2007年02月23日
 ■  7x82jVZ+氏作SS 「それが、クライ・ウルブズ隊の掟」

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その123
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1169138913/l50



522 :それが、クライ・ウルブズ隊の掟 1 :2007/01/21(日) 11:54:42 7x82jVZ+
夢…寝ているときに人は夢をみる…
それは必ずしもいい夢ではない…
「フォリアァァァァ!!!…っぐ、またあの夢か」
悪夢…人はそれにうなされることがある
この男、ヒューゴ・メディオはまさにそれを味わっている
しかも、このところは毎晩というほどに…
そしてその後は、毎回身体中の神経に激痛がはしる
「!!!っが…薬を…」
机の引き出しから薬を取り出し、口に含む
彼はこの薬がなければ生きていけない…そう、そういう身体なのだ
(くっ…今ので最後…ザパトの奴なんで送ってこない…)
ミタール・ザパト…彼をこのような身体にした張本人
彼らはお互いの目的の為に互いを利用しあっていた
トントンという軽いドアノックの音がする
「ヒューゴ?放送聞いてなかったの?呼び出しがかかってるわよ」
この声は、アクア・ケントルム…ヒューゴの搭乗機ガルムレイドのパートナーである
ヒューゴはまだ残っている身体の痛みを抑えつつ、了解したと。シンプルな返事を返す

「ザパト博士が一度戻って来いと?」
命令を聞いたアクアはすっとんきょんな声をだす
それに対してハガネの艦長であるテツヤは説明を続けた
「ああ、君たちが、乗っているガルムレイドの詳細なデータを一度採っておきたいらしい」
ツェントル・プロジェクト…彼らの乗っているガルムレイドはその試作機のひとつである
ただ、アクアはいまひとつ納得いかなかった
ガルムレイドのデータなら、毎回ザパト博士に送っている
そのデータに不備はないはずだ
ヒューゴは険しい顔をして、ッチ、と舌打ちする
「先方は君たちだけで、来て欲しいそうだが…ハガネから何体か護衛に…」
「いえ、結構です。この任務は自分達だけで行います。くれぐれも護衛や追っ手はつけないで下さい」
テツヤの案を、ヒューゴがきっぱりと断る
アクアはその、ヒューゴの態度に頭を抱えた

研究所に向かい発進するガルムレイド
「アクア、ハガネからは?」
「識別信号らしきモノなし、肉眼でも確認できる機体もないわよ…って!ヒューゴ!さっきのあの態度は何?」
水着のようなDFCスーツを着たアクアが、エンジンの出力を一定に抑えながら喚く
さっきのテツヤの好意に対してのことだろう
「忘れたのか?俺たちのこの機体は機密事項の塊のようなものだ。研究所にゾロゾロ行って、敵にでも見つかってみろ」
ヒューゴはそう言ったが、実はそうではない
ザパトは『薬』を盾にガルムレイド単機で来るように命令したのだ
今のヒューゴにそれを断ることは出来ないとふんで
(ザパトの奴め…)
アクアは今ひとつ納得しない顔をしてムスッとしている
出力はイエローゾーンとブルーゾーンの間、TEエンジンの出力はなかなか安定しない
だが、研究所まであと少し…その時事件は起きた…!!
「…!!ヒューゴこの識別信号!!間違いない!メディウス・ロクス!!」

「まさか…こんな研究所の近くに…また、研究所を襲うつもりなの?!」
アクアの不安を打ち消すようにヒューゴが叫ぶ!
「ボーっとするな!来るぞ!!出力、安定させろ!!」
メディウスから撃ち出される弾をギリギリで避ける
ヒューゴはその時違和感を感じた…反応の遅れたガルムレイドの動きにメディウスの攻撃を当てられない程、彼の知ってるそのパイロットは無能ではない
そう、昔の上司である元クライ・ウルブズ隊長…アルベロ・エスト…その人ならば!
しかし、躊躇うことはない…今、目の前にいるのは『敵』…ならば、倒すのみ
「アクア!出力安定させろ!!」
「こっちだってやってるわよ!」
ガルムレイドの右脚のサンダー・スピンエッジがうねりを上げる
「くらえ!!サンダー・スピンエッジ!!!…」
メディウスの左腕に直撃する…しかし…
左脚での二撃目を撃つ前にガルムレイドの動きが止まってしまったのだ
メディウスのディバイデッド・ライフルを目の前でモロに食らってしまう
吹き飛ぶガルムレイド…さすがは特機というべきか、撃墜はされていない、だが中破といったところである
いきなりの行動にアクアが身を乗り出してヒューゴに文句を言う
「ちょっと!ヒューゴ!!何して…!!ちょっと顔真っ青じゃない!」
「気に…するな……いけ…る」
「まさか、例の…発作!」
実は、ヒューゴがこの症状を起こしたのは初めてではない。その時は、何なきをえたが、今回はそうはいかない…相手はやる気である

ディバイデッド・ライフルの連射を急所に当たらぬようによけるガルムレイド
しかし、時間がた経てば経つほどヒューゴの身体神経の痛みが増し、意識がとびそうになる…既に手足にはしびれが出てきている
「ヒューゴ!ここは撤退を!」
「っく…駄目だ…ガルムレイドのスピードじゃ…あいつの…スピードには敵わない…」
アクアも出来る限りの撤退パターンを即座に計算してみたが、どれもこれも絶望的な確立だった
逃げられないなら…討つ…そして…生きる…何としてでも生き残る…それが………
するとアクアは、目をつぶり覚悟を決めた…出来るかどうかは分からないが…
「ヒューゴ、研究所までの運転…私に任せてくれる?」
「できるなら…な」
「なら…あの、メディウスもどきを一撃で破壊しましょう!」
ヒューゴはそれを聞いて確信した…
目の前のメディウスに乗っているのはアルベロではないと…
今までのメディウスの行動パターンに大体はそってはいるが、ここぞというときの動きがあからさまに遅い
そうまるで、新入りの兵隊のような動きだ。熟練された彼ならもっと確実にこちらを撃墜してるだろう
そして、自己修復が可能な装甲素材であるラズムナ二ウム…これを今までと違い全く使用していない
というよりも、アクアの計算とスキャンによると、使われている装甲はラズムナニウムの可能性は1%未満
相手はメディウスの識別信号をだしているだけの偽者…そして、動きからするにAI…人工知能!

「いけるか?」
「ちょっと厳しいわね…でも…あなたの口癖でしょ?アレよ」
ヒューゴは気合を振り絞り意識を集中させる
痛みは…既に痛みの感覚すらなくなり始めた…
まずい傾向だ…だが、ヒューゴは死ぬわけにはいかないのだ
「多少の無茶は承知の上だ!!」
ガルムレイドの熱量が上昇していく
TEエンジンの出力はブルーゾーンで安定しているワケではないだが…そのような余裕はない
「ファンググリル開放っ!…いいわよ!」
左右の肩の、そして、腰のアーマーの狼の牙が…
「イグニション!!」
ヒューゴの雄たけびに呼応するかのように口をあけ焔をあげる
「うおおおぉぉぉぉぉっ!」
ガルムレイドの瞳が光り輝き、さらに二つの眼が現れる
四つの瞳はメディウスを確実にロックすると、左手に全てのエネルギーを収束させる
そのエネルギーは焔となり、目標物を破壊する…その名は…
「バーニング・ブレイカーァァァァァッ!!」
ガルムレイドの一撃は確実にメディウスを破壊した
額の目は消え、ファンググリルが熱を持った白い蒸気を吐き閉じる
「生き残るのは、俺のほうだ!!」
そう言うと、ヒューゴの意識は途切れた…

ヒューゴが次に目を覚ますとそこは見慣れた研究所のベッドの上だった
辺りを見渡すと、近くの机にアクアが寄りかかって寝ている
そこに、ザパト博士が薬を持って入ってきた
「危機一髪だったな、ヒューゴ」
どうせ、こいつのことだ。薬のことを聞いても無駄だろうし、そもそも聞く気もない
ヒューゴは舌打ちをし、薬を受け取る
「これは、前回より強力だから、安心したまえ」
「ふん…それより、あのメディウス…お前の差し金だな」
「さぁ、知らんな…」
とぼける、ザパトだが実際その通りだった
(しかし、意図が分からん…ザパトは既に、メディウスのデータもガルムレイドのデータも持っているはずだ…)
ヒューゴとザパトが一触即発の状態で睨みあっていると、アクアが目を覚ます
起きるや否や、ヒューゴに突っかかるアクア
「あなたねぇ!今度こんなことがあったらどうすんの!?発作かなにか知らないけど…」
「すまなかった」
「何が、すまなかった…って…え?」
アクアはきょとーんとした顔をする
ヒューゴが自分に対して素直に謝るなんて、想定外だったからだ
「…う、分かれば…いいのよ…」
アクアは次に何を言うか、すっかり飛んでしまった
少しは可愛げがあるかなと、ちょっと、ほんのちょっと思った
が、ヒューゴの次の言葉は、それを撤回させた
「移動だけとはいえお前に、操縦なんて無謀なことをさせてしまったな…」
「そうそう、私の操縦は無謀…ってなんですってぇえ!」

ザパトはその騒動を横目で見た後
研究所のとある一室に入る
「これで、よかったのかね?」
目の前のモニターに二人の男女が映る
アルベロ・エストとエルデ・ミッテ…メディウス・ロクスのパイロットと、そのパートナーである
『ありがとうございます、ザパト博士。これでAl1はさらに試作7号機のデータを学習しましたわ』
「そうか?ならいいんだがな…エルデ君」
モニターの男性…アルベロは、面白そうではない
「どうした?アルベロ?」
『やるのなら、俺たちの手でやればよかったものを…』
「そういうわけにはいかんよ、ヒューゴの新しい身体の為のデータの採取という目的もあったんだ」
『欠陥品の身体など捨ててしまえ』
「まだまだ、彼らには役に立ってもらわないとね…」
ザパトは不敵な笑いを込め、そう言い張った
それは、アルベロ達に対しても言えること
各々利用し、利用されあっている
通信を切ると、ザパトは試作9号機に製作をしに開発部へと足をむけた

研究所近くの裏山にてメディウス・ロクスが立っていた
「よかったのですか?」
「なにがだエルデ?」
「今なら、研究所ごと破壊できますが」
「ふん、今のあやつらを倒した所で、何もない…」
「?先ほどの通信と言ってることが、違いますが」
「…ふん」
それは、建前上、先ほどはああは言ったが、それはアルベロの本当の目的ではないからだ
(死中に活を見出したか…ヒューゴ…そうだ…)

~それが、クライ・ウルブズ隊の掟~完





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525 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/21(日) 12:18:44 gwySpTWw
GJ!

熊先生がツンデレっぽい



526 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/21(日) 13:43:51 6mUi63k0
やべぇ……ヒューゴ格好良いぜ……。
やっぱりヒューゴってかMX衆は燃える要素には事欠かないな。
問題は結局出番の極端な少なさか、勿体無い。



536 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/21(日) 16:51:50 YWK+LYfw
あと、ヒューゴSS、GJ
ひさびさに燃えSS見たきがす



537 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/21(日) 16:56:13 iIgGtS6G
>>522-524
GJ!
これだけ熱いやつらが、どうして此処じゃこんなに影が薄いのか・・・



538 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/21(日) 17:43:25 jI6fxmND
先天技能の穏行せいだ、だれかPP貯めて上書きしてやってくれヒューゴとアクアに

投稿者 ko-he : 2007年02月23日 15:36 : スレ内ネタ:SS

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コメント

MX好きとしては感涙ものだ
いや本当GJだよ

投稿者 Anonymous : 2007年02月23日 16:31

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