既出かもしれんからろだにうpしといた、もしよかったら読んでみてくり




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劣勢だった。
哨戒任務中だったSRXチームは太平洋上で輸送艦を引き連れたDC残党と交戦、当初残党は連携がとれていなかったためSRXチームは難なく撃墜していき、戦況はSRXチームが優勢だったのだが・・・。
「なっ・・・」
リュウセイは絶句した。
「何故残党が何故この機体を所有しているの!?」
「・・・。」
二人も同様だった。

目の前には、ヴァルシオンが2体いたのだから。
態勢が不利だと判断したDC残党は輸送艦に収容されていた自分たちの切り札—ヴァルシオンを出撃させたのだ。
機体のカラーはブルー。つまり少数ながら生産された量産型だった。

「大尉、ここは一時退却して態勢を整えたほうがいいかと」
「ええ、そうね。フォーメーションOCCが承認されないのも痛いわ」
トロニウムの危険性故に艦長の許可なしではOCC・・・つまりSRXに合体できない。しかも技術面の問題で未だに出力の安定しない今のSRX一機では、量産型とはいえヴァルシオン2体を倒すのは不可能に近かった。
「リュウセイ、この海域から離脱するぞ!」
「了解!!・・っと、邪魔するんじゃねぇ!!」
群がるリオンタイプを蹴散らしながらSRXチームは退却していく。
しかし。
ズバァァァァァン!!!!
「きゃあぁぁぁ!!」
一体がクロスマッシャーを発射、それがR−3パワードに被弾した。
「アヤ!!」
「大尉、大丈夫ですか!?」
「ええ、なんとか。でも、推進系をやられたみたい。浮いているのがやっとね」
「なんだって!?じゃあ・・・」
ライは苦い顔して呟いた。
「R−3を破棄して脱出するか、ヴァルシオンを撃墜するか・・・」
「でもR−3は・・!」
「ああ、今失うのは今後の戦いに不利になる」
もともとアヤの専用機として作られたR−3は、換えが利かなかった。
「リュウセイ、R−3を守るぞ」
リュウセイは自分の頬を叩いて気合を入れた。
「よっしゃ、任せろ!!」
アヤは申し訳なさそうに
「ごめんね、二人共。でも私なら大丈夫よ、構わずヴァルシオンを撃墜しなさい!」
と言った。そのままストライクシールドを駆使してリオンタイプと交戦を開始した。
「大尉・・・わかりました。リュウセイ、来るぞ!!」
ヴァルシオンが迫る。その手に大剣、ディバインアームを持って。
「うおおおお!!」
振り下ろされた大剣をかわしながら、即座にR−1は懐に飛び込む。
「T−LINK・・ナッコォォォォォ!!!」
ドゴォォォォォ!!!
タイミングも位置も完璧だった。しかし・・・。
その強固な装甲のせいで表面に傷つけるだけに至った。
「ちくしょう、やっぱスーパー系は堅ぇな・・っと!!」
ヴァルシオンを蹴ってその反動で距離をとると、ライから通信が来た。
「リュウセイ、俺がハイゾルランチャーで奴の装甲に穴を開ける。お前はそこを狙え」
「ああ、わかったぜ」
R−2は照準をつける。

まだだ。

すると、ヴァルシオンがクロスマッシャー発射態勢になった。
キュイィィィン—!

今だ。
「ハイゾルランチャー、シューッ!!」
ズバァァァァァァァン!!!!
R−2から放たれた光は的確にヴァルシオンの胸を捕らえた。
「今だ!!天上天下ぁ!!念動ぉ!!破砕剣!!!」
R−1から光の刃が放たれる。
ザシュゥゥゥ!!!

刃が、ヴァルシオンを貫いた。

「よっしゃあ!!」
「安心するのはまだ早いぞ、もう一機来るぞ!!」
G・リボルヴァーで牽制するが、全く効いていない。逆に射撃の隙を突いて攻撃された。
「ちぃ、こいつさっきの奴より強い!!」
ギリギリのタイミングでかわしながら、リュウセイが毒づく。
「・・・そろそろまずいな」
「なんとか倒してるけどこのままじゃまずいわね・・・」
「こっちも弾切れだぜ・・・!」
未だにヴァルシオンは悠然と立っている。R−2とR−1は弾切れ、R−3は戦闘はなんとかできるもののリオンタイプと交戦している。
このままでは全滅だ。
「どうする・・・」
ライは悩んだ。やはり・・・。
ライはアヤに通信をかけた。
「大尉、R−3を・・・」
その時、隙を突いた一機のガーリオンがR−3に特攻を仕掛けた。
「!!くぅっ!!」
「大尉!!!」
R−2が行こうとするとヴァルシオンが阻んだ。
「ちぃ、こっからじゃ間に合わねぇ!!」
リュウセイが間に合わないと諦めかけた、その時。
「任せな!!」
「何っ!?」
目の前を白亜の風が通った。
そして・・・。
「サァイフラァァァッシュ!!!!」
ズドォォォォォン!!!
R−3を囲んでいたリオンタイプが一斉に爆発した。
そう。SRXチームの窮地を救ったのは
「へっ、随分苦戦してるみてぇじゃねぇか。助けにきたぜ」
サイバスターのパイロット—マサキ・アンドーだった。
「ニャーに言ってるんだか。ただ迷子にニャっただけニャのに」
リボンをつけた黒猫—クロがぼやく。
「そーだニャ。今回も地球を何周したのか・・・」
若干諦めまじりの口調で鈴をつけた白猫—シロが言った。
「うるせぇ。にしても、ヴァルシオンなんてよく持ってやがったなぁ」
「マサキ、ヴァルシオンを倒すぞ」
「おう!!リュウセイ、乗りな!!」
サイバスターはディスカッターを空間に突き刺した。
リュウセイはきょとんとしていた。
「えっ?乗るってどういうことだ?」
リュウセイの質問に何も答えずにマサキはサイバスターを変形させる。
「サイバスターチェンジ、サイバード!!!」
「!!・・・そういうことか。とうっ!!!」
サイバードの上に乗ったR−1の右手に、エネルギーが集約していく。
そしてディスカッターを突き刺した空間から魔方陣が現れる。
二人が叫ぶ。
「アァァァカシックゥ!!!!」
「ブレイカァァァァァァァァァァァ!!!!!」
炎の魔人と炎の鳥は、ヴァルシオンに突っ込んでいく。

そして。

光が爆ぜた。


「いやぁ、助かったぜマサキ」
「本当ね、ありがとうマサキ」
「いやぁ、そんなことねぇって」
照れ隠しにマサキがぼやいた。
「それにしても、なんのために地上に出てきたんだ?」
ライが純粋に質問した。
「あぁー、それは・・・」


その後合流したリューネにマサキがこてんぱんに怒られるのはまた別の話。

 ■  DY+dtqOd氏作SS「始動!アルトアイゼン」

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その151
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1177424739/l50



839 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/04/30(月) 19:37:42 DY+dtqOd
発動機の出力——安定
推進系および各部アクチュエータ制御系——問題なし
通信および航法システム——問題なし
索敵、火器管制システム——問題なし
全システム正常
モーションパターンを確認し火器管制システムへ機体各部の兵装を割り当てる。
計器の位置やレバーなどのインターフェイスは基本的にMKⅡと同じだ。
座席の座り心地が気になるが——まあ、未使用の新型機だと思えば我慢できないほどではない。

「後3分だ!」

タウゼントスフェラーの機長からの連絡に了解と答え、
戦術情報をリンクさせ外部の情報をディスプレイに表示する。
エクセレン達は敵航空機を撃退したようが、まだ未確認機が数機残っているらしい。
飛行可能な人型機械?
最新の試作機だったビルトラプターでさえ変形しなければ不可能だった空戦をしてみせる機体。
普通では考えにくいことだが——EOTならそういう事もあるか。
だとすればあの敵機の正体は…

「あと1分だ!」

……思索は後でもできる。再び了解と答えシステムをざっと見直す——問題ない。
ジェネレーターの出力をアイドル状態から戦闘駆動へ。
カーゴハッチが完全に開いたのを確認し機長へ連絡を入れる。
「見送り感謝する。こちらアサルト4、出撃する。繰り返す、アサルト4出撃する!」


「了解だ、アサルト4!幸運を祈る。オーv…」
「わたしのMkⅢにふさわしい戦果を期待しますわよ、オーバー」

通信に割り込んで機長を困らせるラドム博士の様子を想像し
笑い出しそうになる表情筋をおさえる。
着地の衝撃で舌でも噛んだ日にはエクセレンになにを言われるか分ったものではないからな。
ああ、遅れたことを侘びでおかねば、それも煩そうだ。

「エクセレン、ブリット、遅れてすまない」

無線で一声かけてから機体のロックを解除してカーゴハッチより降下した。
スラスターを吹かし、機体の関節を開放し衝撃に備える。
見る見る地表が迫り、着地——思ったほどの衝撃が無い。
座席の衝撃吸収性は良好、さすがは新型というところか。
…ばかばかしい、機動兵器に快適性を求めてどうする気だ。
マリオン・ラドムの設計思想にあきれつつ機体をチェック、こちらも問題はない。

警告音!

どうやら敵機はこちらにねらいを定めたらしい
回避運動——反応は悪くないが、機体が重すぎる。
しかも——調整していない為、上体の重さに振り回されて転倒しないように——機体の姿勢がほとんど傾かない。
当然、棒立ち同然の状態ではこまめな乱数回避が全く出来ず——いかん直撃だ!


流石の座席も衝撃を吸収できずハーネスが体に食い込む。
ダメージチェック——幾つかの回路の不具合が自動で予備に切り替わる。
装甲のダメージも問題ないようだ。
機動性は悪いが、その分装甲は厚いか。
ダメージコントロールの必要が無いタフさに感心しつつ姿勢制御を設定しなおす。

続いて火器管制システムを呼び出し左腕部、三連機関砲で反撃を試みる。
姿勢制御をいじった分命中精度が落ちだが、それでも何発かはあたった。
——が、ただ当っただけだ。有効射程距離を超えているらしい。
他の武装——右腕の杭撃ち機と肩の近接炸裂弾も有効射程は短い。
近づかねば何も出来ないのならば突撃あるのみ!
今度は加速性能を試すまでだ。
ジェネレーターの出力を最大、スラスターを全開にして——

—— ッ!一瞬で敵機との間合いがゼロになる!!

ちっ!咄嗟に右腕を繰り出したまではよかったがトリガーを引きそびれた。
なんという加速性能——座席の衝撃吸収性が無駄に高いと思ったが——
何の事はない、それだけ必要だったわけだ。

敵機は大破させたものの、これは俺の実力ではない。
単に相手の装甲が航空機並に貧弱で、かつこちらと重量に差があっただけに過ぎない。
詰まるところ、アルトの性能ゆえである。

成る程、こういう機体か……
その分厚い装甲を頼りに敵機に肉薄し火力の限りを尽くして即時制圧する強襲機。
かえすがえすもバカバカしい機体だが——悪くない。
すくなくとも、大気のなんたるかも知らない月の連中の作った可変飛行機よりは。

確かに量産試作機としては癖がありすぎるかもしれない。
手札で言えばあらゆる局面で優秀な成績を上げるエースではない。
だが、使い方を間違えなければこの機体こそが最強(ジョーカー)だ。

僚機が破壊されるのを見て上空へ退避しようとする残りのアンノウンの頭を
エクセレンとブリットのスプリットミサイルが塞ぐ。
地面に縫い付けられた人型飛行機を、右から——撃ち貫く!
今度はステークの一撃を過不足無く撃ち込む。
二機目撃破!
どうやら、今回この機体に賭けたのは大勝だったらしい。




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845 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/04/30(月) 19:57:23 fBUBG63a
>>843
GJ!



847 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/04/30(月) 19:59:06 LyQ24wb3
>>843
GJなんだな、これが!!

2007年04月30日
 ■  「うきゅ〜ん レオナさん」

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その148
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1176131303/l50


526 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/04/12(木) 23:44:53 5cupI6Q3
SS楽しみにしていますよ!!


1分以内に書き込みがなかったら、『うきゅ〜』と言いながら、タスクの部屋(無人)のベッドにダイブ。
駄目だろうけど。



608 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/04/13(金) 19:52:47 WlnmkDRS
影鏡の94番目にレオナネタを投下してみた。パロディだけど。
興味があるなら見てくれ。


あくまで、パロディです。ネタ元・オオカミさんとかいう小説シリーズ




◇  ◇  ◇


今回の件は極めてメンドクサイ事例だったと言える。
「狙われてる?」
「いや、狙われてるっていうか、部屋に誰か勝手に入ってるっていうか………」
ジョシュア達(ある意味口が堅そうなジョシュア・グラキエース・ムジカ・フォルカ)がタスクから相談されたことが発端だった。
「荒らされてる、とか盗まれた、とかそういった被害はあるのか?」
「特にそういったものはねぇんだが………、物が動かされた感じが多々」
「……薄気味悪いね」
「そうなんだよ、正直気味悪いんだよなぁ……、何か誰が入ってきてるのか解るいい方法ねぇかなぁ?」
「良い方法か…、ちょっと待ってろ」
そう言いつつ、おもむろに電話開始。
——数分後。
「監視カメラを借りれたが」
『どこから!?』

——設置完了

「で、問題の監視カメラからの映像を見てみることにしようか」
「お、おぉぉぉ……」
タスク、いわゆる『出る』関係ではないよな、と少々ビビリ気味。
カメラからの中継映像を見ているタスクとジョシュア。
「く、来るならさっさと来いやぁァァァァ!」
「た、タスクさんもう少し落ち着いて……」
「シングウジ、うるさいぞ」
と会話をしながら2,30分経過。
さすがに今日は来ないか、と思った矢先。映像に動きが起きた。
「き、来たか?」
カキッとか、ガチャガチャとか、物騒な音が響き渡る。
「うち(軍)のロックって鍵穴式じゃない気がするんだけど……」
「なんでも、オオミヤ博士が規定外行動をした際に鳴るようにしてるらしい」
「意味あんのかよ、それ・・・」」
そんなこんなでしばらくしてから、プシューとドアが開く音。
「開いた……」
一体誰が侵入者なのか?と固唾をのんで見守る中、その侵入者が姿を現した。
「れ、レオナちゃん?」
いつもどおり、少々不機嫌な感じでタスクの部屋に入ってきたレオナは、キョロキョロと辺りを見回して……
『うきゅー』
奇声を上げて、タスクのベッドにダイブを敢行。
そのまま布団を抱きしめ、顔を埋めゴロゴロゴロゴロ。
「ジョシュア……、彼女は一体何をしてるんだ?」
「ラキ、世の中には知らなくても良い事がある」
見てはならないものを見てしまった青年は物凄く居心地の悪い顔をしていた。
ちなみにタスクは奇声の辺りから意識を放棄している。
画面内ではまだレオナが布団の上で転がっている。
『はぅー』
胸一杯に布団の匂いを吸い込んでるご様子。いつもの彼女の雰囲気はまったくもって無い。
「……暴走しまくりだね」
ムジカ、少々呆れ気味である。
そのままレオナはゴロゴロしていたが途中でふと我に返ったらしく、停止。
自分の行動を思い返したらしく、顔を真っ赤にしている。
しばらくしてからおもむろにタスクの本棚を物色開始。
そして数分後にピタリと動きが止まる。その視線上にあるものはいわゆるO.D.E.SYSTEMな代物。
挙動不審な態度をとりながら、その本を読み始める。
時折、『なるほど、こういうタイプが…』とか『こういうパターンもありね……』とか聞こえてくるが無視の方針で。
そして、一際スタイルの良い……要するに揺れると一部の人が大いに喜ぶ類のものが大きい女優さんのページで手が止まり、
自分の胸に手を当て、もう一度写真を見やり、ずがーんと肩を落としている。
「……それでズガーンなら、ぼくはもっと地獄だよ」
「………ファーエデン(憐憫)」
「みないで!!フォルカさん、そんな目でぼくを見ないでぇぇぇ!!」
しばらくすると棚の物色も終了したらしく、本を元の位置に置きなおし、扉の前まで行き最後に部屋の内部を見回すと
『うきゅー』
もう一度ベッドにダイブ。さらに数分程ゴロゴロした後ベッドを元の形に戻すと、一つ頷きそのまま出て行った。
ジョシュアは無言で監視カメラの中継をきった。なんというか、皆言葉がなかった。
「じょ、ジョシュアさん……」
「見なかったことにしてやれ……」
尚、タスクは意識を放棄したまんまである。


後日、その映像をレオナに見せたのだが、その結果はまあ別の機会ということで一つ。



◇  ◇  ◇



609 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/04/13(金) 20:19:40 kFkdJS26
>>608GJ
レオナ可愛いよ!レオナ!



610 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/04/13(金) 20:23:09 QLEAGvew
>>608
うおおおおおおおおおおおおおおお!!



611 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/04/13(金) 20:26:21 oku/ARea
>>608
やってくれる



612 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/04/13(金) 20:41:15 DPcO02bi
>>608
GJなんだぜ



615 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/04/13(金) 21:00:22 hzpVGHz9
>>608
貴様のネタで何人の人がが悶え死ぬと思っている!!
もっとやれ!!



616 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/04/13(金) 21:15:17 aAdaHnFz
>>608
とってもGJですの

っていうかレオナのあの声でうきゅーとかいうのか!?

・・・・・・・・・・・・・・・ちゃべー(蝶やべーの略)、ちゃべーよ!!



655 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/04/13(金) 23:24:53 vTI7KSoS
>>608
亀レスだが、

なんか…某のだめのテンションで再生されちまったぜ。GJ!

 ■  JyKap3ip氏作SS「リルカーニャ・マタタビパニック」 ver.2

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その145
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1175181209/l50


430 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/03/31(土) 22:30:46 JyKap3ip
流れを切ってSS投下していいですか?


434 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/03/31(土) 22:34:08 44hJnNrH
>>430
バチコ〜イ



435 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/03/31(土) 22:36:09 JyKap3ip
良かった…気付いてもらえたw
では…初SS投下

このスレで見たカーラ=猫って、物凄くド真ん中の設定のせいでこんな電波を受信した。

参考記事: ウキーラスキーが求めていた萌え設定





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次の出撃に備えて機体を整備するために格納庫に向かっている最中の事。

ユウ「おい、そんなにくっつくな!」
カーラ「いいじゃん恋人同士なんだし♪」

こいつは…と思いつつ満更でもないユウ。
そんなことを知ってか知らずか、後ろを歩いていたマサキが嫌味っぽく言う

マサキ「昼間っからご苦労様だぜ。通路でイチャイチャと」
クロ「マサキ、モテにゃいからってひがみは良くないにゃ」
シロ「ごめんにゃ二人とも、気にしにゃいでイチャイチャしといてにゃ」

マサキは、自覚が無いだけで結構モテるし嫌味を言ったつもりはないのだが…

ユウ「イチャイチャなどしてな…ん?」
???「あ!居た!クロ〜!シロ〜!」

通路の行き止まりから赤い髪の女の子がこっちに向かって走ってくる。
マイだ、彼女の手には何かが握られている。

シロ&クロ「「ンニャ!?それは!!」」

彼女の手に握られている「それ」に気付いた二匹は急に興奮し始めた。

マイ「シロとクロはこれが好きだって、アヤに聞いたんだ!それで部屋で育てていたんだ。」
カーラ「マタタビ!!私にも分けて〜♪」
シロ&クロ「「ニャニャニャニャ〜!よく分かってるじゃニャいか〜〜♪」」
マサキ「マタタビか。お前ら好きだよな〜…でもお前らじゃれ過ぎて酔うなよ。」

普段は人見知りのマイも、シロとクロとカーラ(?)の凄い喜び様に興奮しているようで積極的に話しかける。

マイ「酔うのか?何でだ?」
マサキ「あぁ。でも何でだっけ?」

ユウはすかさず

ユウ「猫にマタタビを嗅がせると、なめる、かむ、頭をこすり付ける、体をくねらせたり転がりながら身もだえる、
よだれを垂らして恍惚状態(フレーメン状態)になるんだ。
これは、マタタビの葉、茎、実に含まれている揮発性のマタタビラクトンとアクチニジンという物質が、
猫の神経を刺激したり麻痺させたりし、性的快感を覚えさせるような成分だとわかってきたと言われている。
しかし、それらの成分がどのような理由から猫科の動物にのみ効くのかなど、まだまだ判らないことが多いんだ。」

マイ「そ、、そうなのか…(ほとんど理解できなかったけど…)あ、、ありがとう…(凄く早口だった…)って!」
マサキ「お、、お前、猫好きなんだな…って!」
ユウ「常識だ。…というかいい加減離れろカーラ、何かさっきから熱いぞ。って!カーラ!?」
カーラ「ん〜?どぉしたの〜?ユウぅ〜」

なぜかカーラは酔っていた。
しかし、そんなことなんか吹っ飛ぶ事態が起きていた


ユウ&マサキ&マイ「「「耳!!!」」」
カーラ「みみぃ〜?耳なら誰にでもあるでしょ〜」
ユウ&マサキ&マイ「「「ネコ耳!!!」」」
カーラ「ネコ耳ぃ〜?…っは!」

カーラは酔いからは一気に醒めたが、思考は逆に完全に停止している。
今戻すことも出来るが、それじゃ逆効果だと本能で悟った。だがそれから先の「これからどうしよう会議」が進まない

ユウ「い、、いつの間につ、、付けたんだ?」
マサキ「何かぴょこぴょこ動いてないか?…よく出来てるな〜。これ」
マイ「か、、可愛いな!私にも貸してくれ!」
シロ「カーラ何かいつもより色っぽいにゃ〜(酔ってる)」
クロ「シロ!…確かにいつもより可愛いにゃ〜(こちらも酔ってる)」

これで天然と普通の人が判別できるな〜。
と一週回って冷静になってきたが、出てくる答えは一つしかなかった…

カーラ「あ!部屋に尻尾忘れてきた!取ってくるね〜!」

凄い速さで、というか四足で部屋に逃げ帰ったカーラ。口にはマタタビを銜えて。

マイ「何でカーラはマタタビ銜えてたんだ?」


その後で、戻ってこないのが心配で部屋に来たユウを半分野生化したカーラが(性的な意味で)襲ったのはまた別の話。

りるかーにゃさん by黒い兄氏


続きが読みたい人は「ピカチュウ ピカチュウ」と叫んでください。




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437 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/03/31(土) 22:40:17 JiGn7VPf
デカチュウ デカチュウ



438 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/03/31(土) 22:41:50 erHJnD/V
ライチュウ ライチュウ



439 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/03/31(土) 22:43:46 6OJibvyD
ピチュー ピチュー



440 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/03/31(土) 22:44:34 FmtROfBt
セカチュウ!セカチュウ!



441 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/03/31(土) 22:45:45 Jmx3fNWA
デンリュー デンリュー



442 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/03/31(土) 22:46:27 8sI8O77J
テツヤとレッフィーのチュウ、テツヤとレッフィーのチュウ



443 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/03/31(土) 22:47:22 wX7SUjVF
>>442
あんしんパパ自重


ピッカチュ、ピッカチュ!!

2007年04月29日
 ■  「明日の『艦長』とヒゲ男」

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その148
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1176131303/l50


251 :140 :2007/04/11(水) 00:13:39 kxJmRFpy
執筆中のSSだが、とんでもない長さになりそうだ・・・・・
コンテスト時と戦闘時の2つに分けてUPしようと思う。
コンテストは完成しているのでコンテストをUPしました・・・


前回の続き



◇  ◇  ◇


第??話 「明日の『艦長』とヒゲ男」 コンテスト編
今、極東支部伊豆基地の大型レクリエーションルームではあるコンテストの開始が待たれていた。
特設ステージの上の幕には「明日の艦長×5は君だ!一番星コンテスト」とどこかで見た事のあるタイトル、そして会場には何故かヒゲの魔神像が。
ステージ横には、学校等にある大き目の机付きのイスが。しかも「実況」と「解説」の貼紙付きの机。そこにはタキシードに着替えた孫光龍とライが腰掛けていた。
その隣の「審査員」と貼紙のしてある机のパイプイスにはトウマ、統夜、ジョシュア、カズマ、テツヤ、ショーン、リー、ブレスが腰掛け、そして一際大きく
「審査員長」の貼紙のしてある机のパイプイスにはダイテツ艦長が、その隣の「特別審査員」の机には何故かジョナサン博士が腰掛けていた。
そして、ステージ前の観客席にはズラリと敵味方関係無しに揃った男性メンバーがと少数の女性メンバー。だが、数人の男性メンバーと多数の女性メンバーがいない。
何故このような事態になったのか・・・それは数日前のある少年の一言で始まった。

事の始まりは艦の整備のため、ハガネ、ヒリュウ改、クロガネ、シロガネ、ヴァルストークからなる艦隊「ブルースウェア」が極東支部伊豆基地に寄航していた時。
ヒリュウ改の食堂での会話だった。荷物を届けに来たついでに食堂で昼食を取っていたカズマ・アーディガンがいきなりこんな事を言ったのだった。
「なあ、この戦艦じゃあ艦長コンテストはやらないのか?」
無論、付近の者は固まるなり食べていた物を吹き出すなり喉に詰まらせて死に掛けたりとそれぞれがリアクションを取る。
「艦長コンテストって・・・・そんなのあったか?」
「あれ?統夜さんもナデシコ乗った事あるって聞いたけど・・・統夜さんの時は無かったんだ。凄かったぜ・・・」
「へえ〜・・・・」(よかった、あったら絶対カティア達に女装をさせられて参加させられたって。)
笑顔で相槌を打ちながら、背中にはビッショリと嫌な汗を掻いている統夜。そして、そんな統夜を見て「どういうコンテストかは分からないが、無くてよかったな」
と言わんばかりの苦笑いに近い表情を浮かべてるトウマとジョシュア。
「でも、ヒリュウ改の艦長のレフィーナ艦長は女性だから意味がない気がするんだけど・・・・・」
「統夜さんの言う事ももっともだけど、1日だけでも変わるのも面白そうじゃないか?」
「面白そうって言っても人にもよるぜ?カチーナ中尉だったら鬼の特訓になりそうだし・・・・」
「じゃあ、俺の所のヴァルストークも含めて5艦全てでやってみるたらどうだ?それなら万が一の時の避難所も出来るかもしれないし。」
「その前に、艦長達から許しが出ないだろ。家の親父が何かしない限りは・・・・」(メキメキメキメキメキメキメキメキメキ・・・・・
「ジョ、ジョシュア・・・落ち着け・・・・」
ジョシュアの手に持ったスプーンがメキメキと音を立て折れ曲がっていくを見たため、必死で落ち着かせようとするトウマ。
このまま特に会話の進展も無かったため、誰もが実際に起こりえないと思っていたコンテスト。だが、彼等は知らなかった。
食堂入り口でヒリュウ改の紳士でもある副長のショーンがこの会話を聞いていた事を・・・・・

それから3日後。各艦の掲示板にはこんな貼紙が貼られていた。
「明日の艦長×5は君だ!一番星コンテスト!!
参加資格:女性であれば誰でも参加可能です。また、例外として女装が似合う男性なら数名のみ可です
優勝者5名はハガネ、ヒリュウ改、クロガネ、シロガネ、ヴァルストークの1日艦長をしてもらいます。副賞も有りますよ
(無論、1日限りですがブリッジ要員や副長も変更可能です。)
審査方法:水着審査、及び、歌唱力審査
審査員:各艦の艦長(ヒリュウ改のみ副長の私が)ハガネのダイテツ艦長には審査員長を務めていただきます
また、一般審査員としてアル=ヴァン・ランクス、トウマ・カノウ、ジョシュア・ラドクリフ、カズマ・アーディガンの4名に協力していただきます
なお、特別審査員としてテスラ研所長のジョナサン・カザハラ博士が参加いたします
参加希望の方はヒリュウ改の副長室か、直接この私、ショーン=ウェブリーまで」

最初にショーン副長に呼ばれた4人の話によると、レフィーナとテツヤとリーは隊の士気の上昇のためと言いくるめ、ダイテツとブレスには真実を話した所
二人とも快く承認したため、このコンテストは行なわれる事になったとの事。
カザハラ博士はショーンが連絡した所、ぜひともという返事が返ってきたため、特別審査員に選ばれたという。
なお、ブレスの人脈により、敵対組織にまでこの情報は伝わり、結果として参加者は敵味方含めたすべての女性キャラ、そして不運にも女装が似合うキャラとして
リョウト、クォヴレー、フォルカ、インファレンス、ウェンドロ、ラリアー、アラド、イングの8名が女装参加となった。

それから2日後。そう、一番星コンテストの当日である現在に時間軸は戻る。
特別審査員席では少し様子のおかしいカザハラ博士を気遣ってか、統夜が話しかけていた。
「え〜と・・・テスラ研のカザハラ博士ですよね? 何だか普段と雰囲気か違うような気が・・・」
「え?そ、そうかな・・・・・・?」
ドキリとするジョナサン。それもそのはず。このジョナサンはこちら側の世界のアクセルの変装である。
特別審査員を引き受けたはいいが、実験のスケジュールがズレてしまい、参加できなくなってしまったためテスラ研でテストパイロットをしていたアクセルに
自分に変装してコンテストの様子をビデオカメラに収めてきて欲しいと依頼したのである。
テスラ研で働かせてもらっている身のアクセルは断る事が出来ず、ここにこうして来ているのである。
「・・・俺の気のせいだったみたいですね。すみません。」
「い、いや・・・気にしないでくれ・・・」
「そうですか・・・・俺、元々は審査員じゃなかったんですけど、アル=ヴァンさんが急用が出来ちゃったみたいで代理で引き受ける事になって・・・
それでちょっと緊張しちゃって・・・・」
少し笑いながら言う統夜。つられてカザハラアクセルも笑おうとするが、変装がばれないようにするため、顔がどうしても強張ってしまう。
「そ、そうか・・・まあ、リラックスしていつも通りにすればいいんじゃないかな?」
「そうさせてもらいます。あ、そう言えばイルム中尉のパートナーも出るらしいですよ、このコンテスト。」
「そうなのか?これは楽しみなんだな、これ・・・おっと。」
危うくいつもの口癖が出そうになるカザハラアクセル。幸い、統夜には聞こえていなかったようである。

突然、会場の電気が消え、スポットライトが司会席の孫光龍に当たる。
「え〜大変長らくお待たせしました。ただいまより〜『明日の艦長×5は君だ!!一番星コンテスト』を開催いたします!!」
孫光龍の開始の声と共に、電気が再び付き、会場から割れんばかりの拍手や口笛が鳴る。
「さて、始まりました一番星コンテスト! 本日の司会は私、孫光龍が。解説は元大関スケコマシのライディース・F・ブランシュタイン少尉でお送りします!」
「ごっつぁんです・・・ってなんなんだこの台本!誰が元大関スケコマシだ!!」
「カズマ、あの二人の声って・・・・・」
「統夜さんも思った?ウリバタケさんとアカツキさんにそっくりだよな?しかもセリフも殆ど同じだし・・・・」
「そうそう。そっくりだよな。セリフまで同じとは・・・・やるなぁ・・・」
ひそひそ声でナデシコ乗船経験者二人が話している中、カザハラアクセルはしっかり任務(ビデオ撮影)をしていた。

「審査員の皆様の解説は・・・まあ、みんな知ってるだろうし省かせてもらおう。」
「まあ、人数も人数だからな・・・・最初100人超だったのが書類審査で50人まで減ったとはいえ・・・・」
「さて、まずはエントリーナンバー1番。エクセレン・ブロウニングさん。曲目は・・・『負けない愛がきっとある』です。では、どうぞ〜」
音楽と共にバスタオルを纏ったエクセレンが現れ、歌を歌いだすと同時にバスタオルを飛ばした。その下の水着は、男性数名が鼻血を出して倒れる程キワドイ物だった。
「解説のライディースさん、どうでしょうか?」(鼻にティッシュ)
「そうだな、水着はいつもとあまり変わりないようだが、この歌は考えさせられるな。」(平然)
「ほほう。どんな風にですか?」
「セリフで言うなら・・・『俺は、俺は、一体何のために、戦っているんだ。』だな。」
「ほほう。そうですか・・・今のセリフどっかで聞いたことが有るような気が・・・」
「気のせいだ。」
キッパリ言い切るライ。その解説を受けたのかどうか知らないが、リュウセイが考え込んでいた。
「なあ、リュウセイ。どうした?」
「ブリットか・・・いや、何かこの流れでいくと俺、『マグマストリーム』とか『ゴットバード』とか言わないといけない気がしてな・・・」
「な、何なんだそれは・・・・・」
「さて、張り切っていってみようか。エントリーナンバー・・・・・」

コンテスト自体は1時間半ほどで終了した。途中、クスハの水着を見たブリットが鼻血を吹き出す、レオナの歌声で大多数の人が死掛ける、
女装したリョウト、ラリアー、アラド、イングのロリ?チームと女装したフォルカ、クォヴレー、インファレンス、ウェンドロの美形チームにお姉様方が
倒れる、あのライがオウカの水着姿(しかもスクール水着で名前の所には平仮名で『おうか』と書いてあった)で倒れるなどのハプニングがあったが・・・

「さて、集計結果の発表の時間となりました。トップ5は・・・・・」
孫光龍の口からトップ5が発表される瞬間、サイレンの音が響き渡った。
「このサイレンは・・・敵襲!?」
「せっかくのコンテスト結果発表を台無しにするなんて・・・ジョシュア、統夜、行くぞ!!」
「トウマさん、カザハラ博士がいません!あと、そこにあったヒゲの魔神像も!!」
統夜の言うとおり、会場から忽然とカザハラ博士とヒゲの魔神像が消えていた。カザハラの名前を聞いたのか、イルムが話しかけてきた。
「親父?親父なら今頃テスラ研で実験中だぞ。」
「ええっ!?じゃあ、俺の隣にいたカザハラ博士は一体・・・・」
「統夜、ともかく今は発進だ。キョウスケ中尉がすでに発進している。何だか物凄く怒っていたが・・・・」
統夜に発進を促すジョシュア。彼はどうやら数少ないキョウスケの怒りを感じ取れる人物のようだ。




◇  ◇  ◇

統夜&スレイの大轟鳳、トウマの大雷鳳、ジョシュアのエール・シュヴァリアー、そしてキョウスケのアルトアイゼン・リーゼが発進した時、
目の前では全く同じ機体同士・・・そう、ソウルゲイン同士が睨み合っていた。
ただし、片方は見慣れた青色だが、もう片方は白かった。
「ソウルゲインが二機だと・・・・・・どういう事だ?」
「あれって会場にあったヒゲの魔神像ですよね・・・・?」
「それは分からんが・・・片方の機体はシャドウミラーの機体だ。試しに・・・・」
キョウスケが青いソウルゲインに通信を入れる。すると、画面には見慣れた顔、そう、アクセル・アルマーだ。
「来たか、ベーオウルフ。このお祭り騒ぎに乗じてW17とお前を仕留めるつもりだったが・・・まさかこちら側にソウルゲインがいるとは・・おかげでここで足止めだ。」
「お前が平行世界のアルトに出会ったように、こちら側にも平行世界のソウルゲインはいる。残念だったな。」
「フン、まあいい。この場でお前を倒し、W17を引きずり出す!!」
アクセルが指を鳴らすと、どこからとも無くゲシュペンストMk−II・Mが現れた。

「キョウスケさん、周りの敵は俺達が引き受けます!!ソウルゲインの相手を!!」
「すまない・・・賭けを邪魔されたからな・・・たっぷりと例はさせてもらう。」
統夜達はキョウスケの言葉を聞くと同時にゲシュペンストMk−II・Mへ向かっていく。リーゼと青いソウルゲインが今にも激突を開始しようとしたその時
リーゼのコックピットに今面と向かっている男と同じ声が聞こえた。
「会話を聞いた限りじゃ、キョウスケも向こう側の世界の俺とは因縁があるみたいだな・・・・」
「向こう側の世界の俺・・・・ッ!?もしやお前はこちら側の・・・・」
キョウスケの呼びかけに答えるかのように、映像回線が開かれた。そこには、もう一人のアクセル・アルマーがいた。
「ご名答!!俺はこっちの世界のアクセル・アルマー。まあ、今はテスラ研でテストパイロットをしているんだな、これが」
「バカなッ!?平行世界の俺だと!?こちらの世界に戻っていたのか!?」
もう一人の自分の登場にさすがのアクセルも動揺していた。どうやらこの二人。以前向こう側の世界で会った事があるようだ。
「久しぶりだな。向こうの世界の俺。悪いが俺はキョウスケ側に協力させてもらうぜ。さて、いっちょ行きま・・アイタ〜ッ!!」
こちら側のアクセルが何かを言おうとした時、遠距離からの砲撃が白いソウルゲインを襲い、白いソウルゲインは吹き飛ばされた。

「アクセル隊長、援護に来ました。」
艦長コンテストに出場していた時の水着姿のままのエキドナがラーズアングリフに乗り、ゲシュペンストMk−II・Mを8機ほど引き連れて現れた。
「よくやったW16。しかし・・・その格好はどうにかならんのか!!」
「すみません。服は本部の方へ置いてきてしまいました。」
「・・・・・まあいい。これで形勢逆転だな。ベーオウルフ、お前の仲間達も苦戦しているぞ?」
見れば、乗っているパイロットの質がいいのか、はたまた機体が改造されているのか、どちらにしろ統夜達は押されていた。
「クッ・・・・・アクセル、無事か!!」
「何とか無事なんだな、これが・・・それにどうやらこっちにも援軍が来たようで。」
アクセルの言葉通り、ヴァルストークとアルムストラ、そしてヴァルホーク、Jカイザー、ラフトクランズ(カルヴィナ機、フー機、アル=ヴァン機)アルムアルクスが
援護に来た。戦艦2隻からの砲撃は凄まじく、最初からいたゲシュペンストMk−II・Mはほぼ壊滅状態に近かった。

「テニア、カティア、メルア!!来てくれたのか!!」
「もっちろん!!統夜のピンチを見過ごす訳ないでしょ!!」
「メルア、準備は出来てる?」
「バッチリです。フーさん、お願いします。」
「分かった!!ラフトクランズ、オルゴンサテライトバスターモード!!」
フーのラフトクランズが変形を開始し、大型の銃となる。そして、Jカイザーがそれを手に持ち、月からのマイクロウェーブをJカイザーが受信する。
「「「「必殺!!オルゴンバスターキャノン!!」」」」
銃形態に変形したラフトクランズから光が迸り、射線上にいたゲシュペンストMk−II・Mが消滅していく。

「スレイさん、行きますよ!!」
「ああ、行くぞ、紫雲!!」
やや強いゲシュペンストMk−II・Mを正面に見据え、大轟鳳が構えに入る。
「「ヴォーダ・アンド・シャイン!!」」
「「クード・レイ・フェス・ヴィ・ティア・・・・」」
大轟鳳の右手が緑色に、左手が青色に光り、サイトロンの光がゲシュペンストMk−II・Mを捕らえる。
「「ハァァァァァァァァァァァァ!!」」
二人の気合と共に放たれたヴォーダ・アンド・シャインによって、ゲシュペンストMk−II・Mのコックピットはもぎ取られ、機体は爆散した。
「行くぞ、外道・・・ライジングメテオ!!」
大雷鳳のライジングメテオ・インフェルノが敵を蹴り上げ、ジョシュアのエール・シュヴァリアーがサイファーソード二刀流のバーストレイヴ・クロスが
敵を切り裂く。完全に状況はブルースウェアに傾いており、残っているのはラーズアングリフと青いソウルゲインだけだった。

「行くぞ、カルヴィナ!!」
「分かってるわ、アル!!」
二機のラフトクランズがラーズアングリフに向かい、絶妙な連携で攻撃を決める。ライフルを同時に放ち、カルヴィナがクローで掴んだ後、上空へ投げ飛ばす。
そしてトドメとばかりに、アルがソードFモードで斬りつける。
「名付けて・・・ダ———ラブラブアタックでいいんじゃない?」
最後の締めをアルが言おうとしたが、カルヴィナの一言で遮られた。
「ら、ラブラブアタックって・・・キョウスケ中尉達の攻撃じゃ・・・・」
「長ったらしい名前より、こっちの方がいいでしょ?」
「・・・・・・・」
顔が赤くなりながらも、否定をしないアル。完全にカルヴィナペースだ。
「隊長・・・・・」
「W16、早く離脱しろ。」
「・・・・了解です。」
ラーズアングリフが撤退しついにシャドウミラー側は青いソウルゲインだけになった。対峙するのは白いソウルゲインとリーゼ。他の機体は周りで待機している。

「ったく、せっかくの祭りをぶち壊しにするなんてとんでもない事をしでかしてくれたんだな、これが!」
「チッ・・・貴様の介入さえなければ、うまくW17を始末できたものを・・・!」
「そっちの事情は知らないが、楽しみを邪魔されたこっちとしてはあんたにゃさっさとご退場願いたいんだな、これが!」
互いに玄武剛弾を打ち合い、弾きあう二機のソウルゲイン。
「チィ・・・性能は同じか・・・・」
「そのようなんだが、これが・・・だが、こっちには・・・」
「俺がいる事を忘れるなよ、アクセル!!」
白いソウルゲインがしゃがみ、その後ろからリーゼがアヴァランチ・クレイモアを叩き込む。
青いソウルゲインが体制を崩した所に、白いソウルゲインが突進し、麒麟を叩き込む。
そして、トドメにリーゼのリボルビング・バンカーを全弾叩き込む。
「ぐおっ!!おのれ・・・ベーオウルフ、アクセル!!」
各部から煙を出し、撤退していく青いソウルゲイン。
「さすがだな、アクセル。」
「キョウスケもやるな、俺達結構いいパートナーになれるかもな。今のは名付けるなら麒麟撃か?」
「・・・・・お前とパートナーか・・・フッ、いいかもな。」
互いに褒めあうキョウスケとこちら側のアクセル。

「で、結果はどうなんだ?」
「そうそう。結果を聞かないとこっちも帰れるに帰れないんだな、これが。」
戻るなり、孫光龍に詰め寄る二人。そんな状況でも孫光龍は悠然としてる。
「あ〜結果?それがさっきの襲撃で紙が燃えちゃってね・・・・結局はノーコンテスト。艦長はそのままさ。」
「何ッ!?それじゃあ、賭けも無効か・・・・・」
またもや賭けをしていたキョウスケ。エクセレンは呆れたように聞く。
「ダーリン、またなのね・・・・・と・こ・ろ・で・誰に賭けたの?」
「それはエクセレン、お前だ。」
「んふふふふ〜♪ダーリン、ちょーっといいかなぁ〜〜・・・・・・?(ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・・・)」
「じゃあ、用件済んだから俺は帰らせて・・・」(ガシッ)
「俺とお前はパートナーじゃないのか?だったら最後まで付き合ってもらうぞ・・・・(ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・・・)」
「え?ちょっと、キョウスケ、それにエクセレンまで・・・ちょっと・・・・」
ダブルで物凄いオーラに当てられてるアクセル。その後、アクセルの悲鳴が聞こえたとか聞こえなかったとか・・・・・・・

       完




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272 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/04/11(水) 07:47:36 7S9fedB9
>>269
ダ…何を言おうとした、アル=ヴァン…。

とりあえず、動いてる大轟鳳とJカイザーを見られただけでお腹いっぱいですた。
と言うか、あのカオスを良くぞまとめたもんだ。GJ!


275 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/04/11(水) 08:41:57 4Yb+WYUD
>>269
ダブルオルゴンストライクとでも言おうとしたのか?アル=ヴァン・・・・

ともかくお疲れ様でした、GJ!!!


2007年04月26日
 ■  イングラム先生のお悩み相談室 (その6)

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その146
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1175437229/l50


前回の続き



602 :599 :2007/04/04(水) 04:19:45 Jd5lEIHt
おまけ

自分で書いていて、あまりの壊れっぷりに削除した一文。
取り合えず、置いときます。

※ODE…ではありませんが、九割方冗談で書いています。自己の責任でお読み下さい。
キャラのイメージを大切にしたい方はスルー推奨。




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「見ていて本当に気の毒だな、アイツは。…何とかしてやりたいが」
 寝台に潜っても、頭を掠めるのは先程見たアラドの疲れ切った表情だった。
 …イングラムがここまで気にかけるのは、その発端に自分の行動があるからだけではない。…アラドに笑顔を取り戻して欲しい。そんな強い思いがあった。
「…寝るか」
 だが、どれだけ思いを巡らせても良い考えは浮かばない。イングラムは思考する事を放棄して、睡魔の尻尾を掴んだ。

——そうして、彼の下にも甘美な地獄が訪れた
「う…ぐっ…かっ、ぁ…!」
 不意に襲ってきた息苦しさ。呼吸の自由が奪われたイングラムは眠りの底から浮上しようとする。
「息…が、ぁ…肺が圧迫、されて…!」
 重たいものが自分の胸に圧し掛かり、その重みで潰れた肺は正常な機能を果たせなかった。
「ぐ…ぅ、…なっ、何だ?」
 堪らずに目を開けたイングラム。…前にも似た事があった気がする。そんなデジャヴュが脳内を通過し、状況の確認に努める。
 …自分に密着する見知った感触が確かにあった。

「あんん…少佐ぁ…♪」

 エッチぃ声が聞こえてくる。
 不埒な輩がその豊満な乳をイングラムの胸板に乗せて爆睡していた。
「この…馬鹿女め。何処から入った…」
 セレーナはくすぐったそうに身を捩ってイングラムの裸の上半身に体を擦り付けていた。
 …彼女に寝込みを襲われるのは初めてではない。あんな事があってから流石に警戒したイングラムは自室の戸締りを厳重にしていたが、この女には効果が無かった様だ。
「他人の安眠を妨害しおって…!」
 前は不問と言う事にしたが、今回ばかりは無視する訳にはいかない。眠りを邪魔されたイングラムは内に燃える怒りのままに大声で叫んだ。

「チェンジ!」

「なっ!?なんですとおおお〜〜〜!!?」
 セレーナが飛び起きる。裸のお胸が惜しげも無く晒されてぷるぷる揺れた。
「五月蝿いわ乳牛!とっととその脂肪の塊をぶら下げて消えろ!」
 だが、そんな事で一端火が付いたイングラムの怒りの火は消せなかった。

———スパン!
「「なっ」」
 突然、イングラムの部屋の自動ドアが壊れんばかりの勢いで強引に開かれた。二人はそれを成した人物を見て絶句した。
「私の出番の様ね」
 そこには下着だけを着用した先生の片割れが仁王立ちしていた。
「っ!!…たっ、大尉…!」
「聞こえなかったのかしら?敗者は潔く消えなさい。この場に居て良い女でなくてよ、貴女」
「…くう」
 イングラムに拒絶された事を知っている様にヴィレッタは謂う。セレーナはぐうの音も出せなかった。
「な、何が…起きてるんだ?」
 流石の先生も状況が飲み込めない。そもそも何だってチェンジ等と戯けた事を口走ったのだろうか?…案外、アカシックレコードの為せる業かもしれない。
「ふっふふ。馬鹿ね。胸に執着は無いってアレほど言ったでしょうに」
「ぅ、ううぅぅ〜〜〜」
 懲りずにそれに頼った貴様の落ち度だ。ヴィレッタはセレーナを嘲笑し、セレーナは半泣きになりながらイングラムを見た。

「あー…胸が張ってるなら、搾って貰ったらどうだ?…俺以外の誰かに」

「少佐の阿呆〜〜〜〜!!!近親マニア〜〜〜!!!!」
 床に落ちていた自分の装いを拾い上げ、セレーナは滝の様な涙を流しながら出て行った。 

 グラマー × 『有害 取り扱い注意』

「邪魔者は消えた。それじゃあ…ね」
「む」
 兄のそれを彷彿させる艶のあるエロ声だった。
 スス…と、軽やかな足取りで片割れに近付く妹。そこには微塵の躊躇も無い。
「私が貴方の一番だって事、思い出させてあげるわ」
 そうして、イングラムの唇を指でなぞるヴィレッタ。だが、兄は情熱的な妹を放置して寝台に身を横たえた。
「一線は越えんぞ?…と、言うか寝させてくれ…」
「…チッ」
 ヴィレッタは舌打ちした。

———三十分後
「・・・」
「んっ…イングラム……」
 寝付きがかなり良い部類にヴィレッタは入るのだろう。寝台に潜って数分でヴィレッタは夢の世界に旅立った。
 抱き枕である自分の兄をギュッと抱きながら、夢飛行を堪能する妹の寝顔は幸せそうだった。
 だが…
「これは…寝る以前の問題、だな…っ」
 イングラムは一人取り残された様に起きていた。眉間には皺が寄り、今の現状に不満がある事を如実に語っている。
 その原因は簡単な事だった。
「ほ、骨が…当たって痛い…っ!」
 ヴィレッタの恥骨、鎖骨、腰骨…その他諸々がイングラムの肉に食い込んでいた。その痛みからイングラムは完全に眠気を削がれてしまった。
 ヴィレッタは胸や尻は出ているが、それ以外の箇所の脂肪は非常に薄い。体重が50に満たないのだからそれが当然。だが、そんなモノに抱きつかれては痛いのは必定だった。
「ぐっ…く、糞。こっちの気も知らないで、スヤスヤ寝おって…!」
 かなり強い力で抱き付かれているので、その抱擁を解く事は不可能だった。存外に硬い抱き枕はヴィレッタのお気に入りの様でそれを離す気配を見せない。
 理不尽な怒りが湧いた先生はまたあの台詞を叫ぶ。

「チェンジ!」

「え…ちょ、な、な…!一体、何!?」
 ヴィレッタもまた飛び起きる。どうして自分がそれを宣告されるのか理解していないらしかった。
「喧しいわ虚弱体質!お前は肉付きを良くする所から始めろ!」
「ちょっ…!あ、貴方は何様のつもりなのよ!」
「お前の体は痛いんだ!早く失せろ!出直せ!」
 …端から見れば凄まじく間抜けな寸劇にしか見えないだろう。だが、そのどちらも切実なモノを抱えると言うのが笑える。
 感触が気に入らないと言う理由で女をとっかえひっかえする兄と、自分の欠点が兄の安眠を妨げる事に気付けない妹。…シュール過ぎる光景だった。

———スパン!
「え、援軍か!?」「今度は誰よ!?」
 ヴィレッタがそうした様にイングラムの部屋の自動ドアがまた強引に開かれた。…恐らく、修理が必要な状況になっているに違いない。
 次なるチャレンジャーが入場してきた。
「ご指名有難う御座います♪」
「Oh…mammy」 
——あなたは何処のお水のお姉さんですか
 血の気の失せたイングラムはそのままフラッ、と寝台に沈みそうになった。その人物は先生にとっては忘れられない女だった。
「ア、ヤ…っ!あ、あなた…」
 アヤ=コバヤシがかなり際どい下着を着用として現れた。
「敗者は此処には居られないルール…そうでしたよね、隊長?」
「…ぅ、あ…」
 そんなルールは何時決まったのだろうか…?恐らく、ほんの小一時間前だろう。
 自分がセレーナにそうした様に言われるヴィレッタ。アヤはそんな悔しそうなヴィレッタを凄惨な笑みを浮かべながら見ていた。
「これは、苛め?いや、新手の嫌がらせか…?」
 此処まで来れば、どんな状況だろうが笑い話にしかならない。イングラムは何とかこの状況に納得いく解を出そうとするが、それは無駄だった。
「それで…誰がイングラムさんの一番ですって?」
「ふ、ふん…そんなの、そ…そんなの…」
 決まり悪そうにイングラムを見るヴィレッタは半泣きだった。何か自分を助ける言葉が欲しいヴィレッタはイングラムに縋る。

「済まんが…俺の一番は俺自身だ」

「っ…そ、そう。そう…なの」
 今の現状に於いて、誰も自分の伴侶に添える気は無い。イングラムはそう語った。助け舟を出されなかったヴィレッタは潔く部屋を出て行く。
「くたばってしまうが良いわ。…インポ野郎…っ!」
 最後の最後に捨て台詞を吐いたヴィレッタの顔には涙が一筋伝っていた。

 スレンダー × 『問題外 ご協力有難う御座いました』

「やっと…機会が巡ってきました。イングラムさん…」
「・・・」
 情の篭った翠の瞳が燃えていた。それを直視出来ないイングラムはプイ、と顔を背けてベッドに逃げ込んだ。
「…つれない人。私の心、知っているのでしょう?」
 イングラムの背中にのの字を書くアヤは寂しそうだった。
「…ODEシステムの発動は不許可だ」
「…意地悪」
 恨みがましい視線が背中に刺さる。イングラムはそれを全力で無視して寝る事に努めた。
 縁りが戻りそうになっている現状に於いて、再び過ちを犯す事だけは避けたかった先生だった。

———三十分経過
「っ…あ、ぁ…くぉぉぉ…っ…っ!」
「イングラム少佐……好きぃ…」
 もう何が起こっても驚かない。そう居直った先生だったが、そんな空元気はアヤには通用しなかった。
 二度ある事は三度ある。セレーナの時を超える息苦しさが先生を苛む。
「かっ…ぁっ、気、道が…ふ、塞がれ…!」
 否、これは息苦しさと言うレベルではない。切実に呼吸が出来ないのだ。口も鼻も柔らかい感触に包まれ、鼻腔に漂ってくるアヤの甘い体臭。
 あろう事か、アヤは自分の均整の取れた美乳でイングラムの顔を抱いて寝ていたのだ。先生の口や鼻はおっぱいで塞がれていた。
「ぬ、ぅ…っ!!!」
 …嘗て別の世界で自分が倒したアンドロイドや怪獣、自分が殺した超機人がこっちに来るなと大声で手を振っていた。
 三途の川が見えた先生はその死に至る包囲網を突破し、漸く呼吸の自由を得るに至る。
「はあ…はあ…はー……くっ」
 貪欲に酸素を肺に取り込みながら、死に向き合って自然と零れた涙を拭う。…こんな抱き癖は以前には無かった筈なのに。
 イングラムはそのアヤのした行為に恐怖を感じて叫んだ。

「もう、もう良い!独りで寝る!!」

「えええぇぇーーー!!?そ、そんなあ!!」
 アヤは自分がしでかした事の重大さに気付いていない。…或いは、無意識の産物だったのだろうか?そう考える先生は本当に薄ら寒くなった。
「黙れ殺人者予備軍!ふ、復讐か?お前を捨てた事に対する復讐なのか!?」
 添い寝で殺されかけるのは御免蒙る。こんな危ない抱き癖を持つアヤとは寝られない先生だった。
「復讐…って…わ、私…何かしました?」
「…今は何も言わずに去ってくれ。…頼む」
 もう、威嚇する気力すら奪われてしまった。イングラムはただ、静かな眠りを欲した。
「い…イングラムさん…!」
 アヤの瞳に浮かぶ涙。イングラムはその程度では動じなかった。自分の命がかかっているのだから当然だ。
「俺の部屋から…出て行ってくれ。アヤ」
「ぅ…っ、うう…少佐のドスケベ!!…種馬ぁ!!!」
 よよよ…と、顔を覆い部屋を飛び出していくアヤ。その背中を見送ったイングラムはやっと平穏を手にした。

 標準体型 × 『殺人衝動有り 危険人物』

「…そんな派手に種を撒いた覚えはないのだが」
 捨て台詞がドンドンと凶悪なモノになっていったが、もうそれがこれ以上酷くなる事は無い。寧ろ、その程度の悪態しか吐けないのなら可愛いモノだろう。
「しかし…やはり、自分の時間と言うのは大切だな」
 蒼い長髪を掻き上げて、もぎ取った平穏な時間の大切さを噛み締めたイングラム。…こうやって、構われている裡が華なのだろうが、やはり物には限度と言う物がある。
 …アラドはきっとそんな現状に息苦しさを感じているに違いない。
「俺ならば上手く立ち回れるだろうが、アイツにそんな器用な真似は出来んか」
 ある程度は割り切って行動できるイングラムは大人だ。こう言う事があったとしても、あの連中とはまた笑って酒を酌み交わせる事を知っている。
 が、若いアラドはそんな行動が取れるほど場数を踏んでいないだろうし、経験そのものが未熟だ。幼い…と言っても良いだろう。
 …そんなアラドをある意味食い物にしている女達。このままいけば、最悪血を見る事になりかねない。
「取り返しの付かん事になる前に、俺の出来る事をしてやるか」
 我が身を振り返り、改めて知れた危機的状況。崖っぷちのアラドを救うのは同じ境遇に居る自分しか有り得ない。
 そうして、心に静かな闘志を芽生えさせると、イングラムの心にアラドに指し伸べる案が浮かんできた。それを綿密に脳内で図上演習しながら、イングラムは睡魔の誘いを受けた。




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603 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/04/04(水) 05:14:29 h/LzB3+U
いつぞやのアラド×チームTD以来のファンです。
ODEの方も楽しみにしとります。
先生シリーズはいくつか取りこぼしがあるのが悔やまれます。
すぱろぐの補完に期待。

 ■  イングラム先生のお悩み相談室 (その5)

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その146
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1175437229/l50


前回の続き
前回の続き
前回の続き



588 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/04/04(水) 03:45:46 Jd5lEIHt
流れを両断してお久し振りの。

続々々々・イングラム先生のお悩み相談室
モイスチャールーム
アラド女難(時々先生)

…投下して宜しいか?



589 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/04/04(水) 03:47:12 SwgcyR7O
OK忍!




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590 :Distress :2007/04/04(水) 03:53:54 Jd5lEIHt
———居酒屋 ハガネ

「・・・」
 和風の純居酒屋。そのカウンターの隅に座り、酒とつまみを味わうイングラム先生。ここ最近の無茶な働き振りは多くの人間に知れ渡り、それこそ名前も知らない一般兵からも相談が舞い込む始末だった。
 もうそれについて弁解する気は無いが、自分の時間を奪われる事を良しとしなかった先生はBAR ヒリュウとは全く対極であるもう一つの隠れ家に足げなく通っていた。
 …その名はハガネ。やたらと豪快な大将が経営する、日本料理と酒を振舞う居酒屋だ。酒の種類は多くはないが、出される料理はそこらの料亭にも負けない質を誇っていた。
「やはり、良いものだな。独り酒は」
 お銚子からぐい飲みに酒を注ぎ、独り言を言う。誰かのペースに合わせ、自分の酒の進み具合を妨害されるのは好きではない。
 昔…ヒリュウは静かなものだったが、今のあそこは自分には騒がしすぎる。それを認識したイングラムは他の客が滅多に訪れない穴場中の穴場に拠点を移したのだ。
 
 …そうして、煙草をふかし、料理を注文しながら酒を進めていく先生は不意に自分以外の客の存在に気付いた。
「む…?」

『ハア——』

先ず気になったのはその客が発する溜息だった。エクトプラズムでも吐きそうなその重たい吐息はイングラムの興味を誘うには十分だった。
「アレ…は」
 その後に飛び込んでくる、その人物の青白い顔。先生が知っている顔だった。
「あ、アラド…?」
 アラド=バランガ。先生の弟分であるクォヴレーとつるんでいる駄目な子の見本品。だが、駄目な子ではあるが、内部に隠した爪の鋭さは他を圧倒する。
 最近のアラドの成長振りは目を見張り、各種ミッションに於ける彼の戦績は必ず上位にあった。…そんな最近上り調子のぷに少年が何故こんな寂れた場所で独り溜息を吐いているのかが先生には判らない。
「んぐ…んぐ…っ、はああああ…」 
 傍らに置いたカルピスのボトルを一気飲みしてまた溜息を吐くアラド。…あんな飲み方は血糖値を危険に晒す。先生はそう突っ込みたくなった。
「……大将」
「…何だ?」
 アラドは肴が無くなった事に気付き、カウンターに控えていたダイテツ艦長に注文を告げた。
「砂肝とレバー…各十本ずつ」
「うむ。相変わらず、良い喰いっぷりだな」
 微笑を湛えた大将はアラドの注文を捌く為に忙しなく手を動かす。アラドの視線は死んだ様に濁っていた。

「・・・」

 今迄何度も通った居酒屋だが、アラドに遭遇した事は先生には始めてだった。しかもあの寂しそうな、内に毒を溜めている様な視線は何なのだろうか?
「…気になるな」
 もう何度目かの、先生の悪い虫が疼き始めた。首を突っ込んで碌な目に合わないのは過去の経験から明らか。しかし…そんな辛そうなアラドの視線の理由が知りたくて先生は居ても立っても居られなくなった。
「仕方が無い。世話を焼くか」
 イングラムは肴を載せた皿とお銚子を手に持って、自分の席から立ち上がった。…これでも多くの若人の悩みを解決してきた似非カウンセラー。今更その経歴が増えた所でイングラムは痛くも痒くもなかった。

「隣、構わんか?」
「え?…あ」
 アラドの返事を待つ前にイングラムはアラドの直ぐ隣の席に腰を下ろす。そうして、わざとらしく煙草を咥えて火を点けた。
「お前の姿が目に入ってな。…お前の様に若い客はここでは珍しい」
「…そうなんスか?今日…始めて来たから」
 アラドは顔を伏せてイングラムと目を合わせようとしなかった。
「…良い店だとは思わんか?ここは」
「…ええ。静かだし、何よりも飯が美味いっスね」
「ああ。酒も限定されるが中々の品揃えだ。一杯引っ掛けるには丁度良い」
「すんません。酒は…判らないっスわ。俺、餓鬼だから」
 イングラムが空のぐい飲みに銚子を傾けると、アラドは再びカルピスのボトルを呷った。
 …未だ警戒されている部分はあるが、話を合わせてくれている分、取り付く島はあった。先生は本題を切り出す。

「で、何か深刻な悩みでもあるのか?お前は」

「っ」
 アラドは目を見開いてイングラムの顔を凝視する。声を詰まらせながら、アラドはイングラムに答える。
「俺…そんな、酷い面…してます?」
「ああ。死んだ魚の様な面だ。溜息ばかり吐いているしな」
「・・・」
 ぎゅっと唇を噛むアラド。内にある黒いものがその可愛い顔を汚していく。イングラムは言葉を待った。

「少佐…何か…相談事に乗ってくれるって聞きましたけど」

「あ…っ、まあ…最近、その手の事に首を突っ込む機会が多い事は認める。しかし、それは誰から」
 大手を振って喜べないイングラム。悩みを聞く事で救われる人間が多くなる事は嬉しいが、それで名が売れ過ぎてしまっても困るのだ。
 当然の様に自分の噂を知っていたアラドを先生は問い詰める。
「アイビスさんから聞いたんです。…世話になったって」
「ああ」
 嘗て胸の事で相談してきた負け犬の事を思い出した。あの時は途中から恋愛談義になってしまってまともなアドバイスも出来なかったが、アイビスはそれに感謝していた様だ。
「……はあああ〜〜〜」
 再び、アラドが死にそうな声を出した。だが、あからさまに自分に相談をしろとは言えない先生はそのままアラドのケチな顔を肴にして酒を飲み続けた。

「お待ちどう」

 ニュッ、とカウンターから手が伸びて、大将は焼き鳥で山盛りの皿をアラドの前に持ってきた。アラドはそれを無言で受け取って、それを食べ始めた。
「あー、大将」
「注文か?」
 イングラムのエロ格好良い魔性の声とダイテツの老練なエロ渋い声が重なった。
「ツボダイの煮付けを」
「うむ。暫し待て。…しかし、珍しい組み合わせだな少佐?」
「確かに。しかし…まあ、これも性分と言う奴です」
「ふふふ…」
 ダイテツは意味がはっきりとは判らない笑みを口元に引いて厨房に引っ込んだ。イングラムはダイテツと言う男の奥深さと偉大さを知っているからこそ、腰の低い態度を取った。
 
 そうして、暫く経って…
「げっぷ…っ、はああああああああ〜〜〜〜」
 追加注文した串物を綺麗に食べ尽くしたアラドは見てていじらしくなる表情をして、また溜息を吐いた。…そこでイングラムは漸く傍観を解除した。
「何か、あるな?」
「え……ぅ、え?…や、やだな。そんな訳ないじゃないっスか」
「嘘を吐くな。その程度の事は簡単に見抜ける。…溜めてるものがあるなら、ぶち撒けてみろ」
「っ!」
 頑なに否定するアラドの心の外周をジワジワ侵す先生。歳若いアラドはそれに抗えなかった。
「あの…聞いて、くれるんスか?」
「お前にその気があるのなら、聞こう」
 一瞬、自分は何をやっているのかと自分に問うたイングラムだが、もうここまで来てしまえば最後まで面倒を見るしかない事を悟り、その迷いを消す様に酒を飲んだ。
「判りました。溜めても仕方ないし、少佐に聞いて貰う事にするっスわ」
 一端深呼吸し、呼吸を整えるアラド。そこから語られる青少年のお悩みをイングラムは聞き始めた。

「最近…休まる暇が無くて」
「休息が取れていない?…仕事がキツイのか」
「いえ…仕事は順調っス。カイ少佐も頑張ってるって褒めてくれます」
「あの男が、か」
 アラドの現在の職場は教導隊預かりで、その職務は雑用係…と言った所だろう。だが、腐っても教導隊にあるアラドに適当は許されない。訓練や職務だってさぞきつい物があるだろう。
 そんな激務にあり、直属の上司であるカイ=キタムラに褒められると言う事はそれだけアラドの働きが認められていると言う証拠だ。上辺や酔狂であの実直な男は他人を褒めたりはしないのだ。
「やる事をきっちりこなして、休む時には休む。それが出来てればカイ少佐は厳しい事は言わないし、褒めてくれるんです。でも…」
「それでもお前は休めてない。…原因は、私生活か?」
「そう…なんでしょうね」
 ここから先を切り出そうか悩むアラドが渋い顔をした。だが、それは一瞬で、次には続きを語っていた。

「最近…その…ぁ、アイビスさんと…仲良くなりまして」

「むっ!」
 ちょっと照れた様に言うアラド。イングラムの心が少し軋んだ。…何故ならば、少し前に彼女にそれを勧めたのは他ならぬ自分自身だったからだ。
「そ、それは…っ、良かったな。で、お前は…それに不満があるのか」
「いえ…別に無いっスよ。アイビスさん…年上だから優しいし、世話焼いてくれるし、ちょっとドジだけどそこも可愛いってーか…」
「…惚気の類か?」
「まあ…半分は///」
 …聞いて損をした。一瞬そう思ったイングラムだったが、問題はそれ以降に起こった事にある様だ。その証拠にアラドは見た事も無い怖い顔をしていた。
「でも…それを良く思わない人が居たって言うのかな…。その人達が出て来てから、俺の生活が…狂ってきて」
「それは…」
「俺は気付けなかったけど、その…俺を好きだった人達が俺に群がるんすよ。アイビスさんもそれに対抗意識を燃やしちゃって」
「群がる、だと?」
 何故だろうか?とてつもなく不穏な空気が何処からとも無く流入し、アラドと自分の周りを包んでいる気がした。
「気が付いたら…誰かしらが隣に居るんすよ。仕事中には無いんすけど、昼休みとか…部屋に帰った時。最近は寝てる時だって…」
「寝ている時?…ストーカーに目を付けられたのか?」
「今じゃあ、もうそれと大差無いっスわ。…どれだけ鍵を閉めても入り込んでくるし、一人になる時間すら奪われて」
「あ、アラド……」
 大分、精神が参っている様だった。その緑色の瞳には、今にも泣きそうな程に涙が溜まっていた。アイビスに代表されるその一団がアラドにとってのストレスの原因になっている様だ。
 一体、その連中がアラドに何を強要しているかは知らないが、精神的にタフガイなアラドをここまで追い込んでいるのだから、相当に搾取しているのは疑いようが無い。
「一体…誰だ?そのたわけは。具体的な名前は言えるか?」
「それは…」
「言いたくないならそれも良いが、俺がそれを知る事で立てられる対策もあるだろう。…だが、無理には聞かんよ」
「・・・」
 そんな言い方はずるい。大人な対応をするイングラムの発する言葉はアラドを容易く揺るがせた。
 こんな現状に於いて、別に知られて恥になる事はないし、イングラムがそれを吹聴して回る人間でもない事をアラドは判っている。
 アラドはその名を口にした。

「ゼオラ…と、姉さん。…オウカ姉さんっス」

「…何だと?」
 一瞬、先生は耳を疑った。ゼオラについてはまだ判る。アラドと対になる様に調整されたのだから、その情が嫉妬に変わる事だってあるだろう。
 だが、オウカ=ナギサまでそうだったとは恐れ入る。ラトゥーニ一本の女と思っていたがそれはフェイクで、実は狂おしいまでの情を不出来な弟に注いでいたと言うのだろうか?
 …どちらにせよ業が深い。スクール一家で唯一の男を盗られたと思ったゼオラとオウカは簒奪者であるアイビスからアラドを奪還しようとと極端な行動を開始したのだろう。

「…難儀、だな」
 そして…その闘争の火種を炊き付けたのは他ならぬ自分自身である事を知ったイングラムは唇を噛んだ。
「ちょっと恥ずかしいっスけど、これが瑣末って事で」
「あ、ああ」
「ふう。…喋ったら、少し軽くなったっスわ。どうも有難う御座いました、少佐」
 ペコリ、とお辞儀したアラドは財布を取り出して会計に走った。
「待て。お前、部屋に帰るのか?」
「?…ええ。明日も仕事っスから」
「…帰った所で、居場所など既に奪われているのではないのか?」
「そうっスね。…本当は帰りたくないっス。針の…狢っスから」
 それは筵だ。そう突っ込む気力すら今のイングラムにはない。それ以上にアラドが気の毒だった。
「でも、俺の塒はあそこだけ。…贅沢は言えないっスねー」
 ある意味で幸運な事だ。アラドはそう言いたかったのだろうが、その言動は魂の叫び聞こえて先生には仕方がない。
「それじゃ、少佐。お休みなさい」
 アラドは感情を押し殺した顔のまま、居酒屋を出て行った。

「いや、待たせてしまった。鍋の調子が悪くてな」

「あ…いえ」
 漸く自分が頼んだ注文が来た。だが、イングラムは気のない返事で返すだけだった。
「どうした、少佐。…何かあったのか?」
「いえ、想定の範囲内です」
「そうか?…なら、良いが」
 政治家答弁でダイテツに返したイングラムは根元まで吸いきって、フィルターだけになった煙草を灰皿へと捨てた。
 …結局の処、愚痴を聞くだけに留まってしまった。何かしらの声を掛ければ良かったのだろうが、その機会はとうに過ぎ去り、過去のものになってしまった。
「さて、どうしたものかな」
 独りごちて、アラドを取り巻く問題の解決策を模索するが、出て来るのはどれもこれもがその場凌ぎの付け焼刃に過ぎない。
 アラドの持つ魅力に魅せられた女が群がり、その矛先であるアラドは悲鳴を上げている。肉欲の檻、甘美な地獄…そこから解き放つ手段をとうとう先生は見出す事が出来なかった。

 …半刻ほど経過して酒も肴も無くなった所で、イングラムは勘定を済ませて自室へと帰った。

「見ていて本当に気の毒だな、アイツは。…何とかしてやりたいが」
 寝台に潜っても、頭を掠めるのは先程見たアラドの疲れ切った表情だった。
 …イングラムがここまで気にかけるのは、その発端に自分の行動があるからだけではない。…アラドに笑顔を取り戻して欲しい。そんな強い思いがあった。
「…寝るか」
 だが、どれだけ思いを巡らせても良い考えは浮かばない。イングラムは思考する事を放棄して、睡魔の尻尾を掴んだ。


———翌日 居酒屋ハガネ
 昨日から考え続けた先生の脳味噌の中には打開策が存在していた。無論、それは状況を根本から解決するものではなく、対処療法的な一時凌ぎに過ぎない策。
 それでも、現状を放置するよりマシだと思った先生は、それをアラドに何とか提示してやりたかった。
 自分の居場所に迷い、今日も何処かを彷徨っているであろうアラド。そんな彼がまたこの場所を訪れると言う保障は無い。
 …だが、アラドは確実に現れる。そんな根拠の無い自信に縋ったイングラムは終業時間から彼を待ち続けた。
 

——静かな時間が無言を纏い、流れている
 居酒屋にはイングラムが独りきり。酒と肴を傍らに置き、その贅沢な時間を堪能しながら、アラドを待つ。
 普段は忙しなく流れる日常の時間も、この場所ではその歩みを遅くしている様だ。緩慢に流れる時間の中で、苛立ちを募らせる事すらせずに黙々と酒を飲む。
 …一時間、二時間と経過するが、アラドが現れる気配は無かった。
「今日は随分と粘るな。アラド曹長を待っているのか?」
「・・・」
 ダイテツがイングラムにそんな言葉を掛けた。普段は酒を堪能すればさっさと帰ってしまう金払いの良い客でイングラムは通っている。
 そんな彼が此処まで時間を掛けて居座る事は今迄無かった。昨日の一件がそれに根差している事こはダイテツには判っていた。
「…少し、野暮な質問だったか」
「それで…正解ですよ」
 気を悪くさせてしまったと思ったダイテツは咄嗟にフォローを入れた。だが、そんな事に態々気を悪くする程狭苦しい男ではない。少し、乾いた笑みを零してダイテツの問いに答えた。
 此処で待つよりはアラドの所在を調べてそこに直接行けば良いのだろうが、その程度の事はイングラムは既にやっていた。だが、結局アラドの所在は掴めず、彼が顔を出した此処で待つしかなかったのだ。
「随分とあの少年に目をかける。そんなに危ういのか?今のアラドは」
「その様です」
「そうか…」
「まあ…半分は気紛れ。もう半分は情が移った…そんな処です」
 それがイングラムの本心に近い。アラドに何か出来る事をしてやりたい。不器用だが、イングラムなりの優しさが発露していた。
 ダイテツはもっと声を掛けたかったが、それ以上は無粋と判断し、奥へと引っ込んだ。再び独りに戻ったイングラムはぐい飲みを一息で飲み干して目を閉じた。

——更に数時間経過
 もう日付が変わる少し前だった。…今日は現れないのかも知れない。そんな不安がイングラムに湧き立つ。明日にも仕事が控えているのでこれ以上、待つ事は出来ない状況になっていた。
 来るかも判らない輩を勝手に待っている状況なので、その人物が現れない事に対し、何も文句は言えない。ただ、危うい状態にあるアラドをこれ以上放置したくなかったイングラムは焦りを露にした。
「外してしまったか…」
 店の方ももう看板の時間だ。…仕方が無いと溜息を吐いたイングラムは煙草を咥えた。この一服の裡に来なければ本当に帰る。そう決意した。
 すると…
——ガラガラ
「むっ!」
 店の引き戸が開かれる。こんな時間にやってくる来客など、ハガネには珍しい。イングラムはそれが誰なのか、直感的に判った。…待ち人がやっと登場した。
「ちぃ〜っす」
 疲労困憊と言った様子でアラドが敷居を跨いで来た。


「来たか、アラド」
「あ…少佐。こんばんわ」
「ああ。…こんな時間まで遊び歩いているのか?感心せんな」
「あはは…まあ、否定はしないっスけどね」
 ちょっとだけ棘があるイングラムの言葉にアラドは苦笑した。…やはりその顔には元気が無かった。
「まあ、掛けたらどうだ?」
「そうしますっス」
 イングラムが自分の隣の席を指し示すと、アラドは素直にそれに従い、腰を落とした。
「まさか…またお前が来るとは、な」
「ええ…何つーか、雰囲気が気に入ったと言うか…また、少佐に会えるかなって思ったんスわ」
「ふっ…嬉しい事を言ってくれるな」
 待った甲斐は確かにあった。アラドの言葉は労いのそれの様にイングラムの心に響き、心を暖かくさせた。
「いらっしゃい。…随分と遅い入店だな」
「あ、どうも」
 新たな客の存在に気付いたダイテツが奥から現れた。その手にはおしぼりと通しがあった。それをアラドの目の前に置いて、ダイテツは言う。
「注文は何にする?」
「え?えーと、蕎麦の特盛とカルピ…「冷の銚子を二本。…菊姫を貰おう」
 アラドの言葉を遮り、イングラムが注文を取り付ける。ダイテツは一瞬眉を顰めたが、直ぐにそれは元に戻った。
「…判った。暫し待て」
 ダイテツがテキパキとご要望の銘柄を用意し始めた。ショーンとは違い、大分融通が利くダイテツはイングラムと同じく不良である事は間違いない。
「少佐?…あの」
 イングラムのとった行動が妙に映ったアラドは怪訝な顔をした。
「まあ、付き合え。話がある」
「っ…」
 先生は蒼い瞳に憂いを湛えていた。アラドはそれを見て何も言えなくなる。昨日、自分が口走った事についての話だと言うのが何となく判った。

「とりあえず、御一献だ」
「あ、どうもすんません」
 アラドの空のぐい飲みに酒を注ぐイングラム。そんな経験をした事が無かったアラドは取り繕う様に言う。…注がれた透明な酒。香り立つ米の甘い香りがとても印象的だった。
「…ふゆうぅぅ」
 イングラムが自分のそれを呷った。味を香りを楽しむ様な様に興味を覚えたアラド。年上の男の行動を真似る様に、その液体を口に含む。
「っ…!うわ、濃っ!で、でも甘っ!」
「ふふ…俺には甘過ぎる酒だが、お前にはピッタリだろう」
 その初々しい様子が可笑しくて、先生の顔が自然と綻んだ。
「…でも、これはこれで美味いかも。スイスイ飲めるっス」
「だろ?まだまだあるぞ」
 一杯と言わず、いっぱい飲め。それが自分の隣に座った時のルールだと先生は言いたかったのかも知れない。

「それで…だ」
「うえ?…っ、何スか」
 酒は判らないと言っていたアラドだったが、その味に魅了されたのか、彼は既に二本目のお銚子に突入していた。
 …そろそろ頃合だ。酒が回り、思考が鈍っているアラドに本題を切り出す先生。こうなった時の先生は強い。

「辛いか?今のお前を取り巻く日常は」

「・・・」
 一瞬にして酔いが醒めた気がした。アラドは渋い顔のまま視線を落とした。
「いや、間違いなく辛いのだろうな。そうでなくては、ここまでお前の表情が翳る事は無いんだろう」
 先生のエロい声は女性のみでなく、男性にも効果がある。匂い立つ男の色気に抗えないアラドは自分の心が裸にされかけている事に気付けない。
「アラド。もう遠回しな言い方はしないぞ。今の生活に嫌気が差しているのなら…」
 先生がアラドを落としにかかった。頭にある事をストレートにぶつけた。


「俺の部屋に来るか?」

「え」
 小さな呟きがアラドの喉を通過した。
「居場所が欲しいならば、俺が用意しよう。自分の部屋に帰りたくないのだろう?」
「それって……?」
「俺の部屋の間取りは空いているのでな。お前一人を匿う位は朝飯前だ。我ながら、妙案だと思うが」
 自分の塒に帰って心休まる暇が無いのならば、そこはもう住処としては劣悪な環境だと言える。それに変わるものを用意してやる事。それが先生の出した打開策だった。
「少佐が、俺に…!?ぁ…う、嬉しい申し出ですけど、それはどうして…」
 その言葉はアラドの脆くなった心を傾かせた。だが、どうしてイングラムが自分にそこまでの事をしてくれるのか解らないアラドは警戒していた。
「お前は助けを求めていた。俺はその声を聞いた。だから、そうする。それでは不満か?」
「そうじゃないですけど…たったそれだけで、俺を?…俺はそんなに少佐とは親しくないですよ…?」
「未だ何か言葉が欲しいのか?ふむ…」
 未だイングラムに心を開ききれないアラド。先生は少し思案する為に新たな煙草を咥えた。
 アラドは存外に人見知りする所があるのだろうか。若しそうならば、こう言うタイプを諭すには偽り無い心根が必要だと言う事を先生は経験上知っている。

「それは…お前が好きだから、と言う理由では駄目か?」

「いいっ!!?お、俺は男っスよ!」
 ガタッ!言葉の意味を誤解したアラドは跳ねる様に椅子から立ち上がり、退いた。
「自惚れるなたわけ。変な意味じゃない」
「え?ぁ、あー、良かった。…か、考えてみれば当然っスよね」
 尻の穴を穿られる己を幻視したのだろうか?アラドは少し青い顔をしていたが、先生が一喝するとやっと落ち着きを取り戻した。
 先生はそのアラドの様子を見て、一気に畳み掛けた。
「俺自身、良く考えたのさ。お前の様な若い身空にある者が女程度の障害で堕落するのは何か間違っている。普通ならば毅然とした態度でそれに対処するのだろうが、お前はまだまだ未熟だ。…厭だとは思っても、跳ね除けられないだろう?」
「…はい」
「そうして深みに嵌ってしまえば、もう抜け出る事は叶わない。お前はその一歩手前にある事に…気付いているな?」
「っ」
 実に耳が痛いアラドだった。本当に厭ならば拒絶の台詞なり何なりを吐けば良いのに、傷つけたくないと言う想いが内にあるからこそ思い切った態度が取れない。
 その優しさがアラドの魅力の一つなのだろうが、その一点でアラドの心は血を流していた。そして、周りはそれに気付けていないのだ。
「愛だの何だの、そんな曖昧な言葉と共に、そいつ等がお前に求めているものは何だ?…結局の所、お前の体、だろ」
「…そうっすね。最近はそればかりの様な気が、します」
「それが解っているなら話は早い。俺から言わせれば、それは愛ではなく、稚拙な独占欲の発露だ。自分を見て欲しいから、捨てられたくないから…お前の心を無視して縛ろうとする。お前はそれが許容出来ない」
「・・・」
 女の独占欲ほど恐ろしい物は無い。過ぎたそれは容易く日常を崩壊させ、周囲に無駄な血を流される要因となる。先生は嘗て、その気質を持った白い山猫に翻弄される騎士を見ているのだ。
「そんな売女共にこれ以上お前から何かを搾取させる訳にはいかんし、お前の可能性を潰す真似もさせたくない。…お前より年上ばかりだろう?それに位の分別は持って欲しいものだが、な」

 イングラムは翼が折れそうな百舌に、そのボロボロの翼を休める止まり木を用意してやる。決断の時がアラドに訪れた。
「何れは越えなくてはならない壁だ。だが、それに挑むにはお前は若過ぎる。それまでの居場所は俺が作ってやろう」
「それって…逃げてるだけなんじゃ、ないっスか?」
「はっ。…現にお前は逃げ回っているだろう。そうして、内に毒を溜めて、空回りしている。虚勢なぞ、今更張っても無駄だぞ」
「お、俺は…」
 差し出されたイングラムの掌。アラドは今直ぐにでもそれに手を伸ばし、縋りたかった。だが、アラドに残る最後の見栄がそれをさせない。
 無論、イングラムはそれに気付いている。イングラムは完全にアラドの心を見透かしていた。
「焦る必要は無い。乗り越える事も壊す事も出来ない壁ならば、そう出来る様にお前自身が成長すれば良いだけだ。…後ろを向いても良い。遠回りしたって、立ち止まったって良いんだ。だが、状況に流されるのだけは止めろ」
「っ!!」
 耳を塞いでいても聞こえてくる重たい言葉だった。嘘が拭い去られ、自分の弱い心が露呈していく様だった。だが、アラドは不思議とそれを恥とは思わない。…寧ろ曝け出したくなった。
「まあ…どれだけ俺が熱弁を振るった所で、自分を変えるの自分自身でしかありえない。しつこく勧誘するのは、大人のする事ではないな」
「あっ」
 最後の仕上げに掛かる先生。此処から先はアラド自身が決める事…と、その差し出した手を引っ込めた。それに疎外感を味わったアラドは見事に先生の施した術中に嵌った。
「後はお前が決めろ。自分の意志で、自分だけの都合で。現状に流されたいと言うなら止めはせん。だが、俺の手を取ると言うのなら…」
 嘗てアヤの心を落とした時の様な綺麗な笑顔を向けながら、イングラムは言った。

「お前は俺が守ってやる」

「///」
 口説き落とされた気分だった。嫌悪感よりも安堵感が先立つアラド。その答えはもう決まっている。そうなる様にイングラムは駆け引きを行ってきたのだ。
「ごきゅ…ごきゅ…っ、ぶはぁ!」
 不覚にも赤面した顔を落ち着かせる為に、銚子の中に残った酒を呷る。そうして、酒臭い息を吐いたアラドはイングラムの手を取った。
——ガシッ!
「お願いします!!!」
「ふっ…」
 本日の相談室はこれで閉幕。アラドがイングラムの軍門に下る事によって一件落着した。
「もう…もう、辛いっスわ…!俺…!!」
「良く分かっている。苦労したんだな…」
 頼りある上司の擁護を得たアラドは溜めていたものを一気にぶち撒けた。
 あやす様に背中を撫でてやるイングラムは今迄に無い様な充足感に包まれていた。

———一週間後 BAR ヒリュウ
 そこから先の展開は速かった。自室を半分放棄し、イングラムの部屋に転がり込んだアラドは最初は戸惑っていたが、ほんの数日で元の通りの笑顔を浮かべる様になるまで回復した。
 元々、クォヴレーと馬が合うアラドが彼のオリジナルと相性が良いのは自明の理。半ば先生の舎弟と化したアラドは先生と共にヒリュウへと足を運んでいた。
——ザワザワザワ
 だが、イングラムの取った英断に何の弊害が持ち上がらない訳は無かった。周囲の客達が好奇の目を青ワカメとぷに少年へと向けていた。
 カウンターの隅の定位置で洋酒を飲むイングラム。だが、アラドは落ち着かない様にそわそわしていた。
「何か…視線が痛いっスね」
「捨て置け。余人には解らん苦労がお前にはあったんだ。それに、疚しい事等は何も無いだろう」
 …イングラムがアラドを手篭めにした。…その様な噂が今の極東基地全体を揺るがしていた。
 考えてみれば納得だ。事情を知らない人間から見れば、女に事欠かないイングラムが可愛いと評判のアラドを自室に逗留させているのだから、この様な噂も生まれるだろう。
 普通ならばお咎めの一つも飛んできそうだが、上層部に顔が利くイングラムは適当な理由をでっちあげ、そう言った批難を完全に抑え込んでいた。
 しかし、人間全ての口を塞ぐ事は出来ず、今の様な状態に甘んじる事になってしまったのだった。そして、イングラムにはそんな視線や囁き声は効かないのだ。
「うう…さ、寒気がするっス。…風邪でもひいたかなぁ」
 そして、アラドが落ち着かないのにはもう一つ訳があった。…離れた位置。BARの中央付近にあるテーブル席から明らかに温度が違う視線が刺さってくるのだ。
「男児たるもの、臆するな。どっしり構えろ。何れは乗り越える壁…または、お前が食い荒らす女達だ」
「く、食い荒らす?」
「そうだ。お前が望むなら、女の落とし方、嬲り方、躾け方に仕込み方。…全て伝授してやろう」
「!」
 どさくさに紛れてとんでもない事を言う先生。安息の地を得たアラドは青ワカメによって着実に悪い知識を教え込まれていく。
「か、格好良い…!!」
 が、アラドはそんな事はどうでも良かった。
 男が惚れる男。背中で語るイングラムの姿に憧れの様な感情を持つアラドだった。

「少佐にぃ…!少佐にアラド盗られちゃったよう…!!ぁ、あたしの男がぁぁああ…!!!」
「あの僅かな間隙を突くなんて…やってくれたわ、あの青ワカメ…!!」
「聞いてないわよ…!少佐が出張ってくるなんて…!」
 鳶に油揚げを攫われた気分を味わう女三人。アイビスは爪を齧りながら、自棄酒に没頭。オウカは血涙を流しながら、怨嗟の視線をワカメに送り、ゼオラは現れた護者の強大さに顔を青くしていた。
「…慟哭が聞こえるんスけど」
「アイビスには少し気の毒だが…少し距離を取って、頭を冷やして貰う事にしよう」
「…ですね。俺も女は暫く遠慮したいっス」
「言うじゃないかアラド」
 オウカとゼオラに掛ける言葉は先生には無い。良い薬になるだろうと、都合の良い言葉を心の中で吐く。またアイビスには少しだけ悪い事をしたと思い、やっぱり心の中で頭を下げる先生だった。
 頼もしい台詞吐いて、テキーラサンライズを飲むアラドにイングラムは顔を綻ばせた。

 そして、問題が持ち上がっているのは小娘連中だけではなかった。
———同刻 居酒屋ハガネ
「少佐って、そっちの趣味ってあったんですか?…何か、凄いサプライズなんですけど」
「わ、私が知る訳無いでしょう?……まさか、女より男が良いなんて事は、無いと思う、けど」
「どっちでも良いですよ!…忌々しき事態です。アラドが少佐の近くに居るんじゃあ、今迄みたいに気軽には…」
 先生の周りに居る男日照りのアダルツが緊急集会を開いていた。


「くっ…!ククククク…っ!」
 これこそが、イングラムがアラドを引っ張り込んだ裏の事情だった。アラドを放って置けなかったのも、買っているのも事実だが、慈善事業だけで動くほどイングラムは善人ではない。
 アラドを擁護し、居場所を与える事で、アラドの貞操は守られる。…同時にアラドはイングラムにとっての強力な虫除けとしても機能する。
 まさにお互いを助ける一石二鳥の策だったのだ。
「っ!?……?」
 イングラムが浮かべる酷薄な笑みに寒いモノを感じたアラドが身を震わせるが、アラドがその真意に気付く事は無かった。
 …先生には何れ天罰が下る運命なのかも知れない。





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599 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/04/04(水) 04:10:52 Jd5lEIHt
潤いのある生活を貴方に。
モイスチャールームのドアはいつでも開いています。

先生、助手ゲット。



600 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/04/04(水) 04:15:08 uomF5+pd
GJ!GJ!GJ!GJ!GJ!
先生相変わらずかっけぇよ…



601 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/04/04(水) 04:17:19 2O3B94vH
カッコいいやら可笑しいやら…
とにかくGJ!

 ■  毛布の人作SS「決戦前のある日の五人」

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その146
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1175437229/l50



447 :毛布の人 :2007/04/03(火) 22:11:32 872GgvIl
いかん、アナウンスを忘れてた
知らないうちにすぱろぐ大戦BBSにSSスレッドができてたので
せっかくだから五人シリーズを一つ書いてみました
お暇な方は読んでね
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/31790/1174560483/2-4





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「よおブリット、もうすぐミーティングが……何暗い顔してんだ」
「ああ、いや……これ見てくれ」
「何だこれ。飴玉、ビスケット、乾パン? 駄菓子ばっかじゃねえか。
抽斗の掃除でもしたのか」
「………」
「あ……わかった。慰問袋でしょ」
「慰問袋?」
「昔の戦争でね、前線の兵士に内地から、お菓子とか、手紙とかを入れて
送ったんだよ。ホワイトスター戦前に、伊豆基地で募集するとか聞いてたけど、
本当にやったんだ」
「ソルジャーズ・コンフォート・バッグというやつだな。聞いたことはあるが、
見たのは初めてだ」
「俺とクスハの所に、一つずつ来たんだよ。これが、何て言うか、もうな……」

「なんか久しぶりだな、このわざとらしい甘さ。赤色一号の味がしそうだ」
「ビスケットも粉っぽいね」
「合成甘味料の塊だな、これは。民間の食糧事情は悪いと聞いていたが……」
「知ってるか? アイスクリーム工場っていま、世界中に一つもないんだと。
全部砲弾を作る工場に改装されちまったんだって」
「……この手紙にな、書いてあるんだ。家のお菓子を半分送りますって」
「……」
「俺達、パイロットだろう。食べ物とか、民間よりずっと優先して回ってくるし、
たまにエルザムさんの御馳走だって食べられるし、柔らかいベッドとエアコンの
ついた部屋もある。給金だって結構もらってるだろ。こんなもの食べてる子が、
俺達に送ってくれると思うとな……」


「…………」
「あ、こらえてるこらえてる」
「クールぶってて意外にこういうの弱えんだよ、ユウって」
「ユウ、お前も読んでくれ、この子の父親ってのがな、元コロニーの……」
「うるさいぞお前ら! 見せるな! 読ませるな!」
「そいや、リョウトのとこに前は毎週小包来てたけど、最近見ねえな」
「うん、姉さん達からだったんだけど、だんだん暮らしも厳しくなってるらしくて。
頼んで止めてもらった」
「レオナもそんなこと言ってたな。まあ確かに、物ってことじゃ今、別に
不自由してないもんな」
「食いはぐれないために軍に入る奴だっているんだからな。まして今の俺達は
事実上地球圏の最精鋭だ。物資も最優先だろう」
「すごくお金かけてもらってるよね。それに見合うこと、できてるのかなあ」
「期待って重いよな……」


「おーい、もうじきミーティングだってよ。何やってんだ、こんなとこでかたまって」
「リュウセイ! お前も食べろ! そして読め!!」
「お、慰問袋か。俺も貰ったよ、重いよなあ、あれ」
「リュウセイも貰ったんだ?」
「L5戦役の時にな。PXで売ってるのよりまずいお菓子とか来たりして、食べるの
辛くてさ」
「そうなんだよ! 俺はなんというか、もうどうしたらいいのか……」
「どうしたらもこうしたらもねえよ、返事を書くんだよ。おいしかった、ありがとう、
虎龍王は絶対に勝つってな。他にどうしようもないだろ」


「……」
「いいか、俺達はスーパーロボット乗りだぜ。スーパーロボットってのはな、
勝つだけじゃ駄目なんだ。どんなにピンチでもこいつがいれば大丈夫っていう、
希望と勇気をくれるのがスーパーロボットなんだよ。俺達がこの子らを励まさ
なかったら、誰がやるんだ」
「「「「……おおーー」」」」
「流石、言うねえー」
「伊達にスーパーロボットマニアではないんだな」
「ちょっと感動しちゃった」
「いや、実はこれライの受け売りなんだ」
「ライディース中尉の!?」
「前の戦争で、俺が初めて慰問袋貰った時も、すげえへこんでさ。ライの奴に
活を入れられたんだよ」
「へー……あの中尉がな」
「意外に、リュウセイに感化されてきてるんじゃない?」
「というか、元々の素質もあると見たね。エルザムさんの弟だぜ、ケレン味が
嫌いなわけがねえ」
「ところで、ミーティングだとか言ってなかったか?」
「あ、そうだ! お前らを呼びにきたんだよ。もう結構集まってるぞ」
「おっし、行くか。気合も入ったし、決戦ムードだぜ。大分グダグダしたこの戦争も
ようやく大詰めだ」
「おう、4クール物でいうとだいたい48話くらいだな」
「どういう意味だ?」
「絶対勝つぞってことだよ。ブリット、返事書いてあげなね」
「ああ。最後の通信船が出るの、1500だったな。久しぶりに墨を摺るか」
「手書きかよ! しかも筆かよ!」
「心を込めた手紙はちゃんとした書き方をするものだ。メールでは伝わらない
こともある」
「……前から思ってたけど、ブリットの日本観って師匠仕込みなんだよな。
ゼンガー少佐も」
「……リシュウ先生って人に相当ズレがある気がするよね。ほんとに
日本人なのかな」
「俺、本物の墨で字を書くところって見たことねえ。見に行っていい?」
「ところで、相手の子は読めるのか? 筆文字」
「あ」


End




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5 :毛布:2007/04/03(火) 15:08:04 ID:Hw.jGwIM
せっかく立ったのに使われてないのがなんか勿体なかったので書いてみました


6 :名無しのも私だ:2007/04/03(火) 22:14:31 ID:o6bj4/6M
ブリット(ライ?)かっけええええええ


7 :名無しのも私だ:2007/04/03(火) 22:32:04 ID:RGDGnWyU
感想はこちらでOK?
GJ!(ゴッドジョブ)
このシリーズ大好きだ


8 :名無しのも私だ:2007/04/03(火) 22:37:56 ID:mlH87fEY
即保存!GJ.
今回は割とシリアスッスね


9 :名無しのも私だ:2007/04/04(水) 00:04:48 ID:LBOQlv0o
……(´Д⊂ヽ
GJの一言のみ……他に言葉が見つからん……orz

2007年04月24日
 ■  zHgbtkYO氏作SS「伊豆基地桜尽し」

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その146
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1175437229/l50


51 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/04/02(月) 00:43:51 zHgbtkYO
書いてるうちに新スレ立ってやんの。
出遅れ気味の花見ネタ。長いのでこっちで。


レッフィー19歳だったような気がするけど、ま、いっか。




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「はあ、なんと言うか…」
「ようやく落ち着きましたね」
 大きなため息とともに、テツヤとレフィーナは顔を見合わせた。
 形としては「無礼講」である花見とは言え、その言葉を額面どおりに受け取
って実行する人間が嫌と言う程揃っている伊豆基地の面子を前にしては、誰か
しらは状況を把握する・収めるために動いていなくてはならない。それが判っ
ているからこそ、彼らは花見の開催中には手加減してアルコールを口にし、
トラブルに対応出来るように努めていた。
 ダイテツのように手馴れた艦長であれば副長にその役目を押し付けてしまう
事も出来るのだが、彼らは自分たちの若さに気を遣って、あえてそれを実行し
ようとはしなかった。もっとも、副長の役割をはっきりと自覚しているショー
ンはテツヤとレフィーナのやり方に律儀に付き合い、散発的なお遊びには参加
したものの、十分に冷静さを保っていた。
 その他にも、例えばオクト小隊においてはラッセル、SRXチームにおいて
はアヤがその役割をする羽目になる。他にも厨房を預かるレーツェルや塚は当
然中締め後、会場の撤収がある程度見えるまではフル回転で目が放せない。
 と、いう訳で。
「よし、厨房もこんなもんだ」
「実にトロンベ」
 という声とともに、別ごしらえのお重を持って塚とレーツェルが戻って来た
のを合図に、会場を切り回す「ホールスタッフ」の仕事をしていた連中が、
再度集まって来る。
 テツヤとレフィーナを筆頭に、ショーン、ラッセル、ジョッシュ、アヤ、ト
ウマ、統夜。それにレーツェルと塚が加わる。
 それを確かめてから、レフィーナは深く一同に頭を下げ、こう切り出す。
「お疲れさまです、皆さん。本来なら楽しんでいただくべきお花見の会に、大
変なお仕事を押し付けてしまいまして、申し訳ございませんでした。おかげさ
まで無事終える事が出来ました」
 その言葉に、統夜が応じる。
「最初はスレイさんもこっち側の筈だったんですけどね…」
 それを受けて、トウマとジョッシュがいやに遠くを見つめながらしみじみと
呟いた。
「まあ、結果的にはあの有様だったけどな」
「ツグミさんを引き離し損ねたのが致命的だった」
「開始5分で早くも戦力外ですからね」
 苦虫を噛み潰しながらのその言葉とともに、統夜は花見中のスレイの写真を
取り出した。その写真に写されているのは、おもちゃの鼻眼鏡をかけて一升瓶
を抱えながら大股開きでクダを巻き、クスハとリオに「彼氏持ち」という理由
で説教を続けている姿。ついでに、その背後には額に「肉」を書かれたアイビ
スがゲロを吐いており、さらに話の流れを聞いてチャンスとばかりにやって来
たエイタに至っては、サングラス&ふんどし一丁の状態で胸に「ネッシーは 
いてる」と書き込まれ獅子舞を持たされた状態で轟沈されている。
「本人には内緒にしときたいのはヤマヤマなんですが」
「どうせ無駄だろうな、みんなの事だから」
 その言葉とともに、いつものように深くため息をついた統夜とトウマ。そし
て諦めを通り越して達観の域に達している表情を見せるジョッシュ。
 それを苦笑いとともに受け止めたレフィーナは、隣のテツヤに目で合図して、
次の言葉を促す。それにしっかりと頷いてから、テツヤは静かにこう言った。
「それでは、これよりスタッフ慰労会と致します。皆さん、ゆっくりと楽しん
で下さい」
 全員が、その言葉に拍手を送る。
 塚とレーツェルが、お重を慎重に展開させる。
 ローストビーフ。油淋鶏。岩魚と山女魚の塩焼き、南蛮漬け。鯛はロースト
してジェノベーゼをかけたものが一匹分。さらにもう一匹分は炊き込みご飯で
仕上げてお握りを作ってある。キューカンバーも大量に作り上げられ、これに
コールスローサラダとツナを和えた新玉葱のスライスサラダ、グリーンアスパ
ラも添えて。和食党には胡麻豆腐と菜の花の辛し和え、ほうれん草の白和えに
筍の土佐煮と春キャベツの浅漬け。とどめに太巻きはアボカド入りのものと、
トラディショナルな干瓢・厚焼き玉子・桜でんぶで仕上げたものの2種類。
 さらにラッセルが大量のビールを持ち出して来た。クラシックラガーの瓶、
ギネスの瓶、コロナの瓶。無論ライムの準備も抜かりない。
 その気合いの入りように、一同が思わず頬を緩ませる。
「ま、苦労の報酬って事で」
「皆に出したものより、ちょっと食材のグレードが上だったり、料理にも手が
込んでいたりするが、そこは内緒でな」
 レーツェルがそう言ったのに、真顔でアヤがこう応じる。
「あ、でも…少しぐらいは、マイに持って帰ってあげてもいいですか?」
 その様子を見て、レフィーナが半ば噴き出しながらこう言ってみせる。
「お姉ちゃんは心配性で苦労性、ですね」
 アヤはその言葉に、ほんの少しの苦笑いと真剣に妹を思いやっての笑顔を混
ぜ合わせた、いかにもアヤらしい表情で応じて見せた。その絶妙のブレンドを
目を細めながら見つめていたショーンが、今度は口を開く。
「さて…ブレンダーの腕で個性をまとめて美味くなる酒もありますが、今日は
ブレンドで味を出すために苦労している人たちの集まりだ。野暮は止めましょう」
 そう言いながら取り出したのがは、当然マッカランのシェリーオーク。だた
しいつもの10年ではなく18年。
「本来は25年物で行きたい所ですが、まあそれはもっと御目出度い席での事
にしましょう」
 さりげなくレフィーナの方を見ながら、ショーンが呟いた。それの意味する
所を悟って、テツヤがわざとらしい咳払いを2度繰り返し、レフィーナが頬を
染めて俯く。
 いい加減どうにかしろ、あんたら。
 誰もがそう言いたいのは山々なのだが、そこまで言うのはおせっかいを通り
越して野暮と言うものである。だからこそ、一同はそれ以上幼稚園児カップル
をいじるのを止め、思い思いに杯を満たし始める。
 そして最後に、レフィーナとテツヤがそれぞれの杯にビールを満たそうとし
たその時、である。
「おおっと」
「どうしました、ショーン副長」
「先ほど、宅配便で艦長宛てにお荷物が届いておりました。艦長はそちらをお
飲み下さい」
「わかった」
 その言葉を受けて、ショーンが取り出した一升瓶のラベルを、テツヤは声に
出して読み上げる。
「振袖・大吟醸…5年古酒!?」
「ちなみにお荷物の差出人は、ダイテツ・ミナセとなっております」
「!?」
「いるのですよ。保存に適した環境で酒を預かり、程よく熟成した後にご本人
にお返しするという粋なことをする人達がね」
 そう言いながら、ショーンは酒に添えられていた手紙をテツヤに手渡す。

『テツヤ=オノデラ殿
 君がこの手紙を見ているという事は、残念ながらワシは既にこの世の者では
無いという事になる。だがそれも天命。何ひとつ恥じる所はない。
 この酒は、君が立派な艦長として成長した頃に酌み交わそうと思い、上陸の
際に預けておいた物だ。是非とも、君にその味を確かめて欲しい。
 日本酒にも、古酒というものは存在する。冷やおろしの酒が美味いのと同じ
道理で、適切な保存状態で熟成された日本酒の味わいは、新酒のそれとはまた
違う深い味わいがある。ワシと君が出会ってから5年、その年月の意味を噛み
締めながら、信頼できる仲間と、心ゆくまで味わって欲しい。
                          ダイテツ=ミナセ』

 テツヤは目頭を押さえながら、その手紙を読み終えた。
 そして、静かに言った。
「レフィーナ艦長、一緒に飲みましょう」
「はい」
 わずかに琥珀色がかった液体。吟醸香と熟成香の交じり合った、5年という
月日が醸した華やかで、穏やかで、貴重な香り。それを胸いっぱいに吸い込み
ながら、テツヤは皆に向けて声を張り上げた。
「皆さんお疲れ様でした。乾杯!」
「乾杯!」
 心づくしの料理。良い酒。気の置けない仲間。それが在ればなんの憂いがあ
ろうか。
 だからこそ、テツヤはさらにもう一言継ぎ足した。
「トウマくん、統夜くん、ジョシュア君」
「はい」
「何か、まだ準備するものがありますか?」
「でしたら今すぐ…」
「君たちも、少しこれを嘗めなさい」
「はい!?」
「えーと、オレ達はまだしも、統夜はまだ高校生…」
「だから、『嘗めなさい』なんだ」
 その意図を悟り、ショーンが言葉を続ける。
「なに、本当に美味い酒の味を覚えておくのは、決して悪い事ではありません
よ。皆で騒いで楽しんで、それが優先で味は二の次という飲み方も確かにあり
ます。しかしそれは、酒に対して失礼だ。本当の仲間と美味い酒を美味く飲む
事は、一生の愉しみだよ。それを早く覚えるために、舌に美味い酒の味を覚え
させなさい」
 その言葉に、間違いなく今この瞬間、世界一美味い酒を飲んでいるテツヤが
深く頷く。その横顔を、レフィーナが嬉しそうに見つめる。レーツェルと塚、
そしてアヤとラッセルも手元の酒精を噛み締めるように味わい、静かに笑って
いる。だが矢面に立っているトウマと統夜は、今ひとつショーンの言葉の意味
がわかっていないような顔をしている。それも当然か、と顔に書きながら、シ
ョーンは静かに微笑んで、こう言った。
「今は判らないかもしれませんね…それはそれでいいのです。5年後、10年
後、今の言葉の意味を噛み締めてくれれば。そして、今この瞬間を思い出して
くれれば」
「…はあ」
「さあ」
 お猪口の底に、ほんのわずかだけダイテツの形見を注ぎ、テツヤはそれを3
人の若者へ手渡した。ダイテツがテツヤに繋いだ「もの」の意味を、いつかこ
の3人が、いや自分の後に続く者たちが気づき、そして受け取ってくれる日の
事を信じて。
「美味いです」
「複雑で、濃厚で、その癖華やかで」
「これが、酒?」
「その通り。これが、本当の酒だよ」
 テツヤはそう告げると、自らの杯を桜の木に向けて掲げ、そして静かに飲み
干した。

 後日、3人の若者はダイテツが酒を預けた場所を突き止め、そこでそれぞれ
一本の酒を購入し、10年後を指定して未来へとそれを託したという。それを
酌み交わす相手が誰になるのかは、本人たちすら知る由もない。
 ただ、その酒を美味く飲める仲間が周りにいてくれるような生き方をしよう。
 彼らは、そう考えていた。




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56 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/04/02(月) 01:10:10 t0yl9rS7
>>51
GJ!!GJ!!GJ!!
感動した!!ダイテツ艦長カッコイイよ。味な事してくれたよ!!

2007年04月23日
 ■  BVEESTSD氏作SS「オリジェネわんわんパニック」

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その145
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1175181209/l50


742 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/04/01(日) 11:09:58 BVEESTSD
予想GUYのCMをみて、むらむらと書きたくなった。
わんこと方言が書ければどうでも良かった。今は反省している。




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ダルメシアン「わんわん」
スピッツ  「わん」
スピッツ  「わん」
ビーグル  「…くぅーん…」
豆柴    「(無言で耳を下げている)」
黒柴    「(いやに遠くを見つめている)」
レトリバー 「(尻尾を振ってる)」
コーギー  「わんわん! わん!」


 
 

カーラ「何この井戸端会議」
ユウキ「そもそも何処から沸いた、この犬たちは」
カーラ「あたしに聞かれてもなぁ…」
リオ 「大変大変大変——!!」
鰤  「えらいこっちゃ—!!」
ユウキ「?」
リオ 「リョウト君が居なくなっちゃったの—!!」
鰤  「クスハもだ—!!」
カーラ「はい—!?」
黒柴 「わん!(鰤に駆け寄る)」
鰤  「え? クスハ? クスハなのか?」
黒柴 「わん!」
ユウキ「(頭痛)なんだ、あれか? じゃあこの犬会議は」
カーラ「みんな誰かが変身させられた姿な訳?」
リオ 「リョウト君もこの中に居るのね」
タスク「待て。原因は何だ?」
   (粉砕バットを手にした助手登場)
助手 「すまん、またうちのバカ親父が迷惑をかけた」
一同 「(ああやっぱり…)」
助手 「ラキにバカ親父を拘束してもらったから、今から尋問をかけてくる。
    もうちょっと我慢してくれ、皆」
ユウキ「すいません、よろしくお願いします」


ユウキ 「というあらましだ」
ツグミ 「なるほどね」
ゼオラ 「で、この人選の理由は?」
カーラ 「ツレが犬系」
統夜  「道理で今朝は静かだと思った…」
カティア「orz(何も出来なかった事を死ぬほど後悔中)」
ゼオラ 「まあ、なんとなくわかるような気もしますけど」
統夜  「とりあえず、誰が誰か識別しないとな」
ツグミ 「うん、このコがアイビスね(自信満々に豆柴を抱き上げる)」
ダルメシアン「わんわん! わん!」
ツグミ 「で、このコはスレイ」
カーラ 「ナイス芋づる!」
ダルメシアン「わんわんわん! わんわんわん!」
セレーナ「やがますこのバガ犬!(リードをダルメシアンの口に巻きつける)」
ダルメシアン「もふ!? もふ!?」
セレーナ「いいが、まだ意味もねぐ吠えだらやっぞ!」
ダルメシアン「……」
セレーナ「良っす!(巻きつけたリードをほどく)」
ゼオラ 「わ、セレーナさん凄い」
セレーナ「あれだがえ、犬さナメられっからや、こういう時はちゃんとやっど
     がねえと目に遭うでば」
統夜  「(何を言ってるのかほとんどわから—ん!)」
カティア「(すごい訛りっぷりだけど、とにかく自信まんまんだわ…)」
ツグミ 「とりあえず、この2匹は部屋に連れてくわね」
セレーナ「ほら、こっつぁ来? こっつぁ来? こーれ!」
ダルメシアン「(渋々セレーナについて行く)」
ゼオラ「じゃあ、次は…(ごはんを取り出す)」
コーギー&スピッツ2匹
    「(猛ダッシュでご飯に突撃)」
統夜  「あ、じゃあコーギーがテニアか! テニア! テニア!」
コーギー「(ご飯まっしぐら。無視)」
ゼオラ 「こら! まだ!」
コーギー「(渋々お座り&よだれ)」
カティア「この意地汚さは絶対テニアね…(頭痛)」
ゼオラ 「スピッツはアラドとイングで間違いなさそうね」
コーギー&スピッツ2匹
    「(お座り&尻尾全開&よだれ)」
ゼオラ 「よし!」
コーギー&スピッツ2匹
    「(一心不乱にご飯に熱中)」
カティア「…となると、まだメルアがあの中に居るはずよね?」
統夜  「テニアがご飯に釣られたって事は…これならどうかな?(犬クッキーを
     取り出す)」
レトリバー&ビーグル
    「(統夜に駆け寄る)」
レトリバー「(お座りして統夜の目をじっと見る)」
ビーグル「(統夜の周りでジャンプを繰り返し、なんとかクッキーを取り返そうと
     している)」
統夜  「…えーと」
カティア「たぶん、レトリバーの方がメルアだと思うわ」
レトリバー「わん」
カティア「ほら」
統夜  「ふう、どうやらこれでひと段落…」
リオ  「ちょっと待った」
一同  「?」
リオ  「じゃあ、このビーグルは?」
統夜  「え? だから、ヒカワさんでしょ?」
リオ  「あのさ…このコ、女の子なんだけど」
一同  「えっ!?」
助手  「よし終わった(『瓦工』と胸に書いた野球のユニフォーム+粉砕バット)」
カーラ 「わー殺る気まんまんー」
助手  「親父が言うには、今回のこれはエイプリールフール特別企画だそうだ」
ユウキ 「つまり?」
助手  「4月1日の午前中一杯で元に戻るらしいが、それまではこのまま」
統夜  「えーと、だとすると、間違ってヒカワさんを連れて行ったのは…」


ツグミ 「セレーナー、アイビス昨夜お風呂入らなかったみたいだから、お風
     呂入れてあげて」
セレーナ「んだなっす」
豆柴  「(耳も尻尾も寝かせて小刻みに震えてる)」
セレーナ「ほら、こっつぁ来?」
豆柴  「(踏ん張って動こうとしない)」
セレーナ「こーれ!(力づくで首輪を引っ張る)」
豆柴  「(渋々ついて行く)」


セレーナ「(ノーブラ&Tシャツ一枚)暴れんでねえぞー」
豆柴  「(最早逆らう気力もない)」
セレーナ「よし、ほんでば今度は腹の方も洗うべえか」
豆柴  「(びくっとする)」
セレーナ「でーじょぶだぁ、痛ぐねえがらや」
飼い主一同
    「(バスルームの外から)セレーナさん今すぐ中止——!!」
セレーナ「はぁ?」

(只今から 4月1日 12時をお知らせ致します。ぴっ・ぴっ・ぴっ・ぽーん!)

リョウト「(涙目)」
セレーナ「…はい?」

(リョウトの背後から、セレーナが泡まみれで抱きついて下半身に手を伸ばし
 ている体制)

リョウト「うわ——ん!! ひどいや姉さ——ん!!(号泣&脱兎)」
一同  「トラウマ爆発しちゃった——!!」


アイビス(元ビーグル犬)
    「ところで、ツグミが私を間違えたのは…」
ツグミ 「もちろんわざと」
スレイ 「だからあれほど言ったのに…orz」
セレーナ「しょすくて(恥ずかしくて)死ぬ…orz」




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755 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/04/01(日) 11:50:14 tvqSn689
>>742
すこし遅くなったが、GJ!

だが、カティアも犬属性だと思ったんだが。

2007年04月14日
 ■  「喫茶TIME DIVERのある1日」

「喫茶TIME DIVERのある1日」

関連・参考記事

その店は、最近流行の喫茶店。元気が取り得のウエイトレス、無口だけど優しいウエイター、天然クールの新人ウエイトレス、早帰りだけど料理上手なアルバイター
そして、ちょっとミステリアスなTIME DIVER店長とその背後霊の笑いと恋とちょっとH?なこれはそんな物語。

喫茶TIME DIVER。極東支部伊豆基地の近くの商店街に最近新しく出来た店である。外には数が少ないがテラス席があり、中に入れば温もりのある
木で出来た店内が心を落ち着かせる。また、料理も絶品であり、ちょうど今のような昼時には客足が途絶えない。
「いらっしゃいませ〜♪」
店内にに元気な声が響く。出迎えるのは青いストレートロングヘアーの美少女。彼女の名前ははムジカ・ファーエデン。この喫茶店のウエイトレスであり
喫茶店唯一のツッコミ役でもある。事実、彼女がいなければこの喫茶店はボケだらけになってしまい、営業をするどころではなくなってしまう。
彼女がこの喫茶店の生命線なのである。
「ご注文は?」
「え、え〜と・・・・オムライスを大盛り・・いや、TIME DIVER盛りで!!」
「オムライスをTIME DIVER盛りですね?かしこまりました。注文はいりま〜す♪」
彼女は元気が取り得であり、その愛らしさは近所でも評判である。事実、この店に来る男性客は彼女の愛らしさにノックアウトされ、決まって料理を
この店独自であるTIME DIVER盛りにしてしまう。
TIME DIVER盛り。一見すれば店の名前がついた盛りだがその量がハンパではなく、今までに食べ切れたのは二人の少年と一人の少女だけだという。

「ハヤシライスのTIME DIVER盛り、2人前上がったぞ!!」
厨房で料理を作るのは茶髪の青年。名前はトウマ・カノウ。彼は正式なこの店の店員では無いのだが、店長と顔なじみのため新しいバイトが入るまでの間手伝っている。
「あ、は〜い。」
ムジカが厨房前のカウンターへ行き、料理を受け取る。だが、TIME DIVER盛りの重さが堪えているようで、足元がふら付いている。
「お、重いよ〜・・・・きゃぁっ!!」
イスに足を取られ、転倒するムジカ。TIME DIVER盛りのハヤシライスは宙を舞い、奇跡的に注文したお客様の元へ。
そして、地面とムジカの顔が激突するする少し前でムジカを支える手が。ムジカが顔を上げると、そこには赤い髪の青年が。
喫茶TIME DIVER byそれも私だ!!!氏
「あ、フォルカさん・・・・・」
「ムジカ、怪我はないか?」
「え、ううん。ボクは大丈夫だけど・・・あっ!!料理は!?」
「料理なら見事客の所へ届いたぞ。」
少し口調はぶっきらぼうだが、端々に優しさが見える。彼の名はフォルカ・アルバーク。元々は修羅界という別世界にいたが、今はこの店のウエイターだ。

「よかった〜。お皿割っちゃったら店長に怒られる所だったよ・・・・・」
「ムジカは注文を取っててくれ。料理は俺が運ぶ。」
「うん。分かったよ。」
そう言うと注文を取りに走るムジカ。フォルカはカウンターへ行き、用意された料理全てをを絶妙のバランスで持ち、運んでいく。
「紅茶と苺のショートケーキだ。ごゆっくり。」
「あ、どうもです・・・・・」
彼は基本的に無口だが先程のように垣間見える優しさが評判であり、女性客に人気である。もっとも、彼自身そこの事には気付いていないようであるが。

午後2時。この店で唯一客足が途絶える時間・・・・そう、小休止時間である。その頃合いを見計らったのか、奥から緑色の髪の美女と、銀髪の青年が出てきた。
「あ、店長と背後霊さん。それにフーさんもどうしたの?それに、フーさんのその服って・・・」
「ムジカ、フォルカ、それからトウマ。紹介するからこっちに並んでくれ。」
てきぱきと指示を出す店長。それに習い、ムジカ、フォルカ、トウマが横に並ぶ。
「まあ、分かるとは思うが一応紹介する。今日からこの店で働く事になったフー=ルー・ムールーだ。」
「フー=ルー・ムールーです。よろしくお願いします。」
自己紹介にもあった通り、緑色の女性の名前はフー=ルー・ムールー。元々は月のフューリーの女騎士だったが現在は地球で暮らしており、
今現在新しく入ったウエイトレスである。そして銀髪の青年の名前はクォヴレー・ゴードン。この喫茶店の店長であり、2代目TIME DIVERでもある。
その後ろ、うっすらと見えるのは初代TIME DIVERであり、この喫茶店の副店長の背後霊ことイングラム・プリスケンである。彼は割と自由にもとの体に戻れるらしいが
現在は背後霊状態であり、時々店長に取り憑く。
「これからはフーにもウエイトレスをやってもらう。ムジカ、色々と教えてやってくれ。」
「分かりました〜。あ、フーさん、コーヒーの注文受けても絶対に脱いじゃダメだからね?」
フーに釘を刺すムジカ。果たして、効果はあるのだろうか・・・・・・

午後3時。小休止が終わり、開店時間となった。入り口のドアには「新人が入りました」との貼紙が。
新人に惹かれたのか。男性客が大勢入ってくる。フーが脱ぎそうなので気が気でないムジカ。そのフーは注文を取っている最中だった。
「ご注文は?」
「店長のオススメセットを1つ。」
「またオススメセット?本当に賭け好きなんだから・・・・・私は紅茶とティラミスで。」
「中尉の賭け好きは筋金入りですから、あ。自分はブレンドコーヒーを1つ。」
「かしこまりました。」
奥へ行き、料理を待つフー。数分後、出てきた彼女はやはり脱衣姿だった。
「お待たせしました。オススメセットと紅茶とティラミスとブレンドコーヒーです。」
「あ、どうも・・・・くぁwせdrftgyふじこぉlp;—っ!!??」
鼻血を大噴出し、倒れる金髪の青年。慌てて同席していた二人が駆け寄る。
「ブリット、しっかりしろ!!」
「わぉ!!新しいサービス?今度試してみようかしら・・・・」
「わーーーーーー!!フーさん何やってるの!?」
慌ててフーを店の奥に連れて行くムジカ。戻ってきたフーはちゃんと服を着て・・・もとい、着せられていた。
「もぅ、フーさん。コーヒーの注文が入っても脱いじゃダメだよ・・・さっきのお客さん・・・ブリットさんだったけど大丈夫かな?」
「かなりの出血多量だったが・・・大丈夫だろう。」
「フォルカさん、いつの間にボクの隣に!?でも、大丈夫ならいいかな・・・・?」
さすが修羅。気配を消して近づくなどは日常茶飯事・・・いや、朝飯前である。

「それより注文だ。ブレンドコーヒー2つとモカ3つ。それにカプチーノが2つだ。」
「うわ、全部コーヒーだよ・・・ってフーさんまた脱ごうとしてる!!」
今度は被害が出る前に止めれたムジカ。脱ごうとしていたフーを止め、服を着させる。
「もう、コーヒーの注文受ける度、脱ごうとするんだもん・・・・ダメだよ、フーさん。」
「ダメなのですか?」
「ダメな物はダメです!!店長〜何か一言言ってやってくださ・・・」
天然クールの新人さん&総ボケ組vsリアクション、突っ込みムジカ byそれも私だ!!!氏
「ムジカ、ブレンドコーヒーの準備が出来たぞ」(褌姿)
「モカとカプチーノはもうすぐだ」(脱ぎかけ)
何と、フーではなくフォルカと店長の久保が脱いでいた。しかもフォルカはほぼ全裸だった。
それを見たムジカは前のめりで両手を高く上げ、片足を上げ、「ズデデデデデデデッ」という音を立ててコケるという昔懐かしギャグマンガのコケ方でコケていた。
「店長とフォルカさん何やってるのーーーーーー!?(ガビーン」
「いや、試しに全裸でやってみようかよ思ってな・・・・」
「いやいやいやいやいや、おかしいって、普通試しで褌姿にならないって!!店長も何で脱いでいるんですか!!」
「背後霊に一度やってみろと言われた。これがコーヒーを入れる時の礼儀なんだろ?」
「そんな礼儀はありませんって!!副店長も変な事吹き込まないでください!!」
怒涛のツッコミを入れるムジカ。このままではハリセンが出てきてもおかしくは無い。

「そうか・・・・ならムジカ。お前が脱いでみたらどうだ?」
背後霊の目が怪しく光る。そして一瞬顔が青くなった後、真っ赤になるムジカ。
「副店長!!変な事言わないでください!!ボクが何で脱がなきゃならないんですか!!」
「副店長、それはいいアイディアですわね。」
賛同するフー。状況はムジカが不利である。
「だから、ボクは脱ぎたくないんです!!それに、コーヒーは脱いで淹れません!!」
「ムジカ、何故脱衣の嫌うのですか?」
「だ、だってその・・・恥ずかしいし・・・・それにボク・・・ゴニョゴニョゴニョ(フーさん程スタイルよくないし)・・・・」
顔を真っ赤にし、反論するムジカ。だが、最後の方は小声で何を言っているのかは誰にも聞き取れなかった。
「ムジカ、嫌う理由はどうあれ、副店長の命令ですから、きちんと守らないといけませんわ。」
「命令でも脱ぎたくはないです!!」
「そうか、ならば俺がが脱がしてやろう。」
ムジカが振り向くと、髪の色が青くなった店長が。そう、背後霊に憑かれた状態である・・・・
「ぬ、脱がされるぐらいなら自分で脱ぎますって!!」
「ムジカ、言ったな・・・・?」
店長の顔が黒い笑顔になる。その途端、ムジカは自分が自爆した事を知った。
「い、言っちゃった・・・・・・ボクのバカァ〜!!」
「ムジカ、言ったからには脱いでもらうぞ?」
「う〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
目に大粒の涙を溜め、羞恥心に押しつぶされそうになりながらも服を脱いでいくムジカ。

服と大粒の涙が下に落ちそうになり、下着姿が露になりそうになったその瞬間、ムジカの上に服が被せられた。
彼女の上に被せられたのはウエイターの制服の上着。その服の主の名前を呼びながら主の方を向くムジカ。
「フォルカさん・・・・・」
「・・・・・脱衣をするのは俺とフーだけで十分だ。お前が脱ぐ事は無い。」
「・・・・ありが・・とう・・・」
素っ気無いが、優しさのたくさん詰まった言葉だった。思わず涙が出てくるムジカ。
「副店長、だそうですわ?」
「むう、仕方が無い・・・・断念しよう。(せっかく面白い物が見れると思ったのだが・・・まあこれはこれで・・・)」
ムジカの脱衣を断念し、店長の体から抜け出す背後霊。その途端、背後から鋭い言葉が。
「背後霊、貴様・・・・・」
そこにいたのは禍々しきオーラを纏った店長。背後霊は自分の身の危険を察知して逃げ出そうとするが、青ワカメヘアーを捕まれる。
「むおぅ!?し、知っていたのか久保よ!!」
「話はすべて中で聞かせてもらっていた。ちょっとこっちへ来い。無限光で消し飛ばしてやる・・・・」
ズルズルと音が立ちそうな引き摺り方をしながら奥へ消えていく店長と青ざめた顔の副店長。
店内では、制服を着て涙を拭き、いつもの笑顔が戻ったムジカと、そんな彼女を気遣いながらもクールに振舞うフォルカ、そして懲りずに脱衣コーヒーをするフーの姿が。
そして店の奥からは背後霊の微かな悲鳴と店長の怒りのオーラが。

ここは喫茶TIME DIVER。いつもドタバタしているが、不思議と通いたくなる店である・・・・・


2007年04月09日
 ■  白い日 統夜ルート

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その140
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1173683616/l50


413 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/03/13(火) 20:55:30 QlGCZA8U
ハガネ・調理場

統夜「……これでいくつ目だろう…正直数える気も失せる…。」
トウマ「…すげー、クッキーの山…なんてレベルじゃねえなこりゃ。」
統夜「あの三人のほかにもシャナ姫やフーさんにスレイさん、
それだけならまだしも月の女性従士からドッサリ贈られて来たから…。」
トウマ「誰かに手伝ってもらうとか考えなかったのかよ…俺ならもう作り終わってるから手伝ってやれるのに…。」
統夜「それじゃあ意味がないんですよ…
貰った物には心を込めて返さなきゃならない、そしてそれは自分の手でやるからこそ意味があるんじゃないんですか?」
トウマ「……そこまで言うならもう何も言えないな…珈琲、ここに置いとくからよ。飲んで頑張れ。」
統夜「ありがとう。」

まぁ、もっと大変な奴も居るんだろうがな。




497 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/03/14(水) 00:16:01 R8Kv+z9p
>>413
統夜「ぜ…全部…何とか…ラッピングまで…終わった…ぞ…。」バタリ

そう言い放つと統夜はガクリと調理場の椅子に身を横たえた。
その周りにはきちんと包装されたクッキーの袋がざっと300ほど並んでいた。
統夜は眠った。ただひたすら、泥の様に眠った。


ここで力尽きた


498 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/03/14(水) 00:24:06 g+6f2CsS
>>497
???「しかし…美味いなぁホンマ」
ぼりぼり
???「うむ、クッキーなど子供の食い物と馬鹿にしていたが…」
ばりばり
???「ほれ、コーヒーをいれて来たぞ」
ギアッチョギアッチョ

統夜「な…何食ってるだぁ〜!!って、最後のなんだぁ!!!」


501 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/03/14(水) 00:34:43 +qYyzB3K
>>497
すごい数貰ってんのなwwww
なんか統夜クラスの女子とか後輩とかからも貰ってそうだ



535 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/03/14(水) 13:08:04 GGbUy/ul
>>497を勝手に続けてみた。

———誰かに頭を撫でられている。

そんな感覚を覚えて目が覚める。調理場の椅子で寝ていた筈が何故かここは割り当てられた自室。
そして眼前には良く見知った顔が優しげに微笑んで、目が覚めたかどうか聞いてくる。
曖昧に肯定の返事を返し、時計に目をやるともう昼を過ぎている。不味い、これではお返しを返しきれない。
慌てて身を起こそうとすると額を押されて逆戻り。そこで気付いたが自分は彼女に膝枕されていたらしい。

どうした事かと聞けば、どうやら他の皆でお返しを配りにいってくれたそうだ。
流石に300人近い相手が居ると言う事情を話せば向こうも納得してくれる筈と注釈も付けて。
有り難い様な、お返しを渡す相手に申し訳ない様な気にもなりつつ
朝方調理場の椅子で眠りこけている所を発見され、自室に牽引された身としてはぐぅの音も出ない。
苦し紛れにじゃあ何で膝枕?と聞いたら嫌かと逆に聞き返され、白旗を揚げるしか選択肢はなかった。

実際はじゃんけんで勝った彼女が自分の面倒を見ていたとの事。膝枕に関しては役得だとか。
悪かった、と申し訳なくなり謝ると、私にはこの膝枕で十分過ぎるお返しだったから、
他の皆には自分で渡してあげて欲しい。そう言って笑う彼女の笑顔が何故か胸を締め付けた。

だから、だろうか。
今日になってから最後に、二人きりの時を見計らって渡そうと。
後生大事にしまい込んでいた銀の指輪の隠し場所を彼女に教えた。教えて、しまった。

ソファーから立ち上がり、訝しみながらその包みを取り出して
開けても良いかどうか聞いてくる彼女に肯定の返事を返す。
かさかさ、と包み紙が擦れる音が一時部屋を支配した後に、彼女の顔に浮かんだのは驚愕の表情。
そこですかさず俺はこう言ってやった。

「その内、もっと良いヤツを贈るから。
 ………それまで左手の薬指。それで予約させて貰って良いかな」

一瞬、惚けた様にぽかん、と口を開けていた彼女が次の瞬間浮かべたのは
余りに素敵で、そんなちっぽけな指輪で見せて貰うには勿体無さ過ぎるような

———そんな、花咲く様な笑みだった。

果たして統夜の相手が誰だったかどうかは皆の妄想に任せたい次第であるが、
あえてJ三人娘の中から黒髪のお姉ちゃんキャラVerを読みたい方は以下のURLへ進んで頂きたい次第。





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———誰かに頭を撫でられている。

そんな感覚を覚えて目が覚める。調理場の椅子で寝ていた筈が何故かここは割り当てられた自室。
そして眼前には良く見知った顔が、自分の大事な人が、カティアが、優しげに微笑んでいた。

「お目覚めですか?」
「………あー、うん」

曖昧に肯定の返事を返し、時計に目をやるともう昼を過ぎている。不味い、これではお返しを返しきれない。

「大丈夫、まだ休んでいても大丈夫ですよ」

慌てて身を起こそうとすると額を押されて逆戻り。そこで気付いたが自分は彼女に膝枕されていたらしい。

「大丈夫、って………」
「朝、調理班の方が椅子で寝てる統夜を見つけてくれたんです。
 それからトウマさんに部屋まで運んで貰ったの。今、皆で代わりにお返しを配りに行ってくれてます。
 ………流石に相手の数も数ですし、事情を話せば判って貰える筈、ですよ」

それを聞いて有り難い様な、お返しを渡す相手に申し訳ない様な気にもなりつつ
朝方調理場の椅子で眠りこけている所を発見され、自室に牽引された身としてはぐぅの音も出ない。

「助かるよ………あー、所でさ」
「はい?」

何とも間が悪くなり、せめてもの苦し紛れの問いを投げかける。

「何で、膝枕?」
「嫌でした?」
「………ごめん、降参」

投げかけるも、即座に切り替えされて降伏の白旗を掲げる羽目に。

「ふふ、素直で宜しい………本当は皆に面倒を見ててって言われたから。膝枕は役得ですね」
「そっか。ごめん、重かっただろう?」
「全然。好きでやってる事だから気にしないで。
 それにこれで私には十分なお返しになったから………せめて、テニアとメルアには自分でお返し、渡してあげて下さいね?」

自分はこんな事で十分だと。だから親友達の事も気にかけて欲しいと。
そう言って笑う彼女、それが酷く胸を締め付けた。

だから、だろうか。
今日になってから最後に、二人きりの時を見計らって渡そうと。
後生大事にしまい込んでいた銀の指輪の隠し場所を彼女に教えた。教えて、しまった。

「机の引き出し………これかしら、開けても良いんですか?」
「うん」

ソファーから立ち上がり、訝しみながらその包みを取り出して
開けても良いかどうか聞いてくる彼女に肯定の返事を返す。

「ぁ………」

かさかさ、と包み紙が擦れる音が一時部屋を支配した後に、彼女の顔に浮かんだのは驚愕の表情。
そこですかさず俺はこう言ってやった。

「その内、もっと良いヤツを贈るから。
 ………それまで左手の薬指。それで予約させて貰って良いかな」

それを聞いて一瞬、惚けた様にぽかん、と口を開けていた彼女が次の瞬間浮かべたのは
余りに素敵で、そんなちっぽけな指輪で見せて貰うには勿体無さ過ぎるような

「はい!………待ってますからね、統夜」

———そんな、花咲く様な笑みだった。

2007年04月08日
 ■  vakzUvr3氏作SS「オクト小隊の午後」

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その139
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1173374026/l50



956 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/03/12(月) 15:59:48 vakzUvr3
その日のブリーフィングルームは、ピリピリとしていた。
ホワイトデーが近づいているのに欠片ほどのアプローチもしてこないタスクに
レオナが少々怒りを覚えていた中よせばいいのにタスクが下世話な軽口を叩いてしまい、
それにカチーナ・ラッセルがレオナをATX隊(分の悪い賭け)がタスクを擁護して。
 


 
結果今に至る。
現在オクト小隊預かりの異人・ムジカ=ファーエデンとフォルカ=アルバーグが少し遅れてブリーフィングルームに来たとき、修羅ですら畏怖するほどの、恐ろしい緊張感がその場を支配していた。
「い、一体何があったの!?」
状況をカチーナから聞いてムジカは大体納得。内心嘆息。
(また面倒くさくなった……)
と思ったりもしたのだがさすがにそれは言わない。しかし、なんというか、その……、この雰囲気は、凄く怖い。
ムジカは半泣きになりつつも互いにそっぽを向いている
(襟をつかまれてカチーナに何故かぶっ飛ばされる寸前のラッセルがいるが)
皆に向かって
「せっかく皆仲間なのに、なんだか悪い空気になってて、それで、カチーナ中尉が熊も殺せそうなキラーパンチをラッセルさんに叩き込もうとして………!!」
後で、基地裏に来いな?というカチーナ中尉の声が聞こえた気もしたがそれを無視してムジカは息を吸い込み
「こ、こういう雰囲気って、よ、………良くないと思うんですにょ!」
盛大に末尾を噛んだ。
言ってから、ムジカは頭を抱えてしゃがみこむ。
(しまった〜!地雷踏んだ〜!!)
無言でこちらを見ている小隊の面々を見直しながら再度考える。
……この人達の前で弱みを見せるなんて。
弱みを見せたら常識の範囲外の世界からの攻撃を仕掛けられる。
それがクロガネ・ハガネ・ヒリュウ改に関わった部隊の中では暗黙の了解らしく、
ムジカは集まりの際にパシらさられてるタスクとかアラドは何か弱みを握られてるのだろう、と考えている。
大丈夫だろうか。一番年下ということで見逃してはくれないだろうか。
「え、ええと、あの、だ、大体タスクさんも昨日購買でアクセサリの注文が届くように頼んでたじゃない
 『あ、ムジカ、テメェッ!!』かぁぁぁぁぁぁぁぁ!タスクさんの浪漫の騎士ぃぃ!」
しばし皆沈黙。
ややあってからタスクが
「確かに俺がレオナに一言言っときゃ問題の無かったことだったよな、うん………」
深く頷く彼を見て、ムジカはホッとする。大丈夫そうだなぁ、と。
タスクは真剣な顔でレオナを見る。
「レオナちゃん、ムジカの言うとおりだ。俺が悪かったっ!だからさ、ピリピリした空気はもう止めにしないかにょ?」
しまった、とムジカが思う視線の先、カチーナが頷き、
「確かにそうかもしれねえなあ。少し、ピリピリしてたよなぁ、あたし達。違うかにょ?」
「ははは、さすがカチーナ中尉。話が分かってくれたようで何よりだにょ」
「いやはや、ムジカのおかげですにょこれは。いい感じで話がまとまりつつあるにょ」
無言になったムジカをみて、レオナが慌てて声を掛ける。困り顔で、
「エ、エクセレン少尉もカチーナ中尉・それにタスクも!そんな風に語尾を変換したらムジカが可愛そうよ!!
 ムジカだってまだこの世界に慣れてない状態で言語が哀れな状態なんだから!!」
止め刺してるよ、レオナさん。と内心ムジカは思いながら
「フォルカさん、こういう時ってどうすれば———ってなんでこっち向いてくれないの!?」
「俺を巻き込むな、ムジカ」
「ヒドっ!!」
「まぁまぁ、せっかく二人が仲直りしたんだから———」
とエクセレンがまとめあげたとき、キョウスケが口を開く。
「そういえばさっきから思ってたんだが——」
「なんだ?」
「さっきから、タスクはレオナの乳を揉んでないか?」
「「「「「「……………………………………」」」」」」
( ゚Д゚)×7
「邪魔者は撤退するか……」「そ、そうですね」
「後は二人でなんとでもしろ」「心配して損したわ」
「結局、ボクはいじられ損………」「何がどう邪魔者かは分からんが………」
彼らが帰る後ろで何か肉を潰すような音がしたが気にしない事にしたのは言うまでもない。
まぁ、ホワイトデーにプレゼントする際は何かアプローチかけといたほうが喜んでくれるのでは?ということで一つ。


 ■  Ghc5az7W氏作SS「ゲシュペンスト・スピリッツ」

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その139
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1173374026/l50


928 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/03/12(月) 13:32:02 Ghc5az7W
長い上に蜜柑。もとい未完の話だがまあいいや。




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「——すいません。突然」

伊豆基地。ケネス・ギャレット准将へ前回の戦果報告をしに行った帰り。廊下の向こうから聞きなれた声がした。
レフィーナ・エンフィールド。イカロス基地の士官学校を主席で卒業し、若干19歳ながらヒリュウ改の艦長としてその腕を振るう才女。
L5戦役を始めとした数々の戦いで艦を並べ、戦った人物である。
戦時中はともかくとして、今は平時。小規模紛争に大型艦を二隻も投入することは無く、直接会う機会はなかなかなかった。
丁度いい機会と思い。テツヤ・オノデラは軽く挨拶でもと、声のするほうへと足を向けた。

——するとそこには、涙を流しながらも笑顔を浮かべて話をするレフィーナ。
  そしてそんな彼女にハンカチーフを差し出すリー・リンジュンの姿だった。

和やかな雰囲気を醸し出しながら話を続ける二人。
その光景に少なからずショックを受けたテツヤは、話の内容すら耳に入らず。ただ静かにその場を離れることしかできなかった。


翌日。ハガネの艦橋では艦長席に座り込み、大きな影を背負ったテツヤの姿があった。
ブリッジ要員であるエイタやリオも、そのただならぬ様子に話しかけることも出来ず。ブリッジはいつになく重い雰囲気が漂っていた。

「各補給物資、および機動兵器の搬入完了。いつでも出港できます……艦長?」
「あ、いや、すまない。発進してくれ。最初の目的地は北米地域。到着後すぐに付近の哨戒任務に入るぞ」
「了解。こちらスティール2。コントロール、発進許可願います」
『こちらコントロール。発進を許可します。快適な航海を』
「ありがとう」
「よし。スペースノア級万能戦闘母艦ハガネ。発し「艦長。通信が入っています」ん?」
「回線、回します」

発進の号令をかけようとしたまさにその時、ハガネに向かって入ってきた一本の通信。
回線を繋いで見ると、そこに映し出されたのはレフィーナ・エンフィールドの姿だった。

「レフィーナ艦長……」
『お久しぶりです。オノデラ艦長。戻ってくるなりまた哨戒任務だそうですが、気をつけてくださいね』
「まあ上司に睨まれてる以上は仕方がありませんよ。ご心配はありがたく頂いて……」

最後にこうやって会話をしたのはいつだったか。
久々の会話に心が躍るところも無いではなかったが、次の瞬間、前日のことを思い出す。
レフィーナとリー。共に士官学校の主席卒業者であり、それぞれの所属地での評判も良い。まさにお似合いと言えるかも知れない二人のことを。

『……艦長? オノデラ艦長?』
「っ! すいません。何ですか?」
『どうしたんですか。ぼーっとして。
 それでですね。今回の航路はどのようなルートをお通りになるんでしょうか』
「あ、はい。照会すれば出てきますが、今回は北米地域から……」

それから二人はしばらく、今回の任務の目的や航路などについて話し合い。通信を終えた。
だが通信を終え、北米へと向かい出しても、テツヤの影は晴れず。相変わらず重い雰囲気がブリッジを支配し続けていた。

「ダメだな……」

艦長室。
かつてはミナセ・ダイテツが使っていたその部屋も、今ではテツヤが自分の居室として使用していた。
テツヤとしてはあくまでも艦長代理であり、そのままにしておきたかったようではあるが。周囲からいくつもの反対意見が出た結果。こうして使うことになったのである。
そんな部屋のベッドに寝転がりながら、テツヤは軽い自己嫌悪に陥っていた。
先日のリーとレフィーナの様子にショックを受け、ブリッジの空気を悪くしただけでなく、当の本人にさえ心配をかける。泣きっ面に蜂をでも言うべきか。幾つもの要因が重なった結果、自分は艦長として本当にふさわしいのか。それさえも疑問に思える始末であった。

いっそ哨戒任務の間中、部屋で寝ていようか。
そんな考えが頭を巡っていたその時、突如として艦中にエマージェンシーが響き渡った。

『艦長! 前方の街がDC残党の襲撃を受けている模様! 至急ブリッジへ戻ってください!』
「何っ!?」

急ぎ、ブリッジへと戻ったテツヤが目にしたものは幾つもの黒煙を上げる街。そしてそこへ向かって飛び立つSRXチームの姿だった。

「なぜSRXチームが出ているんだ!」
「艦長! リュウセイ少尉が勝手に出撃してしまって。後のメンバーもそれを追って!」
「くっ。状況が状況だけに仕方が無いか。ハガネも彼らを追うぞ! PTだけでは各個撃破される危険性がある!
 だが、それにしても。DCはなぜあんな街を襲うんだ」

かつての戦いにおいて、DCはそのほとんどが壊滅。現在でも残っているのはわずかな勢力に過ぎない。
もし、DC再興を目指しているというのなら、拠点となる軍事基地を真っ先に襲うはずである。だが現実には目の前の街が襲われ、無残な姿を晒すこととなっている。

「簡単ですよ。生きるには食べる物が必要です。PTを動かすには資材や資金が必要です。そしてそれが豊富に存在しているのは軍事基地ではなく……市街地です」
「だからと言って……くそっ!
 住民の避難はどうなっている!」
「ほとんどはシェルターなどに避難済みです。でも一部の住民が取り残されてると」
「SRXチームはどうしている!」
「さすがに彼らだけでは抑え切れていません。救出に向かわせるのは無理です!」
「ならハガネを向かわせる! 進路変更。取り残された住民の救出を最優先とする。
 SRXチームにも極力早めに艦の防衛に回るように伝えてくれ」
「了解!」

悪い時には悪いことが重なるもの。その言葉を噛み締める。
ならばせめて、これ以上悪いことにならないよう……。思わず、信じてもいない神に向かってそう願ってしまうテツヤだった。

「クソッタレ! なんでこんな大量のエルシュナイデが残ってやがるんだ!」
「北米基地の元司令官が誰か忘れたのか?
 わざとかどうかは知らんが、撃ち漏らした連中がどれだけいても不思議ではないだろう!
 それと何度も言うが、あの機体の名称はエルアインスだ。エルシュナイデはまだマオ社で作成中だということを忘れるな!」
「どっちでもいいから早く合流して!
 このままだとハガネに辿り着くよりも先に各個撃破されるわよ!」

ハガネに先行。というよりは専行して市街地へと向かったSRXチームであったが。残党にしては多すぎる数の敵に取り囲まれ、絶体絶命の状況下にあった。
多少の数であれば、まだSRXチームに分があったであろう。だが相手が操る機体は、以外にもエルアインス——かつてシャドウミラーからノイエDCへと供与された『向こう側』のRシリーズ——であった。

「リュウ! R-WINGで無理やりにでも囲みを抜け出せるかしら?」
「無理だ! 抜け出せたとしても砲撃は敵さんの得意分野だ。
 ロボアニメでもない限り変形中を狙われちまう!」
「仕方ないわね……。ライ! R-2の装甲を当てにしてもいいかしら?」
「了解です。大尉に合わせてハイゾルランチャーを打ち込みます。リュウセイは出来た間隙を縫って大尉の援護に回れ。俺はその後だ」
「OK! タイミングは任せ……アヤ!」

通信とフォーメーションの構築に気を取られていたアヤ。気がつけばR-3の上から、エルアインスのビームキャノンがまさに狙いを定めているところだった。

「しまっ!?」

両肩のビームキャノンに光が点り、放たれようとしたその瞬間。
上空から真下へ黒い影が抜け。同時にエルアインスを撃ち落としていった。

「なっ!?」

大地に降りた影は、そのまま戦場を駆け抜け、瞬く間に数機の敵機を蹴り落とした。

「大尉! 敵が動揺している今のうちに合流を!」
「そ、そうね。合流ポイントを送るわ。二人とも速やかに集結!」

突如現れた影に敵は浮き足立ち、その隙をついてSRXチームは囲みを脱し、合流地点へと急いでいた。
その間にも影は戦場を走り、あろうことかその拳と脚だけで、敵部隊を圧倒していった。

「いったいあれは……
 こちらSRXチーム、アヤ・コバヤシ大尉。所属不明機、名前と目的は。こちらSRXチーム」

他の二機との合流の間、アヤは正体不明の影に向けて通信を送る。
すると意外なことに、影は即座に返答をよこした。

『アーウィン・ドースティン——正義』

簡潔に。影——黒いゲシュペンスト——は断言した。





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931 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/03/12(月) 13:35:23 Ghc5az7W
ってことで未完の話をぐだぐだと。
んじゃ続きはODEが解除された辺りに……できるといいなあ。



933 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/03/12(月) 13:38:44 O28Xvu8b
>>930
ライスピネタktkr!!
でもそのキャラはジェスのがあってる気がする



934 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/03/12(月) 13:39:52 iHMjdLws
>>932
今気づいた。そこまでして出番が欲しいのか、ダディ…。



935 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/03/12(月) 13:45:00 Ghc5az7W
>>933
あー。ジェスか。個人的にジェスは内に秘めた闘志ってよりは、むき出しの闘志っぽいんで。
個人的な補正をかけてウィンにしたんだ。
何せ、俺ライスピ読んだ事ないから! セリフからイメージするしかないから!
ただ、面白いという話は聞くので仕事終わったら1巻だけ買ってこよう。

そして昼休みが終わるので仕事へ戻る。



936 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/03/12(月) 13:50:00 id4atix8
>>931
続き、ずっと待ってる!ずっと、ずっと…ずっと待ってるから!!ここで待ってるから!!

2007年04月07日
 ■  4SdLlExB氏作SS「苦労人sに心の安らぎを 」

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その139
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1173374026/l50


399 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/03/10(土) 13:23:24 4/8HQGyd
ここで流れをオルゴンソードFモード

996 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/03/09(金) 11:11:44 ID:4SdLlExB
>>996なら苦労人sに心の安らぎを

これのSSを書いて見たので
誰か投下の承認を。





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402 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/03/10(土) 13:39:25 4/8HQGyd
初春のある日、久しぶりに大きな休暇が取れたので四人で箱根に行くことになった。

「日頃色々お世話になってるんだからさ、四人でゆっくり羽を伸ばして来たらいいよ」

きっかけは、テニアのその一言だった。

ラキ、リム、アイビス、ツグミ、三人娘、ミナキが日頃のお礼ということで
2泊3日の温泉旅行を提案してきたのだ。

普段なら妹や同居人が付いて来るなどと騒ぐはずなのだが、
今回はどうやら、「いつも苦労をかけてるから」と言う事で、みんなで話し合って決めたらしい。


「いい眺めだな…クロガネの窓から見るよりもずっと綺麗だ」
「そりゃあ、間近だからな。お、見ろ、ロープウェイが見えてきたぞ」
「ラキも来れば良かったのに…無理しやがって」
「ま、その分お土産はきっちり要求されたし」
「ところで紫雲、この電車から降りた後は?」
「とりあえず駅の近くで昼飯食べてから、博物館ですね」
「おもちゃ博物館・・・か。リュウセイにも土産頼まれてるしな」
「カティアにも何か買っていってやるかな…あ、ジョッシュさんのど飴舐めます?」
「サンキュ。…しかし旅行なんて久々だな。
リムや親父に気兼ねすることなくゆっくり羽を伸ばせそうだ…」
「あ、そろそろ降りないと」


「おもちゃか…クリフが確かまだ取ってあるとか言ってたな」
「俺も買って貰ったことはあるけど、どこにしまったかなぁ…しかし懐かしい」
「なかなか造形が深いな…。リュウセイへの土産はここで揃えるか」
「トオミネへの土産はどうする、何か希望は受けているのか?」
「うーん、何でもいいって言ってくれたけど・・・スレイ、あんたならどうするんだ?」
「無難にブローチなどはどうだ?…私もセレーナ達に土産を買わなければならんしな」
「カティアはおもちゃ系、テニアとメルアはお菓子は鉄板として…」
「お、懐かしいなぁ。変身サイボーグか…リュウセイがここに来たら大変だろうな」
「カティアもね…しばらくここで足止め食らったでしょうね」


「あー、着いた着いた。とりあえず俺は露天風呂入ってくるぜ」
「あ、じゃあ俺も一緒させてもらうかな。ジョッシュさんは?」
「俺は後でいい。隣の部屋のスレイにも声掛けていけよ。」


「あ゛ー…静かだ……日頃のストレスが洗い流されていくようだ…
無茶な要求もされない…三食作る必要もない…家計簿をつける必要もない。
皆に気苦労をかけたり気苦労をかけられたりする事もない…」チャポン
「あの三人を纏め上げてるお前はホントたいしたもんだよ。いい機会だ、しっかりリフレッシュしとけ」シャカシャカ
「そっちも、ミナキさんにいつも振り回されたりバイトを3重4重に掛け持ったり・・・
DGG乗りって色々大変でしょう。」
「違いねーや。しっかし時間が時間だからか、空いてるなぁ。」


「はふっ、あつっ、うま」
「あっつつつつっ」
「しかしこうやって集団で鍋をつつくなんて久しぶりだな・・・あ、スレイ、ネギ気をつけろよ、芯が飛び出すから」
「分かっている、そんなドジを(ガリッ)————ッ!?」
「あぁもう、だから言わんこっちゃない。ほら水」
「スマンな・・・トウマ」
「しかしこの蟹美味いなぁ。レーツェルさんお墨付きの旅館選んでよかったよ」
「いつになく落ち着いた晩飯になったな。こういう鍋物だとクリスがすぐに甘い物を入れようとするから…。」
「こっちはテニアが肉類を真っ先に取っていくからなぁ…落ち着いて食べられたためしがない」
「二人とも色々苦労してんだなぁ。・・・スレイ、どしたんだ?」
「…あ、いや、ツグミが作った風味豊かな澄まし汁の事を思い出していた」
「あぁ・・・ハイペリオンで外宇宙行ってる時に食べたって言うアレですか」
「まぁな…何というか・・・」
「そろそろ具が少なくなってきたな。雑炊いくか?」
「あ、お願いします」
「やっぱ鍋の最後はこれだよな。」
「俺も何度かやってるが、やっぱりうどんより雑炊だな」
「これもまた美味そうだな。私のも頼む」


「あ、月だ」
「ほんとだ。綺麗な三日月だな」
「曇ってないからな。くっきりとよく見える」
「今頃シャナ姫も晩餐の最中かな?」


End





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405 :399 :2007/03/10(土) 13:42:16 4/8HQGyd
以上。
前に投下されたα主人公+リュウセイのSSの文面を意識してみたけど
やっぱ難しいな。


410 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/03/10(土) 14:14:22 L3LjXYeO


410 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/03/10(土) 14:14:22 L3LjXYeO
貴様ら、何故>>405にGJの一つも出してやらんのだ!可哀想だろうが、折角書いてくれたのに!

というわけで投下乙、会話だけで綴られた苦労人ズの様子が哀愁漂うもので「ああ、本当にこいつら苦労してるんだな……」と感じさせられました
また機会とネタがあったら投下してやってください。GJでした!



411 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/03/10(土) 14:16:35 2kk9uWOA
>>405
GJ(グランドジャパネスク)!
温泉のところで、実は混浴で統夜とスレイがばったり…という
展開を期待したスケベニンゲン(inオランダ)は俺だけでいい。

2007年04月06日
 ■  xRryn9qB氏作SS「フォルカvs大貫さん」

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その139
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1173374026/l50


173 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/03/09(金) 21:06:29 xRryn9qB
流れを星薙の太刀してスマン。
今の流れに便乗して書いた小説をUPしたいのだが・・・・
誰か承認をしてくれないか?



174 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/03/09(金) 21:08:16 dx/01lEp
>>173
投下、承認!



175 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/03/09(金) 21:08:17 f6aWz4rs
総員フォーメーションSS発令!!



177 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/03/09(金) 21:09:12 xRryn9qB
承認、感謝する。
フルメタのキャラが出てる事については少し目をつぶってくれ




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今、Mr.エログクラッシャー事フォルカ・アルバークは陣代高校へ来ていた。
この高校に通う統夜からの頼みで学校に忘れていった家計簿を回収するためである。
何故、フォルカが頼まれたのかというと、そう。この高校には史上最強の用務員の大貫さんがいるからである。
万が一、大貫さんがバーサーカーモードになっていれば、統夜では相手にはならないからである。
「この高校には修羅並みの猛者が居ると聞く・・・・一度手合わせしたい物だが、まずは紫雲の頼み事か。」
そう言いながら校舎へ入っていくフォルカ。無論、鍵の類は拳か蹴り一つで破壊していく。

「統夜の教室は2年4組・・・・ここか。・・・ハァッ!!」
気合一発。拳で扉の鍵を粉砕し、宗助が仕掛けた軍用トラップも何のその。避けると同時に壊して進むフォルカ。
普通の人なら、無事に辿り着く事すら難しい状況だが、フォルカは余裕で統夜の席へ。
「紫雲の席はここか。家計簿とは・・・これの事だな。」
B4サイズのノートには綺麗な字で「紫雲家家計簿」と書かれていた。間違いないだろう。
「これで紫雲の頼み事は終わった。さて、この高校に潜む修羅を探すとしよう。」
教室を後にするフォルカ。だが、彼は気付いてなかった。この教室にたどり着く前、用務員室の前でトラップを破壊した時の悲劇を。

フォルカが2年4組を後にした時と同時刻。用務員室の前で大貫善治氏が絶望を味わっていた。
「わ、私の大事なジョセフィーヌが・・・・・」
OTLの格好の大貫さんの目の前には割れた鉢植えとそれに植えてあったと思われるサボテンが。
サボテンの発育は大変よく、かなりの手間と苦労と時間を費やして育てられた物だと思われる。
だが、こんな時間では誰が壊したのかは分からない。大貫さんは箒と塵取りを取りに部屋に戻ろうとした時、フォルカが通りかかった。
「この鉢は・・・・行きがけに罠を破壊した時に勢い余って破壊してしまった物か。」
そうフォルカは言った。フォルカと大貫さんは互いに姿は見えていないものの、その言葉ははっきりと大貫さんに聞こえた。
大貫さんは箒と塵取りを床に落とし、押入れにしまってあるチェーンソーを手に取り、起動させた。
その瞬間、大貫さんはバーサーカーと化し、体の周囲には禍々しいオーラが発せられ、フォルカに向かって突進した。

「むっ・・・・そこか!!」
一瞬で後ろを振り向き、大貫さんのチェーンソーを蹴りで払い落とすフォルカ。
大貫さんは常人には捉えることのできない速度で近づき、チェーンソーを振り下ろしていた。
修羅であるフォルカだからこそ蹴りで払い落とせたのであり、その速度はゼンガー少佐でも見切る事の難しい速度であった。
「愛しいジョセフィーヌの命を奪ったのは君かね・・・・?」
「ジョセフィーヌ?俺はそのような者の命を奪った記憶は無い。」
「人じゃない、私が10年かけて大切に育ててきたサボテンだよ・・・」
「サボテンなら、先程破壊してしまった。すまなかったとは思っている。」
「本当にすまないと思っているのなら、命で償ってもらおう!!」
またも振り下ろされるチェーンソー。だが、フォルカもそう甘くは無い。
無駄の無い動作ですべて避け、一瞬の隙をついて蹴りを叩き込む。だが、大貫さんもフォルカと同じくそう甘くは無かった。
真上へ大ジャンプし、落下の勢いを乗せたチェーンソーでフォルカの足を斬りにかかった。

「くっ!!」
間一髪。チェーンソーが当たるか当たらないかの位置でフォルカは足を引っ込め、大貫さんを殴りにかかった。
大貫さんも間一髪でチェーンソーを手元に戻し、フォルカの拳を防いだ。
お互いに一歩も譲らない闘いである。二人は同時に用務員室の前から動き出す。
廊下内を縦横無尽に駆け回る二人。二人にとっては壁も、窓ガラスも、柱も、天井も、廊下にある物すべてが足場となる。
「ハァァァァァァァァ!!」
フォルカが目にも留まらぬ連撃を繰り出せば、大貫さんも同じような技で反撃する。
「デュハハハハハハハ!!」
大貫さんが笑い声を上げながら連続で斬りかかれば、フォルカも同じような蹴りで反撃する。
互いの技はすべて防がれるか、避けられ、互いに一発も攻撃が当たっていなかった。

そうこうしている内に闘いの場所は屋上へと移る。
屋上の中心で格闘技を繰り出す青年とチェーンソーを振り回す老人。傍から見れば、奇妙な闘い以外何物でもない。
「まさかこれほどの血焔礎雨の使い手が居るとは・・・・・」
「君も、罪人にしては中々やる方だ。だが、この闘い私が貰うよ。」
「生憎、俺は死ぬ気はないのでな・・・・・・・」
互いを褒めあいながらも牽制しあう二人。そして、また闘いが始まる。

「フォルカさん、遅いなぁ・・・・・」
そう言いながら統夜は陣代高校へと向かっていた。手には紙袋が。おそらく、バイト先でキープしてもらった物だろう。
その証拠に、紙袋の側面にはバイト先の店の名前が入っていた。
自転車で陣代高校へと向かっていた統夜は、校門前で屋上の様子がおかしい事に気が付いた。
「ま、まさかとは思うが・・・・フォルカさんか・・・・?」
急いで校門を乗り越え、校舎内に入ると階段を駆け上る。
屋上に続くドアを開けると、目の前でフォルカと大貫さんが別次元とも取れる闘いを繰り広げていた。
「ああ・・・・・やっぱり・・・・・俺の家計簿、買い直すしかないのか・・・・」
OTLな格好で突っ伏す統夜。すると、統夜の目の前に「紫雲家家計簿」と書かれた家計簿が。
どうやら、フォルカここに上がって来た時にここに落したまま気付かず闘っているようだ。

「とりあえず、家計簿は取り戻せけど・・・あの二人はどうしよう・・・・」
二人の別次元の闘いを眺める統夜。数分後統夜が下した結論は・・・・
「あの二人の闘いに関わったら絶対無事じゃすまないから・・・・気が済むまで闘わせておこう・・・・」
この結論にいたったため、そそくさと屋上を後にする統夜。


なお、この闘いは1週間にわたって続き、結果は大貫さんが倒れたため、フォルカの勝利に終わったとの事。
また、その間屋上は使用、及び進入禁止になっていたが多数の生徒が昼休みに観戦していたという。
この闘いはのちに「大貫の乱」と呼ばれるようになり、末永くこの闘いは語り継がれていったという・・・・・・




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178 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/03/09(金) 21:12:05 dx/01lEp
>>177
ちょwwマジに用務員VS修羅wwww

GJ!



179 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/03/09(金) 21:18:46 APgZbZBI
>>177
大貫さんに勝っちゃダメだろ


181 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/03/09(金) 21:21:57 jsjg1qyV
用務員さんはJの世界だと「その昔ガンダムファイターだった」と
設定をでっち上げても納得させられてしまうから困る。



182 :名無しさん@お腹いっぱい :2007/03/09(金) 21:25:46 3r7Q01Pb
>>181
ネオジャパンじゃねえかwwwww


185 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/03/09(金) 21:31:10 dx/01lEp
>>181
是非ドモンと殴り合って欲しかった。

これ以上はJスレで話すとしよう。

 ■  Sr8m1ra/ 氏作SS「冬のある日。」

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その139
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1173374026/l50


65 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/03/09(金) 16:21:19 Sr8m1ra/
しょうもないショートネタが友達のメールから来たから晒しとく。
『薬』
「ジョシュア、新しい薬を作ってみたんだがね?」
「どういう薬だ、親父。」
「うん、風邪は万病のもとって言うじゃないか。なら、万病になれば風邪にはかからない。
 というわけで作ってみました、万病薬。効果確認で、飲んでみて?」
「死にさらせ」

あと、長いからシステムXNにあげとく。できたら感想をおくれ。
ttp://www3.uploader.jp/user/kagekagami/images/kagekagami_uljp00062.txt




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その5『冬のある日』凄まじく季節外れなネタなのは重々承知です。

冬だ。暑い。
ヒリュウ・改の食堂にあるエアコンはものの見事に壊れてしまっていたのだが、フェリオさんとエ=セルダさんが2人がかりで直したせいで、
「80℃とは何事なんだろう」
ボクは廊下を見た。熱のこもった空気が広がる廊下から逃げ出した夜の艦橋に座るのは
フォルカさん、フーさん、南極チーム、オクト小隊のみんなといった妙に濃い面々。
ジョッシュさんが廊下のほうを見て
「中はどうなってるんだ?」
「少なくとも、熱はまだ抜けてない、と思うよ。あ〜、消費弾薬とか書かなきゃならない書類いっぱいあるのにぃぃぃぃぃ!!」
「まあ、じっとしていてもしょうがねぇ。すぐにオーバーヒートするだろうし、それまで泳がね?」
「泳ぐって、どこで?」
ボクの問いに、タスクさんは基地内部の屋内温水プールで、と返す。
なるほどと手を打つボクとフォルカさんの横で、竹刀を持ったカチーナ中尉が、口をへの字にして、
「こういう非常時に不謹慎な……」
「泳がないんですか?」
「私はいい」
「ああ、中尉は、確かにいきなり水とかはいるとその胸の——」
とそこでタスクさんは空に浮いた。だけど、即座に復活。ギャグ補正って実にすごい。
「中尉の胸がどうかしたの?胸の……、何?」
「ああ、——胸の薄いのがばれるんだ。地球の科学は偉大でも、やはり外詰式は水に入るとその恩恵から逸脱する。
 何の恩恵か良く分からないだろうけどね、レオナちゃん。一言で言うんなら、コレは、哲学だ」
「ほう。それはまた科学に対する失敬な挑戦だね。カチーナ中尉、私がすぐに解決しよう。外から見ても中から見ても誰にも気づかれることなく大きくしよう。まず、模型師に頼んで理想的な」
中尉の竹刀が凄い勢いで飛んでくる。
何か怒り出した中尉が先頭になって、ボクらはプールへ。
なんだかんだ言って、皆、水着を部屋から走って持ってくるのはどーかなぁ、と思ったけど、夜のプールってのは、案外心地いい。
ジョシュアさん・ラキさん・リムさんはミニラキの泳ぎを観察している。
クリフさんは試験管にプールの水を入れて——、な、何でそれを飲むのかなぁ!!
タスクさんとレオナさんは————、駄目だ二人の世界を形成している。
ボクはまぁ、フォルカさん、フーさんと三人で月に照らされたヒリュウの姿を見ていた。
「ときにムジカ、今日はお前の胸の成長を確かめなくてもいいのか?」
「な、なんでそんなことをこの場で言うのかなぁ、フォルカさんは!?」
「興味深い発言ですわね。もう少し詳しく……」
「フーさんも話にのっちゃ駄目ぇぇぇぇ!!」
ボクの慌てる声を聞いて、クリフさんはふむ、と少し考え込み
「ふむ、ムジカの話で思い出したがジョシュアも今日はグラキエースの存在を確認しなくていいのかね?
 グラキエースのいたるところを触ったり触ったり触ったりして」
「ク、ク、クリフ!!お前、一体何を言って!?」
ジョシュアさん、貴方だけはマトモな人だと思ってたのに………。
「お兄ちゃん(アニキ)?それは、どういうことかな?かな?」
あー、ジョシュアさんが連行されていく。
ふと、慌てたような女の人の声が聞こえた気がして、振り向けば、プールサイドに水に濡れて金髪ストレートの女性が一人。
横で赤い海を形成しているラッセルさん。
胸は……、負けた。ボン、キュッ、ボンなんてズルイよ……。
誰だろうと思って、黒い水着の胸とウエストを見ていると
「じ、自前だかんな!!」
と顔を赤らめて言い放つ。あ、カチーナ中尉か、とボクが思っているとヒリュウのほうから爆発音。
振り向くとヒリュウの窓が割れて、黒い煙が上がっていた。

2007年04月04日
 ■  lU9KbsMM氏作SS「ラキ恋」

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その137
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1172762248/l50


929 :597 :2007/03/05(月) 17:11:34 lU9KbsMM
なお、SSを書いてる途中に流してた曲が悪いのかこんなネタが出てきたがどうしよう。

っ『ラキ+恋』
だめですか、駄目ですね!



930 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/03/05(月) 17:15:17 WagIRng9
>>929
構わん、殺り(書き)たまえ副長ッ!



931 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/03/05(月) 17:15:25 VYPUoLLV
>>929
とあるメリオルエッセの恋の歌かー



932 :597 :2007/03/05(月) 17:27:35 lU9KbsMM
では、お言葉に甘えて。
注・僅かにODE(おいおい、だめだぜ、エロすは)成分あり。



933 :597 :2007/03/05(月) 17:35:29 lU9KbsMM
あと、勢いで書いたため、ものすごくパロっています。そこらへんはご容赦を。





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「私はな、ジョシュア。呪いのように生きて、祝いのように死ぬ、と決めたんだ。
 お前が私の居場所を作ると言ったときにそう決めた。私は十全を生きたと思っている。」

「………、それで何で俺に殺せ、とトチ狂ったことを言っているんだ?」

「私は満足している。この私の人生というものをだ。笑うという感情を知った、怒る、という感情を知った。恐怖という感情も知った。 ………、そして恋をするということも知った。」
そう言って、微笑んだ。
無邪気な、寂しげな、微笑。
「幸せな恋をした。愉快な恋をした。だからこそ……、ジョシュア。お前に私を殺してほしいのだ。
 お前でなければ駄目だ。私のはじめては、全部お前がいい。恋をするのも口付けを交わすのも抱かれることも肌に爪を立てるのも。そしてこの命を刈り取るということすらも。私は全部、全部お前のものだ」
「−−ジョシュア。私にとってお前、というものはそういうものなんだ。」
そういって、彼女は無防備にファービュラリスのコクピットをさらす。
そして、俺は、
「……ざける、な」
「……?」
「ふざけるなっっっっ!」
俺は、もう怒りを止められなかった。
「つまり結局、お前はッッッッ!」
意識が現実に引き戻された。

馬鹿だ。やっぱりお前は馬鹿だ。馬鹿で非常識で自分勝手で迷惑な馬鹿の馬鹿だクソ死ね。
結局は。
結局はだ、クソ。
結局おまえは、自分の恋しか見ていなかったんじゃないか!
「恋に恋するお年頃」ってか?
なんだそれはふざけるな馬鹿死にさらせ。
さんざん振り回された挙句に、置き去りにされる俺の身になってみろ。
これじゃ、まるっきりマヌケの道化じゃないか、死ぬぞ?
許さない絶対に許さない死なす死なす死なす死なす死なす死なす絶ッ対に死なすッッッッ!恋愛はおまえが考えてるような奇麗ごとばかりじゃないことをおもいしらせてやるっっっっ!

「クローアンカーッッッッッ・バァァァァァァァァァァストォォォォォォォ!!」
そして、最後の一撃はコクピットブロックをぶち抜いて−−−。

「……どうして?」
腕の中の彼女は呆然とした目で俺を見彼女を上げている。俺もまた彼女を見つめ返した。
俺とラキの視線が重なる。
俺の瞳に映る彼女。
彼女の瞳に映る俺。
「どうして、私を殺さない?」
「殺せるか、馬鹿ッッッッ!!」
怒鳴るような俺の声に、ラキはびくんと震えた。
恥ずかしさをごまかすため、俺はさらに叫ぶ。
「分の悪い賭けにも程があるわッッッ!良いか、ラキっ!!
 前にお前に読んだおとぎ話を覚えてるか?あれと同じようにな、物語的に間違っていようが滅茶苦茶をやろうがハッピーエンドじゃなきゃ、意味が無いんだよ!!」
「ハッピー エンド ?」
「そうだっ!!悪い魔王(完璧親父)を倒してっ! お姫様とハッピーエンドだっっっ!ほら、完璧じゃないかっ!!
 それを自分で崩す真似しておいてからに!!ああもう、絶対許さん。お前は絶対俺より先に死ぬな!今決めたそう決めたはい決定ッ!!とりあえず、こんなふざけた年齢設定作った親父をぶっ飛ばしてから決めるっ!」
「………」
あああああああああ!もう!死にたいっ!恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしすぎるっ!なんだよ、これ?なんなの、いったい? なんで……なんで、こんなベタベタな……!
「………」
彼女は、ただただ呆然としているだけだ。実に気まずい。
ようやくラキがしぼりだした言葉は
「……なんというか、恥ずかしいな。」
−−分かっています。

まぁ、いいさ。もう、いいさ。ここまで来たら、あれだ。もうヤケだ。どうとでもなれ。
「始まったばかりの俺達の物語を終わらさせないでくれっ!」
そんなこっ恥ずかしい科白で締めくくってみてもいいさ。
「……ふふっ」
ようやく彼女が笑った。
無邪気な、嬉しげな、微笑み。
「それではまず、恋っぽいことでも模索するか?」
「…ふんっ」
馬鹿か。
恋「っぽい」ってなんだ。
恋「っぽい」って。
だからおまえは手に負えないんだ。
まぁ、いいさ。まだ、いいさ。これからだ。何もかもこれからだ。
つまり、その、なんだ。なにが言いたいのかというと……。
−−少しは真っ当に、本気で、恋、してやらんでもない。




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934 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/03/05(月) 17:53:07 +elY6GJn
>>932
必死な助手もいいなぁ。GJ


936 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/03/05(月) 18:44:25 l3Z7JEii >>932
何も言葉が浮かばないがこれだけは言える。GJ。



940 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/03/05(月) 18:53:28 KM9fEXSn
>>932
 お 前 は 俺 を 殺 す 気 か (;゚∀゚)=3
GJ! 

 ■  lU9KbsMM氏作SS「朴念仁は恋愛関係を夢想するか?」

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その137
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1172762248/l50



597 :名無しさん@お腹いっぱい :2007/03/04(日) 02:43:53 stl8tLPb
なあ、リュウマイのネタが思いついたのは良いんだが、携帯のパケットが惜しくて送れない。というわけで、2、3日経ってから送ろうと思うが宜しいか?



598 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/03/04(日) 02:51:28 u0jAF5iy
>>597
あたしずっと待ってる!ずっとずっと、ずっと待ってるから!!ここで待ってるから!


600 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/03/04(日) 02:56:40 OnQ8KnMY
書きなさい>>597…お前のSSを…
書きなさい>>597…いつか永遠の萌えがスレに訪れるように

あのボイスイベントは鳥肌が立った



601 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/03/04(日) 03:15:51 6UizI5+p
>>597
待っています、いつまでも……
信じています、必ず投下されるその時を……
いつか、このスレで……

思い出したら泣けてきた。



922 :597 :2007/03/05(月) 16:36:28 lU9KbsMM
SSを書き込むと約束したからには送らねばなるまい。





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(アバンタイトル的前置き)
SRXチームのリュウセイ・ダテと聞いて、彼を知る者は十中八九こう言うだろう。
「ああ、あのロボとゲーム好きの」
そして、彼に特別の感情を持つものはそれにこう付け加える。
「朴念仁」と。
女性には何かと縁のあるものの、それをことごとくスルーする男。それがリュウセイ・ダテである。
だがたまには、そんな超朴念仁でも何故か気持ちを考えることだってある、それはそう滅多におきない事象が起きた話である。

 
 
 
 

ーー極東基地・食堂

「おーい、マイ。」
「りゅ、リュウ、なんだ?」
「これ、いるか?えぇと、確かこの辺に……」
そう言いつつ何かをカバンから出そうとしている。
彼が彼女や今ここにはいないラトゥーニになにかしらの物をあげるのは実は初めてではない。
彼はゲームとか、おもちゃとかを結構あげてたりする。これは彼が何かと気に掛けてるから、とでも言うべきなのだろうか。それとも、気が知れた友達に物をあげてるだけとでも言うべきか。
そんなことを考えながらまたおもちゃ・ゲーム類だろうとマイは思っていた。
「お、あったあった。これだこれ」
彼がやっと取り出したものを見るまでは。
それらは小さい、とても小さいものだった。陶器的な質感・二つで一つの鳥の翼を模したデザインで淡い青色をしたアクセサリだった。
「バレッタとブローチ?」
ちなみにリュウセイの手にはバレッタ・ブローチから別れたバングルと男物の指輪がある。
予想していたものとはかなり違っていることに唖然としながら、彼女はそれを差し出した本人を見る。
「いやぁ、物置を漁っていたら見つけてな。オフクロと親父が昔つけていた物らしくてな。オフクロが言ってたんだけど<比翼連理>って話と<青い鳥>をモチーフにしたやつらしいんだわこれ。」
「そ、それがなんで?」
「オフクロが言うに、もうこんなのをつける様な年じゃないから、あげるって言われてなぁ。俺だけで両方つけれるようなものでもなし、オフクロの思い出の品だろうしもらえねぇって言ったら、使われてるほうが良いものだって突っ返されてなぁ。そう言うわけでもらったんだ。」
「で、何で私なんだ?友達だったら他にもいるじゃないか。その…、ラトとかアヤとかリョウトとか……。」
「リョウトは似合いそうだが男で、同様の理由で紫雲達は除外だろ?第一俺はウホッな関係になりたくない。女は女でカチーナ中尉は似合わんだろうし、レオナに渡したらタスクに手品の実験台にされるしリオに渡したらリョウトに烈風正拳突きをくらう。カーラに渡したら確実に俺は紅茶の海に沈められる。クスハは……、あいつにはブリットが何かを渡すだろうしな。アヤや隊長も考えたけどあの人たちはそんなので喜ぶような年じゃないだろうしラトゥーニは今教導隊の仕事でライ達と一緒にハワイに行っちゃってるからな。」
「消去算方式で、私というわけか…。」
そんなオチかと彼女は少々しょぼくれた。それを見てリュウセイは少し慌てて、
「ま、待て待て待て!俺がお前にこれをあげようと思った理由は他にもあるんだぞ!!」
「他の理由?」
「ほ、ほら!このバレッタの色って青だろ?だ、だから、お前の綺麗な赤い髪だったら似合うかなぁって思って……」
そんなことを言われて顔が真っ赤になってるマイ。おずおずと手を差し出すが、ふと手が止まる。少し考え込んでからバレッタだけを手に取る。
「ブ、ブローチは後でラトゥーニに渡してあげてくれないか?だって私だけ貰えてあの娘が貰えないっていうのは……その…何て言うか………ズルイかなぁって……。」
「そ、そういわれりゃあそうだな。」
マイは振り向かずに走り去っていく。そして、角を曲がり見えなくなった後

朴念仁は−− 自分で言ったセリフの小っ恥ずかしさに(何故か)気づき   


          盛大に悶絶していた。 

(くぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!穴があったら入りてぇぇぇぇぇぇ!!!)

          フラグブレイクする

リュウセイ・ダテ。自分でもロボやゲーム以外に女の子の事を『全てが終わってしまう前に』考えることがある。そんなことをやっと再自覚した男。彼は翌日の非番、布団に篭ってたそうな。

一方その頃。
走り去っていくマイ・コバヤシは心なしか顔がにやけていた、と彼女を目撃した連邦兵達は後に口をそろえてそう語る。

なお、全くの余談であるが、比翼連理の話を調べたマイがよくわからなかったから、とアヤに聞きに行きこの件が部隊中に広まりラトマイとおそろいのデザインをしているアクセサリを付けていた(付けてくれ、と頼まれている)リュウセイをイルムやタスク達が冷やかして、一悶着起きたとか起きなかったとか。

追記・その日にペルフェクティオがなんか良く解らん装置(効果については教授曰く感情をどうこうとか言っていた、とクリフォード・ガイギャクス博士は語っている)を世界規模で動かしていたので家族裁判(裁判長・陪審員・刑執行者・全てジョッシュ)により制裁しておいた、という連絡がジョシュア・ラドクリフから後日送られてきたがそれがこの件に関与してるかどうかは不明である。




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923 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/03/05(月) 16:47:26 T2+g/B4C
>>922
待ってたぜ……この瞬間を!

ガラにもねェ事しやがってこの色男め!
思わず布団の上でゴロゴロしちゃったじゃないか!



924 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/03/05(月) 16:51:02 WagIRng9
>>922
フッ、スレの締めに相応しいSSだったよ。


925 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/03/05(月) 16:56:07 f92qUn3B
締め早ッ!
家帰ったら読むよ。


928 :650 :2007/03/05(月) 17:03:17 FN3tie7o
>>922
(*´д`*
やっぱりラトのことも忘れない辺りがマイらしくていいな
互いを出し抜こうと必死な二人もそれはそれで可愛いが

2007年04月02日
 ■  zwPzQv4s氏作SS「お内裏様を捜して」

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その137
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1172762248/l50


353 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/03/03(土) 01:56:35 zwPzQv4s
よしここだ。ここでひな祭りSSを投下するんだ。

統夜スレイSSです。

今日は伊豆基地にてハガネ・ヒリュウ改の人々を集めての三月三日ひなまつりパーティーが行われていた。

そもそもひなまつりとは女の子ための日なのだがこの場においてそれはもはや意味を成さずひなまつりの名目の元にレーツェル、塚の料理に舌鼓を打つ者、酒を飲み騒ぐ者、恋人と甘い一時を楽しむ者などそれぞれがそれぞれの欲望のままに行動していた。

「ふう、少し外の空気でも吸ってくるか」

そんな空気に耐えられなくなったスレイ・プレスティは一人外へと出ていった。彼女が向かった場所はよくリュウセイとマサキが釣りをしている所だった。あそこなら一人でゆっくり過ごせるだろうと彼女は考えたがそこにはすでに先客が居た。

「あれ?スレイさん」

「紫雲か。どうしたんだこんな所で?たしかお前はカティア達と一緒に居たように記憶しているんだが」

「最初はそうだったんですけど途中であいつら酒を飲んだらしくて『『『私を統夜(さん)のお雛様にして』』』何て言いながら強引に迫って来たんで逃げてきました」

「なるほどな。ところで紫雲隣いいか?」

「あ、いいですよ」

スレイは静かに統夜の隣に腰を降ろした。しばらくそのままで居た二人だったが統夜がなんとなくスレイを見ると彼女は気落ちした様子だった。

「どうしたんですかスレイさん?」

「いや、こういう日は自分がとてもちっぽけな存在に思えてな」

「何でですか?」

「エクセレン少尉やミナキ、自分の周りに居る人達は皆それぞれ大切な人が居る。それにアイビスにはイルイが居てツグミには兄様が居た。それに引き換え私は・・・・アイビスに負け犬と言い続けてきた私だが本当の負け犬は私なのかもしれんな」

そう言いながら彼女は暗い海を見つめていた。

「スレイさん・・・」

統夜はこれほど弱気になったスレイを見るのは初めてだった。だから

「でもスレイさんは綺麗じゃないですか」

言った。スレイの元気が戻るように

「アイビスさんやツグミさんには無い大人の雰囲気が有ると言うかその」

不器用ながらに言葉を出していく。

「と、ともかく周りがどうあろうとスレイさんはスレイさんなんですからそんなに落ち込まないで下さい」

静寂。それがしばらくの間続いたがそれを破ったのはスレイの笑い声だった。

「ふっふふ、はっはっはっはは。そうだな紫雲。周りがどうであろうと私は私。たしかにその通りだ」

その様子を見た統夜はほっと胸をなでおろした。

「よかった。いつものスレイさんですね」

「お前のおかげだ、感謝する。ところでだ紫雲。お前さっき私に『綺麗』だとか『大人の雰囲気が有る』だとか言ってくれたがあれは本心か?」

「え!」

「それともただの口から出任せか?」

「ち、違います。俺は本当にスレイさんのこと綺麗だと思ってますよ。本当に」

「・・・そこまで真っ直ぐに言われると少し照れるのだが」

「それにスレイさんがお雛様ってのも似合うと思うんですけど」

「お雛様・・・か。むしろ私はアイビス達と三人官女でもやっていた方がお似合いだと思うが。いや、だが」

スレイはしばらく間ぶつぶつと呟きながら思考巡らせた後顔を少し赤らめながら統夜へと向きなおった。

「なあ、紫雲。お前は私にお雛様が似合うと言ってくれたよな」

「はい・・・まあ」

「それじゃあ私がお雛様になったらお前はお内裏様になってずっと私の傍に居てくれるか?」

「・・・・・・スレイさん今のどういう

「見つけたよーーーー!!」

その声に反応して振り返った統夜の視線の先にはカティア、テニア、メルアの三人が居た。

「さっきはよくも逃げてくれたわね」

「さあおとなしく私たちのお内裏様になりなさい」

三人はジリジリと統夜ににじり寄って来る。

「カティアちょっと良いか。お前達は紫雲を捕まえてどうするつもりだ?」

「そうねえせっかくのひなまつりだし(ODE略)や(ODE略)みたいな(ODE略)のような事をして貰おうかしら」

「結局そう言う事か。ならば・・・逃げるぞ紫雲!」

そう言うと同時にスレイは統夜の腕を掴むと一目さんに駆け出した。

「あ、スレイさん。統夜さんをどうするつもりですか?」

「すまんな。今日ばかりは紫雲をお前達に渡したくないのでな。・・・そう言う訳だ紫雲。もうしばらく付き合ってもらうぞ」

「具体的には?」

「そうだな、お前がさっきの問いに答えてくれるまでかな」

「わかりました・・・・。俺も落ちついた所で答えたいんでそろそろ全力で逃げますよ?」

「了解した」


月と星が光輝く夜、基地内の鬼ごっこはまだまだ終わりそうに無かった。





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358 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/03/03(土) 02:12:04 LGABPgz6
>>353-355
GJ(グレイテストジャスティス)。色々と落ち着いた。


363 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/03/03(土) 02:32:49 TLTtm1JI
>>353-355
GJ。「お前はお内裏様に〜」の辺りが最高だった。

2007年03月29日
 ■  mzpic4Yq氏作SS「みんなみんな、リュウが好き」

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その136
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1172498676/l50


709 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/28(水) 22:56:59 mzpic4Yq
「あら。リュウの報告書がまだみたいね」

アヤ・コバヤシの私室。
ここではSRXチームの隊長である、ヴィレッタへと提出する報告書の整理をする、アヤの姿が見受けられた。
いくらPTを駆り、前線で戦う軍人と言え、書類仕事と縁を切ることは出来ない。
むしろ、消費した武器弾薬や整備資材。それらの補給を要請するためにと、次から次へと書き続けなければならないのが現実である。
アヤがまとめている書類は、前回の訓練で消費した弾薬、またそれに対する命中率を始めとする、各種データをまとめた詳細報告なのだが……。

「訓練が終わったらすぐに書くように言っておいたのに……。
 仕方ないわね。後で取りに行きましょ」

言うまでもないことだが、リュウセイはその経歴上、士官教育というものを一切受けてはいない。
戦時中は状況が状況であったため、報告書を求められることは少なく。
また、そんな機会にもライやアヤが代理で作成することで難を逃れていた。
その為リュウセイには書類作成のスキルはまったく備わっておらず。平和になった今では度々提出を遅らせてはアヤやヴィレッタの頭を悩ませていた。

「アヤ。こんなところで何をしているんだ」
「あら。マイ」

リュウセイの私室前。
今マサキインターホンを鳴らしていると、横合いからマイ・コバヤシがひょっこりと顔を出してきた。

「リュウがこの間の訓練の報告書を出してないから、直接取りに来たのよ。
 マイもリュウに用事かしら」
「う……リュウに用事なのは確かだけど。報告書か……」

SRXの新(?)メンバーであるマイであるが。当然というか報告書の書き方など知っているはずも無かった。
とはいえ、チームの大事な妹分であり、アヤにとっても大事な妹(?)である。
それにR-3が複座式である点も相まって、マイの分の報告書はアヤが一緒に書き上げるのがチーム内の暗黙の了解になっていた。

「それにしても反応ないわね、ひょっとして部屋にいないのかしら」

報告書との単語を聞いて、複雑な顔をしているマイ。とりあえずそれは置いて置いて、アヤはドアへと向き直る。
すでにインターホンを鳴らして数分経つが、中からは何も反応が見受けられなかった。
が、突然軽い音と共に目の前のドアが開いていく。

「開いたぞ」

隣を見ると、マイがさも当然という顔で、開閉スイッチに手をかけていた。
どうやら鍵はかかっていなかったらしい。

「えーと、とりあえず問答無用でドアを開けるのはどうかと思うんだけど」
「大丈夫だ。リュウがいつでも入ってきていいと言っていた」

そういえば、マイはよくリュウの部屋で色々なロボット物のアニメを見ていたっけ……。
小さなテレビの前に、正座した姿で真剣に見入るマイの姿を想像する。しかし、だからといって最低限の礼儀くらいは教えたほうがいいのだろうか。
ととりとめもなく考えてる間に、マイは勝手知ったる人の部屋とばかりに入り込んでいく。

「アヤ。リュウがいたぞ」
「……はあ」

マイにはまだ色々と教えなければならないことがあるらしい。そう思いながらも、当初の目的を思い出し、ため息をこぼしながらアヤもまた、リュウセイの部屋へと入っていく。


「……で、これがリュウ」
「そうだ」

部屋に入ってみると、そこにあったものはベッドにごろりと横たわる物言わぬリュウの姿であった。
辺りを見渡してみると、ゲッPロボを始めとしたプラモなどに混ざり、ほとんど手もつけていない報告書の姿が目に取れた。

「寝てる……わね」
「そうだな」
「ちょっと殴ってもいいかしら」
「それは可愛そうじゃないか」

ふと込み上げて来た怒り。だが結局殴り倒すこともできず、アヤはマイと一緒にリュウセイの寝顔を見つめていた。

「はあ……。なんだか色々と面倒くさくなっちゃったわね。
 私も少し寝ようかしら。マイはどうするの」
「私は……他には特に用もないし。私も昼寝でもしよう」

さっきは思わず怒りがこみ上げたものの。リュウセイの寝顔はその性格同様子供のようで、見ているだけで気が抜けてくる。
おしおきは後回しにすることにして、ひとまず部屋に戻ろうとしたアヤだが。その時、唐突にひとつの考えが脳裏に閃いた。

「ねえ、マイ」
「なんだ、アヤ」
「リュウのベッドって結構大きいわよね」
「そうだが。それがどうかしたのか」
「私達もここで寝ましょうか」
「!?」

アヤが提案した次の瞬間。オクト小隊のマークの如く真っ赤に染まるマイ。
何かいいたそうにしているが、驚きのためか言葉が出ないらしく、まるで金魚のように口を開けては閉じ、開けては閉じていた。

「ほら。私達はこれから寝るわけだし。どっちもリュウに用事もあるわけだし。
 目を覚ましたらきっと驚くでしょうけど、それは報告書を書いてないリュウへのちょっとした罰ってことで」
「あうぅぅ。だが、い、いいのかな」
「大丈夫よ。ちょっとした役得と思えばいいじゃない。折角の機会なんだし」

なにが役得で何が折角なのかは知らないが、どうやらそれでマイも覚悟を決めたらしく。おずおずとリュウセイの隣に寝転がる。
それを見て、アヤもリュウセイの隣。マイとは反対側にころんと横になる。

「ふふふ。起きたら凄くビックリするでしょうね。
 今から楽しみだわ」

ここからはリュウセイが陰になってマイの姿は見えないが。きっと顔を真っ赤にしているのだろう。
本来なら2人きりにさせるところなのだろうが。少しくらいは邪魔をしてもバチはあたるまい。
マイの恋路の障害になる気はないが、アヤもまた、完全に吹っ切れているわけではないのだから。

SRXチームは今日も平和。
鈍感男を取り巻いて、穏やかな風が吹き抜ける。

余談だが、リュウの右腕を枕にしていたアヤが。
『一撃粉砕、鉄拳制裁。T-LINKナッコォォォー!!』
の叫びと共にベッドから弾き出されたのは内緒の話。




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714 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/28(水) 23:11:04 FbShGkeC
>>709
ぐっじょぶ。アヤマイがなんかほほえましくてワキワキするぜ


リュウセイは何故か老若男女に好かれるネタがマッチするからイイ!

2007年03月26日
 ■  JII2CCj9氏作SS「新生教導隊行軍せよ」

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その135
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1172238167/l50


前回の続き



742 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/26(月) 01:32:46 JII2CCj9
>>724
俺の睡眠時間を返せー!




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伊豆基地——
極東地区防衛の要であり、あのハガネ隊を擁することでも知られる、地球において好悪問わず最も有名な基地の一つである。

その伊豆基地から約10km離れた山中に、新生教導隊の一員であるゼオラ・シュバイツァーとアラド・バランガの2人はいた。

「本隊、もうどの辺まで行っちまったかな……」
「結構時間経ったし。ここと基地の中間点くらいじゃないかな……」


——軍隊とは、詰まるところ歩く組織である。
PT・AMを駆って、あるいは徒歩で。戦場へ歩き、補給点へ歩き、基地へ歩く。
PTやAMという機動兵器も、常に使えるとは限らない。
連戦で稼働率が落ちるかもしれない。戦闘中に大破するかもしれない。
そんな時でも、兵士は歩かねばならない。
進軍するために、あるいは撤退するために。
よって、軍隊ではまず歩くことを叩き込まれる。
2人もそのための行軍訓練に参加していたのだが——

「まさか、道踏み外して足を捻るなんてな」
「悪かったわね……」
「しかも他のみんなは無視してさっさと歩いて行っちまうし。どうしたもんかね」

行軍中、疲れによって前後不覚になったゼオラは、斜面を踏み外して落下。
アラドはゼオラを助けようとし、諸共に転がり落ちてしまったのだった。

「みんな、本当に先に行っちゃったのかな……」
「あれから1時間は経ってるからな。落ちるところも見てたはずだし。
 それで誰も助けに来ないってことは、先に行ったって考えるしかないよなぁ」

斜面を転がり落ちて、始めのうちは声を上げて助けを呼んでいたのだが。
しばらくしても誰も姿を見せず、声や物音すらしなくなったことから、周囲には誰もいなくなったのだという結論にはたどり着いていた。

「このまま夜になると色々とマズイことになるからな。
 ゼオラ、足はどうだ。歩けるか」
「ちょっと……無理、かも」

考える——
このまま夜になってはマズイのだと。
日暮れ前には終わる訓練日程であったため、手持ちの水は少なく、食料はないと言ってもいい。
なにより、夜の森にはどんな獣が潜んでいるとも限らない。
情けない話だが、自分の腕でゼオラを朝まで守るのは厳しいと、アラドは理解していた。


「よし。こうなったら最後の手段だ」
「何かいい考えでもあるの?」
「ほれ、俺の背中に乗れよ」
「え……背中に、ってまさか担いで基地まで歩く気なの」

アラドの提案に目を白黒させるゼオラ。
恐らくゼオラは、このまま助けが来るまでじっとしているのだと思っていたのだろう。
確かに、隊の皆は2人が落ちた場所を把握しているだろうし。救助することを考えれば動かないという選択肢は至極真っ当なものだ。
だが、アラドはそれを選ばなかった。否、始めから選択肢として考えてはいなかった。
救助を出すのなら、始めに落ちたときに助けようとしていたはずである。
なのに誰も助けなかった以上、救助の存在すらも疑わざるをえないのである。
それにアラドは自分の体力にだけは自信を持っていた。
自分なら、ゼオラを連れたままでも基地まで戻れるのだと。

「基地まで10km。お前をおぶっても3時間もあればいけない距離じゃない。
 それよりも夜になるほうが危険だろ。飯もない、火もない、水も無い。そんなんで朝まで耐えられるのか」
「でも救助が来るんじゃ」
「来るかもしれないけど来ないかも知れねーだろ。
 それに歩いたほうが救助を待つより断然早くつく。
 ほら、ぶつくさ言ってるヒマがあったら早く乗れよ」
「ん……」

アラドはゼオラを背負うと、気合一閃立ち上がった。

「ちょっと、そんなに重くないはずだけど」
「荷物が重いんだ荷物が。
 ほら、水だけ残して後はここに置いていくぞ」

荷物を捨て、ゼオラを背負ったまま歩き出す。
しばらくすると、やはりというか。アラドの全身から玉のような汗が吹き出てくる。

「ちょっと、アラド」
「大丈夫、何とも無い」

どうみても強がり以外の何物でもない。
だが、そんなアラドを見て、なぜだかゼオラは嬉しくなる自分を感じていた。
首に回す腕に、ほんの少しだけ力を込め、すぐそばにあるアラドの顔を見つめる。

それから4時間弱。どちらも何も言うことなく。2人は行軍訓練を終えた。

基地に戻ってすぐ、2人を待っていたのはカイ少佐の褒め言葉だった。
なんでも救出部隊はずっとそばにいたが、2人が自分の意志と力で戻ってくることを期待して待機していたのだという。
そのことを聞いた2人は、その場に崩れ落ち、医務室へと直行することになったが。
復帰後、ゼオラのアラドへの小言が、ほんのちょっぴり減ったというのは誰も知らないことである。




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745 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/26(月) 01:35:27 SOZ6iZW9
>>743
GJ!そして乙!



748 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/26(月) 01:42:15 zdHVeEZw
>>743
狂おしいほどGJだ・・・・


751 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/26(月) 01:59:59 cvlsh3g1
>>742-743
恋に訓練に頑張れツインバード。GJ。

2007年03月25日
 ■  52DdhkER氏作SS「古林姉妹のバスタイム」

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その135
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1172238167/l50


691 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/25(日) 23:50:01 52DdhkER
さて。唐突だが今月は勝手にアヤ強化月刊なんだ。
ということで書きかけだがひとつ、俺の妄想を披露していいだろうか。



696 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/25(日) 23:54:18 78Q095sp
>>691
その口から垂れる糞の前と後ろにsirを付けろ!

何の脈絡もなく許可
存分にやれ、同志よ



701 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/25(日) 23:59:52 52DdhkER
Sir, Yes Sir!
>>696氏の御許可に感謝いたします!





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「どうだアヤ……このくらいでいいのか」
「ん、いい感じよ〜。出来ればもうちょっと力を入れて……ね」
「むむ。わかった」

地球圏極東地区伊豆基地。
紆余曲折の末に、世界を救ったメンバー達が、所属を越えて集まる基地であり。
紆余曲折の中で、絶えず世界の危機を生み出し続ける基地でもある。

そんな基地の一角。女子大浴場の中に、とある2人の娘がいた。

「はー。でも、まさかマイが突然『背中を流す。だから風呂へ行こう』なんて言い出すなんてね。
 ちょっとビックリしちゃったわよ」

2つの影のうちの大きい方。アヤ・コバヤシは気持ちよさそう、というよりは若干くすぐったそうな顔をしながらも。
それを悟らせないように努力しながら、背後の少女へと声をかける。

「最近アヤは仕事で疲れてるようだから……な。
 お礼をこめて何かしようと思ったんだ。
 リュウに聞いたら『そうだな……マイにも出来ることなら肩叩きとか、背中を流すとかかな。俺やライがやるとセクハラ扱いされかねないけど』と言っていたんだ」

小さい体の全てを使い、精一杯の力をこめて目の前の背中と格闘する。
その表情はとても一生懸命で、もしその姿を見ることの出来る者がいたならば、思わず顔がほころんでしまうであろう。そんな微笑ましい光景だった。

「セクハラね……まあ肩ならともかく、背中を流すなんて言われたら、確かにセクハラよね。
 まあリュウなら、私の背中よりはヴァルシオーネやアンジュルグの背中を流しそうだけど」

苦笑ひとつ。自分に女としての魅力がないとは思わないが。相手がリュウセイではさすがに分が悪すぎる。
何より、自分の背中を必死に流すこの子の思いを知っている以上、分が良かろうと悪かろうと。下手な賭けをするわけにはいかなかった。

「さて、ありがと。背中はそろそろいいわよ。
 次はお返しに私がマイの髪を洗って上げるわ」
「うぇっ!? い、いや。わ、私はいいンダ。今日はアヤへのお礼ナンだかラ」

普段のお礼とはいえ、折角の姉妹水入らずの時間なのだ。
マイがやってくれたように、アヤもまた、マイの気持ちに何かしてあげたい気分になっていた。
しかし、アヤの申し出に対して、マイは突然怪しくなった呂律で、拒否の言葉を紡ぎだしてきた。
その突然の変容を見て、アヤは何か隠してることがあると判断し。ひとつ芝居を打つことにした。

「そっか……たまの姉妹水入らずだし。私もマイに何かしてあげたかったんだけど。
 マイがいいっていうなら仕方ないわよね……」
「あうぅぅぅ」

マイに背中を向け、若干肩を震わせるアヤ。
それを見たマイはどうすればいいかわからないといった様子でオロオロと辺りを見回しだした。

「…………」
「あ、アヤ……」
「…………」
「そ、その……」
「……仕方ない、わよね」
「うぐぅぅぅぅ」

相当にテンパっているのか。辺りを見回すだけではなく、両の手もパタパタと上下させるマイ。
少しやりすぎたかな。と思いながらも、目の前の鏡に映るその様子があまりにも可愛らしく、もうちょっとこのままで。なんて考えてしまうのであった。

「えーっと……アヤ」
「なーに」
「その……笑わないで聞いて欲しいのだが」
「うん、いーわよ」
「私は……しゃんぷーとやらが苦手なんだ」

「…………へ?」


(省略されました・・続きを読むにはプレシン錠の正しい用法・用量をご記入ください)





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703 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/26(月) 00:02:20 VfbmqmCH
ありったけ!!ありったけ!!!



704 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/26(月) 00:03:47 PZUPLpqv
致死量!致死量!



705 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/26(月) 00:06:55 9aE43ZNE
飲めるだけ!飲めるだけ!



707 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/26(月) 00:07:02 ozeL68VA
バケツ三杯分!バケツ三杯分!


710 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/26(月) 00:12:05 JII2CCj9
えーと。なんか凄い言葉が見えるが。
ブレシン錠は1回1錠。
前後6時間以上の時間を置いてから服用すること!

で、これは続きを書けという脅迫デスカー!?


712 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/26(月) 00:13:54 SOZ6iZW9
>>710
も ち ろ ん だ!!!



713 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/26(月) 00:17:53 keagrYQy
>>710
任務の途中放棄は許さんぞ、同志
卑しくも物書きたるものなれば、見事に手がけた作品の最後のピリオドを打ってみせよ


717 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/26(月) 00:23:48 JII2CCj9
物書きでもない俺に続きを書けだなんて……。
みんな酷いよ! 外道だよ!
みんなで呼んでよ大外道!




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「シャンプーが苦手って……なんで?」

突然の告白。
笑わないでくれ、というが。笑うよりも先に疑問が湧き出てくるのは当然のことだろう。

「しゃんぷーを使わなければならないのはわかっているのだが……。
 洗っている途中に垂れてきて、目に入ったりするとどうも……」

ああ。と納得する。
小さいころ、何でも一人で出来る。あるいはやりたいと思っていた時、同じような経験をしたような、そんなおぼろげな記憶が甦る。
そのうち慣れるのではあるが。慣れるまではどうしても恐怖感が先に立ち、腰が引けてしまうのだと。

「…………」

恥ずかしさからか、押し黙って下を向いてしまうマイ。
そんなマイに向き直り、そっとその頭を抱く。

「マイ、私がマイのことで笑ったりすると思う?
 それにね、私にも覚えがあるのよ。目にシャンプーの液剤が入って、染みて染みて泣きそうだったことが、ね」
「アヤも……なのか」
「ええ。きっと私だけじゃないわ。リュウやライ。他の皆の中にも同じ経験をした人は多いはずよ。
 だから気にすることは無いわ。少しずつ慣れていけばいいことなんだから」

とはいえ、急激に慣れさせるわけにもいかないし。今日のところはどうしようか。
と考えていたその時、アヤはある道具があったのを思い出した。

「マイ。ちょっと待っててね。
 今からいいものをとってくるから」

言うが早いか素肌にバスタオルを巻いただけの姿で浴場を出て行くアヤ。
残されたマイは何を持ってくるのか考えながら、とりあえず寒いので湯船に浸かって待つことにした。


「お待たせ。はい、これ被って」
「これは……」

そう言ってアヤがマイに差し出したのは、うねうねと波をうった円形のわっか。
中心に開いた穴はちょうど人の頭部が入るか入らないかのサイズに抑えられてある。
俗に言うシャンプーハットである。

「むむ。カッパか何かになったような気分が……」

湯船から上がり、大人しく被るマイ。
そしてマイの後ろで準備万端のアヤ。

「これがあれば、シャンプーハットに引っ掛かって、液剤は下まで垂れてこないわよ」

わしゃわしゃわしゃ……

軽快に軽快に。
時に鼻歌交じりでマイの髪を洗っていくアヤ。
最初はシャンプーの恐怖に身をすくませていたマイも、少しすると危険は無いことが実感できたのか。気持ちよさそうな顔でアヤのなすがままになっていた。

「どう。気持ちいいかしら」
「うん。アヤの手が気持ちよくて……」

わしゃわしゃしゃかしゃかざばーかっぽーん

「どう。目に染みることもなくシャンプーできたでしょ」

心持ち胸を張り、誇らしげに言うアヤ。
マイはそんなアヤを多少の尊敬をこめた目で見つめていた。

「うん。これならしゃんぷーとやらも大丈夫だ。
 ただ……」
「ただ、どうしたの?」
「このしゃんぷーはっとは便利なのだが。被ったまま自分で洗おうとするとかなりの邪魔になる。
 こんどはしゃんぷーではなくこちらのことで悩みそうだ」

言うまでも無いがシャンプーハットは頭の直径よりも大きい。
当然、張り出した部分は手の動きを阻害し、シャンプーの邪魔になる。
だが、アヤは悩むマイに対して、至極簡単な解決法を示した。

「それなら、これからも2人一緒にお風呂に入ればいいんじゃないかしら」


地球圏極東地区伊豆基地。
紆余曲折の末に、世界を救ったメンバー達が、所属を越えて集まる基地であり。
紆余曲折の中で、絶えず世界の危機を生み出し続ける基地でもある。

しかし、世界の危機よりも何よりも。
ここでは確かな絆が感じられる。だからこそ、人はここに集まるのかもしれない。
決して自分は一人ではないと、そんな実感を得るために。





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721 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/26(月) 00:40:20 r48NQZr5
おいおい。俺を悶え殺す気か。

GJ!!

湯冷めした体が温かくなったぜ!

2007年03月22日
 ■  MtHrIOHE氏作SS「Limit Over」



826 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/23(金) 02:59:48 b0woPJgW
OGでの統夜、ヴォルレントからラフトクランズへの乗り換えとかは燃えそうだ…
カルビ姉さんそっちのけでアル=ヴァンと一騎打ちとかあるんだろうな



827 :上の神化書いた中の人 :2007/02/23(金) 03:03:23 MtHrIOHE
>>826
あ、ごめん。それ昔書いてたのがある。
むしろフー=ルーさんが大暴れ&シャナ=ミアがヒロイン化しちゃってるけど、どうしよう?
まだ途中だからもう少し時間かかると思うけども。


826 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/23(金) 02:59:48 b0woPJgW
OGでの統夜、ヴォルレントからラフトクランズへの乗り換えとかは燃えそうだ…
カルビ姉さんそっちのけでアル=ヴァンと一騎打ちとかあるんだろうな



827 :上の神化書いた中の人 :2007/02/23(金) 03:03:23 MtHrIOHE
>>826
あ、ごめん。それ昔書いてたのがある。
むしろフー=ルーさんが大暴れ&シャナ=ミアがヒロイン化しちゃってるけど、どうしよう?
まだ途中だからもう少し時間かかると思うけども。



830 :827 :2007/02/23(金) 05:01:33 MtHrIOHE
・全体的にスパロボ本編及びIMを想定して書いています。脳内で画面を捏造しつつお楽しみください。
・キャスティングが大混沌ですが、当初はもっと混沌としてました。64組とかアリエイルとかムジカとか(ry
・特にアークは統夜と年が近いこともあって出したかったんだけど、未プレイなので断念。ちくそー。
・くどいですがチョイスは完全に個人的趣味です。
・J本編を踏まえ、統夜とアル=ヴァンの一騎打ちでヴォルレント大破、アル=ヴァン追放後を前提としています。
・シャナ=ミアがどうやって統夜を落ち着かせたのかはご想像とODEにお任せします。
・一番男前なのが従士なのはきっと仕様です。かがみんに侵食されすぎだと思われます。





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統夜「これが、ラフトクランズ……」
タスク「ああ、統夜。コアユニットの移植なら完了したぞ。今からでも乗れるぜ」
統夜「相変わらず仕事が速いな」
タスク「あたぼうよ、これでも元整備屋だからな。
    さらにメカフェチ王女様に美人メカニックの出血大サービス!
    ついでにエネヲタ眼鏡まで付いてるんだ、このくらいお茶の子さいさいだぜ」
ラージ「言い回しが若干気になりますが、まあ仕事はこなしたつもりですよ」
セニア「いや〜、久しぶりにいぢりがいのあるマシンで楽しかったわ〜、うふふふふ」
ミズホ(美人メカニックって誰のことだろう……?)
統夜「は、ははは……あ、ありがとう。乗っても大丈夫かな?」
ミズホ「え? え、ええ、セッティングは完璧です。いつでもいけますよ」
テニア「じゃあ、アタシが一緒に乗るね」
統夜「頼む、テニア」


テニア「う〜ん、基本的なシステムは前と変わらないみたいだね」
統夜「……」
テニア「どうかしたの、統夜?」
統夜(何だ、この感覚……サイトロンか?)
テニア「統夜、統夜ったら!」

(ピキィィィイィィィィン!)

統夜「う、うわあああああああっ!!」
テニア「え、と、統夜!?」


グ=ランドン『……最早、残されたのは我らのみか』
フー=ルー『1番から3番、5番から12番まで完全に通信は途絶えました。
      状況は絶望的と言うべきでしょう』
グ=ランドン『ならばこそ、ガウ=ラは守りきらねばならぬ。
       アル=ヴァンよ。汝に預けた鍵、使わねばならぬようだ』
アル=ヴァン『御意。どうやら本星系第三惑星が最適のようです』
統夜(何なんだ……何で、アル=ヴァンがここにいる!?)


シャナ=ミア(幼)『……』
統夜(幼)『ねえ、お父さん。この子はだあれ?』
シャナ=ミア(幼)『……わ、私は、シャナ=ミア・エテルナ……です……』
統夜(あ、あれは、俺……俺、だ……?
   俺は、一体……何を……)


従士『貴方がご自身で決断なさったこと、私ごときの言葉で翻ることはありますまい。
   今はせめてもの武運を。
   そして御子たる統夜様に、サイトロンの導きのあらんことを』
統夜(あ、あああ、ああ……!)

アクセル「お、ラフトクランズのお披露目ってやつか?」
カティア「ええ、テニアが一緒に乗ってます」
メルア「私たちも乗りたかったんですけど、ジャンケンで負けちゃいましたから」
グラキエース「……ラミア、じゃんけんとは何だ?」
ラミア「極東地区の民間伝承に残されている遊戯だ。
    石が鋏に勝ち、鋏が紙に勝ち、紙が石に勝つと言われている」
クリス「うぅ〜、そんな言い方だとなんだか物騒だよ〜」
フォルカ「別に間違ったことを言っているわけではないと思うが」
プレシア「もう少し言い方ってものがあるじゃないですか……」

ジョシュア「何か不安そうですね、カルヴィナさん」
カルヴィナ「……そうね、ひどく嫌な予感がする」
クリフ「壊滅したはずのアシュアリー・クロイツェル社跡から発見された残骸を組みなおした機体だ。
    しかもデータベースにも関係者の記憶にも存在していない試作機、
    極め付けにフューリーの幹部機の同型ときている。
    曰くの一つや二つあっても不思議ではないだろうな」
カルヴィナ「……いつもいつも歯に衣着せない解説をありがとう、ドクトル」
クリフ「褒め言葉と受け取っておくよ、クーランジュ君」
ジョシュア(相変わらず無茶をする、クリフ……血達磨にされても知らないぞ)

(WARNING! WARNING!)

ジョシュア「っ……!? 何だ、どうした!?」
ラージ「サイトロン粒子の放出量が爆発的に増大!
    くっ、なんて数字だ! これじゃまるでラースエイレム級ですよ!」
タスク「おい、聞こえるか統夜! 聞こえたら返事しろ!」
統夜『やめろおおおおおおおおっ!
   俺の中に入って来るなあああああっ!』
テニア『統夜、統夜! どうしたの!?』
セニア「こりゃ相当ヤバいわね……緊急停止、急いで!」
タスク「ダメだ! 外部からの操作を受け付けなくなってやがる!」
ミズホ「聞こえますか! 統夜さん、テニアさん!
    今すぐ機体を停止させてください! 統夜さん、テニアさん!」

(バヒュンッ)

テニア「は、はい、ミズホさん!……って、え、あ、あれ!?」
カティア「そんな!?」
メルア「て、テニアちゃんが追い出されちゃいましたよ!?」

(ヴンッ)

アクセル「今度は機体が転移しやがっただと!?」
ジョシュア「何てこった……」
フォルカ「まずいぞ、あの状況は未熟な修羅が修羅神に取り込まれた時に似ている。
     下手をすると、あのまま機体に食われるかもしれん……!」
カルヴィナ「予感が的中したか……! フランツ、聞こえる!?」
フランツ『御機嫌よう、その声紋は記憶されているよ』
ジョシュア「そんなことはどうでもいい! 統夜が大変なんだ!」
フランツ『質問は具体的に行ってくれたまえ』
カルヴィナ「このポンコツAIが! 非常時なのよ!」
クリフ「非常時だからこそ冷静な対処が必要なのだろう、クーランジュ君。
    ミスター・ツェッペリン、統夜がラフトクランズに乗り込んだところ、
    どうやら精神に何らかの変調を来たし、恐慌状態に陥っているようなのだ。
    何か、心当たりは無いかね? 私見では、サイトロンが関係していると推測するが」
フランツ『それは極めて憂慮すべき事態だ。
     ドクトル・クリフの言うとおり、ラフトクランズに残された記録とサイトロンの影響で、
     統夜の記憶が混乱しているものと推測される』
ジョシュア「ラフトクランズの記録……以前のパイロットのことか?」
フランツ『イエス。その人物について、この状況下で語ることは出来ない。
     なぜならその人物については、まず統夜自身が知らねばならないからだ』
カルヴィナ「ええい、役に立たない!」
ジョシュア(統夜が真っ先に知るべき人物だと……まさか!?)

(シュッ)

アイビス「取り込み中悪いけど、救難信号をキャッチしたんだって!
     出られるメンバーは急行してくれってさ!」
カルヴィナ「ちっ、こんな時に!」
クリフ「軍人としては不穏当な発言だな」
スレイ「さらに悪いニュースだ。
    どうやら紫雲は、その救難信号の発信源の方向へ向かったらしい」
ミオ「うわ、至れり尽くせりってやつ!?!」
マサキ「それを言うなら踏んだり蹴ったりだろうが!」
グラキエース「『イタレリツクセリ』、『フンダリケッタリ』……?」
ジョシュア「……後で説明するよ。とにかく、今は統夜を追うぞ!」


フー=ルー「……追いつきましたわ、シャナ=ミア様」
シャナ=ミア「やはり、この辺りが限界でしたか。
       流石は聖フューリア騎士団一番隊隊長、フー=ルー・ムールー、と言うべきでしょうか?」
フー=ルー「勿体無きお言葉、身に余る光栄にございますわ、シャナ=ミア・エテルナ・フューラ皇女殿下。
      どうか我が言葉に応じ、ガウ=ラにお戻り下さいませ。
      今、貴女があそこを離れるわけにはいかぬことはご存知のはず」
従士「姫様……」
シャナ=ミア「……従兄上を追放したグ=ランドンの求心力を保つため、神輿になれと?」
フー=ルー「否定するつもりはありませんわ。
      全てはガウ=ラに眠る140万の民のため。
      今ここで騎士団の統制を失うわけにはいかないのです」
シャナ=ミア「そのグ=ランドンのやり方を認められぬからこそ、
       エ=セルダ様も騎士団を離れたのではなかったのですか? そして、従兄上も、彼も……」
フー=ルー「殿下のおっしゃることも理解できるつもりです。
      ですが、我らの大望のためには曲げねばならぬ義もございますわ」
シャナ=ミア「エ=セルダ様や従兄上、そして幾億の地球の民はその為の犠牲だと?
       私たちはそうしてまで、生き延びねばならぬのですか?
       40億年前に血で血を洗う戦の果てに、多くの同胞をヴォーダの闇におとしめた私たちが!」
フー=ルー「それ以上は仰せになりまするな、殿下。
      その先は誰も口にしてはならぬ世界。
      真の死を迎え、闇に消えた同胞たちに聞かせてはならぬ言葉。
      ましてやフューリーの皇女である貴女が、
      遺された民を鞭打ち、散っていった同胞たちを貶めることは許されぬことです」
シャナ=ミア「……」
フー=ルー「それに、問いを交わす時間はないようですわ」
シャナ=ミア「えっ?」

(ラフトクランズ・統夜機登場)

統夜「……」
フー=ルー「……来ましたわね。それもとびきりの大物が」
従士「まさか、あれはエ=セルダ様のラフトクランズ……?
   それに何だ、このサイトロン数値は!?」
統夜「があああああぁァあアアぁアアアあッ!」

(オルゴンキャノン暴発)

従士「ぐおっ……! なんという力か!?」
シャナ=ミア「まさか、サイトロンが暴走している……?」
フー=ルー「そのようですわね、この調子では保って数分でしょうかしら。ですが……!」

(フー=ルー機、統夜機と交錯)

統夜「ぐああああっ!」
シャナ=ミア「フー=ルー、何を!?」
フー=ルー「あの機体、そしてあのパイロット。あまりに危険なのです。
      あれを討たねば、必ずや我らに災いをもたらしましょう。
      安心なさい、統夜。サイトロンに喰い殺されるより先に、私が引導を渡してあげる!」
シャナ=ミア「統夜……まさか、あの機体に乗っているのは統夜なのですか!?」


(味方増援)

スレイ「間に合ったか!」
ツグミ「救難信号も確認したわ! どうやら、あのフューリーの機体から発信されているみたいね」
アクセル「このタイミングでフューリーが俺たちに接触、ね。こりゃ、大物かもしれんぜ」
ジョシュア「で、立ち塞がるのはあんたってわけか。フー=ルー・ムールー」
フー=ルー「思ったよりも早かったですわね。けれど、邪魔はさせなくてよ!」
カルヴィナ「統夜、聞こえていたら返事をしなさい! 統夜!」
統夜『がぁぁァあアアぁァぁ……ッ!』
カティア「統夜の様子がおかしい……!?」
メルア「テニアちゃん、統夜さんに何かしたんですか?」
テニア「そんなの、アタシが知りたいくらいだよ!」
カルヴィナ「コクピットで喚かない! 狭いんだから!」
シャナ=ミア『聞こえますか、地球の方々ですね?』
アクセル「おっ、こりゃまた随分と綺麗なお嬢さんなんだな、これが」
シャナ=ミア『え? え、ええと……』
ジョシュア「混ぜっ返すな、アクセル。
      その様子だと、貴女は統夜に何が起こっているのか理解しているようですね?」
シャナ=ミア『は、はい! 彼の乗るラフトクランズ……サイトロンが暴走し、
       彼の命を喰らい尽くそうとしているのです』
ツグミ「どうやら、彼女の言ってることは嘘じゃないわね。
    統夜君の生体データがかなりマズいことになってるわ。このままじゃ5分と持たない」
アイビス「それって、統夜が死にそうってこと!?」
メルア「ええっ!? 統夜さん死んじゃうんですか!?」
テニア「嫌だ、嫌だよ! 死んじゃいやだ、統夜ぁっ!」
カティア「あ、ああ……統夜が、統夜が……!」
カルヴィナ「まだ死ぬと決まったわけじゃない、落ち着きなさい! 彼を助ける方法は!?」
シャナ=ミア『はい、あなたの機体にもサイトロン機構が組み込まれていますね。
       その機体と、こちらの機体で彼の機体に接触し、
       放出し続けているサイトロンをコントロールできれば……』
アクセル「要するに、お嬢ちゃんの機体とカルヴィナの機体を、統夜の機体にひっつけろってことだな?」
テニア「くっつく? ひっつくの!?」
カルヴィナ「いいから黙りなさい! とにかく、統夜の機体に接触すればいいのね?」
シャナ=ミア『はい、接触さえ出来れば、あとはこちらで制御してみます』
アイビス「なら、あたし達は援護するよ!」
ジョシュア「統夜のことは頼むぞ、カルヴィナさん、それにテニア、メルア、カティア!」
アクセル「あの姐さんがそう易々とやらせてくれるかどうか知らんが……やれるだけやらしてもらうぜ!」

シャナ=ミア「……申し訳ありません。もう少しだけ、無理をしてくれますか?」
従士「何も仰せになりますな、殿下。
   エ=セルダ様とアル=ヴァン様が騎士団を去った今、
   我が剣と誇り、殿下の他に何に捧げましょう。
   たとえ我が魂が永劫の煉獄に呑まれようとも、貴方を闇に喰わせはしませぬ」

(勝利条件:カルヴィナ機とシャナ=ミア機が統夜機に隣接
 敗北条件:統夜機、カルヴィナ機、シャナ=ミア機の撃墜 5ターンの経過)

(注:シャナ=ミア機は攻撃不可・暴走統夜以外から狙われない。反撃は全て防御)
(注:暴走統夜は無差別に暴れる。Fモード使用不可)
(注:シャナ=ミア機のパイロットは便宜上従士になっている)


(暴走統夜vsフー=ルー)

フー=ルー「このような形での決着は不本意ですけれど……いや、何も言うまい。
      紫雲統夜、その命貰い受ける! 覚悟!」


(カルヴィナvsフー=ルー)

カルヴィナ「邪魔をするな、フー=ルー・ムールー! 今は貴様に構っている暇は無い!」
フー=ルー「そうは行きませんわね。千載一遇のこの好機、逃すわけには参りませんわ!」


(アクセルvsフー=ルー)

アクセル「あんたのお目当ては統夜かい? それともあっちのお嬢さんかい?」
フー=ルー「貴方の目的は両方でしょう? ならば、どう転んでも見逃すわけには行きませんわね」
アクセル「それもそうだ。んじゃ、ここは力ずくで見逃してもらうとするぜ!」


(ジョシュアvsフー=ルー)

ジョシュア「あの機体、統夜の過去と何か関係があるな?」
フー=ルー「さて、どうなのかしら。彼のことはこちらでも把握していない事項が多いのよ」
ジョシュア「つまり、統夜はフューリーにとってイレギュラーな存在だということか」
フー=ルー「なかなかの洞察力ですこと。けれど、お喋りはここでお仕舞い。堕ちなさい!」
ジョシュア「これまでの戦いであんたのやり方はわかってる! ならさ!」


(アイビスvsフー=ルー)

ツグミ「なんてスピード……! アイビス、追いつける!?」
アイビス「ああ、ハイペリオンなら!」
スレイ「当然だ、やってみせろ!」
フー=ルー「どうやら以前とは違うようですわね。機体も、パイロットも。
      けれど、その程度では!」
アイビス「やらせるもんか! この機体には、あたし達の……いや、あたし達だけじゃない!
     宇宙へ思いを託す、全ての人の夢が積まれているんだ!
     あんたなんかに落とされやしない!」

(カルヴィナvs暴走統夜)

カティア「やめて、統夜! 私たちは敵じゃないわ!」
テニア「それ以上無茶したら、本当に死んじゃうよ、統夜!」
メルア「カルヴィナさん、統夜さんを止めてください!」
カルヴィナ「簡単に言ってくれる……! この貸しは高くつくわよ、統夜!」


(アクセルvs暴走統夜)

アクセル「この動き、他のラフトクランズの連中と……?
     統夜、お前は一体……!?」


(ジョシュアvs暴走統夜)

ジョシュア「死ぬなよ、統夜……あの子たちにはまだ、お前が必要なんだ。
      守るべき人を置いて死ぬ奴は、どんなに格好をつけても最低の大馬鹿野郎だぞ!」


(アイビスvs暴走統夜)

ツグミ「高機動戦で撹乱しつつ牽制、カルヴィナの接近を援護するわ!」
アイビス「簡単に言ってくれるよ、全く……!」
スレイ「ならば今すぐコクピットを私に譲るか?」
アイビス「冗談! やってみせる!」

(2ターン目PP)

(ファービュラリス出現)

グラキエース「無事か、ジョシュア?」
ジョシュア「ラキ、どうしてここが!?」
グラキエース「シュンパティアのリンクを辿って来た。
       あの機体は……フューリー、だったな?」
フー=ルー「あれは……『破滅の使者』? 驚いたわね、どうやって手懐けたのかしら」
アクセル「その言い方には語弊があるんだが、まあ色々あったんだな、これが。
     ラキラキ、俺たちはあの厄介なお姉さんを足止めしなきゃいけない、手伝ってくれないか?」
グラキエース「ジョシュアのためならば異存は無い。加勢する」
アクセル「ちぇっ、結局ジョッシュかよ、冷たいねえ」
アイビス「だって『氷』なんでしょ?」
アクセル「お〜いツグミさん、座布団全部持っていっちゃって」
スレイ「……兎に角、戦力が増えるのはありがたい。このまま押し切るぞ!」
カルヴィナ「言われるまでも無い!」


(グラキエースvsフー=ルー)

フー=ルー「以前とは気配が違う……貴方は一体?」
グラキエース「私は『破滅の王』によって作られた存在、メリオルエッセ。
       だが、今のジョシュアのために戦う。それだけだ」


(グラキエースvs暴走統夜)

グラキエース「このざわつき……負の感情とは違う。
       統夜、お前は何故戦っている?」

(5ターン経過)

統夜「ハァ、ハァ……う、うぅっ…………」
シャナ=ミア「あ、ああ……統夜が、闇に……!」
カルヴィナ「くっ、間に合わなかった……!」
メルア「そ、そんな、統夜さん……!」
カティア「嘘、嘘よ! こんな……返事をして、統夜!」
テニア「嫌だよ、統夜! 統夜ぁぁぁぁぁっ!」

(GAME OVER)

(統夜機撃墜)

統夜「うわあああああっ!」
フー=ルー「……ヴォーダの闇に眠りなさい、統夜」
シャナ=ミア「ああっ、ラフトクランズが!?」
カルヴィナ「しまった!?」
アクセル「ちっくしょう!」
ジョシュア「くっ、守りきれなかった……!」

(GAME OVER)


(シャナ=ミア機撃墜)

従士「しまった、殿下!? うおおおおおおっ!」
シャナ=ミア「きゃああああああっ!」
フー=ルー「しまった、殿下が!?」
カルヴィナ「くっ、やられた……!」
統夜「シャナ……ミア……?」


(カルヴィナ機撃墜)

カルヴィナ「ちっ……ドジった、か……ごめんね、みんな……」
シャナ=ミア「そんなっ……!」
ジョシュア「カルヴィナさん!?」
アイビス「ウソでしょ、カルヴィナ!?」
フー=ルー「……思ったよりあっけなかったですわね」

(GAME OVER)


(シャナ=ミア機、カルヴィナ機が統夜機に隣接)

カルヴィナ「これでいいのね?」
シャナ=ミア『はい、あとはこちらでオルゴン・クラウドのコントロールと同時に、
       サイトロンを通じて統夜に呼びかけます!』

(フー=ルー機移動)

フー=ルー「そう動くことは予想済み! やらせませんわ!」

(フー=ルー攻撃・オルゴンライフル シャナ=ミア機防御)

シャナ=ミア「きゃああああああっ!」
従士「ぐおおおおおっ! ……くっ、ご無事ですか、殿下!?」
フー=ルー「大丈夫、落ちはしませんわ。もっとも、機体は動かせないでしょうけれど」
ジョシュア「最初からラフトクランズに接触するタイミングを狙っていたのか……!」
アイビス「それにしたって、何て腕だよ!」
アクセル「裏を返せば、堕とすわけにはいかない人間が乗ってるって寸法だろうぜ!
     いよいよ臭ってきやがったんだな、これが!」

フー=ルー「これで小細工は出来ませんわ。
      殿下、御覚悟を。これ以上は私も手心を加えることは出来ません。
      これが最後ですわ。どうか、ガウ=ラへお戻りを」
シャナ=ミア「くっ……」
従士「どうやら、これまでのようです……
   オルゴン・エクストラクター最大出力、転移座標確認———!」
シャナ=ミア「ッ!? 待って、何をするつもりです!?」
フー=ルー「サイトロン反応が……まさか!?
      おやめなさい! その状態では機体が持ちませんわよ!」
従士「もとより覚悟の上。もはや、この機体からサイトロンの暴走を止めることは不可能……
   姫様、若き貴方を支え得ぬ我が身の不明をお許しください。
   どうか、姫様にサイトロンの導きのあらんことを」
シャナ=ミア「待って、それでは貴方が!」
従士「オルゴン・クラウド展開、最大出力!
   エ=セルダ様、これより私も貴方の待つヴォーダへと参ります! 御免!
   うおおおおおおおッ!」

(シャナ=ミア機オルゴンクラウド発動、爆発)

フー=ルー「くっ、奴の覚悟を甘く見たか……!
      その覚悟、敬意を表するに値しますわ」
アクセル「おいおい、どうなってんだ!
     ありゃ機体がお釈迦になるようなダメージじゃなかったぜ!?」
ツグミ「こっちも確認してる! ……なに、これ!?
    あの機体からパイロットが一人、統夜君のラフトクランズに転移してる!?」
ジョシュア「何だって!?」
カルヴィナ「外からのコントロールが無理なら、内からか! やってくれるわね!」
アイビス「なら、あたしたちでラフトクランズを守らないと!」
メルア「……」
テニア「どうしたの、メルア?」
メルア「えっと、その、テニアちゃん……ツグミさん。
    さっき『一人』って言いましたよね?」
カティア「えっ?」
スレイ「……こちらで確認する限り、あの機体は複座だった。
    通信の内容からして、一人が犠牲になってもう一人を転移させたと見るべきだろうな」
テニア「そんな……!」
カルヴィナ「感傷に浸っている暇は無いわ。
      統夜のことは彼女に託すしかない、私たちはあいつらの足を止めるわよ!」
ジョシュア「何としてもここは凌ぎきるぞ!」
アイビス「OK、任せて!」
グラキエース「了解だ」
アクセル「んじゃ、もう一踏ん張りと行きますか!」

(勝利条件:???
 敗北条件:統夜機の撃墜)

(1ターン経過)

シャナ=ミア「うっ……こ、ここは……」
統夜「……う、うう……」
シャナ=ミア「……!? 統夜、統夜なのですね!?」
統夜「寄、る、なああああああああッ!」

(統夜機転移)

フー=ルー「!?」
アクセル「おいおい、大丈夫かよ!?」

シャナ=ミア「くぅっ……!」
統夜「お前が……お前がぁぁぁっ……!
   いつも俺の夢にぃっ……! お前は一体何なんだああァァァッ!」
シャナ=ミア「聞いて、統夜! サイトロンを通じてあなたに呼びかけていたのは私です!
       エ=セルダの血を引くあなたならば、きっと私の言葉を受け止められると思ったから!」
統夜「父さんの話をするなぁぁぁぁっ!」

(統夜機爆発)

シャナ=ミア「きゃああああっ!」
統夜「俺は……俺は、紫雲統夜……なのか……?
   俺は、一体……誰、なん、だ……?」

テニア「もうやだ! あたしが統夜を助けに行く!」
カティア「馬鹿なことを言わないで! どうやってラフトクランズに乗り込むつもりなの!?」
メルア「じゃあ、このまま黙って見てろって言うんですか!?」
カルヴィナ「……そうね、私たちがこのまま引っ込んでるわけにも行かないわね」
テニア「え?」
カルヴィナ「ジョシュア、聞こえる? 悪いけど、ちょっと分の悪い賭けに張らせてもらうわ」
ジョシュア「……俺があなたの立場なら、きっと同じことをしますよ」
アクセル「これじゃ王子様だかお姫様だかわかんねえな、ったく。
     きっちり利子つけて取り戻してきてくれよ!」
メルア「カルヴィナさん……」
カルヴィナ「いざとなったら、後のことは頼むわね。……行くわよ!」

(カルヴィナ機 統夜機に隣接)

カルヴィナ「カティア、オルゴン・エクストラクター最大出力、サイトロン放出!
      あとは出たとこ勝負よ!」
カティア「はい!」

(オルゴン・クラウド発動)

統夜「あ、ああ……?」
テニア(統夜、統夜! 聞こえる!?)
メルア(死んじゃ嫌です、統夜さん!)
カティア(私たちは信じています、帰ってくるって……!)
統夜「テニア……メルア……カティア……」

カルヴィナ『この子達を置いて死ぬような子に育てた覚えは無いわよ、統夜!
      聞こえてたら、とっとと返事をなさい!』
統夜「カルヴィナさん……」

シャナ=ミア「統夜っ……!」
統夜「……!?」
シャナ=ミア(統夜、気をしっかり持って……!
       貴方ならば、この機体に呼びかけることが出来るはず……!)
統夜(シャナ=ミア……君は……
   ああ、俺は……俺は……!)

統夜「うわあああああああああああっ!」
シャナ=ミア「きゃああああああああああっ!」

(オルゴン・クラウド発動)

カティア「くうううぅっ!」
テニア「わああああっ!」
メルア「きゃああああっ!」
カルヴィナ「くっ……! 状況は!?」

統夜「う、うう……」
シャナ=ミア「統夜……?」
統夜「……大丈夫だよ、シャナ=ミア」
シャナ=ミア「……! 今、私の名を……!」
統夜「ああ、思い出したよ。というより、受け入れたと言うべきなのかな」

テニア『統夜、統夜! 本当に統夜なんだよね!?』
統夜「ああ、大丈夫だ、テニア。
   カティアも、メルアも、心配かけてごめんな」
メルア『う、うう……ひどいです、統夜さん。心配したんですよ』
カティア『でも、良かった……本当に良かった……』
カルヴィナ『やれやれね』


ジョシュア「ツグミさん、サイトロンの反応はどうなってる?」
ツグミ「うん、安定してるわ。出力自体は以前よりも上がっているけど、規定の範囲内よ。
    どうやら、峠は越えたようね」
アクセル「やれやれ、これでひとまず一件落着か」
スレイ「全く、手間をかけさせる」

(敵増援)

アクセル「って、言った端からこれかよ!」
ジョシュア「この状況でこの数……本隊が合流したか。正直、かなりきついな」
グラキエース「大丈夫だ、ジョシュア。問題無い」
アイビス「え?」

(味方増援・戦艦)

ラウル「無事か、統夜!?」
フィオナ「生きてたら返事しなさい!」
統夜「……はい、こちらラフトクランズ。紫雲統夜、健在です」
マサキ「この野郎、心配させやがって!」
リー「各員、出撃せよ!」


(出撃選択)

フー=ルー「どうやら双方とも役者は揃ったようですわね。
      それで、紫雲統夜……それとも、統夜=セルダ・シューンと呼ぶべきかしら?」
統夜「どうだっていいさ。名前だとか呼び方がどうとか、そんなことは俺には関係ない。
   俺は俺だ、好きに呼んでくれればいい」
フー=ルー「フッ、そうですわね。
      では、最強の騎士と謳われた、偉大なる戦友エ=セルダ・シューンが遺児、紫雲統夜。
      聖フューリア騎士団の誇りにかけて、貴殿の命もらいうける!」
リアナ「うわあ、カッコいい!」
クリス(うぅ〜、そんなこと言ってる場合じゃないよう)
ラウル「しかしまあ、えらく時代がかったことを言い出す人だな」
フォルカ「……この世界ではそういうものなのか?」
シャナ=ミア「統夜……」
統夜「言ったはずだ、フー=ルー。俺は俺だと。
   俺が戦うのは俺自身が守るべき人たちのため、守りたい命のため。
   俺の出生や、父さんが何者だったかなんてどうだっていい。
   ましてや、40億年前の亡霊に引きずられるつもりは無い!」
フー=ルー「!!」
フィオナ「くぅーっ、こっちも言ってくれるじゃない!」
ジョシュア(亡霊、か……)
テニア「か、カッコいい……!」
カティア「なんだか、いつもの統夜じゃないみたい……」
メルア「なに言ってるんですかテニアちゃん、カティアちゃん。
    統夜さんはいつだって統夜さんだし、ずっとカッコいいですよ」
マサキ「どうやら、一皮剥けたみてえだな」
ミオ「うんうん、お姉さんも鼻が高いわ」
テュッティ「……あなたたちが言うと説得力があるんだか無いんだか解らないわね」
クリフ「ふむ、40億年前か。以前のアル=ヴァンの発言といい、
    どうやら彼は何か重大な事実を知ったようだな」
フー=ルー「……ふ、ふふふ……吼えましたわね、統夜。その魂、確かに受け取りました。
      貴方の言うとおりですわ、丁重にお詫びいたします。
      ならば私も、一人の戦士として貴方に勝負を挑みましょう。
      我とともにこの戦場に在りしフューリーが誇り高き戦士たちよ、皆も聞け!
      今、このときばかりは騎士団のためでなく、己の力、己の魂でもって戦うことを許す!
      鍛えた力、磨いた技、積み上げた名誉、その全てを眼前の愛すべき敵たちに叩きつけよ!」

(歓声、敵全機気力130)

準騎士「おお! これほどの戦場に立てることを誇りと思わずして、如何が致しましょうや!」
従士「我らフューリア聖騎士団の戦い、見せてやりましょう!」

ジョシュア「何て気迫……!」
アクセル「それにしてもこの騎士団、ノリノリである」
スレイ「いけるのか、紫雲?」
統夜「大丈夫です、いけます。
   シャナ=ミア、君はどうしたい?」
シャナ=ミア「……私はずっと、エ=セルダ様や従兄上に引け目を感じていました。
       彼らの見る世界を、私も知りたいのです。フューリーを統べる皇女として。
       多少ではありますが、サイトロンを扱う術は心得ています。
       統夜が許してくれるならば、私も一緒に戦いたい。
       守られるだけの籠の中の鳥であり続けるのは、いやです!」
統夜「そのために、同胞たちと刃を交えることになっても?」
シャナ=ミア「覚悟は出来ています。
       かつて従兄上やエ=セルダ様も通った道なのですから。
       皇女である私が、その業から逃げるわけには参りません」
統夜「……それだけ聞ければ十分だよ。ありがとう、シャナ=ミア。
   一緒に行こう。大丈夫、君は俺が守るから」
シャナ=ミア「えっ……」
テニア「あーっ、ズルイズルイ! 私たちだってそーゆーこと言われてみたかったのに!」
メルア「そうなんですか、テニアちゃん?」
カルヴィナ「女の子はそういうのに憧れるものなのよ、メルア。そうよね、カティア?」
カティア「わ、私は、その、えっと……」

アクセル「う〜ん、いいねえ。俺もあんな風にピチピチギャルとお近づきになりたいもんだ」
タスク「いや全く、同感だね。男の浪漫だよなあ〜」
レオナ「……」
タスク「失礼しました、レオナ様」
ラージ「そういうものでしょうかね。正直、僕には理解できない領域ですが」
フィオナ「……あんたが理解した日にゃ、それこそ宇宙が根こそぎ吹っ飛ぶっつうの」
ミズホ「ラ、ラウルもそうなんでしょうか?」
ラウル「お、俺!? 俺はまあ、一人いれば、それで、その……」
セニア「う〜ん、やっぱりこういうのは横から生暖かく見守る方が楽しいわね」
ミオ「うんうん、こんだけ混沌としてるとウォッチングにも熱が入るね〜。いやはや眼福眼福」
マサキ「……こっち見てんじゃねえ」
ツグミ「ああ〜、振り向かない若さが眩しいわ〜」
アイビス「そ、その発言は、ちょっと……」
スレイ「年がバレるぞ、ツグミ」
ツグミ「何か言ったかしら、二人とも?」
シャナ=ミア「あ、あの……」
プレシア「……みなさん、真面目にやりましょうよ。シャナ=ミアさんも困ってますよ?」
カルヴィナ「同感ね。さっさと片付けましょう」


(勝利条件変更:フー=ルー機の撃墜
 敗北条件変更:母艦の撃墜)

(注:統夜の気力130)


(統夜vsフー=ルー)

フー=ルー「さっきの言葉が嘘ならば……許しませんわよ、統夜!」
統夜「ならば剣で確かめるがいい! 往くぞ、フー=ルー!
   シャナ=ミア、フォローは任せる!」
シャナ=ミア「はい、やってみせます!」

(フー=ルー撃墜)

フー=ルー「これまでね……任務は失敗、総代はお怒りになるでしょうね」
シャナ=ミア「フー=ルー、貴方は……」
フー=ルー「何も仰せになりますな、殿下。
      貴方も私も、己の信じる道を行く。
      それらは重なりえないものだった。それだけのことですわ」
統夜「……随分と簡単に言うんだな」
フー=ルー「そうね、統夜。この際だから、騎士としての階段を上った貴方に一つ教えてあげる。
      目的が同じでありながら道を違えることなど、珍しいことではないわ。
      そしてそれらは、私が聖フューリア騎士団隊長……
      いいえ、私がフー=ルー・ムールーである限り、交わることはありえない」
フォルカ「だが、その道を変えることも出来るはずだ。
     殺し合い、壊しあう世界など、誰が望むものか!」
フー=ルー「案外とそうでもないのですよ、修羅の戦士フォルカ=アルバーク。
      何より、私自身が貴方たちと戦う悦びを知ってしまった。
      その終わりはこちらかそちら、どちらかの死をもってでしかありえない。
      それ以外の結末を、私自身が認められないのですから。
      フフッ、思ったよりも我が侭な女だったようですわね、私は」
フォルカ「……」
フー=ルー「さて、お喋りはこれまで。御機嫌よう、愛すべき宿敵たち。
      いずれまた、戦場で会いましょう」

(敵機撤退)

リー「敵は退いたか……各機、収容急げ!」

シャナ=ミア(ごめんなさい、そして、ありがとう……貴方のことは決して忘れません……
       何時か私が闇に還るとき、幾多の同胞と共に、また会いましょう……)
統夜(今はただ、静かに眠ってください。
   サイトロンの導きと、誇り高き聖フューリア騎士団の名の下に……)
スレイ「やれやれ、救難信号を受けたと思ったら、とんだことになったな」
アイビス「何はともあれ、統夜が無事で何よりだよ」
統夜「すいません、皆さん。ご迷惑をおかけしました」
テニア「と・こ・ろ・で、統夜ぁ〜……」
メルア「そこで一緒に乗ってる女の人、誰ですか?」
統夜「え? ああ、艦に戻ったら紹介するよ。それでいいよね、シャナ=ミア?」
カティア「そういう問題じゃありません!」
シャナ=ミア「え、えっと、あの……?」
カルヴィナ(この阿呆は……)
ツグミ(う〜ん、これは……)
アクセル(この後も……)
ジョシュア(ひと悶着ありそうだな……)





_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/



832 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/23(金) 05:55:47 b0woPJgW
>>831
GJ!
ヴォルレントとラフトクランズの一騎打ちがどうなったかも気になるぜ!!
アル=ヴァンの一騎打ちの宣言にOGメンバーはどう反応するだろうとか思った


839 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/23(金) 09:28:37 5E2U3Xzt
>>831
ただただGJ。
某ミュージアムのようにゲームオーバー時のテキストまで
用意してあるとはなんとも芸コマで。

 ■  quiPg0it氏作SS「異世界からの来訪者」

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その134
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1171980105/l50


814 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/23(金) 02:22:59 quiPg0it
微妙なムードですが、イングラム先生のSS投下したいんですがいいっすか



815 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/23(金) 02:24:20 w5IaWd0y
どんとこい超常現像



816 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/23(金) 02:24:30 YACbRFhb
さあ!さあさあさあ!



817 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/23(金) 02:26:13 quiPg0it
では、参ります。




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818 :異世界からの来訪者 :2007/02/23(金) 02:28:05 quiPg0it
BAR・ヒリュウ。
絞られた照明の中で、一人の男が黙然とグラスを傾けている。
カウンターの中、そこからわずかに離れた位置では、ショーンがやはり黙々とグラスを磨いていた。
(……やはり、こうでなくてはな)
イングラムは内心しみじみと呟いた。
ここ最近、妙な評判が立ってしまったせいでゆっくり飲むこともできなくなっていた。
さりとて、そのような理由で馴染みの店を諦めるというのは彼のプライドが許さないし、それにここ以上に雰囲気が良く、気の利くマスターが居る店などそうそうあるとも思えない。
今夜はショーンも彼の内心をよく分かっていると見え、必要最低限の言葉以外は一切話しかけてこなかった。

——平穏を楽しみながら彼がグラスの中の琥珀の液体をもう一口含んだちょうどその時、バーの重い扉が低い音を立てて開いた。
 気にしすぎだ大丈夫だ今夜は何もない単なる無関係な客に違いない。
心に浮かんだ嫌な予感を打ち消したイングラムだったが、そんな彼の内心をあざ笑うかのように、入ってきた客は一瞬店内を見回した後まっすぐ彼の元に歩み寄ってきた。
「………」
渋々、実に渋々と、イングラムは客の顔を見る。
引き締まった長身に、ぴったり合った黒い服。肩には短めの、風変わりなケープのような白い服を羽織っている。髪は燃えるような赤だった。強い光を宿した瞳の精悍な表情。全体の雰囲気は、鍛え上げられた闘犬を思わせる。
実際に会ったことはないが、記憶の中にはある顔だった。
「イングラム・プリスケンか?」
青年が口を開いた。
「……自分の名も名乗らずに人に尋ねるのが、修羅とやらの流儀か」
口調がいささかとげとげしくなっていたのは自覚できたが、致し方なかった。
「……すまん。フォルカ=アルバーグという。俺のことを知っているのか?」
「連邦のアーカイブでな。お前たちのデータは一通り見せてもらっている。あくまで一部だろうがな」
「ならば話は早い。……実は、ここに来れば相談事に乗ってもらえるという話を聞いてきた」
知らず、右手の中のグラスを強く握り締めていた。異世界の住人にまでそんな話が広がっているというのか!
「お、お前たち異世界の人間の悩み事とやらに答えられるとは限らんがな。とりあえず座ったらどうだ」
動揺を隠すためにさりげなく会話を続けたが、言ってから後悔した。地球人類の年齢が適用できるのか分からないが、目の前の青年は成人しているかどうかは微妙な外見だ。飲酒を勧めてよかったのだろうか。

「何になさいます」
スツールに掛け、色とりどりの酒瓶が並ぶバックボードを興味深そうに見やっているフォルカにショーンが問いかける。
「プロテイン、ミルク割りで」
(………っ!!)
イングラムは危うく口の中の酒を噴き出すところだった。なんなんだこの男は。それとも修羅の世界にはそんな名前の酒でもあるというのか。
「ホエイ(乳清)とソイ(大豆)がございますが」
「ホエイで」
「かしこまりました」
しかし、ショーンは全く動じた様子もなくオーダーを受けると、どこからかプロテイン・シェーカーを取り出してプロテインの粉末と牛乳を注ぎ込み、普通のシェーカーと同じように鮮やかな手つきでシェイクし始めた。
「………」
イングラムは目の前の光景を理解しようとするのをやめた。それよりも今は一刻も早くこの異常な状況をなんとかしたい。
「……で? 相談事というのは何なのだ」
「………」
しかし、フォルカはにわかには口を開かなかった。難しそうな顔で、目の前のグラス(プロテインのミルク割り入り)を眺めている。
「どうした?」
「……それが、俺にも何を聞いていいのか分からないんだ」
「……はぁ?」
ついに気の抜けたような声を出してしまった。突然押しかけてきた挙句、何を言っていいか分からないと来る。イングラムは怒りや当惑を通り越して呆れてしまった。
そんなイングラムを見て、フォルカはやや慌てたように続けた。
「いや、もちろんここに来たのには理由がある。順を追って話すので、とにかく聞いてくれ。
 ……俺の義兄——親代わりであり、師でもあった男だが——は修羅軍で筆頭将軍を務めている。技量人格ともに申し分なく、王の信任も厚い。
 そして、その義兄には右腕ともいうべき将軍がいる。こちらも有能で忠実、少なくとも任務の上で齟齬があったという話は俺は一度も聞いたことがない」
「連邦と違い、上層部の人材に恵まれていて結構なことだな」
つい本音が出た。
「しかしだ。俺の友人に言わせると、この二人の関係には問題があると言う。今は表面上何ともないように見えるが、遠からず爆発する可能性があるそうだ。部下の将軍の方は俺が押さえておくから、お前は閃光将軍どのの方を何とかしろ。兄貴なんだろ。と言われた」
「………」
「言われたのはいいが、先ほど言ったように俺の目には何も問題があるようには見えん。それで考え込んでいたら、ここであんたに相談したらどうだ、と言われた」
「ちなみに、誰にだ」
「金髪の女だ。確か、連れに『エクセレン』と呼ばれていたな。『悩みがあるなら、BAR・ヒリュウのイングラム先生に相談したら? 黙って座ればピタリと当たる、って大評判よん』と言っていたんだが……」
……あの女っ! もう一度拉致って洗脳しなおしてやろうか!!
 またしてもイングラムは強くグラスを握り締める。手の中で分厚いガラスが小さくきしんだ。

「あいにくと、その程度の話では何がなんだかさっぱり……」
言いかけたところで、彼の頭の中のデータベースに引っかかるものがあった。
「フォルカ。確認したいんだが、その部下の将軍とやらは、女だったな」
「そうだ。よく分かったな、修羅の女将軍は珍しいのに」
「いや、だから記憶に残っていたんだろう」
と、すると……
イングラムはある一つの仮説に思い至った。目の前のこの男の親代わりだったというのなら、本人もやはり。
「お前の兄は、女にはだらしない方か?」
「まさか。アルティス兄さんは清廉で高潔、女などには目もくれずにひたすら自らを鍛え続ける修羅の中の修羅だ」
「では、その部下の女将軍は?」
「メイシス将軍も優秀な修羅だ。任務が無い時も、しょっちゅう家に来ては兄さんや俺たちのために食事の支度をしてくれたり、身の回りの世話をしてくれている。彼女のお陰で、兄さんは安心して修行に打ち込めると言っていた」
「……もう一度確認するが、お前の兄は女には興味が無いんだな?」
「くどい。兄さんは、そんなことに惑わされるほど柔な精神の持ち主ではない」
こんな奴らばかりなら、修羅の世界が滅びかけたというのも分かるような気がした。
「あー、まあその、何だ。この場合、やはりお前の兄の方に問題があるような気がするな」
どことなく歯切れの悪い物言いになっているのは、フォルカに説明して理解させる自信がなかったからだ。
しかし、予想に反してフォルカが感情を損ねた様子はなかった。
「俺の友人もそう言っていた。何が悪いんだ? 本当に兄さんに原因があるなら、俺が、場合によってはフェルナンドの力も借りて兄さんを諭してみせる」
「あー、……」
それはどうだろう。そもそもこの男からして男女の機微など理解できているとは思えない。まさかおしべとめしべが、から説明するわけにもいかないではないか。
「そうだな…… お前やお前の兄は、修羅としての務め、自分を鍛え上げることのみを人生の目的にしているようだが…… 人が生きて行く上では、他にも考えなくてはいけないことがあるのではないかな」
「………」
遠回しな物言いだが、フォルカは神妙に聞いている。
「それから、人と人とのつながりは、任務だとか組織上の立場だけで割り切れるものではない…… そこにいる人物が立派であればあるだけ、それ以上の絆が生まれることもあるだろう」
よりによってこの俺が、こんな台詞を吐く日が来ようとはな。内心自嘲しつつ、彼は言葉を続けた。
「話を聞いただけだが、お前の兄は修羅としての定めとやらに囚われすぎているような印象を受けるな。たまには戦いを忘れ、自分が普段、周囲の人間にどれだけ世話になっているかということを考え直すような機会をもつというのも良いことではないかな」
どれだけ理解されたかはともかく、彼としては最大限のヒントを与えてアドバイスを終えた。修羅の筆頭将軍、アルティスとやらはなかなかの人物と聞いている。自分の弟に諭されれば自ずと悟るところもあるかもしれない。
「……分かった。感謝する」
「そうか。分かってくれたか」
我知らずちょっと安堵して、イングラムは僅かに残ったグラスの中の液体を飲み干した。しゃべり続けて喉が渇いていることを見越しているのだろう、ショーンが絶妙のタイミングで次の一杯をサーブする。


「……そうだな。修羅といえども戦いに生きるばかりじゃいけないんだ。傷つけあうためでなく、大事な人を守るために生きる。俺はそれを、彼らに教わったんじゃないか」
拳を握り締め、フォルカは呟いている。どうやら、イングラムが考えていた以上にフォルカの心の琴線には触れるところがあったようだ。
「……兄さん! 兄さんが間違っているなら、この俺が兄さんの考えを正してみせる」
「そう、その意気だ。しっかりやれ」
「……この俺の、この拳で!!」
 ……だぁぁぁーーーーっ!!!
イングラムは叫びだすところだった。目の前にあるのがカウンターでなくちゃぶ台だったら、確実にひっくり返していたはずだ。
「イングラム、感謝する。おかげで吹っ切れた」
「……そうか。それは何よりだ。俺も役に立てたようで嬉しいよ」
呆然と呟くイングラムをよそに、フォルカは意気揚々と立ち上がった。
「今日のところはこれで失礼させてもらうが、いずれ改めて礼に……」
「いや、それには及ばん。悩んでいる人間に一杯奢って、愚痴を聞いただけだ。俺の仕事は軍人であって、カウンセラーではない」
「しかし、それでは」
「強いて言うなら、俺が相談に乗ったということを誰にも言うな。これ以上一人の時間が邪魔されるのはかなわん」
「………」
フォルカはまだ何か言いたげだったが、やがて黙って一礼するときびすを返した。
「……そうだ、フォルカ」
「何だ?」
振り向いたフォルカに、イングラムは尋ねた。
「お前に、兄のことを考えさせたという友人…… 名は何と言う?」
「アリオンだ。“自由戦士”を自称する、気ままな男だが」
「……その男、おそらく見た目ほど自由でも気ままでもなく、お前には考えが及ばんほど苦労していると思うぞ。よろしく言っていたと伝えておいてくれ」
「……? 分かった、確かに伝えよう」
そう言い残すと、フォルカは店の外へ出て行った。

気がつくと、目の前に新しい一杯が置かれていた。
「マスター。頼んだ覚えはないが」
「私からのサービスでございます。いつもいつも、お疲れ様でございますね」
「……柄じゃないんだがな、まったく」
苦笑すると、グラスを手に取る。しかし、最近では、以前のように人の話を聞いた後に苛立ちと自己嫌悪を感じることが無くなっている事を、彼も認めざるを得なかった。

その後修羅の閃光将軍と氷槍将軍の仲がいささかでも進展したかどうかは定かではない。しかし、自由戦士を名乗る修羅頭は、初めて自分の苦労を理解してくれる同士が現れたことを天に感謝したという。

 −おわり




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822 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/23(金) 02:32:11 quiPg0it
終わりです。キャライメージ壊してないといいけど。

書き上がっていざ投下しようとしたら修羅の燃えSSがタイミングよく(悪くか)
投下されていてどうしようかと思いましたよ。



823 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/23(金) 02:41:58 YACbRFhb
うおっ、いいSS



824 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/23(金) 02:50:57 eVF7p+OK
おぉ、微妙にショボ-リしながら戻ってみれば・・・・

帰って来てよかった・・・GJなSSに会えて・・・・



825 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/23(金) 02:55:38 47hv6t7R
超GJ!

 ■  MtHrIOHE氏作SS「ヤルダバオト神化」

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その134
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1171980105/l50


801 :1/2 ヤルダバオト神化 :2007/02/23(金) 01:27:10 MtHrIOHE
流れぶった切って、上のほうで出てきたヤルダバオト神化の展開がふと浮かんだ。
戦いの中で迷いを断ち切って覚醒ってのが良いと思うの。
ちなみに、C3やってないからキャラ崩れてたらゴメンネ。他の面子は完全に趣味。





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アルティス「どうしたフォルカ、そのような曇った拳では私は倒せんぞ!」
フォルカ「くっ……!」
アルティス「どうやら私の思い違いだったようだな。……失望したぞ、フォルカ。
       私一人越えられずして修羅界を変えるなど、よくも吼えられたものよ!」
統夜「勝手なことを! フォルカさんは貴方を兄と呼んでいたんだぞ!
    兄弟で殺し合いなんて!」
アルティス「笑止! それが甘いと言っている!
       修羅とは倒れた者の魂を継ぐ、業と宿命を背負う者の称号。
       貴様も騎士の名を持つならば、戦を知っていよう、紫雲統夜!」
統夜「……!」
アルティス「今の貴様は修羅でも、戦士ですらない、ただの負け犬!
       せめてもの情け、生か死か、次の一撃で答えを見せよ!」
トウマ「くそっ、どうにかならないのか!?」
ムジカ「どうにかしたいけど、相手が悪すぎるよ……!」
メイシス「この戦いはアルティス様がフォルカとの決着を望まれた故のもの!
      修羅衆よ、閃光に導かれる者たちよ! 今はこの一時、氷槍の名の下に命を預けよ!」
修羅衆「応!! アルティス様の戦に無粋にも水を差させたとあっては、修羅の名折れ!」
修羅衆「メイシス殿の下、斯様なつわもの達との戦いなど、出来るものではありますまい!」
アクセル「ったく、奴さんはやる気満々なんだな、これが!」
アリオン「ま、そういうこった。旦那があそこまで入れ込んでる勝負だ。
      俺も一肌脱がせてもらったってわけさ。ガラじゃないがね」
カルヴィナ「正直言って、せめてあんたくらいは引っ込んでいて欲しかったわね。
       これじゃ援護どころじゃないわ」
ジョシュア「酷な言い方だが、フォルカには自分で何とかしてもらうしかない……!」
プレシア「そんな、フォルカさんっ……!」


アルティス「往くぞフォルカ! はぁぁぁぁぁぁッ!」
フォルカ「ぐあっ……がはっ……!」」

フォルカ(俺は……死んだのか? これが走馬灯というものか……? いや、違う?)
フォルカ(これは……ヤルダバオトの記憶?
      幾百、幾千、幾万の戦い。破壊、そして死……そうか、お前も、なのか)
フォルカ(俺は、破壊するためだけに生まれてきたことが悲しかった。
      生きるためには他者を殺さねばならない、そんな世界が呪わしかった。
      そして、そう感じながらも何も出来ない自分に絶望していた)
フォルカ(この世界に生まれたものは全て死ぬ。命とは、死ぬために生まれたものなのか?
      ならば全ての命は、死を願っている? 否、俺の知る者たちは皆、死を忌み、恐れている)
フォルカ(だが、死を忌み、恐れながらも、己の死を恐れず戦う者をも、俺は知った。
      俺にもそれが出来るだろうか? 俺たちの力を、破壊以外のことに使うことが出来るのか?)
フォルカ(ヤルダバオトよ。お前は今ここで、消えることを望んでいるのか?
      ヤルダバオトよ。俺は今ここで、死んでもいい存在か? 否————)

フォルカ「俺は、まだ……死ねない!
      その答えを見つけるまでは!」

アルティス「何っ!?」
アリオン「おいおいマジかよ、神化だと!?」
メイシス「どうやらアルティス様の目に狂いは無かったようだな。……そして、修羅王様も」

アクセル「おいおい、何がどうなってるんだ!? 何かヤルダバの雰囲気変わったぞ!?」
セニア「ええっと、ディカキスの回答は……何これ、ポゼッション!?
    ウソでしょ、魔装機じゃあるまいし!?」
カルヴィナ「……何がなにやらさっぱりわからないわね」
プレシア「強くて、穏やかなプラーナを感じます……
      まるで、澄み切った静水のような、優しい力……」
統夜「俺にも、何となくわかります。フォルカさんの魂に、ヤルダバオトが応えた。
     フォルカさんとヤルダバオト……あれは魂を通い合わせ、望んだ姿」
ジョシュア「しかし、あの姿は、まるで……」
トウマ「修羅界を救うための、救世主……か」

アルティス「……フォルカよ。今一度、問おう。
       答えは、見つかったか?」
フォルカ「いいえ。ですが……探し続けることこそが、今の俺の求める答えなのだと知りました。
      俺はもう迷いません。戦うことを躊躇いはしません。
      誰も死なせないために、何も壊させないために、ヤルダバオトと共に往きます。
      そのために犠牲が出るとするならば、それは全て俺の未熟ゆえのこと。
      その業と宿命、罪。全てを背負って生きましょう。
      それこそが、俺が修羅であるという証です」
アルティス「……見事、フォルカ。それでこそ弟と呼んだ男よ。
       ならばここで拳を交え、その魂の全てを私に叩きつけて見せよ!」
フォルカ「言われるまでも無い……!
      往くぞ、兄上———閃光のアルティス!」




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う〜む、書いてて思ったけど実に明鏡止水。
今思えば、落とす前に一言断っとけばよかった。ごめんなさいorz



805 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/23(金) 01:43:06 4rV+1WTC
>>802
めちゃ燃えた!GJ!


2007年03月20日
 ■  vq2+MOFw氏作SS 「貴方と一緒のモーニング」

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その133
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1171714596/l50


前回の続き



918 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/20(火) 21:57:15 vq2+MOFw
>>610を見てたら振ってきた電波を文にしてみました。


山猫さんと騎士さんの朝のお話。
ODEな香りがほんのりとあるかもしれませんが大したことは無いと思います。
とは言え、気になる方はスルーして頂ければ。




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『その日、二人は自宅から一歩も出ることなく過ごしたらしい』

目を覚ますと、まず鼻をくすぐるのはコーヒーの良い香り。
上体を起こして、周囲を見回すと窓に掛かっていたカーテンは既に引かれて差し込むのは眩しい朝日。
傍らに目をやると居るはずの人間の姿は無く、人一人分のスペースがぽっかりと空いている。
だが、そこから微かに伝わってくる温もりの残滓が誰かがそこに居た事を示していた。

ベッドから降りて適当に羽織る物を探すと、昨日着ていたシャツが無い。
仕方ないので新しい物を取り出して身に纏い、寝室から出るとそこには、居た。
先程傍らには居なかった、寝床を共にしている彼女が居た。

朝日が彼女の銀髪に反射してキラキラと輝き、室内を更に明るく照らす。
その光の邪気の無さとは対照的に、身に纏っているのは自分が着ていたシャツを一枚だけ。

「………朝から随分と扇情的な光景だな」

思わず正直な感想が口をついて出る。
そこで彼女はこちらに気付いたのか煌めく銀髪を翻し、こちらを振り向いて

「あら、案外早く目が覚めたのね。疲れてたみたいだから起こさずに居たんだけど」

発した言葉は自分の呼びかけとはまるで無関係の内容。
ただ、つい、と形良い唇の端を釣り上げて笑っている辺り、どうやら機嫌は損ねていないようだ。

「赤子や幼子と同じで、どうやら隣に誰か居ないと眠れないらしい」
「あらあら」

珍しくクスクス、と微笑むと上機嫌でコーヒーを二人分カップに注ぐ。
その後どうやら焼いていたらしいトーストを三枚取り出し、
これまた用意していたと思わしきスクランブルエッグ共々テーブルへ運ぶ。

ふるふる揺れるスクランブルエッグを見ていると
唐突に昨晩は何も食べていない事を思い出す、急に胃が空腹を訴えてきた。

「それで、赤ん坊と似た様な貴方に添い寝でもしてあげようか?」
「今日は休暇だからな、添い寝だけで済む保証は無いぞ」
「ここの所ご無沙汰だったから、それはそれで歓迎したいわね」

からかうつもりがからかわれた、9割方こうなると言うのに自分はまだ学習していないらしい。
嫣然と微笑む彼女に憮然とした表情でむぅ、と唸るとこれまたクスクス、と笑われる。
少々釈然としないが微笑んでいる彼女を見ているとまぁ良いか、とも思う。

「………まぁ、何はなくとも腹ごしらえと行こう」

誤魔化す様にトーストに手を伸ばすと、ぴしゃりとその手を叩かれる。
怪訝な表情を浮かべて彼女を見やると、そこにはまるで悪戯っ子をしかる母親の様な表情。

「大事な一言を忘れてないかしら?」
「む………」

一瞬の思案の後、ああそうかと思い至る。
そう言えばまだ、彼女に挨拶をしていない。

「おはよう、カルヴィナ」

そう声をかけると彼女は普段の鋭い雰囲気の欠片すら無い、穏やかで幸せそうな笑顔を浮かべる。

「おはよう、アル=ヴァン」

それは自分以外の誰にも見せない、そして誰にも見せたくない笑み。
そんな独占欲の端を意識して、急に気恥ずかしくなり窓の外に視線を移す。

瞳に映るのは雲一つ無い、青い、蒼い空。
久々に迎えた休暇は、どうやらゆっくり休めそうだった。

2007年03月19日
 ■  FitbkO8I氏作SS 「拳と脚」

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その133
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1171714596/l50


519 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/19(月) 15:15:59 FitbkO8I
流れに乗り遅れまくってなんだがトウマVSフォルカSS投下。

「フォルカ、一度機体に乗って手合わせしないか」
いきなりトウマに言われた。
「別に構わないが・・・・・俺は手加減しない。もしものことがあっても責任は—」
「構わないさ。そーなりゃ自分の力量不足だからな」
トウマはフォルカの台詞を遮って、笑いかけた。
「・・・・そうか。なら行こう。」


お互い機体に乗り込む。場所は何も遮蔽物がない荒野。

お互い目を瞑って精神を集中させている。心臓の音が良く聞こえる。

トクン。

トクン。

風が吹いた。

「ふっ!」
「おおおぉぉぉぉ!!!」
ヤルダバオトが姿を消す。相変わらず速い。しかし—
「そこかぁ!!」
後ろに向けて回し蹴りを叩き込む。だが浅い。
「はっ!!」
ヤルダバオトの掌が発光する。
「ちぃ!ハーケンインパルス!!」
発射直前のエネルギーを纏った脚と、光の槍がぶつかる。
お互いを貪り合い、相殺された。
「やるな・・・トウマ」
「そっちこそ・・・なっ!!」
距離をとる。

ライジングメテオを使うと避けられてしまう可能性が高い。あの機動性を上回る
一撃を叩き込む必要がある。
通信をかける。
「ミナキ、神雷を使う。サポートを頼む」
「ええ、わかったわ」
意識を高める。

フォルカは大雷鳳—トウマが次の一撃で勝負を決めようとするのは予測していた。
「ヤルダバオト・・・・行くぞ」
ならばこちらも次の一撃に賭けよう。

ミナキが宣言をする。
「プラズマドライブ、フルバースト!!」
大雷鳳のフェイスガードが展開、眼帯の縛めが解け左目の「義眼」が開放される。
「うおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
雷の鳳と化した大雷鳳が突撃する。

「来るか・・・ならば」
お前の全力、受け止めよう。
鳳が、ヤルダバオトを穿った。
「ぐうぅぅぅぅぅ!!!」
溜めていたエネルギーを一気に持って行かれる。さすがに神雷と名づけるだけある、
凄まじい威力だ。打点も見事に穿っている。
だが—

「どうだ!?これが俺の全力だぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
凄まじい閃光とGの中、トウマは咆哮する。
「・・・まだまだだな」
「何!?」
見るとヤルダバオトは大雷鳳の脚を掴んでいた。
ぼろぼろになりながらも。
この自分の最大の一撃を受け止めて。

「はぁぁぁぁぁ!!!」
白き巨神が咆哮する。
そして大雷鳳を吹き飛ばした。
「何ぃぃぃ!?」
吹き飛ばされた瞬間にはヤルダバオトは既に目の前にいた。
「・・・真覇」
腹にもろに掌低が入る。
「猛撃烈破ぁぁぁぁ!!!」
そして

光が爆ぜた。


「は、ははは・・・・なんつー戦い方してんだよ」
膝を突きながらトウマは笑っていた。既に大雷鳳はぼろぼろで、帰ったらミナキに大目玉
を食らうだろう。

対するフォルカも膝を突いて笑っていた。ヤルダバオトもぼろぼろで、特に腹部の結晶
が割れていた。神雷を受け止めた代償だ。
「お前の全身全霊の一撃は、避けるわけにはいかないだろう。ここは全力で受け止める
のが礼儀だ」
「でもまさか神雷を受け止めて、その上吹き飛ばすなんてなぁ」
「・・・だがその時点で俺は消耗していた。お前が今生きているのがその証拠だ」
「全力ではできなかった・・・と?」
トウマがそう言うとフォルカは自嘲じみた笑みを浮かべた
「全力だったさ・・・・だが」
「だが?」
「すり減らされた」
トウマは一瞬惚けた顔をした後、大声を上げて笑った。
「は、ははははははっ!!なんだよそれ!?」
「笑うな・・・・不覚だ・・・」
「ははははははははは」
夕日を受けて、しばらく二人はそこにいた。


その後二人共ミナキと整備兵たちにこっぴどく怒られたのは言うまでもない。





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525 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/19(月) 16:28:49 Zp4g2Yn0
>>519-520
脚の大雷鳳対拳のヤルダバオトイイヨイイヨー!
つうか倍の大きさある大雷鳳の神雷を真正面から
受けて更に吹っ飛ばすヤルダバスゲー。


今ふと思ったが、修羅神には自己再生能力があるんじゃなかろうか。
ゲームではHPが回復するのは(ラハ)エクスティムだけだったと思うが。
そうでないと整備士が危うい。

 ■  51lzdovC氏作SS 「袂を別つ時」

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その133
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1171714596/l50


前回の続き


499 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/19(月) 02:50:38 51lzdovC
じゃあ俺も対決を。

「降服してください! その機体じゃ無理です!」
ラリアーは叫んだ。既に南極遺跡は炎に包まれている。
恐らくペルフェクティオの軍には、万に一つの勝ち目も残されていないだろう。
目の前に佇む鋼の鷹も、既に満身創痍だ。
「断る」
しかしアクイラは、いつもと変わらず静かに答えた。
「どうしてですか! あの人本気で世界を滅ぼす気なんですよ!?」

「そろそろこの世界、滅ぼしちゃおうか」
とある日の夕食の時、完璧親父ことペルフェクティオは
まるで「次の日曜にピクニックに行こうか」とでも提案するかのように言った。
その時は誰もが「また始まったよ」と聞き流していたのだが
ペルフェクティオは居間を出たその足で遺跡の中心部へ向かい
鼻歌交じりに『門』を開いてしまったのだ。
泡を食ったジョシュアとデュミナス、そしてミーレス達は急いで遺跡を脱出した。
しかしその中に、アクイラの姿は無かった。

「お前は、デュミナスを裏切ることができるか?」
「うっ……」
突きつけられた言葉に、ラリアーは俯いた。
鋼の鷹が残された右の翼を向ける。失われた左の翼を焼いたのは、彼の兄弟達だ。
「最早言葉は不要。破滅の運命に抗う術は、力を於いて他にはない」
最早飛ぶことも叶わない鷹が、それでも一歩一歩凍土を踏みしめて進み
「抗って見せろ、ラリアー」
そして最後の力を振り絞るかのように、飛んだ。
「……ッ!」
ラリアーもまた機体を走らせた。一閃。機体の位置が入れ替わる。
「……この俺を、破るか」
静かに、アクイラが呟く。
「鍛えて……ますから」
静かにラリアーは答えた。
「……そうか」
鋼の鷹が崩れ落ちる。ラリアーは叫んだ。
「脱出してください! アクイラさん!」
言い終わると同時に、南極の中心に一際大きな火柱が立った。
恐らく遺跡内での戦闘も、決着が付いたのだろう。
アクイラはラリアーの叫びには反応せず、ただ静かに火柱を見つめていた。
「一人で、逝かせる訳にはいかん」
「そんな!」
鋼の鷹もまた、火を吹き始めていた。
「脱出してください! 一緒に死ぬことだけが、道じゃ無いはずです!」
ラリアーは叫んだ。哀願した。
「そうだな……だが俺は、この道しか選べなかった。それだけだ」
「アクイラさん!」
もう言葉は返ってこなかった。

「ねえティス、デスピニス」
「んー?」
「何……?」
「もしも……デュミナス様がまた前みたいな事をしようとしたら、どうする?」
「そんなの決まってるじゃない、あたいはデュミナス様についてくよ!」
「ラリアーは……違うの?」
「僕は……」
違う道も、あるはずだ。まだ口には出せないが、ラリアーはそう思った。


 ■  毛布の人作SS「ある日の五人の作戦会議」

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その133
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1171714596/l50


474 :毛布の人 :2007/02/19(月) 00:41:21 kRoHjhFv
流れは対決と見てよろしいのかな




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475 :ある日の五人の作戦会議 :2007/02/19(月) 00:42:15 kRoHjhFv

「地図あったか?」
「いま出す。資料は手元にあるな? よし、始めよう。フィールドは見ての通り、
富士の第三演習場を使うことになった。俺達白軍はこの西の森、赤軍は
東南にあるこの台地が陣地だ」
「赤軍の機体は?」
「俺達もだが、基本的にはふだん乗ってるのを使う。ヒュッケバイン、龍王機、
ガーリオン、ビルトシュバイン、ランドグリーズだな」
「ビルトシュバイン?」
「AMガンナーじゃハンデがありすぎるからって、社長が用意したんだ。リオ、
前乗ってたんだよ」
「なあ、俺まだよくわかってねえんだけど。なんで、模擬戦なんて話になったんだ? 
元は例によって、イルム中尉とリンさんの喧嘩なんだろ」
「そうなんだけど……たまたまその席で、イルム中尉の失言にリオが食い
ついちゃって……」
「女性チームで男性チームを叩きのめして、時代錯誤を正してくれるってさ。
つかリョウト、その場にいたなら止めろよ」
「うん………………ホントごめん」
「しかし、肝心のイルム中尉が中立で審判役っていうのはどうなんだ」
「あの人、危機回避はすげえ上手いんだよな。見習いたいぜ」
「まあ経緯はともかく、演習のテーマとしては面白い。こうもちぐはぐな編成で、
互いのパートナーとやり合うというのもな」
「クスハに武器を向けるのは、気がすすまないな……」
「なーに言ってんだ、演習なんだから固く考えるなよ。大体、クスハとなら
L5戦役の時、マジでやり合ったこともあったろ」
「お前が! お前がそれを言うのかあっ!!」
「ぎゃー!!」

「さて、リュウセイ、どう見る」
「痛てて……あ、うん。俺達、接近戦系の機体が多いけど、向こうもそれは
知ってるだろうから、逆にジガンを中心にして待ちの戦法がいいんじゃねえかな」
「ほう、意外にまともだな」
「伊達に通信教育は受けてないぜ」
「通信教育?」
「あはは。リュウセイ、教導隊に行ったラトゥーニ少尉に毎週データで戦術論の
講義をしてもらってるんだって。もう二ヶ月くらい続いてるんだよね」
「いつまでも年下の女の子に物教わってられないからな。さっさと卒業したいぜ」
「……かわいそうに」
「何が?」
「放っておけ。ブリットはどうだ」
「俺も同意見だが、赤軍は砲戦の得意な機体が多いから、待ちに入るのは
得策じゃないと思う。俺とユウ、リュウセイとリョウトでツーマンセルを作って、
セオリー通りに攻め込むのがいいんじゃないか」
「んー、俺は逆だな。向こうの弱みは、地上の近接戦に特化した機体がねえって
ことだ。おまけに森が多い。攪乱から速攻が効くと思うぜ」
「リョウトは?」
「僕も待ち……かな。ジガンスクードをどれだけ相手の予想外の場所に
仕込めるかが鍵だと思う」
「ふむ。実は俺もタスクと同意見だ。接近戦は警戒されているだろうが、だからこそ
狙ってみる値打ちがある」
「けど、向こうにはベテランのリンさんがいるだろ。接近戦に持ち込もうったって、
それくらい読まれちまうんじゃないか?」
「それは待ちの戦法でも同じだろう。どうせ読み合いでは分が悪いなら、得意な
土俵で挑んだ方がいい」
「おっ、勝負度胸あるじゃねえか」
「攪乱戦法か……こっちにも、地上戦専門の機体は多くはないんだぞ」
「その通りだ。お前の虎王機が要になる」
「うーん。向こうはどういう手で来るかな?」
「普通に考えれば、レオナとリオが斬り込み役で、あと三人がバックアップだろう。
ただ、ガーリオンもビルトシュバインも兵装次第の機体だ。俺達が接近戦を挑むと
考えていれば、仕様を変えてくる」
「全員砲撃戦仕様で遠くからタコ殴りってのは、あるかねえ」
「リスクが大きいな。カーラならやりかねんが、リン社長がとる戦術とは思えない」
「いや、あの人切れると結構見境ないよ」
「お前が言うと説得力あるな……」
「虎王機と龍王機は感応し合うそうだが、相手のパイロットの思考を読めるような
ことはないのか?」
「合体してる時ならともかく、分離状態ではそこまで便利には使えないな」
「お互い同士で戦うの嫌がったりしねえの?」
「……実はな、虎王機と龍王機ってあまり仲が良くないらしいんだ」
「はあ?」
「特に、虎王機は龍王機のことが嫌いらしい。俺も同じ心配をして、さっき虎王機に
話してみたんだが、かえって張り切ってたよ」
「変なメカだなー。なんで合体できるんだ」
「あれ、本人達は結構イヤイヤやってる所もあるらしくてな……」
「脱線するな、そこ」

「いっそ、ジガンは囮にする手じゃねえか? 向こうだってジガンの破壊力は
警戒してるはずだぜ」
「ジガンスクードが囮で、虎王機が攪乱役だったら、アタッカーは誰がやるのさ?」
「そりゃ、お前とリュウセイだ。考えてみたら、お前社長さんの操縦だって月で一番
見てんだろ。ヒュッケバインは任せたぜ」
「そんなー」
「……あ、今思いついたんだけど。リョウト、ボクサーパーツって遠隔操作できたよな。
戦闘中に空中換装できるか?」
「一応、できるよ。ただ、きちんとフィッティングした時より動きがよくないけど」
「じゃあさ、お前最初はわざとノーマルのMk-IIIで、俺のブーステッドライフル持って出ろ。
俺とブリットがフロントで、お前とユウがバックアップって編成にするんだ」
「それでジガンスクードが切り札って見せかけるの? でも、ちょっとあからさまじゃない?」
「ジガンも前に出すんだよ。前衛三枚にしたら、後衛が足りないからリョウトが回ったって
思うだろ」」
「そう都合よく行くかな……」
「いや、ジガンを柱にして高速戦闘を仕掛けるように見せれば、小回りを優先して
ボクサーパーツは切ったと思わせられるかもしれん。面白いアイデアだと思う」
「でも、相手はヒュッケバインを開発した人だよ?」
「Mk-IIIを組んだのはお前だろ。それに考えてみろよ、俺達十人の中でリン社長だけ
念動力を持ってないんだ。こいつに関してだけは、俺達の方がベテランだ。合体なんて
できっこないってタイミングでやれば、絶対裏をかける」
「俺も、それ乗った! 面白そうじゃん」
「そうなると、ボクサーパーツを隠す場所がいるな」
「シーズアンカーにくくりつけておくのはどうだ。タスクがお前めがけてぶっ放すから、
気合で合体しろ」
「無茶苦茶な……わかった、やってみる」
「決まりだな。これを軸にして、フォーメーションCとDのバリエーションを使っていく。
フロントマンはブリット、タスク、リュウセイ、俺とリョウトがバックアップだ」
「リョウトがボクサーに換装したら、もう一枚後衛がいるな。R-1がミドルレンジに入れるか?」
「任せろ」
「当日の戦闘リーダーは俺が務める。この作戦は演技力が勝負だ、相当細かい指示を
出すから覚悟しておけ。何か質問は?」
「模擬戦とはいえ、負けるつもりはねえ。男の意地を見せるぜ、みんな!」
「「「「応!!」」」」

「あー、疲れた……」
「勝ったのかな、俺達……」
「だから! あそこでイルム中尉があんなこと言わなければ、社長が狙いを外したり
しなかったはずなのよ!」
「確かにあそこで『愛してるぜ』は反則だよなー。イルム中尉、マジで美味しいとこ
持ってきすぎだって」
「どのような理由があれ、勝ちは勝ちだ」
「勝ってない! この勝負は無効よ! フロックよ!」
「いいんだけどリオ、ここ男子更衣室」
「え?…………きゃー!!」
「ったく」
「重ね重ね、ごめん」
「それで、当の中尉は?」
「終わった直後に、なんかリンさんを口説いてたぞ。今頃はどこかで二人きりじゃねえの」
「「「「やってらんねー」」」」


End





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481 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/19(月) 00:53:26 tGXNbU2o
>>474-478
イルム何やってんのwww
ともあれ、今回の功労賞はリョウトですな。GJ。



486 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/19(月) 01:23:45 XKLFfBYw
>>474-478
このシリーズ、俺好きだ



487 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/19(月) 01:31:22 nyjHn+qq
五人シリーズはクオリティ高くて良いねえ



489 :毛布の人 :2007/02/19(月) 01:36:52 kRoHjhFv
感想どうもです

そういえば、すぱろぐの方でコメントに「五人シリーズ三作目?」みたいな
ことが書いてありましたが、最初の下着通販の話は私じゃないです
というかあの話が好きで真似をし始めたので、残業と鍋は私です

2007年03月15日
 ■  7Ll+aTWl氏作SS「GCorXOのバレンタイン」

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その132
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1171453684/l50


61 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/14(水) 22:47:58 7Ll+aTWl
なんか今更感があるけどバレンタインSS落として良いかな?
光珠とジークの話なんだが無駄に長くなった上にOGキャラは一人も出てきてないものなんだが



69 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/14(水) 23:02:06 7Ll+aTWl
とりあえず投下。
読み返したらジークのキャラが違うように感じたのも私だ。

「ジーク、入るわよ」
「は? あ、おいお前ノ——」
「はい、チョコ」

 部屋に入るなり光珠が渡してきたのは1枚のチョコだった。
 ノックもせずに入ってきたことにジークは文句を言いたくなったが、いきなり渡されたものに注意を向けられてしまった。
「チョコ……?」
 きちんと包装されており、形だけ見るとちゃんとした物であるようだ。
「ええ、今日が何の日か知ってるでしょ」
「……ああ、まあ」
 まだ手渡されたチョコを見ながら光珠の問いにジークは答えた。
 光珠達と行動をする以前から地球について様々な情報を仕入れていたし、ここ数日の女性達の雰囲気から何かあることは分かっていた。
 具体的にこの日に何をするかは昨日秋水に聞いて知った。
「……いつ買ったんだ、コレ?」
「ちょっと、勝手に決め付けないでよ。手作りよ、手作り」
「手作り? お前料理できたのか?」
 今まで光珠が料理をしてる姿は見たことが無かったためジークは思わず疑問を口に出した。
 そのジークの言葉が気に入らなかったのか光珠は腰に手をあて口を尖らせた。

「当たり前でしょ! ……まぁフェアリさんに少し手伝ってもらったけど……」
 光珠の言葉にそういえばフェアリは料理が出来てたな、とジークは昔のことを思い出した。
 そのまま思い出を振り返りそうになったが、とりあえず昔のことより今のことだ、と思考を切り替え口を開いた。
「まぁ、ありがとな。ちゃんと食っとくよ」
「あ、ジーク……出来れば今食べて欲しいんだけど」
「は? 何でだよ」
「そりゃ……まあ別にいいじゃない! 減るものでもないでしょ」
 押し切るように光珠は返した。
 別に今食えない理由は無いが贈った本人の前で食べて、感想を言うのは正直気が乗らない。
「やっぱり駄目……?」
「うっ……わかったよ」
 上目遣いでそう尋ねられるとやはり断れなかった。
 そういえばサリーに同じ事をされたときは一度も断れなかったな、とジークは頭の片隅で思った。
「ホントに!? ありがと!」
 承諾したとたんに明るくなられたら演技だったんじゃないかと疑ってしまう。
 特にジークは何度もからかわれた為に。
 結局優位をいつも光珠に取られることに溜息をつきながらジークは包み紙を空けた。
 見た目は大丈夫。というかちゃんと教わっているのだから妙な味ではないだろう。ジーク自慢の勘も何の注意も発していなかった。

「……どう?」
 顔を覗き込む光珠にジークは素直に思った言葉を口にした。
「うまいぞ」
「……本当?」
「ああ」
 実際このまま食べてしまうのが惜しいほどに。
 その言葉に満足したのか光珠は安堵の息を吐くとジークの使っているベッドに腰を下ろした。
「あー、良かった。失敗してなくて」
「失敗してたらフェアリが何か言ってただろ」
「それでもやっぱり心配になるじゃない」
「……そういうもんか?」
 そーいうものよ、と言いながら光珠はどこからかチョコを取りだして食べ始めた。
 ちゃっかり自分の分も作っていたらしい。
「お前、他にも作ってあるなら先に食ってみりゃ良かったじゃねえか」
「私はあなたの感想が聞きたかったの! 口に合わなかったらまた別の作らないといけないし……」
「……作ってくれるんなら食うぞ、何でも」
「え? ホント?」
 嬉しさが溢れた笑顔を浮かべて光珠が聞いてきた。
「ああ……お前の手料理だったら俺も嬉しいしな」
「え?」
「何でもねぇ」
 柄じゃない事を言うんじゃなかった、そう思いながらジークは光珠から顔を背けた。


「それにしても良かったわー」
「何がだ?」
「だって私、あなたがチョコにマヨネーズかけて食べるんじゃないかって——」
「食うかバカ!」

以上。駄文失礼
……妄想を文にするって難しいんだな





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84 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/14(水) 23:28:28 U9fvGy8b
>>73
GJだよ〜
光珠可愛いよ光珠

2007年03月14日
 ■  ランダム人氏作SS 「マオ社の2/14」

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その131
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1171207448/l50



528 :ランダム人 :2007/02/13(火) 20:45:50 PS+YXa2B
突然流れをぶったぎって駄文投下。携帯からの為、いくつかに分けるので御了承願う。

—マオ社—

リン「……ふぅ。」

バレンタインの前夜、書類の山に追われる女社長が珍しく溜め息をついた。

ユアン「珍しいですね。社長が溜め息なんて。」
リン「ん?あぁすまない……。悪いが常務、これを下の階まで持っていってくれ。」
ユアン「あ、そういえば明日はバレンタインでしたね。もしかしてその事を考えてました?」
リン「ッな!?バカを言うな!さっさとそれを持っていけ!」

女社長は一瞬たじろぎながらもすごい形相で常務を睨みつけた。

ユアン「す、すいません……」

常務は足早に去っていった。

リン「…バレンタイン……か。」

そう、リンが考えていたのはまぎれもなくバレンタインの事だった。もちろん渡す相手はイルムなのだが……

イルムガルト・カザハラ。リンの恋人にして、マオ社で一番モテる男。だがその性格は大の女好きで、守備範囲は5〜50歳、女を見つけては口説くのが礼儀だと思っている(リン的に)最低な男だ。

L5戦役の時も社の女性社員を口説いていた(当の本人曰くお茶に誘っただけらしいのだが)ので叩き出してやった。
さらにアインストとの戦いの後、軍を退役して社に戻ってきたかと思えばこの前のクリスマスにまた社の女性社員と食事をしていた(さらにアインストとの戦いの最中に某考古学者の電話番号を聞きだそうとしていたのが発覚)
当然ながら叩き出してやった。あんなヤツの顔など二度とみたくない。…………だが、もうそれから一ヶ月立つな。あいつは元気でやっているのだろうか……?

リン「………はっ!イカン。まだ仕事が残っているのにあんなヤツの事など……」

リンが我に還り、仕事を再会しようとしたその時—

ピリリリリリリ!

リン「!?」

突然リンの携帯が鳴る。

リン「?、……誰だ?こんな時間に……」

リンが携帯を見ると

着信:イルム

リン「!?!?」

そう、イルムからの電話であった。

リン(今まで一回も連絡して来なかったくせに今更電話だと?チョコ欲しさに電話してきたのか?あの男は……。見えすいた魂胆だ。誰が出るものか)

ピリリリリリリ!、ピリリリリリリ!

部屋には携帯の着信音が響き渡る。

リン(…………しつこい。あきらめて切ればいいものを…………仕方がない……)

ガチャ

イルム「よう、リン。起きてたか。」
リン「……何の用だ。」
イルム「いや……その……ホラ、なんだ、俺…この前のクリスマス前日に叩き出されたよな?」
リン「知らん」

リンはそっけなく返すがイルムは続ける。

イルム「でさ………その……渡しそびれちまってよ。クリスマスプレゼント。丁度今近くにいるからさ。渡しときたいなって思ってさ。」
リン「〜〜〜!?」
イルム「やっぱ……ダメか?」
リン「………」
イルム「………」

…………まったく、だから私は貴様が嫌いなのだ。クリスマス前に女を口説くわ、言い訳はするわ、勝手に電話してくるわ……。そんな男に惚れるなどとはPTX時代には少しも思わなかった。だが……………

リン「………明日だ。」
イルム「……へ?」
リン「明日なら会ってやらんでもない。」
イルム「……わかったぜ。じゃあ、明日な。」

プッ!

リン(………私も甘くなったな……やはりあいつの影響、か……)
ユアン「失礼します、社長。」
リン「あぁ、ご苦労だった。」
ユアン「社長、もうお休みください。残りの書類は私が片付けますから……」
リン「心配はいらん。後一時間もすれば終わる。」
ユアン「そういうわけにもいきませんよ。明日、イルムさんと会うのでしょう?」
リン「ッ!!、まさか常務、聞いていたのか!?」
ユアン「す、すいません。部屋に入ろうとしたら社長の話し声が聞こえたもので……」

リンは真っ赤になっていた。

リン「…………いいか常務。この事は他言無用だ。私は自室に戻る。」
ユアン「……お疲れ様でした。あ、社長。チョコはどうする気ですか?」
リン「……仕方ない。今から作るか。」


翌日、イルムから一ヶ月以上遅れてのクリスマスプレゼントを受け取り(中身は腕時計だったようだ)、恥ずかしがりながらもチョコを渡した女社長がいた。
このままイルムも社に戻って万事解決、と思われた…………が……後日、懲りずに女社員を口説く現場を社長に目撃された誰かさんが簀巻きにされて叩き出され、永久追放されたと言うのはまた別のお話である。




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557 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/13(火) 21:27:47 T5d6zTpf
>>555
GJ!

イルリン分が補給できてウェーハハハ

2007年03月10日
 ■  ZyjhR1R氏作SS「お風呂、入りませんか?」

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その129
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1170687968/l50



591 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/07(水) 23:41:07 OyKYxLaS
テツヤ「俺は・・・生きる!!生きて、レフィーナと添い遂げる!!!」
ショーン「貴様が・・・・レフィーナ様の!?」

ごめんなんでもない



600 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/07(水) 23:56:51 mVid4ZIf
>>591
つまりテツヤとレフィーナが雪山で混y(ry




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623 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/08(木) 01:17:22 /ZyjhR1R
亀だが>>600に稲妻のごとき天啓を受けたので
SS投下。




 
 
 


「お風呂、入りませんか?」

と言われた時は、正直耳を疑った。
現在艦は両艦とも半舷休暇中。なぜ艦を任されている自分がこうやって休みを取れて
いるのかと言われたら、まぁ部下のおかげだと即答できる。本当に感謝している。
こうやって彼女—レフィーナ中佐と共に休暇を取れているのだから。

「あら、大尉もこちらにお出かけですか?」
ショッピングモールに出かけていた時に、ばったり彼女と会った。あまり趣味のない自分
も、ここに来れば暇をつぶせると思ってきたのだが、なんたる偶然だろう。
「ええ、中佐はここでお買い物・・・ですか?」
「はい、必要なものは軍から支給されたり、自分で注文できますけど、やっぱり自分の手
で選んだ方がいいので」
そういって彼女は微笑んだ。
見ると彼女は荷物を結構な量を持っていた。
「あの、お持ちいたしますよ」
「ええっ!だ、大丈夫ですよ?」
「そんな、お気になさらずに」
そう言って無理やり荷物を持った。
すると彼女は観念したかのように
「わかりました・・お願いしますね?」
と言った。

「こ、これはっ・・・・!!」
「あ、あの・・・大丈夫ですかっ?」
「ええ、大丈夫、ですとも」
とは言ったもののかなりきつかった。両手に手荷物ぶら下げながら大きくて重い箱
を持っているのだ、きつくないわけがない。
だが大丈夫と言った手前ここでへばるわけにはいかなかった。
「ふん!」
自分に喝を入れて、歩く。
「ふふ・・・」
いきなり笑われた。喝を入れた時の顔が滑稽だったのだろうか。
「どうなされたんですか?」
「いえ、大尉は男の子だなぁと思ってしまいました」
「はぁ、もう男の子と言われるのは歳を食い過ぎましたがね」
そう言うと彼女は頬を膨らませて
「もう、そういう拗ねたこと言わないでくださいっ!大体さっきのは・・・・」
と語っているのだが、あまりに膨れっ面が可愛くてあんまり聞いていなかった。
「もう、聞いてますか?」
ちょっと拗ねたような表情で聞かれた。だが自分は話を聞いていなかったので
「は、はい?」
としか答えられなかった。
「・・・・。」
じぃーっと睨まれる。すると
ぷいっと向いて彼女は先に行ってしまった。
「あ、あの・・・中佐?」
「・・・・・・!!」
さらにスピードアップしてしまった。何か気に触るでも行っただろうか。
それにしても荷物が重いのでなかなか追いつけない。
なのでしばらくこの状態が続いた。

やっと彼女が止まってくれた。
しかし
「・・・・疲れました」
「え?」
「・・・・疲れましたっ」
まだ拗ねていた。
「じゃ、じゃあどこかで休憩でも」
「ここ、喫茶店ないじゃないですか」
確かに、かなり歩いたらしくショッピングモールからかなり離れていた。喫茶店なんて
どこにもなかった。
「・・・どうしましょうか」
本気で困った。こんなに困ったのはホワイトスター攻略戦の時以来かもしれない。
「あ」
彼女は何かに気付いたらしい。
「銭湯があります」
「・・・そうですね」
少し先に銭湯があった。かなり古い建物だが、煙突から出る煙がまだ現役であること
を主張しているようだった。
「珍しいですね、今時銭湯なんて」
「そうですね・・・・」
彼女は何か思案しているようだった。
「そうだ!」
「はい?」

「お風呂、入りませんか?」

中はそれなりの人がいた。冷蔵庫にはきちんとコーヒー牛乳まで完備してあった。
番台さんが睨んでいる。さっきからずっと着替えずにいるからであろう。
「・・・はぁ」
仕方なく脱ぐ。
さっき彼女に「さっき早歩きしたからちょっと汗かいちゃいました。丁度いいです」
と問答無用の笑みを浮かべられて入ったのだが、あまり気が進まない。
今から入ると半舷休暇の時間をオーバーする。
せっかく部下が頑張ってくれたのに、これでは・・・とごちながら扉を開けた。
「・・・・おお」
感嘆した。
ちゃんと富士山の絵が描いてあって、掃除を怠っていないのが一目でわかる。ピカピカ
だった。
一回蛇口からお湯と水を出してそれを体にかける。一度体を流す。これが礼儀・・・い
や常識である。

これで準備は整った。

いざ、出陣—!!

「テツヤさぁぁん!湯加減どうですかぁ!?」

こけそうになった。女湯の方から声が彼女の声が聞こえてきたではないか。

「ちゅ、中佐!?」
「あ、また中佐って呼びましたね?一回名前で呼んでください」
なんか声が怒っていた。
「え、いやそれは」
「はーやーくー」
他の客がいるのに・・・これでは迷惑だ(もう十分迷惑になっているが)
「で、では・・レフィーナ・・・さん」
「・・・まぁ、いいです」
なんか納得いってなさそうだったが、とりあえず一段落したので湯に浸かることにする。

「・・・・・・ふう」

熱すぎず、しかしぬるくなく。丁度いい湯加減だった。
「いい湯加減ですねー」
向こうの彼女—レフィーナに声をかける。
「ええ・・・」

体だけではなく、心も休まる感じがした。

銭湯から上がる(自分のおごりだった)と、急いで帰路につこうとすると
「テツヤさん」
いきなり声をかけられた。
「はい?」
指を刺しつつ
「またこういう日が来た時は、名前で呼び合いましょうねっ」
笑顔で言われた。

だから

「・・・・ええ」

笑顔で返した。

その後部下に凄い睨まれたのは言うまでもない。





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628 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/08(木) 02:04:37 okDsHypn
夜分遅くにGJであります



629 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/08(木) 02:11:47 T/WAJfsn
テツヤはレフィーナをさん付けでしか呼べないだろうなぁと思いながらGJ


630 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/08(木) 02:13:04 f9ph63G+
>>626
GJなんだぜ


2007年03月09日
 ■  dWcj9p4i氏作SS「帰り道」

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その128
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1170430605/l50


前回の続き


678 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/05(月) 07:37:37 87q5ZLD0
ここで空気読まずに以前書いたSSを投下。

ネタ自体は以前書いたものだが、>>622でそれっぽいシチュが出たのでついorz


622 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/05(月) 00:46:24 dWcj9p4i
あれだ。
新しく子供が産まれるときいてすごい楽しみだったが、産まれてみたら父母双方赤ちゃんにつきっきりで
自分よりも赤ちゃんのが大切なんだ、って寂しい思いをするという、そういうのに似た体験をしてるんだ、ラキは。

イルイも親分夫妻に子供が出来たら「本当の子供じゃない自分はいらない子なんだろうか」とか悩みそうだ






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「お父さんっ! お母さんっ!」

 ゼンガーが優しく微笑みながら、ソフィアの胸の中の赤ん坊に笑いかけている。ソフィアもまたそんな愛する子供と夫に向かって微笑みかけて楽しげな様子だ。
しかし、何度も自分が叫んでもこっちを向いてくれない、振り向かせようと喉が渇いてむせても、何度も、何度も二人に呼びかけるが決してこちらを向くことはない……。
涙が頬を伝うが、それを拭うこともせずに必死になって呼びかける。その声が届いたのか、ふと、二人がこちらを向いた。

 途端、ぱああっと顔を明るくして微笑む少女。しかし…

「さっきからお父さんとかお母さんって……誰かしら?あの子」
「分からんな……おそらく迷子かなにかだろう」

 その言葉に心臓が突き刺されたような激痛が彼女を襲った、(ワタシ、オ父サントオ母サンノ子供ジャナイノ?)心の中の思いが言葉にならない。
過呼吸になったかのようにパクパクと口を動かすが言葉が出なかった。
そんなイルイの目の前でゼンガーとソフィアは子供を腕に抱いたまま、イルイから背を向けて離れてく。

(待って…待って……待って……待って…!待って!!)

 必死に追おうとするが足が動かない、空気が鉛になったかのように体がその場に固定される。
段々二人が自分から離れていき、やがて消えてしまい……

「いやっ!!」

 ガバッ!!

 シーツを剥ぎ取ってイルイは目を覚ました。はぁはぁと荒い息を吐きながら周りを見回す。
時間は4時…ふと外を見ると、傾きかけた陽の光が部屋を照らしていた。
宿題をした後、しばらく横になろうと思い、そのまま寝入ってしまっていたようだ。


「また…こんな夢見ちゃった……」
 
 シーツをきゅっと抱きしめるイルイ。顔の横を涙の筋が幾つも流れ、金色の髪を濡らしていた。
最近こんな夢ばかり見る、その理由も自分は分かっている。だが、この悪夢から逃れられる方法は……おそらく無いのだろう。
涙の跡を拭いながら、ふぅ…と大きなため息を吐くと、イルイは寝ている間に噴き出した大量の汗に、水分を搾られた喉の渇きを癒そうと自室のある二階から階下へと向かった……。


「ふふ・・・もうすぐお父さんに会えますからね」
 
 その頃一階では、ソファーに掛けながらお腹を優しく撫でてゼンガーとの間に出来た胎内の子に語りかけるソフィアが居た。
銀河の未来を賭けたケイサル・エフェスとの戦いも終わったが、終戦の後も未だ各地での紛争は終わらない。
夫であるゼンガーは各地を転戦し、火の粉の段階での事態の収束や治安を図っていた。
その彼が4ヶ月ぶりに明日帰ってくる。旅立つ前、結婚するやいなや家を開けるような夫ですまない、としきりに謝っていた夫の顔を思い浮かべてクスリ、と笑う。
 そこにトン、トン、トン…と階段を鳴らして2階からイルイが降りてきた。

「あ、イルイちゃん」
「…お母さん」

ソファーから体を起こして、イルイを見つめる。その呼び掛けに一瞬、イルイの体が緊張に固まる。

「な、何…?」

脅えたように答えるイルイに対して、不思議そうに眺めるとすまなさそうな顔で口を開く。

「明日あの人が帰ってくるのですけど、鍛練部屋のお掃除がまだだったんですよ。悪いんだけど手伝ってくれません?」
「あ、うん。……あ、お母さんは座ってて。私がやるから」
「え?ですけど結構広いですし……」
「だ、大丈夫だよ。私一人で出来るから、お母さんは…お腹のなかに赤ちゃん居るんだし…」
「あら。少し動いた方がいいのよ?」

手伝う、と言うソフィアをなんとかソファーに座らせるとてきぱきと準備を始めるイルイ。
五分後、雑巾とばけつ、ハタキに箒と完全装備で鍛練部屋に立っているイルイがいた。
少しでも自分は役に立つのだということを伝えたかった。でないと、自分は…

「…よし!」

鍛練部屋はゼンガーの作った和風の部屋で畳を張り、掛け軸などを掛けた造りで彼が精神集中する際によく利用していた。
イルイは気合いを入れるとハタキでパタパタとほこりを払い落とし、固く絞った雑巾で畳を拭く。ふと、視線が掛け軸の下の花瓶に止まる。
この花瓶はなんでもゼンガーの剣の師匠から譲り受けた代物らしく、ゼンガーは大切に扱っていた。
一度、カナフたちがふざけて鍛練室でじゃれていたのを見とがめたとき、静かに、だが、あれほど怒った義父は初めて見た。
それほど大事なものだ。気を付けないといけないな、とイルイが再び畳の拭き掃除にかかろうとしゃがんだ際、足が壁に立掛けた箒に当たる。
その箒は一旦くるりとターンを踏むと、バランスを崩してゆっくりと…

「っ!!」

さあーっ、と血の気が引いた表情で、倒れ落ちそうになる箒をみる。その落下先はまさに件の花瓶……。


「…だめぇぇっ!」

イルイは悲鳴をあげて、箒を支えようと手を伸ばす…しかし。


ガシャンッ!

砕け散る音が部屋に響き、イルイの目の前で美しい曲線を持ち、落ち着いた色合いの花瓶は砕け散っていた。
花瓶の一部の破片が飛んだ際に、イルイの手の甲に傷を刻み血がポタポタと垂れたが、少女にとってそんなことはどうでもよかった。


父親の大切なものを壊してしまった……怒られる…、怒られる…、嫌われる…、いらない子になっちゃう……


カタカタと震えるイルイ。そんなイルイの背後で、悲鳴と破砕音を聞きとがめたソフィアが何事かと鍛練室のドアを開く音がした。
「どうしたのイルイちゃん?ひどい音がしましたけ…ど…」

ビクッとその音に振り向くイルイ。そこで彼女は見た、自分のすぐそばにある砕けた花瓶を見る母の目、そして、引きつった表情で自分を見つめる母を……。

怒られる!

イルイはその母を見た瞬間、脱兎のごとく部屋を駆け出した。背中で母が自分を何度もよぶ声が聞こえる。
しかし、イルイは足を止めなかった。靴ひもも結ばずに駆け出して、家から早く離れたかった。このまま、どこか遠くに行きたかった。





夕闇に染まる河原にイルイはちょこん、と体育座りで座っていた。

「ぐしっ、ひっく、ひんっ、ひんっ…うっく、ひっ、ひっ…」

河原についた時からずっとこの調子でしゃくりあげている。河原を走るマラソン途中の中年や、犬の散歩をさせている子供たちの目が痛いが、涙が止まらなかった。


(絶対、お母さん怒ってる…お父さんも怒るよね…?私…私…)

壊したものの大きさに先ほど見た夢のことを思い出す。あの夢はゼンガーとソフィアの間に子供が出来たと知った時から見始めた。
最初は弟か妹ができると知って、すごく嬉しかった。
…だけど、子供が産まれたら二人の本当の子供じゃない自分はいらない子になってしまうのではないか?
今、自分に注がれている愛は全て血の繋がった子に流れていってしまうのではないか?という不安が悪夢をイルイに見させていた。
そんな不安をゼンガーが大事にしていた壺を砕いたことがとどめを刺した。

心臓が痛い、涙が止まらない。ふと手をみると壺のかけらで切った傷から赤い血が流れていた。

「う…ふぇぇえん…」

その血を見た瞬間、この血は父母と繋がっていないということを教えるようで再び涙が溢れた。


そんなイルイの耳にがうー、とよく聞いた声が届いた。ふと河原横の道路をみると、ザナヴが居た。その横には息を切らせながら赤い顔をして浮かんだ汗を拭うソフィアの姿が。

「イルイちゃんっ!」
「っ!」

ソフィアの声に立ち上がると、その場を離れようとするイルイ。

「待って!イルイちゃんっ!カナフっ、お願いっ!」
駆け出したイルイの背中を夕暮れの空から一気に降下したカナフが爪を立てないようにして掴んだ。

「いやっ!はなしてっ!はなしてぇっ!」

そのまま浮かび上がり、イルイが必死にもがこうと宙に浮いた体は前に進むことはなかった。
その間にイルイのすぐそばに駆け寄るソフィア。
もう逃げられない。イルイはソフィアの前でうなだれて、ソフィアが口を開くのをビクビクと恐れていた。
すっ…とソフィアの手が上がる。

ぶたれる! イルイはぎゅっ、と目を瞑り覚悟をきめた。
しかし、その一撃はいつになっても来ない。
恐る恐る目を開けると、ソフィアはしゃがんでイルイの手の甲に湿潤パットを当てて包帯を巻こうとしていた。


「…お母さん?」
「まったくもう。化膿したらどうするんですか。女の子の手なんですよ?痕になっちゃいます…」

心配そうな顔で傷の手当てをするソフィアを怪訝な表情で見つめる。
その様子に思わずイルイは口を開く。

「怒って…ないの?」
「怒ってます」

ぴしゃりと言い放たれた言葉にズキン、と心が痛くなる。
やはり怒っている…逃げ出したくなるが、母の手は未だ自分の手を抱いて治療を続けている。

「ごめん…なさい、花瓶…割っちゃって…」
「…」

ぽつりぽつりと言葉を紡ぎ出すイルイの言葉をただ聞くソフィア。
すっと膝立ちのままイルイの目を見つめたまま口を開く。

「割った、とか割らなかった…とかはどうでもいいの。お父さんには一緒に謝ろう?」

意外にも優しくかけられた声にきょとんとなるイルイ。

「あ、あの…」
「怒ってるのは、イルイちゃんが逃げちゃったこと…それと、怪我しているのにどこかに行っちゃって心配かけさせたこと」

アースクレイドル計画…それは種の保存と人類を未来に託す計画、しかし、その手段は厳しい現実からの逃避と言えるものだった。
あの戦いの中でゼンガーたちαナンバーズの姿を見つめ、ソフィアは自分の考えは困難に立ち向かうのではなく、逃避していただけということを実感した。
イルイの行動はまさにかつての自分のそれのようで歯がゆかった。

「…さあ、帰りましょうか」

優しくイルイの頭を撫でると、くるりと振り向いて家に帰ろうと促すソフィア。
しかし、イルイは動けない。怖いけどどうしても知りたいことが一つある。

2、3歩進んだあと、着いてこない足音に振り向くソフィアの目に写ったのは、涙を浮かべて自分を見るイルイの姿だった。

「?…イルイちゃん?」
「わ…わたし…どこに帰るの?家に帰っていいの?」


「…?え、あ、あのごめんなさい。何を言ってるか分からないのだけど…」
「だ、だから…その…あの…わたしはお父さんとお母さんの家に帰っていいの?いていいの?…わたし、あの、その…あ、あぅ、ひっ、ひっく、うぇぇぇぇんっ!」

伝えたいことがあるのに伝わらないのでは無いかという不安でイルイは泣き出してしまった。
「え?あの?イルイちゃん?」と要領を得ないソフィアは泣き出した娘の前で慌てる。
とりあえず泣き止ませようとイルイを抱き締めて背中をぽんぽんと叩いてあげる。
一心にしゃくりあげるイルイの心を落ち着かせるために、声をかけ、頭を撫でた。


しばらくして、やっと落ち着いたイルイと並んで河原に座る二人の姿があった。

「イルイちゃん…」
「…うん?」
「さっきの…話なんだけど…」
「っ…うん」
「帰っていいの、とか家に帰れるの、とか…」
「あれは…その…」

黙りこんでしまうイルイ。しばらくの間沈黙が続く、(話したくないなら別にいいのよ)と口を開こうとした瞬間、イルイが先に答えた。

「怖いの…」
「?…なにが?」
「……」

心臓の音がソフィアに聞こえるのではないかと思うほど、大きく、早く高鳴る。心臓が口から飛び出しそうだが、覚悟をきめてイルイは自分の心の中を伝えた、ぶちまけた。

「怖いの…、お腹の…おなかの赤ちゃんが産まれたら、私、いらなくなっちゃうのかなぁ…って」
「な、何を言って…っ」
「だって!だって私、お母さんとお父さんの本当の子供じゃないんだもん!」
「!!」

ソフィアの表情が固まる。

「わたし、わたし、お父さんもお母さんのことも大好きだよ!だから嫌いにならないで!もう一人はいやだよ!
嫌いにならないで!いい子になるから!何でも、どんなこともするから!居させて!お家にいさせて…ください…」

心の中を爆発させて、イルイは荒い息を吐きながら、涙をぽろぽろとこぼす。
涙でぐしゃくりあげては、しゃぐしゃになった顔を拭くイルイ。母の答えを聞くのが怖い。
もしかすると、黙っていた方が良かったのかもしれない、こんな迷惑をかけるようなことを言えば、むしろ怒られるかもしれない。
それでも、それでもこの不安な思いを抱え続けたくなかった。


母親の答えを待つイルイは、思いがけない答えを聞く。


「…ぐすっ」
「えっ?」

母親のしゃくりあげる声を聞き、イルイは顔をあげた。
ソフィアが手で顔を隠して、肩を震わせながら泣いている。

「お、お母さん…?あ、きゃっ!?」

どうしたのだろうと固まるイルイを突然ソフィアは抱き締めた。
ぎゅっ、ときつく抱き締めて、まるで二度と放さないと言わんばかりだ。

「お、おかあさん?」
「……嬉しい、嬉しいの…」
「え?」
「…わたし、私もずっと怖かったの。イルイちゃんが私のことをどう思っているのか…怖くて…だけど聞けなくて…」
「お母さん…」

ああ、なんてことだろう。母親もまた同じような不安を抱えていたというのか。いつも自分に優しくて、私のことを大切にしてくれるお母さんが。
母はそんなところは今まで全く見せたことは無かった。いや、イルイ自身がソフィアの思いを受け入れることに脅え、見ないふりをしていただけかもしれない。
だけど、お母さんの本当の気持を伝えてもらえたのがたまらなく嬉しかった。イルイは自分を抱き締めているソフィアの背に手を回し、きゅっと抱いた。

「お母さん…お母さん…」
「ひっく…イルイちゃん…」

優しく互いを抱き締めながら二人は泣いた。互いの本当の思いを伝え、ずっと抱えてきた心に沈殿していた不安が消えていくのを感じる。

「ごめんなさいね…私があなたにもっと親らしくしてあげれば、こんなに不安になることも無かったのに」
「そ、そんなことないよっ!」


血が繋がっていても今の世の中難しい親子の関係、義理となればなおさら言いたいことも言うことは難しいだろう。
だが、今の二人の姿はまさに親子そのものの姿だった。

「お母さんたちの子供になれて……本当に、本当に嬉しいの…」
「ありがとう…私は…あなたのお母さんでいて…いいのね?」
「うんっ!お母さんじゃないといやっ、だって……」

 抱きあいながら互いに言葉を交わしていた二人がふと体を放した。
互いに泣きはらした顔で向き合って、ふたりは同時に口を開く。

「わたしは…お父さんと、お母さんが……」
「私はゼンガーと、あなたが……」

「「大好き」」

 二人の言葉が重なる。しばらく二人の愛に満ちた視線が交差し続け、やがて…

「……ぷっ、ふふっ!」
「うふふ……」
「ふふっ、あははははははっ!」

 楽しげな二人の笑い声がその場に響いた。
笑顔を伝う涙が、まるで本当の親子になった二人を祝福する宝石のように夕日を浴びて光っていた。
ふと、ソフィアがきゅっとイルイを抱き寄せて彼女の頭をおなかに抱き寄せた。
膨らみ始めたおなかの柔らかさと、あったかさがイルイは心地よかった。

「…おなかの、この子も愛してくださいね…」
「うんっ!」
「あなたのお姉ちゃんですよ…早く、会いたいですよね?うふふ」

 これまでずっと自分を不安にさせる原因だったソフィアの膨らみだしたお腹も、今のイルイにとってはどこまでも愛おしかった。
やさしく撫でるイルイの包帯が巻かれた手に、そっとソフィアは自分の手を被せた。

「さあ、おうちに帰りましょうか。『私たち』のおうちに……」
「うん、部屋のお掃除もしなくちゃいけないしね。…お父さんに怒られちゃうなぁ…」
「私も謝りますから、あの人もきっと許してくださいますよ…みんなー、帰りますよー!」

 気をつかってか、二人からは離れた川辺で遊んでいたザナヴ、カナフ、ケレンに声をかける。
どうなるのだろうかと不安に思っていた三つの僕は、優しくつながれたソフィアの右手と、イルイの左手に、尻尾を振って二人に駆け寄った。
大好きなママさんとご主人様の足に頬をよせて甘えた。

「この子達も大事な家族だね!」
「ええ。さぁ、帰りましょうか」

 夕日に染まる帰り道を、五つの影法師が歩いていく。その足取りはどこまでも軽く、楽しげだ。
明日帰ってくるゼンガーをどのように迎えようか、しばらくの間は戦場に向かわずこちらに居るというからどこか旅行に行こうとか、
そんな他愛もない会話、だけどすごく楽しくて、何も遠慮することない会話はいつまでも、いつまでも続いた……。

イルイとソフィア
 
 





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682 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/05(月) 07:50:47 IEbO7GKP
>>678
GJ!なんだぜ!



685 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/05(月) 08:08:20 hkmr1vqr
>>678
GJと言わせてもらおう。



713 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/05(月) 13:35:43 dWcj9p4i
>>678
GJ、イルイかわいいよイルイ


最近花粉症が酷いせいか前が見えない

2007年03月08日
 ■  hkmr1vqr氏作SS「リューネとマサキ」

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その128
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1170430605/l50


前回の続き



658 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/05(月) 03:36:30 hkmr1vqr
流れに関係なく、マサキとリューネの話を投下。




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「かんぱーい」
「……かんぱーい」
マサキとリューネは缶ビールの缶を付き合わせて、飲み始める。
「ぷはーっ、ビールおいしいねぇ〜」
一気に半分ほど飲んで笑顔で言うリューネに対して、マサキはげっそりとした顔でちびちび
飲んでいる。
ここはリューネの部屋だ。テレビ脇には時代劇のDVDが並んでいたり、ダンベルが部屋の
中を転がっていたりと、いかにもリューネらしい。
「まあ、たしかに旨いけど……どうしたんだよ、急に。一緒に飲もうだなんて」


それは、十分ほど前の出来事。
喉が渇いて食堂に来たマサキが、食堂の椅子に一人座っているリューネを見かけたのが
切っ掛けだった。
何やら、普段と違い暗い雰囲気を漂わせている。
「リューネ?どうしたんだ、こんなところで」
「あ……マサキ」
マサキに声をかけられたリューネは、どうにか笑顔を見せるが、やはり暗い雰囲気は消せない。
「どうしたんだ?普段のお前と違って、何か暗いぞ」
「そう?……そうだ、マサキ!今から飲もうよ、二人で!」
「え、えぇ!?」
急に元気になったかと思えば、いきなりそんなことを言い、マサキの腕を引っ張って
部屋に向かうリューネ。
「な、ちょ、おい!?どうしたんだよ!?」
「いいからいいから♪」


それが、十分ほど前の出来事。そして今はリューネの自室で、ビールを飲んでいる。
そこで、マサキはリューネに聞いたのだ。どうしたんだよ、急に。一緒に飲もうだなんて。
「んー……たまには、ね。向こう出身の二人で飲むのも良いでしょ?」
「まあ、別に良いけどよ……何かあったのか?」
「ん?特に何も無いよ?ただ急にマサキと飲みたくなっただけ」
「本当に?」
「うん」
「本当に?」
「……うん」
「ほん、とう、に?」
「…………ごめん、マサキ。ちょっと泣き言言わせて」
「最初から素直に言え」
マサキに何度も聞かれて、ついに白状するリューネ。
「あたしたちってさ、別に軍の正式メンバーじゃなくて、割と自由にいろんな所に行って
協力することがあるでしょ?」
「ああ」
「だから、いろんな声が聞こえてきちゃうんだよね」
「声?」
「うん……DC戦争や、ノイエDCの声……」
「……」
DC戦争……リューネの父、ビアン総帥が頭となる『ディバイン・クルセイダーズ』と、
キョウスケやリュウセイたち地球連邦軍との戦争。
「あの戦争で、親父は、地球に降りかかる脅威に立ち向かうには、今の強さだけじゃ駄目だと
教えてくれた」
DCの目的……それは、今後地球に降りかかる脅威に立ち向かえるだけの力を育てること。
今の地球連邦の力では到底太刀打ちできないと判断したビアンは、自ら悪役を担い、その
役目を果たした。
「だけどね、そのことを知ってるのは、直接親父たちと戦ったあたしたちだけなんだ……
 他の基地や末端の連中は、『誰かが勝手に大きな戦争起こしていつの間にか壊滅した』。
 それぐらいにしか思っちゃいない」
「リューネ」
「どうでもいいことは、どこかから伝わるもんでさ……あたしが、その『誰か』の娘ってのが
 知れていて、疎ましく扱われたこともあるよ……」
「……」
「なーんか、そういうことを考えちゃってさ。『あの戦争は何のためのものだったんだ』、
 ってね……」
「それでも……俺たちは、あの戦争の意味を知ってるだろ……」
リューネの自嘲めいた言葉にフォローするマサキ。
「あたしたちは、ね。でも、親父が起こした戦争の意味を、あたしたちだって最初は理解
 できなかったんだ。親父たちは、あたしたちよりも少し先が見えてただけで、僅かな人に
 しか理解されないまま、戦争で……」
「……」
「もっと簡単に理解し合えればいいのにね。『その時』が来るまで理解されず、悪役を
 徹し切るしか無いなんて、悲しすぎるよ」
「……俺は」
缶ビールに口を付けて、傾けながらマサキが言う。
「俺は、今ではビアンに感謝してるよ」
「……え?」
「たしかに俺たちはビアンがやろうとしたことは、最後にならないと解らなかった。でも、
 ビアンがああやって立ちはだかってくれたから、俺たちはバグスやホワイトスターに
 立ち向かっていくことができたんだと思う」
「マサキ……」
「ビアンのしたことは無駄じゃない。それだけは、俺が保証してやるよ」
「うん……うん……」
マサキの言葉に、リューネは泣いていた。
マサキはリューネに泣かれて、どうすればいいか戸惑いながらも。
「ったく、難しく考えすぎなんだよ」
そう悪態をついて、缶を一気に傾ける。
「筋肉バカなら筋肉バカらしく、もっとシンプルに考えようぜ」
「筋肉バカ言うな」
まだ涙の跡を残しながらも、リューネが笑う。それにつられてマサキも笑う。
「さて、まだ酒はあるだろ?どんどん飲もうぜ」
「おー!」
そして、二人だけの宴は、朝まで続いた。

2007年03月07日
 ■  MOC92S2q氏作ミニSS

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その128
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1170430605/l50



303 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/04(日) 02:11:41 MOC92S2q
流れを読まず話を投下。

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月を見ていた。
今日は満月。夜が一番明るい日。
その月を見上げて、思い出していた。
夜のように暗く、希望無く生きていくだけの私たちに、笑顔と暖かさをくれた人を。
この月のように、いつも私たちを照らしてくれていた人を。

『ラト、入るわよ?』
ドアをノックされる音と声に、ラトゥーニはは視線を月から自室のドアへと移した。
ガチャリ、とドアを開けて入ってきたのは、同じスクール育ちのゼオラ。その後ろには、
同じくスクール育ちのアラド。
「ラト、トランプやろうぜー……って、どうしたんだ?そんな窓際に座って」
アラドが、手に持ったトランプのケースを振って示しながら、ラトが椅子ではなく、
体を外に向けるように窓枠に座っているのに気づいた。
「うん、ちょっとね……」
はにかんで笑い、視線を月に戻す。
「思い出していたの」
「思い出す?」
「うん」
ゼオラを見てクスリと笑い、またすぐに月に目を戻してしまう。
「今夜の月みたいに、暗い世界で生きる私たちに、精一杯の優しさと暖かさをくれた人」
「ラト、それって……」
アラドの頭に浮かぶのは、一人しか居なかった。ゼオラも、同じ人をイメージしているだろう。
黒く長い、美しい髪をした、いつも三人を見守り、励ましてくれた女性。
桜の花を表す名前をした女性。
スクールには他の子供も居たが、この四人は特に仲が良かった。
まるで本当の家族のように、兄弟のように。
「月に見守られ照らされてきたから、朝を迎えることができたのかな、って……
 なんとなく、思ったの」
「……ぷ」
ゼオラが、口を押さえて笑う。
「あはは、ラトからそんな詩的な言葉聞けるなんて。ひょっとして、お父さんの影響?」
「……そうかも」
照れたように笑うラトゥーニ。
彼女の、血のつながらない父親のジャーダ。
歌うたいの彼は、娘の自分がこんな思いに耽っていたら、なんて言うだろうか。
きっと、気前よく、明るく元気になれる歌を歌ってくれるのだろう。
「そうだ、ラト、今度みんなでお前の家に行こうぜ。ジャーダさんの歌も聞きたいし、
 ラトの妹も見たいし」
「うん、いいよ」
アラドに、ラトゥーニが微笑む。
きっと、ジャーダも、ラトゥーニの母になってくれたガーネットも、この二人の『家族』も、
自分の家族のように愛してくれるだろう。

月だけが見ていた
暗い世界に生きる私たちを月だけが見ていた
月に見守られ照らされながら生きてきた私たちは
やがて朝を迎えた

--------------------------------------------
なんとなくスクール組の話を書きたくなって書いた。
中二病っぽい表現が多い気がするが、後悔はしていない。




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308 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/04(日) 02:24:26 Lxl0C8Vt
>>303
いいよ、いいよ〜、GJ!

 ■  マイマイのお休み・ショート

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その128
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1170430605/l50


340 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/04(日) 07:51:34 CtL7EZNr
ある朝目覚めるとマイは独りだった…


「アヤは特脳研か…」
マイは二段ベットの上にアヤがいないのを確認する
今日は完全なオフ、とくに予定もない
とりあえずは、起きよう
朝風呂に入り目を覚まさして
軍用のシャツとズボンを着る
アヤが用意していた、納豆とみそ汁とご飯を食べ
洗顔を済ます
(さて…何をしよう…)

リュウセイは…アヤと一緒に特脳研
ラトゥーニは…PTの新しいパターンの作成
シャイン王女は…国の書類がどうたら
(暇…)
とりあえずは着替えてハガネをうろつくことにした
アヤが用意してくれたワンピース…
いつものSRXチームの制服…
(…アヤ、ごめん)


たったったっ…
角の向こうから足音が聞こえる
このままでは角でぶつかる
そう思い、足を止める
角から出てきたのは金髪のお姫様だった
「マイ!匿って!」
マイがいることを予め知っていたかのような口ぶりで、
近くの植木の裏に身体を隠すシャイン
後から来た兵士が行き去ったのを確認しシャインが植木から出てくる
「シャイン、今日はなんか書類が…」
「書類はいいとしても、その後のマナー講座が…」
「マナー講座?」
「食事の作法とか、謁見での王族の在り方とかオッペケペーですわ」
「オッペケ…ペー…?」
「いえ、少し口が…!もう来たの」
予知能力…シャイン王女の能力だ
兵士の追ってを予知したのだろう
「それじゃあ、ご機嫌よう〜」
マイは呆然とそれを見送った

『マイ?そっちはどう?』
アヤからの電話だ
「アヤ…王女って大変でオッペケペーだな…」
『オッペケ?』
今日もひとつ、姉の知らない所で成長?した妹であった

2007年03月06日
 ■  1IVII0XY氏作SS「パニ・トロンベへようこそ」

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その128
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1170430605/l50


274 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/04(日) 00:57:06 1IVII0XY
夏に入る少し前のこと。
「なぁアラド、バイトしないか?」
「何スか突然」
目の前のリュウセイの珍しい誘いに首を傾げるアラド。
「これを見てくれ!!」
リュウセイがアラドの目の前に広げたのはロボットのチラシだ。
「完全変形バーンブレイド最終決戦版カラー特別セット!!定価4万円!!」
「高ッかいスね。コレを買うためにバイトするんですか。で、何度俺を誘うんスか?」
「いや、アラド前に言ってただろ?うまいもん腹いっぱい食いたいって」
「はぁ、言ったような気もしますけど」
「そこでこれを見てくれ」
リュウセイがもう一枚チラシを取り出す。
そこには「パニ・トロンベ 従業員募集」と書かれていた。
「ここってあのパニ皇料理会が経営してるファミレスでやたらうまいって評判のところじゃないスか!!
 でもこれが何で腹いっぱい食えることになるんスか?」

——パニ皇料理会。ビアン・ゾルダークとマイヤー・フォン・ブランシュタインによってつくられた
究極かつ至高の料理を目指す為に創立された機関である。
その幹部の一人、「トロンベ料理術」を確立したエルザム・V・ブランシュタインがオーナーとなり、
開店されたのが「パニ・トロンベ」である。結果は成功。
小さいながらも確実に規模を増やしている業界注目のファミレスである——。

「ふっふっふ。ここを見てみろアラド」
珍しく含み笑いをするリュウセイ。
リュウセイが指し示す待遇が書かれている場所を順に見ていく。
給与・シフト制・制服貸与など当たり前のことが書かれている先に「賄いアリ」。
「マジッスか!あの美味いファミレスの賄いが食えるって言うんスか!!」
驚きを隠せないアラド。更にリュウセイは付け加える。
「甘いぞアラド。更にこれは「アルバイト」だ。働くことでお金がもらえるんだ」
普段のリュウセイらしくない言動なのだが興奮のせいでアラドはツッコメない。
「ど、どういうことスか。」
「バイト代でまた美味いものが食えるということだッ!!!」
「やるッス!!俺やるッスよリュウセイさん!!」
男2人、理想を夢見て履歴書にペンを走らせるのであった。


「なんで、なんでだぁーーーーーーっ!!!!」
「当たり前だリュウセイ。毎日5時までに帰るとはどこのバイトでも落とすに決まっているだろう」
履歴書を出してから一週間後。面接を経て、採用通知が来たのはアラドだけであった。
ショックで床を打ち鳴らすリュウセイ。ショックなのはバイトに落ちたことではなく、
バーンブレイドを買えないことなのだが。
そんなリュウセイに見かねたアラドはライを呼んだのだった。
「すまんなアラド。こいつのことは俺が見るからお前はバイト先へ行ってくれ」
「はい、わかったっス」

途中、偶然クォヴレーと出会い談笑をしながら道のりを行く。
「でさ・・・ここのハンバーグが・・・どした、クォヴレー?」
何かやわらかいものに当たったと思うと勢いよくそのまま倒れてしまった。
「痛てて。なんだぁ?」
手にやわらかい感触を感じる。瞬間、腹に衝撃が来る。
「ぐふっ・・・ッ!!!?」
あまりの痛みにのけぞり、その場から飛び退き相手の顔を見る。
銀色の短い髪が綺麗な女の子。
だが地面に寝そべっていること、足の裏だけこちらを向いていることが不可解だった。
その顔には怒りと悲しみが混ざったものが浮かんでいる。
「ばか!さいてー!信じられない!!」
相手の女の子も起き上がると同時罵声が浴びせられる。
傍らにいるメガネの女の子はおろおろしている。
冷静に考えれば状況を飲み込めるが、アラドも腹の痛みに耐えかねつい言い返す。
「そっちがそんなでけー胸してるからふらふらしてぶつかってくんだろーが!!」
アラドの目にかわいい熊が映った。


「すいません、遅れました!!今日からお世話になりますアラド・バランガです!!」
裏口から入ると、出迎えたのは落ち着いた感じの女性だった。
「アラド君ね、まだ1分前。今回は大丈夫だったけど今度からは注意してね。
 私はマネージャーのアヤ・コバヤシ。よろしくね」
一通りの挨拶を交わすとアヤから自分の仕事内容・シフト制・注意事項などの説明を受ける。
「まぁこんなところね。わからないところがあったら後から訊いて頂戴」
「わかりました」
「そうね、まずは店内を案内してもらおうかしら。私はこの後別の用事があるから—…誰か来たみたいね。
 その人に案内してもらうことにするわ」
「おはようございます—」
ドアが開けられ、人が入ってくる。同時アラドは頭を下げ、大きな声とともに挨拶をする。
「今日からお世話になりますアラド・バランガです!!お願いいたします!!」
「あ、あなたが新人ね。よろしく、ゼオラ・シュバイツァーです」
頭を上げ、顔を見合わせる2人。

アラド・バランガの波乱に満ちたアルバイト生活の始まりであった。




_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/




278 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/04(日) 01:02:07 oWRaZrTE
ふむ。2の流れだな。2は好きだ。3は嫌いだが。
GJ!!



279 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/04(日) 01:04:13 KWHhhe+z
(゜Д゜)ぐはあ。萌え死んだぜ・・・イイヨイイヨー



283 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/04(日) 01:09:20 iEAC1tKw
>>278
それは3の隠し貧乳娘に心奪われてしまったがために、何度も何度もルネッ(ry グラサンアロハ野郎を追う羽目になった俺に対するあてつけかっ!?


うん・・・好きなんだ、貧乳ボーイッシュ娘・・・・・


主人公の弟


287 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/04(日) 01:18:06 oWRaZrTE
>>283
メインヒロインとガドル・ヴァイクランできない代物など不要。

それはともかくとして男装のウェイター=アイビスという電波が来た。
そう考えるとすごく良い感じだ。俺はお前を否定しない。


292 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/04(日) 01:25:35 iEAC1tKw
>>287
「男同士で遊びに行こう」とか言っておきながら女の子っぽい可愛らしい格好で待ち合わせ場所に現れたり、
親とはぐれた女の子に優しくしてあげたら「ありがとうおねーちゃん♪」とか言われてしまって慌てたりするのか


こんな夜中になにをこんなにもときめいとるんだ、俺は



288 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/04(日) 01:21:04 1IVII0XY
>>278 >>279
ありがとう。
俺も2が一番好きだった。
店長とか他の店員も考えるだけは考えてた。



297 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/04(日) 01:33:13 FJ5G7Xd3
2だとすると
酒好きお姉さん→エクセレン
眼鏡のお姉さん→ツグミ
未亡人→ユキコママン
とか妄想できるな

 
 
 
 
Piaキャロットへようこそ!!G.O.~グランドオープン5号店~ (1)

Piaキャロットへようこそ!!G.O.~グランドオープン5号店~ (1)


2007年03月05日
 ■  ip3iwhSD氏作SS 「希望を胸に」

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その127
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1170109601/l50



905 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/02(金) 21:37:40 ip3iwhSD
ギャンブルマスターキョウスケ 最終話 希望を胸に 寺田タカノブ OG3は発売未定です。
 
キョウスケ「チクショオオオオ!くらえアクセル!新必殺リボルビングバンカー!」
アクセル「さあ来いキョウスケエエ!オレは実は一回打ち貫かれただけで死ぬぞオオ!」
アクセル「グアアアア!こ このHP回復大ウゼエよと呼ばれる隊長のアクセルが
     …こんなギャンブル狂に…バ…バカなアアアアアア」
エキドナ「アクセルがやられたようだな…」
レモン「フフフ…奴はシャドウミラーの中でも最弱…」
ウォーダン「人間に負けるとはシャドウミラーの面汚しよ…」
キョウスケ「くらええええ!」
エキドナ レモン ウォーダン 「「「グアアアアアア」」」
キョウスケ「やった…ついにシャドウミラーを倒したぞ…これでヴィンデルのところへの
      扉が開かれる!!」
ヴィンデル「よく来たなギャンブルマスターキョウスケ…待っていたぞ…」
キョウスケ「!! こ…ここがヴィンデルのいるところだったのか…!感じる…
      奴のへたれオーラを…」
ヴィンデル「キョウスケよ…戦う前にひとつ行っておくことがある。お前は自分中心型のマップ兵器は
      自分にあたらないと思っているようだが… 自分にしか当たらないこともある」
キョウスケ「な何だって!?」
ヴィンデル「そしてお前の恋人はアインスト化してきたので最寄りの基地へ開放しておいた。
      あとは私を倒すだけだなクックック…」
キョウスケ「フ…上等だ…オレも一つ言っておくことがある。オレがシャトル事故で生き残ったのは
      何か特別な理由があるかと思っていたが、別にそんなことはなかったぜ!」
ヴィンデル「そうか」
キョウスケ「ウオオオいくぞオオオ!」
ヴィンデル「さあ来いキョウスケ!」

           キョウスケたちの勇気が世界を救うと信じて…!

              ご愛読ありがとうございました!  

2007年03月03日
 ■  W/Hrlo6Z氏作SS「リクセント王女の休日」

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その127
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1170109601/l50



211 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/31(水) 00:24:35 W/Hrlo6Z
南瓜鋏のメガネ准尉とロリ王女みたいな話を書こうと思ってシャインの話を書いていたら、全然別物になり、
何故かシャインとトウマの話になっていた。

……投下するべき?



215 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/31(水) 00:26:21 gzCYORai
>>211
GO!GO!ブリキ大王!



217 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/31(水) 00:26:42 x8y8Zbpn
>>211
もはや問答無用で投下




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「まったく、爺は!」
シャインは怒りながら街中を歩いていた。その服装は、いつものドレスではなく、
年頃の娘に相応しいセンスの私服だ。
「会議は明日からだというのに……今のうちから口やかましく言われてたら、
参ってしまいますわ!」
ここは、日本の都市部。
シャイン王女は、リクセント公国と日本との交流を深める為に、この国に来ていた。
実際に交流のために会議が始まるのは明日からで、今日は言わばプライベートなのだ。
それなのに色々と言われるのは、シャイン王女にとっては堪らないことだった。
「だけど……どこ行こう」
日本に来る前に、ラトゥーニを始めとする顔馴染みの連中は、見事に全員が任務の為に
日本を出ていることを確認している。感情に任せて宿泊先のホテルを飛び出してきただけで、
どこか行く宛があるわけでもない。
考えながら歩くシャイン。
シャインが曲がり角に差し掛かった時。
「まいど〜」
配達を終えたらしき男がシャインの方に向かって走ってきて。
「きゃっ!?」
「うわ、っと」
見事にぶつかってしまい、その反動で尻餅をつくシャイン。大して、ちょっとよろけただけの男。
「ごめんごめん。大丈夫か?」
男はシャインに手を出しだすが、社員はそれを取ろうとせず。
「無礼者!!」
大声で、そう言った。
お付きの執事は口うるさい、それに我慢できなくて街に飛び出してきたが、知っている仲間も
いない、どこに行けば良いのかも判らない。
ストレスと心細さが、限界に達してしまった。
そしてシャインは。
「う……うわあ〜ん!」
「お、おい!?」
困る男を気にせず、そのまま泣き出してしまった。


「落ち着いたか?」
「……すみません。突然泣き出してしまって」
男とシャインは、近くの公園に来ていた。あのまま街中で泣かれてたら自分がどんな目に
遭うか判らないと思った男が、シャインをあやしながらここまで連れてきたのだ。
「俺こそ悪かったな。ほら、お詫びってわけでもないけど。飲むか?」
男は、缶ジュースをシャインに差し出す。社員たちが座っているベンチのすぐ横にある
自販機で買ったものだ。
「……これは?」
シャインは、差し出された缶を下から見たり、横にしてみたりしている。
「なんだ、缶ジュースを知らないのか?開けてやるから貸してみ」
男はシャインから缶ジュースを受け取り、プルタブを引いて開けてやる。
「わ……こんな便利なもの、ありますのね」
缶を受け取ったシャインは素直に感動している。
「ははは、さっきの『無礼者!!』といい、まるでどこかの国の姫さんみたいだな」
笑いながら言う男にシャインは「その通りですわ」とあっさりと返す。
「……え?」
「リクセント公国の王女、シャインですわ」
「…………」
「信じていませんわね?」
「そりゃあ、なぁ……」
男は、困ったように笑う。だが、疑ったままだと大人気ないので、そのまま付き合って
やることにする。
「俺はトウマ。で、なんで王女さまが一人で街中を歩いていたんだい?」
「それが、公務があるのは明日からなのに爺ときたら、いろいろ口うるさくて……」
「あー……」
シャインが本当にげんなりして言うので、トウマは苦笑する。この年頃の娘なら、
事細かく言われるのが苦悶なのは簡単に想像できる。
「だから宿泊先を飛び出してきたんですけど、特に行くところもなく……」
きゅるるる……と、シャインの腹から可愛らしい音が聞こえた。
「あー……ひょっとして、お腹空いてる?」
「…………」
シャインは真っ赤になって黙っていたが、コクリと頷いた。
「ははは。ちょっと待ってな」
トウマをベンチから立ち、目に付いた屋台に行く。そしてしばらくして、ホットドックを二つ
持ってきた。
「はい、お待たせ。温かいうちにどうぞ〜」
「あ、ありがとうございます……」
例を言ってホットドッグを受け取るシャインだが、手に持ったそれを見ているだけで
食べようとしない。
「ん?どうした?食べないのか?」
トウマはシャインに尋ねながら、自分の分のホットドッグに齧りつく。
「あ……美味しい」
こういう食べ物とは縁が無いシャインは素直な感想を漏らす。
「ああ、中々美味いな。俺もホットドッグ屋でバイトしたことがあるけど、これは悪くない」
「バイト?」
「ああ。俺、いろんなバイトしてるんだ」
そう答えるトウマの格好は、作業着姿。もしかしてと思いながら、シャインはトウマに聞く。
「ひょっとして……仕事中でしたか?」
「ん?ああ、いや。シャインにぶつかる少し前に今の仕事が終わったところ。あとは家に帰って
風呂に入って、夜からの仕事の準備するだけだ」
平然と言うトウマに、シャインは驚く。
「夜からも……ハードな生活を送っているのですね」
「まあ、好き好んでやってるから、それほど大変でもないよ」
「そうなのですか……」
「街の観光案内のバイトとかもしたことあるんだぜ。何なら、シャインぐらいの歳の子が
楽しめるスポットを案内しようか?」
「いいのですか?」
トウマは、腕時計をチラッと見て。
「まあ、大した時間取れないから、あんまり見て回れないと思うけどな。この近くにも
それなりのスポットがあるから、そこを案内しよう」
「それでは……お願いします、トウマ」
「ああ、任せとけ。……でも、歩きながら食べ物を食べるのは行儀悪いから、まずはその
ホットドッグを食べような」


「それでは、トウマ、今日はありがとうございました」
夕日が沈む頃、トウマとシャインは元の公園に戻ってきていた。
シャインは礼儀正しく、トウマにお辞儀をしてお礼を言う。
「ああ。楽しんでもらえたみたいで、俺も嬉しいよ」
「今はお礼できるような物を持っていませんが、後日、お礼を差し上げたいと思うので……
良ければ、住所などを教えてもらっても良いですか?」
「ん?ああ」
トウマはメモ帳とペンを取り出し、住所と電話番号を書き、社員に渡す。
「またこの辺に来たら、声をかけてくれよ。今度は一日がかりで、いろんな所を案内して
やるからさ」
「はい、その時は是非」
「ああ、そうそう。ここから東の方の出口……向こうから公園を出てまっすぐ行けば、
VIP御用達のホテルのある通りに出るから。リクセント公国の人が宿泊しているホテルが
どこかは、通りにある交番ででも聞いてくれ」
突然道を説明するトウマに、シャインは目を丸くする。
シャインに街中を案内してくれていたトウマは、彼女を『王女』としてではなく、『一人の
女の子』として接してくれていた。
それなのに、今の彼の口ぶりは、シャインが王女であることを信じたもののように聞こえた。
「トウマ……もしかして、私が王女であることを信じてくれました?」
「さぁてね……俺はシャインが王女だろうと、片田舎からやってきた女の子だろうと、
縁があったら街を案内してたと思うぜ?」
シャインの問いにトウマは悪戯っぽく笑う。
「さて、あんまり遅くなると国際問題になりかねないからな。早く行きな」
「……わかりました。今日はありがとうございました」
シャインは、もう一度トウマにお辞儀をして、ホテルの方へと歩いていった。
「さて……バイトに2時間の遅刻かー……店長、許してくれるかな……」
シャインがあまりにも嬉しそうにトウマのガイドを喜んでくれるから。
彼が自分のバイトの時間を削ってまで街案内をしてくれたのは、内緒の話。


そして、後日。
彼の部屋に高価な『お礼の品』が届けられ、「あの娘、本当に王女だったのか」と
今更ながらに信じることになるのも、また別の話。





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225 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/31(水) 00:32:35 x8y8Zbpn
長大作ktkr!



227 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/31(水) 00:37:04 gzCYORai
>>220
良かったよ、GJ

まあ、アルマナさんがその役目は私だって怒ってたが、何、気にすることはない



228 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/31(水) 00:38:00 x8y8Zbpn
>>220
読んだ、読みやすくていい感じ
こういう気遣いマジうれしい



229 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/31(水) 00:39:13 Ebl4Pz3L
>>220
良い人だなトウマ GJ!


 ■  N23PGEQb氏作SS「グレースのお誕生日」

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その127
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1170109601/l50


220 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/31(水) 00:29:45 W/Hrlo6Z
ttp://newsstation.info/up/upload.cgi
2スレと少しの行数なので、ここの17512に投下。
直リンクだと、ttp://newsstation.info/up/img/ns17512.txt

画面からはみ出さないように改行してあるので、ブラウザで開くなり保存してメモ帳で開くなりお好きなように。



226 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/31(水) 00:34:32 N23PGEQb
んじゃ、ついでに>>220のうpろだの17513にグレースお誕生日オメSSを。
なんかウィンが主人公見たくなってるがキニシナイ!

補完出来ました。ご協力ありがとうございます





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 白い息を吐きながら、男が立っている。既に時計は8時を回り、業務を終えた顔見知りの整備員や、スタッフがすれ違いざまに挨拶を送る。
男は、ぶっきらぼうに「お疲れ様」と返事を返すが、すれ違う者たちにとってそれすらも驚きだ。普段は「ああ」とかいう短い返事か、コクリとうなずくだけのはずなのに。
そして彼らは、今日が何の日かを思い出して、彼にばれないように顔を背けながらニヤニヤと笑う。
普段の彼ならば、無作法だと絶対にしないハンドインポケット、おそらくその中にはあの人へのプレゼントが入っているのだろう。
そう、グレース・ウリジンへの……、思わずその光景を覗きたくなるが後が怖い。
後ろ髪引かれながらも帰路に着く整備員たちの耳に彼、アーウィン・ドースティンの名を呼ぶ間延びした声が届く。

「ウィン〜♪」
「……仕事は、終わったのか?」
「はぁい、今からおうちに帰るところです〜」

 好奇心に負けた男たちが少し振り返った瞬間、メガネの奥から『死ぬぞ、今の俺を見たやつは皆死ぬぞ』という殺意の視線に射抜かれて、
冬の寒さ以外の寒さで背筋を凍らせながら足早にそこから立ち去る。

「待ってくれてたんですかぁ…とっても寒かったでしょぉ〜?わぁ、指が冷たいですよ」
「な…っ」

 ウィンの手を優しく包み込むグレースの手、恥ずかしさのあまり引き剥がそうとするが、その小さな手が伝えるぬくもりにかじかんだ手が暖められていく感覚を覚える。
自分の両の手を宝物のように握り締めて優しくマッサージするようにこすりあげてもらうと、凍てついた血が解ける様に指先まで流れていく。
思考が停止したかのように、ただされるがままの手のひらを見つめていると、ふと、グレースが顔を上げてウィンを見つめた。
呆けた顔を見られたのではないかと、思わず背けたウィンの顔にグレースの手が当てられた。

「あらぁ〜ほっぺたも、こんなに…」
「……っ!」

 温かい手に、手のひらと同じく冷え切った頬が暖められる。
そのままくいっとグレースの方に向けられるウィンの顔、心配そうなグレースと目が合うが、うまく言葉がつむげない。
顔が紅潮していく、暖められたためか、恥ずかしさのためか分からないがかけているメガネがうっすらと曇る。
そのメガネを片手ではずしながら、ぐいっとグレースの前にコートの中から包みに包まれた小さな箱を押し付ける。

「ふぇ?」
「その、な。コレ…を」
「なんですか?これ」
「その、な……バ、バースディプレゼントだ」
「?……あぁ〜、そういえば私、今日誕生日でしたね〜」
「……お前な……」

 完全に忘れてたような彼女のそぶりにがくりと頭をたれる、まあ彼女らしいといえば彼女らしいと苦笑を浮かべていると、その手からプレゼントがひょいっと離れる。

「わぁ〜い、ありがとうございます」
「ミーナやパットにリンと一緒に買ったんだが、あいつらは来れないらしくてな。だ、だからこれは俺たち4人からのプレゼントだ。勘違いするなよ!?」

 顔をコレまで以上に赤く染めながら再び顔を背けるウィン。
その顔を真っ赤にして、手持ち無沙汰に腕を組んで何もない空間を見つめている様子にクスリと笑い、グレースは突然ウィンに抱きついた。

「!?△■×=)(’&%%!?!?」

 口をパクパクと何度も開閉するが、声にならない。
ぎゅっとウィンの胸に顔を押し付けて、回した背中を強く抱きしめるグレース。
しばらく混乱したようにグレースを見下ろすが、やがて、周りに誰もいないのを確認するとそのままグレースを抱きしめる。

「……どうしたんだ?」
「……うれしいんですぅ……、ウィン、大好きです……」
「……ばか」

 昔はこんな風にのんびりと話すこの女性と自分が合うわけ無いと思った。
視野を広く持つ、大局的に物事を見る、そう決めて心がけてきたはずなのに、グレースの前では彼女のことで頭が一杯になり、囚われる。
グレースの前では素の自分がさらけ出されそうで、『もう話したくない』とすら思ったこともあった。
だけど、今は『もう離したくない』。自分の胸に顔をうずめていたグレースの「ありがとう」とつぶやく唇をそっとさらう。
瞳をとじて唇を重ねるなか、はらり、と鼻先に冷たいものが舞い降りる。雪が羽毛のように二人を包み込んでいた……。
そんな幻想的な光景がいつまでも続く……かのように思われた。


「ぶぇっくし!!」

「!?」
「ふぇ?」

 がばっとウィンが唇を離して、キスをさえぎった音の方向をにらみつける。

(ばかー!!いいとこだったのに、なんてことしてんのよ!)
(ずるるる…わり。さみいな、今日)
(だったらもうちょっと着込んでこいよ、ヘクトール!)
「へくしょん!」
(って、ミーナも何やってるんだよ!)
(お、お前たち静かにしないか!)

「…お前ら、そこで何をしている?」

「「「「「「「  !!!!!!!!    」」」」」」

 ギギギギ…と油の切れた機械の様に6人が振り向く。そこに居たのは鬼だった。
その場にあった、格子状の鉄パイプを一本へし折るとそれを6人に向ける、あまりのその殺気に
「あは、あはは」「た、たまたま通りかかって…」といいながら後ずさる6人に、鉄パイプでトントンと肩を叩きながらゆっくり近寄るウィン。

「逃げるなよ……今考えた、俺の必殺技を見せてやる」

 そのときに浮かべたあまりの爽やかな笑顔に6人は同時に脱兎のごとく駆け出していた。

「待てゴラァァァァッ!!」

「うわああ!やべっ、マジギレだ!」
「逃げろ逃げろ!」
「きゃはははっ!ごめんって!」
「ちょ、ちょっと待てウィン!私は止めようとしたんだぞ!?だけどこいつらが!」
「ここまでやられて黙ってるわけにいくか!」
「私の推理によると今回ばれたのは、ヘクトールのせいね!」
「だからわりぃっつってんじゃんかよー!」

 逃げ回る6人と追うウィン、士官学校時代から変わらない、この光景。
グレースはにっこりと微笑みながら、胸に抱いたウィンからのプレゼントを抱きしめた。

「待ぁてぇこぉらぁぁぁ!!!」





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228 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/31(水) 00:38:00 x8y8Zbpn
>>226
ちょwメイオウスwww最初からクライマックスかよwww



231 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/31(水) 00:41:23 gzCYORai
>>226
テラモモタロスww
こっちもGJ、電王ネタで笑った



232 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/31(水) 00:41:53 W/Hrlo6Z
>>226
ウィンやグレースが出てくるスパロボはプレイしたことはないが、ほのらぶ具合が良い感じでGJ。
こういう話は良いなぁ。



234 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/31(水) 00:47:38 x8y8Zbpn
パットで声優ネタ始めると色々ありすぎて困る
ドラゴンもまたいで通る魔道士に私が真でも変わりは居るものにえーとetcetc



238 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/31(水) 00:58:25 2Q18ptJp
ジェスとミーナは……もろにジェスが交通事故死する組み合わせなんだよな……。



239 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/31(水) 01:01:00 7ZdQ97/f
>>238
それを言うなw

 ■  luP+udwT氏作SS「南極大決戦」

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その127
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1170109601/l50


149 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/30(火) 22:40:51 6VTXW0DG
スネーク!タイムパラドックスだ!



150 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/30(火) 22:43:43 luP+udwT
時間と聞いて、もはや感情を抑えきれなくなった。
駄文を垂れ流させていただきたいのですが、かまいませんねッ。



151 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/30(火) 22:45:20 WIe/u20q
いいかッ!俺たちは「書き込んで良いですか」なんて言葉は使わねぇ!
「書き込んでいいですか」と聞いた瞬間。そいつは既に終わっているんだッ!
だから「書き込んだ」なら使っていい!





_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/



152 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/30(火) 22:45:58 luP+udwT
5:05/南極上空

「この糞親父ィーッ!! 今日という今日こそ二度と復活できないぐらい痛めつけてやるっ!!」
「そんなに怒るなよぉ、ジョッシュ。お茶目なパパの悪戯じゃないか?」
「だ、黙れぇーッ!!」
「踏み込みが〜足り〜ん〜♪ パパそんな攻撃には当たってやれないなぁ。
 ……というか、そんな負の感情丸出しで攻撃してきても、パパ元気になるだけだぞ?」
「調子に乗るなァァァッ!!」
「アッハッハッハッ!!」


16:08/地球連邦災害救助対策班・南米支部

「……氷山?」

俺、ラウル・グレーデンはカップラーメンをすすっていた。
仕方がない。『食費に回す資金があったらエクサランスへ』だ。
三人住まい中、二人に声を揃えられたら逆らえません。くたばれ民主主義。

「はい、何かしらの機動兵器が二体、南極近辺で大暴れしたようで。
 戦闘自体は既に終結したのですが、戦闘中の余波で巨大な氷山が割れました。
 現在、アルゼンチン沖へと向かっているそうです」
「氷山って言っても、所詮は大したサイズじゃないんだろ? 
 こっち来る前に溶けたり割れたりで消えるって」

ええ、それはそうなのですが、とラージが眼鏡を上げる。
大体こいつがこういう仕草をしたときというのは厄介事が追加されるときだ。

「豪華客船が近くを航行中でして。
 しかも戦闘中に使われた兵器のせいか、通信が全く通じないと」
「……なにそのタイタニック」

16:11/地球連邦災害救助対策班・南米支部・格納庫

「ミズホ! エクサランス、動けるか?」
「はい、時流エンジンは温めてあります。でも……」
「でも?」

慌しく動いていたミズホが、一転、暗い表情で立ち止まる。

「——問題の氷山が余りに巨大です。ライトニングフレームでも動かせるかどうか…」
「ライトニングでも? そんなに大きいのか…」
「はい。計算上、瞬間的な出力が足りません。
 これでは質量差で、エクセランスが轢かれちゃいます…」

エクサランスが幾ら機動兵器といっても所詮は乗り物。氷山に比べれば軽い。
軽い方が重い方を押し返そうとすれば、相当の力がいる。力負けすれば押し潰されるだけだ。

「ダイバーやガンナーの射撃で撃ち砕くのはどうだ?」
「それも相手が大きすぎて……
 …ごめんなさい、私が強力なフレームを組み立てられないから…」
「ミ、ミズホのせいじゃないさ。そんな顔するなよ!」
「でも…」
「俺はミズホにはいつも笑顔でいて欲しいんだ。
 氷山なら俺が何とかするからさ。ミズホは笑っててくれよ、な?」
「ラウル……」

お楽しみのところ申し訳ありませんが、とラージが後ろから近寄ってくる。

「——出力については、僕が都合をつけました。心配要りませんよ」
「は?」「え?」
「早くライトニングの準備をして下さい。足の都合はついています」

16:33/南極近辺・上空・タウゼントフェスラー内

「タウゼントフェスラーまで用意する、か。
 ——余程の金持ちなんだな、その豪華客船のオーナー様とやらは」
「オーナーというより、製造主ですね。
 天下のイスルギ重工様がつくった船が氷山相手に沈んでしまっては、格好がつかない、と」
「ご苦労様だぜ…」
「まぁ、そう言わないで下さい。政府とは別口に追加報酬も貰えるんですよ」

全部エクサランスの研究費に消えるわけだろうが。まぁ、喜んでるミズホを見れるなら良いけどさ

「それと俺たち以外にもう一個機動兵器があるみたいだが、あれは助っ人か何かか?」
「ええ、まぁ」

イスルギ重工様は俺たちだけでは不安ってわけだ。正直、気に食わない。

「…ま、私たちの活動は地味ですからねぇ」

ラージが俺の心を読んだかのように言う。
確かに紛争の第一線で戦っている兵器群に比べれば、
俺たちの災害救助任務は地味だし、それが若干悩みの種だ。
災害救助に有効と認められているエクサランスの維持費はともかく、
時流エンジンの研究費用や新型フレームの開発費用の申請はなかなか降りない。

「それだけに、これはチャンスです。ここで活躍すれば、臨時収入は勿論、名前も売れます。
 連邦の上の方々も我々を無視しづらくなれば、潤沢な資金が得られます。
 そうすればもっと研究が! 更なる研究が!」

耳元で狸の皮算用するな。

「見えました、氷山です!」
「よし……エクサランス、ライトニングフレーム! 出るッ!!」

16:34/南極近辺・上空

タウゼントフェスラーから放り出される。
落下スピードに舌を噛みそうになりながら、各部のスラスターを起動。
エクサランスの姿勢を強引に戻していく。

「うわ……こいつはでかいな…」

横幅だけでも3kmはある。こんなもの、どうやれっていうんだ?

『削り取っている暇はありません! 素早く決めてください!!』

通信機からラージの声が響く。

「わかってるよっ! ッ……おおおおおっ!! リアクタークラッシュッ!!」

膨大なエネルギーがエクサランスの機体各部に設けられた水晶状のパーツから迸る。

「いっけぇぇぇーっ!!」

スロットルを倒し、全速で前へ。
ライトニングは一瞬、その名の通りの光となって氷山へ向かい………

「……やっぱ無理かぁーッ!?」

返り討ちにあった。


16:34/南極近辺・海中

『ラウル! ラウルッ!!』
「あいててて……
 ……くそ、ラージの奴、どうにかしたって言って……全然駄目じゃないか…」

悪態をつきながら、機体のダメージをチェックする。幸いにも損傷は軽微らしい。

『いきなり突っ込んでいく馬鹿がいますか。この猪』
「うるさい! 何が出力は僕が都合をつけましたーだ、この陰険眼鏡!
 全然都合ついてないじゃないか!」
『つけましたよ。多分』
「多分って何だよ!? しかもエクサランスの出力は全然上がってなかったぞ!?」

激昂するこちらに向かい、ラージは呆れ果てましたという溜息をつきながら、

『あんな短時間で時流エンジンのリミッターなんて弄くれませんよ。
 一人でまた未来や過去に吹き飛ぶ気ですか?』
「こ、の、野、郎ぉ……!!」

殴る。帰ったら絶対殴る。あの眼鏡の折れ曲がりを一つ追加してやる。

『速く上がってきてください、助っ人の方々が待ちくたびれてますよ』

フィオナ、ごめんよ……お前は兄と恋人を一編に失うことになっちゃいそうだ…。
殺意を胸に、機体を上向きにし、一気に浮上する。

『——大丈夫ですか、えっと……グレーデンさん?』

海面から空へと飛び上がった時に、見慣れぬ声が通信機から呼びかけてきた。
見れば、目の前には黒い小型の機体が飛んでいる。

「あー…ラウルで良いよ。格好悪いとこ見せちゃったな。えっと、君は……」
『統夜、紫雲統夜です』

16:35/南極近辺・上空

「トーヤ……統夜? ってことは、その機体、ラフトクランズか!」
『あ、ご存知でしたか』

ご存知ですとも。フューリー騒動鎮圧の立役者。
年齢やその数奇な生まれから、メディアの注目を浴びまくった紫雲統夜さんですよね。けっ。

『あ、あの……?』
『妙な対抗意識を燃やしている場合じゃありませんよ、ラウル』
「わかってるよ! …力を貸してくれるか、統夜さん」
『は、はい!』

確かに意地を張っている場合ではない。
作戦を成功したいのも当然だが——それ以上に、氷山を砕けなければ多くの人命が失われる。

「いくぞ、リアクタークラッ…」
『馬鹿ですか、貴方は!』
「……っ、何だよ、ラージ! 折角人がやる気出してるところに」
『出し方が駄目なんです。リアクタークラッシュが通じないのは先程見た限りでしょう』
「だからって……!」
『オルゴンソードをFモードにしても出力は同等です。こうなったら重ねて撃つしか…』
『貴方も実はラウル並に無鉄砲なんですね』

悪かったな。無鉄砲で。

『貴方に使っていただきたいのはラースエイレムです。
 ……ラースエイレムの力を用いて、エクサランスの出力を一時的に強化していただきたい』

16:38/南極近辺・上空

ラージの長い長い長い説明を終え、再度俺と統夜は作戦に戻った。

概要はこうだ。
まず統夜がラースエイレムを使って、エクサランスとその周囲の時間を止める。
そのとき、強制的に時間を止められたエクサランスの周囲に、堰き止められた時流子が蓄積する。
ラースエイレム解除と同時に、溜まった時流子を取り込むことで爆発的な出力を得られる…だそうだ。

「本当かよ、それ?」
『物事当たって砕けろですよ、ラウル』

ああ今度こそ多分砕けるだろうな。エクセランスと共に物理的に。

『ラウルさん……すみません。
 俺がもっと長時間、時を止められたら、氷山を砕く時間を作れるのに…』
「あー、いいって。んな自由自在に時を止められたら、こっちが困るよ」

ラージの作戦講義の間、少し話して、大体分かった。
統夜は、メディアが言うような、フューリーと人との間をつなぐ掛け橋、なんて大層な奴じゃない。
本当のミズホと一緒だ。
すぐに落ち込んだりパニクったりするくせに、いざってとき全部自分で背負い込もうとする。

「上手くやろうぜ。…いざとなったら俺たちが客船かついで逃げりゃいいんだ」
『え? ……は、はは。それもそうですね』

機動兵器が二体、客船を肩にかついで逃げる様を想像して、自然と笑みが生まれる。

『ラウル、エクセランスのエネルギーがもう一度満タンになります』
「よし……行くぜ! 統夜!」
『はい!』

リアクタークラッシュの作動準備に入ると共に、ラースエイレムが起動される。
途端、周囲の全てがゆったりと動いているような感覚に囚われ——

『ラウル!』

——目の前に氷山があった。
エクサランスの出力は、限界寸前まで高まっていた。
機器類が異常な数値を示し、オーバーロード寸前の機体が不規則に震えだす。
この出力ならばッ…!

「おおおおおおおっ!!」

両の拳を突き合わせる。
時流エンジンが、周囲の全ての時流子を取り込み、莫大な破壊の力へと変換。
再び、いや、さっきとは比べ物にならない光が迸る。

「リアクタァァァッ!」

その全てのエネルギーを右の拳へ。

「クラァァァァァシュゥゥッ!!」

巨大な氷山へと拳を突き立てる。
一瞬の静寂の後、氷山に亀裂が走り——轟音と共に、氷山は四散した。


16:42/南極上空・タウゼントフェスラー内

「お疲れ様でした、ラウルさん…」
「あんたが統夜か……そっちこそお疲れ様だ」

聞けば、純血ではない統夜にとっては、ラースエイレムの使用は勿論、
フューリーの機体を動かすこと自体それなりの無茶らしい。
普段は副パイロットが補助に入るのだが……それでもかなりの負荷だったようだ。
赤毛の少女はぐったりと輸送機の硬いソファーにぐったりともたれていた。

「評判と現実は随分違うものだな」
「えっ、何の話です?」
「いや、こっちの話さ」

有名だからって能力が変わるわけでも、英雄になれるわけでもない。
こいつも俺も同じ、誰かを助けたくて戦ってるだけの男だ。

「ラウル! 大丈夫だった、怪我はない?」
「ああ。エクサランスは?」
「流石にあの出力は無茶だったみたいで、少し壊れたところもあるけど……基本的には大丈夫よ」
「そっか、よかった」

慌てて駆け寄ってきたミズホへ微笑む。今までエクサランスをチェックしてたのだろう。息が荒い。
後ろからはラージが来ていた。足取りは落ち着いているものの、その表情は喜びを隠せていない。

「いやぁ、本当によかったですね。まさか本当にエクサランスの出力が増すとは!
 時流エンジンとラースエイレムに何らかの共通項があるのではないかという私の勘は正しかった!」
「は?」

……勘?

「お前、何か確証があったんじゃなかったのか?」
「あるわけないでしょう。ラフトクランズに触れたのもつい3分前なのですから」
「……おい、じゃ、あれか。お前は勘だけで、俺を氷山に突っ込ませたのか」
「そうですが、何か?」

ごめんな。フィオナ。やっぱ兄さん、こいつを許して置けない。

『あーっ!? ラフトクランズがバラバラになってますぅーッ!!』
『うそ、ラースエイレムまで綺麗に仕分けされてっ……!!』

「ラララ、ラージ!?」
「いや、あれがフューリーのテクノロジーですか、実に興味深い。
 是非とも今後の研究の参考にしなければ。時間停止と時流エンジンが融合すれば……!」

くらり、と。
遠ざかる意識の中、聞こえたものは駆け寄ってくるミズホの叫び。
黒髪の少女と言い争うラージの声、互いをなだめようとする統夜の声。

……フィオナ、兄さん、元気でやってるよ。でも、少し負けそうだよ。





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163 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/30(火) 22:57:34 luP+udwT
というわけで、駄文を失礼した。
単にラウルと統夜が協力する姿を描きたかったから書いた! …それだけです。
っていうかオルゴンと時流エンジンが本当に何か関係あるのかどうかは多めに見て下さい…失礼っしました…。


162 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/30(火) 22:56:09 6VTXW0DG
>>160
GJ!なんていうか地味にいい絡み
おかずで言うと味噌汁みたいな
そしてラストはお約束w


165 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/30(火) 22:58:40 ovdcEt41
パーフェクト
完璧だ>>163
これならばRスキー、Jスキーですら萌え殺しきれるだろう


170 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/30(火) 23:07:45 WIe/u20q
>>152
……グレイト……フル……デッド……(訳:GJだ、もう誰もお前をマンモーニとは呼べない)



171 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/30(火) 23:12:11 nf3Rqvu4
>>163
GJ!
短時間でラフトを分解したラージ凄ぇw
バンプレイオスやソウルランサーもやっちゃいそうだな



172 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/30(火) 23:14:48 Fzbk3gmB
ラージw
後でカティアに簀巻かれてそうだな。

2007年02月23日
 ■  7x82jVZ+氏作SS 「それが、クライ・ウルブズ隊の掟」

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その123
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1169138913/l50



522 :それが、クライ・ウルブズ隊の掟 1 :2007/01/21(日) 11:54:42 7x82jVZ+
夢…寝ているときに人は夢をみる…
それは必ずしもいい夢ではない…
「フォリアァァァァ!!!…っぐ、またあの夢か」
悪夢…人はそれにうなされることがある
この男、ヒューゴ・メディオはまさにそれを味わっている
しかも、このところは毎晩というほどに…
そしてその後は、毎回身体中の神経に激痛がはしる
「!!!っが…薬を…」
机の引き出しから薬を取り出し、口に含む
彼はこの薬がなければ生きていけない…そう、そういう身体なのだ
(くっ…今ので最後…ザパトの奴なんで送ってこない…)
ミタール・ザパト…彼をこのような身体にした張本人
彼らはお互いの目的の為に互いを利用しあっていた
トントンという軽いドアノックの音がする
「ヒューゴ?放送聞いてなかったの?呼び出しがかかってるわよ」
この声は、アクア・ケントルム…ヒューゴの搭乗機ガルムレイドのパートナーである
ヒューゴはまだ残っている身体の痛みを抑えつつ、了解したと。シンプルな返事を返す

「ザパト博士が一度戻って来いと?」
命令を聞いたアクアはすっとんきょんな声をだす
それに対してハガネの艦長であるテツヤは説明を続けた
「ああ、君たちが、乗っているガルムレイドの詳細なデータを一度採っておきたいらしい」
ツェントル・プロジェクト…彼らの乗っているガルムレイドはその試作機のひとつである
ただ、アクアはいまひとつ納得いかなかった
ガルムレイドのデータなら、毎回ザパト博士に送っている
そのデータに不備はないはずだ
ヒューゴは険しい顔をして、ッチ、と舌打ちする
「先方は君たちだけで、来て欲しいそうだが…ハガネから何体か護衛に…」
「いえ、結構です。この任務は自分達だけで行います。くれぐれも護衛や追っ手はつけないで下さい」
テツヤの案を、ヒューゴがきっぱりと断る
アクアはその、ヒューゴの態度に頭を抱えた

研究所に向かい発進するガルムレイド
「アクア、ハガネからは?」
「識別信号らしきモノなし、肉眼でも確認できる機体もないわよ…って!ヒューゴ!さっきのあの態度は何?」
水着のようなDFCスーツを着たアクアが、エンジンの出力を一定に抑えながら喚く
さっきのテツヤの好意に対してのことだろう
「忘れたのか?俺たちのこの機体は機密事項の塊のようなものだ。研究所にゾロゾロ行って、敵にでも見つかってみろ」
ヒューゴはそう言ったが、実はそうではない
ザパトは『薬』を盾にガルムレイド単機で来るように命令したのだ
今のヒューゴにそれを断ることは出来ないとふんで
(ザパトの奴め…)
アクアは今ひとつ納得しない顔をしてムスッとしている
出力はイエローゾーンとブルーゾーンの間、TEエンジンの出力はなかなか安定しない
だが、研究所まであと少し…その時事件は起きた…!!
「…!!ヒューゴこの識別信号!!間違いない!メディウス・ロクス!!」

「まさか…こんな研究所の近くに…また、研究所を襲うつもりなの?!」
アクアの不安を打ち消すようにヒューゴが叫ぶ!
「ボーっとするな!来るぞ!!出力、安定させろ!!」
メディウスから撃ち出される弾をギリギリで避ける
ヒューゴはその時違和感を感じた…反応の遅れたガルムレイドの動きにメディウスの攻撃を当てられない程、彼の知ってるそのパイロットは無能ではない
そう、昔の上司である元クライ・ウルブズ隊長…アルベロ・エスト…その人ならば!
しかし、躊躇うことはない…今、目の前にいるのは『敵』…ならば、倒すのみ
「アクア!出力安定させろ!!」
「こっちだってやってるわよ!」
ガルムレイドの右脚のサンダー・スピンエッジがうねりを上げる
「くらえ!!サンダー・スピンエッジ!!!…」
メディウスの左腕に直撃する…しかし…
左脚での二撃目を撃つ前にガルムレイドの動きが止まってしまったのだ
メディウスのディバイデッド・ライフルを目の前でモロに食らってしまう
吹き飛ぶガルムレイド…さすがは特機というべきか、撃墜はされていない、だが中破といったところである
いきなりの行動にアクアが身を乗り出してヒューゴに文句を言う
「ちょっと!ヒューゴ!!何して…!!ちょっと顔真っ青じゃない!」
「気に…するな……いけ…る」
「まさか、例の…発作!」
実は、ヒューゴがこの症状を起こしたのは初めてではない。その時は、何なきをえたが、今回はそうはいかない…相手はやる気である

ディバイデッド・ライフルの連射を急所に当たらぬようによけるガルムレイド
しかし、時間がた経てば経つほどヒューゴの身体神経の痛みが増し、意識がとびそうになる…既に手足にはしびれが出てきている
「ヒューゴ!ここは撤退を!」
「っく…駄目だ…ガルムレイドのスピードじゃ…あいつの…スピードには敵わない…」
アクアも出来る限りの撤退パターンを即座に計算してみたが、どれもこれも絶望的な確立だった
逃げられないなら…討つ…そして…生きる…何としてでも生き残る…それが………
するとアクアは、目をつぶり覚悟を決めた…出来るかどうかは分からないが…
「ヒューゴ、研究所までの運転…私に任せてくれる?」
「できるなら…な」
「なら…あの、メディウスもどきを一撃で破壊しましょう!」
ヒューゴはそれを聞いて確信した…
目の前のメディウスに乗っているのはアルベロではないと…
今までのメディウスの行動パターンに大体はそってはいるが、ここぞというときの動きがあからさまに遅い
そうまるで、新入りの兵隊のような動きだ。熟練された彼ならもっと確実にこちらを撃墜してるだろう
そして、自己修復が可能な装甲素材であるラズムナ二ウム…これを今までと違い全く使用していない
というよりも、アクアの計算とスキャンによると、使われている装甲はラズムナニウムの可能性は1%未満
相手はメディウスの識別信号をだしているだけの偽者…そして、動きからするにAI…人工知能!

「いけるか?」
「ちょっと厳しいわね…でも…あなたの口癖でしょ?アレよ」
ヒューゴは気合を振り絞り意識を集中させる
痛みは…既に痛みの感覚すらなくなり始めた…
まずい傾向だ…だが、ヒューゴは死ぬわけにはいかないのだ
「多少の無茶は承知の上だ!!」
ガルムレイドの熱量が上昇していく
TEエンジンの出力はブルーゾーンで安定しているワケではないだが…そのような余裕はない
「ファンググリル開放っ!…いいわよ!」
左右の肩の、そして、腰のアーマーの狼の牙が…
「イグニション!!」
ヒューゴの雄たけびに呼応するかのように口をあけ焔をあげる
「うおおおぉぉぉぉぉっ!」
ガルムレイドの瞳が光り輝き、さらに二つの眼が現れる
四つの瞳はメディウスを確実にロックすると、左手に全てのエネルギーを収束させる
そのエネルギーは焔となり、目標物を破壊する…その名は…
「バーニング・ブレイカーァァァァァッ!!」
ガルムレイドの一撃は確実にメディウスを破壊した
額の目は消え、ファンググリルが熱を持った白い蒸気を吐き閉じる
「生き残るのは、俺のほうだ!!」
そう言うと、ヒューゴの意識は途切れた…

ヒューゴが次に目を覚ますとそこは見慣れた研究所のベッドの上だった
辺りを見渡すと、近くの机にアクアが寄りかかって寝ている
そこに、ザパト博士が薬を持って入ってきた
「危機一髪だったな、ヒューゴ」
どうせ、こいつのことだ。薬のことを聞いても無駄だろうし、そもそも聞く気もない
ヒューゴは舌打ちをし、薬を受け取る
「これは、前回より強力だから、安心したまえ」
「ふん…それより、あのメディウス…お前の差し金だな」
「さぁ、知らんな…」
とぼける、ザパトだが実際その通りだった
(しかし、意図が分からん…ザパトは既に、メディウスのデータもガルムレイドのデータも持っているはずだ…)
ヒューゴとザパトが一触即発の状態で睨みあっていると、アクアが目を覚ます
起きるや否や、ヒューゴに突っかかるアクア
「あなたねぇ!今度こんなことがあったらどうすんの!?発作かなにか知らないけど…」
「すまなかった」
「何が、すまなかった…って…え?」
アクアはきょとーんとした顔をする
ヒューゴが自分に対して素直に謝るなんて、想定外だったからだ
「…う、分かれば…いいのよ…」
アクアは次に何を言うか、すっかり飛んでしまった
少しは可愛げがあるかなと、ちょっと、ほんのちょっと思った
が、ヒューゴの次の言葉は、それを撤回させた
「移動だけとはいえお前に、操縦なんて無謀なことをさせてしまったな…」
「そうそう、私の操縦は無謀…ってなんですってぇえ!」

ザパトはその騒動を横目で見た後
研究所のとある一室に入る
「これで、よかったのかね?」
目の前のモニターに二人の男女が映る
アルベロ・エストとエルデ・ミッテ…メディウス・ロクスのパイロットと、そのパートナーである
『ありがとうございます、ザパト博士。これでAl1はさらに試作7号機のデータを学習しましたわ』
「そうか?ならいいんだがな…エルデ君」
モニターの男性…アルベロは、面白そうではない
「どうした?アルベロ?」
『やるのなら、俺たちの手でやればよかったものを…』
「そういうわけにはいかんよ、ヒューゴの新しい身体の為のデータの採取という目的もあったんだ」
『欠陥品の身体など捨ててしまえ』
「まだまだ、彼らには役に立ってもらわないとね…」
ザパトは不敵な笑いを込め、そう言い張った
それは、アルベロ達に対しても言えること
各々利用し、利用されあっている
通信を切ると、ザパトは試作9号機に製作をしに開発部へと足をむけた

研究所近くの裏山にてメディウス・ロクスが立っていた
「よかったのですか?」
「なにがだエルデ?」
「今なら、研究所ごと破壊できますが」
「ふん、今のあやつらを倒した所で、何もない…」
「?先ほどの通信と言ってることが、違いますが」
「…ふん」
それは、建前上、先ほどはああは言ったが、それはアルベロの本当の目的ではないからだ
(死中に活を見出したか…ヒューゴ…そうだ…)

〜それが、クライ・ウルブズ隊の掟〜完





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525 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/21(日) 12:18:44 gwySpTWw
GJ!

熊先生がツンデレっぽい



526 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/21(日) 13:43:51 6mUi63k0
やべぇ……ヒューゴ格好良いぜ……。
やっぱりヒューゴってかMX衆は燃える要素には事欠かないな。
問題は結局出番の極端な少なさか、勿体無い。



536 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/21(日) 16:51:50 YWK+LYfw
あと、ヒューゴSS、GJ
ひさびさに燃えSS見たきがす



537 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/21(日) 16:56:13 iIgGtS6G
>>522-524
GJ!
これだけ熱いやつらが、どうして此処じゃこんなに影が薄いのか・・・



538 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/21(日) 17:43:25 jI6fxmND
先天技能の穏行せいだ、だれかPP貯めて上書きしてやってくれヒューゴとアクアに

 ■  ijeQpQsx氏作SS 「宇宙刑事セイダー」

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その123
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1169138913/l50


277 :100スレ目>>87 :2007/01/20(土) 15:43:48 ijeQpQsx
流れは読まずに投下。
宇宙刑事セイダー!





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「なんじゃ」
 つまらなそうにその老婆は呟いた。
「せっかく呼ばれて来たというのに、ただでさえ少ない念動力者がさらに減ったのか」
 この老婆、名をアギラ・セトメという。
「別に潰したわけではない。アレが勝手に力を失っただけだ。こちらを責めるかの台詞は止めてもらいたいな」
「フン、どうだか。お前さんたちの半端な処理故かも知れぬぞ」
 じっと押し黙る、古林賢三。
「ともかく、ワシがここに来た以上下手なことをしてせっかくのサンプルどもを減らしてくれるなよ?」
「それはこちらの台詞だ」
 ここは特殊脳科学研究所。通称特脳研と呼ばれている。
 内部を知りながら部外者である数少ない者たちは、人外の力を持つバケモノを研究する狂人たちの巣などと呼んでいた。

宇宙刑事セイダー

第一話 警護対象! 女の子?

「え……?」
 突然の言葉に伊達雪子は固まった。
 いつものように所内の個室から連れ出され、いつものようにラボへ向かうものだと思っていたら、所長室とやらに連れて行かれ、いきなり次のように言われたのだ。
「これまでの研究への協力、ご苦労だった。これ以降は、自由にしてくれてかまわない」
「え……?」
 何を言われているのかわからないと言う顔の雪子だった。
 彼女の父親はどうしようもない人間で、雪子が五歳の頃母はこんな父に愛想をつかしたのか、蒸発してしまった。
 それから五年間、八つ当たり的に父に殴られ、時たまやってくる借金取りにおびえながらも、隣人の助けもあって、どうにか生きていたが、雪子が十歳の頃、政府のとある研究所の人間と名乗る者たちがやって来て、自分たちの所へ来ないかと言われた。
 ……日々殴られる、こんな場所よりはマシだろうと頷いて、ここへやって来た。
 渋った父も彼らの見せた大金にあっさりと応じ、翌日には既に施設に住んでいた。
 番号で呼ばれ、実験体扱いされ、栄養バランスは取れているものの味気無い食事を与えられていたが、貴重な実験体を傷つけるなと言うお達しか、暴力に怯えることは無かったし何よりもそこには友達がいた。
 自分の一つ上のジェニファーや二年前にやってきた舞。
 彼女たちは紛れもなく家族と呼べる人たちだと、雪子は思っていたのだが……。
 来た時と同じく、有無を言わさぬ勢いで荷物をまとめさせられ、その家族たちに挨拶することも出来ぬまま、雪子は既に敷地の外にいた。
「あ……」
 振り返っても、重苦しい門が鎮座しているだけであった。
 掛けたかった言葉も既に遠く、仕方なく雪子は歩みを進めた。
 さながら手切れ金のように渡された金は相当な額がありはしたが、雪子にとっては大した意味を持つものではなかった。
 その金を使って、タクシーを拾い幼いころの記憶を頼りに古びた借家にたどり着く。
 意を決してドアノブを回すが、鍵がかかっていた。ちょっと拍子抜けすると共に、どこか安堵する自分がいる。
「どうしよう……」
「そこの家の人なら居ないぜ」
 どこかのスーパーの袋を下げた、血色の悪い青年が声をかけてきた。
「え?」
「俺がここに来る前だけど……半年ぐらい前に家賃滞納しすぎて大家さんが入ってみたら他殺体で転がってたそうだ」
 懐から出した鍵で自室を開ける青年。
「死後一ヶ月は経過してたとか何とか……借金がらみのトラブルってことで決着付いたそうだけど」
 念のために名前を尋ねるが返ってきた名前は間違いなく父のものだった。
 ……どうしよう。
 どれだけ暴力を振るわれても、理不尽な目に会わされても、結局自分には父しか居なかったのだ。それ以外の世界は知らなかったのだ。
 自分に世話を焼いてくれたおばさんがいたはずの部屋は、今しがた青年が入って行った部屋で表札が変わっていた。
 ……自分は、どうすればいいのだろう?

 敷地を出て、歩き出す。……宛は、無い。
 子供たちが自分の脇を走り抜けていく。それを目で追って、首を捻った。曲がり角を曲がろうとしたところで、先頭を走っていた子供が急に立ち止まり、そして後ずさった後こちらに向かって全力疾走してきたのだ。——悲鳴を上げながら。
 異変を感じたときには、危機はそこに迫っていた。
「アレだ!あの小娘だ!」
 刺々しい衣装を身に纏い、角を生やした赤い大男が自分を指差していた。それに従い、走り出すさらに大きい人影が多数。自分の二倍はあるか。
「っ!」
 直感的に反対側へ走り出す。それを追う手勢の気配を感じながら。
 自分を追う理由など一つしかあるまい。『あの』施設に居たのだから。だが……
(なんで!?なんでよ!私は、私にはもう力なんて残ってないのに!)
 ずっと狭い施設に居たせいでまともに動く体ではなかったが、自分に秘められていた力ではなく生き物の直感が告げる。
 捕まるな。生ある者の尊厳すらも削ぎ落とされるぞ、と。
 だから走るのだ。早鐘のように打つ心臓を押さえ込み、棒の足を気力で動かして——
 左腕を捕まれ、振り払おうとした右腕を押さえ込まれ、軽く雪子は持ち上げられた。
「イヤァッ!離してっ!」
「あまり手間を取らせるなよ」
 両腕でつるされる形になりながら赤の男の目の前に連れて行かれる。
「私を、どうするつもりなのよ!私には、力はもう無いのよ!」
「知るものか。俺とて不本意なのだ。念動力者ならともかくお前のような力を失った小娘にまで俺ほどの者を差し向けるとは……ゴード様も何を考えておられるのやら」
 忌々しげに舌打ちをする。
「ともかく引き上げるぞ。こんなつまらん任務で奴らに嗅ぎ付けられたら厄介だ」
「そいつは残念だったな、ズィーブ!俺ならもうここにいるぜっ!」
 どこからとも無く声が響く。
「な……くそっ!もう来たか!」
 雪子をつるし上げている二人の戦闘員が一瞬ビクンと震えるとその手が緩み、雪子の体が落ちる。
「キャァッ」
「っと、ごめんよ」
 倒れる戦闘員の間、尻餅をつく寸前で雪子は抱きとめられた。
「怪我は無いか?済まねえな、もっと早く来る予定だったんだけど……」
 目を開けると、自分を心配げに覗き込む優しそうな青年の顔があった。
「は……はい。大丈夫……です」
「くっ……何としてもあの娘を奪回しろ!こんな任務をこなせないとあっては後々までの笑いものだ!」
 ズィーブの号令一下、戦闘員が突っ込んでくる。
「へっ!この俺がそう簡単に捕まるかよっ!」
 雪子を抱きかかえたまま、踵を返し住宅街の路地を駆け抜ける。
 進行方向に先回りした戦闘員の頭を踏み台にして、メタリックなサイドカーつきのバイクに跨り、サイドカーに雪子を乗せる。
「飛ばすぜっ!」
 若干空回りの音を上げた後、バイクは勢い良く走り出した。

「ここまで来れば、ひとまず大丈夫かな?」
 今は使われていない工場の跡地、雪子を乗せたバイクはそこへ来ていた。
「あ……助けてくれて、ありがとうございます」
 ようやく、それだけ言う。
「いや、こっちこそあんなギリギリまで助けに行けなくてすまねえな」
 頭をかきつつ、申し訳なさそうに彼は言った。
「あの……さっきの人達は一体……それにあなたは?」
「あいつらは超空間犯罪組織ゴードス。俺は……まぁ、あいつらをぶっ潰すために居る正義の味方さ」
「ゴードス……」
 口でその名を反芻する。
「あいつらが君を狙ってるって情報が入ったんで、急いで行ったんだけど途中で別働隊に鉢合わせちまってな。それにしてもあいつら、君みたいな女の子を狙うなんて何考えてるんだか……」
「多分、私の力のせいよ」
「力?」
 こくりと頷く雪子。
「私がいた研究所では念動力って言われてたわ。他に考えられない」
「それじゃあ、連中はそれを狙って?」
「ええ……いえ、待って。確か、あの赤い人は私が力を失ったことを知っていた口ぶりだった……」
「力を失ったって、そんな事があるのか?」
「判らないわ。元々念動力者だって多いわけじゃないもの。でも……そう、あの人よりも偉い人からの命令でしぶしぶ私を捕まえに来たような事は言ってたわ。私に関わるぐらいなら、他の念動力者を狙ったほうがいいのにって」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!」
 あわてて言葉をさえぎる。
「他にもいるのか!?その、念動力者ってのが!」
「え、ええ……私の居た研究所に……他に何名か」
「場所、教えてくれ!」
 腕の端末から立体映像を空間に投射して地図が開く。あそこから一歩も出たことは無かったが……多分、この辺りだっただろうと家に至る道筋を思い出しながら指し示す。
「くそっ!なんてこった!ズィーブの奴!」
「きゃっ!」
 エンジンをふかし、加速するバイク。
「さっき俺が戦った別働隊は、そこを狙ってた一部に過ぎなかったんだ!早くしないと、君の居た研究所の皆が連れ去られちまう!」

「ふん、塵のような戦力だ。地球人どもはこの研究の重要性を理解しておらんようだな……」
 戦闘員たちに特脳研を攻め立てさせている後方でズィーブはにんまりと笑った。そこで部下の一人に呼びかけた。
「あの小娘の行方は?」
「す、すみません。未だに足取りは……」
「愚か者め。捜索範囲を広げろ!宇宙刑事が動いているのだぞ!」
「ハッ!」
 下がっていく部下。そこでゆらりと空間がゆれ、人影が現れた。
「ズィーブ」
「これはゴード様……」
 恭しく頭を下げる。
「首尾はどうか」
「ご覧のとおり、もはや研究所はほぼ我らが手中に落ちたも同然……」
「それであの娘は?」
「は……宇宙刑事の邪魔が入りましたが、じきに確保できるでしょう」
「ふむ……僥倖、僥倖」
 仮面の上から顎を撫でながらつぶやく。
「しかしゴード様、あのような娘をいかがなさるおつもりなのです。念動力もありはしません」
「…………」
「ゴード様!」
「……良かろう。教えよう」
 幻影のゴードが遠くを見つめる視線に変わる。
「夢を見たのだ」
「ゴード様の……予知夢ですか」
「そう……あの少女の産む子が、神となるのだ……」
「神……ですか」
「信じていないようだな」
 あわてて否定の言葉を述べる。
「い、いえ……ゴード様のお力はよく存じております。しかし……」
「神などおらぬ、か」
 そこでふっと仮面の下の顔が嗤う。
「私の言い方が悪かったな。汎神、とでも言うべきか」
「汎神……ですか」
「そう。バルマーではアウグストゥスとも呼ぶ、運命すらも律しうる、正に神に近しい存在だ」
「運命の……調律者!」
 試すようにズィーブの顔を見る。
「そんな者に、生まれたときから私への忠誠心を植えつけたらどうなると思う?」
「それは……正に力!ゴード様の絶大なる力となりましょう!」
「それ故に、私はあの娘をも」
 そこで幻影を貫通する光。
「ズィーブ!」
 その光の根源にズィーブは宿敵の姿を認めた。
「セイダー!」
「向こうからやってきたようだな……よいか、なんとしてもあの娘を手中に収めるのだぞ」
「ハッ!」
 立ち消えていく幻影に最後に一礼し、向き直る。
「今すぐ攻撃を中止しやがれ!」
「ほざけ!それでわざわざこんな所まで来たか!あの娘はどうした!」
「こんな危ないところに連れてこれるかよ!」
 狙い撃ったビルから跳躍し、着地する。
「ふ……どのみち近くに隠れているのだろう。貴様を排除してからゆっくりと探すとしよう」
「やれるもんならやってみやがれ!昇華!」
 亜空間から照射された粒子が固体化していき、次の瞬間には全身を宇宙刑事たちの愛用する装攻強化服に身を包み、そこに立っていた。
「宇宙刑事、セイダー!」
 ズィーブがバスターソードを抜き放ち、構える。
「行くぞ、セイダー!」
「きやがれっ!ダァブル・リヴォルヴァー!」
 シリンダー式の二挺ブラスターを構え、相対する。
「おらおらおらぁっ!」
「ふん!」
 撃ち出されるビームを次々と切り払っていく。
 埒があかないと見たか、二挺拳銃を引っ込め、セイダーも愛用の剣を出す。
「メタリック・ブレイド!」
 甲高い金属音を響かせ、交わる二本の刃。
「踏み込みが甘い!」
 力押しで振り切られ、ばっと後ろに飛ぶセイダー。前屈体勢に振り下ろされる刃を横に避け、ズィーブが構えなおすより先にその切っ先が腕の付け根に奔る。
「うぬっ!」
「薄皮っ!」
 決定打には程遠いことを悟り、舌打ちを一つして距離をとる。正面からぶつかってもパワー勝負は出来ない。再び打ち込まれてくる避けようのない一撃を受け流して、再びカウンターを狙うがこちらは切り払われた。
「踏み込みがあまいっ!」
 切り払われ、流れる剣持つ右手を捨て置き、左手はリボルバーのトリガーを引いた。
「ぬぐぅっ!」
 ひるんだ隙を突き、さらにもう一太刀。刺さるブレードはそのままに右手もリボルバーを握り締め、装填分が空になるまでトリガーを引き続けて距離を置いた。
「どうだっ!」
「ぐ、ぐうぅ……」
 膝をついたズィーブ。体に空いた穴を押さえて、呻く。
「ふ……ククク……ハハハ!」
「何がおかしいっ!」
「人手不足が貴様の弱点よ!セイダー!あれを見ろ!」
 と、指差す先にはビルの上で二人の戦闘員に両脇を抱えられた雪子の姿。
「なっ……!」
「どこに隠していたか知らんが、わざわざ連れてきてくれるているとはご苦労だったな、セイダー!」
「く……くそっ!」
「あの娘さえ手に入れば、もはや貴様などに用はないわ!撤収だ!」
「ま、待ちやがれ!」
 異次元空間を開き逃亡しようとするズィーブを追ったが、それよりも先に凄まじい衝撃波が両者を襲った。
「ぐあああああ!?」
「うわああああっ!」
 研究所からのその衝撃波で全てが吹き飛ばされた。

「っくしょう……」
 頭を振り、瓦礫からはい出る。
「一体……何が……」
 辺りを見回して愕然とした。そこら一体が荒れ地と化している。
「……そうだ!あの女の子は!」
 あの時連れ出されていたビルは、あちこちひび割れているが倒れては居ない。少なくともビルの倒壊に巻き込まれて……という事は無さそうだ。
 ズィーブの方は見あたらないが、気絶していた自分にとどめを刺さなかったのだからどっかで気絶して居るんだろう。ならば保護対象の安全の確保が最優先だ。
 愛車を呼びこんで加速を付けた上にブースターと重力制御装置を使って一気にビルの屋上まで跳び上がる。
「いた!」
 気絶している雪子と、先程押さえつけていたらしい戦闘員が二人。先程の衝撃波で気絶しているらしいが生きている。
 ひとまず戦闘員の方には電磁錠をかけて置き、雪子を助け起こす。
「大丈夫か!?」
「う……ううん……?」
 頬を軽くたたかれて雪子が目を覚ました。
「あ……」
「良かった……どっか痛かったりしねえか?」
「大丈夫……です」
 ゆっくりと上半身を起こした。
「何が起こったんですか……?」
「わかんねぇ……ただ、君の居たっていう研究所が吹き飛んだみてえだ」
「!みんなは!?」
 あわててビルの端によって、見下ろすと既に消防車等が集まっていた。
「あいつらが何かしたのかもしれねえけど……すまねえ」
 強化服に覆われた顔は見えないが、セイダーは目に見えて落ち込んでいた。
「…………」
 一方の雪子は別のことに気を捕らわれていた。
(あの衝撃が来た時感じた念……舞のモノに似ていたけれど……)
 あれを、彼女がやったのか……。
「セイダァァァアアア!」
 怨嗟の叫びに、雪子を庇うように立つセイダー。
「念動力者の確保をしくじり……その娘までも奪われる訳にはいかん!」
 セイダーと違い満身創痍の体で現れたズィーブ。先程までの戦闘のダメージに、あの衝撃波で更に傷が増えている。
「うっせえ!手前勝手な都合で何ぬかしてやがる!」
「ゴード様……なにとぞ……貴方様の哀れな僕に、お力を!」
 世界が、変質する。
 ビルの屋上がまるまる包み込まれ、そこは現界から切り離された。
「きゃあ!」
「くっ!デューム空間!?」
 ゴードスの者達がその力を十二分に発揮できる空間へと二人は引きずり込まれていた。
『ふ……くくく……ははは……!この力、必ずや勝つ!』
 人間に近かった外見は変貌を遂げ、その姿はさながらキメラ(合成獣)か。
「ち……!次元空母!ディメンプレスト!」
 辺境宙域に派遣される宇宙刑事にのみ所有を許されている多次元潜行型の自身の移動手段であり要塞である船を呼び込む。
『呼んだか』
 搭載されている人工知能の合成音声が問う。
「この子を連れて、隠れててくれ。後は俺が決着を付ける!」
『了解した』
 ハッチが開き、その中に雪子を連れる。
「あ!セイダーさん!?」
「そこにいれば安全な筈だ。ちょっと、待っててくれ?」
 ハッチを閉じ、ディメンプレストは他次元へと姿を消した。
『逃がしたか……?まあいい、この空間からならば追跡は容易だ。貴様を倒した後でゆっくりと探し出してくれる』
「ぬかせっ!」
 リロードされている二丁拳銃を抜き放ち、発射(シュート)、発射、発射。
 ズィーブはほんの少し仰け反ったモノの、すぐさま不敵な笑みと共に持ち直す。
「っ……毎度のごとくバケモノがっ!」
『そんな豆鉄砲で、どうにか出来ると思っているのか!』
 カッと目がきらめき、放たれる光線が強化服の表面を焼く。
「ぐあっ!」
 はじき飛ばされ、あわてて態勢を取り直す。損傷率……先程の戦闘からの蓄積で20%。問題ない。まだいける!
「こいつならどうだ!メタリック・ブレード!」
 ズィーブの爪と競り合い、打ち合う。
「はっ、たっ、うおりゃあ!」
「ふんっ、ぬうんっ、でぇりゃあ!」
 甲高い金属音が鳴り響く中、一瞬セイダーの懐ががら空きとなった。
「そこだ!」
「うわぁぁぁっ!」
 凶暴な爪がアッパーの動きでセイダーに炸裂した。
 ゴロゴロと転がる所への追撃を辛うじてかわす。
「くっそ……!」
 損傷率は今ので50%を越えた。否、装甲を突破して体にまでその爪は到達していた。
 バックステップに継ぐバックステップで、攻撃をやり過ごす。
「ハハハハハ!逃げてばかりではどうしようもないぞ!」
「っぬかせぇっ!」
 振り下ろされる爪を切り払って一気に距離を置いた。
「メタリック!ブレェェィドッ!」
 刀身に左手を這わせ、エネルギーを伝播させていく。
 緑色のエネルギーを纏うブレードを左下へ構える。
「セイダァァァ!」
「うおおおおお!」
 上から斬りかかってくるズィーブを、左下から切り上げる!
 セイダーの渾身の一撃は、見事にズィーブの体を断ち切っていた。
 分断した体が自分の左右に落ちる。
「やっ……たぜ……」
 それを目にして安堵し気が抜けたのか、それとも多量の出血からか、セイダーはゆっくりと意識を失った。

 うっすらと目を開く。
 見慣れたディメンプレスト内の自室、ベッドの上だ。
「……いつの間に……」
「あ、起きましたか?」
 ベッドの脇に、雪子の姿があった。
「あ、君は……」
『感謝しろよ、セイダー?気絶してる間、彼女がお前を世話してくれたんだからな』
 ディメンプレストのメインAI、レイタスが言う。
「そうなのか……ありがとう。助かったぜ」
「いいえ。私も助けてもらったから」
 首を振り、笑顔を見せる。
「そっか」
 こちらも、笑顔を返した。
「あ、それで、レイタスさんに教えて貰いながら作ったんですけど……食べますか?」
 と、雪子の持ち上げた盆の中には料理が並んでいる。
「お、美味そう!」
「初めて作ったから味は保証できませんけど……」
 ずっと施設にいた彼女にとって、料理は初めての経験だった。
『安心しなよ。セイダーみたく、俺の言ったとおりに作ったはずなのにろくなモノが出来あがらねえ奴より、ずっと筋はいいぜ?』
「うっせー!」
 室内のカメラに向かってそう怒鳴り、料理を口に運ぶ。
「……どう?」
「うん、美味い!」
 にぱっと笑顔。そのまま一気に食べてしまう。
「ふぅ……いやぁ、悪いな。助けたはずだったのに、ここまでしてもらって。送るよ。君の家は?」
 ふっとそれまでとはうってかわって、落ち込んだ顔をする。
「あの……私、行くところが無くって……」
 しまった、と自分の迂闊さを呪った。
 彼女が居たという施設は、自分の目の前で破壊されたじゃないか。
「あ〜、それじゃあさ。ここに居ないか?」
「え?」
 苦し紛れに告げた言葉だが、これはなかなか名案ではないかと考える。
「君を狙ってた連中がまた来るかもしれないし、そんな時他の所にいたら対応しきれないだろう?」
「あの……迷惑じゃない?」
「い〜や、全然!君がここに居たくないんならともかく、そうでないなら居ていいぜ。というか居てくれ。そんで出来れば飯作ってもらいたいな〜なんて……」
 たはは、と後頭部を掻きながらそんな調子のいいことを言う。
『プロポーズか』
 冷徹なAIのツッコミ。
「ち、違うって!」
 顔を赤らめて否定する青年。
 そんな様子を見ていて吹き出してしまった。
「ええ。そうさせてもらっていい?プロポーズは考えさせてもらうけど」
「い、いやだからプロポーズじゃなくて……」
「私は雪子、伊達雪子。よろしくね?セイダーさん」
 ハッとしたようなセイダーの顔。
「伊達?」
「ええ。伊達雪子」
『へぇ、こいつは奇遇だな?セイダー』
「う、ああ……」
「?」
 何のことなのだろうか。
「俺の……地球潜入名も伊達って言うんだ。伊達隆(だてたかし)……」
「っ…………」
 これまでの会話の経緯から押し黙ってしまう二人。
 異様に自己意識の大きいAIは、初心なことと思ったとか何とか。
「あっ、改めてよろしくな?雪子」
「はい……隆さん」
 セイダーの方から差し出された掌だが、どちらもあらぬ方向を向いていて視線が絡むことなく握手は交わされた。
 お互いに、その暖まった手を感じながら。




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279 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/20(土) 15:49:15 dH2sSUj0
>>277
大作GJ!

これ見てて思ったんだが、ユキコママンとJガールズって気が合いそうだな。


290 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/20(土) 17:00:18 WbAvCKW2
>>277
読み終えた
泣いた

2007年02月20日
 ■  gmmBe8yr氏作SS「色気はないけど今はそれでも」

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その122
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1168864531/l50


715 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/18(木) 13:33:40 gmmBe8yr
今から30分レスがなければSSを投稿する!



716 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/18(木) 13:35:44 OZW8ArvO
阻止


718 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/18(木) 15:18:38 y6UPSf7G
>>716
阻止すんな

>>715
どうしても投下したいのなら、させてやってもいい

冥王様お疲れ様です




_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/



741 :色気はないけど今はそれでも :2007/01/18(木) 17:51:20 gmmBe8yr
ライがチームの書類を持ってリュウセイの部屋に入ると
すれ違いに部屋から赤くなったラトゥーニが出て来た

「リュウセイ、彼女どうしたんだ?」
「ん?なんでも明日買い物に付き合って欲しいんだと」
「成る程、デートか」
「そんなんじゃねーよ」

この男は…
ライは呆れ果てた顔でリュウセイを睨んだ
ラトゥーニがリュウセイに好意を持ってること位ライでも分かる
が…
当の本人はバーンブレイドのDVDのほうにお熱らしい
ライは頭を掻きながら書類をリュウセイに渡すと部屋から出た
すると、目の前には壁に耳をつけたゼオラが立っていた

「何をしてる?ゼオラ」
「ラ…ライディース少尉いえ、何でもありません」

何でもないわけがない
その横でアラドがあくびをしながら、その答を答えた

「いや、なんか、ラトがしっかりデート出来るか心配らしくて」
「アラド!余計な事言わないで!」

ゼオラのゲンコツがアラドにポコンとぶ

「痛ってえな!ホントのことだろ」
「うるさいわね!姉として当然でしょ!」
「二人とも、そこまでにしておけ」


約束の日

噴水の前でそわそわしてラトゥーニが待っている
更に別の物陰からゼオラとアラドがこそこそと見張っている
ゼオラに引っ張られてアラドが文句をたれる

「なんで俺まで…」
「ライディース少尉は万に一つも心配はないって言ってけど、心配なの」
「だからって、隠れて他人のデート覗くって…ん、リュウセイ少尉来たな」

ゼオラが爪を噛みながら、なんで男が10分も遅れて来るのよと、愚痴っているが
アラドは気にせずに後を付けた
まず、二人が入った先は………

「ホント〜にここ?」
「あぁ、間違いないなゲーセンだ」

すると、ゲーセンから別の二人組が出てきた
トウマとミナキである
トウマは鬱な顔をしてぬいぐるみを抱えていた

(なんで、行く先、行く先で他のメンバーと会うんだ?
せっかくのデートだってのに、二人の距離を縮めるチャンスなのに
一緒に喫茶店入ればユウとカーラが
映画に行こうとしたらタスクとレオナ
ジャンク屋行ったらリョウトとリオ
地下デパではブリット、クスハ…
まさか、つけられてる?…なわけ…)
「トウマさん?」
「おぅわ!ゼオラ?」
「!びっくりさせちゃいましたか?」

毎度お馴染みのトウマの妄想である
まぁ、グランゾンの特異点のせいかは知らないが、ただの偶然なのだが

ゼオラがデートなのかと聞くと、ミナキに「ただの」が強調された買い物と言われ
「さうでふか」と更に凹むトウマ

「ところで、アラド達はデートか?」
「違うっすよ!偵察っす」

アラドの否定がゼオラの感にさわったらしく
ちょっと不機嫌になった

「そうです!ラトのデートの偵察です!それに、アラドとは恋人でもなんでもありません!」
「あ…あぁ、そうだよな!ただの!パートナーだもんな!ただの!」
「おいおい、痴話喧嘩か?」
「「違います」」

左右のステレオで同時に否定しあう、アラドとゼオラ
その直後

「仲よしなのね」

天然ミナキ、その空気をバッサリ切った

「ま、喧嘩するほど仲がいいと言うしな。でも、喧嘩はほどほどににな」

そう言うと、トウマはミナキを連れてアイスクリーム屋へと向かって行った

「アラドとゼオラも、大変だな」
「?」
「好き同士なのに、素直になれないっていうか…」
「え?あの二人好き同士なの?」
「………はい?」

ちなみにこの後、トウマ達は今度はアイビスとイルイに偶然会うことになる
それはまた別のお話


トウマ達がいなくなった後

「その…ゴメン…」
「え?」

まずはアラドが先に頭を下げてきた
ちょっと、予想外だったからだ
アラドが頭を下げるなんて
ゼオラもそれに反応するように頭を下げた

「私こそ…なんか…」
「いや、いいよ…」
「アラド………!あ、ラトの事忘れてた!!」

二人が慌ててゲーセンを覗くとバーニングPTを対戦してるリュウセイとラトゥーニがいた

「普通にゲーム………」
「でもよ、二人共楽しそうだぜ」
「そうね…帰りましょうか?」

ゼオラが帰ろうとすると、アラドがゼオラの服をそっと掴む

「ここら辺に、特盛カレー屋があるんだけどよ…その…なんつーか…腹へったってか…」
「アラド…ぷっ…そうね、行きましょう!」

ゼオラは晴れた空を見上げて、アラドを引っ張り走り出した…


〜完〜


745 :おまけ :2007/01/18(木) 18:06:36 gmmBe8yr
久しぶりに携帯から書いたら疲れた…

ラトとマイの闘争はまた今度に
アラゼオメインだけど

………当初はライがもっとメインなハズだったが
アッーな方向に行きそうだから止めたw



748 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/18(木) 18:35:14 pTTtZjpd
>>745
GJ

ミナキかわいいよミナキ



749 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/18(木) 18:38:03 sbLD9un7
GJ

ラッセルラッセル

 ■  Q4mPFQ+b氏作SS「アラドとアイビス」

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その122
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1168864531/l50



652 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/18(木) 02:02:29 Q4mPFQ+b
さて、ここで空気読まずにSS投下しますよ。
アラド×アイビスっぽい……いや、違うかな?
まあ、もしかしたらそうかもしれないので、嫌な人はあぼーんかスルーを。



654 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/18(木) 02:06:24 Q4mPFQ+b
 かちりと最後のパーツをはめ込み、アラドはオートマチック拳銃を目の前に置いた。
 周囲が驚きの気配に包まれる。
 アラドが、落ちこぼれと言われて久しいアラドが、あれよあれよと言う間に拳銃を組み立てのだ。
 同じ訓練を受けていたシャインといえば、まだ銃の分解の途中だというのに。
 これには教官役のカイも目を見開いた。
「見せてみろ」
 強張った表情でのろのろと手を伸ばし、銃を確認する。
「……合格だ」
 カイの言葉に周囲の動揺が更に高まった。アラドの滑らかな手つきから、まさかとは思っていた
のだが、万が一を考えていたのだ。その期待を裏切ったアラドといえば、いつもと同じ笑顔を浮か
べて「ありがとうございます」とニコニコしている。
 普段と変わらない姿こそが、ナチュラルに不自然だった。
「あの、ホントにアラド、だよね?」
 ギャラリーの中から、固い声。アイビスだった。アラドとよくシミュレーターで訓練をしている
落ちこぼれ仲間。だからこそ、この銃を上手に扱うアラドに違和感を覚えてつい問いかけたのだ。
「ん? そりゃどういう意味ッスか?」
「お前たち、まだシャイン王女が終わっていないぞ。無駄口叩くなら出ていけ!!」


「あーあ、せっかく上手くいってたのに、結局怒られちまった」
「ご、ごめんね。私のせいで」
 ところ変わって食堂。紙コップの縁を加えながらテーブルの上に広がるアラドに、アイビスは恐
縮そうに謝った。
 あの後アラドは、カイに
「無駄口をたたく余裕があるなら、シャイン王女が終わるまで分解、組み立てをしてみろ」
 というありがたいお言葉を受けて、また同じことをやらされたのだ。それも繰り返し。
 ゆっくりやろうと手を抜けば、即座に雷が落ちる。泣きそうになりながら、アラドは何度も何度
も分解、組み立てをやらされたのだった。
「いや、別にいいッスよ。慣れてるし」
 その割には、目がなんだか潤んでいたような——即座にそんな疑問がアイビスの脳裏をよぎった
が、口に出たのは全く別の言葉だった。
「……慣れてるって」


「えーと、ほら、俺ってスクールにいたじゃないッスか。あそこはPTの操縦がメインだったけど、
それ以外もちょいとは教えてたし。特に俺なんかは、その回数多くて。
 ほら、ミスとかするとランニングとか腕立て伏せあるじゃないすか。あそこでは、それだけじゃ
なくて拳銃とかの整備もあって……。やっぱペナルティだから一度じゃ終わらない。何度も何度も
やらされるんすよねぇ。
 まあ、そんなわけで分解整備とかはお手のものなんすよ。PTや特機の操縦とかと違って、慣れれ
ば特に才能がいるわけじゃないじゃないし」
 へへと得意気に笑うアラドだが、それを見てアイビスは胸が締め付けられる思いだった。彼が
言った言葉は、自分は罰せられ慣れてるから気にするなと言ったに等しい。
 アイビスとて、宇宙へ行くためにと多くの訓練を受けていたからわかる。アラドが受けたペナル
ティは、肉体的には腕立て伏せなどよりは楽だろうが、精神的にはかなりきつい。何度も繰り返し
やらされる作業は、それだけで重圧だ。それを向こうの気が済むまでとなれば、想像するまでもない。
 不用意に話し掛けた自分を、アイビスは胸中で罵った。
「うん? どうかしたんすか?」
 気付けば、アラドがのぞき込むように俯いたアイビスの顔を心配そうに見上げていた。その優し
さに、アイビスは泣きそうになった。
 誰が落ちこぼれだ。アラドはこんなにも優しい。
「ううん、何でもない」 だから、これ以上気にするわけにはいかなかった。少なくとも、表には出してはならない。
「それよりアラド、お詫びと言っちゃあ何だけど——」
 だから、せめてこの子には明るい未来を。
「今度の半舷、どこか美味しいものでも食べに行こっか」


656 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/18(木) 02:17:19 Q4mPFQ+b
NGシーン

 へへと得意気に笑うアラドだが、それを見てアイビスは胸が締め付けられる思いだった。
「うわ、これ以上アイビスの胸が小さくなったら大変だ!」
「……今度の半舷、美味しいものごちそうしてあげようと思ってたけど、やっぱりやーめた」
「ひ、ひぃぃい!!」

 教訓、口は災いのもと。



660 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/18(木) 02:25:02 Q4mPFQ+b
オウカスレの116に触発されて書いた。
64式整備できるアラド妄想して(*´Д`)ハァハァ

分解整備の訓練やらペナルティのあたりは完全に妄想なので、本気にしないように。
ちなみに、半舷で食べに行く先はバイキング(デザートあり)だと思う。
でないとアイビスの財布が危ない。
そしてブラックリスト載りの二人。



661 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/18(木) 02:27:49 L7+iID7X
>>654-656
ウム、いいSSだ。
クスハ汁GJを授ける。

…若本ほどの破壊力はないが、やっぱりハジけるんかビアン総帥・・・。

2007年02月18日
 ■  UDHydYjw氏作SS 運命の夏の日 雨

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その122
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1168864531/l50

あの名作が改訂されて帰ってきた!

運命の夏の日 エピローグ
http://suparobo.net/old/2006/09/post_495.html

注意:シリアス・重めの展開です



248 :夏の日の巨人・雨 :2007/01/16(火) 18:19:09 UDHydYjw
「私には五つ上のお兄ちゃんがいたんだ…」

夏…去年はお兄ちゃんが帰って来て素麺を一緒に食べたんだったよね…
私もお兄ちゃんの真似をして山葵を入れてみたけど駄目で、みんなで笑ってたよね…
お兄ちゃんは、それから一ヶ月しないうちにどっかに行っちゃったんだよね…
お家に手紙が届いて、お母さんが泣き崩れた時はびっくりしちゃった

「宇宙でお兄ちゃんの部隊が…」

私は最初、嘘だと思ってた…
なんかの冗談か、間違いだって…
だって、お墓にはお兄ちゃんいないんだよ…
宇宙…って広いし、きっと無事で、また、いつもみたいに玄関を開けて帰ってくるって…信じてた
だけど、お兄ちゃんはいなくなっちゃった…
呼んでも帰って来ない…手紙を書いても帰ってこない…電話をしても…
でも、お兄ちゃんのお部屋はそのまま残ってるの…
時計も動いてるし、小さい頃に買った机もそのまま、本や作りかけのパズルも…
だけど………そこにはもう来ないんだよね…
顔も見れないし、声も聞けないんだよね…大好きだったお兄ちゃん…


そして、今年も夏が来たの…

〜夏の日の巨人・雨〜


「バイト〜っ!皿洗い終わったら上がっていいぞ〜!」

夏の中華料理屋での熱気との戦いにも負けず
汗だくになりながらもあと数枚で既に彼の皿洗いは終わりそうだ

「は〜いっ!お疲れ様で〜す」

バイトの彼、トウマ・カノウは急いでいた 次のアルバイトまでの時間が迫っていたのだ
彼はハイスクールでやりたいことが見つからず、ハイスクールの夏休みを利用していろいろなアルバイトや、資格を会得していた
しかし彼自身、どうしても『コレ』という仕事が見つからない そのせいか、いろいろなアルバイトをやり続けている
トウマは皿洗いを終えると、鞄から新しいシャツとタオルを取り出し、職員専用のロッカーで着替えと臭い取りをすます
中華料理屋の裏口から飛び出すと、時計を気にしながら走り出した

「やばいな、確かこっちからなら、近道…うわっ!そうだった…」

普段近道を使わないせいもあり、近道は通行禁止になっていたことを忘れていた
トウマは『通行禁止』冷たくおいてあるただの看板に背をむける
今、地球…いや、太陽系はあらゆるところで戦争をやっている
幸運か必然か、この地区には軍事基地や、軍事関係の設備がまるでなく
戦闘区域に入ることはほぼなかった。トウマが夏休みのバイトでこの辺りを選んだのもそれがある
最近の戦争での被害らしき被害と言えば、2ヶ月前に近くで起きた戦闘が起きたときくらいである
この通行止めもそのときに、飛んできた流れ兵器によってなっていたのだった

「ドンパチするなら、関係ない所でやってくれよな…」

バイトまでの時間を気にして、苦い顔をしながら、時計を見て頭をかき
ボソッと愚痴をこぼした次の瞬間、罵声がとんできた

「何言ってるのよ!…何も…何も知らない癖に!!」

…12歳くらいの女の子がそこに立っていた
トウマが無視して通り過ぎようとすると、女の子はトウマの上着を掴んで離さなかった

「君…あの、先、行きたいから離して…」

トウマが言いきる前に少女の目から大粒の涙が零れ落ちる…
いきなり、目の前で泣かれ、トウマは混乱し、辺りの視線に耐えられなくなり
トウマはその少女を振り切って黙って走って行ってしまった罪悪に近いものを感じつつ…

(…なんだ?あの女の子………)


本日のバイトが終わり、日も暮れてきた
今、午後七時…
夏の日暮れは遅い…
トウマは少し気になる事があり、ある場所に向かった
『通行禁止』と書かれた看板の前にその少女は座っていた
トウマは、その少女にジュースを無言で差し出した
どうにも、どうすればいいのかが分からない…
少女は始め、びっくりした顔をしていた
それはそうだ。いきなり、昼間にただ会っただけの人間にジュースを差し出されても、反応にこまる

二人の間に無言の変な空気が流れる…

「昼間は…その、ごめんね…泣かしちゃって…」

少女は、少しポカーンとなった後、クスクスと笑い出した

「それだけで、ジュースを?」
「あ、ああ…変…かな?」
「いえ…ありがとうございます……誘拐とかじゃ…」
「ない!」

その後、軽く世間話をすると街灯がつき始める
気がつくと、辺りのイルミネーションが光輝いており、本当に戦争しているのか疑問さえでてくる
戦争中に、夜中電気がつくなど本当ならありえないからだ…
送っていこうか?と、トウマが聞くと少女は首を振り帰路についた

次の日

トウマは街の路上販売をしていた
昔からの友人に頼まれたバイトで、友人の造った趣味のアクセサリーを売っている
友人のアクセサリーは貴金属の扱いバイトにも抜かりの無いトウマも気に入っていた
それにしても、暑いの一言につきる
天気予報などで言っている、気温より体感温度はプラス5〜10度上なんじゃないかというほどだ
そのため、夏場はその照り付ける太陽がやけに憎い。コンクリートから跳ね返る熱気に蝉の声さえ欝陶しい
暑さを流す雨でも降ってくれないかと願ってしまうほどだ…

「…今日はこれくらいにするか」

トウマは時計を確認し、商品を片付け、友人に返すために喫茶店に出掛けた
友人を待てども来ない。トウマのイライラが少しづつ上がっていく

「あ…お兄ちゃん…」


昨日の子がそこにいた
辺りを見ても保護者の人がいるような気配がない
トウマは不思議に思った

「…ひとりなの?」
「え?…あ…はい…」

事情を聞くと両親は近くのデパートで買い物をしてるらしいが
その事情を話し照るとき一度も、トウマの目を見なかった彼女の説明をトウマは、鵜呑みには信じなかった
トウマは、気になってたことを聞いた

「そういえば、昨日言ってた、知らないことって?」
「実は…私にはお兄ちゃんが…五つ上のお兄ちゃんがいたんです…」

彼女は寂しそうな顔をまずして
ストローで、注文していたレモネードの飲みかけをゆっくりとかき回す
カランと、少女のレモネードの氷が溶け音をたてる…

「でも…去年…戦争で…軍にいたお兄ちゃんは…」

少女の身体が震え始めた
トウマは席を立ち、その口から出てくるであろう言葉を遮った

「ゴメンッ!嫌な事…聞いたね」

二人の間に気まずい雰囲気が流れる
そこにトウマの友人が、アクセサリーを取りに大声で走ってくる

「あ、すいません…私、用事が」

彼女なりに気を使ったのだろう
少女はその場を立ち去り、デパートとは逆の方向にと走り出した

その日、トウマは、アルバイトを休んだ


(軍人さんにも家族や、友人、恋人、大切な人はもちろんいる当たり前の事だ…
そして、俺は…その軍人さん達に助けてもらってる
俺には関係ないと思ってた…いや…思うようにしてた…戦争…
関係ないわけ…ないんだ…
あんな小さな子が…それを教えてくれた……………俺は…)

布団の中でトウマは考え混んでいた…
これからの自分自身について…どうするのかを…

一週間後

トウマは少しだが変わっていっていた
困り弱ってる人を助ける…
彼はそんな人間を目指していた
だが人間、そうそう変われるものではないが…少しずつ…少しずつ…
あせる必要はない、一歩づつ確実に彼は変わっていた
あの子とはあれから一度も会っていない、たまたま会えないだけなのか…
この街にはいないのか…
やはり、あの時もご両親や、保護者とは来ていなかったのだろう

トウマはそんなことを考えながらいつものアクセサリーの路上販売をしていた…
すると、トウマの頬の近くに冷たいジュースがでてくる
トウマが「うわぁあ」と少し退くと

「お久しぶりです、お兄ちゃん」

トウマの目の前にあの子がクスクスと現れた
元気そうなその姿を見てトウマはホッと安心した

「久しぶり…最近見ないかったから…」
「夏休みの宿題してたから…日記とか」

いまだに、終わらしていないトウマにはけっこう痛い言葉である
少女は商品のアクセサリーをマジマジと見つめる

「綺麗ですね!お兄ちゃんが造ったんですか?」

トウマは首を振り、友人の手伝いのアルバイトと伝えた
少女はアクセサリーをジッと眺めている
この子は多分、本当はこういう子なんだろう…

「なにがいい?プレゼントしてあげるよ」

トウマの意外な一言に少女は首を振った

「遠慮なんかしないで…ほら、選びな」
「ありがとうございます…え〜と」
「トウマ…トウマ・カノウだ」
「トウマお兄ちゃん!」

少女は食いつく様にアクセサリーを吟味していた

「そういえば…君の名前は?」
「コレかな…え?私の名前ですか?」
「そう…君の名前」
「私は…」

その瞬間だった…


多分…爆風が吹いた


気絶したトウマが気がついた時、辺りは阿鼻叫喚の地獄だった

いきなりの敵襲…

逃げ惑う人…
泣きじゃくる子供…
燃える盛る建物…

「あっ…あの子は………」

トウマは必死になって探した
頭の中ではこういう時、何故だか最悪の場面しか浮かんでこない
トウマは唇を噛みしめた…口から弱音が出てこないように…希望が少しでもあるのなら…

しかし、見つけたのは…その子の…一部………
その右上半身の手にはしっかりとペンダントが握られていた…
それは、彼女が決めたトウマとの絆になるべきだったモノ…

トウマは…声をあげて泣いた…これが戦争という現実…なのか…と
しかし、名前も知らない少女は返事をしてくれない…
そして、敵の機動兵器は破壊をやめない…
それは彼の目の前にも現れた…
トウマは既に恐怖と悲しみで動けなくなっていた

(俺…死ぬのか…?嫌だ…まだ死にたく…)
「っうぉうううううああああああぉお!!!」

何に対して発した言葉かわ分からないトウマの雄たけびが響き渡る


そこに雷撃と咆哮が木霊する

『チェストーォッ!』


トウマの眼に映るは一機の特機
彼の声に呼ばれて来たのかはわからない
巨大な日本刀を持った…夏の日の巨人…


軍の人達に誘導され、非難シェルターで一晩過ごし
街に出るトウマ…弱い自分を悔いながら…
それは夢ではなく、現実、もう帰ってこない現実
それは…既に自分の知ってた街ではなかった
彼女がいた場所にも何もなかった

…そして…雨が降った…なにも流してはくれない雨が…

トウマは空を見上げた
そして…守りたいと…誓った…心から…そう、果てなく…

8月のある日の日記…
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

変なお兄さんと会いました。
いろいろなアルバイトをしている働くお兄さんでした。
とても、優しくて、面白いお兄さんでした。
街に行って、また、そのお兄さんとお話がしたいです。
だから、早く宿題を終わらせたいと思いました。
お兄さんを見てると、お兄ちゃんを思い出して、安心します。
あんまり似てないのに、何でか分かりません。
でもこの前はちょっと喧嘩したから、今度会うときは仲直りして会えるといいなと思いました。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜夏の日の巨人・雨〜完〜


2007年02月16日
 ■  ic6TCU6b氏作 「ある日の五人の鍋」

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その121
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1168566852/l50


117 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/12(金) 23:57:43 VVkbWhPM
とりあえず今更だが
ここまでの流れの反動でみんな思う存分だらだら過ごすといいと思うよ
せっかくの週末(終末にあらず)なんだし



121 :ある日の五人の鍋 :2007/01/13(土) 00:10:48 ic6TCU6b
「遅くなって済まない。クロガネのドック入りが遅れてな」
「おっ、肉が来たな」
「人を土産物で呼ぶな。俺が最後か、タスクは?」
「キッチンで下ごしらえしてるよ。寒かったでしょ、お茶どうぞ」
「ちょっと待ってくれ、指がかじかんで手袋が……イギリスに比べればと思って
いたが、日本の冬も厳しいな」
「今が一番寒い頃だからな。今日はじき雪になるって言ってたぜ」
「おーい、支度できたからそろそろテーブルの上を片付け……お、来たな肉」
「人を土産物で呼ぶなというのに」

「そこの青いロボどけてくれ。皿が乗らねえ」
「あっあっ、変なとこ掴むな! グレートバーンガーンは胸が外れやすいんだ、
もっとこうやさしく抱き上げるように」
「知るか! 触られたくないなら、テーブルの上の玩具をさっさと全部片付けろ。
なんて部屋だ、まったく」
「白菜があと一皿あるんだけど、入りきらないな。床に置くから踏むなよ」
「しかし、たまの休日に男五人で鍋を囲むとはむさ苦しい図だ」
「まあ、たまにはいいじゃない。全員集まるなんてめったにないんだし。はい、
ガスボンベ」
「サンキュ。ほんとはクスハちゃんも来るはずだったんだろ。なんで駄目になったんだ?」
「看護学校時代の友達が急に結婚することになって、内祝いだと言ってた。
お祝いだって、色々持っていったよ」
「色々って?」
「……色々だ」
「……もしかしてそれがなかったら、この鍋に持ってくるはずだったのかな」
「その友達に感謝しよう。タスクこそ、レオナはどうしたんだ」


「ガーシュタイン家主催の何やらがあるとかで、顔出さないわけにいかないんだってよ。
リュウセイんとこのライ少尉も出るっつってたぞ」
「あー、そういえば」
「カーラは?」
「あいつは寒さに弱い。こたつから出ないので置いてきた」
「猫かよ」
「リオは正月の準備だって、月に帰ってる」
「正月? 今頃? あ、中国式か」
「爆竹鳴らしたりするあれだろ。てっきり、リョウトもお呼ばれだと思ってたけどな」
「そんなことないよ。旧正月は家族水入らずで過ごすものだってさ」
「旧正月『は』ね」
「くそ、相変わらずさらっと濃厚にラブい奴」
「まあお前ら、彼女がいるだけましじゃねえか」
「「「「お前にそれを言う資格はない」」」」
「なんだよー」

「ところで、寄せ鍋につみれなんて入れるか?」
「うちは入れるぞ。普通だろ」
「魚があるのに、ダブるじゃないか。みんな入れるか?」
「うちも入れてたよ。でもあぶらげはなかった」
「えー、あぶらげは必須だろ。それより、なんだこのぶっといネギ」
「シモニタ・ネギを知らないのか。鍋には最高だぞ」
「鍋のネギつったら観音ネギに決まってんだろ!」
「なんだそれ?」
「異文化交流だなあ」
「祖父が鍋を作る時は、こぶ茶をひとつまみ必ず入れていたな。香りが引き立つといって」
「流石……」
「言っとくが、紅茶の葉は入れるなよ。おっ、こっち煮えてきた」
「「「「「いただきまーす」」」」」


「熱っ、はふっ、うま」
「うま、うま、アチチチチ」
「フッ、肉から食うとは品のない奴め。俺は肉を横目に見つつ、シブくネギから行くぜ」
「何が渋いんだ、そりゃ」
「いいんだよ」
「いや、でもこの肉おいしいよ。さすがエルザムさんのお墨付きだけあるよね」
「肉汁が甘くてうまいよな。こんないい肉食ったの、ホワイトスター討ち入り前の
宴会以来だ」
「この肉が手に入ったから、鍋を企画したようなものだからな。スイスの高地で、
ビール粕を食べさせて育てた牛だそうだ」
「ふーん、酔いそうだな。おっ、春菊もうまい」
「ところで、ここの所どうしてたんだ、ユウ? お前だけ普段連絡が取れないからな」
「夏からずっと、南米のDC残党狩りさ。コーヒーは山ほどあるのに、ろくな紅茶がなくて参った」
「贅沢言うんじゃねえや、俺とリョウトなんて地球へ下りるのも久しぶりなんだぞ。あ、その
豆腐いい感じ」
「もーらい」
「あー!」

「ユウ、ホタテそろそろ堅くなっちまうぞ。ブリット、お前シイタケも少しは食えよ。
あっ馬鹿、そっちから肉入れんな。手前から順に入れてけば、そっちの端がいつでも
煮えてる具になってわかりやすいだろ」
「いいじゃねえか、どうでも」
「タスクって鍋奉行だったんだね」
「意外だったな。まあ、仕込みもほとんど奴がやったし」
「野菜入れるぞ。鍋が冷めるから、食いたい物は今のうちにとっとけよー」
「ちょっと待て、もう一杯。……それで、お前達こそ最近どうなんだ」
「俺たちは相変わらずさ、リョウトが順調に出世してるくらいかな。先月からプロジェクト
チーフだってよ。昔風にいや係長だぜ」
「軍出向だから、階級に合わせて役職が付いてるだけだよ。部下がいるわけじゃない」
「SRXチームは、最近あまり名前を聞かないな。何やってるんだ? 伊豆にはいるんだろ?」
「あー、うーんと……色々やってんだけど、守秘義務で言えねえんだ。ごめん」
「まあ、そういうこともある」

「汁が減ってきたな。リュウセイ、ポット取ってくれ。……てかユウ、お前がさっきから
汁ばっか飲んでっからだ」
「いいだろう別に、この味が好きなんだ。旨みが複雑で、深い」
「そりゃそうだろうけどよ」
「俺は鍋ってえと、底にしいた昆布を最後にかじるのが好きだったな」
「僕はこの、クタクタになった白菜の葉のとこが好き」
「俺はこの白身の魚が気に入ったな。脂が多いのに淡白で、うまい」
「ああ、納得」
「何が?」
「鰤ってんだ、その魚」
「…………」

「あれ? ここにあったイモは?」
「もう誰も食べねえと思って、鍋に入れた」
「えー! 早えよ」
「録画の確認なんかして、いちいち席を立つからだ。最後はおじやか、それともモチか?」
「一応、うどんも用意してあるけど」
「待て待て待て、ここだけは家主権限でダテ流でいかせてもらうぜ。刻みネギと卵と
御飯をもてい!」
「はっ、これに」
「ちょっとこう、塩で味を調えてだな。かき回しつつ……よし、今だ! てい!」
「おー」
「おー」
「うまー」
「鍋の最後のおじやって、なんでこうしみじみ美味しいかなあ」
「俺、これが一番楽しみ」
「日系人であることの喜びだな」
「リシュウ先生に教えを受けて良かった……」


「あ、雪降ってら」
「ほんとだ。いつのまに」
「冬だねえー」


End





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126 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/13(土) 00:15:17 ic6TCU6b
>>117
ダラダラしてみた



127 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/13(土) 00:17:19 lJdehYUt
凄く和んだ。



128 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/13(土) 00:20:42 Svsq1x/m
>>126貴様アッー!


定番の実にトロンベ



129 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/13(土) 00:22:29 cr+zTeG3
GJ!!いつも、α5人組をありがとう御座います。



131 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/13(土) 00:24:18 swQuFK0U
ちくしょう毎度GJだぜ!



132 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/13(土) 00:26:37 VSVj+pfU
いいねぇ、男の友情ってのは



133 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/13(土) 00:29:37 SxAmTx6t
男の友情は美しいなあ


702 :>>121、少し便乗させてくれ :2007/01/14(日) 21:21:10 N3lXKLVb
「ダテさん、息子さんからお手紙が届いてますよ」
「あ、ありがとうございます」
ある病院。
入院中の患者の下に、看護師が手紙の入った封筒を持ってくる。
封筒を受け取った患者の女性は、柔らかい笑顔で看護師に礼を言う。
「ふふ、元旦に顔を出してくれたばかりだというのに、あの子もマメね」
今は軍で働いている息子のことを思い出し、その笑顔は母性に溢れたものになる。
「ダテさんに寂しい思いをさせたくないからだと思いますよ。いい息子さんじゃないですか」
「ええ。私の自慢の息子ですよ」
白い封筒の口を開け、中を取り出すと、手紙が一通。そして。
「あ、写真」
看護師が呟く。写真が何通か入っている。
写真を見ると、そこには息子と、息子の仲間らしい青年が4人映っていた(>>121)。
「この子たちは……リュウセイのお友達かしら?」
他の写真を見ると、息子と金髪の青年と肩を組んで笑っている写真や、バンダナを巻いた
青年とゲームをしている写真がある。
手紙を見ると、息子らしい大雑把な字で、こんなことが書いてある。

 お袋、元気にしてるか?
 元旦の時はあまり時間とれなくてごめん。
 写真に写ってるのは、俺の仲間だ。みんないいヤツで、シビアになりがちな軍の中でも
 こいつらのおかげで元気にやってられる。
 次に会いに行けるのはいつになるかわからないけど、それまでには手紙とか
 たくさん送るからさ。元気にしててくれよな。
 
 P.S:俺と同じチームのヤツで、お袋を紹介してくれって言ってるのがいるけど、
 今度連れて行けそうな時があったら連れて行くよ。
 
「……ふふ、あの子ったら、相変わらず子供みたいに」
写真に写る息子の顔を指で撫で、微笑む。
息子が軍に入ってから、長い時が経ってる。地球の危機を救うような任務も、こなしている。
だけど、母親であるこの女性からすれば、子供はいつまでも子供で。
「みなさん。どうか、私の息子をよろしくお願いしますね」
写真に写る息子の仲間に、そう微笑んだ。


———————————



703 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/14(日) 21:24:04 GcJilSaW
>>俺と同じチームのヤツで、お袋を紹介してくれって言ってるのがいる

ICE MANか?ICE MANなのか!?

GJ。



704 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/14(日) 21:24:32 wK5bhsue
>>702
ラァァイが未亡人狙ってっうぇwww


705 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/14(日) 21:25:01 HsiF0HNF


706 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/14(日) 21:25:33 6/OAogpG
>>702
Gj.
乾いたのどが潤った感じだ。





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番外編:だらだらシリーズ



134 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/13(土) 00:32:42 1yqV5RE2
>>117
テニア「ふにゅ〜」
メルア「く〜、く〜」
カティア「すぴ〜」
統夜(微動だに出来ん!)
シャナ「ジ────」
統夜「あ、シャナ!いい所に!助け(ry」

10分後。

シャナ「Zzzz」
統夜「息すら出来(ryガクッ」



136 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/13(土) 00:44:52 VAoF6sQO
誰かマサキ召還笛持ってきてー。なんか凄いでかい耳クソが取れた



137 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/13(土) 00:48:24 /xP+dvRe
それ友人関係解消フラグですぜ



138 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/13(土) 00:52:50 VSVj+pfU >>136
何やってるんですか、甲児さん



140 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/13(土) 01:06:54 7b5IfGoJ
>>136
ブリ笛ならぬマサ笛か?



141 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/13(土) 01:10:05 8B39GMdf
>>140
EXのEDに出てきたエーテル通信機の話
甲児とマサキが某大使を呼ぶ笛に例えてたけど
実際、笛のかたちをしているかは不明



139 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/13(土) 01:00:52 YX2zrRhR
>>57
>>117
メイシス「あ、アルティス様…大切な話がございます!」
アルティス「メイシスか。すまないが提言なら明日にしてくれ。今日はだらだら過ごすべき日らしい」
メイシス「は? い、いえ! 今日は一軍の将としてではなく、ひ…一人の…その…お、女として…」
アルティス「貴公も炬燵に入るがいい。今日の為にラリアーからDVDと言うものを借りて来たのだ」
メイシス「いえ、ですから提言ではなく…」
アルティス「ランボーと沈黙の戦艦、それにコマンドーがあるが、貴公はどれが見たい?」
メイシス「…コマンドーで」
アルティス「うむ…そうだ、確か野菜を漬けておいたのがまだあったな。それを出せば更なるだらだら感が得られよう」
メイシス「アルティス様はそのままで。私がお持ち致します」
アルティス「いや、今日は貴公が客人だ。貴公は楽にしていてくれ。私がもてなそう。そうだ、茶も煎れるべきだろうな」

「起こさないでやってくれ。死ぬほど疲れているんだ」

アルティス「どうだ?」
メイシス「は、美味しゅうございます」
アルティス「そうか。だがメイシスには及ばぬ」
メイシス「いえ、私など…」
アルティス「今でも、貴公の煎れた茶が恋しくなる時が、たまにある」
メイシス「……」
当初の目的からは外れてしまったが、こういうのも悪くは無い。

「いったい何が始まるんです?」
「第三次世界大戦だ」

後は映画が、もう少しマシなものならば尚良かったのだが。
メイシス「かしこまりました。台所をお借りします」
アルティス「待て。今日は私が…」
メイシス「アルティス様は自らの事に専念してください。私は傍らで、貴方を支え続けましょう」
アルティス「…うむ。すまんな」

「銃なんて捨てて素手で来いよベネット!」

2007年02月09日
 ■  t10nTXcH氏作SS「ハガネ新年会」

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その119
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1167820636/l50


458 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/05(金) 22:34:34 t10nTXcH
さて、七草粥なんていう時期にすでに出てるかもしれないネタのSS投下してもいいですかね?





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468 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/05(金) 22:47:38 t10nTXcH

戦艦ハガネの格納庫内は新年早々に騒がしかった。
整備員班長「そこーっ!トロトロしてんじゃない!!
      さっさとリフトをどけろー!」
ハガネ整備班長が拡声器を使って部下に檄を飛ばす、
整備班長「カチーナ中尉!赤ゲシュ退かしてください!」
カチーナ「わぁったよ!」
整備ドック内を世話しなく走りまわる整備員を踏まないように、
カチーナの乗る赤いゲシュペンストが慎重に格納庫の隅を目指し歩きだした。

良く見るとほとんどの機体が格納庫の隅へと追いやられており、
何故か床には空になったマシンガンのカートリッジが点々と置かれていた。
なかでも一番異彩を放っているのは、

  『賀正』やら『謹賀新年』とあちこちに塗装され一機だけポツンと立つ
                       ビルトシュバインの姿だった

 — 数時間後 —
格納庫入り口には「新年会会場」と書かれた紙が貼られており、
怒号が飛び交っていた格納庫内には笑い声が響いていた。
床に置かれた空のマガジンの上には、様々な料理が並べられており、
開始十数分しか経っていないのに床には十本ちかい酒瓶が転がっていた。

ロブ「どうだぁリュウセイ?仕事の合間に市販のを徹底的に改造したんだぜぇ・・・」
リュウセイ「すっげ〜なロブ、この関節部分どうやって作ったんだ?」
ロブ「そこかぁ?そこは強度が弱い部分だったからテスラ研に余ってたグルンガストのパーツをギッて作った」
酒が入ってるせいか何気に危険な発言をするロブ、
リュウセイ「へぇ〜いいな〜、でも良いのか?そんなの使っちゃって?」

当たり前の反応を返すリュウセイ、

ロブ「いゃけっこーテスラ研の連中全員いろいろやってるぞ。
   この間なんてフィリオが『フェアリオンのバックダンサー』とか言って、リオン数機をプログラムで踊らせようとしてたぞ」
リュウセイ「・・・・・」
ロブ「ぁ!リュウセイこの事は絶対に秘密な!秘密!」

酒で赤くなった頬でケラケラ笑うロブ。
 後日彼を含むテスラ研の所員のほとんどが厳重注意処分を食らったのであった。
                            お酒による失敗には皆様注意しましょう。

マイ「・・・リャトォーニには絶対リュウおわあさない!」
    訳)ラトゥーニには絶対リュウをわたさない!
ラト「しょれはほっちのせりふよぉ」
    訳)それはこっちのせりふよ
そろって顔を赤くしながら口論(?)を続ける二人、そしてそれを眺めるエクセレン、
エクセレン「まさか・・・お屠蘇飲ませただけでこぅなるとは・・・」
つい数分前の事、この二人に飲ませて大丈夫だろうと
お屠蘇を一杯ずつ飲ませたのだったが結果は見ての通り、ぐでんぐでんに酔っ払った


二人は互いにリュウセイについて熱く語りながら、小突きあっていた。
エクセレン「まぁまぁ二人ともそこら辺で・・・」
さすがに酒が入った状態での小突きあいは怪我もするかもしれないので止めにはいるのだが、
二人「「しょうひはらまってて!!」」
エクセレン「はい!」
二人から物凄く目の座った顔をされ、堪らず逃げ帰るエクセレン
キョウスケ「・・・すごい表情だったな」
エクセレン「ヒロインとしての表情を取ると、あぁなるもんなのね」
キョウスケ「・・・(すでにヒロインかどうかも怪しい者が言っても説得力がまるで無いな)」
エクセレン「キョウスケ今ものすごく私に失礼なこと考えなかった?」
キョウスケ「なんのことだ?」
自慢のポーカーフェイスでやり過ごす男キョウスケ=ナンブ。
そんな二人を他所に、マイとラトの語り合いは終わりそうに無かった。

タスク「なんか自信無くしそ・・・」
ラッセル「まぁまぁ、いろんな意味で型破りな人ですから・・・」
統夜「ラッセルさんの意見も分かるけど、確かに自信を無くすよなぁ・・・」
新年早々を自信を喪失する二人と、それを励ますラッセル。
ゼンガー「どうした紫雲、それにタスク。元気が無さそうだが?」
そう言いながらとても心配そうな顔で二人を見るセンガー、
二人「「いえ、なんでもないです (少佐、貴方が原因です)」」
二人が自信を無くした原因とは、ゼンガーが着ている羽織袴であった。
日頃から侍カブレと言っても過言ではない人間であるが、
体格がいい上に変に漢の貫禄が滲み出ているためか、異様に似合っていた。
日本人である二人からしてみれば自信を無くす理由にこれ以上のものは無い。
ゼンガー「そうか、ならいいんだが」
ゼンガーはそう言うと三人の前を去って行った。
ラッセル「二人とも元気を出して何か食べましょうよ」
統夜「・・・そうですね」
即席の机の上に置かれたおせち料理を食べ始めると現金なもので二人の元気が戻ってきた。
ラッセル「(良かった。二人が何時もどおりの元気さを取り戻してきた。)」
そんなラッセルの保護者のような心中とは違い、二人はと言うと、
タスク「・・・見ろ統夜。少佐黒豆が箸でつかめなくて困ってるぞ」
統夜「・・・本当だ」
しょうもない事で自信を取り戻していた。

新年会会場の中で、特に盛り上がっている場所があった。
そこには『かくし芸会場』と張り紙がされてあり、人だかりになっていた。
イング「行くぞ!オリジナル!」
アラド「分かった!」
アラドとイングが元気良く見物人の前に出て行き、
揃って床に寝そべるとイングだけ上半身を起こしながら、
イング「ゆ〜たいりだつ〜」
そこまで言うとイングは再び床に寝そべりながら、
二人「蘇生」
そう言うと二人揃って起き上がる。
なまじ髪の毛と肌の色しか違いがないので実にそれっぽい、観客もそろって感嘆の声を上げていた。
客の投げたおひねりを拾うと二人は下がって行く。
ツグミ「続いてはチームTD+αによるミニゲームです」
そう言って観客を盛り上がらせるツグミの背後ではセレーナとスレイ、
アイビスがリンボーダンスの準備を黙々と始めていた。


会場から少し離れた機体の陰でカイ=キタムラは自身の財布の中身と睨めっこをしていた。
カイ「・・・・やはり一人頭3千が限界か、いやしかしそれでは面目が・・・・・」
どうもお年玉をどれぐらいにしようか悩んでいるらしい、
カイ「この際ラミアには、年長者として我慢してもらうわけには・・・・いかないな」
教導隊隊長としての心と保護者としての心がせめぎ合いを続けているらしく、
普段のカイでは考えられないことだが背後に近づく人影に気づかなかった。

イルイ「カイおじさん明けましておめでとうございます。」
突然背後から声を掛けられカイは驚きの顔のまま着物を着たイルイに振り向いた。
カイ「あぁ、明けましておめでとう。可愛い着物を着せてもらったな」
イルイ「うん!お母さんが用意してくれたんだよ!」
カイ「そうかそうか良かったな」

着物を誉められて嬉しそうに跳ねているイルイを見ながら
「娘も幼いときはこんなに素直だったのにな」と思い目頭を軽く押さえた。

イルイ「おじさんどうしたの?」
カイ「いゃ、目にちょっとゴミがね」
素直に心配してくれるイルイにますます自分の娘の姿を重ねてしまいそうだったで、
カイ「そうだおじさんから、イルイへお年玉をあげよう」
そう言ってポチ袋をイルイに渡した。
イルイ「おじさんありがとう!」
カイ「大事に使うんだよ」
カイにぺこりをお辞儀をするとイルイは彼女の母であるソフィアの元へ駆けて行った。
カイ「うちの娘も幼いうちは純粋で可愛いかったのだがな・・・」
感慨深げにうなずくカイ、
イルイ「お母さ〜ん!カイおじさんがお年玉くれたー!」
元気で大きな声でイルイがソフィアに報告する声が聞こえた。
イルイの元気な声がカイの元まで届くということは、カイ以外の耳にも届くという事で「カイ」と「お年玉」という単語に反応した面々が

カイの元に殺到したのは当然の結果であった。

新年会の裏である厨房では、レーツェル、塚を代表とする面々が新年会の料理を作りつつ、
調理場では万全の警戒態勢を敷きクスハ、ミナキ等を代表する面々の調理場への侵入を防ぐ
という戦いがあったのは、歴史の中で語られることは無かった。

ギリアム「フッ、ODE(お年玉で、できるだけ、えぇ思いしたい)システムだ」
ヴィレッタ「・・・・貴方はあげる側でしょ」
この二人も数十分後には、己の財布の中身の寒さに震えることになるのであった。

2007年01月29日
 ■  影が薄くとも主役は主役なのです

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その116
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1165845551/l50



535 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/12/15(金) 23:17:04 p3MV1t0K
>>薄主人公、メタル、ゾンビ

・・・だめだ、もうヒューゴしか思い浮かばない。
>>25辺りのフォリアの妹使ってSSでも書こうかしら・・・・




582 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/12/16(土) 02:46:28 kZz/AXZc
>>535で言ったモノが上がったので、投下する。急造ゆえ、誤字脱字駄文御免。

ヒリュウ改艦内廊下

ヒューゴ「ふう・・・これで全部か。」
アリエイル「あら。ヒューゴ少尉にアクア少尉、そのダンボールの山は一体?」
アクア「ちょっとヒューゴの部屋の模様替えをしようと思ってね。」
ヒューゴ「エクセレン少尉に風水の本を貰ったらしくてな。影響されやすい奴だ。」
アクア「む。いいじゃない別に!!活躍してみんなの目を引くためよ!!」
キョウスケ「その格好で十分だと思うがな。」
アリエイル「キョウスケ中尉達もいらしてましたか。」
エクセレン「わお、見事に杭打ち同盟が揃ったわね。」
アリエイル「杭打ち・・・・、お言葉ですが私のフリッケライは」
エクセレン「まあま、そんなことより。むふふ、ヒューゴくぅん?
       この写真のカワイコちゃんはだ〜れ?」
ヒューゴ「写真?・・・クライ・ウルヴズの頃のものですね。」
エクセレン「アクアちゃん、大変じゃな〜い。こんな可愛い子が居たんじゃ。ライバル登場?」

アクア「な!?ちょ、ちょっと見せて・・・。(あ、可愛い)で、でも、TEエンジンの制御は私しか・・・」
ヒューゴ「何を言っている。パートナーはお前以外に居ないだろう?
      その人は・・・フォリアの妹だ。俺にとって、姉と呼べる人だった・・・」
アリエイル「フォリア?」
ヒューゴ「おれの親友だった人さ。」
アリエイル「!!ご、ごめんなさい、そうとは知らず・・」
ヒューゴ「かまわない。」
アクア「ねぇ、その人の話 聞かせてよ・・」
ヒューゴ「ああ・・・・、いいだろう。」

エクセレン「・・地雷だったかしら?」
キョウスケ「そのようだな。」
エクセレン「あちゃ。ゴメンして、ヒューゴ君。」

 クライ・ウルヴズ。そこには父と、友と、・・・姉が居た。
今はもう存在しないその部隊は、俺にとってまさしく家族と呼べるものだった。


チュンチュン・・・
ヒューゴ「ん・・・、朝か。少し寝すぎたか?」

戦場の朝は早い。しかも今日は飯炊き当番だ。急いで炊事場へ・・・
俺はぼーっとする頭をブンブン振って、眠気を覚ました。

炊事場には、先客が居た。淡い金色の長髪に、エメラルドのような透き通った緑の瞳。
救護班のセリア・エスト・・・隊長の娘だ。

ヒューゴ「おはよう、セリア姉さん。」
セリア「こら。遅いぞ、君は。女だからって、私に全部押しつけるつもりなの?」
ヒューゴ「う・・その、すまない。」

どうもこの人には頭が上がらない。

セリア「分かればよろしい♪では罰として、食器並べを命じる。」
ヒューゴ「クスッ。わかったよ、姉さん。」
セリア「それと・・・おはよう、ヒューゴ。」
ヒューゴ「・・ああ、おはよう。」

朝食が終わり、ブリーフィングが行われた。

アルベロ「さて諸君、我々は調査を行うこの地に到着したわけだが・・」

アルベロ・エスト、この部隊の隊長であり、俺を拾ってくれた人でもある。

アルベロ「・・・以上でブリーフィングを終わる。各員、機体のチェックを怠るな。解散!!」


ガヤガヤ・・・

フォリア「ヒューゴ!!」

こいつは、フォリア。隊長の息子にして俺の親友。兄弟同然の仲だ。

ヒューゴ「何か用か?機体の方はもういいのか?」
フォリア「つれないなー、折角ひとが作戦を前に緊張して居るであろう親友を
      励ましてやろうと思ったのに」
ヒューゴ「作戦・・・ただの調査だろう?」
フォリア「おいおい、親父がいつも言ってるだろう。『どんな作戦であろうとも危機意識を持って行え』って。
      俺、絶対に親父に認められて見せるぜ!!」

認められるも何も無いだろう・・・まあ、戦闘にならないとも限らないが・・・

フォリア「ああ、そうだ。さっきセリアが探してたぞ。」
ヒューゴ「姉さんが?」
フォリア「思いつめたような顔してたが・・・・まさかお前、ひとの妹に手を出したんじゃ」
ヒューゴ「な・・バ、バカな!!そんな、何言ってんだよお前。俺とセリアはそんな」
フォリア「ほほう・・『姉さん』じゃなくて、呼び捨てと来ましたか♪」
ヒューゴ「し・・失礼する・・・」

まったく、フォリアの奴め・・・。しかし、何の用だろう?
行動開始までまだ時間があるし、救護班のテントへ行ってみるか。

救護班テント

救護班は、このままの場所で俺たち実働班の帰りを待つことになっている。
今は補給物資の配布で忙しいはずだ。

ヒューゴ「邪魔になってはいけない。手短に済まそう。」
セリア「ヒューゴ!!良かった、見つかった・・・」
突然、彼女は抱きついてきた。
ヒューゴ「ね、姉さん?」

酷く震えている。なにかあったのだろうか。

セリア「ヒューゴ、お願い行かないで。この作戦を中止するようパパに頼んで!!」
ヒューゴ「・・・落ち着いて、姉さん。一体何があったの?」
セリア「私、怖いの・・。なんだか嫌な予感がして・・・。」
ヒューゴ「嫌な・・予感?」
セリア「もう、パパや兄さんや・・あなたに会えなくなってしまうような。
     そんな予感がして。そうなったら、いや!考えたくない!!私の居場所はここなの!!」
い や だ ・ ・ ・
セリア「う、う・・う・・。」
もう泣かないでくれ、あなたのそんな顔は見たくない。
ヒューゴ「・・・・・大丈夫さ。ただの調査なんだ。俺達は絶対に帰ってくる。」
分かってる。何度も経験して来たことだ。
セリア「でも・・・」
分かってるさ。さっきフォリアにも言われたことだ。
ヒューゴ「大丈夫。だから安心して待っていてくれ、セリア姉さん。」
戦場に、絶対安全な場所なんて無い。でも・・・・
セリア「ほん・・とね?・・・・帰って・ヒック・こなかったら、許さ・・ないんだから・・・」
ヒューゴ「うん、『いってきます』・・・『ただいま』を言う為に。」
きっと、帰って来てみせる・・・・セリアのためにも。

・・・・・その後、部隊は壊滅した。
隊長も俺も、死亡したものとして報告されたらしい。
ザバトに拾われたため、結局それ以降セリアとは逢えず仕舞いとなってしまった。
悪夢にうなされている内に、約束も・・・いつの間にか忘れてしまっていた。
全く、自分の愚かさに吐き気がする。


アクア「ふ〜〜ん、料理が上手くて、姐御肌か。」
エクセレン「まるでフィオナちゃんみたいね♪」
ヒューゴ「言われてみれば、性格が似ていますね。全く気づかなかった。」
エクセレン「わぉ!!ライバル登場?」
アクア「そ、そんな!!」
キョウスケ「いい加減にしておけ、エクセレン。また地雷を踏むぞ。」
アリエイル(・・きょうだい、か・・・・)

いつか、・・・いつかまた会える。そんな気がする。
その時は言おう。『ごめん』そして『ただいま』と。




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585 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/12/16(土) 11:03:08 aDSP1A3M
オウカ姉さんって背高いけどそんなに胸大きくない?



586 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/12/16(土) 11:08:34 VJ4cfF+z
公式絵を見た感じじゃ、さっちん的に普通の大きさだったと思うよ。


587 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/12/16(土) 11:11:15 oQCv/BcE
周りの人間の体型体重が異常すぐるだけで普通に均整の取れた体だとオモ


あ、あれぇなんですかヴィレッタさn



588 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/12/16(土) 11:15:15 aDSP1A3M
そうか・・さっち絵的には普通の筈だが周囲が胸大きい人ばかりだもんな



589 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/12/16(土) 12:18:45 Yg72q8+W
さっちん絵をリアルに考えると無の補正を外さなきゃな。
……待て、ただでさえ小さいアイb(GRaMXs


592 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/12/16(土) 16:12:05 bRi1JvkX
オウカ姉さん生きててOG3に出るとしてアルベロの旦那とヒョーゴゴに助けられるのか
家族のようなクライウルブズが半ば壊滅状態で自分を助けるんだから
これまた負い目を感じてしまいそうだが

ヒゥーゴ「バカ野郎!助かった事に負い目を感じてるだと!俺達の部隊に
申し訳なく思うならちゃんと生きろ!五体満足で生きて帰ってこられる事が
どれだけ幸福か考えてみろ!」


595 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/12/16(土) 16:44:58 CdiRotnX
オウカ姉様は死んだままだと寺田が言ったらしいが

それに死に際でドラマやったのに次作品で実は生きてましたよーってのは正直ちょっとな



596 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/12/16(土) 16:57:51 bRi1JvkX
僕らの知ってるすぱろぼは
キャラ人気>>>>>ストーリーだから希望が無いともいえないがどんなもんでしょう



597 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/12/16(土) 17:03:19 wwiNEAj6
ここは希望の持てるインターネットですね
開運アイテム置いておきますね

つ[種印のセーフティシャッター]


610 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/12/16(土) 18:09:48 D8kvbozP
現実を見据えろ・・・。
オウカは寺田Pじきじきに死亡確実が宣告されたんだから・・・。



611 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/12/16(土) 18:11:57 LLFk1Cer
だからオウカ姉さんはマシンセルの力でイデアランツになっちゃって
アリエイルになって帰ってくるんだよ!

フェフさんが普通にドゥバンになってそうで嫌だが。



625 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/12/16(土) 18:55:48 lWTCe5q6
>>611
むしろ生前のオウカの遺伝子を基に別計画で
密かに造られたのがアリエイルだったりして。

……意外とあり得いるかもしれないな。


ところで、もしC3がOGに参加したら、フェルナンドや
メイシスが生き延びるというのはありなのか?



629 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/12/16(土) 19:11:27 STuD91HK
>>625
誰がうまい事言えと(ry

 ■  AQrUMysJ氏作SS ある夜の五人

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その116
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1165845551/l50



573 :ある夜の五人 :2006/12/16(土) 02:01:37 AQrUMysJ

「整備部の書類ってこれでいいんだよな」
「日付に注意してね。先月ちょっと書式が変わったから、新しいのじゃないと使えないよ」
「対地目標撃破率、個人別データ出したぞ。ブリットのフォルダに入れておくからな」
「おーい、備品申請用のカタログってどこだっけ? 紙のやつ」
「リュウセイ、早くしてよ。戦闘計画レポートはあと君だけなんだよ」
「わかってるよ、今書いてるじゃねえか。くそ、書類仕事は苦手なんだよな、もう」


「定型文例集誰か使ってる? 青い表紙のやつ」
「悪い、俺だ。もう少し待ってくれ」
「去年のでよければ俺持ってるぞ。ほい」
「ありがとー」
「あ゛ー! 撃った数と減った数がまた違うー!」
「また再計算かよー」
「大体さー、未提出の書類を全部片付けないと俺達だけクリスマスパーティ参加
不可って、それ職権濫用じゃねえの? パワーハラスメントだ」
「仕方ないだろ、一ヶ月も前の模擬戦のレポートを出してないのは俺達だけだ。
他にも色々溜まってて、事務課では札付きらしいぞ、俺達」
「ユウ以外、僕らみんな士官教育とか受けてないもんね。手続き的なことは
苦手だよねえ」
「俺だって付け焼き刃さ。苦手苦手と言っても始まらん、せっかく会議室を
借り切ったんだ。今夜中にけりを付けるぞ」
「「「「おー」」」」
「ところで、備品申請のカタログってどこだ?」
「お前の椅子の下だよ!」

「戦闘計画と自己評価のレポート、終わったぜー。あー肩こった。コーヒー入れてくら」
「お、ついでに俺の分もくれ」
「俺も」
「僕も」
「俺の分も頼む」
「え! お前もコーヒー飲むの!?」
「人を何だと思ってるんだ。紅茶しか飲まないわけじゃないぞ」
(((違ったんだ……)))
「よし、俺も終わりだ! 訓練計画、点検報告、モーションプラン全部やったぞ」
「お疲れさま。全部終わり?」
「いや、あと未提出の始末書が一山ほど……」
「駄目じゃん」
「うるさい、お前の山よりは小さい」
「なんかさあ、ガキの頃の夏休み最終日思い出さねえ? 友達と夜中まで集まって、
部屋中宿題のプリントだらけにしてさ。最後の方はもう眠くて辛くて、泣きながらやってたな」
「あー。自由研究とか、即席でやれるテーマを必死に探すんだよね」
「日本のサマー・バケーションはそんななのか。大変だな」
「大変なのは不真面目な連中だけだ。毎日コツコツやっていれば何のことはない」
「くそー、こいつ余裕でやがる」
「余裕なものか。始末書はないが、俺は投降兵だから報告事項がお前達よりずっと
多いんだ。この間など、面白くもない映画を見て感想文を書かされてな、あれは
面倒だった」
「アラドとゼオラもそんなことやってたね。洗脳度検査かな」
「へえ、お前まだ投降兵扱いだったのか」
「何を言ってる。ブリット、お前が俺の観察担当だろうが」
「ええ!? そうだっけ!?」
「お前な……俺の観察報告義務もあるはずだぞ。報告書書いたのか?」
「始末書の前に、まずそっちだな。一緒に徹夜しようぜー」
「う……くそう」
「コーヒー入ったぞー。お菓子も持ってきたぞー」
「「「「いえー」」」」


「今何時?」
「2時半。目がショボショボしてきた」
「お、リョウト。それ念動力検査だろ? 駄目だぜ、こっちの緑の用紙じゃないと」
「え?なんで?」
「お前俺といっしょで、レベル9候補者だろ。普通の調査票じゃ駄目なんだよ」
「そんなあ、せっかくここまで書いたのにー。また二百項目埋めるのか……」
「みんな集中力がなくなってきたな。濃い紅茶でもいれるか」
「エグいくらいのが飲みたいぜ。なあ、九月の整備記録ってどれだ?」
「さっきプリントアウトしたな。その紙束の下の方にないか」
「あ、リュウセイそこ崩れないよう気を付けて。まだ綴じてないから、ページが
バラされたら収拾つかないよ」
「ペーパーレスとかもう五十年も言ってるのに、書類ってなくならねえよなー」
「……駄目だ、どうしても弾数が合わない! リュウセイ、お前ほんとに57発も撃ったのか? 
三分の一しか減ってないぞ」
「え、いやだって相手の被弾数で見てみろよ。30発以上当ててるんだぜ、三分の一の
わけないだろ」
「勘弁してくれよ、この戦闘記録だけでもう一時間も再計算してんだぞ。大体、なんで
発砲回数なんて正確に記録しなきゃならねえんだ」
「薬莢を残らず回収して、戦闘の痕跡を消すためだ。情報戦の初歩だぞ」
「実弾兵器なんて大嫌いだー!」
「……ちょっと待って、三分の一? 武器は?」
「バーストレールガン」
「……あれ、カートリッジ一個に三発弾丸が入ってるんだけど……」
「……え?」
「………………」
「……………………」
「「「「……………………リュウセイ!!!」」」」


    ||
    ||
  , -__ヽ|ノ
 <;;;;;;;ノノハヽ
  .ヾ ´∀ノ
  ミ‖‖‖j
  ミ‖‖‖j
  ミ‖‖‖j
   ヽ)ヽ)


クリスマスパーティはたのしかったです。
(リョウト談)

End





_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/




578 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/12/16(土) 02:09:44 oFd/uhAb
>>573-576
面白いな。GJ。
名前をあえて書かないのが、逆に読ませるな。



579 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/12/16(土) 02:17:17 RB3kU6Rk
>>573GJ!

2007年01月07日
 ■  毛布の人作SS「安眠の方法」

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その112
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1163519025/l50


437 :毛布 :2006/11/17(金) 01:08:20 E6tDmiJi
さてここで流れを読まずに二レスほどお借りする






_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/



 息苦しさを感じて、アラドは目覚めた。
 鼻から口にかけてが、柔らかくてあったかくてうぶ毛が生えてていい匂いのする
何かでもっちりと塞がれている。その感触と匂いで、アラドはすぐに息苦しさの
正体を理解した。
「……っぷぁ」
 もぞもぞと身をよじって、顔を上に突き出す。常夜灯のオレンジ色の明かりを受けて
穏やかな寝息をたてる、ゼオラの寝顔が目の前にあった。

 ゼオラには小さい頃から、一風変わった癖がある。不安や緊張で眠れない時、何かを
胸元へぎゅうっと抱きしめていると、安心して眠れるのだ。ただし、その何かとは
何でもいいわけではなく、抱きすくめるのに手頃な大きさで、人肌くらいの温度があり、
ふさふさ毛が生えていて、できればアラドの匂いがすれば言うことはない……まあ
要するに、アラドの頭を抱きしめているのが一番いいのである。この癖はずいぶん
昔からあって、アラドは彼女の胸がまだ真っ平らだった頃、そこに頬をつけて眠った
記憶がある。その後、頬に押しつけられる感触こそ劇的に変化したものの、この癖
自体は今にいたるまで連綿と続いている。
(……まあ、しょうがねえよな。宇宙怪獣とかプロトデビルンとか、ここんところ色々あるし)
 ゼオラが投降兵扱いで、名目上アラドが監視役だった前大戦時の名残で、二人の
部屋はラー・カイラム内でもすぐ近くに配置されている。ここ数年はさすがに
恥ずかしいのか、ゼオラも自制していた癖であるが、原種襲来時、二人が再会した
当初は、ほとんど毎晩のように枕を持ってアラドの部屋にやってきたものだ。
「んー……」
 もそもそとゼオラの手が動いて、アラドの頭を抱きなおす。また窒息してはたまらない
ので、顔を動かして口元を逃がした。指先がアラドの髪をまさぐる。Tシャツごしに
豊かな胸が、ショートパンツごしにむっちりした太ももが、アラドの体にのしかかってくる。
人が見れば同衾としか思えない状態だが、あくまでゼオラが安眠するために、
昔からの習慣を実行しているだけだ。いわば民間療法のようなもので、そこに
性的な含意は、とりあえずは一切ない。ラー・カイラムの男性クルーがこぞって絶賛する
ゼオラの豊かな胸に、アラドがまったくセックスアピールを感じないのは、もしかすると
この習慣のせいかもしれない。

 むぎゅー、とアラドの顔が、柔らかい谷間に挟まれる。抱きしめる力の強さは、
だいたい眠れない原因の大きさに比例する。窒息するくらい抱きしめられたのは、
ネリーの小屋で暮らしていた頃以来のことだ。
(不安なんだな……)
 アラドとて、もちろん不安である。銀河の滅びの運命に逆らおうというのだ。恐怖を
覚えない者などいまい。昔から、逆境に弱いのはゼオラの方だった。順風の日には
ゼオラがアラドを、逆風の日にはアラドがゼオラを、それぞれ支えて今日まで生きてきた。
やり残したことはいくらでもある。まだまだ見たいもの、食べたいもの、会いたい人、
行きたい場所があり、そのすべてを一緒に体験したい人がいる。
 アラドはそっと身をよじり、胸の谷間から抜け出した。とたんに不安げに寝息が
乱れはじめるゼオラを起こさないように注意深く、上方へ体をずり上げていく。同時に
ゼオラの肩に手を添えて、そろそろと下へ押し下げる。ゼオラの胸のところにアラドの
顔があったのが、じきに位置が逆転して、アラドの胸にゼオラの顔が当たる形になった。
 さらさらの銀色の髪に手を添えて、ゼオラの頭をぎゅっと胸元に押しつける。昔よりは
ずいぶんたくましくなったつもりだが、ゼオラの頭を支えるにはまだちょっと心許ない、
自分の胸板。緊張して息をつめていると、やがて、
「……あらどー………♪」
 心底安心しきった声が、腕の中から聞こえてきた。嬉しくなって、腕に力を込める。
くふ、と、満腹した猫のような声をもらして、ゼオラが額をすりつけてきた。さらさらの
髪を胸元に感じながら、アラドもゆっくり目を閉じる。腕の中に、確かな幸せの感触を
抱きしめて。
 翌朝、先に目を覚まして真っ赤になったゼオラにアラドは想いきりひっぱたかれることに
なる。ゼオラの安眠の方法が少し変わるのは、まだちょっと先の話である。


End




_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/




442 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/11/17(金) 01:25:47 BjWqOF9R
…GJ以外に賛辞が思い浮かばないんですが?



443 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/11/17(金) 01:30:33 JV5UEYVk
ぐっじょぶ! エロイ話かと思ったら、萌え死んだ!
……ところでそのお名前、「二人を覆う毛布でありたい」という志の表れと考えてよろしいか。



446 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/11/17(金) 10:08:01 FE92mpSz
毛布の人キター!GJ!



450 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/11/17(金) 11:54:26 O3S++Cc+
OG2だと回想にて
アラドとゼオラが面通しした時点でゼオラのは十分大きかったそうです。
まあこちらはαなのでいいかと思いますが。


454 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/11/17(金) 13:30:37 VtjG1EJV
>>450
 あれって、実は二人が出会ってそんなに時間が経って無いのか
同じ年頃の子にしては発育が良いってだけなのか良く解らないよな。
10年位前から今と同じ位のおっぱいだったって事は流石に無いだろうし。
まぁ、個人的に年齢1桁の巨乳幼女ってのも乙な物ではあるが。



455 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/11/17(金) 13:48:26 G/Zj7Dw4
>>438>>440
毎度毎度アラゼオ分をありがとうございます

2006年12月22日
 ■  agE+z/pO氏作SS「Respect-for-the-Aged Day」

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その108
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1161800129/l50



685 :651もとい超常現象 :2006/10/29(日) 09:04:13 agE+z/pO
設定完無視でも顔文字ずれても!
めげずに投稿するのが鋼の魂だって信じてる!
前スレの>>12氏が読みたいと言ってくれたんだ!


……これでさらに自爆してたらどうしよう……orz


Respect-for-the-Aged Day

「レーツェル艦長」
 北大西洋を潜行航行中のクロガネ艦内でユウキ・ジェグナンはちょうどブリッジをでた
ところのエルザム・V・ブランシュタインを捕まえた。
「ユウキ少尉か、何か用かね?」
「は、はい……あの、まことに身勝手な願いで恐縮なのですが……ブリテン近くを通ると
きに自分の自由行動を許可していただきたいのです」
「ふむ……親族でもいるのかな」
「その……祖母がロンドン郊外に。……いえ、無理なことをお願いして申し訳ありません
でした」
 一つ礼をしてその場を離れようとする。
「いや、待ちたまえ少尉。孝行したいときに親は無しと言うし、実際私はそうなってしま
っている。DC壊滅後私に付いてきてくれた者達もこの近辺に親族のある者がいるかもし
れない。彼ら達のためにも一度帰郷させなければ士気の維持も難しいだろう」
「では……」
「行ってきたまえ。他にもそういったメンバーがいるなら彼らの方にも声をかけよう」

 エルザムの声かけによって最終的に十八名ほどが要望し、またエルザム自身も最近材料
の鮮度が悪くなってきたからと市場へ足を運んだ。
「ユウのおばあちゃんてさ、どんな人なの?」
 祖母への手みやげに買ったお茶菓子と茶葉の入ったかごを持ちながら、ユウはげんなり
とした顔をしていた。
「?どうしたの?」
「……くるだろうとは思っていたが、やっぱり付いてきたな」
「何よ、そんな言い方ないでしょ?それに、将来的に親戚になるんだし」
 リルカーラ・ボーグナイン、上陸を要望してきた時点でどーせ自分に付いてくるんだろ
うと思っていたが案の定か。
 盛大にため息をついてやる。
「ちょっと、何よそれ!」
「どうせ止めたって付いてくるだろうがな、とりあえず行動には気をつけてくれ。おばあ
さまは優しいが、礼儀にはとてもうるさい人だ」
「それはもちろん!孫のお嫁さんとして、明るくって元気で、よく気の利く姿を見せなき
ゃね?」
「…………」
 ナンブ中尉は彼女以上のブロウニング少尉をよく押さえきれるモノだと感心する。
 もちろん自分は彼女に好意を抱いているし、それを否定する気など毛頭無いがそれはそ
れで接し方に苦慮する。
 訪れた住宅地。年季が入った建物に呼び鈴はなくドアノックで戸をたたく。
「はいはい、今でますよ」
 程なく戸が開いた。
「まぁ!……ユウちゃん!お久しぶり!」
「お久しぶりです、メリッサ」
 顔を出した恰幅のいい初老の女性にユウは一つお辞儀する。
「奥様!奥様ぁ!ユウちゃんが来ましたよ!」
 メリッサが奥へと入りながら呼びかけた。
「さ」
 ユウに促されてカーラも入る。
「今の……メリッサさん?……は」
「ああ、お手伝いさんだよ住み込みの。俺も世話になった」
 ……なんか違うな、と思う。この家の空気がそうさせたのか、ユウが柔らかい。
 リビングに入ると、既に待っていた。
「グランマ!」
「ユウキ!」
 テーブルの上に籠を放り、久方ぶりに再会した祖母とユウは抱擁を交わした。
「まったくこの子は……ずっと連絡の一つも寄越さないで」
「済みません、それどころではなかったもので……」
「それに久しぶりに来たと思ったら……女の子連れ?」
 抱擁を解き、カーラの方を向く。あわててお辞儀する。
「あ、り、リルカーラ・ボーグナインですっ」
「ジェシカ・ジェグナン。よろしくね……リルカさんで……よろしいかしら?」
「は、はいっ!」
 綺麗な人だなと、近づいてきた女性を見る。理想的な、そう。年をとるのならこんな風
になりたいと思える人だった。
「メリッサ、お茶の準備をお願い。準備だけでいいわ」
「はい奥様!久しぶりのユウちゃんお手製のお茶がいただけそうですものね」
「あ……メリッサ、これでお願いします」
 自身が持ち込んだ籠を預ける。
 はい、と頷きメリッサは下がった。
「さ、二人とも座って。どう出会ったのか、話してちょうだい」
 促されたとおりソファに着き、話し出す。
「あまり、楽しい話ではありませんが……」
 自分は士官学校からそのままDCへ行ったこと、しかしほとんど活動もしないまま総帥
が倒れてしまって、残党のような形になってからもL5戦役の最中エアロゲイターの襲撃
を受けていたサンディエゴへ赴き、そこでカーラを助けたことを話した。
 アーチボルドの元に居た時のことはあまり触れないようにしつつオペレーション・プラ
ンタジネットの後、ハガネ隊へと異動してそこで出会った様々な人たちのことも。
 話の間、ジェシカはずっと表情を変えなかったが、メリッサはずっと不安げな顔をして
いて話が終わるとユウに詰め寄った。
「もう!ユウちゃん!そんな危ないことをして!だから私は士官学校に行くことに反対だ
って言ったはずですよ!」
「メリッサ、いけませんよ。ユウキは人々を守るためにあえてその身を危険にさらしたの
だから私たちはそれを称えるべきです」
「奥様、でも!」
「それに、ユウキがその道に歩んだからこそリルカさんはご無事だったのでしょう?」
 にっこりとほほえんでカーラの方を見るジェシカ。
「はい。それにだからこそ私はユウに会えたって思ってますし」
 当のユウはそんなカーラの言葉に照れるわけでも困惑するでもなく、黙って自分の煎れ
たダージリンを一口啜った。
「ちょっと、どうしたのユウ。いつもなら『何を言っている』って呆れたみたいな顔するのに」
「別に何でもない」
「あ、わかった。ジェシカさんの前だからってちょっと女の子に優しい、みたいな顔しよ
うとしてるんでしょう」
「……そんなんじゃない」
 ここでようやくいつものような呆れ顔。
「あら、ユウちゃんは優しい子ですよ?」
 メリッサがカーラを咎める。
「そりゃ分け隔て無い思いやりはありますよ?でも、やっぱり女の子としては男の子にと
ってのオンリーワンでいたいじゃないですか。ユウってなーんかその辺が希薄なんですよ
ね〜」
 当の希薄な男はさながら嵐が過ぎるのを待つかのように黙って茶を啜っていた。
「気恥ずかしいのよね、ユウキは」
「からかわないで下さい、グランマ」
 ジェシカの言葉には口を挟んだ。
「それよりもあなた達、いつまで居てくれるの?」
「……残念ですが、あと三時間もすれば撤収の時刻になってしまいます」
「そんな……帰ってきたばかりなのに……」
 目に見えて落胆するメリッサ。
「それなら早いほうがいいわね。リルカさん、ちょっと来てちょうだい」
「はい?……はい」
 ジェシカに連れられて、彼女の私室と思しき部屋へと来た。
「これ、貴女に身に付けてもらいたいの」
 鏡台の引き出しを開けていたジェシカから、スッと小箱が差し出される。
「これは?」
「開けてみてちょうだい」
 一つ頷き、言われたとおり箱を開けると、石が一つだけ嵌った指輪があった。
 簡素だが、年代物であると一目見て判る。
「あの子の母親、つまり私の義娘が身に付けていた物なの」
「それって……」
「昔は私も付けていて……今度は貴女の番でしょ?」
「えっと……つまり……」
 これは、保護者公認となったということでいいのだろうか。おずおずと申し出る。
「私も、グランマって呼んでいいですか?」
「おばあちゃん、とは呼んでくれないかしら?」
 そうほほえみ返されて、カーラも力を抜いた笑みを浮かべた。
「!……はい、ジェシカおばあちゃん」

 帰り道。既に日も暮れて、海岸は陸地側の外灯でほのかに薄明るい程度だ。
 ジェシカに連れられて帰ってきたカーラの手に、どこかで見た指輪が填っているのは見
て取れたが、特に何も言わなかった。ただ、出来ればその位置にある指輪は自分で贈りた
いと思っていたので、いささか悔しかったが。
 ご機嫌なカーラに、先程聞けなかった質問を思い出した。
「……そういえば、あれが普通だな」
「なにが?」
「お前の愛称だ」
 ワンテンポ遅れて、カーラの元気が弱まる。
「考えてみれば、リルカという愛称の方がすぐに浮かぶものだ」
 瓦礫と化した街で、保護した少女はこう名乗った。
『カーラ……リルカーラ・ボーグナイン……』
 そう言われたのでカーラと呼んでいたが……。
「何か、理由があるのか?」
「……昔はさ、みんなからリルカって呼ばれてたんだ」
 少し前を歩いたまま、こちらは見ずに話し始める『リルカ』。
「でも、あの時にそう呼んでくれる人、みぃんないなくなっちゃった」
 言うまでもなく、エアロゲイター襲撃の時だ。
「だから、そう呼ばれるとなんか思い出しちゃいそうで……カーラって言うのは、私が業
界に入ったら使おうと思ってた呼び名なんだ」
 彼女が業界と言うからには、芸能界のことだろう。
「ほら、テレビに映る人って私的なことでぐらついちゃいけないでしょ?だから、私が倒
れないように半分おまじないのつもりでああ名乗ったんだ」
 結局、ユウの方を見ずに『リルカ』は話し終え、カーラに戻る。
「これで、おしまい」
 ……髪をかき上げながら、ユウは若干苛立った顔をしていた。
「……成る程。一年以上もの間、俺は名女優に騙くらかされていたわけか……」
「だ、だましてたなんてそん、なあっ!?」
 慌てて振り向いて弁解しようとしていたカーラだが、結局弁明することは叶わず、強引
に腕を引いたユウに抱きしめられる事になっていた。
「ゆ、ユウぅぅぅっ!?」
 一体なにがどうなったのか、自分のボーイフレンドはこんな風に急に抱きしめてくるよ
うな情熱的なタイプではなかった筈だ。
 そこでハッとカーラは気づく。
 先程も言ったとおり、既に日は暮れていて薄明るい程度だ。
 夜の海岸線を訪れる人などほとんどいない。
 ……マックラヤミニフタリキリ……
(え……え……ええぇ〜っ!)
 現在自分の置かれている状況は、ちょっと期待していた事もあるわけで、でもやっぱり
ちょっぴり怖くって。ただ、状況を考えてみ「何で……」るとこっちがずっと黙っていた
ことを打ち明け……
「……え?」
 今現在、地球圏のどこかでバイト中であろう史上最強のフリーター張りに妄想全開にな
っていたカーラの思考が、ピタッと止まる。
「何で、グランマにそう呼ばせていた?」
「それは……うん。ジェシカおばあちゃん、安心させてくれるんだよね。素のあたしでも
いいって」
「俺じゃ……」
「え?」
 何か呟いた気がしたが、それを聞き直すより先にさらにぎゅっときつく抱きしめられた。
「俺も……二人きりの時はリルカと呼んでいいか?」
 ……全身の血がこそばゆい。今さらユウと触れている部分が熱い……
「うん……そう呼んで……?」
 カーラの返事を受けると、体を離し手を引いて歩き出す。
 暗くて、カーラにその表情は読めなかった。が
(……俺、今なにをしていた?)
 内心、凄く焦っていた。
 ただ、カーラと名乗っていた彼女の心境に気づくことも出来ずにいた自分が腹立たしく、
そしてその心を酌んでやれたのが自分ではなく祖母であったことに嫉妬に似た暗い感情さ
え覚え、目の前の少女を無性にこの腕で掻き抱きたく思えて、自分にしては全くらしくも
なく衝動的に、ああ、いや違う。思考の課程と結論が逆転している。
 落ち着け、ユウキ・ジェグナン。思考を安定させろ。
 そうしてようやく冷徹な本来の思考に立ち返ってから、いたってシンプルな答えをユウ
は察した。
 ……つまり、それだけ自分がこの少女のことを好きなのだと言うことだろう。
「ユ〜ウ?」
 繋いでた手を、抱きかかえるように腕で引き寄せたカーラが甘えた声を上げた。
 あと数瞬速ければ、自分の脳神経は焼き切れていたかも知れない。今も動悸は速まった
ままだが。
 声に応じようとして、本当に自分では希なことに彼女の意図するところが酌み取れてい
た。
「何だ、リルカ?」
 そう応じると、嬉しそうにしたのも感じられた気がした。
「ん〜ん、呼んでみただけっ」
 躍っている声を聞いただけで気分が軽くなるが、こうあまりべったりしているのは自分
らしくないな、とつまらんことを考える。
「こら、こう密着してたら歩きにくいだろう」
 エルザムに指定されていた集合場所も近いし、こんな状況を見せるわけにはいかない。
「もう!自分から手は繋いできてくれるようになったのに!」
 だからだよ。俺たちはもっと段階を踏んで、先に進むべきだろう?リルカ……




_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/



687 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/10/29(日) 10:19:19 9NgpXI4l
>>685
GJだぜコノヤロウ!(´Д⊂ヽ
久しぶりにユウカラにスポットライトが当たった…しかも良作…これ程嬉しい事はない…



698 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/10/29(日) 12:34:37 P9UZ361/
>>692

  すっちゃかちゃっちゃん、すっちゃかちゃんちゃん…(出囃子)

ブリット「戦場で出会った女の子に粋な計らいをするユウ。
     :
     君は、名前は何と言うんだ?リルカーラか。そうか、家族を……
     とりあえず、ついてくるんだ。食料と着るものぐらいは支給してやる。
     (なに?部隊には余計な物資がない?だったら俺の私物を分けてやればいいだけだ。問題はない)
     ん?いや、こっちのことだ。気にするな。
     ともかく、行くぞ。こんな廃墟で佇んでてもどうにもなるまい。

     それから約半年後のユウ。
     :
     おい、いつまで寝てるんだ。お前が朝食を作らないと遅れてしまうぞ、カーラ」

  バズン!(落下音)

こうですか?わかりまs


>>685
GJ



699 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/10/29(日) 12:42:52 4gtVbT6Q
>>698
GJ!
だがいい話すぎて逆に優勝できません><


704 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/10/29(日) 12:49:33 4YJH0Qi1
>>698
トウマ「Is this TUNDERE?」
ミッテ「NO, that is a tea」
助手「なんですか、その中学一年英語」

ハイル、ウキーラ!!

2006年12月16日
 ■  C+O+D6O2氏作 SS 「立ち上がれ大雷鳳」

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その107
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1161354805/l50


662 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/10/24(火) 01:56:10 C+O+D6O2
「君!逃げろぉ!」
その言葉の後に大きな爆音が鳴り響く。その言葉が聞こえたいた場所は瓦礫の山となり、その瓦礫の隙間からその言葉を発した軍人の腕らしきものが見えている
「う、うわぁぁぁぁぁぁ!!!」

叫び声をあげ、男がベッドから跳ね起きる
「また…、あの夢かよ…」
時々あの時の…、無力だった頃の夢を見る。
嫌な気分を替える為にベッドから起きあがり、ふらふらとした足取りで洗面所に向かう。
しかしいくら顔を洗っても胸のもやもやは消えない。
「クソッ……何だってんだよ……」
雷鳳が暴走した時も、ミナキに雷鳳を下りろと言われた時も、バランに挑んで大雷鳳を粉砕され負けた時も、この夢を見た
この夢を見る時は、必ず悪いことが起きる
そう———必ず———



「どうしたトウマ!?隙だらけだぞ!!」
そう赤い長髪の男が、激しい攻撃を浴びせながら、叫ぶ
「クッ……!!」
「もらった!!
刹那、赤い長髪の男の放った正拳突きが、トウマの鳩尾をとらえる
「ぐぁぁぁッ…!!」
「一本!そこまで!!」


「どうしたトウマ?今日は動きに迷いがあるぞ、何かあったのか?」
赤い長髪の男—フォルカ・アルバーグが、トウマに歩み寄りそうたずねる
「いや、何でもないさ」
「何でも無いことは無いだろう、何でもなければあのような、散漫な動きはしない」
「……お見通しってわけかよ」
「トウマとは何百回も組み手をしている、それだけやれば癖ぐらいわかるさ
もし、何か悩みがあるなら相談にのろう。俺でよければな」
「…夢を、夢をみたんだ」
「夢?」
「ああ、夢だ」
トウマが、今日も見た夢の事を、その詳細を話した
自分が無力だった時に、自分を助ける為に目の前死んでいった軍人の事
その夢を見ると毎回、悪いことが起きると言うこと
全て彼に、フォルカに話した
「なるほどな……、だから今日の組み手にも迷いが出たのか」
「ああ、あの夢を見るといっつも、嫌な事が起きる
もしかしたら、今日も……」


ブァァァァン!!
その刹那、警報が鳴る
「敵襲だと!!」
「行くぞ!トウマ!」
あの夢をみると
「クッ…!応ッ!」
悪いことが起きるのだ———


『遅いわよ、トウマ!フォルカ!』
女は、ミナキ・トオミネは、モニター越しに、そう檄をとばす
「すまねぇ!!他のみんなは!!?」
『みんな、他の地区に現れた敵の迎撃にあたってるわ!
今この艦に残ってるのはあなた達二人だけよ!』
「…敵の数は?」
『およそ100、もしかしたらそれ以上かも……』
「一人50機、何とかなるな…」
「クッ…!簡単に言ってくれるぜ!」
「だが、やるしかなかろう」
『2人とも準備できた!?』
「こちらは大丈夫だ」
「大雷鳳!いつでもイケるぜ!」
『カタパルト!OK!ヤルダバオト!大雷鳳!発進!』

「49!50!」
2体の闘神が敵をなぎ倒し、やがて敵の姿がなくなった——かに見えた
『増援!?しかもこんなに……』
「単体ではあまり強くはないが、こう束になると厄介だな…」
「ゴキブリみたいにウジャウジャ湧きやがって!」
「だがやるしかない!行くぞ!トウマ!」
「応ッ!」

「ハァハァハァ………」
無限に、現れる敵に次第に体力を奪われてゆく
しかし敵は衰えてくれない
「まだ、出るか……!」
「ハァ…、ハァ…、さすがにキツいぜ」
『他の地区の敵は全て撤退したわ!みんなが戻ってくるまで耐えきって!』
「ああ、わかっt」
その刹那だった
「トウマ!後ろだ!」
「なっ……!?」
一瞬、たった一瞬の隙をつかれ、雷の闘神は地に墜ちる
『トォォォォマァァァァ!』


そう、あの夢をみると悪い事がおこる———

「俺……死んじまったのか……」
男の瞳にうつるのは闇、なにもない真っ黒な深い闇
「ふっ…、あの世ってのは、なにもないもんだな」
俺は自嘲気味に言う
「呆気ねえなぁ、最後ってのは」
苦しい事、辛い事、楽しい事、全ての思い出が蘇る……
「……ん?声が聞こえる」
「も〜いいよ」
「女の子の声?でも…どこかで……」
そうどこかで聞いたことがある声
「も〜いいよ」
「そっか、もういいのか……」
疲れた、もう戦わなくてすむ、痛い思いをしないですむ……、もう…いいんだ……
女の子が、あの夏の日の女の子が目の前にいる
それにあの日の軍人さんも……


「どうして……」
「君は頑張った、もう辛い思いをしなくていいんだ」
「だからね…、私達と一緒に行こ?」そうか…もういいのか……
もう……いいのか……
みんなを忘れて、みんなを……
フォルカを、ミナキを……
フォルカ……?ミナキ?


「…………違う」
「えっ?」
「違う!もういいわけがない!
まだ戦っているんだ!フォルカは!ミナキは!まだ戦っているんだ!!
俺だけが!俺だけが逃げるわけにはいかないんだ!!全てを忘れていいわけがないんだ!!」
「自分から怖いことを…、戦いを望むの?」
「俺だって!怖いこと!戦いから逃げ出したい!!
だけど!!その先にある未来を掴みとるまでは、逃げ出すわけにはいかないんだ!!」
「強くなったな……少年
行け!少年いや、戦士よ!仲間の、大切な者の元に!」
「応ッ!!」


『トウマ!トウマ!トウマァァ!』
「クッ…!」
敵の数は衰えない……、精神的にも体力的にも衰弱しきっている……、指揮も冷静さをかいている…
「…もうダメか……」
そうフォルカの頭をよぎった……


「ライトニング・プラズマ・スクリュー・ダァァァァァイブ!!!」


その時、雷の闘神が、眩い閃光とともに、蘇った


「トウマ!?」
『トウマ……なの?』
「わりぃな!心配かけちまったな!」
『トウマ………
バカ!バカ!バカバカバカバカァ!!凄く!凄く心配したんだからね!!』
「ごめんな、ミナキ…」
『…生きてくれてて、よかった……』
「……トウマ」
「ん?」
「やれるか?」
「ああ!任せろ!!」


「どうやらこの敵で打ち止めのようだな…」
「だったら最後は、一気に行くぜ!フォルカ!!」
「ああ!」
「プラズマ・コンバータ!出力最大!!」
「切り裂け!ヤルダバオト!!」

「「究極奥義!!」」
「真覇猛撃!」
「神雷!」
「「烈波ァァァ!!」」

『敵反応全て消滅!私達の勝ちよ!』
「やったな、フォルカ!」
「……………」
「どうした?」
「いや、見違えた、何かが吹っ切れた顔をしていたからな」
「そうか?」
「トウマ、お前は顔に出やすい」
「へへっ、かもな」

あの時の俺は、力が無かった、無力だった……
でも今は違う、仲間が、大切な人が、守る力がある
俺はこの仲間と、この力で、未来を掴んでみせる!!絶対に!!

 ■  XZih/4F5氏作SS 「W16バスト・ロワイヤル(仮)」

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その107
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1161354805/l50



268 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/10/22(日) 14:51:20 XZih/4F5
さて、何時もどおり流れ無視ってSS投下しますのでご注意を



269 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/10/22(日) 14:51:48 r1HaWtJ9
どんとこいショートショート



270 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/10/22(日) 14:54:39 XZih/4F5
某管理人さんご所望のエキドナSS


 
 ↓只今の心境
  ( ゚д゚)
_(__つ/‾‾‾/_
  \/スパログ/
    ‾‾‾


 

  (゚д゚ )
_(__つ/‾‾‾/_
  \/スパログ/
    ‾‾‾

 
 
 

  (*゚∀゚*)   w,who?
_(__つ/‾‾‾/_
  \/ドキ.ドキ/




_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/



W16ことエキドナ=イーサッキには、生まれてからの悩み事があった。
それは、

         たゆん

           彼女の動きにあわせて揺れる胸の事であった。

格納庫内に響くヴィンデルの世界闘争論なるどうでも良い演説は、
その場にいる全員がシカトしつつそれぞれ機体の整備等を行っていた。
ご多分にもれずエキドナも演説よりも整備が終わったばかりの自機の整備に専念していた。
レモン「調子はどうかしら?」
背後から生みの親というべきレモンが声を掛けてきた。
エキドナ「ハ、調整の方はまもなく完了します」
調整する作業を一旦止め何時もながらの無表情でこたえた。
レモン「いぇ、機体の事じゃなくて貴女の身体の事よ」
エキドナ「私の身体・・・ですか?」
疑問という感情が浮かばぬ表情のままエキドナは聞き返した。
レモン「そう。そろそろ貴女の身体に何かしらの改良を加える必要性が出てくるかと思ってね」
エキドナの身体を見ながらレモンは応えた。
エキドナ「改良ですか・・・」
レモン「えぇ。望むなら童顔にしてあげてもいいし、もう少し腰も細くしてあげられるわよ」
どこか嬉しそうに喋るレモン、
エキドナ「・・・・では、一つだけ」
レモン「どこかしら?」
エキドナ「この胸を小さくしていただきたいのですが・・・」


レモン「駄目よ!」
言った直後レモンの一言で一蹴された。
エキドナ「しかしレモン様、この胸は行動を阻害する恐れが・・・」
レモン「駄目ったら駄目よ」
エキドナ「ですがレモン様・・・」
子供のようにエキドナの提案を否定するレモン、
レモン「良くお聞きなさいW16。その大きな胸はただの飾りじゃないのよ」
エキドナ「しかし、動きが阻害され任務に支障を来たす恐れがあります。」
レモン「いい?貴女やW17がどうして女の姿をしていると思っているの!
    潜入任務に際して女は、色気という武器が使えるのよ!」
エキドナ「レモン様、潜入任務時には姿を見られてはいけないのでは・・・」
レモン「貴女・・・007という映画を知っているかしら?」
突如遠い過去のことを思い出すかのような表情で語りだした。

レモン「若いころその映画を見たのよ。
    その映画の主人公はハンサムなスパイでね、様々な道具を使って困難な任務をこなしていくの」
エキドナ「・・・・はぁ」
エキドナとしてはどうでもいい気分であった。
レモン「でね、その映画には毎回世界各国の美女が出演していたのよ」
それがどうしたという気分にエキドナはなってはいたが、何時もどおり顔には出さない。
レモン「その美女達の役の中には、女スパイが居てね。子供だった私は憧れたわ。
    まぁ、そんな夢みたいな事叶うわけもなかったから、それを貴女達に託したいのよ。」
この頃になると、エキドナ本人としてはレモンの話よりも機体の調整を終わらしてしまいたい気持ちであった。

レモン「と、言うわけで貴女は色気という武器を使って男を篭絡してきなさい」
エキドナ「・・はぁ」
ヴィンデルの演説並に適当にレモンの話を聞き流していたのが災いし、
気づくと色気を使って艦内の男を捕まえてくることになっていた。
レモン「さぁ、手当たり次第男どもを色仕掛けによって篭絡してきなさい!」
悪の女幹部が部下に出撃を命じるような仕草をするレモンの姿を見ながら、エキドナは出撃したのであった。

ターゲット1
 W15 ウォーダン=ユミル  場所 艦内トレーニングルーム

    ぎゅっ

W15「・・・・・」
事前にレモンに教えられたようにターゲットの腕に胸を強調するように抱きついたエキドナであったが、
W15「・・・・・なんの用だ?」
エキドナ「・・・・・・・・いゃ足が滑っただけだ。失礼した。」
       結果  効果なし

ターゲット2
 隊長 アクセル=アルマー   場所 シロガネ通路

ぎゅっ

隊長「・・・何の真似だ?」
エキドナ「答えられません」
隊長「言え!命令だ」
エキドナ「レモン様の命令です」
そこだけ聞くと、アクセルは苦い顔をしたままエキドナを腕から引き剥がすとレモンの部屋に向かって歩き出した。
       結果  喜ばせるどころか相手を怒らせた

ターゲット3
 艦長 リー=リンジュン    場所 艦長室

    ぎゅっ

艦長「なっ!?なんの真似だ貴様!////」
エキドナ「レモン様の命令で実験を行っているところです」
腕に胸を押し当てたまま何時もどおりの無表情でリーに答えるエキドナ。
艦長「実験だと?!/////////」
エキドナ「それよりも艦長、体温と心拍数の上昇が見受けられますがどうしたのですか?」
艦長「っ!?!ぇえぃ、離れろ!!」
それだけ言うと艦長は、少々前かがみになりながら部屋を出て行ってしまった。
       結果  ターゲット股間部に多少ながらの変化を確認

それ以降もエキドナは、与えられた命令どおりに艦内を彷徨っては、
手当たり次第に男に抱きついては生真面目に記録していった。

エキドナ「(・・・誰もいないな)」
次のターゲットとなる男を捜すエキドナであったが、
すでに艦内にいる全ての男に抱きついたため次のターゲットとなる者は誰もいなかった。
エキドナ「(レモン様のところへ戻ろう)」
そう思いレモンの部屋へと向かうエキドナの前に、自室へと入って行く一人の男の姿があった。

   その名は、
     ヴィンデル=マウザー 

エキドナ「(そういえばヴィンデル様を忘れていたな)」
人造人間にすら忘れられる程度の男ヴィンデル。

ラストターゲット
 Sミラー首領 ヴィンデル=マウザー  場所 ヴィンデル私室

    ぎゅっ

首領「ぬ?!」
エキドナ「・・・・・」
首領「(この柔らかい感触は・・・・)」
エキドナ「体温と心拍数の上昇を確認。」
無表情のままヴィンデルに抱きつき、更に観察を行うエキドナ。
エキドナ「ヴィンデル様如何でしょうか?」
首領「い・・・ぃゃ、悪くないな////////
    (これはコイツに私が好かれているということなのか?)」
エキドナ「そうですか」
そう呟くとエキドナは顔を少し背けた、
首領「(やはりコイツは私に気があるな)」
エキドナの行動を照れ隠しと思ったヴィンデルは、そっと腕に抱きつくエキドナの肩に手まわし抱きしめた。
エキドナ「?」
相手の意外な行動にエキドナは抱きついていた腕を話しヴィンデルに抱きしめられるままとなった。
首領「(人造人間とは言え、コイツはなかなかの美人
      更に胸もデカイ上にスタイルも中々・・・)」
どうやらヴィンデルの頭の中では、12時解禁クラスの想像が始まっていた。

    シュィィィィィン
Sミラー女性一般兵「あの・・・ヴィンデル様ご報告したい件が・・・」
ヴィンデルの部屋の自動ドアが開き一人の一般兵が入ってきたのだが、
女性一般兵「・・・・・・・・・・・・・・」
首領「!?!?!」
エキドナ「????」
彼女は目の前で起こっている光景を見たまま動かなかった。
なにせ彼女の目の前では、鼻の下を伸ばしながらエキドナを抱きしめるヴィンデルが居たのである。
女性一般兵「し・・・・失礼しました!」
そういうと彼女は起用に前を向いたまま後ろにさがり、部屋を後にした。
壁越しに走り去る足音と「きゃー!スクープ!スクープ!」という叫び声と響いていたのは、
人造人間ならぬヴィンデルの耳にもしっかりと聞こえたのであった。
首領「・・・・・」
脱力しエキドナを抱きしめるのをやめたヴィンデルからエキドナは離れると、
全ての実験結果を報告するためレモンの部屋に向かうのであった。
       結果  良く分からないが抱きしめられた

広いとはいえ所詮は閉鎖空間であるシロガネ艦内に、女性一般兵が見た光景が噂として広まるまで半日と立たなかった。
ある噂曰く「あの二人はデキている」
別の噂曰く「首領がエキドナを押し倒そうとしていた」
またある噂曰く「首領は他の男にエキドナを抱きつかせて調教していた」
などと、噂に尾ひれはひれがつくのが当然のようにとんでもない噂が広まっていったのであった。
この噂によりSミラーに所属する多くの兵士達からのヴィンデルへの信頼は、
                              眠れ地の底に とだけ言わせてもらおう。

レモン「ところで胸は改良しなくていいの?」
エキドナ「実験をしてみて、別に悪い気分ではなかったのでこのままで良いです。」
レモン「そう。
    ところで、貴女の後ろに立つ兵士達は何かしら?」
レモンの前に立つエキドナの背後には、Sミラー所属の女性兵士が数人SPのように立っていた。
女性兵士「我々は、純真なエキドナ様をヴィンデル様から守るため有志でガードを行っているのです!」
レモン「そう・・・それは頑張ってね」
かくしてエキドナを守るためSミラー内で”エキドナ親衛隊”なるものが結成されたのは、どうでもいい話し。





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276 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/10/22(日) 15:02:07 r1HaWtJ9
>>270-275
実にギリアムイエーガー
エキドナかわいいよエキドナ
あーでもレモン様も可愛いなこのやろー


首領の行く末は割とどうでもいい


278 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/10/22(日) 15:13:40 3LtBgvBC
そんなヴィンデルにちょっと同情している奴も居る。
そう、俺だ。


2006年12月14日
 ■  jz8R2zB8作SS 「ハロウィン前前前夜祭明け」

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その107
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1161354805/l50



249 :前前々(夜祭1 :2006/10/22(日) 03:31:34 jz8R2zB8
リュウ「ここは?・・・俺の部屋か・・・うぅいくらハロウィンの前前前(ry夜祭だからって
    エクセレン少尉に飲まされちまった・・・日本じゃ未成年で飲めないのに・・・
    てかなんでラトとマイがオレのベットでフェアリオンとR−GUNの格好して寝てんだ!?
    しかもアヤとオウカさんが簀巻きにマウスピースされて俺を睨んでるぅ!!」

アヤ「ふー!(よくも私の可愛い妹を!)」
オウカ「ふー!ふー!(ラトが!私のラトが!!)

 
 
 
 
 


別の部屋

ゼンガー「むぅ?ここは・・・俺の部屋か・・・エクセレンめ・・・飲めないと分かってて飲ませたな。
     ・・・!!
     ソフィア!ククル!なぜふたりが俺のベットで寝ている!?」
プシュー(扉OPEN)
イルイ「ゼンガー!おはよ・う・・・」
ゼンガー「!!
     イルイ!これh(フォロー・ザ・サン)

さらに違う部屋

リョウト「うぅ・・・昨晩はエクセレン少尉に飲まされちゃった・・・」
リオ「うぅん・・・おはようリョウト君(///)」
リョウト「あ・・・おはようリオ」
リオ「昨日のあんなに甘えてくるリョウト君はじめて(///)」
リョウト「・・・え?」

さらに(ry

カーラ「あれ?ここは?」
ユウ「やっと起きたか。ほら、紅茶だ。」
カーラ「???あ、ありがとう。」
ユウ「・・・(無言で紅茶を飲む)」
カーラ「???(状況が飲み込めず紅茶を飲む)」
ユウ「昨日は・・・その・・・正直それほどまでに俺を想っててくれていたなんて・・・
   素直に・・・嬉しい・・・これからも俺がお前を守る・・・!!」
カーラ「!!!!!!?」

さら(ry

ガサガサ・・・
ブリット(ん?ここは・・・?・・・クスハの部屋!?)
クスハ「あ・・・起こしちゃった?」
ブリット「え?」
クスハ「昨日はエクセレン少尉すごかったね。はいこれ、レーツェルさんに教わったフルーツジュース(///)」
ブリット「!?(ク、クスハ手作りのジュース!?(ぞぞぞぞ〜))あ、ありがとう。」
ゴクゴク・・・
ブリット「!
     爽やかで頭がすっきりしておいしい・・・」
クスハ「よかった〜。昨日鼻血出さずにあんなに頑張ったんだもん(///)
    お疲れ様・・・それと・・・ありがとう(///)」
つー(ブリットの鼻血)
    


さr(ry

レオナ「ん・・・うぅ・・・頭痛が・・・」
タスク「あ。おはようレオナ」
レオナ「!
    タ、タタタタタタタスク!なぜあなたが私の部屋に!?」
タスク「何言ってるんだ?ここはオレの部屋だぜ?」
レオナ「え?」
タスク「覚えてないのか?昨日エクセレン少尉に酔いつぶれてオレが
    部屋に送ってったら扉にロックが掛かってて開かないからオレの部屋で寝たこと?」
レオナ「そ、そうなの?
    ・・・!
    まさか酔った私を・・・」
タスク「あぁ、酔ったレオナが外に出ないようにな。それと他の酔った連中がオレの部屋に入らないように
    外で見張ってたさ・・・ヘッキシ!!」
レオナ「!(ただでさえ暖房のない廊下で一晩中私を護ってくれてたの?)」
タスク「ずずずず〜(鼻をすする)レオナも起きたことだしちょっとコーヒー煎れて来るわ」
レオナ「タスク!!」
タスク「(ビク!)は、はい!!」
レオナ「そ、その前に私とに、二度寝していかない?」
タスク「へ?」

(ry

カティア(これはどういうこと?わたしとテニアちゃんとメルアちゃんが統夜と四人で寝るなんて・・・
     それは週一のローテーションで決まってることだけど、今日はその日じゃないし、統夜が裸なんて前例が無いわ!)
統夜「うぅ・・・ごめんなさい・・・もう無理です・・・もう出ません・・・許して下さい・・・」
カティア「この寝言・・・まさか私達・・・?」
統夜「くそぉ〜!やれっていうならやってやるさ!!」
カティア「!!」
夜を統べるもの「この程度でまいったら、オレは・・・騎士道不覚悟!うおおおぉぉぉ!!」
カティア「思い出したわ・・・昨日エクセレン少尉に言われるがまま統夜を酔いつぶしたら・・・」

ラキ「うぅ・・・ものすごく頭部に鈍い痛みがあり胃の内容物を出してしまいそうだ・・・」
ジョシュア「それは二日酔いっていうんだよラキ」
ラキ「二日酔い?」
ジョシュア「あぁ、昨日エクセレン少尉にお酒を飲まされただろ?」
ラキ「酒?あのアルコールが含まれてる飲み物のことか?」
ジョシュア「そう。あれは一時的に人の気分を高揚させるが、飲みすぎると今のラキみたいな症状になるものなんだ。」
ラキ「そうなのか、以後気をつける。」
ジョシュア「そうしてもらえるとありがたい。それじゃおれはおかゆを作ってくる。荒れた胃にはあれが一番だからな。」
ラキ「待てジョシュア。」
ジョシュア「ん?なんだラk」
唇を重ねる
ジョシュア「い、いきなりどうしたんだラキ!?」
ラキ「昨晩意識を失う前にエクセレン少尉に言われて、ジョシュアにこれをしたら落ち着いたのを覚えている。
   だから二日酔いというものを治すためにやってみた。」
ジョシュア「そ、そうか。(後で少尉に変なこと教えないでくれって言わなきゃな)
      で、二日酔いは治ったか?」
ラキ「いや、しかし胸の奥に何かを感じた。何か暖かいものだ。とても落ち着く・・・」
ジョシュア「あぁ、オレの心にもラキの心が伝わってくる・・・それは『安心』ていう感情だ。」
ラキ「安心・・・」
ジョシュア「そう、人が誰しも自分以外のものに求める感情のひとつだ。」
ラキ「ジョシュア・・・わたしはもっと安心が欲しい・・・」
ジョシュア「え?」

まだまだ(ry

ラウル「うぅ・・・少尉は昔からあんなに強いのか・・・うぷっ・・・」
フィオナ「キャハハハハハ!!兄貴情けなぁ〜いwwwww!」
ラージ「ほらあなたもいつまでも笑ってないで。フィオナは私が送りますから、ミズホさんはラウルをお願いします。」
ミズホ「だ、大丈夫ですかラウルさん?部屋まで送りますから。」
ラウル「すまないミズホ・・・うぅ・・・」
ラウル私室
プシュー
ミズホ「着きましたよラウルさん」
ラウル「ミズホ!オレ・・・オレ!!」
ガバッ
ミズホ「え!?そんなラウルさん!hgくghヴいfぐgふじこ!?」
ドサッ!!
ラウル「すー・・・すー・・」
ミズホ「・・・へ?」
ラウル「ミズホ・・・すー・・・いつも・・・すー・・・ありがとう・・・」
ミズホ「ふふっ・・・今度は起きてる時に言ってくださいね、ラウル」
フィオナ私室
フィオナ「ばかばかばか!この鈍ちん!」(イメージ図・ボロットダイナッミックスペシャル)
ラージ「ちょ!フィオナ!僕が何をしたんですか!?」
フィオナ「なにもしないからでしょ!!」
ラージ「そんなメチャクチャな!あべしっ!!(花瓶命中)」
フィオナ「ばかぁー!!(バタン)すー・・・すー・・・こんなにすk・・・」


ラスト

エクセレン「あいたた・・・本番前なのに飲みすぎた・・・
      !?
      ダーリン!?いやん酔った勢いで送り狼になっちゃったのかしらん?
      ・・・ってラミアちゃんも!?」
ラミア「うぅん・・・あ、おはようございますですわ、エクセ姉さま(///)」
エクセレン「お、おはようラミアちゃん・・・」
キョウスケ「ん?二人とも起きたか?」
エクセレン「ハ、ハァ〜イダーリン・・・」
ラミア「エクセ姉さま、昨晩のあれもアインストの力でございますですか(///)?」
キョウスケ「あぁ、あれはおれも打ち抜けなくなるとこだったし、打ち抜かれるとこだった・・・」
エクセレン(え?なになに?なんなのよぉ〜!?)

リアルで酔った勢いで書いた。反省はしないが後悔するかも・・・




_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/



253 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/10/22(日) 06:44:54 W5jGIRY8
大作乙!!


261 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/10/22(日) 11:32:32 qzMaMZRB
>>250
トウマ「・・・昨日は大ハッスルした奴らが多かったな。」
スレイ「ブロウニング少尉のせいでもあるが・・・まったく破廉恥な。」
トウマ「ま、そういう俺も昨日は・・・あ、統夜だ」

統夜「みなさァ〜ん…こんにちは… お元気ですか…」(肌カサカサ)

トウマ・スレイ「誰だお前ーーーー!ガビーン
統夜「やだなあ…紫雲統夜ですよ…」
スレイ「紫雲…!?」
トウマ「今すぐ部屋にもどれー!!」
統夜「だ…大丈夫ですよ… 俺が居なきゃ…フューリーが攻めてきた時どうにもならないっしょ…。」
スレイ「だ…だからって、何もそんな状態で…」
トウマ「見た目、今晩あたりがヤマだぞ!!」
統夜「だ…大丈夫…  いつもより少し疲れてるだけですって
俺…顔にでやすいから…
まだまだその気になれば空を飛べますよ…」クククク・・・
トウマ・スレイ(本気の目だ…!!)


2006年11月28日
 ■  読書の秋 k+Kiu0Rb氏作

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その104
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1160222839/l50


55 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/10/08(日) 03:42:49 k+Kiu0Rb
流れとか無視して、6週間ぶりのSS投下いいですかね?



56 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/10/08(日) 03:44:01 Efzm1uHw
>>55
構わずブチかませぇ!



57 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/10/08(日) 03:47:12 k+Kiu0Rb
許可で下りたので6週間ぶりで文章おかしいけど気にせず投下しよう。

ラト「・・・・・・・・・」
ラトゥーニ・スゥボータは珍しく些細な事で悩んでいた。
彼女の瞳は、戦闘時のときと同じくらい真剣でありターゲットを見極めるかのように世話しなく動いていた。

そんな真剣に悩む彼女の前にそびえる物は、
          休憩室に置かれた安っぽいアルミ製の本棚であった。

彼女が悩む理由は、戦技教導隊隊長であるカイ少佐からの一言が始まりであった。
すなわち「読書の秋だから、なにか教本以外の本でも読んで感想文を提出しろ」という至極単純な命令であった。

彼女以外の教導隊メンバーはあっさりと読むべき本を選び終え、今頃読書に励んでいるであろう。

ラト「(何を読めばいいのかしら)」
別に昔から読書をしないわけではないのだが、如何せんスクール時代から戦術教本ぐらいしか読んできていないため
いざ読書をしろと言われても何を読めば良いのか分からない。
ラト「・・・」
本棚にはシンデレラや赤ずきん等が収録された『世界名作童話』なる本も置かれていたりするのだが、
ラト「童話の内容はたいてい覚えてるから、読むほどじゃないし・・・」
という一言で選ばれることなく本棚に収まったままである。

エクセレン「ラトちゃん、真剣な顔しちゃってどうしたのぉ?」
すでに2時間ちかく本棚の前で悩むラトゥーニに通りかかったエクセレンが声を掛けた。


エクセレン「そういう事だったのねー」
ラトゥーニの説明を受けエクセレンが感慨深げに頷いた。
エクセレン「私も昔は、読書感想文が宿題で出たときは困ったわねぇ」
ラト「そうなの?」
エクセレン「まぁー、そん時は決まって”ある本”を読んで書いてたけど・・・」
ちらりとエクセレンはラトゥーニの顔を窺うと、案の定”溺れるものは藁をも掴む”という表情である。
エクセレン「んじゃ、特別にラトちゃんに教えてあげましょうか」
ラト「エクセレン少尉ありがとう」

—— 10時間後 ——
ぐったりと休憩室のソファーに座るラトゥーニの影が一つあった。
ラト「解読するのに時間がかかる・・・」
彼女の手にはエクセレンから借りたと思わしき本が一冊あった。
       『漢詩全集 第20巻』
エクセレン曰く「自分が全然読めて無くても感想文として提出すると問題なく丸を貰えた」というのだが、
真面目なラトゥーニは一度読もうとして、難解は漢字だらけの本の前に疲れ果てていた。
エクセレン「私もそれ一つも読んだ事ないのよねぇ〜」
苦笑いを浮かべながらエクセレンはラトゥーニの様子を見るが、可愛そうなので見るのを辞めた。
エクセレン「でも、他の人からオススメの本を紹介してもらうのはどうかしらん?」
取り繕うかのように言ったエクセレンの言葉に反応したのか、生気の無い足取りでラトゥーニは休憩室を後にした。

ラト「貴方のオススメの本を教えてください」

ケース1 マサキ・アンドー
      紹介した本 『ナ○ト写本』
     ラト「声優ネタもほどほどに・・・」

ケース2 アルマナ・ティクヴァー
      紹介した本 『バルシュムとの接し方』
     ラト「・・・・」

ケース3 イルムガルド・カザハラ
      紹介した本 『淑女のたしなみ〜夜の章〜』
     リン社長に読む前に回収されたためコメント無し

ケース4 クォヴレー・ゴードン(?)
      紹介した本 『挑戦!幽体離脱!』
     ラト「・・・髪染めたんですか?」

エクセレン「ラトちゃんおかえり〜、ってちょっとラトちゃん大丈夫〜?」
結局成果が何一つないまま戻ってくるとラトゥーニはそのままソファーに倒れこんでしまう。
ラト「どれも興味が湧かないから借りてくることができませんでした」
エクセレン「でしょうねー」
脱力しきって起き上がる気配のないラトゥーニだったが、
リュウ「お?ラトゥーニどうしたんだ、こんなとこで?」
リュウセイの声が聞こえた瞬間、一瞬にして真っ直ぐに立ち上がっていた。
エクセレン「(・・・・器用な子)」

リュウ「へー、それで読む本を探してたのか」
ラト「どれも内容を知っているか、興味がないから・・・」
事情を聞きながらリュウセイは少し考える顔をして、
リュウ「んー、ラトが気に入るかは分からないけどそれだったら俺の本を貸してやるぞ」
ラト「でもリュウセイ、模型雑誌とかそういうのはダメだから・・」
リュウセイの提案の一瞬で蹴ろうとするラトだったが、
リュウ「おいおい失礼だなぁ、俺だって一応元学生だからちゃんとした本持ってるぞ」
エクセレン「意外ねー」
ラトゥーニは少し考えると、決意した表情でリュウセイに向き直った。
ラト「リュウセイの持ってる本を何か貸して」
エクセレン「(好きな人の読んでる本を知りたいってのは純真よねー)」
リュウセイ「おぅいいぜ!今とってくるからな」
そういうとリュウセイは自室へと引き返して行った。

エクセレン「ラトちゃんて意外と攻めるタイプなのね〜」
ラト「ぇっと、今のはその・・・」
リュウセイが居なくなりラトゥーニにかまいだすエクセレン。
エクセレン「好きな人が読んでる本を読みたいって気持ちは、同じ女として分かるわぁ♪」
ラト「//////(赤面」

リュウ「おぅお待たせー!ほら、これ最近買ったやつだけど読んでいいぜ」
駆け足でリュウセイが持ってきた紙袋を受け取ると、
ラト「ありがとう・・・リュウセイ」
リュウ「んじゃ、俺はR−1の調整行くから読み終わったら俺の部屋にでも置いといてくれ」
そう言い残しリュウセイは格納庫へと向かった。

エクセレン「さて、ラトちゃん借りたんだし早速本を読まなくちゃ♪」
ラト「う、うん」
エクセレンに急かされ渡された紙袋から取り出した本のタイトルは、

二人「・・・・・・・・・・」
ケース5 リュウセイ・ダテ
      渡された本 『神○合体!ゴーダ○ナー』文庫版全巻

                             とても彼らしい本であった。

後日、ラトゥーニから届いた感想文を読んだカイ少佐は、
思わずラトゥーニが『世界名作童話』を読む姿が想像して一瞬笑いを堪えたのは誰も知らない話し。

ラトが本を借りた日の夜、事情を聞いたオウカが、
「ウェェェェェェェバァァァァァァァ!」と叫びながらリュウセイを簀巻きにするため出撃したのは、周知の事実である。





_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/




62 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/10/08(日) 03:54:47 Efzm1uHw
>>57-61
GJ
ラト萌え
あとクル・・・じゃなくてリュウセイワロス



63 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/10/08(日) 03:58:18 vBiS0upD
>>57-61
G・J!リュウセイ…w



64 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/10/08(日) 04:01:57 oi3zSzg+
>>57-61
夜更かししてよかったよ・・・・良いSSに逢えて・・・・・
R-1の音声プログラムが天竜神なリュウセイワロスw

そして、忙しい職務の合間にスクール組への宿題を考え、ちゃんと評価もするカイ少佐萌えww


66 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/10/08(日) 07:13:20 u+vB6nzI
>>57-61
そしてさりげな〜く声優ネタ…GJ!



67 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/10/08(日) 07:39:45 nT6coe2p
>>57-61
や、やべぇ…起きがけになんて物見せてくれるんだ…
ディスプレイがコーヒーまみれじゃねぇかチキショー!

・・・GJw


2006年11月19日
 ■  「コバヤシ姉妹」のSS jOtehn9S氏作

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その102
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1159323663/l50



399 :1/2 :2006/09/29(金) 20:02:38 jOtehn9S
アヤが自室で報告書類を纏めていると、コンコン、と。ドアをノックする音が聞こえた。
次いで確認の声。
「アヤ、起きているか?」
マイの声だ。
「ん。起きてるわよ。入りなさい」
ドアの向こうに立っているであろう妹に向けた声は、優しい色を含んでいた。
同じSRXチームのリュウセイやライ、さらには元上官であり、アヤの慕い人だったイングラムに
向けられるものよりも、もっと優しい声。
ドアを開け、マイが部屋に入ってくる。
「……仕事中だったか?」
「SRXチームの報告書を纏めていたの」
「邪魔なら帰る」
「いえ、ちょうど休憩しようと思っていたところだから、良いタイミングだわ」
アヤは椅子に座ったまま伸びをして、マイの方に振り返り微笑む。
「とりあえず、お茶でも淹れましょうか?」


「珍しいわね、こんな時間にマイが来てくれるなんて」
アヤが言いながら時計を見ると、時刻は既に0時を過ぎている。
「アヤに聞きたいことと言いたいことがあったから」
テーブルを挟んで向かい合って座っているマイは、マグカップを両手で持って中身を飲む。
中身は、ライが差し入れてくれた玄米茶だ。
「へえ?何なのかしら」
アヤも自分の前に置いたマグカップを持ち、中身を飲む。中身はマイが飲んでいるものと同じだ。
疑問を口にしたアヤの様子は、妹の話を微笑ましげに聞く姉そのものだった。
マイはマグカップをテーブルに置く。そして、アヤの目を見ながら話し始める。
「……アヤ」
「なあに?」
「……昔の私のことを、アヤは知っているか?」
「……え?」
「私は……私は、自分の昔のことを、よく知らない。みんなに多くの迷惑をかけてしまった。
それが判る程度だ。でも、私が何をしたのかは、みんな教えてくれないんだ」
「マイ……どうして……?」
アヤには、何故マイがこんなことを聞いて来るのか理解できなかった。
「……今私はここにいる。ここにいて、みんなと一緒に戦ったり生活したりしている」
マイはカップの中に視線を落とし、言う。
「そして、みんなと一緒にいて、アヤやリュウセイやラトゥーニやみんなのことを知っていく
たびに思うんだ。『私は私のことを知っているのだろうか』と」
「マイ……」
「実感するんだ。自分のことを知らないことが不自然なことで、とても怖いことだって」
カタカタと音がする。カップを包んだマイの手が、か細く震えている。
「だから、アヤ。お願いだ。昔の私を知っていたら、教えてくれ」
顔を上げ、アヤを見つめるマイの目には、涙が溜まっていた。


「マイ……」
アヤはマイの傍に寄り、優しく抱きしめる。
過去を乗り越えたって、怖いものは怖いのだ。アヤだって、自分の記憶がどこまで本当か
判らなくとも、マイたちが居れば良いと思っているが、それでも、不確かな過去が
怖くなる時がある。それでも……
「マイ……ごめんなさい。今はまだ、話すことができないわ」
レビ・トーラー……エアロゲイターを引き連れ、地球に攻め込んできた女性。その女性は、
地球人を戦争の道具として利用しようとしていた。
それが、マイの過去なのだ。
マイがレビ・トーラーとして取ってきた行動は、当然ながら許されることではない。
それらの行動全てを今のマイが知ったら、果たして正常でいられるのだろうか。
その判断を下せないアヤは、マイに全てを話すことができなかった。
「でもきっと、全部話せる時が来たら、私から言うから……だから、今は許して」
「アヤ……わかった」
髪を撫でながら言うアヤに、マイは頷く。
「聞きたいことは、今のこと。もう一つ、アヤに言いたいことがあった」
「ん?」
「でも、言うのが恥ずかしくなった」
マイは赤くなって下を向く。
「? 何かしら」
「ぅ〜……おか……じゃなくて! ……おねえちゃん」
「……っ!」
マイが言った言葉に、アヤは固まった。その言葉は、マイが自分の過去を知りたがることよりも
衝撃的だったのだ。
「アヤ……は私の姉なのに、私はずっと名前で呼んでたから……これからは、おねえちゃん、
って呼ぶようにしたい……と思う」
顔は赤いまま、恐る恐るアヤを見るマイ。
「……本当にもう、この子ったら……」
アヤは、多分リュウセイやライも見たことがないような最高の笑顔で、マイを抱きしめた。
「あなたは私の最高の妹よ」


「ところで、言いかけてた『おか』って何なのかしら?(にこにこ)」
「う……」
「ひょっとして『おかあさん』とでも言おうとしてたのかしら?私、まだそんな歳じゃない
んだけどなぁ(にこにこ)」
「(ばれてるっ!?)」
「マイ、正直に言ってごらんなさい?お姉ちゃん、優しいから怒らないわよ?(にこにこ)」
「(怒ってるっ!すごく怒ってるっ!!)」


401 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/09/29(金) 20:10:43 HsnjgmiX
>>399-400
GJ!!



402 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/09/29(金) 20:16:49 +DBcm8l0
>>399-400
実にGJ

最後のとこ、よかった



403 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/09/29(金) 20:22:27 hhB2QKLP
>>399-400
姉妹愛最高。グッジョブ



404 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/09/29(金) 20:23:38 7ttlVz+w
>>399-400
最高にハイって奴ダァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!

GJ!



405 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/09/29(金) 20:28:51 VM2swfIL
>399-400
実にトロンベ

2006年11月13日
 ■  HymmQjIR氏作 テツレフィSS

テツヤ=オノデラって
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/gamerobo/1146805050/l50



868 :それも名無しだ :2006/07/06(木) 18:43:39 HymmQjIR
初めて書いたSSです。読みにくいところや誤字脱字などがあるかもしれません。



 基地の司令室に向かう途中、敵の襲撃によって近くで爆発が起きた。その時、
隣にいた中佐をかばうために自分が彼女を引き寄せて意識が遠のいていった。
 自分と中佐はただの同僚であって、それ以上の関係ではない。だから、今見て
いる彼女の泣き顔は、たぶん、夢なのだろう。
 「どうして……どうしてあんな無茶をしたんですか?」

周囲の様子はまるでわからない。そして、夢でなければ、彼女が涙を流しなが
ら、こんな言葉を自分になんかかけるわけがない。
19という若さで戦艦の艦長に任命された彼女と違い、今の自分の地位は、つい
最近、半ば強引に自分の目標であった人から譲り受たのだ。いくら共に戦ってい
るとはいえ、こんな自分に、彼女が恋人が怪我をしたかのような反応を自分にす
るわけがないのだ。

「下手したら死んでたんですよ……わかってるんですか?」

夢の中だということはわかっている。けれど、自分の好きな人がずっと泣いて
いるのは見ていて辛い。
(起き上がるのは……無理か……右腕は……なんとか動くな)


「…テツヤさん?」
 彼女が自分の名前を呼ぶのが聞こえた。
「自分のために…泣かないで下さい…」
 夢だとわかっているから言える。臆病な自分には、彼女本人を目の前にしては
絶対言えないだろう。
「自分は…… 自分の好きな人には泣いてほしくないんです。 だから…泣く
のをやめてください」
普段の自分なら、恥ずかしすぎて絶対に言えないような言葉が出てきた。しか
し、これは自分の偽りの無い本心である。
「……私も…あなたが好きです。だから、私を泣かすようなことはもうしない
でください。 あなたに死なれたら、私は、もう立ち直れませんから…… だか
ら、約束して下さい……絶対に無茶はもうしないと」
彼女は、さらに涙を流した。涙は彼女の頬から下に流れ、自分の頬に当たった

「…自分はもう大丈夫です……だから…もう泣かないで下さい… お願いしま
す…」
 そう言うと、彼女は首を横に振った
「違うんです……ただ…こうやってテツヤさんに好きだなんて言われたことな
くて……嬉しいんです」
夢とはいえ、この人は本当に反則な人だと思う。艦長という立派な地位にいな
がらも、こんな風に年相応のかわいい仕草ができるのだから。
「……中佐」
夢だからだろう。でなければ、自分にあんなことができるわけがないのだから


目の前に彼女の顔があり、その唇に自分の唇を重ねていた。

どうやら右腕を彼女の頭の後ろに回して引き寄せたから、彼女の顔が自分の目
の前にあったのだろう。
 「テツヤ……さん?」
 彼女はどうやら自分が何をされたか理解できていないようだ。
(どうせ、夢なのだから、最後まで言わせてもらおう)
 名残惜しいが唇を離す
「レフィーナ中佐…いえレフィーナ。今の戦いが終わり、平和になったら、結
婚してくれませんか?……」
自分の嘘偽りの無い想いを言葉に乗せる。
彼女は、自分が何を言われたか理解できていないみたいだ。夢だから仕方ない
のだろう。
全てを言い終えたからか、どうしようもない脱力感が襲ってきた。
(いつか、彼女に言おう。駄目かもしれなくても、後悔しないように……)


目が覚めると、白い天井が見えてきた。体の節々が痛むが我慢して起き上がる
と、彼女がベッドにもたれかかって寝ているのがわかった。
(昨日からずっと付き添っていてくれたのだろうか…… 悪い事をしてしまっ
たな…
 ん?目の辺りが赤く腫れてる…泣いたのか?)
先程見ていた夢の中の彼女が頭に浮かんできた。
(落ち着いて考えろテツヤ…… あれは夢の筈だ…… 共に戦っているとは、
いえ彼女が自分なんかのためにあんなに取り乱すわけがないだろ…)
気をとりなおして辺りを見回すが、周りにはレフィーナ中佐しかいない。
(申し訳ないが、中佐を起こして誰か呼んで来てもらうか)
「中佐、レフィーナ中佐、起きてください」
二、三回声をかけると、レフィーナの目が覚めてきたようだ。
 「……テツヤ大尉…ですか」
 「レフィーナ中佐、誰か呼んで来てもらえないでしょう……」
(顔が赤いがどうしたんだ?)
目が覚めて自分の顔を見た彼女は、トマトのように顔を耳まで真っ赤に染めた
「顔が赤いのですが、風邪ですか?」
彼女は口を開いては閉じ、それを何回か繰り返すと、覚悟を決めたのかまっす
ぐにこちらの目に視線を向けた
「……中佐?」
「………初めてだったんです……… キスをされたのも、プロポーズされたの
も…」
頭をぶん殴られた気がした。どうやら、先程のあれは夢ではなかったらしい。
だんだん頭に血が上っているのがわかる気がした。
「す、す、す、すいませんでした!!!」
 (駄目だ、覚悟を決めろテツヤ=オノデラ。お前は男だろ!!) テツヤの心
中を知ってか知らずか、レフィーナは口を開いた。
「あ、気にしないで下さい。その、あの、え〜と、 私、嬉しかったですから
。その、テツヤ大尉にそういう事されて。だから、今返事します」
頭に血が上るを通り越して、もう頭の血管が何本か耐えきれずに切れたのでは
ないだろうか?なんとなく意識が無くなってきたような……
「早く戦いを終わらせて、籍を入れましょう。だから、それまで絶対に死なな
いで下さい」
OKを貰えたのはわかったが、どうやらもう限界らしく、起きているのも辛く
なってきた。
「テツヤ大尉?どうかしましたか?」
彼女の声を最後に、再び眠りにつくことになった。


871 :それも名無しだ :2006/07/06(木) 19:56:13 MTQoGYSu
>868-870
GJ!
夢の中では少し大胆なテツヤ萌え

ところでこのSS、続きがありそうなんですが
どうなんでしょう



875 :874 :2006/07/06(木) 23:15:09 YZ4qMj0w
>>868-870
すまん、感想書くの忘れてた。
イイネイイネー!夢じゃない落ちで安心した!
真っ赤になってベッドに倒れこむ大尉の姿が見えたよ。GJ!!



876 :それも名無しだ :2006/07/06(木) 23:52:48 qxrSqRpX
>>868-870
ついに小説キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
>>872さん
大丈夫、読みやすいしグッジョブですよ!


877 :それも名無しだ :2006/07/07(金) 00:23:32 JVopLINB
>>872
ネ申キタコレ(゜∀゜)
最後どうなるかどうなるかと萌え萌えしました
素敵SSをありがとう!


878 :それも名無しだ :2006/07/07(金) 10:41:55 rOR5pVKw
>>868-870
改めてテツヤとレフィーナって
どんな展開でも萌えな組み合わせだと確信した(*゚∀゚*)グッジョーブー!

 ■  旧OG萌えスレの名テツレフィSS

テツヤ=オノデラって
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/gamerobo/1146805050/l50



811 :それも名無しだ :2006/07/03(月) 00:18:44 jy+/KG/t
旧OG萌えスレにレフィテツSSがあるので紹介しておく

昔読んだなぁ、コレ





_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/



【一番は】アヤ、レオナ(´д`)ハァハァ×10【リョウトですが】
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/poke/1044689826/l50

**********
「エイター!そっちの箱持ってきてもらえるかー!?」
「これっスかー?了解!」
人もまばらなハガネの格納庫に、金槌の音が小気味よく響いている。
金属やら電気やらの多い格納庫にしてはえらく朴訥で牧歌的な音は、およそ格納庫には似合わないものだ。
「……なんだろ」
たまたま格納庫からの音を聞きつけてやってきたのは、リューネと模擬訓練で一戦やらかした後のリオだった。
僅差で勝利を収め、ほくほく顔の彼女はリョウトに報告(自慢とも言うが)しようと急いでいたのだが、
今日はほとんどのクルーに休みが与えられているにもかかわらず、リョウトはあいにくの留守。
彼の姿を探してうろついていたところ、この音を聞きつけたのであった。
「大尉ーっ、ホントにこんなことに格納庫使っていいんですかー?」
「いいんだよ!ちゃんと艦長に許可ももらってるって言っただろうが」
リズムよく繰り返される金槌の音の合間合間に聞こえてくる声は、
まず格納庫にあるロボット群とは縁のない人々のものだ。
「(一体何をしてるのかしら)」
そもそも今日は休むべき日だ。休まないのは間違ってる!
……と自分のことはさらっと棚に上げ、せめて一喝とリオは勢い込んで格納庫に突撃する。
「ちょっとテ——……」
「あら、リオ曹長」
「え?」
さあ一喝、と言うところで横合いから声を掛けられ、思い切りつんのめるリオ。
一喝する気力を殺がれ、これまた間近に聞くはずのない声に振り返ると、
そこにはヒリュウ改の艦長、レフィーナが立っていた。
「レフィーナ中佐!?ど、どうしてハガネに……あっ、いえ、すいません!お見苦しいところを」
「ふふ、いいんですよ。私もお休みだからここに来ているんですし、堅苦しいことはなしにしましょう?」

にっこりと笑うレフィーナを前に、そういえば彼女と自分は一つしか年が違わない事を思い出す。
人間って、不思議だ。ハガネの副長テツヤは逆に、自分と一回り近く年が違うようには見えないのに。
そんなことを思いながら、リオは改めて階下の格納庫を見下ろした。
「え、と。中佐達は、ここで何を?」
傍目には、眼下に映る男達が何をしているのか理解できない。
確認できるのはどうやら無理矢理手伝わされているらしいエイタと、当事者らしいテツヤとリョウトの三人。
ぶつくさ言いながらいくつもある工具箱を出し入れするエイタにあれこれ指示を出しながら、テツヤが金槌を振るっている。
リョウトは、どうやらテツヤが作っているものを押さえたり、釘を出したりと雑用らしい。
ごく普通の家庭で見れば、ごくありふれた日曜大工の微笑ましい光景だが、何度も言うようにここはハガネの格納庫。
日曜大工の似合う場所ではない。
しかも、日曜大工などして何に使えるかというと甚だ疑問だ。
それらを口調と眼差しとに目一杯込めてリオが尋ねると、これもまた華やかな笑顔でレフィーナは応えてきた。
「今日、ハガネとヒリュウ改のブリッジクルーで朝食をご一緒したんですけど……
そのときに小物が多くてなかなか部屋が片づかないという話をしたら、
大尉があり合わせのものでよければと棚を作ってくださることになったんです」
「棚を?大尉が?」
「ええ。結構、そういうのお好きなんだそうですよ?」
意外だ……と思う反面、なんとなく分かる気もする。
リオがブリッジにいたときも、テツヤの印象は堅苦しい上官というよりは面倒見のいい隣のお兄さんだった。
まあ、もともとハガネのブリッジクルーが親しみやすかったのもあるのだが。
「それで、エイタとリョウトくんも?」
「そう……ですね。私がここに来たときは、もうお二人ともいらっしゃいました」
「う〜ん……」
リョウトはともかくとして、エイタはまず間違いなく無理矢理手伝わされているのだろう。
それが見抜けない辺り、レフィーナもどこかヌケている。


男ってそこがいいのかなあ、などとどうでも良いことを考えるリオの傍ら、
レフィーナは作業を続ける三人を——正確に言うと棚作りに勤しむテツヤを——見下ろし、微笑ましげに笑った。
「でも……ふふ、なんだかああしていると三人仲のいい兄弟のように見えますね」
「まあ、三人とも日本人ですしねー」
正直、エイタとリョウトが兄弟だとは思いたくない。
胸中複雑な想いはしつつも、眼下の光景には何となくリオの口元も緩む。
いつも緊迫した作戦中には、絶対に見られない光景だ。
内気なリョウトが楽しそうに誰かと作業をしている姿を見ているのは、妬けてくる反面うれしさもこみ上げてくる。
「やっぱり、男の子は男の子同士の方が一緒にいて楽しいのかなぁ。リョウト君、すっごく楽しそう」
「あら、そんなことありませんよ?リオさんといるときも、すごく楽しそうじゃありませんか」
「えっ?そうですか?」
それまで冷静に受け答えをしていたリオの顔が、爆発的に紅く染まった。
同時に、思いがけず大声が格納庫に響き渡ってしまい、階下の男性陣が一斉に顔を上げる。
「あ……リオ。リューネとの勝負は終わったの?」
「う、うん。一応、勝ったよ」
「やったじゃないか、初勝利だよ!」
ぱっ、とリオが思った以上に喜びを見せるリョウト。それを茶化すように倉庫からエイタが声を張り上げる。
「リオ〜、何戦目で初勝利だ〜?」
「うるさいわねっ!い、いいじゃない何戦目だって!」
「まあ、ともあれリオもようやく一人前のパイロットの仲間入りだな。
……ふう、これでよし、と」
それまで絶え間なく続いていた金槌の音がぴたりと止んだ。
満足そうな顔でどっこいしょと腰を上げるテツヤの足下には、簡素ながらもしっかりした木製の棚が出来上がっている。
「へぇ、大尉って意外と器用なんだ」
「意外とって何だ、意外とって。俺はこう見えても手先は器用だぞ」
「性格は不器用じゃないですか。ねっ、リョウト君」
「え……そ、そうなんですか、大尉」
「俺に聞くなよ……ああもう、どうせ甲斐性なしですよ」
「そこまで言ってませんって」


似たもの同士の男二人、困ったように顔を見合わせて唸る。
こうしていると、リョウトとテツヤなら本当に兄弟と言って通じるかも知れない。
あまりの微笑ましさにくすくす笑い出すリオとレフィーナ。
「り、リオ……何も笑うことないじゃない」
「ごめんね、何か二人とも可愛くってさ。大尉、それで完成ですか?」
「うん?ああ、一応完成といえば完成だが……
戦艦の中とは言え、ちょっと女性の部屋に置くには味気ないよなあ」
木製の棚は一見すれば素朴で、それはそれでいいかもしれない。
しかし、実際レフィーナの部屋を見てみないと分からないが、
年若い乙女の部屋に置くには少し色気が足りないようにも思う。
作った棚を掲げ、しきりに唸るテツヤに勢いよくリオが手を挙げた。
「じゃあ、私が色をつけます!こういうのは、同じ女の子の方が分かるだろうし」
「そうか?あ、でもここにある着色剤は金属用しか……」
「僕が薄めて調整しますよ。リオ一人に作業をやらせるのも気が咎めますし……
大尉とエイタさんは戻っててもらっても」
リオに倣ってか、ごく控えめにテツヤの隣でリョウトも手を挙げる。
いや、手を挙げる必要はないんだが、
と口の中でもごもご呟いてからテツヤは倉庫内で道具を片付けているエイタに声をかけた。
「エイタ、もういいぞ!」
「えっ、いいんですか?」
格納庫隅から、埃まみれのエイタがようやく顔を覗かせた。
がらくたの山と化した倉庫から這いだしつつ、文句を言うのも忘れない。
「全く、大尉は人使いが荒いというか、こっちの都合も……」
「分かった、お前の苦労はよぉ〜っく分かったし、非常〜に助かった。
ご褒美にデッキでユン伍長がお茶を入れて待ってるようだから、お前はご馳走になってこい」
「マジですか!そ、それじゃあお先に……」
先程までの不機嫌ぶりは何処の空。
ご褒美と聞いてにわかに活気を取り戻したエイタは、
レフィーナに一礼するのもそこそこに格納庫を飛び出していく。


やれやれと肩をすくめてそれを見送ってから、テツヤは揃えた道具一式をリョウトに引き渡した。
「一応、ここを借りるときに俺が責任を持って見てるって約束してるから、俺は上にいる。何かあったらすぐに呼ぶんだぞ」
「はい。まあ……棚に色をつけるくらいで何かあったら困るんですけどね」
「そりゃそうだ。ま、規則は規則だから……悪いな、二人きりにしてやれなくて。
俺たちはいないもんだと思って上手くやれよ、リョウト」
「あ……はい。大尉も、頑張って」
折角弟分を励まして、格好よく決めたテツヤがリョウトの一言に最後の最後で躓いた。
上から駆け下りてきたリオが、自分が足をかけたものかと驚いて振り返るが、
テツヤは「大丈夫だ」とひらひら手を振って上へと上がっていく。
「リョウト君、テツヤ大尉に何か言った?」
「えっ?ううん、ちょっと、ね」
曖昧なリョウトの答えにリオは少し首を傾げたが、
それとなく刷毛とペンキ缶を渡された後は何を疑問に思ったかもすっかり忘れてしまうのであった。

************
「お疲れさまでした、大尉」
「あ……中佐!も、申し訳ありません。こんなところでお待たせしてしまって……」
「いえ、構いません。私の我が儘を聞いていただいたのに、私一人部屋で待っているわけにはいきませんから」
格納庫の上を走る回廊では、レフィーナがテツヤを出迎えるべく待っていた。
手には、ご丁寧に冷たいジュースの缶とタオルまで用意されている。
「これ、先程クルーの方が届けてくださったんです。どうぞ」
「恐縮です。あっ、自分はまだここで作業を見ていなければならないので、
何でしたら先に戻っていただいても結構ですよ?」
「あの……私がいたら、お邪魔ですか?」
「いっ……いえっ、とんでもない!」
テツヤはあくまで申し訳なさから勧めたのだが、レフィーナにはそう受け取られなかったらしい。
寂しそうな上目遣いで見上げられて、テツヤは顔を真っ赤にしながら首を振る。
「じ、自分などでよろしければ、その、お話でも」
「ええ、喜んで」

寂しげな表情から一転、レフィーナの顔にいつもの華やかな笑顔が浮かんだ。
あまりに鮮やかな表情の変化につい見とれつつ、テツヤは近くの手すりに寄りかかる。
それに倣って、レフィーナも彼のすぐ隣に落ち着いた。
「ふふ……とても楽しそうでしたね、大尉」
「そ、そうですか?いや、お恥ずかしい……」
「そんなことありません。まるで本当の兄弟のようで、うらやましかったです」
「兄弟……まあ、似たようなものですから。中佐だって、ユン伍長と姉妹のようですよ」
戦友というのは、深かれ浅かれそんなものだろう、とテツヤは胸中で付け加える。
同世代なら兄弟、年の差があるならば親子。
自分とリョウト、そして自分とダイテツの関わりを省みて、つくづくそう思う。
「この艦には若い連中が多いですから……差詰め、自分が長男ってところですか」
「ふふ、頼れるお兄さんでいいじゃないですか」
階下では、ようやく色が決まったのかリョウトがペンキを手頃なバケツに汲み変えていた。
リオは刷毛を片手にやる気満々で棚と向かい合っている。
それを二人で微笑ましく眺める眼差しは、確かに肉親のそれによく似ていた。
リオがリョウトに細かく色の指示を与える声、その合間で会話が途切れてしまった事に気付いて、
テツヤが自分の腰をとんとんと叩く。
「しかし、若い連中は元気ですよ。自分なんか、これだけの作業なのにもう腰に来てて。もうトシかな」
「まあ、そんなこと……大尉だって、ダイテツ中佐の半分しか生きておられないんですから……怒られちゃいますよ?」
「はは……ごもっともです」
今も少し動けば仄かな体温すら感じられそうな至近距離にいながら、
どうしてもテツヤが一歩引いてしまうのはひとえにその年の差と階級の差にあるだろう。
階級はレフィーナの方が二つ上。しかし、年はテツヤの方が十も上だ。
普段意識することはないが、レフィーナは今眼下で作業をしている二人にほど近い年であり、
自分は年で言うならむしろあの教導隊に近い。
その年の差を——未だ二十歳にすらなっていない若者の中でただ一人、
三十路を目前にした自分を、この場で嫌と言うほどテツヤは見せつけられていた。

「(そうだよな……俺、もうすぐ三十路なんだよな……)」
自分で話題を振っておいて、一人落ち込んでいるのだから所謂自爆というやつだ。
急に深々とため息をついてしまったテツヤを、レフィーナが不思議そうに覗き込む。
「大尉?」
「うぉっ!あっ、いえ、すいません。
その……作業の間、中佐はお暇ではありませんでしたか?ここには何もないですし……」
ばくばくはね回る心臓をどうにか押さえつけ、のけぞりかけた体勢を無理矢理戻してテツヤは強引に話題をすり替えた。
口が裂けても、眼前に現れたレフィーナの顔に思い切りときめいた、などとは言えない。絶対言えない。
ましてや、こうしている間も年頃(をちょっぴり過ぎたと自称しておく)の男なりに
アレコレしてみたいと一瞬の間に妄想してしまったなどと思い返すのも恥ずかしく。
耳の間近に跳ね回る鼓動の音を聞きながらテツヤは平静を装ってレフィーナを見下ろした。
幸い、レフィーナは一瞬のうちにめまぐるしく展開されたテツヤの胸中になどさっぱり気付かず、笑顔で首を横に振る。
「いいえ、そんなことありません。私、ああいう風に人が何かを作り上げていく作業って、
見るの好きなんです。何だか、魔法みたいで」
「魔法……ですか」
再びリョウト達の方を見てみると、棚は着実に色づけされていた。
いかにもリオの趣味らしく堅実ではあるが、
どうやらリョウトの意見も反映されているらしく堅実さの中に柔らかなデザインが伺える。
合作というのも、なかなかに微笑ましい。
どれもこれも、やろうと思えば誰でもできることではあるのだが。
「自分の手は、魔法使いの手には見えませんけどね」
少し煤けた手袋を外し、しげしげと自分の手を眺めるテツヤ。
先程の作業で金槌を握り続けたせいか、少しマメが出来ている。
実際に操縦桿を握っているパイロット達に比べればましな方だろうが、
やはり男性らしくその手はごつごつと骨張って荒れていた。
とても、魔法使いの手とはほど遠いシルエットにテツヤは苦笑を浮かべる。
「それに、魔法使いなら腰を痛めて棚を作ることもないでしょう。ちょっとうらやましいかなぁ」


「ふふ……でも、私は魔法使いの本当の魔法より……」
外気に晒されたままの手に、そっと白い繊手が重なった。
まるで愛おしむように、そっと両の手でテツヤの手を包み込んで
——それでも包みきれないくらい、彼女の手は小さかったけれど——レフィーナは囁きかける。
「大尉のこの手の方が、ずっと魔法だと思います。
だって、魔法使いでもないのに、あんな風に素敵なものを沢山作れるんですから」
今までテツヤが見てきた中で、掛け値なしに一番の笑顔だと断言できる。そんな、無邪気で屈託のない笑顔だった。
それまでぎくしゃくしていたもの、全てをその笑顔に攫われて、テツヤもレフィーナの手を自然と握り返す。
「こんなちっぽけな魔法でよければ、いくらでもお見せしますよ」
「楽しみにしてて、いいのですか?」
「はい」
今世紀初登場堂々第一位のチャンス。
まさしくこれ以上ないシチュエーションに盛り上がりも最高潮。
テツヤ=オノデラ、三十路を目前にして彼女いない歴×年の歴史に終止符を打つ瞬間の到来か!
しかし、世の中そう上手くいかないのが現実というものである。
「レフィーナ中佐ぁ〜、こんな感じでどうですかー!?」
がつーーん。
「————ッッ!」
現実は、リオという少女の声を取ってテツヤに降りかかってきた。
急激に現実へ引き戻された弾みに、未開封のジュース缶がテツヤの足の小指を直撃する。
やたら鈍くて重たい音を立てて転がるジュース缶、悶絶するテツヤが思わず手を振りほどくのと、
レフィーナがリオに注意を取られるのとはほぼ同時だったのが幸いか。
「だ、大丈夫ですか、大尉……」
階下から聞こえたリョウトの心配そうな声に、無言でがくがくと頷きながらテツヤは痛みか悔しさか、
どちらか分からないがしょっぱい涙を一粒零すのであった。
合掌。

——その後。
出来上がった棚は、塗料を乾かす為に半日格納庫へ放置された後、
無事にレフィーナの部屋へと届けられた。
見事に彼女の私室のデザインとしっくり馴染んだ其処には、
あの戦争中も、そして戦争が終わった今も同じものが置かれている。
「……もうすぐ地球です」
地球を離れてからどれくらいが過ぎただろうか。
思ったほどに、時間は経っていないようにも思うし——ものすごく待ち焦がれたような気もする。
「約束……覚えてますか。それとももう、他に魔法を見せる人を見つけてしまいましたか?」
カレンダーに日々付けられていく印は、懐かしい仲間に会うためのカウントダウンか、
それともあの人に会うまでのカウントダウンか。
それは、付けている彼女本人にも分からない。
それでも、彼女はその日の到来を待ちわびていた。
「私は……早くあなたに、お会いしたいです……」
窓の外に、蒼く輝く地球が見えてくる。
そこにいる、ささやかな魔法使いに出会えたなら、まず自分は何を話そうか。
そして、どんな風に伝えようか。
地球とイカロス、その遠い距離の間に育んできた想いを。
「……大尉……」
レフィーナの万感の思いを込めた囁きを受け止めるように、
棚の上では写真の中のテツヤが色褪せぬ笑顔を彼女に向けて静かに佇んでいた。


2006年11月11日
 ■  チームSRX by:b+/davVj


540 :チームSRX 1/3 :2006/09/18(月) 15:45:17 b+/davVj
リュウセイが慌ててハガネの作戦室に駆け込む

「沖縄で量産型ゲシュペンストが暴れてるだって!」

今、沖縄に1番近くにいるのは伊豆にて、艦の整備をしているハガネと
それに所属しているSRXチームである
リュウセイはいてもたってもいられず、出撃を急かすが…

「ええ、でも…」

アヤ…SRXのチームリーダーは躊躇していた
その煮え切らない態度にイライラするリュウセイ

「何だよ!早く行かねえと街の人達が!」
「暴れてるゲシュペンストが…軍の物のそうだ」

ライディース…ライがその街の状況を説明する

「なっ…なら尚更早く!」
「既に、軍の物と一般の人達にも伝わっているの…だから…
…上層部はその情報操作と原因解明が終わるまで…手を出すな…と」

アヤはリュウセイから顔を背けながら出撃が出来ない理由を説明する
早い話が軍のお偉いさん達の我が儘である
しかし、軍に所属している以上、その命令は絶対である

「ふざけんなっ!」
「リュウセイ!!」

怒りを表にするリュウセイをライは制止した

「大尉や俺も辛いんだ…」
「そんな…そんな理屈分かってたまるか!街の人達は今も!」

リュウセイは作戦室を飛び出した

「リュウ!」
「あの…馬鹿が…!大尉!俺達も」

間違いなく、リュウセイは沖縄に向かう。今までの付き合いから二人はそう直感した
しかし、今−自分達も飛び出したら…

アヤは自分の頬を叩き、覚悟を決めた

「ライ…私に考えがあるわ………だから少し待って」

「ジャイアントリボルバー!!………っ弾切れ!」

独り、R-1で飛び出したリュウセイは街を守りつつ戦っていたが
ゲシュペンストの数は思ったより多く、多勢に無勢、機体も精神的にも限界が来ていた

「まずい…ここまでか…いや…俺は諦めねぇ…諦めてたまるかぁあ!」
「なら…やられては意味はあるまい!!リュウセイ!上だ!」

R-2からの通信が入り、咄嗟にリュウセイは盾を上空の敵に投げ付ける

「まったく…盾がなければSRXになれないだろう…」
「…ライ………なんでここに…」
「リュウ、気を抜いたら駄目よ!T-LINKコンタクト…行って!ストライクシールド」

ストライクシールドがR-1までの道のりの敵を一掃し
その後、盾を回収しR-1まで合流する

「アヤまで…」
「大尉が、上に偵察許可を無理矢理申し込んでな…」
「そしたら、やむなく自己防衛の為の戦闘に突入………ま、始末書何枚になるか分かんないけど…」

ライとアヤが溜め息をはく…

「は…ははは…サイコーだぜ!お前等!!」

コクピットの中でついにやけてしまうリュウセイに、ライから警告がくる

「まだ、敵は残っているぞ!」
「よおぉしっ!いくぜ!!」

アヤから盾を受け取り、R-WINGにチェンジして突っ込むリュウセイ

「了解!大尉!」
「ええ!R-フォーメーション!3、2、1で決めるわよ!」
「よっしゃあ!先に突っ込む!任せたぜ2人とも!
見せてやる!SRXチームの真のチームワークってやつをな!」


「すまねえ!…ぶっ!」

ライの左手でのチョップがリュウセイの頭に直撃する

「悪かったと思うなら、今後は勝手な行動は慎め」

しかし、リュウセイは頭を押さえながら転がり、聞いているか、いないか分からなかった

「ライも素直じゃないわね…」

それを見掛けたアヤが笑いながら近付く
リュウセイがその訳を聞こうとするとライが止めに入った

「なんだよ!教えろよ!」
「なんでもない!」

アヤはRマシンを眺めながら、こう呟いた…

「私達、SRXチームは、最高のチームね…」


おしまい……


543 :おまけ 「しかし掃除は手伝わない」 :2006/09/18(月) 15:54:53 b+/davVj
その後

リュウセイ「基地のトイレ掃除…か」
アヤ「これでも、軽減されたのよ!」
ヴィレッタ「結局は元ノイエDCの仕業とはいえ、大変だったわね」
マイ「リュウ!私も手伝う!私も仲間だ!」
リュウセイ「本当か?よしじゃ…」
アヤ「じゃ、マイは私と行きましょ」
リュウセイ「おい!なんでだよ!」
アヤ「マイに男子便所掃除させる気?」
リュウセイ「…うっ」

ヴィレッタ「………どうしたの?」
ライ「いえ…あれだけの事をしてトイレ掃除だけとは…有り難うございます…隊長」
ヴィレッタ「何、気にすることはないわ…あの時マイとともに特脳研に行ってたとはいえ…私もチーム…でしょ?」
ライ「はい…」




_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/



544 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/09/18(月) 16:01:40 2PPlX1dB
b+/davVjのSS、Yesだね!



546 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/09/18(月) 17:21:59 7uBlRpT6
>>540
イングラム「しくしく…」
クヴォレー「仕方ない、今夜は付き合ってやるか」
イングラム「クヴォレー…」
クヴォレー「…と言いたい所だが、今夜はアルマナとの約束があるからまたな」
イングラム「絶望したぁ!」



547 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/09/18(月) 17:28:33 ccH1pPTE
>>540
ふむ、ちょっと短いとは思ったが燃え分が十分に補給できた。
GJである。

2006年10月31日
 ■  もしOG萌えスレ界に純正悪な完璧親父がきたら

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その97
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1156946528/l50


890 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/09/04(月) 22:22:16 wMcCn9zR

BGM・ぺるふぇくてぃおのてーま♪

ペル「・・・・・・・」
助手「な!?お、親父?・・・いや、違う。こいつは、こいつの悪意は!」
ペル「我が名・・・我が名はペルフェクティオ」
スレイ「なんだ?いつものわがままで迷惑で思いつきで行動する父上ではないぞ」
リム「お、お父さん?もしかして、あの時に戻っちゃったの?」
トウマ「物凄い気迫だ・・・直接体に痺れがくるぜ・・・」
助手「何がおこっているんだ・・・?親父・・・」
親父「む、どうした?誰か呼んだかい?」
助手「お、親父・・・が二人?」
カイ「もしや分裂スキルか!」
エクセ「こっちはいつものファーザーみたいね。この脳天気そうな顔♪」
トウマ「あんたが言うなあんたが」
エクセ「いやん♪」
親父「っと。ほーほー、これはこれは。とうとうここの世界も目を付けられちゃったか〜。いや、困ったねこいつは」
ペル「ヒトと呼ばれる生命体よ。この世界が破滅に導かれる刻が来た」
助手「親父、一体どういうことなんだ?」
親父「いや、私も“破滅”の使いではあるんだが、あの戦いの時もこの体に力の一部が取り付いて自我を形成していただけだったもんだから。
アレの本体はまた別次元にあるんだな〜。こちらにはもう干渉しないはずなんだが・・・」
ラキ「じゃぁ、あれは完全なペルフェクティオなのか?」
親父「いや、完全な力を持った私なら、登場シーンでかっこよく銀河一つくらい飲み込めるさ。
おそらく平行世界からか、この世界の中の運命の分かれ道をさ迷っていた、別の“私”が、破滅を望んで無理矢理こちらに現れたんだろう」
助手「今さりげに自慢しただろ?」
リュウセイ「言ってることが難しい・・・」
リム「お父さん、何とかならないの?」
親父「いや昨晩は夜遅くまでアクイラやイグニスと麻雀を・・・ブツブツ」

ペル(あれが・・・あの頼りない覇気0の中年オヤジ兼親バカが・・・この世界の我・・・(・ω・`)

アラド「しかしこいつぁホントにやばいぜ?」

アレ・・・ガ、我ナノカ(・ω・`)
アヤ「えぇ、感じるわ。圧倒的な悪意、破滅を望む心からくる力・・・!」

アレガ・・・我・・・(´・ω・`)
リョウト「あんな奴に、勝てるのかな・・・僕たち」
リオ「勝つのよ!リョウト君!相手はまさしく悪!!」
ゴゴゴゴ(`・ω・´)ゴゴゴゴ

リュウセイ「念の力なんて関係ねぇ。肌に纏わり付くこの感覚・・・悪意が物理的な力を持ってやがる」
ライ「らしくないことを言うな。物理なんて言葉知っていたか?」
リュウセイ「あぁ、人の受け売りだからな!・・・って物理くらい俺だってなぁ!」
ラト「そんな言葉・・・知らなくったって・・・リュウセイはリュウセイ///」
マイ「そ、そうだ、リュウセイ。気にすることはない///」
リュウセイ「二人とも・・・///」
ペル(む?あれが・・・俗に言う・・・ロリコン・・・羨まs
ハッ、我は何を考えているのだ!!)



935 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/09/05(火) 00:03:41 7tYgus2c


ペル「・・・我が来たからにはこの世界も終わりだ。ヒトよ、絶望のうちに息絶えろ」
トロンベ「トロンベェ!トォロンンベェェェ!!」
一同「「「「トロンベ語Σ(´Д`|||)」」」」
ペル「はたしてヒトごときにできるかな?」
統夜「通じたー!!(ガビーン」

ペル「我は破滅、我は混沌。すべてをただ消しs」
ハザル「黙れ、黙れよぉ!」
バラン「これ、坊!この場はゼンガー殿達に任せた方が・・・」
ハザル「えぇい、黙れ、黙れ黙れ黙れ!!」
久保「奴は何故そんなに気が立っているんだ?」
ルリア「実は・・・ハザル様は現在、新バルマー星付近で1000/1ガドル・ヴァイクランを製作中でして」
アルマナ「完成間近まできているのです。だからこの世界を消される訳には・・・」
リュウセイ「なんだって!?
ペルフェクティオ、この世界は絶対に守りきってやる!」
久保「単純だなおい」

ペル「我は破滅、我は混t」アクセル「今日こそ決着をつけるぞ、ベーオウルフ!!」
キョウスケ「お前は黙れ」
アクセル「アーッ!!」
エクセ「ラミアちゃーん、この人向こうに運んじゃって〜」
ラミア「わかりましたでこざいますですわ」
ペル「キケヨ(´・ω・`)」

テツヤ「南極に慰安旅行に来てみれば・・・」
レフィーナ「まさか、こんな敵と遭遇するなんて・・・」
ショーン「類は友を呼ぶ・・・とでもいいますか・・・まぁある意味みんなリラックスしていそうですが」

ルアフ「あ・い・う・え!」
帝国観察軍兵士一同「「「「おっぱいーーー!!!!」」」」
エルマ「あの人達、何でいるんですか・・・」
セレーナ「なにやら慰安旅行についてきたみたいよ?」
トウマ「天下の霊帝にかかれば破滅の意思も形無しか」
ペル「いい加減我の話を聞けえぇえ!」
バサラ(友情出演)「そんなことより俺の歌を聞けぇ!!」
ペル「Σ(´Д`|||)」
ジャーダ「熱いビートを刻んでやる!!」

わーわーぎゃーぎゃー

ペル「・・・帰ル(ノД`)」
親父「懸命な判断だw」

2006年10月25日
 ■  OG名作劇場「トウマとご奉仕トリオ」

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その96
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1156507193/l50


209 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/08/26(土) 22:36:40 GYTBzBg4
さて、出遅れまくったがメイドネタSS投下してもいいかな?


212 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/08/26(土) 22:42:25 GYTBzBg4


日課の鍛錬を終えたトウマが食堂に入ったとき、すでにそこは異界と化していた

トウマ「・・・」
見慣れたはずの食堂のテーブルにはレースのテーブルクロスが掛けられ、
実用性のみ重視されたデジタル時計に変わって巨大な振り子時計が置かれている。
あまつさえ床には絨毯が食堂中に敷かれている。

     「「「お帰りなさいませ!ご主人様!」」」

言葉も無く入り口で立ち尽くすトウマに、トドメをさすかのように声が掛けられた。
トウマ「っ!?!」
声を掛けてきた主の姿を見てトウマは驚きのあまり下がってしまう。
テニア「ご主人様、今日の鍛錬お疲れ様でした。いますぐお茶を用意いたします」
メイド服を着たテニアがトウマの腕を微笑みながら捕まえた。
イング「ご主人様、今汗を拭くためのタオルを用意します」
同じくメイド服を着たイングがそう言い残すといそいそと厨房の方に入って行く。
アラド「ささっ、ご主人様お腹が空いているのでしたらお申し付けください」
テニアに捕まったトウマの背中を、これまたメイド服を着たアラドが押して異界と化した食堂に入れようとする。
トウマ「ちょっ?!なんで食堂が、ってかむしろ何でメイド?!?」
食堂に入れられないように踏ん張るトウマだったが相手の方が上手だった。
アラド「ど〜ん」
背中から押していたアラドが、トウマの背中から突き飛ばした。
トウマ「うおっ!?」
テニア「えぃっ!」
バランスを崩したトウマをテニアが思いっきり引っ張った。
転がりこむ形でトウマは食堂に入ってしまう。
立ち上がるトウマを囲む形で、タオルを持ってきたイングを含む三人のメイドがペコリとお辞儀をした。
三人「お帰りなさいませ!ご主人様!」
トウマ「た、・・・ただい・・ま」
三人から純粋な笑顔を向けられトウマにはこう言うしかなかった

トウマ「・・・で、なんでメイド喫茶になってるんだ?」
出された紅茶を飲みながら、すぐ脇で待機している三人に聞いた。
アラド「いゃ、普段ここに俺ら入り浸ってるじゃないですか。
    そしたらカイ少佐に、『若いんだからたまには食べてばかりいないで、塚さん達の手伝いをしろ』って」
イング「で、手伝おうとしたらカティアちゃんと、
    ツグミさんが『レクリエーションも兼ねてやろう』って事になって」
テニア「そしたら塚さん達も乗り気になって、
    昔流行になったっていうメイド喫茶になったのよ」
トウマ「・・・(塚さん達まで悪乗りしたわけか)で、
    カティアさんとツグミさんは今どこに?」
カイ少佐がこの事を耳にする前に辞めさせようと原因である二人に話しをしようと思うのだが、
テニア「カティア達なら『メイドを増やすんだー』とか言ってどっか行っちゃったよ」
トウマ「手遅れか・・・、ついでに聞くけど何でアラドとイングまでメイド服なんだ?」
三人「カティアちゃんの趣味用の資料!」
あまりにも納得のいく返事をされトウマには返す言葉も無かった。

?????「楽しんでいるかな?」
トウマ「レーツェルさんじゃないか」
隣のテーブルに着いていたレーツェルが声を掛けてきた。
トウマ「レーツェルさんも捕まったんですか?」
レーツェル「いゃ、懐かしくてね。ふらっと入ってしまったのだよ」
昔を懐かしむ顔でレーツェルが語った。
トウマ「そういえば、実家は名家でしたね」
レーツェルの本名を思い出し納得した。
レーツェル「実に懐かしい・・・カトライアのメイド姿・・・」
トウマ「ぇ?」
レーツェル「カトライアの初しく々恥らう姿が・・実に、実にトロンベ!!!」
懐かしい過去の妄想へとレーツェルは駆け抜けていった。

トウマ「じゃあ、俺はこれで」
茶器を置いて席を立つと、それまで脇で待機していた三人が食堂の出口まで着いて来た。
トウマ「何?」
いぶかしむトウマを他所に三人は再び純粋な笑顔を向けると、
三人「いってらっしゃいませ、ご主人様」
トウマ「い、いって・・・きます」
やはりトウマにはこう言うしかなった。

トウマが通路を歩いていると、正面からカイ少佐と出くわした。
カイ「トウマか、大雷凰の方はどうだ?」
カイとは普段から同じ蹴りを使う機体に乗っているせいか良く話しをする。
今日もいつものようにトレーニングの話や機体の調整のあれこれを話した。
カイ「っと、そうだトウマ。今空いているか?」
カイが何かを思い出したようにトウマに聞いてきた。
トウマ「え?・・ぇえ空いてますけど」
カイ「そうか、いやな。昨日アラド達が食堂に入り浸ってばかりだから、
   手伝いをするように言ったのだがその様子を見に行こうと思ってな」
そういうカイ少佐の顔は、我が子の参観日を楽しみにしている父親の顔そのものであった。
対するトウマというと、
トウマ「・・・・それはそれは楽しみですね(棒読み)」
その三人がどういう手伝いをしているのか知っている人間特有の笑顔しかできなかった。

案の定、カイは食堂の異界っぷりと三人の姿を見て言葉をなくしてしまった。
しかも、つい十数分前には居なかったはずのメイド姿のリョウトやラト、マイ、クォヴレーが食堂で働いていた。
一瞬カイ少佐の額に血管が浮き上がったように見えたのは目の錯覚だとトウマは思うことにした。
しかし、トウマと食堂を出るまでしっかりと三人の手伝いを見ている顔には、
父親が我が子に向けるような暖かさがあったのをトウマを見つけていた。

まぁ、当然のようにその後、
カティア、ツグミ、塚の三人とその他これに加担した面々が
カイ少佐の元に呼ばれ説教を喰らったのは当然の事であった。


216 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/08/26(土) 22:46:36 GYTBzBg4


後日、
テスラ研に居るフィリオ・プレスティの元にツグミからメールが届き
それを見たフィリオが新しいAMの開発案をその日の内に提出、
それがジョナサン=カザハラ、ロバート=オオミヤを含む一部研究員らの猛烈な賛成を受け採用され
「メイドリオン」なるコードネームの元、開発されたのは別の世界の出来事であると信じたい。





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215 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/08/26(土) 22:46:19 IY/ntnmB
乙。
少佐良い人だ。

あと何やってんだトロンベ



217 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/08/26(土) 22:49:13 Pn0A/miK
つ、塚さんがそっちの趣味に目覚めた!?
いや単純に悪乗りしていたか、純粋にレクリエーションだと思っていたかのどっちかだと思いたいけどさ。
それはそうと
>>212-214
実にGJ、そして乙


221 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/08/26(土) 22:53:07 TCyMqXHB
>>212-214
話がスムーズに流れていくのにおもしろい、GJ!


2006年09月25日
 ■  QTIkNI5W氏作 「Fate/Stasis night」

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その92
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1154795414/l50


心霊現象の特集番組見てて思いついたけど、全然関係なくなってしまったSS


怪現象というものは何時起こるかわからない
紫雲統夜の場合もそうであった。

統夜「暑・・」
目を覚ました統夜はそう言うと自分が寝ている間に抱きついて寝る三人娘を、
引き剥がし起き上がろうとして自分の足に違和感を覚えた。
統夜「・・・重い」
足元を見るとシャナが統夜の足を抱き枕にして寝ている。
統夜「・・・・」
記憶が確かなら昨夜シャナは、フューリーの民の受け入れの為に、
政府高官達と会談だった。本来ならどこかの高級ホテルで寝ているはずである。
シャナ「ん〜・・・」
良く見ると会談の時に着ていたであろうドレス姿である。恐らく会談終了後そのままここへ来たのだろう。

着替えをすませ居間に入ると、昨夜寝る前に見た光景より悲惨になっていた。
カティアがコミケに出す本を夜遅くまで作っているのだが、日に日に部屋の凄惨さが増していく。
例えば、一週間ほど前は居間の隅の方で作っていたのだが、今は部屋中に作られた本とその資料が散乱し、ちゃぶ台の周りに敷いてある座布団の横にコミケのカタログが置いてある。トウマやクォヴレーの盗撮してきたであろうシャワールームの写真が散乱してたりもする。

とりあえず目に付く邪魔な資料を脇へどかしつつ、ふと統夜は部屋の隅に昨夜は無かった黒い物体に目がとまった。
統夜「?」
かなりの大きさがある黒い物体に近づき何か確かめようとした統夜の時が止まった。

その黒い物体の正体は、体育座りでブツブツ何ごとか呟く騎士アル=ヴァン・ランクスであった。

アル「すまんな」
統夜から渡されたコーヒーを受け取りながら、アル=ヴァンは部屋を見回した。
アル「昨夜は気づかなかったが・・・・・・すごいな」
統夜「頭が痛くなるから言わないでください」
お湯を沸かしている間にカティアの資料等をどかしたのだが、それでも部屋の凄惨さは大して変わらない。
統夜「なんでここに居たんですか?」
アル「シャナ=ミア様の護衛でな、昨夜はホテルに泊まるはずだったのだが、
   こっちへ戻りたいと言われてな」
シャナの格好を思い出して統夜は納得した。
統夜「ところでさっきブツブツ呟いてたけど、何言ってたんだ?」
アル「ぬ?アレはカルヴィナとの約束につい・・・て・・・・・」
突然動きの止まったアル=ヴァンの体が、小刻みに震えだした。あまつさえコーヒーの水面が分かりやすいぐらい波だっていた。
統夜自身もアル=ヴァンを見て何かしらの危機を感じ背中から脂汗が出ているのを感じた。

アル=ヴァンが言うには昨夜の会談にはカルヴィナも出席しており、
会談の終了後に飲みに誘われたらしい。しかし、現在の状況が物語っているように、
シャナが統夜のところに来たいと駄々をこねアル=ヴァンは渋々連れてきたのであった。
もちろん、カルヴィナとの約束を果たせる事などできるはずがない。

アル「・・・・・」(ガタガタ震えてる)
統夜「・・・・・・」(ガタガタ震えてる)
アル「統夜・・・震えるとは騎士としてどうかと思うぞ」(ガタガタ震えてる)
統夜「お前が言える立場か・・・」(ガタガタ震えてる)

アル「なに・・・大丈夫だ・・」
冷静さを取りもどしたアル=ヴァンがぎこちなく笑いながら言った。
アル「ジュア=ムをホテルには残してある。奴がカルヴィナを抑えてくれているはずだ」
統夜「・・・・・酷ぇ」
統夜は心の中で上司によって捨て駒にされたジュア=ムに敬礼をおくった。
今頃、ジュア=ムはジュア=ムだったものになっているであろう。

アル「さて、邪魔をしたな」
そう言うとアル=ヴァンは立ち上がり玄関に向かった。
統夜「これから朝飯作るから食べてけばいいじゃないか」
アル「いや、カルヴィナに昨夜の事を謝罪せねばならない。気持ちだけ受け取っておこう。
   シャナ=ミア様は夕方に迎えにくるのでそれまで頼む」
礼服の襟を正しながらアル=ヴァンが統夜を見つめた。
統夜「なんだ?」
いぶかしむ統夜と、何かを覚悟するように口を開くアル=ヴァン、
アル「騎士、統夜・エ=セルダ・シェーン!」
統夜「!?はっ・・・はい!」
アル「統夜、フューリーの騎士としての覚悟と精進を忘れるなよ」
それだけ言うとアル=ヴァンは扉を開け部屋を後にした。
統夜「・・・・遺言じゃないよな」

朝食を作るためまな板に向かう統夜の耳に、
すぐ隣の空き地からアル=ヴァンの悲鳴とカルヴィナの怒声が聞こえたが聞こえないふりをすることにした。
統夜「・・・あぁ云うのにはなりたくないな」
それが、統夜の見つけた騎士の覚悟かどうかは分からない。

翌日、目が覚め居間に向かった統夜が見たものは、
体育座りで「出番が・・・出番が・・・」と呟くグ=ランドン・ゴーツの姿だったのは、
フューリー騎士団の歴史から抹消されている。





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611 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/08/09(水) 12:18:46 VGjuUsh6
>>607
ワロス
本当にジュの字はロクな目に合わんな・・・。



612 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/08/09(水) 12:26:37 pLD/tLcC
ジョアムと統夜は結構いい友達になれると思うんだ。



613 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/08/09(水) 12:26:58 /FtBNl8P
>>609
アル、微妙に男らしいんだからしくないんだかw


2006年09月13日
 ■  運命の夏の日 エピローグ

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その91
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1154529791/l50


771 :750 :2006/08/05(土) 02:18:13 iyVATps3
トウマ編のあの話をSSにしてみました…



764 :750 :2006/08/05(土) 01:58:48 iyVATps3

駄作ですがよろしく

注)欝になっても知りませんので





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「私には五つ上のお兄ちゃんがいたんだ…」


夏…去年はお兄ちゃんが帰って来て素麺を一緒に食べたんだったよね…
私もお兄ちゃんの真似をして山葵を入れてみたけど駄目で、みんなで笑ってたよね…

お兄ちゃんは、それから一ヶ月しないうちにどっかに行っちゃったんだよね…
お家に手紙が届いて、お母さんが泣き崩れた時はびっくりしちゃった

「宇宙でお兄ちゃんの部隊が…」

私は最初、嘘だと思ってた…
なんかの冗談か、間違いだって…
だって、お墓にはお兄ちゃんいないんだよ…
宇宙…って広いし、きっと無事で、また、いつもみたいに玄関を開けて帰ってくるって…信じてた


だけど、お兄ちゃんはいなくなっちゃった…
でも、お兄ちゃんのお部屋はそのまま残ってるの…
時計も動いてるし、小さい頃に買った机もそのまま、本や作りかけのパズルも…
だけど………そこにはもう来ないんだよね…
顔も見れないし、声も聞けないんだよね…お兄ちゃん…

そして、今年も夏が来たの…

「バイト〜っ!皿洗い終わったら上がっていいぞ〜!」

あと数枚で既に皿洗いは終わりそうだ

「は〜いっ!お疲れ様で〜す」

バイトの彼、トウマ・カノウは急いでいた
次のアルバイトまでの時間が迫っていたのだ
彼はハイスクールを卒業した後、親から独立し、ハイスクールから続けてたアルバイトで生計をたてていた
彼自身もそろそろ身を固めた方がいいとは分かっているのだが、どうしても『コレ』という仕事が見つからない
そのせいか、ズルズルとアルバイトを続けている

「やばいな、確かこっちからなら、近道…うわっ!そうだった…」

近道は通行禁止になっていた
今、地球…いや、太陽系はあらゆるところで戦争をやっていた
この地区は、戦闘区域に入ることはほぼなく
2ヶ月前に近くで起きた戦闘が起きたくらいである
そのときに、飛んできた流れ兵器によって通行禁止になっていたのだった

「ドンパチするなら、関係ない所でやってくれよな…」

ボソッと愚痴をこぼした次の瞬間、罵声がとんできた

「何言ってるのよ!」

…12歳くらいの女の子がそこに立っていた
トウマが無視して通り過ぎようとすると、女の子はトウマの上着を掴んで離さなかった

「先、行きたいから離して…」

トウマが言いきる前に少女が口を割り込む

「謝って…!兵隊さんや、他の地球を守ってる人達に謝ってよ!」

トウマはその少女を振り切って黙って走って行った

(…なんだ?あの女の子………)

バイトが終わり、日も暮れてきた
今、午後七時…
夏の日暮れは遅い…
トウマは少し気になる事があり、ある場所に向かった
通行禁止と書かれた看板の前にその少女は座っていた

「…昼間は…ゴメンな…」

トウマは、その少女にジュースを差し出しながら、昼間の事を謝った
少女は首を横に振り、自分も言い過ぎたと、頭を下げてきた
しっかりした子だと、トウマはただ関心していた、
街灯がつき始め、送っていこうか?と、トウマが聞くと少女は首を振り帰路についた

次の日

トウマは街の路上販売をしていた
昔からの友人に頼まれたバイトで、友人の造った趣味のアクセサリーを売っている
夏場はその照り付ける太陽がやけに憎い
コンクリートから跳ね返る熱気に蝉の声さえ欝陶しい

「…今日はこれくらいにするか」


トウマは、商品を友人に返すと、次のバイトの時間潰しにでもと、喫茶店に出掛けた

「あ…お兄ちゃん…」

昨日の子がそこにいた

「昨日は本当になんか気に触る事言ってゴメンな」
「ううん…少し私も…」
「なんかあったの?聞かせてよ?俺さ、知りたいし…あ、嫌ならいいんだけどさ…」
「実は…私にはお兄ちゃんが…五つ上のお兄ちゃんがいたんです…」

カランと、少女のレモネードの氷が音をたてる…

「でも…去年…戦争で…軍にいたお兄ちゃんは…」

少女の身体が震え始めた

「ゴメンッ!嫌な事…聞いたね」


二人の間に気まずい雰囲気が流れる

「あ、すいません…私、用事が」

彼女なりに気を使ったのだろう
少女はその場を立ち去った


その日、トウマは、アルバイトを休んだ


(軍人さんにも家族や、友人、恋人、大切な人はもちろんいる
当たり前の事だ…
そして、俺は…その軍人さん達に助けてもらってる
俺には関係ないと思ってた…いや…思うようにしてた…戦争…
関係ないわけ…ないんだよな
あんな小さな子が…それを教えてくれた…)

布団の中でトウマは考え混んでいた…
これからの自分自身について…どうするのかを…


一週間後

トウマは少しだが変わっていってた
困り弱ってる人を助ける…
彼はそんな人間を目指していた
だが人間、そうそう変われるものではないが…少しずつ…少しずつ…

あの子とはあれから一度も会っていない、たまたま会えないだけなのか…
この街にはいないのか…

トウマはボーッとしながらアクセサリーの路上販売をしていた…


「お久しぶりです、お兄ちゃん」

トウマの目の前に現れたのはあの子だった
元気そうなその姿を見てトウマはホッと安心した

「久しぶり…」

少女は商品のアクセサリーをマジマジと見つめる

「綺麗ですね!お兄ちゃんが造ったんですか?」

トウマは首を振り、友人の手伝いのアルバイトと伝えた
少女はアクセサリーをジッと眺めている
この子は多分、本当はこういう子なんだろう…

「なにがいい?プレゼントしてあげるよ」

トウマの意外な一言に少女は首を振った

「遠慮なんかしないで…ほら、選びな」
「ありがとうございます…え〜と」
「トウマ…トウマ・カノウ」
「トウマお兄ちゃん!」

少女は食いつく様にアクセサリーを吟味していた

「そういえば…君の名前は?」
「コレかな…え?私の名前ですか?」
「そう…君の名前」
「私は…」

その瞬間、爆風が吹いた


トウマが気がついた時、辺りは阿鼻叫喚の地獄だった

いきなりの敵襲…

逃げ惑う人…人…人…

泣きじゃくる子供…

燃える盛る建物…

「あっ…あの子は………」

トウマは必死になって探した
頭の中ではこういう時、何故だか最悪の場面しか浮かんでこない

「大丈夫…大丈夫だ…」

そう声に出して少しでも不安を和らげようとする


そして、見つけた…その子の…一部を………
トウマは…声をあげて泣いた…これが戦争という現実…なのか…と
しかし、名前も知らない少女は返事をしてくれない…
敵の機動兵器が目の前に現れた…
トウマは既に恐怖と悲しみで動けなくなっていた

(俺…死ぬのか…?嫌だ…まだ死にたく…)

『チェストーォッ!』

一機の特機が彼を救う
巨大な日本刀を持った…夏の日の巨人…


彼は思い出す…夏の日にあったあの名も無き少女のことを…
その強い誓いとともに…





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772 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/08/05(土) 02:22:18 vuTlERIA
>>771
なんだろう……なんか、凄くこみ上げてくる……

一言で言うならGJ!!



775 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/08/05(土) 02:47:51 ZrL2nW9q
GJです。あの台詞をこう使うとは、思いつきませんでした。




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809 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/08/05(土) 13:12:30 vuTlERIA
>>770のSS見てたらこんな文章浮かんだ
ケイサルエフェスとの決戦(ノーマルエンド)でのお話


「トウマお兄ちゃん!」
何処かで聞いた、懐かしい声が
「君は…!あの時の!」
あの時の…、あの夏の日の女の子…、名前も知らない女の子…
「久しぶり、トウマお兄ちゃん」
「君もザ・パワーに…」
「うん!お兄ちゃんも一緒だよ!」
「そう…なんだ……」
「ダメだよ、トウマお兄ちゃん…」
「え?」
「諦めちゃダメだよ!トウマお兄ちゃん!」
「でも、もう……」
かなわない…、強すぎる…、もう…無理だ…
「そんな事言っちゃダメだよ!最後まで…、最後まで戦わないと!みんな…みんな、死んじゃうんだよ!?」
死ぬ…?みんな…?あの夏の日のように…?
嫌だ…!もう誰も死なせたくない!死なせない!!
「そうだな…!そうだよな!こんな所で諦めちゃ駄目だよなぁ!」
「うん!そうだよ!トウマお兄ちゃん!」
こんな小さな女の子もケイサルに取り込まれず、ザ・パワーとなってあいつと戦ってるのに俺が諦めちゃ駄目だよな!

「あれ?トウマお兄ちゃん…そのアクセサリーって…」
トウマの胸で揺れるアクセサリー
「ああ、これか?君が握ってたアクセサリーだよ」
あの日、あの夏の日、君の一部が握っていたアクセサリー、もしかしたら君にプレゼントするはずだったかもしれないアクセサリー
「私、これ欲しかったんだよ!」
「やっぱりそうか!じゃあこの戦いが終わったら、君に届けてあげるよ、このアクセサリー」
「本当!?」
「ああ、本当だよ、約束する!だから…君の名前を教えてくれないか?」
あの日聞けなかった、君の名前……
「う、んわかったよ!私の……私の名前はね……」
そう言い残して彼女は消えてゆく
「……OK!わかったよ、君の名前!」
約束が出来た、この戦い絶対負けられない!


「行くぞ!大雷鳳!彼女との約束を守るために奴をぶっ潰す!!」


2006年09月06日
 ■  SRWJ+α3リアル女性ルート風 シンデレラ

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その90
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1154247984/l50


134 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/30(日) 22:17:25 fGRSpRMv
唐突だが長い電波が来たので
SSを晒してみる。

シンデレラ→スレイ
魔法使い→統夜
王子→アイビス
継母→ツグミ
連れ子→カティア
連れ子→テニア
連れ子→メルア
王→セレーナ


——私はこの家で『シンデレラ(灰かぶり)』と呼ばれている。

フィリオ兄様が死んだ後は、継母ツグミとその連れ子三人に
実権を握られ・・・

「シンデレラー、夕飯、掃除、買い物、洗濯、整備、よろしく!」
「あ、インクの買出しにも行ってきて頂戴。それ済んだら原稿の手伝いもよろしく。」
「ちょっとー、ジャガイモ切れてるよ!今すぐ買ってきて!」
「チョコレートもよろしくお願いしますね♪(裏がありそうな笑顔)」

・・・今では人権団体が憤慨しそうな生活の毎日だ。
・・・時々、ベッドの中で兄様のいた頃を思いだし・・・泣いたりもした。

そんなある日、継母達の元に一通の手紙が届いた。
どうやら城からの手紙のようだ。

「お城で王子様の嫁を決めるパーティーがあるの。
招待状貰ったから行って来るわね♪」

・・・と言って、竜巻印の馬車をチャーターして自分達だけとっとと行ってしまった。
・・・連れ子たちが「玉の輿」だの何だの言っていたが、聞く気にもなれなかった。

(パーティー・・・。それなのに私はホウキ片手に一人で我が家の掃除・・・か。
・・・せめて兄様がいるときにやってくれれば・・・こんな惨めな思いは・・・。)

思わず、目から涙が零れ落ちた。
あわててその涙を腕でぬぐって否定する。

「・・・いや、泣いている場合じゃないな。泣いたらもっと惨めになる・・・。」

そう自分に言い聞かせ、ホウキを握りなおし、いざ掃除をしようと思った矢先———
後ろから声をかけられた。

「俺もそう思いますよ。」
「!?」

・・・突然現れた赤茶色の髪を持つ17歳前後の男は、
小奇麗な薄紫色のローブを纏い、頭には茶色の三角帽子をかぶっている。
手にしているのは・・・巨大な三角の、槍?

・・・いきなり現れた、明らかに怪しい男・・・だが不思議と敵意は感じない。
とりあえず、コンタクトを試みる事にした。


「・・・まず質問させてくれ。お前は何者だ?」
「俺は魔法使いの「統夜=セルダ・ジューン」です。
月の魔法使い協会「フューリー」から派遣されて来ました。」
「・・・はぁ。」

月から来た?魔法使い?
・・・やはり怪しい。
「恵まれない人間の多角的支援が俺の役目。
・・・さっきまでの出来事は協会を通して全て見ていました。」

・・・日常生活は頼むから覗いてくれるな。惨めだから。
「舞踏会に行きたいのなら、俺が力を貸してあげますよ。」

その言葉に、少し心が動いた。
まるっきり興味がない訳ではないが、城には以前から行きたいと思っていた。

「どうやって行くんだ?」
反射的に質問を返す。統夜はすぐに言葉を返した。

「魔法の力で、です。」

——なんですと?

あまりに突拍子な答えに、思わず笑ってしまった。

「・・・ふっ、あははははははっ!
そんなあからさまに怪しい格好して、あまつさえ人の敷地に無断で入り込んでおいてよく言う!
本当にお前が魔法使いなら、証拠を見せろ証拠を!」

私の反応を聞いた魔法使いは一瞬顔をしかめたが、すぐに表情を戻すと頷いてこう言った。


「わかりました、やれって言うならやりましょう。
じゃあ俺が舞踏会にふさわしい用意をしますから、あなたはこれから俺が言う物を集めてください」

・・・何を用意させる気だ・・・?

「カボチャを一個、ハツカネズミを四匹、あとはトカゲを一匹用意してください。」

——屋敷の中を駆け回り、私は言われたとおりのものを用意した。
ネズミを捕まえるのに少し手間取ったが・・・。

「……それで。これからどうすれば?」
一仕事終えた疲れもそこそこに、たずねる。

「それじゃそこに立っていてください。カボチャやネズミから離れないで・・・。」
魔法使いはそう私に言うと、距離を取り、そのまま持っていた突撃槍を私の方に向けた。

「・・・お、おい、何をする気だ?」

魔法使い・・・統夜は槍を構えたまま言った。
「このオルゴンクリスタルの突撃槍に魔力を込め、破裂させて魔法を掛けます。
後は仕上げをするだけ・・・。」

そう言うと魔法使いは槍に気合を込めた。緑色に透き通った槍が輝きを増す。

「ちょ、待て!破裂って・・・危ないだろうが!」
破片が私に突き刺さったらどうするつもりだ、冗談じゃないぞ。
と言う意味を込めて統夜に抗議する。だが——

「動かないでくださいよ、予備はないんだから。」
・・・私の言葉を聞かず、躊躇無く——槍を破裂させた。

「殺す気か———」

「・・・テンペストフラッシャー!」

叫び終わらないうちに目の前を閃光が支配した。

やがて爆煙が晴れてくると、そこにはさっきまでとは全く違う光景があった。

「けほっ……一体何が……?」
 
言いながら魔法使いの方へ振り向くと、驚いたことにそこには豪華な馬車の一式が。
魔法の力・・・と言う奴なのか、カボチャは馬車に、ネズミは馬に、そしてトカゲは御者へと変身していたのだ。
・・・何と非常識な。

「よくお似合いですよ。」
統夜が手鏡を渡してきたので、中をのぞき込んだ。

・・・一瞬我が目を疑った。

そこには純白のドレスにガラスの靴を身につけた私の姿があった。
きらびやかなネックレスに金剛石のティアラ。ぼさぼさの青い髪はきれいに梳かれた感じで流れ、
ドレス姿にピッタリと合っていた。

「こ、これが・・・私なのか?」
「さ、後は招待状ですね。」
統夜はそう言うと1通の封筒を私に手渡した。

・・・綺麗だの一言も言えんのか、コイツは・・・。

そんな心の中の毒つきを知ってか知らずか、統夜は続ける。
「これはフューリーの科学力の粋をこらして作ってあるので、
例えプロの鑑定でも見分けることが出来ませんから。安心して行ってらっしゃい。」
・・・魔法使い協会なのに何故に科学力?
・・・まぁ、せっかく城にいけると言うのだ。細かい事は後で考えよう。

「あ、あぁ・・・ありがとう。」
頭を下げて礼を言い、馬車に乗り込むと、統夜は声を潜めて言った。
「それよりも、あなたのドレスと馬車にかかった魔法は
本日の00:00時をもって消滅してしまうので注意してください。
それまでに目的を果たして速やかに城から撤収してください。
・・・さもないと城のDC兵にとっ捕まりますから。」

・・・何?
「ちょっと待て、主催はDCが噛んでたのか!?」
「じゃ、行ってらっしゃい。」
「って何で目をそらすか!おい!ちょっと待て!」
「じゃ、後は頼んだぞ。」
「答えろぉぉぉぉ・・・・」

私の怒鳴り声は、瞬く間に数㌔先へ遠ざかって行った・・・。

-城 舞踏会場-

舞踏会場の奥の玉座では、桃色の髪の女帝、セレーナ女王がアイビス王子と共に舞踏会の様子を見ていた。

「どう、王子。気に入った子はいた?」
「いや、まだ・・・確かにどの子も可愛いけど。
・・・さっきみたいに取り合いで喧嘩して連行される人もいるし・・・。」
「茶髪メガネと黒髪鼻血娘、赤髪膝蹴にチョコ狂いの金髪チャンね。
ま、誰でもいいって訳じゃないからねぇ。」
セレーナは溜息をつき、自分の後ろ髪を掻いた。

—おお・・・—
—あんな娘、いたっけ?—
—俺の攻略ゾーンじゃねーkいででで!—

不意に、会場がざわついた。
アイビスの目は、その騒ぎの中心・・・一人の女性に向いた。

「・・・あ。」


・・・視線の先には純白のドレスにガラスのハイヒールを身につけた、青い髪の女性の姿があった。
その女性はゆっくりとアイビスのいる玉座の前に近づき、軽く会釈をした。

「初めまして・・・王子。」

アイビスはその女性の姿に見とれているようだが、しばらくして口を開いた。

「スレイ、綺麗・・・。」

「・・・ッ!?」

おもわず「ズルッ」と言う効果音つきでつんのめりそうになる衝動を必死にこらえて、
私は言葉を返そうとする。

「え、えぇと・・・私はスレイでは・・・」
無い、と言おうとしたがその前に王子に腕をつかまれ、ぐいと引っ張られる。
「さ! 踊ろうよ、スレイ!」

・・・いや、だから私はスレイでは・・・。

・・・しばし、王子とのダンスのひと時が続いた。
だが、やたら熱いノリの曲ばかりで、どうしてドレス姿なのだ・・・?


〜Motto! Motto!〜

「楽しいね!スレイ!!」
ノリノリで踊りながら王子が私に言う。
「あ、ああ!」
半ばやけくそ気味に私も返す。
こうなれば、継母たちには悪いが、私が——

・・・と、その時。

—カラーン—

12時を知らせる城の鐘が、鳴った。

(—————はっ!)

とっさに魔法使い・統夜の言葉を思い出す。

あなたのドレスと馬車にかかった魔法は
本日の00:00時をもって消滅してしまうので———

(まずい・・・12回目の鐘が鳴り終わるまでに城を出ねば・・・ッ)

とっさにダンスを中断し、王子の手を離す。
「・・・スレイ?」
「すまない、王子様・・・ちょっとした用事を思い出してしまって。
あ・・・その、犬の散歩を忘れてきてしまって・・・はは。」

・・・我ながら苦しい言い訳だ。
「は・・・?」
「楽しかったが・・・ここで帰らせていただきます!じゃ!!」


そういい終わると、私は舞踏会場を猛ダッシュで抜け出し、城の出口へ急いだ!
「ま、待ってよ!」
後ろで王子が何か叫んでいるが、もう時間が無い。しかし——

「クソッ、走りづらい!」
当然だ。ドレス姿はただでさえ走りにくいのに、それに加えて今はハイヒール装備。
こうなったら・・・。

ドレスの裾を手でつかみ、ガラスのヒールを片方脱ぎ捨て、階段を駆け下りる!
「これでよし!」

「衛兵!彼女を止めて!」
後ろから王子の声が響く。その声に反応し、
出口をふさぐように数人の衛兵が私の進行方向に立ち塞がった!
「くっ!!」
鐘はすでに7回目だ。もはや時間が無い。
・・・万事休すか!

「ぐあっ!」
その時、衛兵の一人が前のめりに倒れた。
「!?」
その背後から現れたのは・・・
薄紫色のローブに、茶色の三角帽子・・・そして透き通った緑色の突撃槍。
「統夜!?」
「早く!時間が無い!」
統夜はそう叫ぶと、私を抱きかかえ、猛然と走り出す!!
「お前ッなんでここにいる!?」
私が訪ねると、統夜は走りながら答える。
「アフターケアって奴です。・・・この格好で侵入するのは骨が折れましたよ。」
・・・律儀な奴だ。

途中に立ち塞がる衛兵達を突撃槍であしらい、走る、走る、走る!!


——何とか馬車が繋いである門にたどり着いた。追っ手はまだここへは来ていない。
鐘はすでに10回鳴った。すばやく馬車に飛び乗る。
「馬車を出せ!」
統夜の言葉に反応し、馬車が走り出す。

—馬車の窓から、統夜が身を乗り出し、後ろの様子を確認する。
・・・騎兵隊が土煙を上げながら追ってくる。このままでは追いつかれるのも時間の問題だろう。

「タイムリミットも近い・・・一か八かだな。」
そう言うと統夜は突撃槍を構え、集中し始めた。
「何をするつもりだ?」
「槍先のクリスタルを地面に炸裂させて、その衝撃で俺達も遠くに飛びます。」
・・・アラド=バランガみたいな考えだな・・・って、アラドって誰だ。
「ちょっと待て、危ないだろうが!また——」

私が言うより先に、統夜は突撃槍の先を地面に発射した。

爆発。


——どれぐらいの時が経ったか。
私たちは、館の前の木に引っ掛かっていた。
魔法が解けたのか、いつものみずぼらしい服装に戻った私が枝に身を預けている横では、
統夜が枝に腰掛けている。

「はぁ・・・
いい所まで行ったのに、また逆戻りか・・・。
・・・こんな中途半端な夢なら、返って見ないほうがよかったかもしれん・・・。」
そう言ってうなだれる私に、統夜は言った。
「・・・それは間違ってると思います。」
「何?」

「・・・俺の先輩がこんな事を言っていました。
『不利な状況でいかに最善の選択をするか、それが生き延びる道だ。』と。
それに、一度や二度の挫折だって、時にはチャンスも与えてくれるんですから。
・・・いつも誰か助けてくれるとは限らない。あの城で暮らしたところで同じだ。
・・・貴女は自分ひとりでは何もしないんですか?」
「・・・。」

統夜はここで言葉を切った。
・・・そしてやにわに枝から飛び降りると、突撃槍を持ち直して言った。
「先輩の受け売りだけど・・・
『魔法は無くとも頭を使えば状況は変わる』・・・ってね。それじゃ。」
そう言うと、統夜は森の奥へ消えていった。

・・・魔法が無くとも・・・か。

-城の中-

城の会議室では、先ほどシンデレラが逃げる際に落としていったガラスの靴を片手に、
アイビスが兵士達に任務を伝えていた。
「この靴のレプリカを38セット作って、
38チームで持ち主を探して!
もう片方も持っているかどうか、チェックも忘れないで!」


それから3週間——


隣の町へ続く山道を、一人の男が歩いている。
薄紫色のローブを纏い、頭には茶色の三角帽子。そして手には突撃槍。

「・・・今日も野宿か・・・もう慣れたけどな。」

統夜=セルダ・ジューンは、沈んでいく夕日を見つめて呟いた。
その時、後ろからをが聞こえた。

「乗っていくか?」

聞き覚えのある声がガシャガシャ、ガラガラという馬車の音と同じ方向から聞こえた。
統夜が振り向いた先には・・・


「フッ、どうだ?
言われたとおり頭を使ってみたのさ。」

・・・数日前に、統夜が助けたシンデレラであった。

馬車を引くブフェールトモードのアウセンザイターに跨ったシンデレラは、
以前のみずぼらしい服装ではなく、頭にテンガロンハットを被り、
カウガールと言う言葉が相応しい姿になっている。

「久しぶりですね。で・・・頭を使ったって?」
「何、片方残っていたガラスの靴を競売に掛けたんだ。
そうしたらどうだ、信じられん額で落札されたのさ。」

そう言うとシンデレラは、少し笑って帽子をかぶり直した。
「だからこれからは、自分のために生きていくつもりだ。
もう兄様の過去の事には囚われないようにしてな。」

「・・・驚いた。こうまで変わるなんてな。
それで・・・良かったら、乗せてもらえますか?」
「あぁ、そのつもりで声を掛けたんだから。」

—統夜を馬車に乗せ、私は手綱を握りなおしつつ、後ろに居る統夜に尋ねた。
「それで、どこへ行くつもりだったんだ?」
「西の町です。」
「・・・私と同じだな。一緒に行こうか。」

——馬車は、再び走り始める——

ぎゅう・・・

取り残された継母たちが、とっかえひっかえでガラスの靴に足を突っ込んでいる
・・・が、誰もサイズが合わないようだ。

「誰もサイズが合わないってどーゆーコト!?」バリィ
黒髪の女性が本を破り捨てる。
「家財道具全部売り払って手に入れたのに!キーーーッ!!」グシャ
メガネの女性が酒瓶を握りつぶす。


「・・・そういえば、一人足りなくない?」
「そうですか?いつもどおりですよ。」

なし崩し的に幕。



154 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/30(日) 22:28:54 4Ok8keXB
〜ココで豆知識なんじゃよ〜
実はシンデレラ作中で鳴ってる鐘の音は12時の鐘の音ではなく11時45分の鐘の音なんだね
当時の時計にはクォーターリピーターという15分ごとになる鐘があったんだってバッチャが言ってた!


157 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/30(日) 22:30:09 OxIXsVOt
>>154
よく考えりゃそうだよな。
12時に魔法が解けるのに12時の鐘が鳴った時点で帰ろうとすれば間に合うはずないからな


2006年08月30日
 ■  xltvvtXv氏作 誕生日SS

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その89
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1153886279/l50



441 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/27(木) 22:40:11 xltvvtXv
さて、流れとか無視してSS投下しますので、お気をつけください



445 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/27(木) 22:43:35 xltvvtXv
日頃お世話になっている。
すぱろぐ大戦管理人こうへー殿お誕生日おめでとうSS
 
 
 ↓当時の心境
  ( ゚д゚)
_(__つ/‾‾‾/_
  \/スパログ/
    ‾‾‾


 

  (゚д゚ )
_(__つ/‾‾‾/_
  \/スパログ/
    ‾‾‾

 
 
 

  (*゚д゚*)   me?
_(__つ/‾‾‾/_
  \/スパログ/






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休憩室に置かれた蝋燭しか飾りつけのないケーキ。
一応デコレーションを置く為のスペースがあるのだが、
このケーキを作った人物が居ないのでどうなるのかは分からない。

アルマナ「美味しそうなケーキね」
基本的に客人なので忙しい軍艦にあって彼女は暇人である。
今日も、日課となっているクォヴレーを探しつつ散歩を終え(諦めたとも言う)休憩室で漫画でも読もうとやって来た所である。

アルマナ「・・・・・」
先ほどからアルマナの目は、漫画ではなくどうしてもケーキに行ってしまう。
アルマナも異星人とは言え、年頃の女の子であるため甘い物は好物である。
しかも、艦内を歩き回った後なので小腹が空いている。

  ぐぅぅぅ

訂正:かなりお腹が空いている。
アルマナ「////////(赤面」
周囲の誰か居ないか慌てて探すも幸い誰一人居ない。
異星人でも女の子であるためお腹の音を聞かれたら恥ずかしいのである。
アルマナ「ふぅ・・・・」
安堵のため息を吐くと、ケーキを見ないように漫画を顔まで持ってきて読み始める。
しかし、わずか数ページ読んだところで
「僕らの戦いはこれからだ!」
と、たった二話で完結してしまった。
隣のページには「連載雑誌の廃刊がどうたらこうたら」と書いてあったがアルマナはそれどころではない。


アルマナ「どうしよう・・・」
読み終わった漫画を棚に戻すとアルマナは途方に暮れてしまった。
理由は簡単だった、休憩室に置いてあった漫画や雑誌を読破してしまったのである。
特に休憩室には遊具などもなく、自販機の飲み物も売切れしかない。
そうなるとどうしても目がケーキに行ってしまう。

  ぐぅぅぅ

お腹が再度空腹であることを主張した。辺りを見回すが誰も居ない。
アルマナ「・・・誰も居ませんわね」
目の前のケーキは美味しそうなクリームがたっぷり塗ってある。
アルマナ「一口なら、舐めても大丈夫・・・・」
人差し指をゆっくりとケーキに近づけるが、
アルマナ「やっぱり巫女としてあるまじき行為・・・」
生クリームに指が触れる前に引っ込める。
アルマナ「でも、やっぱり一口なら・・・・でも、やっぱりダメだし・・・」
引っ込めた指が再び生クリームに近づき、また引っ込む。


久保「アルマナ、何をやっているんだ?」
生クリームを舐めようかどうしようか葛藤しているアルマナの背後からクォヴレーが声をかけた。
アルマナ「く・・・クォヴレーっ!?!?」
突然のことで驚いたアルマナは、ラミアもかくやとい動きで飛び退ると休憩室の壁を背にクォヴレーに向きなおった。

アルマナ「ど、ど、どどどど・・・どうして此処に?」
動揺をまったく抑えきれないままクォヴレーに問う。
久保「ケーキのデコレーションができたので、飾りつけに来た」
何食わぬ顔で答えると抱えていた料理本とデコレーションを机を置くとケーキに飾りつけを始めた。
クォヴレーの持ってきた料理本を見ると、そこに出ている写真と目の前にある未完成ケーキは生クリームの配置までそっくりだった。
アルマナ「クォヴレー。このケーキは誕生日用と書いてありますけど、誰に贈るのですか?」
久保「ふむ。・・・・それなのだがな」
アルマナの問いに思案顔になるクォヴレー。

久保「分からん」
アルマナ「はぁ?!」

クォヴレーが言うには朝起きたら何故か部屋ではなく調理場で、
目の間には「バースデーケーキを作ってくれ byイングラム」と書かれたメモ。
周囲には形の崩れて黒く焦げたスポンジケーキに、掻き回している途中で半分以上零れた生クリームの入ったボウル。
コック達が言うには「突然やってきてケーキを作るとか言ったあげく、
散々失敗して力尽きるようにメモを書いた後倒れた」とのことである。

完成したバースデーケーキには、砂糖とゼリーで作られた「ちびあらど」と名づけられたウサギと、
ホワイトチョコで「Happy Birthday」と書かれた板チョコ。まさに料理本どおりの出来栄えである。

アルマナ「上手ですのねクォヴレー」
久保「本の通り作れば、誰でもできるぞ」
アルマナ「(ルリアよりも上手なのですけれど・・・・)
     それで、このケーキはどうするのですか?」
最後の手入れをしているクォヴレーの邪魔にならないように離れながらアルマナが聞いた。
久保「分からないから、アストラナガンの中にでも置いておく」
アルマナ「何故アストラナガンに・・・」
久保「背後霊が動いたということは恐らく、別の世界で必要なのだろう。ならば、
   アストラナガンに置いておけばいいだろう。それにアラド達にこれを食べられるわけにはいかないからな」
そう言うと完成したケーキを持って格納庫に向かうクォヴレー。

アルマナ「背後霊って何?」
一人残されたアルマナは首を傾げるしかできなかった。

ディス・アストラナガンが日本時間23:03に単独で起動。
その直後、別の時空へと跳んでいってしまい艦内がパニックに陥ったのはどうでもいい話し。
それを見ていたギリアム少佐が「ODE(お誕生日おめでとう、こうへーさん。でも、えらい目にあっちゃう)システムだ」と、
一人呟いていたのは、もっとどうでもいい話し。



454 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/27(木) 22:48:08 xltvvtXv
以上、すぱろぐ管理人こうへーさんに捧ぐ、
自分からのささやかなプレゼント。

こんな個人的な事でレス消費しちゃって皆様ごめんなさいorz





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456 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/27(木) 22:49:20 OIFoELLg
>>454
いいモン見せてもらったよ。

そういえば、もうすぐだな。


463 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/27(木) 22:53:39 OIFoELLg
後10分か。



464 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/27(木) 22:54:26 fdGm3Lri
じゃあ俺はすぱろぐにお祝いコメント書き込んでくるからノシ




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今回の記事にはちょっと私情も挟んでしまってます。こういう風にお祝いされるのは初めてでした。
勿論萌えスレが加速づいて更新おっつかなくなってもこのSSだけはリアルタイムでしっかり見てました。
 
「ODE(お誕生日おめでとう、こうへーさん。でも、えらい目にあっちゃう)システムだ」
 
ギリアムさん予知当たっていますorz だが逆に考えるとまだ楽しい世界がタップリ残っているから
コレからもっともっと時間を見つけて少しずつ確実に更新を続けていきます。


2006年08月05日
 ■  浜辺の巫女と虚空の使者

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その87
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1153323030/l50


630 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/21(金) 22:29:41 VJbiyCMl
さて、流れを無視してSSと、
呼んでいいのか悪いのか分からない長めの投下してもいいかな?



631 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/21(金) 22:30:45 LIDFsKGn
どんなSSだろうが投下しろ、俺はそうした・・・。

その生き様はYESだね



634 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/21(金) 22:32:31 VJbiyCMl


雲一つない青空、青い海、そして白い砂浜
最高の条件下での海水浴に来た面々は準備が終わると海へと突撃していった。

????「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・」
最高の条件下に似つかわしくない、この世の全てを恨むような暗い溜め息を吐いたのは、
ズフィルードの巫女 アルマナ であった。

地球の海で海水浴ということでアルマナも来ているのだが、
さきほどからパラソルの下で陰鬱そうな眼差しを海に向けている。
せっかくのセクシーな淡いピンクのビキニも台無しである。
彼女の機嫌が悪い原因は、もちろんクォヴレーであった。

つい数分前、アルマナがクォヴレーにサンオイルを塗ってもらおうとしたのだが、
久保「悪いがこれからあそこの島まで遠泳に行くことになっている」
と、水平線の付近に小さく浮かんでいる島を指差しながら言われたことが原因である。

クォヴレーと体育会系メンバーが居なくなり、砂浜にはカップルぐらいしかいなくなると、
イチャつく連中が出始め、一人で座っているアルマナだけ余計に浮いていた。


アルマナはこの海水浴の予定が立ったときからとても楽しみにしていた。
巫女として生活に拘束が掛かっていた時とは違い、今はとても自由に活動できるだけでも楽しいのに、
海に行くという普段味わえない事を体験できるとあって毎日海水浴に向けて準備していた。
皆と一緒に水着を買いに行っていろんなデザインの水着がある事で驚いたりもした、
クォヴレーを驚かせるために大胆なデザインの水着を選んでレジに持って行こうか悩んだりもした、
サンオイルを塗ってもらう時、相手の手が滑る場合もあるとエクセレンに教えられ赤面した、
海にいる綺麗な魚たちを図鑑で見て勉強もした。

しかし、クォヴレーに断られたのを機にそれまでの高揚気分から一気に冷めてしまった。

アルマナ「・・・・・クォヴレーの莫迦(ボソ)」
太陽が水平線近くまで沈んだときアルマナはポツリともらした。
結局遠泳に行ったまま帰ってこないし、
今までの海への期待感をことごとく砕いてくれたクォヴレーに対し洩らした本音であった。
しかし、一度本音を洩らしてしまうともう止めることがアルマナにはできなかった。
アルマナ「クォヴレーの莫迦。莫迦。莫迦。莫迦。莫迦。莫迦莫迦莫迦莫迦!」
立ちあがると水際まで歩き、大きく息を吸い込み太陽に向かって吼えた

「クォヴレーのぉ、ばかぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

突然の事で周囲にいた皆がアルマナの方を向くが、
アルマナはふっと小さく息をすると帰る準備をするためパラソルに戻り、
手荷物に手を掛けたところで自分が少しだけ泣いてるのに気づいた。
アルマナ「まぁ・・いいか」
力なく笑うと荷物を持って更衣室に向かう事にした。

??「よくないぞ」
アルマナ「へ?」
突然後ろから声が掛かり振り向くとそこには海から出てきたばかりのクォヴレーが立っていた。


アルマナ「クォヴレー・・・なんで?」
久保「今遠泳から戻ってきたところでな、ところで・・・」
疲れがまるで見えない表情が眉根を寄せて少々不快そうに変わる。
久保「何故、俺が莫迦という発言をしたのか説明をしてもらいたいんだが」
アルマナ「ぇ?えぇっと・・それは・・・」
よもやクォヴレーが聞いていたとは思っていなかったアルマナは返答に困ってしまう。
久保「それは?」
アルマナ「・・・・貴方が溺れているんじゃないかと心配になって、呼んでみただけです」
      (私の莫迦。嘘にも程があるじゃないorz)
思わず口から出た嘘に対して内心鬱になるアルマナを余所に、
久保「そうか」
どうやら一片の疑いもなく納得したらしい。

アルマナ「ねえ、クォヴレー?」
久保「なんだ?」
基地へと戻るバスの中で、他の皆が寝ているのを確認するとアルマナはクォヴレーに声をかけた。
アルマナ「また海に来たいですわね」
久保「・・・そうだな」
普段見せないような満ち足りた顔でクォヴレーが応えた。
アルマナ「・・・・」
アルマナは初めて見るクォヴレーの表情に魅入ってしまった。


久保「・・・アルマナ、今度二人で海に行かないか?」
アルマナ「ぇえ!?(赤面)」
久保「嫌なのか?」
ボケッと顔に見とれていたアルマナは、クォヴレーの申し出に驚くとそのまま顔を赤くした。
アルマナ「嫌じゃないけど・・・、突然その・・・(ゴニョゴニョ」
久保「では、了承したと思っていいのだな?」
アルマナ「ぇ・・・えぇ。これって・・・そのぉ・・・(ゴニョゴニョ」
満足そうな顔をするクォヴレーと真っ赤な顔で何かを言おうとするアルマナ
アルマナ「やっぱり・・、デ、デートでしょうか?」
久保「では今度海に行ったら、アルマナに泳ぎ方を教えよう」

    「ぇぇぇぇぇぇぇぇえええええええっ!?!」

アルマナの叫び声でおきたメンバーが見た光景は、
落ち込んで「の」の字を書くアルマナと
それを頭に「?」を浮かべながら見るクォヴレーの姿であった。
沈んだ太陽に代わって出てきた月が基地に向かって走るバスを照らしていた。

後日、約束どおりクォヴレーと一緒に海に来たアルマナは前回できなかった、
サンオイル塗りから始まり、スイカ割り、水かけっこを純粋に楽しんだのであった。
やはり終始クォヴレーは「泳げたのか?」と首を傾げていたが




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639 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/21(金) 22:39:37 QRodoJby
フラッグビルドクラッシャー乙
巫女ガラ致命的に悪いよ巫女



640 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/21(金) 22:39:52 mhOBvghZ
GJだギリアム=イェーガーだ



641 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/21(金) 22:40:28 LIDFsKGn
>>634-638
実にトロンベ。心が豊かになった。
床に「の」の字を書いて落ち込む姫様にワロタ。



642 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/21(金) 22:41:21 QRodoJby
今日はまったりしていてたまにはこういうのもいいなぁと思う午後



643 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/21(金) 22:42:01 T6g0KS02
実にトロンベ的GJだ



644 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/21(金) 23:06:15 Ke8ozYgU
きみいいぶんさいしてるね。きょうどうたいにはいらないか?

2006年08月04日
 ■  リョウトとアラドの親しげ&リオゼオラージェラシーSS

OG萌えを細々とやるスレ
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/gamerobo/1146796249/l50


334 :それも名無しだ :2006/07/26(水) 20:34:32 1nE4XjQT
>>330
一見華奢なのに腕っぷしが強くて謙虚(弱気なだけ)でメカニックで油にまみれるのを厭わないリョウトに憧れを覚えたアラドが
「マニュアルじゃなくて実技で覚える!ついでにトレーニングも!」とちょこちょことついてまわって
リョウトもリョウトで末っ子だったから素直で頑張り屋の弟が出来たみたいで嬉しくて夜以外いっしょにいて仲良くしてて
リオとゼオラがおかんむりになりそうです。



335 :それも名無しだ :2006/07/26(水) 21:09:11 Ri/Sv1RI
>>334
やべぇ、想像しただけでニヤニヤしちまう


343 :それも名無しだ :2006/07/27(木) 00:46:53 RLrvPjBP
>>334
分かった
リオやゼオラに「リョウト君(アラド)が他の人と親しげにしているだけでイライラして、でも、それで自分の気持ちを確認できて嬉しくもあって」
とか言わせればいいんだな

くそぅ



344 :それも名無しだ :2006/07/27(木) 01:45:09 BxQy+Gm5
>>343
夜、やっと2人の時間が持てても明日のアラドに何を教えようかと思案してばかりのリョウトに

「何よッ!ずっとずっとずっと日中はアラドと一緒なのに夜まで彼で頭が一杯なの!?
 私だって…私だっていつもリョウト君の傍にいたいのに!バカバカッ!」

とリオがストレスから半泣きで爆発して
リオを蔑ろにしていた自覚ゼロのリョウトがマジ弱りでリオをあやしてハグしてやって
今までの埋め合わせとして翌日をショッピングとデートに裂くことにして、
リョウトが翌日の朝に

「丸一日予定が入っちゃって今日はレクチャーできないんだ、ゴメンね
 でもこの機会にアラドも最近一緒の時間が減ってるパートナーと今日ぐらい一緒に過ごしたらどうかな」

と映画のチケットを渡したりして(リオの入れ知恵)
最近のアラドの放置プレイにツン爆発のゼオラを見てちょっと反省しつつも言いづらそうに
せっかく貰ったからさ…と不器用にゼオラを誘うと滅多にないアラドからのアプローチにゼオラが極上の笑み

すいませんゼオアラとリョウトリオ好きなんです



345 :それも名無しだ :2006/07/27(木) 04:53:49 GdPc30Kz
>>344
謝る必要はない。俺は味方だ。

俺も混ぜれ



347 :それも名無しだ :2006/07/27(木) 09:24:27 xRZK64aW
>>344
萌える



358 :それも名無しだ :2006/08/04(金) 05:00:02 beTPmgqD
もうちょっと時間たっちゃいましたが少し前にでたリョウトとアラドの親しげ&ジェラシーネタで。




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359 :それも名無しだ :2006/08/04(金) 05:00:25 beTPmgqD
『リョウトくんッ!』
ハンガーに女性の怒声が響く。

その声に反応し、PTのコンパネ部分から顔を覗かせたリョウトはなぜ呼ばれたのか皆目わからないという表情。
「大きい声だしてどうしたの?リオ」
「どうしたじゃないでしょ!もう9時よ!夕食はわたしと一緒に食べてくれるって言ったじゃない!」
完全に失念していたであろうリョウトの様子にリオは一層声を荒げる。
「あ…、ごめん」
「俺が時間とらせたんです、スンマセン」
そこに申し訳なさげに顔を出したのは目下リオの頭痛の種になっているアラドだった。

中性的な顔立ちに似合わず武道の達人でパイロットしての技量も高く、それなのに技術者志望という事で
PTのメンテや雑務を進んでこなすリョウトの人気や人望は決して艦内でも低いものではない。
そんなひたむきな姿勢に憧れを覚えたアラドがここ暫らくリョウトの後を四六時中ついて回っているのである。

別に今までもリョウトに親しげに絡んでくる人物がいなかったわけではないし、寧ろ多かったと言ってもいいだろう。
これまでもその庇護欲を掻き立てる見た目と頼りなげ物腰で女性陣(特に年上勢)の一部に人気があったリョウトだが、
ただ今まではリョウト自身がそれをありがたがってなかったから問題はおきていなかった。
それに女性として場を読む力が並に備わっていれば、噴出するリオのジェラシー全開のオーラに気づかない事などそうない。
今回が今までと大きく違うのは相手が男性で、リョウトが一緒にいるのを楽しんでいる様子が明らかな事だ。

−−−−−僕、長男だけど姉ばっかりの末っ子だったから、子供の頃はずっと弟が欲しいと思ってたんだ−−−−−

リョウトのそんな幼き日の望みがこんな形でやってくるとは。
リオはまさか年下の男の子に彼氏との時間を侵食されるとは想像もしていなかったし、その現実に少なからぬストレスを覚えていた。

「…アラド、悪いけどちょっと席を外してもらえる?リョウト君と話したいの」
「リオ、夕食のことは謝るし、言い訳とは言わないけど経緯については寝る前にでもちゃんと話すから。
 でも今はあとちょっとでモジュール周りの説明が終わるから…」
「いいえ、もう今日は終わりの方がいいと思いますリョウト少尉。アラド、こっちへ来て」
怒気はないがあからさまにトゲをもったトーンの声がリョウトの話をさえぎった。
「ーゼオラ?」


「あなたが勉強熱心な姿勢を見せてくれるのはパートナーとしては嬉しいけど、他に迷惑かけるのを見てられないわ」
「僕は迷惑だなんて思ってないよ?むしろ半人前の僕のレクチャーを熱心に受けてくれて嬉しいぐらいだよ」
「リョウトさんが半人前だなんてとんでもないッス!俺の目標なんスから!」
「もう!いいから!今日は終わりにしてちょうだい!」
「すみませんリョウト少尉。また明日宜しくお願いします」
「あ…すんませんッス」

女性陣の強引な打ち切りによって切り上げられた後、それぞれはパートナーとともに部屋への気まずい順路を歩いていた。
アラドは自分より若干背のあるゼオラの後ろを後ろ髪引かれるという風で引率されていく。

「いい加減にしなさいアラド。大体なんでそんなにリョウト少尉に付きまとうの?」
「あの人あんな細身なのにすげえ強いんだぜ。そこらのSPじゃ束になっても適わなねーし」
「知ってるわよ。カラテの段もちでしょ」
「それにPK持ちでパイロットとしても実績あるのにメカニック志望でさ」
「…私達が始めて会ったころからそうじゃない。だからなんなの?」
ゼオラは既知の話をさもすごい事かのように喋るアラドに少々苛立ちを覚える。

「…憧れてるんだよ。月のマオ社で初めて会ってからさ、色々才能あるのに自分の希望にひたむきなリョウトさんに」
「私がまだ調整を受けてアラドの敵だった時の話よね」
「そりゃ、そうだけど」

自分が洗脳を受けてアラドと敵対していた時にアラドは今隣を歩くパートナーの自分とは別のものに目を向けていたという事実。
無論自分の事も気にかけていてくれていたのかもしれない。
しかし、自分以外のものに向けたその目が今のリョウトに夢中なアラドを作ったのかと思うと胸の内の黒いものがふくらむ。
たまらずゼオラは怒りに満ちた声を上げた。
「なに!?私が洗脳されて敵についていたっていう時期にあなたはリョウト少尉に夢中になったっていうの?」
「な、なに怒ってるんだよ。それに意味がわかんねーぞその文句」
「うるさいわね!自分でだって良くわからないわよ!」
「ゼオラ?」

爆発した自分をみる心配そうなアラドの目をみて思わず我にかえる。
常に自分を見ていて欲しいと言うみずからの勝手な欲求から発したストレスとはいえ、それを口に出してしまうとはー。


「…も、もういいわよ!アラドのバカッ!勝手に誰にでも付きまとうといいんだわ!」
「ゼオラ!お前なにー」
「知らない!じゃあねっ!!」
自室に近くまで来ていたのを幸いとアラドを置き去りに部屋に駆け込む。
駆け寄るアラドを無視してドアをロックし、憔悴したゼオラはドアを叩くアラドの声と音を無視してベッドに突っ伏した。
なんでこうなっちゃうんだろう。
アラドが向上心を見せてくれるのは嬉しいことなのに。2人で絶対に生き残ると約束したことのためにもなるというのに。
しかし、アラドが自分以外の誰かに熱っぽい視線を向けるのは耐えられなかった。
そこに恋愛感情というものが見えなかったとしても、アラドが自分以外の誰かに夢中になるなんてー。

「…アラドの…バカっ。もっと私を…私だけを…み…」
最後の方は嗚咽になり、まともに言葉にもならなかった。
やがて、いくら呼びかけても反応のないゼオラに諦めたアラドが部屋の前を立ち去る頃、ゼオラは泣いたまま眠りに落ちた。


そしてほぼ同時刻、リョウト自室。

「ごめん、ごめんね、リオ」
「そんな連発される謝罪は重みがないわ」
「…ごめんなさい」
取り付くしまのないリオにひたすら謝るリョウト。
「僕がいなくてもご飯ぐらい先に食べてていいんだよ?僕が勝手にアラドに構ってるだけで…」
「そこに怒ってるの!わかってないの!?」
やはり自分を微塵も理解していない様子のリョウトにリオは怒りを爆発させた。
「約束をすっぽかされたから怒ってるんじゃないわよ!なんでそんなにアラドアラドなの!?」
「ご、ごめん。でも弟みたいで気になってー」
「ここ暫くずっとそればっかりじゃない!一日中ずっとアラドアラドで言い訳もそんななのね!」
「ごめんよ、でも」
「どうせ弟みたいだから、でしょ!じゃあリョウト君にとっての私ってなんなのよ!?
 わ…私だってリョウト君といつだってずっと一緒に居たいのに!
 最近のリョウト君は弟みたいだからってアラドばっかりで、私、わたし…っ」

ついに感情が高ぶりすぎて泣き崩れるリオ。
「バカ…ッ!リョウト君の…バカバカ…ッ」


そこに至って初めてリョウトは自分がどれぐらいリオを蔑ろにしていたか思い知った。
「…リオ、ごめん」
「…」
「どんなに謝ってもたりないね。でもリオがそんなに僕一緒に居たいだなんて知らなかったんだ」
「…リョウト君」
「うん、ごめんね。はい」
泣いてへたり込んでいたリオの身体を受け入れて抱くリョウトの腕。
細身な見た目からは想像できないほど筋肉質なその腕の抱擁に、リオは自分の中のわだかまりが溶けていくのを感じた。
久々とはいえ、抱きしめられたというだけでこんなに気持ちが伝わるなんて。

「リオ」
「?」
「ごめんね、謝ってもー」
「もういいの。抱いてもらって、リョウト君が私の目をみて喋ってくれるだけで、全部わかったもの」
「…そう、よかった」
安心したように微笑むリョウト。その笑顔を見て、リオは今までの自分の苛立ちに恥ずかしさを覚えた。

「ねーえ、リョウトくん?」
「なに?」
「運んで?」
「…うん、今日は一緒に寝ようね。朝までずっと抱いててあげる」
「うん!」
みなまで言わなくてもやはりリョウトは自分の事、望むことをやはりわかってくれている。
リョウトとの少ない会話でそれを確認したリオは先ほどまでの感情の爆発が嘘のよう。

そうしてベッドの上。
リョウトの胸板に収まるようにリオは上機嫌で彼氏の腕の中に収まっていた。
「明日はショッピングに行こうね!1日付き合ってもらうんだから!」
「うん、まかせてよ」
「ずーっと一緒に居てもらうんだからね!」
「大丈夫だよ、リオ」

半ば我儘とも言える自分の要求に素直に応えて自分の名を呼んでくれるリョウトに、心底リョウトが好きな自分を自覚するリオ。
そしてその幸せな感覚の中で、ふと先ほどの騒動の中で自分と同じであったろう人物が脳裏をよぎった。


「ね、リョウト君」
「なぁに?」
上目遣いな位置でリョウトの目を見ながら質問する。

「明日、私がリョウト君と一緒にいたら…アラドは当然フリーよね?」
「…そうだね、今日の続きをやる予定だったから」
「ん、じゃあ、アラドにもゼオラと一緒に1日過ごしてもらいましょうよ!」
「なんで?」
「だってゼオラも多分私と一緒だもの。寂しいはずよ、彼女も」
「…わかった、なにかしら用意してそうアラドに進言しておくよ」
「さすがリョウト君!大好きよ!」
リオの方から強くリョウトに抱きついて、その夜はふけた。

翌朝、食堂。

「昨日から謝ってばかりだったんじゃないスかリョウトさん」
「はは、まぁね…でもお互いさまだろ。だからこれ」
朝の食堂でアラドと顔を合わせたリョウトは、昨日の経緯と本日は相手を出来ない旨を説明し、アラドに2枚のチケットを手渡した。
「…映画ッスね」
「うん、今日1日空いたわけだからさ、アラドもゼオラと一緒に過ごしたらと思って」
「いいッ?罰ゲームじゃあるまいし、俺があいつと1日なんてー」
「でもパートナーなんでしょ。多分彼女も言い出せないだけなんだーって、ほら、ちょうどー」
言葉を区切ったリョウトが指し示した先には、ダウナーなオーラをまとったゼオラの姿。

「で、でもー」
「いいからほら!次回レクチャーの時までの宿題だからね!」
背中を強く押し、にこやかにアラドを送り出すリョウト。
しかたなく腹を決めたアラドは、食欲のなさそうなゼオラに歩み寄った。


「よ、よう」
「…おはよう」
アラドと気付いているだろうのに目も向けない。
「元気ねぇな。まだ怒ってるのかよ、昨日のこと」
「別に関係ないわよ。…話はそれだけ?」

早々に話を切り上げたいツンケンモード全開のゼオラに慌てたアラドが胸元からチケットを取り出す。
「いや、ほ、ほら、コレ!」

アラドが差し出したチケットに目をやると、アラドが自分からは入手することはなさそうなラブロマンスの映画チケット。
自分を誘っているのだろうか。でも、気のまわらないアラドに限って、そんな。

「…これはどういうこと?」
「い、いや!リョウトさんがさ、余ってるからくれるって!だからお前を誘おうとかそんなじゃなくて使わないと勿体な」
「私が2枚貰っても仕方ないし、私が行くとしたらアラドが付き合ってくれるの?」
「う…そりゃ急だし、別に俺もヒマだし、パートナーだし、お前さえよけりゃ一緒に行くよ」

こみ上げる幸福感。
昨日から引きずっていた沈鬱な気持ちが一瞬にして消し飛んだ。
こぼれる極上の笑顔。
不意打ちでそれを直視してしまったアラドは耳まで真っ赤になるが、ゼオラ自身は嬉しさのあまりアラドの様子に気付かない。

「わかったわ!そうと決れば朝食を済ませて早く出かけましょ!」
「おま、急にそんな元気に」
「いいから!ほらほら、善は急げ、よ!」
「映画見に行くだけなのになんで早くから出かけ」
「お弁当なら私が用意してあげるわよ!」
「弁当って、お前料理駄ry」

綺麗に決るカカト落としも、ノロケにしか見えない罵声の浴びせあいもまるで以前のよう。
今日違うのは二人とも異様に幸せそうだという事だけ。

それを見たリョウトとリオは、自分たちの行為が無駄にならなかったのに安堵しつつ、一日の予定を消化しにその場をあとにした。




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366 :それも名無しだ :2006/08/04(金) 07:11:29 TlKM4btV
GJです



367 :それも名無しだ :2006/08/04(金) 08:25:06 6iLfCNEI
おお!!神がきてた



368 :それも名無しだ :2006/08/04(金) 09:10:07 9E500eLj
>>358-365
GJ!
このスレは時々神が舞い降りる


2006年08月01日
 ■  梅雨明けしてもラトマイの梅雨SS

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その86
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1153141985/l50


431 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/19(水) 08:57:42 tn9MuZ16
ネタではないが、雨の中に佇むマイとラトっていう電波を受信。誰か画像にして。


>>431に対して長編SSが突如投下される





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452 :>>431 絵にはならなかった。反省している :2006/07/19(水) 13:44:02 q8eP23Je
まだ、帰ってこない。
不安で不安でしょうがなく、だから私はここに立つ。
——ラトゥーニなんか、大嫌い。それにもまして、私が嫌い。

まだ、帰ってこない。
不安で不安でしょうがなく、だから私はここで待つ。
——マイなんか、大嫌い。それにもまして、私が嫌い。



スペースノア級全領域戦艦、ハガネ。その甲板上に一人の少女が立っている。
紅い髪と黒い瞳…その瞳が時折、赤と金の色に揺れるのは錯覚だろうか。
彼女は一人、広大な甲板に立ちつくす。

——雨が降っている。ざあざあざあざあ降っている。
山間に身を顰めるハガネに容赦なく襲いかかる雨粒は彼女の小さな身体にしがみつく。
全身をぐっしょりと濡らして、彼女は空を見続ける。

「何してるんですの?風邪を引いてしまいますわよ?」

紅い少女が振り向いた。後ろに少女が立っている。
豪奢なドレスに身を包み、きらきら光る傘差して、まるで絵本の中の王女様のような……。
「シャイン王女か。ちょっと、リュウを待ってる。帰りが遅い上に連絡もない」
紅い少女は小さく答え、再び空に目を戻す。ざあざあざあざあ降ってる雨が、その全身を濡らしていく。

「だったら中で待てばいいでしょう?
 どうせ、ちょっと連絡を忘れたとか、そう言う言い訳してひょっこり帰ってくるんですから」


シャイン王女の言い分に、紅い少女は頷いた。その顔に、小さな小さな笑みを浮かべ。
ああ、それはありそうだ。リュウはいつでもそんな人。
危なっかしくてそそっかしくて、それでも最後はきっちり締める。王女の言うことは凄く正しい。
けれども少女は動かない。じっとじっと空を見つめる。

後ろでシャイン王女がため息をついた。呆れかえったと言わんばかりの大きなため息。
「……貴方、ラトゥーニと喧嘩をしたでしょう?」
続いて漏れた一言に、紅い少女は振り向いた。びっくりしたなと驚きながら。
「王女、誰かに聞いたのか?」
「いいえ。けど、わかりやすいんですもの」
実際、10分ほど前にラトゥーニと話している彼女を、シャイン王女は見ているのだ。それから今の態度を見れば、大体の予想は付く。

「——そうだな。喧嘩かもしれない——いや、多分私が一方的に酷いことを言った。
 喧嘩じゃなくて———虐めたんだ。きっと私は」
そうだ。自分が悪い。そうでないのなら——ラトゥーニが泣いていたのに、どうして自分は泣いていないんだ?
「………だから、雨に濡れているのは自分への罰?」
王女が静かに問いかけてくる。
——意識していなかったが、多分そうだ。そう思ってこう立っている——なんて、最悪。私はリュウを言い訳に使っている。
ますます、ここを動けない。自分はもっと、罰を受けなければならない。リュウの分も、きっと。

「戻りましょう?」
「… … …」
シャイン王女の問いかけに、紅い少女は答えない。
シャイン王女はしばしの間、どうしようかと頭を捻り——名案を思いついたのか、手をぽん、と打った。
王女は少女の正面に回ると……おもむろに傘を閉じた。ざあざあざあざあ降りしきる雨が、王女のドレスをぐっしょり濡らす。
そしてあろうことか、王女は傘をへし折った。素手でいきなり容赦なく。
目を丸くする少女の前で、ゴミになった傘を、王女が思いっきり投げ捨てる。
傘は濡れた甲板の上を滑って滑って滑って———やがて落ちて見えなくなった。

「あら大変。傘が折れてしまいましたわ」
しれっと呟くシャイン王女。ロールを巻いた髪型が、濡れて崩れて寝てしまう。
「急がないと風邪を引いてしまうわ。さあ、帰りましょう」
「ちょっと、それは卑怯だ」
紅い少女がクスリと笑う。ああ、それはもう帰るしかないじゃないか。
「それを言うなら、貴方は気づくのが遅すぎですわ。
 ——ラトゥーニに謝る方が、ずっと早いのに」
王女の言うことを、少女は正しいと感じた。ああそうだ。でも、そうした時にラトゥーニが許してくれなかったら……。
「大丈夫ですわ、私達は友達でしょう?
 喧嘩をしたら、謝って仲直り。それが出来なきゃ嘘ですわよ?」
王女は笑う。ああ、その通りだ。そうじゃなきゃ嘘だ。
「そうだな、帰ろう——ありがとう。王女」
「私達は友人でしょう?当然、ですわ♪」
紅い少女が踵を返す。少女は二人、雨に濡れながら艦の方へと歩き出す。

「だいたい、悪いのはあのロボヲタですわよ。あれがいなければぜぇぇんぶ丸く収まるんですわ!」
「今日はリュウセイは悪くないぞ?そもそも何も知らないんだから」
「無知は罪!———どちらにせよ、謝ったらあの男に全部押しつけちまいなさいな。それで万事解決ですわよ」
「けど、それはリュウが困るだろうし——」
「上等。いい事、マイ?いい女と言うのはね、男性を手玉にとって弄んで、ぽいっと放り棄てちゃうような、
 そんな怖くて悪くて綺麗な女の事を言うんですわよ」
「——王女、それじゃ王女はライを———」
「らっ、ライディ様は例外ですわっ!」
「ふふ、ははは——!」
「もう———ふふふ、あははははは——!」
少女は二人、笑いながら船へと戻っていく。


スペースノア級全領域戦艦、ハガネ。その非常口の外に、一人の少女が蹲っている。
紫色の髪と可憐な服。その姿に似合わず、その表情は暗く沈む。
彼女は一人、狭い非常口の外に座り込む。

——雨が降っている。ざあざあざあざあ降っている。
山間に身を顰めるハガネに容赦なく襲いかかる雨粒は彼女の小さな身体にしがみつく。
全身をぐっしょりと濡らして、彼女は空を見続ける。

——泣いているように見えるのはただ、顔を雨粒が伝っているだけなのか……。

「あらあら?どーしたのこんなところで」
声がする。ふと横を見れば、非常口が開いて誰かがこちらを覗き込んでいる。
金髪をポニーテイルにした、大人の女性。

「エクセレン…少尉」
「ちょっと、頼まれてね。お節介しにきたのよ♪」
相も変わらず陽気なエクセレン。いや、今の態度は少し無理をしているように見える。
その空陽気が通じないのが分かったからか、エクセレンの顔からすっと笑顔が消える。

「リュウセイ君の心配、だけじゃないわね?」
「…はい。マイに酷いことをしました———とても、顔を合わせられません」
エクセレンの問いかけに答える少女。泣いているのか、いないのか。雨の中では分からない。

ぽつり、ぽつりと少女が話を始める。
「リュウセイの事を話してました。偵察の帰り、遅いねって。
 なんで喧嘩になったのかは分かりません。いつの間にか、喧嘩になって——」
その時、少女にある考えが浮かんだ。普段マイと一緒にいる時なら絶対考えないような、事を。
「頭に血が上ってたんです。だから——酷いことを考えついて、実行しました」
彼女はマイのことをよく知っている。とてもよく、知っている。
だから、マイが最も傷つくように、し向けた。
「私はただ小さく挑発するだけ。——マイは人を傷つけることに、敏感だから」


あとはただ、待っていればいい。
待っているだけで、マイは怒り、少女を罵る。だが、罵られることを知っている少女は傷つかない。
傷つくのは、ただ、他人を罵ってしまった、マイの方。
なんて——なんて悪意。
「あんなに、あんなに傷つけてしまった……なんて、なんてっ…!」
少女の声が詰まる。しゃくり上げる。
——泣いているように見えるのはただ、顔を雨粒が伝っているだけなのか……。

「……顔、どうしても合わせられない?」
「…はい」
エクセレンの問いに、小さく答える少女。
顔は合わせられない。酷い、酷いことをしたのだ。そして、それより何より。
「また、罵られたら、もうやだ…!」
少女は頭を抱えて小さく叫んだ。
そうだ。なんて自分勝手。罵られることを知っていて、そう仕組んだ自分自身が——こんなに、傷ついているだなんて。

「こんな酷い、こんな自分勝手で、こんな、こんな、こんな——」
「そんなに自分を責めても、どうにもならないわよ」
エクセレンはそう言ってくれる。でも、そんな無責任な。

「それにそれって、悪いのはリュウセイ君じゃない」
エクセレンの、本気で怒ったような言葉が、ラトゥーニの耳に届いた。
「?!え、あ、あの、それって違います!今日のことはただ、私達が…!」
「自分のせいで女の子が泣いても気づかないなんて、最低じゃない。
 いーい?世の中にはオトコなんて星の数ほどいるの、リュウセイ君なんてとっととふっちゃってかまわないんだから。
 けど、本当の友達はね、そんなに沢山作れる物じゃないの。特に、一生物の親友はね。それに比べたらオトコなんて軽い軽い♪」

まるっきり普段の軽い調子に戻って言うエクセレン。
けど、その言葉には確かに思いが篭もっていて。

「さ、これで悩みは解決!後はマイちゃんに謝って、許してもらいましょ、ね?」
エクセレンが少女に手を伸ばす。
「そしてね、リュウセイ君が帰ってきたら、二人で思いっきり怒ってやりなさい。色々な分を含めて、全部」
少女は迷い、迷い、迷い、迷ってから、ようやくその手を手に取った。

「——エクセレン少尉」
「なあに?ラトゥーニ?」
「少尉は、キョウスケ中尉のこと——」
「あーっ!さっきの話、キョウスケにはオフレコッ!
 あいつってばブアイソな癖してそー言うこと聞くとよけいに…!」
「くすくす——わかりました」
「……ラトゥーニ、結構いい性格してるわよねぇ」

ばったりと、出会った。
ハガネ艦内に大きな洗濯室は一つしかないのだから、濡れぼそった二人がそこで出会うのは当然と言えば当然か。
マイの前にラトゥーニが立っている。ラトゥーニの前にマイが立っている。

「ほら」
「ガンバよ」

マイの背中を王女が押した。ラトゥーニの背中をエクセレンが押した。
一歩前に出る。一歩前に出る。
見つめ合う、泣かないように我慢する。見つめ合う、泣かないように我慢する。
そして、意を決して。そして、意を決して。

「ごめんなさっ…!」「ごめんなっ…!」

         が  ち  ん  !

マイが謝罪と共に下げた頭と、ラトゥーニが謝罪と共に下げた頭が、額と額で思いっきりキスをした。

「あ」「い?」「うぅ…」「え、えぇ?!」
額を抑えて唖然とする二人。後ろで見守る王女とエクセレンも固まる。
見つめ合うマイとラトゥーニ。そして。

「くっ、くく、あははははは——!」
「あはっ、あはははは!ははははははははは!」

どうにも堪えきれず笑い出す。後はもう、馬鹿みたいに笑い合うだけだった。
王女とエクセレンも、ようやく気を抜いて笑い出す。そんなところへ。

「お、どうしたんだ二人して。楽しそうじゃねぇか」
ひょっこりと、リュウセイが顔を出した。

「リュウ?!」「リュウセイ!帰ってきてたの?!」
二人の驚きの声に、リュウセイが笑う。相変わらずの全然邪気のない、ガキっぽい笑み。
「応よ。いやぁ参ったぜ。バーニアは壊れるし通信機は通じねぇしよ」

笑いながら言うリュウセイ。そんなリュウセイを見ている二人はほっとして——それから、どうしようもなく腹が立った。
ああ、王女やエクセレン少尉の言う通りだ。まったく、人の気も知らないで。こちらはこんなにヤキモキしてて、こんなにも彼のことを——。

だから、「で、なんでそんなに笑ってたんだ?」と聞いてくるリュウセイに、二人は。
思いっきりの笑顔を向けて、その笑顔のまま、思いっきりの足払いを喰らわせた。

「どああ?!?」
訳も分からずずっこけるリュウセイ。マイとラトゥーニはそれを確認する間もなく、廊下の向こうに駆け出していく。
「リュウには教えてあげないんだ!あはははははは!」
「私達、リュウセイの事大っ嫌いだもの!あはははははははは!」
心底楽しそうに笑いながら、二人は廊下の向こうに消えていった。

「俺、なんか二人に悪い事したっけ?」
残されたリュウセイの呟きに、
「いぃえぇ、なぁンにもしてませんわよ、貴方」
「ほぉんと、なんにもしてないわよぉ?」
からかうような、それでいて冷たい王女とエクセレンの言葉が被さってくる。
リュウセイは、後から謝ったら許してくれるかなぁと思いつつ、打ち付けた腰をさすって起きあがる。だがまあ。

「二人は楽しそうだったし、いいか」
彼はそんな風な言葉に、王女とエクセレンは肩を竦めた。
マイもラトゥーニも、この男にはまだまだ苦労しそうだな、と。




_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/



461 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/19(水) 13:53:18 D5q6JdMF
>>460
リアルタイムでキタコレ
実にGJ!!
雨降って地固まるラトマイ可愛いよラトマイ



464 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/19(水) 14:06:18 qG656Hho
>>460
   _、_
 ( ,_ノ` )      n
‾     \    ( E) グッジョブ!!
フ     /ヽ ヽ_//


465 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/19(水) 14:07:15 Pbk/cvSS
>>460
素晴らしい! よければまた書いてくれ!


470 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/19(水) 15:25:18 SO/Up+kM
>>460
ほのぼのさせてもらった。GJ!

だが素手で傘をへし折るシャイン王女にちょっと引いたのも私だ。



472 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/19(水) 15:55:52 qG656Hho
>>470
    王 女 を   ,,----、  な め る な 
           (()) ノ。ヽ
            || || ゚ ヮ゚)リ    
      , .-‐- くJ(      ゝ-rr- 、、
     /Y  ,r 、 `ー r'"^〃 、  つヒヽ
    ,ノ '^` i! =テミ i' 天ニ  ミ、 ='"^ヾ }
   ,/ ''=''" ノ-‐'ヾ-人,,__ノnm、''::;;,,  イ
  i!   ,∠-—-、、     `ー'フヾ、  j
  f'´    ノし   `丶、 ー=ミ-JE=-  /
  ヾ=ニ- 彡^ 〃   ,,>、、`''ー-::,,_,,ノ
    ``ー--┬:, ''"~´フ ソ´`7'' ''"´
         ,に (`゙゙´ノ   f^ヽ
        ,ハ    ,ィ'   ,;-ゝ、
        /ミ`ーt!,_,ィ-‐彡''"^ヽ
        /  ヾ::::::::::::::::r''"  ぃ ;}
       l   t:::::::::::/    ノ /
       l!   `'T7′   / /



474 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/19(水) 16:15:10 WjDu3Anm
>>470
きっと柄がポッキーで出来ていたんだよ


2006年07月29日
 ■  S4sP9LYL氏作 鋼の雛達

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その86
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1153141985/l50



22 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/18(火) 00:16:58 S4sP9LYL
流れをあまり考えずに貼らせていただく!


ハガネの通路の中を紅い髪の少女——マイ・コバヤシが足早に歩いていた。
急いでいるのだろうが、その顔は幸せそうに緩んでいなる。

「あら、マイちゃん。そんなに急いでどこ行くのん?」

少々周りのことが目に入っていなかったようだ。
いつの間にかエクセレンたちATXチームがすぐ近くまで来ていた。
声をかけられなかったらぶつかっていたかもしれない。

「随分とうれしそうだけど、何かいいことでもあったのかい?」
「ごめん。・・・・・・内緒なんだ」
「あらら、ふられちゃったわねぇ。ブリット君」

そう、他の人にはアヤであろうとずっと秘密にしてきたのだ。
知っているのは親友であるラトゥーニとシャイン王女だけである。

「でもぉ、同じ女のよしみでおねーさんにだけは教えてくれないかしら?」
(どうしよう・・・・・・)

エクセレンのことはマイは嫌いではない。
むしろ女として憧れている部分もある。(どこが、とは具体的に言わないが……)
しかし、彼女の独特のペースにのまれていろいろと話を聞きだされてしまったことがある。
今回もまた同じように話を聞きだされてしまう、というのはマイにとっては最も避けたい事であった。
だが、今回はエクセレン用ストッパーがいたようだ。

「よせ、エクセレン。困っているだろう」
「中尉……」
「すまんな。こいつにはよく言って聞かせておく。
 ……ところで、急いでいたんじゃないのか?」

キョウスケのおかげで、今回はエクセレンに話を聞きだされずにすんだ。
3人と別れ、マイは一目散に自室へと向かった。


マイの自室は正直かなりわびしいものだった。
特に私物があったわけでもなかったため、生活しているという感じはまるでなかった。
しかし、今ではアヤが持ち込んだアイドルのCD、リュウセイから貰ったロボットの玩具といったものが大切に飾られている。
それらは大切な仲間、友達からプレゼントされたものだから、何時までもとっておきたいと思っている。
そして、最近シャイン王女からプレゼントされたあるものが、マイを夢中にさせていた。
執務用のデスクの上を占拠している鳥籠、その中の巣にある物——

(よかった…… まだ産まれてない)

そう、鳥の卵だ。
急に鳥籠(その他道具一式)と一緒に送られてきて驚いたが、
ラトゥーニと一緒にどうにか孵化させられるようにすることができた。
その卵がもうすぐ孵化しそうなのだ。

(大事にするからね……)

どこまでも優しい目でマイは卵を見守り続けた……


32 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/18(火) 00:29:28 dYbSBW5s
>>22
GJ!!



34 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/18(火) 00:30:27 G9ddAed3
>>22
マイマイ萌え
GJ

2006年07月18日
 ■  22rshaHP氏作 「拳と蹴の絆」

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その83
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1152289545/l50


732 :カティア :2006/07/10(月) 11:18:04 22rshaHP
分かったわ…
12時にトウマ×フォルカで投稿するわね!



736 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/10(月) 11:37:58 KeMfLWmr
>>732
ふん、トウマ×フォルカだと?下らない
だが燃えなら見てやらんこともない

冥王様乙です


739 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/10(月) 11:49:41 22rshaHP
ふふ…さてと
いくとしますか…
期待を裏切られるがよい!
注意)15禁ではありません



740 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/10(月) 11:54:43 Hdn5NLnX
>>739
ならば18k(ry




_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/



トレーニングルーム

トウマ「でえりゃああ」
トウマの蹴りをフォルカが紙一重でかわす
が頬が切れる
フォルカ「…!やるな」
トウマ「紙一重で避けるか…流石だな」
フォルカ「無駄なモーションはいらない…いくぞ…」
トウマ「!!来たっ!」
フォルカの右膝を後ろを後ろに避けるトウマ
しかし…
フォルカ「甘いっ!」
左足でジャンプしそのままトウマを蹴り飛ばす
トウマ「ぐうぅうう!だが!」
フォルカ「踏み込みが浅かったか!」
トウマはそのまま体勢の崩れたフォルカに突っ込む!
トウマ「カウンターで決めるっ!初勝利貰う!」
フォルカ「くっ!」
その時…
ミナキ「トウマいる〜?」
トウマ(!あっ…ミナキ…)
トウマがミナキに目がいった一瞬!
フォルカ「隙あり!機神拳!!」


医務室
トウマ「痛たたた!もっと優しくしてくれよ!」
ミナキ「まったく…毎度毎度…フォルカ君も手加減してやってよね?」
フォルカ「む…スマン…」
壁に寄り掛かってたフォルカは頭をさげた
トウマ「そういや、最近はフォルカ、俺の組み手に付き合ってくれるよな?
   やっぱり、みんなとの交流で変わってきてるよな」
フォルカは顔をソッポ向き
フォルカ「そうか?俺はただトウマが強くなっているから付き合ってもいいだけだ…」
トウマ「そうか…?」
フォルカ「…失礼する」
ミナキ「はい!トウマも終わり!」
バシィインと背中を叩く
トウマ「痛いって!」


ハガネ甲板
時間は既に夕方
フォルカは一人たたずんでいた
フォルカ「………」
トウマ「フォルカ!」
フォルカ「ん?トウマか………」
トウマ「どうした?ボーッとして、隙だらけだぜ」
フォルカ「…俺は変わったか………?」
フォルカは不安だった…自分が弱くなっているんではないかと
トウマ「さっきのか…そうだな…変わった」
フォルカ「………そうか、守るものが出来たというのか…」
フォルカは肩を下げた…自分は…弱くなると…
トウマ「悪くはないと思うぜ」
トウマは夕日に手を伸ばしながら答えた
トウマ「俺はミナキを…皆を…地球を…守りたいと思って強くなろうとした
   ま、俺が守れるものなんて、たかが知れてるだろうけどよ…
   俺は…弱いか…?」
フォルカ「…トウマ…いやお前は強い…」
トウマ「なら、まだ立ち止まる訳にはいかないだろう?俺もお前も…な?」
フォルカ「ああ…まだ立ち止まれない…
   だが…修羅との闘いで後ろを気にしては…」
トウマ「…お前の背中くらい、俺が守ってやるよ…」
コツンと、トウマはフォルカの肩にタッチする
フォルカはフッと軽く笑うと
フォルカ「なら…お前の背中は俺が守ろう…」
トウマの肩にタッチした
トウマ「…頼りにしてるぜ
   さて、ミナキが呼んでるんだ、またな」
フォルカ「トウマ!」
トウマ「…ん?なんだ?」

フォルカ「お前なら銀河でさえも守れる!俺が保障する!」
トウマは腕を挙げて応えた

フォルカ「俺も……負けん!」

夕日が墜ちるなか独りの青年が立っていた…
辺りが暗くなるのに対してその青年の瞳は太陽のように輝いていた………





_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/




743 :おまけ :2006/07/10(月) 12:05:05 22rshaHP
カティア「…どう?」


統夜(…18禁じゃなかったか)
それだけが心配な統夜君でした


744 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/10(月) 12:08:04 KeMfLWmr
>>743
とてもGJ!!
やはり友情ってのは良いな



745 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/10(月) 12:41:51 6AlqkG7n
>>743
いやあ、いいもん読ませてもらった。



746 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/10(月) 12:44:33 Zi+hYb5l
特にそういう要素はなかったはずなのに萌えスレカティアに侵食されてる自分に驚愕した

気がついたらカティアは同人&801萌えというネタがディアッカチャーハンクラスで馴染んでいるから


 ■  毛布の人作 「アイビスハンマー」

OG萌えを細々とやるスレ
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/gamerobo/1146796249/l50



270 :毛布 :2006/07/12(水) 21:06:08 cThPSE5r
OG2アイビスで短いのを書いてみましたのでちょっとお借りします




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 探していた人物を、アイビスはハガネの厨房で見つけた。
「アラド、ちょっといいかな? 頼みがあるんだけど」
 袖まくりをして大鍋の油汚れをタワシでこすっていたアラドが振り返る。また
何か失敗かつまみ食いかして、罰ゲームをやらされているのだろう。エプロンの
すそで手を拭いて、とことこ駆け寄ってくるのへ、ちょっと拝むまねをして、
「ビルガーのブーストハンマーを、あたしのアステリオンに貸してほしいんだ」


 レオナとの模擬戦にどうしても勝ち星を上げられず、煮詰まっていたアイビスに、
格闘系武器を使ってみてはどうか、と勧めたのはツグミだった。
 格闘系武器とは、端的に言えば機体自体のモーションに破壊力を依存する
兵装全般のことである。ビームソードやコールドメタルナイフのような、誰が見ても
「ああこれで戦うのは格闘だ」と思わせるものから、ネオ・チャクラムシューターの
ような一見銃に見えるものまで、その幅は広い。格闘武器を扱うマシンに重要なのは
大出力と四肢の柔軟かつ精密なトレーサビリティであって、そういうのはPTや
特機系のお家芸である。アステリオンにも一応アサルトブレードが標準装備
されているが、これは非常用のようなもので、基本的には搭載した火器の
威力で戦う機体といえるし、アイビスもほとんど射撃の訓練ばかりを受けてきている。
 しかし、能力的にはともかく、
「性格的に向いてると思うのよ。それも、なるたけ大雑把で破壊力のあるのが」
 と、ツグミは言うのだ。
「なるほどー」
 突然の頼みにもあっさり快諾してくれたアラドと格納庫へ向かう道すがら、
アイビスはかいつまんで経緯を説明した。大雑把、のところですんなり納得した
表情をされたのが小憎らしい。
「でも、なんでハンマーなんスか? インパクトステークとかの方がいいんじゃ」
「う…」
 実は、それも考えた。複雑なマニピュレータさばきの要求される鎖付きハンマー
よりも、突進してぶち込む式のステークの方が、リオン系AMの格闘武器としては
向いている。それはアイビスもよくわかっているし、実際そっちも使ってみたいが、
しかし如何ともしがたい理由がある。ぶっちゃけた話、ハンマーの今の持ち主が
アラドだからだ。


 何しろこの艦といったら、百戦錬磨の腕っこきの猛者だらけなのだ。旧教導隊の
面々を筆頭に、SRXチーム、ATXチーム、ヒリュウ直属のオクト小隊、魔装機神
とかのパイロットに、元ノイエDCの特務隊ペア。マオ社の技術者上がりだという
ナヨっとした男の子はヒュッケバインMk-IIIでものすごい蹴りを繰り出しているし、
あの会社からは社長まで出てきたと思ったら旧PTXチームの大ベテランだという。
 そんな中で、新参者のうえに一流にはちょっと届かない腕前のアイビスの、
肩身の狭いことといったらない。同年代でも何となく格上に感じてしまうどころか、
年下でも油断ができない。軍艦にそぐわぬ妙にヒラヒラした格好の女の子がいて、
スクール出身だというから、
(この子も可哀相な目にあったのかな……)
と、子供好きのアイビスは面倒を見てあげようとしたのだが、どっこいその子が
DC戦争とL5戦役を最前線で戦い抜いた、アイビスなど及びもつかない
技量と戦歴の持ち主だと知った時は結構本気でヘコんだものである。
 そんなわけでアイビスにとって、なんの引け目もなく堂々とお姉さん顔のできる
相手は、もっかアラドしかいない。武器を貸してくれ、などという頼み事が気軽に
できるのも、彼だけなのだった。

「んじゃ、あとこれが基本動作プログラムです。AMにもそのまま適合するはずです。
前にラトもちょっと試してましたから」
「うん、ありがと。早速試してみるね」
 トゲつきのオリハルコニウムの塊に、スラスターと鎖をつけただけという原始的で
凶暴な形状のブーストハンマーを、スマートなアステリオンが装備している姿は
だいぶミスマッチだ。見送るアラドがそんな感想を抱いている間に、テスラ・ドライブが
唸りを上げてアステリオンは大空へ舞い上がる。ハガネから適当な距離をおいた
ところで、ハンマーの柄を両手でもって大きく振りかぶり、そしてそのままの
勢いで、後ろにひっくり返った。
『あ』
 慌てて前へ振りもどして、反対へつんのめった。横へ逃がそうとして、今度は
ハンマーを中心にぐるんと半回転する。
『わっ、わっ、っと、おっ!?』
 完全にハンマーに振り回されている。念のためビルトビルガーに乗り込み、
コクピットのモニタで見ていたアラドは頭をかいた。
「アステリオンは軽いからな……」
 機体重量に対してハンマーがあまりに重いので、うまく制御できないらしい。
細身だが重いビルガーや、地上戦主体のゲシュペンストが使っていた時には
出てこなかった問題点だ。もっとも、さらに軽いフェアリオンでもラトゥーニは鮮やかに
さばいていたが、これは腕前の差というものだろう。
(いやでもそんなこと言ったらアイビスさんまたヘコむだろうなあ)
 などと思っている間に、モニタの中のアステリオンはきりもみ回転しながらあさっての
方角へぐんぐん遠ざかっていく。
『わきゃーーー!?』
 さすがにフォローする必要を感じて、アラドも発進しようとした時、格納庫内に
警報が鳴り響いた。

 ぐるぐる回るモニタの隅に「ENEMY」の表示を見つけて、アイビスの顔色が変わった。
ハンマーを抱え込むようにして、無理矢理姿勢を立て直す。
「熱源、金属反応なし……ってことは、アインスト!?」
 まさしく、あの謎めいた敵の一種、「クノッヘン」と呼ばれる機体を表すシグナルが、
三つ、四つ、としだいに数を増す光点としてレーダー画面上をうごめいていた。
じきに、視認できる距離に入るだろう。あっちへ飛んだりこっちへ転がったりしている
うちに、ハガネは雲の向こうに見えなくなってしまった。アインストの恐ろしさは、突如
空間に出現するために、早期警戒が不可能な点にある。きっと今頃は向こうでも
スクランブルがかかっているだろうが、援軍が来るまでにはもう少しかかる。
「それまでの間は、あたしが…」
 スロットルを踏み込んで、つんのめりそうになった。加速が遅い。ハンマーの
重量が足を引っ張っているのだ。舌打ちをして武装をパージしようとしたが、
寸前で思いとどまる。
 下は海だ。せっかくアラドが貸してくれたハンマーが回収不能になりかねない。
いやそれ以上に、ハンマーを使えるようになりたくて練習していたのに、いざ実戦に
なったらそれを捨てるというのでは、何というかあまりに、負け犬のような気がしたのだ。
「……やってやる!」
 スレイほど極端ではないが、アイビスもわりと勝ち負けを気にするタイプである。
ぐっ、と普段より強くスロットルを踏み、水の中を動くようなイメージで重い機体を
前へ引きずり出す。雲をやぶって出現した最初のクノッヘンの鼻面に、ハンマーが
見事にヒットした。
 快哉を叫ぶ間もなく、二の手、三の手が次々と雲間から出現する。いま潰した
一体をGドライバーユニットの横腹で海へ叩き落とすようにしてから、新手の一群に
ミサイルをばらまく。敵の数は多いが、負ける気は少しもしない。なるほど自分を
奮い立たせたい時には、格闘武器はちょっといいかもしれない、などと頭の隅で
考えながら、アイビスは弾幕の向こうへ突っ込んでゆく。

「こンのォーーー!」
 二体目を撃墜。クノッヘンの爪が頭部をかすめる。ブーメランのように飛んできた
骨をかわしつつ、三体目にハンマーをふるう。頭上から覆い被さってきた四体目を
ふりほどき、五体目に至近距離からGドライバーをぶち込んだあたりで、数を
かぞえていられなくなってきた。
「このっ、このっ、このっ!」
 射撃戦がメインのアイビスにとって、これほど間近に敵を見ながらの戦闘は
初めてである。ひどく原始的な戦いの興奮が身内に湧き起こってくる。視野が
ひろがり、グリップが掌に吸いつき、自分とアステリオンとの境目があいまいに
なってゆく。カリオンで大空を思いきり駆けている時、ときたま感じることのできる、
マシンと一体になったあの感覚。
「そうか……ハンマーを回すんじゃなく、ハンマーとアステリオンを両方とも
重心にすればいいんだ!」
 その感覚の中で、突如アイビスはひらめいた。機体とハンマーをつなぐ鎖の
中点を芯にして大きく半回転し、何体目かわからないアインストに強烈な
飛び蹴りを見舞う。スラスターを最小限に噴かして反動を抑えつつ、大きく
振り回しながら鎖をたぐってハンマーの軌道を変え、真後ろの敵をぶん殴る。
いったん身体が呑み込んでしまえば、あとは早い。まるでもともとアステリオンの
一部だったかのように、自在にブーストハンマーを操れる。
「できる! あたしにもできたよ!……ははっ!」
 つかんだ極意の喜びにひたっていると、分厚い雲ごしに青白い戦闘光が
またたいた。ほどなく、旋風で雲を吹き散らしつつ、二体の人型が上空へ
飛び出してくる。
「アイビス! 大丈夫?」
「リューネ! ハガネはっ!?」
「お前さんが暴れててくれたおかげで、あっちの方は大したことねえ。おっつけ
援護も来るが、その前に片づけちまおうぜ」
 ヴァルシオーネとサイバスターだ。惚れ惚れするようなコンビネーションで、
次々に残ったアインストを蹴散らしていく。ハガネに二丁配備されているハンマーの
もう一方を持っているのがヴァルシオーネで、こちらは機体の重量とパワーに
まかせ、縦横無尽に振り回して当たるを幸いぶち砕く戦法である。確かに、
これが本道の使い方ではあろう。リューネ本人のイメージにも近い、と言ったら
怒るだろうか。


 なんとなく肩の力が抜けてしまって、そんなことを考えながらぼけっと見ていた
アイビスの背中を、何者かが猛烈に突き飛ばした。
 抜けていた気力を瞬時に叩き起こし、油断した自分を罵りつつ振り返ると
海面の青にまぎれて、青紫色にきらめく姿が見えた。熱源1、金属反応無し。
「ゲミュート!」
 アインストの上位機種、「ゲミュート」と呼ばれる鎧武者のような機体だ。指揮官機の
ようにして、クノッヘンの群に混じっていることがあるのを考え落としていた。
Gドライバーで撃ち落とそうとするが、さっきの一撃で肩のあたりがおかしくなった
らしく、照準がうまく動かない。ゲミュートはぐんぐん上昇し、アイビスの眼前に
迫ってくる。上空のサイバスターが気付いた動きを見せるが、アステリオンが
邪魔になって援護射撃はできない。こいつの攻撃方法は前に記録映像で見た。
あの鎧の腹の中に呑み込まれたら、華奢なアステリオンはバラバラに分解して
しまうだろう。きりきりと昇ってくる戦慄を、ぐっと腹の下へ飲みくだしてレバーを
握りなおす。諦めるなんてことがあってはいけない。ハンマーだって使えた。
自分とアステリオンは、まだまだ遠くへ飛べるのだ。
「リューネ! お前のハンマーをアステリオンに投げてやれ!」
「へ!?」
「早くしろ!」
 空いた手にアサルトブレードを握り、フルスロットルでまさに飛び出そうとした
アイビスの耳に、ふいにそんな会話が飛び込んできたと思うと、風を切る音がして
上空から何かが投げ落とされた。考えるより早くブレードを捨て、左手にもう一丁の
ハンマーを受けとる。落下の衝撃をそのままに、急加速をかけてアイビスは眼下の
ゲミュートに突っ込んだ。
 ハンマーが二丁あるなら、自分自身を支点にすればいい。アステリオンが自分自身に
なるさっきの感覚を思い出し、風を切って急降下するアイビスの脳裏に、これから進む
軌道がひらめいて見えた。
「とおおおりゃああああああ!!」
 一瞬、閃光が交錯した。


 サイバスターとヴァルシオーネから歓声が上がる。RaMVsを上回る破壊力を持つ
高速戦闘機動、マニューバーRaMdBis(急加速突撃および二丁の鈍器による殴打)
完成の瞬間であった。


 凱旋したアイビスを待っていたのは皆の拍手と、そして
『ハンマー二刀流不許可』
の通達であった。
「なんでですかー!?」
「当たり前だ。ブーストハンマーは二丁しかない貴重品だぞ。二つともアステリオンに
使わせるわけにいくか」
「それ以前に、あなたWゲージが足りないのに無理して二本目のハンマー使った
でしょう。腕の駆動部がバカになっちゃってるわよ。しばらく出撃は無理ね」
「そんなー……」
 しょぼーん、とうなだれたアイビスの肩を、ツグミが優しくたたいてやる。
「でも、煮詰まってたのは治ったみたいね?」
「……うん。アステリオンのマニューバーには、まだまだ可能性があるよ」
 落ち込みつつも素直にうなずくアイビスに、レオナも微笑んだ。
「学んだのは鉄球の使い方一つだけではないのでしょう。得たものを血肉に
したいのなら、いつでも相手をするわよ」
「…うん」水気を払う犬のように、アイビスは一つ胴ぶるいをしてしゃんとした
顔になると、
よろしく、レオナ! ツグミ、修理たのむね」
「はいはい。アラド君とリューネさんにも、ちゃんとお礼を言っとくのよ?」


 そうしてちょうどアステリオンの修理が完了した頃、訓練でヘマをした
アラドは罰としてハンマーをカチーナに取られることになるのだが、
それはまだ少し先の話である。


End





_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/




277 :それも名無しだ :2006/07/12(水) 21:49:30 s465R1J7
>270-276
GJ!
アイビスも可愛いが、なによりブーストハンマーの意外な使い方にハァハァしました



278 :それも名無しだ :2006/07/13(木) 12:58:18 cPkryfzw
>>271
メインのアイビスより鍋洗ってるアラドの描写に
ニヤニヤしてしまった。なんかいい。

あと「煮詰まる」じゃなくて「行き詰まる」が
よろしいと思うのですがどうでしょう。



279 :それも名無しだ :2006/07/13(木) 14:24:12 IJj/LGIQ
アイビス本人が闘い方に関して悩みを高ぶらせていたのだから煮詰まるでもいーのでないかしら。

素直なアラドカワユス。



280 :それも名無しだ :2006/07/13(木) 14:45:14 C1+/umeP
エプロンの裾で手をふくアラドが可愛い

アステリオンにステークつけても、機体重量が軽すぎて
撃ち込んだ瞬間反動でアステリオンが後ろに飛びそうだと思った



281 :それも名無しだ :2006/07/13(木) 19:15:00 57XwLNW8
アステリってそんなに軽かったっけ?



283 :それも名無しだ :2006/07/13(木) 19:48:52 dKPo0G4D
>>281
アステリについては詳しく知らんがリオン系は総じて軽い
元々人型兵器というより手足の付いた航空機って要素が強いからなぁ
レールガン砲台に飛行能力を持たせたバレリオンなど例外もいるにはいるが


逆にゲシュペンストは手足の付いた戦車だから陸戦重視だしズッシリしているのかな


284 :それも名無しだ :2006/07/13(木) 20:31:39 nsHCBKdB
なんかアステリオンがバランドバンのように大回転する
光景が見えたよ。OGSでは同じ武器二つ装備すると
武装追加とかやってくれないかなぁ。



285 :それも名無しだ :2006/07/13(木) 21:25:01 C1+/umeP
アステリオンの機体重量は 38t
アルトアイゼンは 85.4t

ちなみにOG世界でアステリオンより軽い機体は、
リオン 32.9t
ガーリオン 30.4t
フェアリオン 28.3t
くらいしかいないので、軽い方だと言える


286 :それも名無しだ :2006/07/13(木) 21:25:45 o3v17ARA
>>281
リオン:20.1m / 32.9t
ガーリオン:18.9m / 30.4t
バレリオン:23.6m(全長?) / 40.7t
アステリオン:20.2m / 38.0t

ビルガー:20.6m / 56.9t
ゲシュ2:21.2m / 72.4t
ヒュッケ2:20.8m / 52.0t
R-1:19.1m / 50.2t

OG2初回特典より

リオン系は確かに軽い。ていうかガーリオンがリオンより軽量だったとは。
PT黎明期の機体だからか、ゲシュが意外に重いのも驚いた。



288 :それも名無しだ :2006/07/14(金) 00:12:08 U0txngRr
ゲシュは見た目からして重装っぽいよね。ビルガーはパージすると大分軽量になるんだろうな。
エクセレンでビクティム使うと「一気に数トンの減量に成功!」とか言ってるし。


289 :毛布 :2006/07/14(金) 00:14:43 NNv0ZCRX
感想下さった方どうもです。しかしアイビス萌えSSのつもりだったのに
アラドばっか可愛がられてるのは何故だ

ちなみに計算してみたら、直径2.1mの鋼鉄球がほぼアステリオンと
同じ重さみたいです。マジでハンマーの方が重いかも


291 :それも名無しだ :2006/07/14(金) 00:52:06 gaiIalR0
>289
いやだって罰として鍋洗ってたり、
声をかけたらとことこ駆けよってきたり!
そりゃアラドに萌えますって!

萌え要素が豊富にかけるとかリオンとブーストハンマーの重量関係とかキチンと計算する毛布の人は凄い



292 :それも名無しだ :2006/07/14(金) 01:06:53 rD+iKoFZ
久々に覗いてみればなんだこれは、

ナイスな職人のおかげで隠れ良スレになっているではないか!!

毛布の人!ありがとう。

 ■  毛布の人作 「アイビスハンマー」

OG萌えを細々とやるスレ
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/gamerobo/1146796249/l50



270 :毛布 :2006/07/12(水) 21:06:08 cThPSE5r
OG2アイビスで短いのを書いてみましたのでちょっとお借りします




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 探していた人物を、アイビスはハガネの厨房で見つけた。
「アラド、ちょっといいかな? 頼みがあるんだけど」
 袖まくりをして大鍋の油汚れをタワシでこすっていたアラドが振り返る。また
何か失敗かつまみ食いかして、罰ゲームをやらされているのだろう。エプロンの
すそで手を拭いて、とことこ駆け寄ってくるのへ、ちょっと拝むまねをして、
「ビルガーのブーストハンマーを、あたしのアステリオンに貸してほしいんだ」


 レオナとの模擬戦にどうしても勝ち星を上げられず、煮詰まっていたアイビスに、
格闘系武器を使ってみてはどうか、と勧めたのはツグミだった。
 格闘系武器とは、端的に言えば機体自体のモーションに破壊力を依存する
兵装全般のことである。ビームソードやコールドメタルナイフのような、誰が見ても
「ああこれで戦うのは格闘だ」と思わせるものから、ネオ・チャクラムシューターの
ような一見銃に見えるものまで、その幅は広い。格闘武器を扱うマシンに重要なのは
大出力と四肢の柔軟かつ精密なトレーサビリティであって、そういうのはPTや
特機系のお家芸である。アステリオンにも一応アサルトブレードが標準装備
されているが、これは非常用のようなもので、基本的には搭載した火器の
威力で戦う機体といえるし、アイビスもほとんど射撃の訓練ばかりを受けてきている。
 しかし、能力的にはともかく、
「性格的に向いてると思うのよ。それも、なるたけ大雑把で破壊力のあるのが」
 と、ツグミは言うのだ。
「なるほどー」
 突然の頼みにもあっさり快諾してくれたアラドと格納庫へ向かう道すがら、
アイビスはかいつまんで経緯を説明した。大雑把、のところですんなり納得した
表情をされたのが小憎らしい。
「でも、なんでハンマーなんスか? インパクトステークとかの方がいいんじゃ」
「う…」
 実は、それも考えた。複雑なマニピュレータさばきの要求される鎖付きハンマー
よりも、突進してぶち込む式のステークの方が、リオン系AMの格闘武器としては
向いている。それはアイビスもよくわかっているし、実際そっちも使ってみたいが、
しかし如何ともしがたい理由がある。ぶっちゃけた話、ハンマーの今の持ち主が
アラドだからだ。


 何しろこの艦といったら、百戦錬磨の腕っこきの猛者だらけなのだ。旧教導隊の
面々を筆頭に、SRXチーム、ATXチーム、ヒリュウ直属のオクト小隊、魔装機神
とかのパイロットに、元ノイエDCの特務隊ペア。マオ社の技術者上がりだという
ナヨっとした男の子はヒュッケバインMk-IIIでものすごい蹴りを繰り出しているし、
あの会社からは社長まで出てきたと思ったら旧PTXチームの大ベテランだという。
 そんな中で、新参者のうえに一流にはちょっと届かない腕前のアイビスの、
肩身の狭いことといったらない。同年代でも何となく格上に感じてしまうどころか、
年下でも油断ができない。軍艦にそぐわぬ妙にヒラヒラした格好の女の子がいて、
スクール出身だというから、
(この子も可哀相な目にあったのかな……)
と、子供好きのアイビスは面倒を見てあげようとしたのだが、どっこいその子が
DC戦争とL5戦役を最前線で戦い抜いた、アイビスなど及びもつかない
技量と戦歴の持ち主だと知った時は結構本気でヘコんだものである。
 そんなわけでアイビスにとって、なんの引け目もなく堂々とお姉さん顔のできる
相手は、もっかアラドしかいない。武器を貸してくれ、などという頼み事が気軽に
できるのも、彼だけなのだった。

「んじゃ、あとこれが基本動作プログラムです。AMにもそのまま適合するはずです。
前にラトもちょっと試してましたから」
「うん、ありがと。早速試してみるね」
 トゲつきのオリハルコニウムの塊に、スラスターと鎖をつけただけという原始的で
凶暴な形状のブーストハンマーを、スマートなアステリオンが装備している姿は
だいぶミスマッチだ。見送るアラドがそんな感想を抱いている間に、テスラ・ドライブが
唸りを上げてアステリオンは大空へ舞い上がる。ハガネから適当な距離をおいた
ところで、ハンマーの柄を両手でもって大きく振りかぶり、そしてそのままの
勢いで、後ろにひっくり返った。
『あ』
 慌てて前へ振りもどして、反対へつんのめった。横へ逃がそうとして、今度は
ハンマーを中心にぐるんと半回転する。
『わっ、わっ、っと、おっ!?』
 完全にハンマーに振り回されている。念のためビルトビルガーに乗り込み、
コクピットのモニタで見ていたアラドは頭をかいた。
「アステリオンは軽いからな……」
 機体重量に対してハンマーがあまりに重いので、うまく制御できないらしい。
細身だが重いビルガーや、地上戦主体のゲシュペンストが使っていた時には
出てこなかった問題点だ。もっとも、さらに軽いフェアリオンでもラトゥーニは鮮やかに
さばいていたが、これは腕前の差というものだろう。
(いやでもそんなこと言ったらアイビスさんまたヘコむだろうなあ)
 などと思っている間に、モニタの中のアステリオンはきりもみ回転しながらあさっての
方角へぐんぐん遠ざかっていく。
『わきゃーーー!?』
 さすがにフォローする必要を感じて、アラドも発進しようとした時、格納庫内に
警報が鳴り響いた。

 ぐるぐる回るモニタの隅に「ENEMY」の表示を見つけて、アイビスの顔色が変わった。
ハンマーを抱え込むようにして、無理矢理姿勢を立て直す。
「熱源、金属反応なし……ってことは、アインスト!?」
 まさしく、あの謎めいた敵の一種、「クノッヘン」と呼ばれる機体を表すシグナルが、
三つ、四つ、としだいに数を増す光点としてレーダー画面上をうごめいていた。
じきに、視認できる距離に入るだろう。あっちへ飛んだりこっちへ転がったりしている
うちに、ハガネは雲の向こうに見えなくなってしまった。アインストの恐ろしさは、突如
空間に出現するために、早期警戒が不可能な点にある。きっと今頃は向こうでも
スクランブルがかかっているだろうが、援軍が来るまでにはもう少しかかる。
「それまでの間は、あたしが…」
 スロットルを踏み込んで、つんのめりそうになった。加速が遅い。ハンマーの
重量が足を引っ張っているのだ。舌打ちをして武装をパージしようとしたが、
寸前で思いとどまる。
 下は海だ。せっかくアラドが貸してくれたハンマーが回収不能になりかねない。
いやそれ以上に、ハンマーを使えるようになりたくて練習していたのに、いざ実戦に
なったらそれを捨てるというのでは、何というかあまりに、負け犬のような気がしたのだ。
「……やってやる!」
 スレイほど極端ではないが、アイビスもわりと勝ち負けを気にするタイプである。
ぐっ、と普段より強くスロットルを踏み、水の中を動くようなイメージで重い機体を
前へ引きずり出す。雲をやぶって出現した最初のクノッヘンの鼻面に、ハンマーが
見事にヒットした。
 快哉を叫ぶ間もなく、二の手、三の手が次々と雲間から出現する。いま潰した
一体をGドライバーユニットの横腹で海へ叩き落とすようにしてから、新手の一群に
ミサイルをばらまく。敵の数は多いが、負ける気は少しもしない。なるほど自分を
奮い立たせたい時には、格闘武器はちょっといいかもしれない、などと頭の隅で
考えながら、アイビスは弾幕の向こうへ突っ込んでゆく。

「こンのォーーー!」
 二体目を撃墜。クノッヘンの爪が頭部をかすめる。ブーメランのように飛んできた
骨をかわしつつ、三体目にハンマーをふるう。頭上から覆い被さってきた四体目を
ふりほどき、五体目に至近距離からGドライバーをぶち込んだあたりで、数を
かぞえていられなくなってきた。
「このっ、このっ、このっ!」
 射撃戦がメインのアイビスにとって、これほど間近に敵を見ながらの戦闘は
初めてである。ひどく原始的な戦いの興奮が身内に湧き起こってくる。視野が
ひろがり、グリップが掌に吸いつき、自分とアステリオンとの境目があいまいに
なってゆく。カリオンで大空を思いきり駆けている時、ときたま感じることのできる、
マシンと一体になったあの感覚。
「そうか……ハンマーを回すんじゃなく、ハンマーとアステリオンを両方とも
重心にすればいいんだ!」
 その感覚の中で、突如アイビスはひらめいた。機体とハンマーをつなぐ鎖の
中点を芯にして大きく半回転し、何体目かわからないアインストに強烈な
飛び蹴りを見舞う。スラスターを最小限に噴かして反動を抑えつつ、大きく
振り回しながら鎖をたぐってハンマーの軌道を変え、真後ろの敵をぶん殴る。
いったん身体が呑み込んでしまえば、あとは早い。まるでもともとアステリオンの
一部だったかのように、自在にブーストハンマーを操れる。
「できる! あたしにもできたよ!……ははっ!」
 つかんだ極意の喜びにひたっていると、分厚い雲ごしに青白い戦闘光が
またたいた。ほどなく、旋風で雲を吹き散らしつつ、二体の人型が上空へ
飛び出してくる。
「アイビス! 大丈夫?」
「リューネ! ハガネはっ!?」
「お前さんが暴れててくれたおかげで、あっちの方は大したことねえ。おっつけ
援護も来るが、その前に片づけちまおうぜ」
 ヴァルシオーネとサイバスターだ。惚れ惚れするようなコンビネーションで、
次々に残ったアインストを蹴散らしていく。ハガネに二丁配備されているハンマーの
もう一方を持っているのがヴァルシオーネで、こちらは機体の重量とパワーに
まかせ、縦横無尽に振り回して当たるを幸いぶち砕く戦法である。確かに、
これが本道の使い方ではあろう。リューネ本人のイメージにも近い、と言ったら
怒るだろうか。


 なんとなく肩の力が抜けてしまって、そんなことを考えながらぼけっと見ていた
アイビスの背中を、何者かが猛烈に突き飛ばした。
 抜けていた気力を瞬時に叩き起こし、油断した自分を罵りつつ振り返ると
海面の青にまぎれて、青紫色にきらめく姿が見えた。熱源1、金属反応無し。
「ゲミュート!」
 アインストの上位機種、「ゲミュート」と呼ばれる鎧武者のような機体だ。指揮官機の
ようにして、クノッヘンの群に混じっていることがあるのを考え落としていた。
Gドライバーで撃ち落とそうとするが、さっきの一撃で肩のあたりがおかしくなった
らしく、照準がうまく動かない。ゲミュートはぐんぐん上昇し、アイビスの眼前に
迫ってくる。上空のサイバスターが気付いた動きを見せるが、アステリオンが
邪魔になって援護射撃はできない。こいつの攻撃方法は前に記録映像で見た。
あの鎧の腹の中に呑み込まれたら、華奢なアステリオンはバラバラに分解して
しまうだろう。きりきりと昇ってくる戦慄を、ぐっと腹の下へ飲みくだしてレバーを
握りなおす。諦めるなんてことがあってはいけない。ハンマーだって使えた。
自分とアステリオンは、まだまだ遠くへ飛べるのだ。
「リューネ! お前のハンマーをアステリオンに投げてやれ!」
「へ!?」
「早くしろ!」
 空いた手にアサルトブレードを握り、フルスロットルでまさに飛び出そうとした
アイビスの耳に、ふいにそんな会話が飛び込んできたと思うと、風を切る音がして
上空から何かが投げ落とされた。考えるより早くブレードを捨て、左手にもう一丁の
ハンマーを受けとる。落下の衝撃をそのままに、急加速をかけてアイビスは眼下の
ゲミュートに突っ込んだ。
 ハンマーが二丁あるなら、自分自身を支点にすればいい。アステリオンが自分自身に
なるさっきの感覚を思い出し、風を切って急降下するアイビスの脳裏に、これから進む
軌道がひらめいて見えた。
「とおおおりゃああああああ!!」
 一瞬、閃光が交錯した。


 サイバスターとヴァルシオーネから歓声が上がる。RaMVsを上回る破壊力を持つ
高速戦闘機動、マニューバーRaMdBis(急加速突撃および二丁の鈍器による殴打)
完成の瞬間であった。


 凱旋したアイビスを待っていたのは皆の拍手と、そして
『ハンマー二刀流不許可』
の通達であった。
「なんでですかー!?」
「当たり前だ。ブーストハンマーは二丁しかない貴重品だぞ。二つともアステリオンに
使わせるわけにいくか」
「それ以前に、あなたWゲージが足りないのに無理して二本目のハンマー使った
でしょう。腕の駆動部がバカになっちゃってるわよ。しばらく出撃は無理ね」
「そんなー……」
 しょぼーん、とうなだれたアイビスの肩を、ツグミが優しくたたいてやる。
「でも、煮詰まってたのは治ったみたいね?」
「……うん。アステリオンのマニューバーには、まだまだ可能性があるよ」
 落ち込みつつも素直にうなずくアイビスに、レオナも微笑んだ。
「学んだのは鉄球の使い方一つだけではないのでしょう。得たものを血肉に
したいのなら、いつでも相手をするわよ」
「…うん」水気を払う犬のように、アイビスは一つ胴ぶるいをしてしゃんとした
顔になると、
よろしく、レオナ! ツグミ、修理たのむね」
「はいはい。アラド君とリューネさんにも、ちゃんとお礼を言っとくのよ?」


 そうしてちょうどアステリオンの修理が完了した頃、訓練でヘマをした
アラドは罰としてハンマーをカチーナに取られることになるのだが、
それはまだ少し先の話である。


End





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277 :それも名無しだ :2006/07/12(水) 21:49:30 s465R1J7
>270-276
GJ!
アイビスも可愛いが、なによりブーストハンマーの意外な使い方にハァハァしました



278 :それも名無しだ :2006/07/13(木) 12:58:18 cPkryfzw
>>271
メインのアイビスより鍋洗ってるアラドの描写に
ニヤニヤしてしまった。なんかいい。

あと「煮詰まる」じゃなくて「行き詰まる」が
よろしいと思うのですがどうでしょう。



279 :それも名無しだ :2006/07/13(木) 14:24:12 IJj/LGIQ
アイビス本人が闘い方に関して悩みを高ぶらせていたのだから煮詰まるでもいーのでないかしら。

素直なアラドカワユス。



280 :それも名無しだ :2006/07/13(木) 14:45:14 C1+/umeP
エプロンの裾で手をふくアラドが可愛い

アステリオンにステークつけても、機体重量が軽すぎて
撃ち込んだ瞬間反動でアステリオンが後ろに飛びそうだと思った



281 :それも名無しだ :2006/07/13(木) 19:15:00 57XwLNW8
アステリってそんなに軽かったっけ?



283 :それも名無しだ :2006/07/13(木) 19:48:52 dKPo0G4D
>>281
アステリについては詳しく知らんがリオン系は総じて軽い
元々人型兵器というより手足の付いた航空機って要素が強いからなぁ
レールガン砲台に飛行能力を持たせたバレリオンなど例外もいるにはいるが


逆にゲシュペンストは手足の付いた戦車だから陸戦重視だしズッシリしているのかな


284 :それも名無しだ :2006/07/13(木) 20:31:39 nsHCBKdB
なんかアステリオンがバランドバンのように大回転する
光景が見えたよ。OGSでは同じ武器二つ装備すると
武装追加とかやってくれないかなぁ。



285 :それも名無しだ :2006/07/13(木) 21:25:01 C1+/umeP
アステリオンの機体重量は 38t
アルトアイゼンは 85.4t

ちなみにOG世界でアステリオンより軽い機体は、
リオン 32.9t
ガーリオン 30.4t
フェアリオン 28.3t
くらいしかいないので、軽い方だと言える


286 :それも名無しだ :2006/07/13(木) 21:25:45 o3v17ARA
>>281
リオン:20.1m / 32.9t
ガーリオン:18.9m / 30.4t
バレリオン:23.6m(全長?) / 40.7t
アステリオン:20.2m / 38.0t

ビルガー:20.6m / 56.9t
ゲシュ2:21.2m / 72.4t
ヒュッケ2:20.8m / 52.0t
R-1:19.1m / 50.2t

OG2初回特典より

リオン系は確かに軽い。ていうかガーリオンがリオンより軽量だったとは。
PT黎明期の機体だからか、ゲシュが意外に重いのも驚いた。



288 :それも名無しだ :2006/07/14(金) 00:12:08 U0txngRr
ゲシュは見た目からして重装っぽいよね。ビルガーはパージすると大分軽量になるんだろうな。
エクセレンでビクティム使うと「一気に数トンの減量に成功!」とか言ってるし。


289 :毛布 :2006/07/14(金) 00:14:43 NNv0ZCRX
感想下さった方どうもです。しかしアイビス萌えSSのつもりだったのに
アラドばっか可愛がられてるのは何故だ

ちなみに計算してみたら、直径2.1mの鋼鉄球がほぼアステリオンと
同じ重さみたいです。マジでハンマーの方が重いかも


291 :それも名無しだ :2006/07/14(金) 00:52:06 gaiIalR0
>289
いやだって罰として鍋洗ってたり、
声をかけたらとことこ駆けよってきたり!
そりゃアラドに萌えますって!

萌え要素が豊富にかけるとかリオンとブーストハンマーの重量関係とかキチンと計算する毛布の人は凄い



292 :それも名無しだ :2006/07/14(金) 01:06:53 rD+iKoFZ
久々に覗いてみればなんだこれは、

ナイスな職人のおかげで隠れ良スレになっているではないか!!

毛布の人!ありがとう。

 ■  tIugSwfU氏作 「眠れ、究極ロボよ」

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その83
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1152289545/l50



281 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/09(日) 00:56:03 tIugSwfU
ちょっとメルヘンでファンタジーな感じの
萌え燃え長編小説が浮き出てきた俺はどうすればいいでしょうか?



296 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/09(日) 01:22:09 tIugSwfU
親分が似合わないお話書いてたってネタだったのに
もう俺が書かないわけには行かないご様子(´・ω・`)
よし!皆に3つ質問させてもらう!

1・メインキャラは誰がいいかな?(カップリングも可)
2・萌えメイン?燃えメイン?

以上だ

三つ目はー?




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航行中のヒリュウ改に先行、森林を移動しているとエクセレンから通信が入る。
「ねぇダーリン」
「どうした?あとダーリンはやめろ」
「もう、相変わらずつれないお人ねぇ。せっかく二人っきりでデートなのに」
「デートじゃなくて偵察任務中だ」
「んもぅ!」

30分ほど前・・・
「不審な機体反応?」
レフィーナ館長に俺とエクセレンはブリッジに呼び出されていた。
「はい、現在航行中のコース上、前方約20kmの地点に一瞬だけ反応があったんです」
「気のせいとは思うのですが、まぁ用心に越した事は無いというわけでして」
「なるほど、それで俺たちが偵察に」
何故俺たちなのかは解らんが確かに気になるな。
「敵の可能性も無いわけではないのでアルトアイゼンとヴァイスリッターで出てください」
「了解」
「はいは〜い、おっまかせぇ」

・・・
「ダーリンはもうちょっと積極的になってくれてもいいと思うのよねぇ・・・ブツブツ」
「何をブツクサ言ってる、そろそろポイントに着くぞ」
「はぁ〜い」
目的のポイントに到着し、レーダーを策敵モードに変える。
「今のところ反応は無しか・・・エクセレン、そっちはどうだ?」
「ん〜、こっちも見当たらないわねぇ。やっぱし気のせいだったのかしら?」
「どうせヒリュウ改もこっちに向かっているんだ、もう少し調べてみよう」
「いやん、ダーリンたら、もっと二人っきりでデートしたいなら照れずに言えばいいのに〜♪」
「・・・・・・」
エクセレンのいつもの軽口を黙殺しつつ移動を始める。
「ああん、無視しないでよぉ!」
まったく・・・・・・ん?
「熱源?」
木の間を縫って飛来した光線がヴァイスをとらえる。
「きゃああぁぁぁぁ!!」
「エクセレン!?」
今のは・・・クロスマッシャー!?
「まさか・・・!?」
森の中からヴァルシオンが姿を現す。
「くっ、何故こんなところに?自律回路が再起動したのか!?」
こちらを見据えているヴァルシオンはすでにダメージを負っているようだ。
「破壊され放置されていたのがまた動き出したか・・・エクセレン!大丈夫か?」
「うう〜ん・・・・・・」
「気を失っているのか?くそッ・・・!」
このままじゃヴァイスを巻き込むか・・・
「こっちだ!」
移動してヴァルシオンの射線からヴァイスを外す。
飛来するクロスマッシャーは狙いが正確ではなく、アルトでも容易にかわすことができた。
「機体に相当ガタがきてるようだな・・・」
武装の安全装置を解除し向き直る。
「人の女に手を出したんだ・・・それ相応の報いは受けてもらうぞッ!!」


発射されたクロスマッシャーをかわしつつ、最大加速で懐に飛び込む。
「撃ち抜く・・・止めてみろ!」
バンカーがヴァルシオンのボディに突き刺さる。
炸薬の爆発により突き込まれた杭は驚異的なダメージを与えつつヴァルシオンを吹き飛ばす。
「こいつも受け取れッ!!」
続いてクレイモアを至近距離で叩き込む。
無数のチタン製ベアリング弾を受け深刻なダメージを受けたがヴァルシオンはまだ動いている。
「チッ・・・半壊状態とは言え流石はヴァルシオンか・・・」
「あいたたた・・・キョウスケ!」
「エクセレン!?大丈夫か?」
「なんとかね・・・なんでこんなとこにヴァルシオンが?」
「考えるのは後だ!いけるか!?」
「もっちろん!ちゃ〜んとお返ししないとね!」
動き出したヴァイスとフォーメーションを組む。
「行くぞ、エクセレン!」
「OKダーリン、ラブラブアタックね!」
「・・・先に仕掛ける!」
「ああん、もう!」
今まで幾度と無く使ってきたフォーメーション『ランページ・ゴースト』
一見ただの波状攻撃だが、2機の移動速度やタイミングを完全に合わせる必要がある。
強い信頼関係と息の合うパートナーなくしては成しえないコンビネーション、それを考えると・・・
「ラブラブアタックと言えなくもないか・・・」
「ん?ダーリン何か言った?」
「いや、なんでもない。フィニッシュだ!」
「はいな♪」


・・・・・・
ヴァルシオンは撃破、周囲に敵影がないことを確認し、ブリッジに報告。
現在は帰還中だ。
「ねぇダーリン」
にま〜っと笑ったエクセレンから通信が入る。こういう顔の時はロクな事を考えてない。
「なんだ?」
「アタシが吹っ飛ばされた時、とっても情熱的な愛の告白しなかったぁ?」
「はぁ?」
愛の告白だと・・・?

『人の女に手を出したんだ・・・それ相応の報いは受けてもらうぞッ!!』

とっさに出た発言を思い出し、顔が赤くなるのを感じた。
「・・・気のせいだ」
「え〜、なんか『俺の女』的発言があったような気がするんだけどな〜♪」
「幻聴だ、忘れろ」
「ダーリン、顔赤いわよ?」
「・・・」
通信を切断し、機体に加速をかける。
「あっ!ちょっと、まってってば!ダーリン!!」
これからこの事で色々とからかわれそうだな、どうやって誤魔化すべきか・・・
「・・・まぁいい、分の悪い賭けは嫌いじゃない」
そう独り言を言いつつ、俺は着艦シークエンスに入った。




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336 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/09(日) 03:57:43 v0tXRW3H
良い仕事だ。



338 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/09(日) 04:40:17 nQN+W0Aw
>>337
激しくGJだ!イイネコレw



339 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/09(日) 05:40:35 a32E82Xu
>>337
GJ!
早起きはするもんだねえ。萌え燃えに偽り無しだね。加えて仕事早っ!



340 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/09(日) 07:47:52 g+2Mh/3e
朝からいいものを見せていただいた。

ごっつあんです。



341 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/09(日) 08:22:15 epSWNIHG
今起きた読んだ
GJ

2006年07月15日
 ■  ODE(面白いSSが 同時に投稿されて 縁起がいいね)システムだ…

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その82
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1152084140/l50


659 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/07(金) 19:01:11 B6UkOODv
トウマな流れを陸甲剣するが、夜に七夕SSを落としたいのだけど、いいかな?



667 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/07(金) 20:00:46 jRVrAojN
ギップルでも召喚できそうなほどシリアスでクサいSSを思いついたが途中で気力が付きた俺に誰か精神コマンドを。


668 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/07(金) 20:05:22 cLmPbL0y
>>667
つ激励 期待 信頼



669 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/07(金) 20:08:36 Pe7JM4lF
>>667
つ感応 補給 友情 


671 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/07(金) 20:10:21 O07t5mgx
>>667
感応感応感応官能感応感応
感応感応感応感応感応感応

紛れ込ませているとはエロいな


672 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/07(金) 20:10:41 WU4VfpAX
>>667
つ応援 祝福 偵察



673 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/07(金) 20:13:34 x1bq4QOo
>>667
つ鰻重

高カロリーな精神コマンド


675 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/07(金) 20:16:28 oRCrf1Bz
>>671
見えた!官能の一滴!



676 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/07(金) 20:17:02 cLmPbL0y
>>673
折角だから俺は紅白鰻重に団子と煎茶も付けて>>667に送るぜ!



677 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/07(金) 20:19:06 oRCrf1Bz
>>676
俺は熱々の鰻重を送るぜ



678 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/07(金) 20:26:48 jRVrAojN
俺、鰻苦手なんだよなあ



679 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/07(金) 20:27:12 vkSXENRv
トロンベ「フッ…スーパーで特売だった鰻重だ」

一同「「ゲェーッ!! 実に否トロンベ!!」」

トロンベなら…自家製ブランシュタイン家秘伝のタレで味付けしてくれるってアタイ信じている


680 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/07(金) 20:27:42 AndOgyi5
|
|∀・)つ[アンドロメダ焼き・母さんのシチュー・SPドリンク]

…あと他にスパロボで食えそうなものというと…あ。

|
|∀・)つ[ゼルエル]



681 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/07(金) 20:28:16 6KqAB+d7
>>667
つ再動、修行、



682 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/07(金) 20:28:49 cLmPbL0y
>>680
ドンキーのパンもだ!



683 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/07(金) 20:29:30 Ap3Zrjkc
|
|∀・)つ[カットナラナイザー]


・・・喰えるの?



684 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/07(金) 20:29:53 x1bq4QOo
>>678
orz

つステーキ



685 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/07(金) 20:30:27 jGYqzkmR
>>667
加速

>>682
げげぇー!あのパン土から発掘されてるー!


686 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/07(金) 20:32:00 OB0mFzP5
>>678

つ火星丼 愚乱丼



687 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/07(金) 20:33:30 Pvfg54ti
実はドンキーのパンは、ロランが錬金術で土から作りだしていたんだよ!!



688 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/07(金) 20:33:59 OB0mFzP5
な、なんだってー!
 Ω ΩΩ



690 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/07(金) 20:34:03 vTwEA9WJ
>>678
セシリーのパン○



691 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/07(金) 20:34:14 AndOgyi5
 まぁ、量産機が食ってたし、食えないことは無いだろう。
|
|∀・)つ[エヴァ弐号機withアスカ]



692 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/07(金) 20:35:45 cLmPbL0y
おっといけない、宇宙一の珍味を忘れてたぜ
つツインテール



693 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/07(金) 20:36:32 WU4VfpAX
どっちが食べたのかは解らないが

「ヴァルク・ベン」
「アストラナガン」

でも食べて元気出せ


695 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/07(金) 20:38:09 AndOgyi5
>>693
どっちにしろナガンはアウルゲルミルに食われてるジャマイカ。…あ!

 忘れてたぜ!
|
|∀・)つ[グルンガスト参式]



696 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/07(金) 20:39:19 vkSXENRv
ヴァルク弁当
ウマイヨ!

ベルグバウ弁当で中身がGまみれn(無限光



699 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/07(金) 20:41:49 OB0mFzP5
AI1にとっては全てが食料です。


え、違う?


701 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/07(金) 20:45:48 A/nKnnPj
アストラナガン「ヴァルクウマー」



702 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/07(金) 20:53:17 cLmPbL0y
・・・・食い倒れたか?
まあマターリ待ちましょう



703 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/07(金) 20:54:13 WU4VfpAX
>>699
そいや、AI1て触手ロボに分類されるのか?



704 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/07(金) 20:56:30 OB0mFzP5
>>703
接吻ロボです。



705 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/07(金) 20:59:53 IKuzfheg
触手+美女+接吻=ワクテカ

こうです


707 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/07(金) 21:01:54 oRCrf1Bz
触手+熟女+接吻=再起不能


こうです



716 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/07(金) 21:11:41 jRVrAojN
みんなありがとう。
書きあがるまでにかなりかかりそうだから、しばらくは忘れてくれ。

精神コマンド+差し入れを頂いたjRVrAojN 氏羨ましい





_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/


☆☆B6UkOODv氏のSSココから☆☆


727 :659 :2006/07/07(金) 21:38:40 B6UkOODv
   = Obedient Digital Exchange =

今夜は七夕。牽牛星と織女星を祭る行事…というのは
辞典データを引用するまでボクも知らなかった話。

日本の人達の提案をきっかけに、広場に一本の竹が立てられると
七夕という風習を知る者も知らない者も、こぞって
短冊に願いを書き流し、枝葉に飾っていく。
さすがに願いが叶う事を真剣に信じている者は居なかったけど、
αナンバーズやハガネ隊の皆が楽しく一夜を過ごしている様子が羨ましくて、
ボクもたどたどしい文字で、一つの願いを短冊に込めた。
それが事件の始まりだとも知らずに…

 【生まれ変わったら人間になりたい】

翌朝、ボクは何故か紫雲統夜になっていた。


慌てふためいて自分の周囲を確認すると、そこには
あられもない下着姿で僕の右側に寝そべっているカティアさん、
同じく下着姿で僕の左側で眠りについているメルアさん、
やっぱり下着姿でボクの上に乗っかって寝ているテニアさんの肢体があった。
ボクは事態が飲み込めなくて、泡を食っていたけど、
その気配を察知した女の子達が一斉にボクに抱き寄ってくる。

「おはよう、統夜」
「おはようございます、統夜さん」
「おはよー、トウヤ」
「う、うわぁーーーーーー!」

生まれて初めて触れた、生身の感触が暖かすぎて、
ボクは驚嘆の声を上げながら着の身着のまま、慌てて寝床を飛び出す。
三人の女の子達は、呆気に取られた表情でボクの痴態を眺めていたが、
そこに逃亡の意志を感じ取ると、すかさずしがみ付いて来ようとする。

「あ、何処に行くの統夜!」
「またいつもの逃走癖!?」
「逃がさないんだからー!」
「逃がしてくださいよー!」

三人の執拗な追跡をかわしながら、ボクはこういう時に
頼りにできそうな常識人を必死に検索…いや心当たりを探して遁走した。
風に身を切る感覚も、息が切れて息苦しくなる感覚も新鮮だったけど
今のボクはすっかり錯乱していてそれどころじゃない。
差し当たって、最寄の知り合いの部屋に駆け込むことにした。

「毎度毎度のことながら、お前は苦労性すぎる。
 毎週のように逃げ込んできてどうするのだ、軟弱な奴め」

スレイさんは青息吐息のボクに水と酸素ボンベを差し出しながら
呆れるような、哀れむような視線で見つめている。
目つきと口調は苛烈だけど、人知れず優しい一面もボクは知っていた。

「毎週って…そんなに毎回の事なんですか?」
「今更何を言っている」

どうやら本物の統夜さんも、あの魅惑的な女の子達は手に余るらしい。
なんとなく背徳的な感情に突き動かされて逃げてしまったけど
あんなに暖かい感触に包まれて眠れるのなら、やっぱり人間って羨ましいかも。

「何をボーッとしている? 今日の統夜は殊更変だぞ」
「あ、わかります?」
「当然だ。で、今日は一体何があったんだ。
 …ああ、いや、破廉恥な話になるようなら詳細は遠慮するぞ」
「別にハレンチという訳ではないんですけど…」

統夜さんと肉体が入れ替わってしまった、なんて話したところで
インテリな彼女が信じてくれるかどうか半信半疑だったけど
織女星の名を冠する機体のパイロットなら、これ以上の相談役はいないかも知れない。
非論理的だけど、今のボクが直感というものを備えているとしたら
それは素敵な感覚なのかも知れないと感じられた。

「どうした、らしくないな。私にも話せないような事なのか?」
「それは…その…」
「そんな切ない顔をするな…つい抱き締めたくなる」
「わ、わわっ、スレイさん!」
(さすがに抱き心地指数は抜群だなぁ…)

スレイさんのふくよかな胸に抱き留められたボクは
まるで煮沸されたように真っ赤な顔をして慌てふためいた。
部屋に漂う彼女の香水は、知識としては知っているけど
いざ鼻腔をかすめると不思議な気分をもたらしてくれた。
でもその優しさは、ボクではなく統夜さんに向けられた物だと知ると
左胸にチクリとした痛覚をもたらした。

「さぁ話せ。話すだけでも楽になる事もある」
「は、はい、実は…」

艶めいた優しさにほだされて口を開こうとした時、盛大な破裂音とともに
スレイさんの部屋の扉を押し開かれた。
すわ、カティアさん達に見つかったのかと二人して振り返ったが、
そこにいたのは三人娘の誰でもなく、鬼の形相をしたセレーナさんだった。

「ようやく見つけたわよ、エルマァー!」

「エルマだと!?」

つい忘れかけていた本名がボクの耳朶を突き抜ける。
分析能力は本体に置いてきてしまったけれど、それがセレーナさんの
本気の憤怒だという事はすぐに理解できた。

「あ、いえ、違う、いや、違わないんですけど、ボクは…」
「こんな事しでかしちゃて…おいたが過ぎるわよエルマ!」
「馬鹿を言えセレーナ、では貴様が掴んでいるロボットはなんなのだ!」

そう、怒髪天を突いている彼女に首根っこを掴まれているのは、
つい昨日までボクのボディであったはずのロボットだった。
事情を知らないスレイさんが指差して反論するのも当然の成り行きだが、
そのロボットはマニピュレーターをばたつかせて抗議の意思を示した。

「聞いてくれスレイさん! 俺だってわけのわからないままロボットになってしまったんだ!
 確かに、短冊に【たまには三人のアプローチから解放されたい】なんて書いたけど
 だからってこんな仕打ちはあんまりだー!」
「俺…!? お前…まさか本当に統夜か?」

さしずめ統夜さんもセレーナさんにきつく絞られたのか、彼の搾り出すような釈明に
スレイさんはようやく事態を理解し始めたようだ。
しかしセレーナさんは細かい説明に時間を割くことを捨て置いたらしく、
スタンビュートの充電端子をせっせとボクのボディに繋いでいる。

「とりあえずここは、エルマにも詳しく事情を聞いてだな…」
「問答無用! 統夜、プリズムファントム・モードLで!」
「ラジャ!…なんてできませんよ俺は!」
「ゴチャゴチャ言わずに発電しな! エルマ、覚悟ぉっ!」
「ま、待てセレーナ、早まるな!」
「うわぁーーーーーーっ!」

それから後の事はよく覚えていない。
薄れゆく意識の中、スタンビュートを振り上げたセレーナさんの雄姿と、
慌てふためく統夜さんとスレイさんの姿だけが走馬灯のように映った。

「アディオス、ドールケースさん…」
「お、俺の身体が黒コゲにーっ!」
「セレーナ、貴様ーッ!」

ああ、人間はなんて感情の起伏が忙しい生き物なんだろう…。

多大な喪失感と、ほんの少しの充足感に満たされて僕は目を覚ます。
肉体の疲労や呼吸といった生身の感覚はもう失われて、
0と1に支配された膨大なデータ群が脳裏を駆け巡っている。
ボクの身体は…どうやら元に戻ったようだ。

「気が付いたかエルマ。いや統夜か?」
「…ボクですよスレイさん」
「そうか、元に戻れたのか。良かったな」

慰めの言葉とは裏腹に、スレイさんは口を真一文字に噤んで
ボクの喪失感を共有してくれていた。
膝枕…って奴かな、もう温もりも弾力もセンサーでしか感じられないけど
スレイさんの太腿の上は、とても人心地の良い場所なんだと感じ取れた。

「ごめんなさい…でもボクにとっても不可抗力だったんです」
「分かっている。だから統夜もお前を恨んではいないそうだ。
 …それにしても、そんなに人間になりたかったのか?」
「はい。…でも人間も色々大変なんだって実感できました」
「それはお前の主の、日頃の行いが悪いからだ」
「そのセレーナさんは?」
「…今頃はヴォーダの闇の中かも知れん」
「そ、そんな!」
「…というのは冗談だ。そうしてやりたかったのは山々だが、あいつなりに
 お前と統夜を心配しての行為だったんだろう。行き過ぎの感はあったがな」
「…でもやっぱり、人間でいられる事って凄く羨ましいです。
 楽しくて、暖かくて、嬉しくて、愛しくて…そんな気持ちに溢れてて。
 もし生まれ変わったら、ボクもきっと、きっと…」

独白の言葉に感極まったのか、スレイさんがもう一度ボクを強く抱き寄せる。
機械のボディが軋むほど強い感情と、人肌にほだされる感覚が身を包んでいく。

「どうだエルマ。人間は暖かいだろう?」
「は、はい」
「そうだ、この温もりが理解できるのなら、お前は人間と変わらない」
「スレイさん…」
「つくづくいじらしい奴だな、エルマは」

愛でる瞳が直視できないほど眩しくて、ボクは咄嗟に話題を逸らした。

「と、ところでスレイさんは、短冊にどんな願いを掛けたんですか?」
「わ、私か? 私はだな…」
「【恋の一つもしてみたい】だったっけ? 顔に似合わず案外ロマンチックよねぇ」
「セレーナさん!?」

あろうことかセレーナさんはボク達の睦まじくしている様子を、
意地の悪い含み笑いをして眺めつつ、一枚の短冊をスレイさんの頭上にヒラヒラと翳した。

「き、貴様という奴は、人の夢を手にとって嘲笑うのか…!」
「あらあら、そんなに怒っては綺麗なお顔が台無しでございますことよ」
「可愛らしくラミア語で言ってもムダだーッ!」
「あらら、ツグミのアドバイスも全然効かないでやんの」

今度こそ怒りが頂点に達したらしいスレイさんは、
たった今まで腕の中に抱いていたボクを地面に投げ捨てると
拳を握り締めてセレーナさんを追い回し始めた。

その後、マニピュレーターを駆使してなんとか自立できたボクは、
セレーナさんの短冊も他人を笑える様な願いではなかった事を思い出し、
苦笑いというのはこういう感情かと学習した。

(だって【女の武器がもっと鋭くなります様に】なんて書いてるんだもの)

後にボクは、次の年にも同じ願いが書かれていた二人の短冊を見比べて、
二人の夢は当分叶わない高望みなのだと悟るのだった…。


                             -Fin-




_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/




741 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/07(金) 21:52:33 cLmPbL0y
真にGJ
コミケの方もこの調子で突っ走ってくれ



743 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/07(金) 21:54:12 A/nKnnPj
>>735
>「どうだエルマ。人間は暖かいだろう?」
>「は、はい」

「これが人間の………温もり……だよ…」





_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/



ここからjRVrAojN氏のSS

俺はジンクスなど信じない。
だが、茶葉を切らした日と空が曇る日に、ろくなことが起こらないのは確かだ。

新西暦186年。俺は連邦軍を離反してDCに入隊した。しかし、そのDCは俺がほとんど何もしないうちに敗北してしまった。
情報によると、DC本部とコロニー統合軍旗艦は、どちらも一隻の戦艦に制圧されたらしい。
その日、俺の居た戦場は酷い天気だった。おまけに茶葉も戦闘のドサクサで酷い有様になっていた。

そして数ヶ月後、エアロゲイターと名付けられた異星人が地球を侵略してきた。
今時異星人などと馬鹿げた話だと思ったが、軍人であり、DCである以上、俺のやることはただ一つだった。
その日も、俺の居た町は土砂降りだった。そして、忌々しいことにどこの店もティーバッグしか置いていなかった。

繰り返して言う。俺はジンクスなど信じない。
それでも、空が曇るのは好きにはなれそうにない。上質なティータイムを楽しめないことなどは論外だ。


エアロゲイターが地球侵略(我ながら古臭い表現だ)を始めてしばらくたった、ある日のことだ。
北アメリカに居た俺達の部隊は、カリフォルニアの都市を襲撃したエアロゲイターと交戦した。
撃退はしたものの、奴らの攻撃で街はほぼ壊滅状態となっていた。

温暖な地と聞いていたが、瓦礫で埋もれ、あちこちで泣き叫ぶ声が聞こえ、
おまけに嫌な雨の降り続いていたそこでは、流石の俺も茶葉の買出しになど行く気にはならない。
士官として救助の指揮を執っていた俺は、己の未熟さと、小雨の降り止まぬ空が嫌でたまらなかった。それと、またもやティータイムを逃したことも。

そんな時、崩壊した建物らしき瓦礫の前に、誰かがへたり込んでいた。
女だった。肌は小麦色、傘も差さずにずっと瓦礫を見つめ続け、時折しゃくりあげている。
どういう状況だったのかは、容易に想像できた。何しろ、あちらこちらで見てきたことだったから。

放っておいて面倒なことになられても困る。そう思った俺は彼女に声をかけた。

「・・・風邪ひくぞ。」
「お父さんもお母さんも、もう風邪なんてひけない。」
「お前は生きてるんだろ。」
「でも、もう生きてる意味なんて無い。」

・・・一番面倒なパターンだ。こういう場合はどうするべきか・・・考える前に動いていた。

「いいから来い。」
「・・・いいよ別に。」
「来いと言っている!」

・・・何をやっているんだ俺は。これもティータイムを欠かしたせいだろうか。
とにかく、俺は彼女を屋根のあるところまで連れて帰った。


彼女は、芸能界を目指していたと、俺に語った。
歌やダンスを毎日練習して、家族に自分の夢が実現するところを見せたかった、と。

雨は止みそうに無い。少しくらいなら話を聞いてやるのも良いだろう。・・・注文した茶葉も都合よく届いたことだし。
それにしても、沈んでいる割には結構喋る女だ。普段はどれだけ喋るのか、それとも気分を紛らわすために喋っているのか。
と、突然彼女が俺に尋ねてきた。

「アンタ達、連邦軍なの?」

冗談じゃない。あんな連中と一緒くたにしないで欲しい。

「俺達は・・・DCだ。」
「壊滅したって聞いたけど。」
「・・・まだ、無くなっちゃいない。」
「・・・そうなんだ。」

妙な空気だ。対処に困った俺は、とりあえず一杯淹れることにした。イブニングティーには少々早いが、たまには良いだろう。

「あったかい。」
「天然物のダージリンだ。ようやく入手できたんでな。」
「ふーん。」
「最近はなかなか手に入りにくいんだが、給料つぎ込んだ価値は十分にある。上品な香りだろう?」
「・・・よくわかんない。」
「・・・そうか。」
「ね、アンタって、紅茶と空の話になると、沢山喋るよね。」
「紅茶はまあわかるが・・・空?」


そうだろうか?天文学ならともかく、空の話なんかした覚えは・・・。

「曇ってるとろくなことが無いとか、嫌なことがあるといつも雨が降るとか。」

・・・いつの間に。大体俺はジンクスなど信じないのではなかったか。

「今も曇ってるけど、あたしといるの、嫌?」
「・・・別に。」
「あ、赤くなった。」

・・・今更ながら気づいた。俺はこの女が苦手だ。

「子供みたいねえ。」
「悪かったな。」
「あ、ふてくされた。」
「・・・もう元気になったんだろ。帰・・・」

しまった。俺はバカか。

「・・・帰るところなんて、もう無いじゃない。」
「いや、その、何だ。」
「・・・あたしにはもう・・・。」
「く・・・済まなかったと言っている。」
「・・・面倒見てよ。」
「ああ・・・・・・って何ぃ!?」
「・・・よろしく♪」

・・・もしかして、これが狙いだったのか?
いや、そんな馬鹿な・・・。

「あ、晴れたみたいだよ。」
「・・・そうだな。」
「悪い天気だから悪いことが起きるんなら、良い天気なら良いことが起きるのかな?」
「・・・さあな。」
「あ、そういえば自己紹介まだだっけ。」
「・・・・・・そうだったか?」
「へへ、アタシの名前はね・・・」


俺はジンクスなど信じない。
何故なら、例え晴れていても、良い紅茶が手に入っても、悪いことは起きるものだからだ。

事実、彼女の入隊手続き等で俺はいつもの職務に加えてさらに仕事を増やす羽目になった。
ついでに言うと、パイロットとして優れた適性があったらしい彼女は、特別に少尉として俺の隊へとやってきた。
念動力だの何だのと一部では噂していたが、そんな馬鹿げた理由で士官になれるはず無いだろう、と思う。
本人は「家族の仇討ちだって説明したらなんかえらそうな人が感動してたから、そのおかげじゃない?」などと言っていたが。

そういえば、あのサンディエゴ以来、いつもと同じ紅茶が妙に旨くなった気がする。
おそらくそれh「おーい!そろそろメキシコに移動だってさー!あ、何書いてんの?日記?見せて見せて!」「やめろ、おい!返せ!返せぇぇぇっ!!」


おそらくそれは、いつも晴れてるような奴が隣にいるからだろう。
俺はジンクスなど信じない。
だが、こういうジンクスなら、信じても良いかもしれない。





_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/




776 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/07(金) 22:49:47 ZpxaBV+p
U殻キタ━ヽ(ヽ(゚ヽ(゚∀ヽ(゚∀゚ヽ(゚∀゚)ノ゚∀゚)ノ∀゚)ノ゚)ノ)ノ━!!!!
全国云百万人のU殻ファンが報われる日が来た…(´Д⊂ヽ



777 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/07(金) 22:52:52 CdDG9mOp
これはいいSSですね



778 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/07(金) 22:53:16 Uetb11d7
>>775
GJ!!
アンタも凄ぇよ!!



780 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/07(金) 22:55:10 hF/BUYED
ウキーラキタ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(゚∀゚)゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!



781 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/07(金) 22:55:20 cLmPbL0y
おばあちゃんが言っていた。
自分では「ああ、上手くいかないな」と思っても心を込めて書いた物なら皆にそれが伝わると。
つまりはGJです。



782 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/07(金) 22:56:00 mri9aU3a
>>775
読んでくうちに幸せな気持ちになったよ。
グッジョブ!



783 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/07(金) 22:56:28 jRVrAojN
とりあえず、ユウはなんだかんだでカーラには勝てないと思うんだよね。


784 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/07(金) 22:57:13 CdDG9mOp
長いSSは敬遠されがちだがこれはいいぜ

俺はOG2ではカーラ使ってなかったがOGsでは絶対使う
なぜなら声が好きだからだ
サトシいいよサトシ(*´Д`)/ヽァ/ヽァ でもサトシっぽくないところがいい(;゚∀゚)=3

あぁ、こんな面白い流れに参加できなかったのが口惜しい

2006年07月13日
 ■  運び屋TD 極秘書類を届けろ!

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その82
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1152084140/l50


うだる熱さの中、仕事も無くチームTDはただだれきっていたが・・・ある日美味しい顧客が舞い込み・・・

ミーンミーンミンミン
蝉が自分の存在をこれでもかと主張する

「ワレワレハウチュウジンダ〜」
ヴゥーンとまわる扇風機に向かいツグミが変なことをしている
スレイは足先のバケツに入ってる氷が無くなったのはわかっているが
動こうにも動く気力がない
「…なぜまだ初夏だというのに…こんなに暑い…」
スレイはそう呟くと辺りをキョロキョロ見渡した
「ツグミ、アイビスはどこだ?」
「アイビス?〜アイビスは仕事取りに行ったわよ〜」
エアコンが壊れて直そうにも直す金がなくチームTDの面子はだれきっていた

カラン〜
アイビスが帰って来たようだ
「ただいま〜…麦茶頂戴ね…」
ツグミとスレイはアイビスのその表情を見て仕事が無かったことを察した…
「ねぇ…赤いふたが麦茶だっけ?」
ツグミは扇風機のスイッチを強に切り替えながら答えた
「赤はそばつゆ、青が麦茶よ…」
「ありがと…アレ?氷は…?」
今度はスレイがうちわを扇ぎながら答えた
「ああ…スマン、もうない…新しく作ってくれキャプテン」
「なんだよそれ…」
文句を言いながら、冷凍室に水を貯めたケースを入れる


カラン…
「アイビス…お客さんだぞ…」
「嫌だよ…もう動きたくない…ツグミ行ってよ…」
「なんで私が…スレイ行ってきなさい…」
結局じゃんけんでスレイが行くことになった
ぶつぶつ文句を言いながら扉を開ける…
「誰だ…全く…」
目の前には赤紫の髪をした青年が立っていた
スレイは彼を知っていたし…
彼もスレイを知っていた
「あ…こんにちは…」
その青年はスレイの格好を直視出来なかった
「し…紫雲?どうし…」
そこまで言って自分がほぼ下着に近い姿だと思い出した
「キャアアア!」
紫雲 統夜は慌ててフォローした
「見てません!見れません!見えません!」
「本当の本当に見てないんだな!」
「ハイッ!だから…あのっ…」
「着替えてくるから!待ってろ!」
そう言うとスレイはダッシュで着替えに行った
「ハァ…びっくりした…」
統夜はそう呟くと、スレイの格好を思いだし真っ赤になった…
(テニア達がいなくて本当によかった)


ドタドタ着替えるスレイにアイビスがさっきの客はと、尋ねた
「誰だったの?」
「紫雲だ!まだ玄関にいる!」
ツグミが思い出したようにそれに反応した
「そういえば…渡したいものがあるとか…言ってたな〜」
スレイは真っ赤のまま吠えた
「それを前もって言えーっ!」


「これをシャナ=ミアまでなんですけど…」
統夜は一冊のノートを渡した
「これ?」
スレイが中を見ようとすると統夜が慌ててとめた
「すいません!ちょっと…中に書いてあるのは秘密で…」
「でもウチも依頼者との信頼関係が…」
そう言いかけるツグミをアイビスが塞いだ
「わかった!責任をもって私達が預かる!エアコンを直す為に!」
ツグミは少し不満そうだったが、キャプテンの意思のもとチームTDは統夜の依頼を受けた(ギャラのほうもよかったので)

〜宇宙〜ハイペリオン〜

「〜それにしても、ノートくらい宅急便でいいと思うんだけど…」
アイビスはノートをペシペシしながら疑問に思っていた
確かに、まずノートというか手書きというのが不思議だ
今の時代、メールで事足りるはずだ
「…いやな予感がするわね…」
ツグミはボソッと答えた
すると、レーダーに機体反応があった
「レーダーに反応!って…このコードは!ASアレグリアス!」
その機体に乗っているパイロットから通信が入った
「はぁ〜い、久しぶりで…」
ツグミが叫ぶ!
「!熱源接近!回避運動!」
「くっ!スピードならっ!回避マニューバ!」
アイビスがぎりぎりでサーバントを回避する
「アイビス!よくやった!それより…」
スレイはアレグリアスのパイロットに叫んだ
「なにを考えてるセレーナ!」
アレグリアスから通信が再び入る
「ほら〜怒ってますよ〜」

この声はセレーナの相棒の小型ロボット【エルマ】である
「エルマは黙って!いや〜こっちも仕事でさ。そのノート…渡して頂戴よ?」
相変わらずマイペースな人間だ
アイビス達はセレーナの依頼主の三人がすぐに浮かんだが関係なかった
「すまないが、それは駄目だ!こっちも仕事なのでな!アイビス!」
「わかってる!スロットルアップ!一気に行く!」
スレイの声に反応しアイビスはアレグリアスを振り切ろうとしたが…
「行かせないよ!ビック、ビリビリ、電撃カッター!」
セレーナの鞭が伸びハイペリオンに直撃する!
「もう、一撃!」
ハイペリオンに再び当たる直前…
「スレイ!分離だ!」
「OK!キャプテン!」
加速状態のまま分離し避けて更に…
「マニューバGRaMXsの要領で!」
「よし!」
再び合体して振り切った


「逃げられちゃいましたね〜」
エルマの問い掛けにセレーナは溜息をついて答える
「ハァ…流石にハイペリオンにはこっからじゃ追い付かないわ」
「今週もパンのミミですね」
「ハァ…」


「データに反応無し。振り切ったようね…」
ツグミがホッと一息つく
「それにしてもこのノート…なんなんだろう?なんでカティア達が」
アイビスが不思議に思う
「まぁ、気にするな…さあ、つくぞ」


そのノートがただの交換日記だと知ったのはその1時間後だった…

統夜「だってテニア達が絶対日記の邪魔しますから!」


おしまい


2006年07月12日
 ■  百舌と隼の絆

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その82
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1152084140/l50



14 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/05(水) 18:40:52 5ubTt/bo
空気読んでないSS貼っていい?

ちょい長めだけど…



16 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/05(水) 18:42:16 hUNyg6LL
はっはっはこのOG萌えスレでスレ違いを気にしなさるとは礼儀正しいお人だ
貼れ、貼りまくれ!





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アイビス「ツグミ〜荷物の搬入終わったよ」
ツグミ「お疲れ様、スレイもありがと」
スレイ「何、兄様のハイペリオンはあくまでも作業活動形態だ」
アイビス「うん…そうだよね」
ツグミ「じゃあ、お茶にしましょ。ユウ君から美味しい紅茶貰ってるの」
スレイ「ほぅ…それはいいな」
ツグミ「もちろんケーキもあるわよ」
アイビス「やったあ!」


カイ「…というわけだ」
アラド「ファルケンに別のパイロットすか?」
ゼオラ「な…何でですか!納得いきません!」
カイ「アラド用にカスタムされたビルガーと違って、ファルケンは凡用性が高い」
アラド「確かに…最初はラトが乗ってたしな」
カイ「そこで念のためにゼオラ以外でもTBSモードを使用するために…」
ゼオラ「私はっ!」
ラト「…ゼオラ?」
ゼオラ「私はそれでも!納得いきません!
   ファルケンのパイロットは…アラドのパートナーは…」
ラト「ゼオラ…」
ゼオラ「っすみません…気分が優れないので…失礼します…」
   バタン!
カイ「やれやれ…アラド、お前はどうだ?」
アラド「俺っすか?まぁ…俺は…」

アイビス「ケーキ♪ケーキ♪」
ツグミ「アイビスったら」
   ドン!
アイビス「?…ゼオラ」
ゼオラ「あ…すみません…」
スレイ「待て…泣いている仲間を見て素通しするほど薄情ではない…」
アイビス「スレイ…」
ゼオラ「スレイさん…」
ツグミ「何があったか知らないけど訳くらい教えてよ…ね?」
アイビス「美味しい紅茶とケーキもあるからさ…」

ゼオラ「という訳で…」
アイビス「成る程ね…」
スレイ「その気持ち少しは私も分かるな…」
アイビス「スレイ…」
スレイ「愛着のあるものが他人に取られるのはツライな…
   それがマシンであれ人であれ…な」
ゼオラ「………はい」
スレイ「それが納得できるかどうかはそいつ次第だが…」
ゼオラ「…」
   ビービービー
ツグミ「敵襲?」
スレイ「ゼオラ?」
ゼオラ「ファルケンで出ます!」


アイビス「…あの子潰されないかな…?」
ツグミ「それはわからないわ…それは…」
スレイ「ああ…彼女次第だ」
ツグミ「それより、私達も出るわよ!キャプテン!」
アイビス「了解!」

ゼオラ「敵機体反応…あった!…データ一致…って!
   ヴァルシオン改!なんで…?」
人工知能「…」
ゼオラ「駄目…ファルケンの攻撃じゃ装甲を貫けない…」
人工知能「…」
ゼオラ「しまった!やられ…」
アイビス「こちらアイビス・ダグラス、攻撃を開始する!」
ゼオラ「え?ハイペリオン…」


アイビス「行くよ!二人共」
ツグミ、スレイ『OK!キャプテン!』
ツグミ「相対速度・距離算出!データ・ロード!」
スレイ「ターゲット・インサイト!火気管制オールグリーン!」

ゼオラ(凄い…息が…ぴったり…私達と同じくらい…)

アイビス「マニューバーGRaMXs…!」

アイビス、ツグミ、スレイ『フィニッシュ!』

ゼオラ(でも…私と…アラドは…もう…)

???「まだ倒せてない!ボケッとするな!」
ゼオラ「…え?」
ツグミ「ナイト様の登場ね!」
アラド「ゼオラ!モードTBSでいく!」
ゼオラ「ビルガー…アラド…?なんで…」
アラド「おめえみたいなジャジャ馬の相手が、俺以外に務まるかよ!」
ゼオラ「じゃ…ジャジャ馬ですって!」
アラド「ジャジャ馬じゃねえか!」
ゼオラ「なんですって〜この馬鹿!」
人工知能「…」
アイビス「危ないっ!」
アラド「話しの…」
ゼオラ「邪魔を…」
アラド、ゼオラ『するな!』
アラド「ジャケット・アーマー、パージ!ウイング展開!ドライブ全開!」
ゼオラ「テスラ・ドライブ出力最大!ブーストッ!」

スレイ「…決まったな」
ツグミ「ええ」

ゼオラ「アインス!」
アラド「ツヴァイ!」
ゼオラ「ドライ!」
アラド「こいつで決めてやるっ!ツインバード!」

アラド、ゼオラ『ストラァイクッ!』

ゼオラ「え?資格者無し…?」
カイ「うむ…なんというかシュミレートの結果、アラドとの連携システムを上手く扱える者が…な」
ラト「あんな無茶苦茶な動き、こっちが参る…」
カイ「そういう訳だ…」
ゼオラ「アラド…」
アラド「ゼオラ、これからもよろし…」
ゼオラ「あんたがジャジャ馬なんじゃない!」
アラド「なっ!どう考えても、おめえの方がジャジャ馬だって!」
ゼオラ「なんですって〜」


アイビス「なんというか…心配損というか…」
スレイ「結局、元の鞘か…」
ツグミ「いいんじゃない?アレが自然なんでしょ?」
スレイ「…」
アイビス「?どうしたのさ、スレイ?」
スレイ「い、いやなんでもない…」
ツグミ「年下カップル見てやきもち妬いてるのよ」
アイビス「え?」
スレイ「ツグミ!違う!違うぞ!」
アイビス「へぇ〜そうなんだ」
スレイ「ニヤニヤにするな!」
ツグミ「とばっちり受ける前に逃げるわよ。アイビス」
アイビス「うん!」
スレイ「二人とも待て!」
ツグミ「キャー」
おしまい……ッス





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29 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/05(水) 19:27:34 hUNyg6LL
>>26
ひさびさにほのぼのしたSSみて心が洗われた
GJ


32 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/05(水) 19:37:31 bHVVdE2d
>>26
いいぞいいぞー!面白いからもっと書いてくれ!



33 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/05(水) 19:38:52 9+oc0vmd
>>26こうゆうSSマジ大好物。
ごちになりやした。



35 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/05(水) 19:42:08 oAL1EA5f
ビルガーとファルケンって元々コンビ運用前提で作られてるんだから
乗換えしてもTBSが使えていいはずじゃね?
リュウセイ&ライとかキョウスケ&エクセレンとかでTBSできたら楽しそうだし



36 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/05(水) 19:42:09 pTYbwo67
>>31
でも一応ランページ参考にモーションパターンが組まれてるって話もあって、よくわからんのよな。
プログラムを機体にぶっこむだけで戦場で活用できるとは思えないし、
機体には動作の方向性だけが示されてて細かいところやタイミング合わせは中の人任せと思ってる。
それで結局アラゼオでしか使えないってのと、プログラムがあるから多少燃費がいいってことが説明…できるかなぁ?



37 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/05(水) 19:43:23 hUNyg6LL
>>36
実は荒噛みみたいな追加入力方式で
ボディが…ストラーイク

お留守だぜ! ドライ!!



38 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/05(水) 19:49:51 /Gu34skP
モーションパターンって入力した通りに動くんじゃなくて
その時々に操縦者にとって最適な動きを、簡易操作で行ってくれるっつうモノだからねえ
TBSはアラドとゼオラの動きに最適化されたコンビネーション攻撃なんじゃないかね


2006年07月11日
 ■  携帯からの力作投稿

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その81
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1151846889/l50


「ライジングメテオ!」
真夜中のトレーニングルームにトウマの声が響き渡る
トレーニングは既に彼の日課になっていた
「まだだ…もっと、速く、強く、熱く…」
コンコン…
「精がでるな…」
そこに立っていたのは…
「フォルカか…」
「水を飲みに来たら、トレーニングルームから声が聞こえてな…」
「気になって見に来たってわけか」
トウマは座り込みスポーツドリンクを飲み始めた
「トウマはいつもこんなことをしてるのか?」
フォルカからの質問に対しトウマは笑いながら答えた
「ああ、俺はまだまだ未熟だ…」
「未熟?トウマが?俺は立派な戦力だと思うが」
「サンキュ…けどそういう意味じゃないんだ」
「?どういう意味だ…」
「なんていうか…ん〜うまく言葉には出来ないな…」
「?」
「俺が俺である為に…みたいな感じかな?」
「よく分からないな…」
「俺もよく分からん!」
「フッ…面白いなお前は」
トウマはふと思い出したように立ち上がった
「まだするのか?」
「ああ…あ、あとひとつ訓練する理由があった」
「それは?」
「俺の技…ライジングメテオってあるだろ?」
「ああ、トウマが自力で生み出した」
「ミナキは…訓練無しに雷鳳で使いこなしてた!」
「そいつは…修羅だな…」
「ああ…ミナキは…修羅だ」


怖がってる場合じゃない!という理由だけで戦えるミナキ


735 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/04(火) 23:28:04 0tKt74op
思い出したネタで流れをぶった切ってみる

フォルカ「ミナキと言ったな」
ミナキ「は、ない。貴方はフォルカさんでしたね」
ファルカ「ああ、その通りだ(スチャっと構えて)手合わせ願おうか」
ミナキ「は、はいぃ?」
フォルカ「何でも、あのトウマが血の滲む様な思いで編み出したライジングメテオを、
     雷凰初搭乗でいきなり使いこなしたそうではないか」
ミナキ「あ、あれはその・・・」
フォルカ「まさしく修羅の技だ。さぁ、その力を見せてもらおう(ギラリ)」
ミナキ「え、えぇ〜〜っ!(そんな無理よ!あれはトウマのモーションデータを走らせただけなのに・・・助けてトウマ!)」


2006年07月05日
 ■  SRXでポン

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その80
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1151633055/l50


585 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/02(日) 00:29:23 UTlWnqij
私、ラトゥーニ・スゥボータ 14歳
SRXチームのリュウセイに片思い中です
始めて出会ってから1年………相変らず恋の進展は………


ハガネ:艦内
シャイン「ラトゥーニ、来ましたわよ!!今日こそデートの約束を取りつけるのです!!」
ラトゥーニ「う、うん……リュウセイ……おは」
リュウセイ「わりぃっ、俺今隊長に呼ばれてて急いでるんだ、話は後で頼む!!」
ラトゥーニ「……よう……」
シャイン「さっさと言え……・こほん、言わないと!!」
ラトゥーニ「だって………恥ずかしくて……」
シャイン「殿方は愛嬌のある女性に引かれる物ですよ、笑顔で挨拶これ基本! さあ、ご一緒に!!」
ラトゥーニ「こ、こう?」 (ぎこちない笑み)

???「リュウセイ………おはよう」
リュウセイ「ようマイ、早いな」
マイ「隊長、待ってる………一緒に行っても良いか?」
リュウセイ「ああ、急ぐから悪いけど歩けないぞ、勝手についてきてくれ」
マイ「うん……勝手にする……」

ラトゥーニ「(マイ〜〜〜〜〜〜っ!?)」
シャイン「手強いですわね、マイ・コバヤシ………SRXチームに入ってすぐに合体攻撃を披露、さらにチームメンバーの座を利用してリュウセイに急接近
更に今の“おはよう”はポイント高いですわよ、寡黙な印象から見られる精一杯の気持ちが滲み出ていますわっ!」
ラトゥーニ「(…………)」
シャイン「ラトゥーニもやって御覧なさい」
ラトゥーニ「え………、お……おは………よ」
シャイン「20点…・・・・・・」
ラトゥーニ「(ガビーン!!)」
シャイン「ともかく、挨拶もきちんとできないとマイさんにリュウセイをもっていかれてしまいますわよ?」
ラトゥーニ「…・ふぁぃ……………」


自宅
ガーネット「ただいま〜!旅行楽しかったわ〜!!」
ラトゥーニ「お帰り、ガーネット…………」
ガーネット「あれ、ラトゥーニ……沈んだ顔してどうしたのよ? ほら、これお土産、マグカップよ」
ラトゥーニ「あ、ありがとう…………」
ガーネット「それ、アンティークショップで見つけたのよ、数が少ないらしくて高かったけど
そのカップで恋のおまじないができるんですって、ラトゥーニ、好きな人がいるんでしょ?」
ラトゥーニ「恋の…・・・・・・」





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587 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/02(日) 00:33:36 9jXhSuv/
>>585
ミルモ?


588 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/02(日) 00:35:45 UTlWnqij
>>587
肯定だ、分かり辛いかと思ったら以外と知っている人がいるな

590 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/02(日) 00:41:08 9jXhSuv/
>>588
妹が漫画持ってたんよ

594 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/02(日) 00:50:09 VADXaHa/
>>590
ナカーマw


595 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/02(日) 00:50:46 OBq/8GXh
>>590
それはアレか、特定の女子中高生が特撮モノのムック本を買うときに、
「弟に頼まれて〜…」みたいにわざとらしく言うのと同じニュアンスか。

俺の親父はちびまる子ちゃんとマーマレード・ボーイ持ってたぜ

2006年07月02日
 ■  リョウト=ヒカワ御精勤

OG萌えを細々とやるスレ
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/gamerobo/1146796249/l50

念動力者 リョウト・ヒカワはマオ社社員である。
彼を採用したマオ社は 月面にて日夜奮闘するPT開発企業であった。

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○月×日。
僕がマオ社に勤めてしばらく経つ。
それでも自分はまだまだ学ぶべきことが多く、精進の毎日。
特にPTは人命に関わるものだから、常に気を張って開発に取り組まなければならない。
気付いたことがあればどんなに小さなことでもすぐに対応しておくべきだ。

昨日もある機体の点検時に気になるところがあった。
現場のみんなは定時で上がっていったけど、忘れないうちに再チェック
しておこうと思って少々残業することにした。
自分一人で手に負えない問題が生じていたら、次の日に報告・対応すればいい。

結果としては、起動テスト用の入力値が少しだけ間違っていた。
訂正自体はすぐに済んだけど、確認と発見にちょっと時間がかかってしまい
割と遅めの時間。
各機器の電源を落として、さて帰ろうかというときに声をかけられた。
声の主はイルム中尉。中尉も報告書作成のために残業していたらしい。
折角なので夕食をご一緒することに。
しばし二人で過ごした後、それぞれ部屋に戻った。
 
 
 
 
 
翌日の今日、昨日の件について一応先輩に報告した。
その折、今朝から社長の機嫌が悪いらしいとの話を聞く。
何でも昨日、イルム中尉が女性と食事していたらしく、そのことが
社長の耳に入ったらしい。
中尉は僕と食事していたはずだけど、その前後にも誰かと一緒だったのだろうか。
あまり詮索してはいけないと思うので、このことは気にしないことにしよう。

 ,.'´ ⌒>>            ボーイッシュな美人と遅めのディナーを楽しんでそうだな>
 ノシシノイ)ミ        誤解だ。昨日はリョウトと食事してただけで、それを見たやつが勘違い——>
 シリ ゚ヮ゚ノリ            ふん、お前の趣味は昔から変わってない。似たような女にすぐ付いていく>
_(_]つ/‾‾‾/__  趣味の話なら気が強くて男嫌いで社長職ってのも追加してくれ>
  \/ ヒュッケ3/         ……そういう話はしていない!>

……このことは気にしないことにしよう。
記録、一旦終了。

 ,.'´ ⌒>>
 ノシシノイ)ミ  さて、リオが話があるって言ってたっけ。
 シリ ゚ヮ゚ノリ  何の用だろう?
_(_]つ/‾‾‾/__
  \/ ヒュッケ3/


         ,.'´‾`´ )
 ,.'´ ⌒>>   !キ'^^ヽキ ) 
 ノシシノイ)ミ  リ゚- ゚#リ§ 残業って言ってたのに……
 シリ;゚ヮ゚ノリ  /(介((ヾ§
_(_]つ/‾‾‾/_〉|.|_
  \/ ヒュッケ3/   ヽ⊃
  ……え?

(終)





_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/


206 :それも名無しだ :2006/07/02(日) 00:15:23 QNcLRrns
リョウト・・・wGJ

210 :それも名無しだ :2006/07/02(日) 01:09:58 HpMKvD7C
>204-206
GJ!
イルリンは相変わらずだなw
そしてナチュラルに間違えられるなよリョウトw


ボーイッシュな美人って生粋のボーイなのにリョウト…だがそれがいい!

2006年06月30日
 ■  毛布の人最新作

OG萌えを細々とやるスレ
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/gamerobo/1146796249/l50

解説:毛布の人、SSを多方面で発表している職人で非常にレベルが高くFANも多い


「テツレフィ未満 」


 テツヤ・オノデラは鬱屈していた。
 もともと、何でも一人で抱え込みがちな彼であるから鬱屈するのは珍しくないが、
今回はいささか事情が違う。きわめて個人的な鬱屈だ。
「艦長? なんだか今朝から気分が悪そうですけど、大丈夫ですか」
「うん? いや、別に何でもない。気にするな。リュウセイ少尉達は、もう着艦したか?」
 艦長たる者、何があろうと凛と胸をはって背筋を伸ばし、部下に不安など
感じさせてはならない。個人的な問題で気を遣わせるなどは言語道断で、そんなことは
おくびにも出すまいと気を張るのが彼である。
「ただいまーッス。あれ艦長、何落ち込んでるんですか?」
「コバヤシ大尉以下四名、長距離哨戒任務より帰還しました。あら艦長、悩み事ですか?」
「こちらが報告書です、大きな問題はありませんでした。ところで艦長、顔色が
すぐれませんが」
「テツヤ艦長、目の下にクマができてる。寝不足は身体によくないぞ」
 しかし、そういうことを隠そうとしてもうまくいきっこないのも、また彼である。あっと
いう間に虚勢を見破られたテツヤは、再びずぶずぶと艦長席に沈み込んだ。
「艦長、どうしたんです? 私達でよければ、力になりますよ」
「そうそう、水くさいぜ」
「リュウセイ、そういうことを軽々しく言うな。部下に言いたくないことだってある」
「一昨日まで防衛戦略会議で、レフィーナ艦長と一緒だったんでしょう。また離れ
ばなれになって寂しいんじゃないですか?」
「!!」
 エイタの他愛ないからかいの文句が、テツヤの肺腑をえぐった。鉄の玉を
のんだような顔をして黙り込んでしまった艦長に、俄然アヤとリオが色めき立つ。
「え、まさか本当に?」
「艦長、寂しいならもっと積極的にいかないと」


「いや、さすがにそんなことではないだろう。だが、レフィーナ艦長が関わっている
ことは間違いなさそうだ。深刻なことなのですか、艦長」
 ついにライまでが知りたい側に回ってしまった。リオもエイタも自分のコンソールを
そっちのけにして、興味津々という顔でこちらを見ている。ここのところ哨戒任務と
待機の連続で、皆ヒマなのだ。しばらく待って、誰も場を流す気配がないのを
確かめると、テツヤは苦く長いため息をついて、一昨日の出来事をしぶしぶと
語りはじめた。


 エイタの言うとおり、一昨日まで地球圏防衛戦略会議が開かれており、オブザー
バーの一人として招聘されたテツヤはハガネを離れて重慶へおもむいていた。
同じくオブザーバーのレフィーナと久しぶりに顔を合わせ、会議が終わった後には
二人で食事などもして、彼としてはまずまず上出来の週末であった。つい格好を
つけて苦手な酒にも挑戦してみると、レフィーナもおつきあいしてくれて、ほんのり
桜色に染まった目元や頬の艶っぽさに思わず見惚れたりもしたのである。
 現場の人間同士、酒が入って話すことといえば、上司の愚痴と相場が決まっている。
折しも昼間の会議では、防衛上きわめて重要な計画がいくつも、軍高官達のつまらぬ
プライドや政治的思惑などによって潰されたのを目の当たりにしており、悪口の
題材には事欠かない。盛り上がるにつれ会話は過激になり、ついには個人攻撃にまで
なだれ込んでいくのも酒の席の常である。
「ご存知ですか。あのラモンド少将って、カツラなんだそうですよ」
「本当ですか!? どうりで、髪のかき上げ方が不自然だと思った。しかし、今どきカツラとは」
「外して汗を拭いているのを、前にユンが見たと言ってましたわ。四十になったとたんに
一気にイッてしまったんですって」
「そりゃあ気の毒に。しかし、イッたならイッたで、それを隠そうという性根が気に入りませんな」
「そうですよね」
「確かにハゲはみっともよくないかもしれないが、それを道具で隠そうというのは
なおみっともない。ハゲならハゲで堂々としてればいいんです。自分に不満がある
からといって、外面を糊塗してすませようという根性は、浅ましいというべきだ」
「……そうですね」

「そんな人間は実地に指揮をとらせたって、外面ばかり気にして中身のない采配を
するに決まってるんです。そうは思いませんか」
「…………」
「レフィーナ艦長?」
 その後レフィーナは終始無言のまま、食事が終わるとさっさと席を立って、別れの
挨拶もそこそこに帰っていってしまった。あんなに盛り上がっていたのに、なぜ急に
黙り込んでしまったのか、首を傾げたままテツヤはハガネに戻り、戻ってからもずっと
頭の隅に引っかかり続けていたのだが、

(………………パ ッ ト !!)

 そのことに思い至ったのが、今朝のことだった。
 血の気が引いたが、もう遅い。レフィーナは月に帰り着いた頃だろう。まさかこんな
用事で通信を入れるわけにも行かず、いや入れたとしてもどんな顔をして会えばいいか
わからず、しかし何も言わないのも耐えられず、しこうして彼は一人朝から悶々として
いるのであった。


「それは艦長が悪い」
「軽率でしたね」
「悪い酒ですねえ」
「レフィーナ艦長、傷ついたでしょうねえ」
 一部始終を聞いたハガネクルー達のコメントは容赦なかった。返す言葉も持たない
テツヤはますますめり込んでゆく。
「まあ、レフィーナ艦長の方もひとの頭を揶揄したわけだからな。お互い自業自得ではある」
「あら、そもそも艦長ほんとにパットなんかしてるかわからないわよ? 本人は否定
してたじゃない」
「そりゃ、あんまり大っぴらに認めたいことじゃないだろうしな。ショーン副長の言うことだぜ、
俺は信じる」

「確かめたわけじゃないでしょ。あのレフィーナ艦長が嘘をつくとは思えないなあ」
「確かにそこを確認しないと、話を持っていく方向が掴めんな」
「誰に確認するんだよ」
「ユンさんにでも訊いてみるか?」
「いや無理だろう、絶対」
「レオナ……も怒りそうよね」

(駄目だ……こいつら楽しんでるだけだ————!)

 至極正しい結論にたどり着いたテツヤが絶望しかけたとき、一人事態をよく把握できず、
ために冷静に傍観していたマイが、リオの席で点滅するコールサインに気づいた。
「リオ、長距離通信が入ってる。ヒリュウ改からだ」
「!!」
 場の空気が凍りつく。リオが慌てて向き直ってキーを叩き、
「……暗号化リアルタイム通信を要請しています。艦長、自室でどうぞ」
「…………!」
 何かを飲み下した表情で、テツヤが立ち上がる。無言でブリッジを後にする若き艦長を、
皆は黙って見送った。


 艦長室の小さなディスプレイに現れたのは、予想どおりレフィーナだった。緊張している
ような、こちらを睨みつけているような、硬い表情をしている。覚悟していたとはいえ
腸がきりきりと絞られるような感覚に襲われ、膝頭を握る手に力がこもる。
「……C2暗号化回線確保しました。こちらはハガネ艦長室です」
「ヒリュウ改艦長室です。オノデラ艦長、先日の会議ではお世話になりました」
「は……いえ」
「それで、内密にお話ししたいことがあるのですが。その……あの後のレストランの件で」
 来た。手袋の中にじっとりと汗がわく。しかし、自分がまいてしまった種なのだ。手のひらを
腿に押さえつけ、
「どうぞ。おっしゃってください、レフィーナ艦長」
「はい……実は、ですね」

 ディスプレイの向こうのレフィーナはこちらを睨んだまま、しばらく唇をもじもじと
動かしていたが、やがて意を決したようにぐっと画面に迫り、
「私……本当は、パット入れてるんです。胸に」
「は?」
 かくん、と肘の力が抜けて、あごが落ちた。レフィーナは頬を赤らめて目を下の方へ
向けている。
「ほら、私背も低いし、顔もこんなで、舐められちゃうんですよ。それで、スタイルだけでも
大人っぽくなれば、少しは何というか、箔がつくかなと思って、佐官に任命された時に
着けてみたんですけど……」
「……はぁ……」
「一昨日のオノデラ艦長のお言葉で、目が覚めました。自分に不満があるからって、外見を
糊塗するようなことはすべきでないですね」
「いや……まあ……その」
 どうやらテツヤが考えていたのとはまったく違った方向に、一昨日の話は受け取られて
いたらしい。安堵と脱力感とがどっと襲いかかってきて、へたり込みそうになる己をどうにか
持ちこたえさせ、テツヤはぎごちなく精一杯の笑顔を作る。
「一昨日は言葉が過ぎたと後悔していたところでした。その……その、ようなものなどあっても
なくても、レフィーナ艦長は十分その地位にふさわしい方であると思います」
「ありがとうございます。意気地がなくて、外すことはなかなかできないんですけれど。
とりあえず、信頼できる人に打ち明けることから始めよう、と」
 画面の向こうのレフィーナはますます赤くなり、艦長帽のひさしの陰から片目だけをのぞかせて、
「ですから…………内緒ですよ?」

「ようヒカワ少尉! 頑張ってるな、今日も頼むぞ!」
 整備中、通りがかりにいきなり頭をくしゃっとやられたリョウトは面食らった顔で艦長の背中を
見送り、意気揚々と歩いていったそれがエレベーターの向こうに消えると、隣にいたリオに
小声で訪ねた。
「……何?」
「まあ、いろいろあったみたいだけど、とりあえず解決したみたいよ」
「だから、何が?」
 きょとんとしているリョウトの髪を手櫛でととのえてあげながら、リオは肩をすくめた。
「そうだリョウト君、私、あなたが将来ハゲちゃっても気にしないからね? 隠したりしないでね?」
「???」
 まだ混乱した顔のリョウトに手を振って、リオは小走りにブリッジへと駆け戻っていった。


End

2006年06月28日
 ■  梅雨時のSS

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その78
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1151075767/l50


853 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/06/26(月) 01:44:17 hMCTqYnC

ザー…
アラド「あ〜…暇だな…」
ゼオラ「折角の二人そろっての休みなのに、こう雨が降ってたらね」
アラド「イングもテニアも今哨戒任務だし、こう、部屋でぼーってしているのは性にあわねえよ」
ゼオラ「ふふっ、テニアちゃんやイングみたいにまでは行かないけど、私でよかったらご飯付き合うわよ!アラド!!」

ザー……
アラド「いっただっきまーす!!!モグモグ・・・ガツガツ!!!」
ゼオラ「どう?アラド、美味しい?」
アラド「ふまいほ、ほへほうしたの?(美味いよ、これどうしたの?)」
ゼオラ「冷凍食品、大量に買っちゃったから」
アラド「ふーん・・・ゴックン!・・・久しぶりにゼオラの手作りの味を楽しみたかったんだけどな」
ゼオラ「…えっ…?(////)」
アラド「あ…(///)か、勘違いするなよ!お、オレはただ美味いものばかりじゃなくて偶には・・・そ、その…」
ゼオラ「こ、今度作ってあげるから…(///)」
アラド「お・・・おう・・・(///)」

突然意識してしまい口数が少なくなる二人

ザー………
ゼオラ「…」
アラド「……」
ゼオラ「・・・た、食べ終わったなら食器片付けよう」
アラド「あ・・・ああ・・・そ、そうだな(椅子から立ち上ろうとしたその時、軽くつまづいてしまう)お、おおっ!?」
ゼオラ「あ、アラド!危ない!」

ドシーン…
アラドをかばうゼオラ、しかし勢い余りそのまま床へと倒れこむ二人
アラド「いてて・・・ぜ、ゼオラ、ごめ・・・あっ!?(///)」
ゼオラ「あ・・・アラド・・・(///)」
気づいた時にはゼオラを押し倒すような姿勢になったアラド。


アラド「あ…(ドキドキドキ)」
ゼオラ「…(ドキドキドキドキドキ)」
アラド「ぜ、ゼオラ・・・・(顔を近づける)」
ゼオラ「アラド・・・・(そっと目を瞑る)」
二人「(ドキドキドキドキドキドキドキドキ…)」


ザー………バンッ!!(ドアの開く音)

イング「オリジナルー!こっちは仕事終わったよー!テニアちゃんと飯食べにいこ…あ゙・・・」
アラド「・・・(硬直している)」
ゼオラ「・・・(硬直している)」

イング「ご、ごめん!!そ、その!!う、うわぁぁぁぁん!ちくしょー!!うらやましいよおおおおお!!!」

858 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/06/26(月) 02:26:44 plT/vpKe
>>853
(*´∀`)





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856 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/06/26(月) 02:11:03 z5x8WDPB
>>853
確かに季節ネタに敏感なスレにしては梅雨分が足りないな

シトシトシトシト…
カーラ「毎日毎日、雨雨雨。よくまあこんなに降り続くもんだね」
ユウキ「季節柄仕方あるまい」
カーラ「こう雨ばっかりだと…………踊りたくなってくるよね」
ユウキ「……は?」
カーラ「昔の映画でさ、主人公が雨の中で踊るシーンがあるんだ。
    あたしあの場面が大好きで、子供の頃弟と一緒に真似して雨の中踊っては
    ずぶ濡れになって、母さんに叱られたっけ」
ユウキ「…そうか」
カーラ「こんな話してたら久しぶりに踊りたくなっちゃったな……ねえユウ、付き合ってよ」
ユウキ「無茶を言うな、俺はお前と違って踊りなど…」
カーラ「大丈夫、あたしが教えてあげるから。
    パーッと騒いで、ジメジメした気分ふっ飛ばしちゃおうよ!」
ユウキ「ふ……今回だけだぞ」

久々にウキーラ
こういうカップリングが全く無かったのが昔の萌えスレなんだよな
最近は萌えの嵐が尽きないから困る




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続いてシリアス目のお話

857 :816 :2006/06/26(月) 02:25:02 PZtKqMSB


目の前に広がる倒壊した街
つい一時前まではそこは人々が平穏に暮らす場所であった
倒壊した瓦礫の中からは白い………人の腕………がぼろ切れのようにのぞいている

なぜ私だけが生き残ったの……
瓦礫の中から這い出した少女はそう呟いた

倒壊したビルの中、破片から彼女を守るために父は死んだ
必死に自分を連れて脱出した兄は撃墜された機体の下敷きになって死んだ
意識を取り戻した時は、自分1人だけが、この倒壊した都市に取り残された
辺りからは黒煙が上がり、何所か遠くで何かが爆発するかのような音が聞こえるが少女にはそれすら聞く気力も残っていなかった

その時、彼女の体の上に影が落ちた
天を仰いだ少女が見たものは落下してくるPTの姿だった
落下してきた黒いAM……《リオン》……は少女のすぐ側のビルに激突し、それを追ってきたもう1つの緑色PT……《ゲシュペンスト》……が攻撃を開始する
体制を立て直した《リオン》が放った銃弾が少女のすぐ近くに着弾し、少女はその衝撃で吹き飛び………一瞬意識が遠くなった

少女が再び意識を取り戻した時、既に態勢は決していたようだ
少女の目の前に倒れた《リオン》は右腕部分が破損し、その機体は《ゲシュペンスト》に押さえこまれている
だんだんと混濁していた意識が晴れ、少女は僅かに体を動かし………その時、《リオン》が動いた
逃げようとするも一瞬で少女の体は《リオン》の腕に捕われた
PTの鋼の指が少女の体を強く絞め付け、全身の骨が軋んだ
呻き声を上げる少女の体を掴みながら《リオン》は《ゲシュペンスト》に何かを言っている
それを聞いた《ゲシュペンスト》は《リオン》を押さえこんでいた手を離すとゆっくりと後ろに下がる
《リオン》は少女を掴んだままゆっくりと立ちあがり、《ゲシュペンスト》に向かい合う
またもや《リオン》が《ゲシュペンスト》に何かを言った
………しばしの間の後《ゲシュペンスト》は装備していた銃をゆっくりと地面に置くと後ろに下がる
少女はその時、表情の無い《リオン》が笑ったかのように見えた
再びゆっくりと歩き出した《リオン》は《ゲシュペンスト》が置いた銃を取り、それを破損した右腕で構える
この絶体絶命の状況にもかかわらず《ゲシュペンスト》は動かなかった
《リオン》は片手で構えた銃で《ゲシュペンスト》のコックピットに狙いをつけると引金に指をかけ…………引いた
放たれた銃弾が《ゲシュペンスト》に吸いこまれ・…………爆発する

そこからは少女は覚えていない
気がついた時は何処かのベッドの上だった
診察に来た看護婦らしき人に自分がどうしてここにいるのかと聞いたところ
あの緑色のゲシュペンストのパイロットが私を助けてくれたそうだ
あの時、破損した腕で銃を撃った事で狙いが外れ、コックピットへの直撃を免れたゲシュペンストは爆発に紛れて高速でリオンに接近し
一瞬の隙を突いてその腕で少女を掴んでいたリオンの腕を砕き、少女を救出したのだと言う
話を聞いた少女はその人にお礼が言いたいと言った
看護婦らしき人はそれを聞くと少女に少し待つようにと言い、少しの後に1人の男性を連れて戻ってきた
引き締まった体と、眼光鋭い目、厳格そうな表情だが何処か安心できる、そんな空気を称えた男性だった
少女は包帯だらけの上半身を必死に起こすと男性と向かい合った
恩人を前にした緊張のためか、掠れた声で感謝の気持ちを述べる少女
しかし,疲れと先ほど負った怪我による出血のためか体に力が入らず、ベッドに倒れこんでしまう
男性はそんな少女に笑みを返すと先ほどの看護婦らしき人に声をかけ、二言三言会話を交わすと部屋を出ていこうとした
再び遠くなる意識の中、少女は去り行く男性に必死で名前を聞こうとした
男性は少し戸惑った後に、自らの名を名乗った
少女は意識が無くなる直前に聞いたその名前は永遠に記憶に残ることになる

教導隊隊長・カイ・キタムラの名前は


860 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/06/26(月) 02:29:32 hMCTqYnC
>>857
渋いねぇ・・・おたくまったく渋いよ・・・
普通にカッコイイカイは久々にみた。


865 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/06/26(月) 02:52:07 Najov1Gy
少女「少女、ビル、ゲシュペンストと来たらお兄ちゃんを連想するよね!」
ギリアム「もう誰も覚えてはいないさ」


866 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/06/26(月) 02:59:16 WX705Ryz
>>865
大丈夫、俺みたく最近ヒロ戦知ってそのシーンを実際に見てみたいって人もいるんだから


867 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/06/26(月) 02:59:44 vjiSySMD
ギリちゃん「あの頃は若かった…」
ヴィレッタ「貴方、年とらないんじゃないの?」




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873 :840 :2006/06/26(月) 03:45:52 2jCin02s
伊豆基地
ハガネ、ヒリュウ改…ドック入り中


トウマ「…どうしたんだ?統夜?」
統夜「トウマさん…実は…カティアとテニアが喧嘩しちゃって…」
トウマ「珍しいな、なんで」
統夜「最初は些細な事だったんですが…どんどん…」
トウマ「ま、喧嘩なんてそんなもんだよな…コーヒー飲むか?」
統夜「あ、すいません。でもこんなの初めてで…」
トウマ「噂をすれば影か…」

カティア「ついてこないでくれる…」
テニア「カティアが邪魔なんだよ」
メルア「喧嘩は止めて下さい〜」

トウマ「うわ…ぎすぎすしてるな」
統夜「でしょう…正直疲れます…」
ミナキ「トウマ〜大雷鳳のチェックお願い〜」
トウマ「〜了解、ま、こういうのは一緒に飯でも食べれば解決するさ」
統夜「そんなものですか?」
トウマ「そんなもんだよ、じゃあな」
統夜「ハァ…コーヒーも苦い…」


ジュア=ム「見つけたぜ!殺す!」


エイタ「!フューリー軍接近中!」
テツヤ「…気付くのが遅れただとマズイ!」
エイタ「今出れる機体は…スクランブル!繰り返す!スクランブル!」

トウマ「俺が先に出る!」
ミナキ「待って!大雷鳳はまだ調整中…」
トウマ「神雷が撃てない程度だろ…大丈夫俺は仲間を信じてる!」

統夜「トウマさんが一人で?相手はフューリーでしょ」
カルヴィナ「無茶苦茶ね!メルア出るわよ!」
メルア「はい!B・ブリガンディですね!」
統夜「待って下さい!カルヴィナさんは基地の護衛をお願いします…
  カティア!テニア!二人とも来い!G・ドラコデウスで行く!」
カティア「嫌です!テニアとなんか」
テニア「こっちの台詞だね!」

統夜「いい加減にしろ!トウマさんが危険なんだぞ!  喧嘩なんかしてる場合かよ!」
カルヴィナ「統夜の言う通りだ…」
ミナキ「トウマは言ってました…仲間を信じてるって…」
テニア「仲間…」
カティア「信じる………行くわよテニア!」
テニア「うん!統夜ぐずぐずしない!」
メルア「カティアちゃん、テニアちゃん…がんばって」
カルヴィナ「私達もいくぞ!」
メルア「はい!」

トウマ「外道!お前達はここから先には行かさん!」
ジュア=ム「外道?結構なことだ、勝てばいいんだよ…勝・て・ば」
トウマ「黙れ!燃え上が…」
ジュア=ム「サイトロン起動っと、黙るのはソッチだってえのバーカ」
トウマ「………」
ジュア=ム「ほらほらほらほら!」
トウマ「………」
ジュア=ム「ちっ、悲鳴が聞けないのがつまらんな…トドメだ死ね…」
トウマ「…無念無想の境地に至れば、睡眼に醒…ってな!」

ジュア=ム「なにっ!サイトロンが…」
トウマ「来たか…統夜」
統夜「トウマさん無事ですか?」
トウマ「サイトロン切れると、一気ダメージがくるなコレ」
カティア「大丈夫そうですね…」
テニア「心配かけさせないでよね!」
トウマ「すまない…そっちも片付いたみたいだな」
統夜「トウマさんのおかげです」
トウマ「…俺の?」

ジュア=ム「ちっ、雲行きが怪しくなってきやがった」
テニア「逃げるよ!」
トウマ「っと!お釣りを持ってけよ、お客さん!
   プラズマビュート展開!」
ジュア=ム「くそがあ!」トウマ「今だ統夜!」
統夜「カティア!テニア!」
カティア「シーカー作動!」
テニア「標的ロック!」
統夜「インフィニティキャリバー!行けええ!」

ミナキ「トウマ!もうこんな無茶はしないでよ!」
トウマ「すまない…ミナキ」
カティア「まあまあミナキさん」
テニア「トウマも良かれと思ってやって結果オーライだった」
カティア「それに私達は」
カティア、テニア「「仲間!」」
メルア「わたしも〜」
テニア「もちろん!」

この方は入院中携帯でこのSSを投稿してくださりました。お疲れ様です


881 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/06/26(月) 05:00:27 JbrQfAbq
ユキコ「入院中にそんな夜更かししてちゃめー、ですよ?」


882 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/06/26(月) 05:24:41 BZ39HK9b
フィリオ「あなたがそれを言いますか」


2006年06月25日
 ■  「りゅうせいが じゃのめで おむかい うれしいな」

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その78
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1151075767/l50

9x+HRqsr氏作


ラトゥーニとマイは非常に困っていた。
二人で今年の夏にむけて水着を買いに来た帰りのことだった。
基地に歩いて帰る途中に激しい夕立に見舞われ公園の東屋へと避難していた。

雨脚は一向に弱まる気配を見せない。
二人とも出かけた際に天気が良かったからと傘を持ってきていなかったのが敗因だった。
マイ「ラトゥーニ、基地まで走ってどれぐらい掛かる?」
濡れた髪を振って水気を払いながらマイが聞く、
ラト「頑張っても15分以上掛かるわ」
ラトゥーニもハンカチで水気を払いながら冷静に答える。
雨が止むまで東屋で待つしかなかった。

マイ「そういえばラトゥーニはどんな水着を買ったんだ?」
暇なのかマイがラトゥーニの水着の入った袋に興味を向けた。
ラト「私は、青いワンピース・・」
マイ「へぇ〜。・・・でも、ラトはガーネットさんから水着送ってもらったんじゃ?」
ラトゥーニの袋をあけ水着を見ながら何の気なしのマイが聞いた。
ラト「あれは・・・・・サイズがorz」
マイ「・・・ごめん」
軽く鬱にはいったラトに謝った。

???「お?二人ともそんなとこで雨宿りか?」
二人でそろって東屋のベンチに座り話しをしてると、背後から知っている人物の声がした。
マイ「リュウ!」
ラト「リュウセイ」
振り返るとそこには片手に買い物袋を下げ、もう片手に傘をさしたリュウセイの姿があった。

相合傘という古き良き時代の慣習(?)に対して、
今このとき新しくできたであろう新西暦の慣習 相合々傘
それは一つの傘に三人が入って歩くという偉業だった。

リュウ「二人とも歩きづらいかもしれないけど我慢してくれよ」
一つの傘に3人も入れば完全に密着状態となり歩きづらい、
しかも、ラトゥーニとマイを濡れないように傘を持つとどうしてもリュウセイの背中が濡れてしまうが、
リュウセイは文句を言うどころか二人を心配しながら基地まで二人の傘をさし続けた。
ラト・マイ「////////(赤面)」
二人は二人で何時に無くリュウセイと密着でき、それどころではなかった。

基地に三人がたどり着いたとき雨がやみ、虹が掛かっていたのを二人が覚えていないくらいに。


_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

   _    
  ,")) ハ)ヘ  
 シノ,ノ^〉),)  リュウ、梅雨時だからてるてる坊主作るの手伝ってくれる?
  'ヽ ゚ ー゚ノ'  


 
 


   , -__ヽ|ノ 
  <;;;;;;;ノノハヽ  OK、アヤ
   .ヾ ´∀ノ  


 
 
 
 

     ||
     ||   
   , -__ヽ|ノ 
  <;;;;;;;ノノハヽ 
   .ヾ ´∀ノ    あれ?
   ミ‖‖‖j  
   ミ‖‖‖j
   ミ‖‖‖j
    ヽ)ヽ)


萌えスレに参加出来ないからムラムラしてやった、反省している

2006年06月24日
 ■  新生教導隊 雨天ミッション

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その77
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1150803082/l50

極東方面 伊豆基地

アラド「雨ばっかりで嫌っすね」
整備ハンガーの出口から外を見ると前日から降り続ける雨に、
海からの風が加わり嵐が近づいてきているのが分かる。
ゼオラ「文句言ってないでMk−Ⅱに乗りなさいよ」
アラド「分かったから、ハンガー内で機外スピーカー使うなよ。」
青く塗装された量産型ヒュッケバインMk−Ⅱに乗った相方のゼオラに急かされ、
自分もコックピットに向かう。整備員達が二人のやりとりを笑いながら見ている。

地球へと向かってくる白い魔星シュテルン・レジセイアとの決戦の後、
カイ少佐に誘われてゼオラと共に特殊戦技教導隊に配属されたものの、
旧教導隊のような化け物揃いのパイロットというよりかつて敵であった自分たちを、
カイ少佐なりに庇うための措置だったとアラドは薄々感じている。

ラミア「今回の内容は悪天候時における戦闘機動のデータ採取だ」
自機の起動を済ませ機体を歩かせていると、
すでにハンガーの外で待機しているラミアのガーリオンから通信が来る。
ラト「こんな嵐の時に戦闘起動ですか?」
ラミア「そうだ。ここの基地の指令から命令だ。
    このエリアは年に何回か台風と呼ばれる嵐がくるのでそれを利用してデータ採取をしろ。との事だ」
アラド「(・・・あの禿げ茶瓶。カイ少佐が居ないのを良いことに無茶言うぜ)」
新教導隊の風当たりはあまり良くない。何せ、構成メンバーはカイ少佐以外女子供、
連邦の汚点とも言うべきスクール出身が3人、
うち二人は元ノイエDC。もう一人もシャドウミラーの人造人間である。
カイ少佐も顔にこそ出さないが苦労していることは分かる。


量産型ヒュッケ青+ラミア専用ガーリオン


ラトの攻撃を間一髪で避け反撃のために模擬弾の装填されたGリボルバーを撃つ、
ラト「アラド、今回の装備ってまさか?」
先程からGリボルバー以外にブーステッド・ライフル、ナイフと
実にあの機体そっくりな装備で模擬戦に挑むアラドにラトも気づいたようだ。
アラド「リョウセイ少尉からR−1のデータを借りてやってみたんだけどダメか?」
ラト「いいえ、・・・でもやっぱりアラドには向いてないんじゃない?」
アラド「やっぱりか・・・orz」
アラドの戦い方からすればライフルは持つだけ無駄に近かった。ナイフも小さい為振り回してもあまり怖くない。
それよりもラトにしてみれば、憧れの人と戦っている錯覚に陥ってしまう。(実力は違いすぎるが

突然の突風に機体が煽られる

アラド「うぉっ!?」
かろうじて滑走路に這い蹲る形で着地し転倒から免れるがゼオラの乗った機体は、突風に流され制御不能に陥っていた。
ラミア「ゼオラっ!?」
ラミアのガーリオンがヒュッケバインを掴もうとしたが機体が軽い分制御に手間取り掴み損ねた。
ゼオラ「アラドーっ!」

ゼオラのヒュッケバインの飛ばされる先には露出した岩盤がある、
ぶつかれば確実に無事では済みそうにない、
制御不能のままヒュッケバインは岩盤に向かっていく、
アラドは自分がそれらをやけに冷めた目を見ているのを自覚した。


伊豆基地周辺に風の音に負けぬほど、機械の叩きつけられる音が響いた


アラド「いやぁ〜、死ぬかと思ったっす」
伊豆基地の医務室のベッドに運ばれたアラドは怪我ひとつなく答えた。
ゼオラ「アラドの馬鹿っ!あんな無茶ばっかりして!」
隣のベッドでは怪我ひとつないゼオラが怒っている。
ラミア「あそこで無茶な事をして無傷とは、カイ少佐も目をつけていたのだろうな」
ラト「アラドの機体完全に潰れてたのに怪我がないって・・・」
3人の言う無茶のこととは簡単だった。
岩盤と制御不能に陥ったゼオラ機との間に、限界無視のブーストを掛けて強引に割り込みゼオラ機をキャッチ、
そのままクッションとなって岩盤に激突したのである。
アラドの機体は岩盤とゼオラ機に挟まれ大破。一時はアラド死亡かと思われたが、類まれなる運のお陰で無事であった。

ラミア「私とラトゥーニは始末書を書かなければならんから失礼するぞ」
ラミアとラトが今回の一件についての始末書を書きに医務室から出て行った。
途端に静かになり隣のベッドからの視線が怖くなる。
ゼオラ「アラドの馬鹿馬鹿突撃馬鹿!死んじゃったらどうするのよ!」
アラド「いゃだって、あそこで俺行かなかったらお前が・・・」
アラドの弁解もゼオラの容赦無い抗議によって消される。

その翌日、無事退院(?)したアラドの部屋に、
かなり大きめに作られたケーキが置かれていて、一人じゃ食べ切れそうになく困ったのは別の話し。


2006年06月23日
 ■  なんか長めの毒電波 by mCLJAzSu氏

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その77
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1150803082/l50

153 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/06/21(水) 00:53:13 mCLJAzSu

リュウセイ「う〜む・・・・。」
ブリット 「なんだリュウセイ、難しい顔をしてって、ええっ!!!」


リュウセイ「う〜む・・・。」
ブリット 「むぅ・・・・。」
リョウト 「どうしたの?ふたりとも深刻な顔して。」
リュウセイ「いや、ちょっとここに女性下着のパンフレットがあってな・・。」
リョウト 「ええっ!!リュウセイってそっちのけがあったの!?どうりで・・。」
リュウセイ「ちょっと待て!俺にそんな趣味はない!ってか、どうりでってどうゆう意味だよ。」
リョウト 「いや、だっていつも女の子の話よりスーパーロボットとかバーニングPTの話のほうが
     楽しそうなんで、てっきりそっちほうのには興味がないものかと・・・・。」
リュウセイ「・・・いや、俺だって男だから普通にかわいい娘とか美人のお姉さんとか好きだぞ。
     ただ、そういうモンに縁が無いだけだ。」
リョウト 「・・・。」
ブリット 「・・・。」
リョウト 「・・・まぁそこんとこは置いておいて、で、女性下着のパンフレットがどうしたの?」
リュウセイ「いやぁな、なんでこんなにするものかと・・・。
     この値段ならこの前買い逃した『完全限定版超合金 完全変形合体 
     超合体魔術ロボ ギンガイザー 超常スマッシュフルセット』が買えるのに、と・・・。」
リョウト 「・・・・。
     ブリットも?」
ブリット 「あぁ、この金額ならこの前出ていた
     『完全限定生産 備前長船左衛門尉長光(レプリカ)』のローンの頭金とか、
     クスハへのプレゼントが買えるのにな、と・・・。」
リョウト 「・・・・・・。
     まぁともかく、たしかに結構するねコレ、普通のに比べてかなり値が張ってるけど・・・。」
リュウセイ「って、知ってるのか!?男なのに女物の下着の値段なんて!!」
リョウト 「・・・末っ子で長男ってのも大変なんだ・・・・・・。」(なんか遠い目)
リュウセイ「一人っ子なんで良くは解らんが大変なんだな、弟って。」
ブリット 「うらやましい気もするが是非辞退したいポジションだな。」


タスク  「よぉ!集まって何はなしてんだって、お、リョウト!?自分のか 」

(バキ!)

リョウト 「・・・なんだって?」
タスク  「ソノジョセイモノシタギノパンフレット、リオサンヘノプレゼントエラビカナニカデスカ。」
リュウセイ(やっぱ怒らせちゃいけないタイプだよな。)
ブリット (そうだな。)
リョウト 「タスク、もしかしてレオナさんにそんなプレゼント贈ったとか?」
タスク  「いや、いくら俺でも女の子にやっちゃいけないジョークくらい弁えてる。
     まぁ一度は検討してパンフレット取り寄せなんてしてみたことはあるがな。」
ブリット 「いや、するなよそんなこと。」
タスク  「しかしブリット、おまえ随分免疫が出来たんだなぁ。
     ちょっと前までこんな写真見ただけ辺り一面鼻血で血の海に・・・。」
ブリット 「おい!そいつはいくら何でも言いすぎだぞ!!」
タスク  「わりぃわりぃ、
      しかしホント高いなこれ、え〜と、
      『この下着を正しく身に付けるだけで、
       バストサイズ一回りアップ、ウエストサイズを一回りダウン
       しかも長期に渡り使用を続けることにより
       カップをワンランク上げることも夢では、、、』
       ってなんじゃコレ!?うさんくせぇ〜!」
ユウキ 「ちょうどいい、スマンが奥から古い茶葉が見つかってな、
      だが、なかなか良い葉で捨てるものなんだから片付けるのを手伝って・・・。
      なにを騒いでいるんだ?」
タスク  「いやぁな、なんかエラク胡散臭いパンフレットがあってなぁ 」
ユウキ  「どれ、ん?確かこの会社は・・・・。」
リョウト  「知ってるの?ユウキ。」
ユウキ  「いや、少し前カーラの読んでいた雑誌に虚偽、誇大広告で大規模な捕り物があったと載っていてな、
     確かその広告を出した企業名はたしかこのパンフレットに載ってる企業のはずだ。」
タスク  「な〜んだ、やっぱバッタモンか。
      しかしこんなモンに引っかかる奴って多いのかねぇ。」
ユウキ  「まぁ女性にとってスタイルの向上というものは永遠の課題である、
      とおばあさまも言っていた。
      楽してそれが手に入る、
      となれば少々金が掛かっても構わないと考えてもおかしくはあるまい。」
ブリット 「そういえば、これって誰のなんだろう?」
リュウセイ「あぁ、そういえばマイとラトゥーニがいたみたいだけど・・・・。」

(((((ピク)))))


   _    
  ,")) ハ)ヘ  
 シノ,ノ^〉),)
  'ヽ ゚ ー゚ノ'  


簀巻きAA×5 略

タスク「なぁ」
リョウト「何?」
タスク「なんでこんな事になってんだ?」
リョウト「さぁ?」
ブリット「おまえ、なんか慣れてるな。」
リュウセイ「よくわからんが最近何故か気付くとこうなってることが多いんでな。」
ユウキ「なんで俺まで・・・・。」


155 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/06/21(水) 00:54:21 Cym8110c
欲しい物が微妙すぎるw


156 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/06/21(水) 01:00:26 fEtZ3dp6
ブリットには波外道だな


163 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/06/21(水) 02:02:14 ZgwF1cqz
>>153-154
 俺としてはその5人でネタ書いた時点で十分GJと言うに値するぜ

野郎5人組って、何か良いよな。リアルならドリフターズやTOKIO
フィクションなら奇面組やサムライトルーパーとかさ。


164 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/06/21(水) 02:07:40 oGIipQ3z
俺も、面白かったし>153-154にGJを言っておこう
どいつもちゃんと性格出てる所が素晴らしい

173 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/06/21(水) 09:32:20 FKgHiDkM
>>153
普通に面白かった乙
2〜3スレくらいで終わる短めのSSは読みたいね


174 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/06/21(水) 09:49:26 b/wmXqo4
2〜3スレも続くなんて超大作のSSだな

1スレ(スレッド)=1000レス(レスポンス)

というわけで2〜3レスのSSを書いてくれる人募集w

2006年06月18日
 ■  シャイン王女 返り咲き

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その76
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1150462395/l50


19 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/06/16(金) 23:03:46 4Da70v4h
流れぶった切って影の薄い社員王女支援SS投下いいですかね?


21 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/06/16(金) 23:08:04 4Da70v4h
稚拙な文体ですが勘弁を


シャイン王女は現在狭く暗いトレーニングルームの用具箱の中に隠れていた。
壁一枚隔てた向こうの通路を誰かが走っていく音が近づいてくる度に、
冷や汗が流れ足音が遠のけば安堵のため息を吐く連続であった。

なぜ王女である彼女がこんな状況下にあるのかと言えば・・・

カイ少佐により本日の訓練の内容はクロガネ艦内を使っての隠れんぼだった。
参加させられているメンバーは、アラド・ラトゥーニ・マイそして王女自身の4人である。
カイ少佐曰く隠れんぼをすることにより戦闘時に敵から姿を隠す練習になる!らしいのだが、
子供が戦場に出ているという事態にカイ少佐なりに息抜きを与えてくれているのかもしれない。

しかし、一応は訓練なのでアラドには15kg、ラトゥーニ8kg、マイ6kずつ
重りをつけて行っている。もちろんシャイン王女も例外なくマイと同じ重さをつけている。

「・・・・暑い」
狭い用具箱に30分以上も隠れていると流石に蒸し暑くなってくる
訓練時用に来ているジャージも汗でベトついている
先程から何度も用具箱を出て別の場所へ隠れようと思っているのだが
その度に生まれついての予知能力が危険と訴えており動くに動けなかった
「(こんな汗臭い姿をライディ様に見られたらなんて思われるのかしら?)」
ジャージから微妙に臭ってくる汗の香りが鼻に入ってくる
「(やっぱり嫌われる? いいえ、ライディ様はきっと優しく微笑みかけて、
 私を抱き上げてシャワーへ連れて行って、そして・・・そして・・・)」
人間孤独になると叶わぬ妄想を見始める。


    シュィィィィィィィィン

トレーニングルームの扉が開き誰かが入ってくる気配に、妄想の海へダイブしていた。
王女も現実へと戻って物音を立てぬようにし、小さく開いた用具箱の隙間から、
トレーニングルームの様子を見た
入ってきたのは憧れのライディ様の直接の上官にあたるヴィレッタという女性パイロットだった。
彼女は入ってきて早々に片手腕立て伏せを始めた。
ヴィレッタ「シッ シッ シッ シッ」
細身の体と同じ細い片腕だけで腕立て伏せをする姿にシャインは尊敬の念を抱く、
「(ラトゥーニの腕立て伏せも凄いと思ってましたけど、上には上がいるものですのね)」
10回もできずに力尽きるシャインからしてみれば、片手でやるなど雲の上の存在のように見えてしまう。
「(それにしても・・・・)」
片手腕立て伏せを見ているだけのつもりだったのだが、
どうしても先程からチラチラをタンクトップの隙間から胸の谷間が見えてしまう。
「(大人の女性ですのね・・)」
自分の胸をジャージの襟を少し引っ張って確認するが到底、谷間と呼ぶには程遠い状況だった。
「orz」
軽く鬱になっている間にヴィレッタはトレーニングを終え部屋の外へと消えていった。
「そろそろ出ても大丈夫かしら?」
特に予知能力が何も訴えてこなかったため用具箱から出て新鮮な空気を吸いながら、
次はどこに隠れようかと思案していると、予知能力が危険を知らせてきた。


トレーニングルームに入ってきたギリアムは、シャインの隠れている用具箱に背中を着けると
「ODE(お姫様、出てくると、えらい目に会いますよ)システムだ」
と一言言うと彼はトレーニングルームから出て行った。

「(ODEシステムってなんのことでしょう?)」
ギリアムが居なくなり再び用具箱から出たシャインは冷や汗をレースのハンカチで拭きながら、
通路へと出ると次の隠れる場所を探すため歩き始めた。

???「王女見〜っけ!」
突如背後から聞こえた馴染みのある声に王女が振り返ると、
案の定通路の奥のほうからアラドが走って来ていた
シャインも全力で逃げるのだが、6kgの重りのせいで何時もより早く動けない
追うアラドは倍以上の15kgの重りを着けて走っているのだが、流石男の子と言うべきか
それとも腐ってもスクール出と言うべきが確実にシャインとの差を縮めてきている
「(次の角を曲がれば・・・)」
予知能力が告げるとおりに通路を曲がり休憩室の観葉植物の陰に急いで隠れてから数秒もせぬうちに、
すぐ脇をアラドが駆け抜けていった。少しでも遅れていたら捕まっていただろう。

全力で走ったため用具箱内の暑さ以上に汗が噴き出したのでポケットに手を入れハンカチを探す、
・・・・の、だが
「・・・無い」
反対側のポケットに手を入れてみるが食べ終えた飴の包み紙と、
小銭の入った財布しかなかった。
「逃げているうちに落としてしまったのかしら?」
途端に不安になり走ってきた通路を戻り探すがどこにも無い


他人から見ればただのハンカチかもしれないが、
シャインにとっては国に居た時に侍女に教えてもらい自分で作ったレースのハンカチである。
大切な物であることに代わりはない。
肩を落としトボトボを歩いていた時であった。
「ライディ様?」
目の前を憧れのライディ様が歩いていた。しかも、手には見覚えのあるハンカチを持って。

ライ「先程そこの通路で拾ったのですが、シャイン王女の物だったのですか」
シャインはライに事情を話しハンカチを返してもらい、拾ってもらったお礼にと休憩室でライに
お茶(緑茶缶)をご馳走していた。
「自分で作った物でしたので無くなって不安でしたが、
 ライディ様に拾っていただけて幸せですわ」
用具箱に閉じこもってたり全力で艦内を逃げ回った後とは、
思えぬほど幸せに満ち満ちた顔でライと話し合うシャイン。

何時もならあまり話しかける機会のないライと話すことができ、
ここしばらく続いた辛いことを忘れることができたシャインであった。


もっとも、楽しいお茶会も5分とたたないうちに、
アラドに捕まって鬼になったマイに追いかけられて終了したのは別の話し。


   初SSなんでお目汚しになってたらマヂですみません

26 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/06/16(金) 23:20:58 /NYUMbNf
>>21
いいと思いますぜ。

正直面白いし、シャイン王女がかわいらしくてグッジョブ


28 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/06/16(金) 23:27:26 NvE0wSZc
>>24
王女可愛いよ王女


_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

 良質のSSに和んでいる萌えスレ住人にトラウマなネタが!?


29 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/06/16(金) 23:28:39 e1kaLyri
シャイン「R-2より・・・はやーい!」


30 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/06/16(金) 23:30:42 /NYUMbNf
やめろーその王女だけはやめるんだー


31 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/06/16(金) 23:30:57 b0WZqoCL
>>29
トラウマ蘇ったんで、教会を雷攻撃で叩き潰しに行ってくる


32 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/06/16(金) 23:31:29 8BrhHkis
完璧親父「よーしパパ世界を合体させちゃうぞー」


33 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/06/16(金) 23:34:12 Yrs8YyQy
>>29
□社のSFCソフトのアレに出てくるヒロインの事かー!
トラウマシャドーなんだよあれ、未だに(´Д⊂ヽ

ところで、OGキャラがトラウマシャドーにかかったら何が見えると思う?


34 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/06/16(金) 23:34:21 8BrhHkis
>>29
ラト「リュウ!まってたんだよ!」


37 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/06/16(金) 23:42:53 AL38b7fZ
アーチボルト「地獄で俺に詫び続けろライディースゥゥゥゥ」

39 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/06/16(金) 23:45:03 e1kaLyri
シャイン「ハガネの仲間達!みなさんもちからを!」
「私に力を!強さをください!」

シャイン「ライディース様……あなたも……お願い……」
「私、ライディース様には嫌われてる……」
「私がいることで、ライディース様をいやな気分にさせてしまう……」
「それは分かってるの……」
「でも……ライディース様」
「貴方はやっぱりわたしの大切な人なの」

シャイン「いまだけでもいいの……わたしに……強さを!」
「あの頃のように!」

シャイン「ねえ、ライディース様……もっとつよく、つかまってもいい?」
ライ「……」
シャイン「もう……つかまっちゃった……」


42 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/06/16(金) 23:49:30 hAgCGGN3
カイ「ふー・・・エルマ、お前の入れたコーヒーが飲みたいな・・・」

エルマ「は、はい!!」

カイ「ああ、確かに苦い・・・だが、今はこの味が最高だ・・・」


44 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/06/16(金) 23:56:19 hVo1IS1U
ザンエル「ねんがんの 4つのカプセルを てにれたぞ!」
ロア「殺してでも奪い取る。」
ザンエル「なにをする きさまらー!」


45 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/06/16(金) 23:56:24 RDdWqlaM
>>37
トロンベ=オルステッド
ライ=ストレイボウ
カトライア=アリシア
で行けそうな気もしたけど
行っちゃいけない気がする


46 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/06/17(土) 00:00:21 eho9pxWz
スレイ「く・・・そ・・・はかったな・・・・タカクラー」


47 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/06/17(土) 00:01:41 29DQA3sg
ショーン「ライのおしり・・・とってもまろやか・・・」


48 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/06/17(土) 00:02:17 Kr+Bi5V0
ブリキ大王=コンパチカイザーはガチだな。

スーファミ◆ゲームは名作結構ありましたよね。ライブ・ア・ライブ宇宙編はトイレに行けなくなった

51 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/06/17(土) 00:02:57 eho9pxWz
アイビスは大人になった!
スレイは大人になった!
ツグミはもう大人だった!

55 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/06/17(土) 00:10:29 EkSkprSo
◆リュウセイはPK念動爆砕剣γをとなえた!!
 暗脳に960のダメージ!!
◆マイはPKスターストームαをとなえた!
 暗脳に968のダメージ!!
◆ライはトロニウムロケット20を発射した!
SMAAAAAAAAAAAASH!
 暗脳に2500のダメージ!
YOU WIN!

◆リュウセイたちは3000のけいけんちをてにいれた!

2006年03月20日
 ■  アラドのホワイトデー

419 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/03/20(月) 01:53:49 GLfNiqFO
OG3期待でヘンな電波受信したので書いてみた
Dキャラでてるんでダメな人はスルーで。

場所は滅多に人も通らない艦橋通路のはずれ。

「どうすっかなぁ…」
すっかり暗くなった外を窓ごしに眺めながら、困り顔で呟いたのはまだ幼さを残す少年。
誰に聞かせるわけでもない独り言は再び彼の口をついて出た
「どうすっかなぁ…」

「困りごとか」
「うわ、だ、誰?」

気配も感じなかったのに背後から声をかけられて慌てる少年。
「私だ、アラド・バランガ」
「ラキさんッスか。まったく気配に気付かなかったんでびっくりしたッスよ」

音もたてずそこまで近づいていたのは、長身で細身で色素の薄い女、グラキエース。
皆からラキと呼ばれる彼女は、人ではない。
無遠慮にアラドの慌てた仕草を観察し、そのしばらく顔をまじまじと見つめたラキは暫く考えて口を開いた。
「おなかがすいた、という困りごとではないようだな」
「俺も年がら年中ハラペコって訳じゃないッスよ!。まぁでも今目の前に何かあったら食いますがー」

食欲旺盛なことだ、とラキは軽く笑う。
その邪気のない笑みにつられ、暫く会話を続けてみようとアラドは今の悩みの種を相談してみることにした。

「ラキさん、ちょっと聞いていいッスか」
「何か。解決はできないかもしれんが話ぐらいならいくらでも聞くぞ」

「ホワイトデーって、なに貰ったら女の人って嬉しいもんですかね?」

「…それはバレンタインのお返しというイベントの事だな。もう過ぎたと記憶している」
「実はその日、食い放題とか肉特売セールとかあってゼオラと逢えなくて。それからずっとアイツおかんむりなんスよー」
「女の人、という一般論は私にはわからないな。ホワイトデーの経験がそもそも少ない」
「ラキさんは何もらったんス?」
「私はジョシュアから特製のケーキとココアを貰ったな。嬉しかった」
「ジョッシュさん料理うまいッスからねぇ」
「味ではない。ジョシュアが私を特別扱いしてくれるというその行為と感情を感じられるのがなにより嬉しいのだ」

無論ケーキは美味かったが、とラキは続けた。
グラキエースとジョッシュはシュンパティアというシステムで精神がリンクしており、喜怒哀楽や感情の変化が連動して相手にも伝わるという。
それって、どんなカンジなのかな、とアラドは思った。

俺とゼオラにもそういうシステムあればゼオラにもちゃんと反省してるというということは伝わるんじゃないだろうか。
流石に今回はマズった。ゼオラ本気で怒ってたもんなー。

「む」
「どうしたんスか?」

「ジョシュアが困っているようだ。…加えて、微妙な嬉しさと恥ずかしさも感じるな、何事だ」
「なんッスかね、探します?」
「手伝ってもらえると助かる」

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

探し人であるジョッシュは休憩室にいた。女と2人で。
困り顔のジョッシュに後ろから抱きつくようにくっついているのはエクセレン・ブロウニング。
髪や頬に手を伸ばしてジョッシュをいじって遊んでいる。

「な、なにやってんスか2人で!」
「ジョシュア、なにをしている」
「ああ…ラキ、アラド、エクセレン少尉に俺から離れるように言ってくれないか」
「んもうジョッシュ君ったらイケズねぇ。こんな綺麗なお姉さんを無理やり引き剥がそうなんて」

冗談めかしてけらけらと笑うエクセレンはただのスキンシップのつもりらしい。
手荒にエクセレンを引き剥がさないのはそれがかえって行動を煽るとわかっているからか、彼独自の処世術なのか。

「エクセレンはなぜジョシュアに触れているのだ」
「興味よ、興味。朴訥で男らしいのに意外と世話焼きで、ジョッシュ君ってうちのダーリンと通じるじゃない?髪質も近いのよ〜」
「分の悪い賭けはしないとか全然違うじゃないッスか」
「細かいことを気にしてるとゴジラみたいにおっきくなれないわよアラド君」
「なりたくないッス!」
あら胸囲もおなじぐらいね、とジョッシュの胸に手を回すエクセレン。
それを見たグラキエースの目がキツくなる。

「…なんだ、このもやもやした嫌な感覚は」
「ラキに負の感情がでてる。いい加減離れてください」
「あららラキちゃんジェラシー?ごめんしてね」

ジョッシュから身を離し、こんどはふわりとグラキエースの傍に座る。
優しく謝りながら頭を撫でるエクセレンと、されるがままのグラキエース。人に触れるのが好きなようだ。
「エクセレン、ジェラシーとはなんだ」
「わぉ、知らないの?」
「私は闘いに関わる以外の感情を知ったのはジョシュアと一緒になってからだ。説明してくれると助かる」
「ん〜、そうねぇ、ジェラシーとは愛し合う男と女のー」
「ダイレクトな描写は刺激強いッスよ」
「申し訳ないが簡潔に正確に説明してもらえますか」

平然とセクハラトークに持っていこうとするエクセレンを牽制する。
たしかに世間知らずの極みであるグラキエースは天然を上回る純粋培養だ。
間違ったことを教えられてもなんの疑念もさしはさまず鵜呑みにするだろう。
いろいろ大変そうッスね、と声をかけるアラドに対し、そうでもないさ、と答えるジョッシュ。
そんなやり取りの間にエクセレンの正しいジェラシー講座は終わったようだ。

「なるほど、理解した」
「ラキちゃんとジョッシュ君みたいにお互いの感情がわかれば恋人同士なんてうまーくいくのにね」
「エクセレンはキョウスケの気持ちを信用していないのか」
「信用してないって訳じゃないけど…ときどき不安になるのよ。私がこんなに愛してるのに彼、何も言ってくれないから」
「エクセレン少尉は愛情表現に歯止めがないだけだと思うっス」
「ダーリンは照れ屋さんだからあまり口にしてくれないのよね〜。分かっていても言って欲しいものなのよ、確認だもの」
「はぁ、そんなもんなんッスか」
「ダメねぇボウヤ達。気恥ずかしさを堪えて言ってくれるから、なおさら嬉しいものなのよん」
「…俺はキョウスケ中尉に同調しますよ」

突如、グラキエースが立ち上がってジョッシュに歩み寄った。
「好きだぞ、ジョシュア」
「…突然どうした、ラキ」
「わぉ、ラキちゃん攻めモード?」
「私はお前が好きだ。お前は私をどう思っている」
「俺の気持ちはリンクしてるから分かるし知ってもいるだろう。なんで突然そんな事を聞く」
「感覚も感情も分かる。だが聞きたい。どうなのだ、ジョシュア」
「…こんな衆人の前で言わせる気か、勘弁してくれ」

グラキエースにつめよられ、額に手を当てて顔をそらすもその手をとられ、顔を向き合わせられるジョッシュ。
急展開の事態に驚いてどうしていいか分からないアラドと瞳を耀かせてウォッチモードのエクセレン。

「言ってはくれない、のか」
グラキエースは口を閉ざしたジョッシュに希望の言葉をかけてもらえず、失望した態でうなだれる。
「私がお前をこんなに想っているというのに」
かみしめたような声で胸に頭をよせ、耐えるようにシャツを握ってくる姿についに恋人は陥落した。

「…悪かったよ、俺はお前が好きだし、いつもお前の事を想っている。だからそんな負の感情を持つな」
「…そうか、聞けて安心した。嬉しいものだな。これ以上ないぐらい幸せな感情が湧く」

いい空気の2人を感心しながら眺める2人の聴衆。
「意外とオトシ上手なのねぇラキちゃん。お姉さん感心しちゃうわん」
「見ててちょっと感動したッス」
「お前の言うとおりだなエクセレン。ジョシュアの気持ちは分かっていたが、言葉で聞けてこれほど嬉しいものとは思わなかった」

ラキはそう言って幸せそうに恋人に身を委たまま、その顔をゆるくアラドにむけた。
「アラド、言葉だ」
「へ?」

唐突に話題の中心を自分に振られ、なんの事かまったく頭がついていってない。
「ゼオラへのホワイトデーのお返しを考えていたのだろう」
「あ、ああ、お返しを?って言葉で!?」
「んん〜?なにか有るわね。洗いざらい白状してもらうわよん!」

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

事の顛末をエクセレンに根掘り葉掘り聞き出され、ようやく解放されたアラドはゼオラの部屋の前に来ていた。

「…俺だよ。はいるぞ、ゼオラ」

持っている合鍵でドアをあけ、ゼオラの自室に入る。
部屋の主はベッドに座り端末に向かってキーボードを叩いていて、入ってきた人物を確認しようともしない。
「なにか用?」
「…悪いと思ってる。ホワイトデーのさ」
「今更プレゼントでご機嫌とろうなんて通用しないわよ」
「そうじゃねぇって。謝りにきたんだ」

普段とは違う神妙な空気に気付いたのか、ゼオラもモニタから目を離してアラドに目を向けた。
「隣、いいか?」
「いちいち聞かなくてもいいわよ…はい」
すこし横へつめ、アラドが座るスペースを作る。

「何日も送れたけど…プレゼントさ、」
「謝りにきたんじゃないの?」
「それもかねてるんだよ、ホラ」

そういってアラドが差し出したのは一通の手紙。
ゼオラは怪訝な顔のままそれを受け取り封を切ったが、文面を開く前に確認のように尋ねた。
「…今読んでいいのかしら?」
「逃げ出したいぐらいだけど、それじゃダメだって釘さされてるからさ。今読んでくれ」
「なんなのよ、もう…」
普段より素直なアラドに拍子抜けし、ゼオラは半ば諦めたように文面に目を通し始めた。
億劫さを隠そうともしないその態度も、手紙を読み始めて数秒で先ほど端末へ向かった姿の数倍真剣なものに変わる。

そこには、普段は言ってくれないアラドの素直な感情が書いてあった。
スクール時代のこと。一緒に育った今までのこと。調整され敵対していたときの自分への想い。
そして手紙の最後の文章は、ゼオラにこれ以上ないぐらい響いた。

『ゼオラとは今までずっと一緒だったし、これからも当然そうだと思ってる。
 俺にとってはお前がいるのが自然で、普通の日常なんだ。
 だから本当は喧嘩とかしたくないし、ここ数日はものすごく辛かった。
 恥ずかしいから全然口にはだせないし俺の態度からはそう見えないだろうけど、俺はお前が好きだから。
 今までも、これからも、お前は俺が守る。 アラド・バランガ』

目の前が滲む。
なんの自覚もなしに涙が溢れる。それを見て慌てるアラド。
「わ、悪い!なんか気を悪くすること書いてたならあやまー」
「違うわよバカ!」
涙も拭かないままアラドの首に手を回すようにして抱きつき、ベッドに倒れこむ。
アラドは突然の事態に状況がつかめないようだ。
「ゼ、ゼオラ!?」
「違うわよ…違うの、嬉しいの」
倒れこんだ体を起こし、アラドを組み敷くように顔を覗き込みながら、微笑んで涙を拭う。
「…ゼオラ…」
「私も好きよ、アラド。好き。大好き」
「悪かったよ、俺はー」
「ずっと不安だったのよ。アラドを好きなのは私だけで、アラドは私がアラドを好きなほど私を気にかけてないんじゃないかって」
「悪ィ…」
「謝らなくていいわ。…ねえアラド、私のこと好き?」
「言わせるのかよ!恥ずかしいんだ、勘弁してくれ」
「私はアラドが大好きよ。ねぇアラド」
「マジかよ…」
「好きよ、アラド」
「あー、もう!好きだよ!悪いかよ!自覚なかった頃からずーっと好きだったって!」
「嬉しい!」

ホワイトデーの貸しをナシにして余りある進展。
自分の口にした言葉の余りの気恥ずかしさに真っ赤になっているアラドの口にゼオラはそっと唇を重ねた。
「いっつも不安なんだから…たまには、言ってよね」

Fin

2006年03月19日
 ■  「彼ったら私より自分の紅茶にお熱なの」

315 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/03/18(土) 23:05:22 hR7PkMjL
停滞した流れに、稚拙なユウカーラSSを落としてみる

二週間ぶりに半舷休息を手に入れたリルカーラは、渋るユウキの手を引っ張りながら
デートを満喫しようと身も心も張り切っていた。
繁華街に出向き、目当ての映画館に辿り着いたリルカーラは
一枚の看板に向かって指を差した。

「ホラ、あれだよあれ、私が見たかったコッテコテの純愛映画!」
「よほど好きなんだな、そういうのが」
「女の子だもの、あったり前じゃん!」
「そういうものか…俺はどうにも苦手だが」

楽しそうに語る彼女の傍ら、少年は渋った表情のまま
時計にチラチラと視線を移している。
そんな彼の様子には気付かず、少女は得意げに映画の魅力を語りだす。

「主役の俳優がクールなドイツ人で、お相手は亡国の小さな姫君…どっかで聞いたような設定だよね」
「そうだな」
「これって今日の二時半からの放映が最終なのよ、ギリギリ間に合ってよかったぁ」
「…ならば俺は駄目だな。映画はお前一人で見に行けばいい」
「ど、どうしてさ!?」
「今からでは三時のティータイムに重なってしまう」
「どうしてそういう理由で断るかなぁ…それじゃ意味ないよ!」

ユウキの紅茶フリークは自他共に認めるところだが、必要とあらば
戦闘以外のあらゆる行為を中断してでもティータイムを設けようとする習慣ぶりは、
むしろ執念のようにすら見えた。
リルカーラとしては、この映画はあくまで二人一緒に楽しめなければ意味がない。
情熱的な恋愛映画に感化されて、情熱的な恋愛がしたいと願っている相手はこのユウキなのだから。

(こういう所、全然融通が利かないのよねぇ)
「そろそろ頃合だ、喫茶のできる所を探そう。雰囲気のいい店があるといいんだが」
(デートの雰囲気はブチ壊しにしてくれるくせにさ)


316 :315 :2006/03/18(土) 23:06:01 hR7PkMjL
こんな時カーラは、同年代で仲のよい三組のカップルを思い浮かべては羨む。
男児的なブリットを立てる、慎ましいクスハ。
懸命なリョウトを思いやる、母性的なリオ。
奔放なタスクを適度にたしなめる、知的なレオナ。
三人の少女はそれぞれ理想的な恋人を見つけて、今という刻を幸せに生きているのに
ユウキと微妙に噛み合わない自分と比して妬けてしまう。
「今しか見られない映画を見たい」と言ったなら、きっとブリットもリョウトもタスクも従ってくれるだろう。
ところが眼前の少年は、キッパリ自分より紅茶を選ぶのである。

(だからって本気で嫉妬したらバカみたいでしょ)
「どうした、そんな所に突っ立っていると置いていくぞ」
「ちょ、ちょっと待ってよ!」

しかし、うなだれる自分を映画館の前に置き去りにして喫茶店に入っていこうとするユウキは、
本当の薄情者ではないかとも思い始めていた。

「風味はいまいち、蒸らしも雑だな。60点というところか」
「店で出されたものに点数をつけるのって行儀悪いよ、ユウ?」
「なら言い換えよう。二度飲む価値はない味だ」
「もっと酷いでしょ。あたしはそんなに悪くない味だと思うんだけどなぁ」
「安い舌をしていると人生も損をする」
「神経質な舌よりマシだよ」

向かい合わせのテーブルに座っても、目を閉じて茶葉の香りを堪能するばかりで
リルカーラと視線を合わせることは稀だ。冷静さとマイペースを貫く性格も、こんな時は疎ましい。


317 :315 :2006/03/18(土) 23:08:01 hR7PkMjL
「そういえば、映画は見なくてもよかったのか? 今日で最終日と言っていたが」
「…今更もういいよ。後でレンタルして見るから。一人で!」
「そうか」

リルカーラの当てこする意図にも気付かず、再び目を閉じて茶葉の香りを愉しんでいる。
点数以上には気に入ったのか、結局ユウキはきっちりと飲み干したようだ。

「それで、次は何処に出かけるんだ?」
「…もういいよ。帰ろう」

ユウキの口調が連れ回されている男の言い分に聞こえたのか
一人で愉しんだつもりになっている自分とは対照的で、無味乾燥な態度に感じられた。

(ダメだ、あたし今日イライラしてる…)

最早デートどころではない。いや、初めからデートですら無かったのかもしれない。
甘酸っぱい幻想を打ち砕かれてすっかり意気消沈したリルカーラは、
その後母艦に戻るまでの足取りすら覚えていなかった。


その夜。リルカーラは目を赤くして自室のベッドに寝そべっていた。
根が明るく滅多に落ち込まない彼女らしからぬ振る舞いだが
それだけ大きいショックを受けている事は明白だった。
少々朴念なところがある人物とはあらかじめ分かっていたが、よもや念願の誘いを
紅茶を理由にソデにされたのが余程悔しいのだろう。

(何よ、薄情者! ユウのバカ、バカ、紅茶バカ!)
「…明かりも付けずに何をやっている?」

部屋のロックを掛け忘れていた事も、いつの間にかユウキが覗き込んでいた事にも
気付かなかったリルカーラは、努めて顔を見られないよう振舞う。


318 :315 :2006/03/18(土) 23:09:57 hR7PkMjL
「べ、別になんでもないよ。疲れたから休んでるだけ」
「そうか。…泣いてるのか?」
「そう見える?」
「…すまない、俺には泣いている女性の扱い方が分からない」
「英国紳士とは思えない台詞だね」
「お前こそ、らしくないじゃないか」
「…あたしだってたまには泣きたい時もあるよ」

ユウキは何も言わずにリルカーラの横に座ると、淹れたてのティーを茶皿ごと手渡す。
勧められるまま嚥下すると、ほんのりとした甘さと渋さが彼女好みの風味を醸している。

「…これ、レモンと砂糖多めに入れてるでしょ」
「ああ」
「そういうのって『邪道』じゃなかったの?」
「お前はこの方が好みだと言っていた筈だが」
「覚えててくれたんだ」
「自分好みの味を探すばかりが能じゃない。…気に入らないのなら淹れ直すが」
「これでいいよ」

並々ならぬこだわりを示すだけあって、昼間の一杯より遥かに堪能できる味だった。
旨みと温かみに誘われて、リルカーラは無意識に一筋の涙を流す。

「なんだか良くわかんなくなっちゃった」
「何が?」
「今の気持ち。嬉しいんだか悲しいんだか」
「…ところで映画の件だが」
「それはもういいよ。あれはあたしも強引だったし」
「いささか非合法な手を使ったが、動画を手に入れた。今から一緒に見ないか?」

驚いて目を見開くと、ようやくユウキと顔を見合わせた。
ユウキは赤く腫れ上がった目には触れず、真顔でその双瞼を見つめ返している。

「どうしたの、いきなり? そういうの苦手なんじゃなかったっけ」
「見たくなかった訳じゃない。お前と長い付き合いになるのなら、
 こういう物にも耐性が必要かと思ってな」
「おかしな理由だね」
「全くだな、俺らしくもない」

マイペースな彼なりに、リルカーラに合わせようとしているのだろう。
それを嬉しく感じられた彼女は、黙ってユウキの肩に頭を預けた。

「もう少し女心に機敏な人になれたら、もっとカッコ良くなれるよ、ユウ」
「だが少しハードルが高すぎる気もする」
「じゃあ別のハードルを選ぶ?」
「…いや、かえって挑み甲斐がある」
「ヘンな告白の仕方だね」
「相手がカーラだからな」

ユウキはそう呟くと、不器用な手つきでリルカーラの頭を胸に抱き寄せ、早く脈打つ鼓動を伝えた。

Fin


    

319 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/03/18(土) 23:19:09 yA3kIiSB
(*´∀`*)


321 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/03/18(土) 23:33:23 H7z9Wdp0
>>315-318
(*・∀・)


322 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/03/18(土) 23:46:35 nD94W0mR
>>315-318
GJ!

 OGでは影も形も無かったウキーラにSSが…いい時代です

2006年03月10日
 ■  萌えスレ 822氏の SSまとめ

先日アップロードしていただいたSSを簡単にまとめてみました。
この方のSSは旧萌えスレ時代の物が多く、相当の古参と見受けられます。

見たことある人もサルファから萌えスレに浸かり始めた人も是非堪能してください


レビマイ萌えスレ・OG2発売前・【リュウマイ喧嘩するの巻】
多分レビマイがOG2萌えスレ・【華ノ命ノ尽キヌ間ニ】
レビマイ萌えスレ・【38.7℃の氷結地獄】
レビマイ萌えスレ・【誕生日の日記】
レビマイ萌えスレ・【掌編、テーマはクーデレ】
レビマイ萌えスレ・【温泉が湧いた日】
ヴィレッタ萌えスレ【一日遅れのバレンタイン・デイ】