スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その159
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760 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/06/09(土) 22:25:02 e7T95276
流れとは何の関係もなく、ちょっと一本上げてみる。
この所、ようやくこっちにも揚がり始めた&いいのを食べられる時期に来たんで。
◇ ◇ ◇
「めに あおばー」
「やま ほととぎすー」
「はつがつおー!」
「いっただきまーす! イエー!!」
その絶叫を合図に、戦争が始まった。
「ふもふもふも!」
「ふーも! ふもふも! ふも!」
「ふもももももも!」
食べながら周囲を牽制しつつ、さりげなくレフリーのブラインドを突きながら
姑息なファウルプレーを繰り返して自分の分け前を確保しようとする大食い3人
衆。まあそんな事でファウルを取るレフリーもへったくれも居るものではないが。
その惨状を目の当たりにして、保護者であるゼオラと統夜は例によって例の如
く「恥をかかせおって…」と言わんばかりの表情で深くため息をつく。
「本当に、この子たちにかかると」
「季節感も風情も悉く因果地平の彼方に吹っ飛んで行くなぁ」
かように、まだ更生を諦めて居ない保護者たちの苦悩を目の当たりにしながら
、既に矯正を諦め達観に至ってしまった保護者…カティアとラトゥーニがこんな
言葉を口にする。
「まあ、あれはあれで置いておいて、こっちは別に食べてればいいのよ」
「うん」
異様に的確なその指摘を受けて、なんとかゼオラも統夜も気を取り直し、自分
たちの目の前にある鰹のタタキを口に運び始める。薬味は丁寧にすり下ろされた
ショウガ。当然調理はレーツェルの手によるもので、食材の吟味にも抜かりはない。
その味をひと口確かめて、統夜が充実感溢れる顔をして、しみじみと呟いた。
「うん、夏が来た…っていう感じだな」
その表情を見て、カティアとラトゥーニがいやに真剣な顔をして頷く。無論カ
ティアの視線の先に居るのは統夜な訳だが、ラトゥーニの方が視線を向けている
お方のリアクションはというと。
「しかし、初鰹というには遅すぎないか?」
その言葉を聞いて、戦場から一言。
「ふも!? ふもふもふ! ふもっふふもふもふふふ!」
「テニアは、『うわ!? 食通だ! 嫌な食通がいる!』と言ってます」
「カティアありがとう。あとテニア自重しろ」
きわめて冷静な統夜のつっこみが終わった直後、調理人レーツェルが嫌な食通
のもとにやって来る。
「まあ、リュウセイ君が言う通り、厳密な初鰹というのには遅いな」
「厳密な?」
「旧暦の4月1日…だから、5月の半ばぐらいか。そこから一週間以内に関東の
沖で採れた鰹の事を、そもそも初鰹と言ったんだ」
「はあ…」
「で、『女房に小一年』という初鰹というのはこれを指す訳だが、正直に言うと
あまり美味しいものではない…という気もする。純粋に味で言えば戻りの方が上
だしな」
「戻り?」
「秋になって、三陸沖でUターンして来る鰹だよ」
その言葉を聞いて、リュウセイと統夜が自分の記憶の中の光景を思い出していた。
「ああ!」
「そう言えば秋にもスーパーに並びますもんね、鰹って」
「その通り。まあ、そういう事を言い出すときりが無いから話を本筋に戻して」
リュウセイも含めて本質が真面目な人間が揃っているこのテーブルの一同は、
真剣にレーツェルの話に聞き入っていた。それを確認しながら、レーツェル先生
の講義はさらに続く。
「この時期の鰹は北上して行くに従って、次第に身が締まって行く。江戸で言う
初鰹の時期よりも前に鰹が揚がる高知だと、実は江戸だとか、今の時期の気仙沼
・大船渡辺りで揚がる鰹よりも身が柔らかく、臭みも強めになるんだな」
「そうなんですか」
「そのために生まれた料理法が鰹のタタキで、意外にもこの時期の鰹の事を高知
の人に聞くと『そんな美味いもんじゃない』という答えが返ってくる事も多い」
そこまでレーツェルの話を聞いたところで、ふと視線を逸らしたゼオラが、
ある事に気付いた。
「あれ? カズマ君にミヒロちゃん、お箸が進んでないわね」
その指摘を受けて、慌てふためいてカズマとミヒロがこう応じる。
「そ、そんな事ないですよ、ゼオラさん」
「うん、美味しいよね、お兄ちゃん」
しかし、その言葉と一体化されていた笑顔は微妙に、だが確実に引きつってい
た。その理由をそこはかとなく察して、レーツェルがこう言った。
「薬味か?」
答えて曰く。
「ええっと、その」
「薬味と言えば薬味…ごにょごにょ…」
「よし、わかった」
そこでレーツェルが取り出したのは、まずニンニクのスライス。
「関東ではショウガだが、高知ならこれがまず薬味の筆頭だ。これだろう?」
しかし。
「うん…」
「こ、これも美味しいですね」
違う。
彼らの表情が明らかにそう言っていた。
「なるほど、それなら…」
その言葉とともにレーツェルは厨房に消え、様々な薬味を皿に取って戻ってくる。
「万能葱」
「……」
「葱」
「……」
「ミョウガ」
「……」
「芥子」
「あ、うん」
「でもちょっとちが…」
「スダチ」
「近…」
「おし…」
その展開を目の当たりにして、カティアが小声で呟く。
「全部薬味を使っちゃったじゃない。まさか鰹そのものが…」
余りにも正直すぎる、同居人の悪い癖が露骨に出てしまったその言葉を、統夜
はできるだけ穏当な口調になるように、という気遣いをしながら、しかし明確に
たしなめる。
「こらカティア。言っていい事と悪いことがあるだろ?」
その言葉に、カティアも素直に応じた。
「すいません、失言でした」
それを確認した上で、統夜はここまでの展開を一度脳内で整理して見た。
「鰹そのものは文句のつけようが無い。薬味…であることはカズマ君もミヒロ
ちゃんも認めている」
さらに、リュウセイもこれに参加する。
「そして芥子の辛味とスダチの酸味が『近い』」
実はこの時点で、レーツェルは正解に気づいていた。ただ、自分の講義を生
真面目に聞いてくれた生徒の出来を確かめてみよう、といういたずら心が働き、
あえて推理に没頭する統夜とリュウセイを見守る体制に入っていた。
「リュウセイさん、ポン酢じゃ…?」
「いや、それじゃあ味の要素はスダチとあんまり変わらないだろ」
「ああ、そうか…」
「これにあと加わるとすれば…うーん、今までにない物で、臭みを消す要素」
「まろやかさ…クリームとか、油?」
その言葉に、カズマとミヒロがわずかに反応する。
そしてその直後。
「何だ、今日の夕飯はカルパッチョか」
そう呟きながら、スレイがテーブルに着いた。しかしその直後、スレイの表
情がにわかに曇り始める。そして、丁寧ではあるが苛立ちがはっきりと見てれ
る口調で、こう口を開く。
「レーツェルさん、貴方ともあろう人が、何たる見落としを」
わけがわからず首を捻り続ける統夜たちをよそに、スレイはその皿に足りな
いと判断した物をはっきりと言葉にした。
「マヨネーズを忘れています!」
そしてカズマとミヒロが、その言葉を待ってましたとばかりにこう続ける。
「そうですよねスレイさん!」
「カルパッチョって言ったら、マヨネーズがかかってないと駄目ですもんね!」
「レーツェルさん、俺たちにもマヨネーズお願いします!」
そしてその状況を見て、見習い探偵2人組は。
『ええーっ!?』
『そんなんアリかよ!?』
と顔に書いて、その場に固まっていた。
それを見て取って、この皿をカルパッチョと判断しているスレイは有無を言
わさず彼らの皿にもマヨネーズをぶっかける。
「うわっ!?」
「嘘っ!?」
「何が不満なのかわからんが、とにかく食べるんだ。好き嫌いは良くないぞ」
「いえ」
「しかし…」
「いいから、食べるんだ」
あからさまな怒りとともにスレイが吐き捨てたその一言を受けて、リュウセ
イと統夜はそれぞれの経験則から、こういう結論に達した。
『この手の女の人に』
『逆らっても、いい事って何もないもんな…』
そして、やけくそ半分でマヨネーズまみれの鰹を醤油につけて口に運ぶ。
「あれ?」
「うん、これはこれで」
「血なまぐさい感じが消えて、なかなか」
そしてその言葉を受けたスレイは、すっかり得意満面になって、
「そうだろう、そうだろう」
と言いながら、何度も頷いている。
鰹にマヨネーズという食べ合わせは、実際にかなり有名な組み合わせである。
その食べ味はリュウセイと統夜が評したとおり。ただ、やはり日本人にとって
は常識から外れ気味の味わい方であり、店の方でカルパッチョにでも仕立てて
いない限り、なかなか家庭外では頼みにくいものでもある。
「カズマ君とミヒロちゃんだけが微妙な顔をしていたのは、そういう事か」
「うーん、まだまだ修行が足りないなぁ…」
「ふーもっふー、ふもふも、もっふふももも、もっふ、ふもっふ」
「テニアは『そうだよー、統夜は、もっと豪華な、ごはん、作って』と言って
います」
「もっふもっふ」
「アラド君は、『そうだそうだ』と言っています」
カティアの通訳を確認した上で、統夜とゼオラは、またしても大きなため息
とともにこう応じる。
「お前の食欲に対応して豪華なご飯を作っていたら」
「お財布がいくつあっても足りないでしょ!?」
その光景を勝利の微笑みで見つめながら、スレイはさらにテンションを上げ
てこう口走り、そしてチューブを握り締める。
「さあ、皆の皿にもマヨネーズをかけてやろう。遠慮するな」
一同は、その光景を見て思った。
『あれ?』
『この光景って、確か前にもどこかで…』
『確実に、見たことがあるような』
そしてスレイが全員の皿の上にまんべんなくマヨネーズを振りかけてご満悦
の顔を作った瞬間。
何者かが、彼女の肩を叩いた。
「ん?」
そして彼女が振り向いた先に居たのは。
「ウオンチュッ!」
と親指を立てて絶叫している、うすた調の。
「チイ姉ちゃんだー!!」
「やっぱり来ちゃったー!!」
そして、この時点で盛大な勘違いを起こしているアカネは、スレイの肩をむ
んずと掴み、一気にこうまくしたてる。
「いやあ、素晴らしい! 実に素晴らしいわ! スレイさん! 前々から見ど
ころのある人だとは思っていたけど、これほどまでとは! さあ、これから私
の部屋でまる3日ばかり、マヨネーズと筋肉、主に僧帽筋へのマヨネーズの塗
りこみ方について熱く語りましょう! ええそうしましょう! 決まり!
もう決まり!」
「え、ちょ、アカネさん、うわ!」
「レッツゴー!!」
「嫌ぁぁぁぁ―っ!!」
スレイの声が、うすた走りをかますアカネによってドップラー効果とともに
フェイドアウトしていく光景を見て、一同は無言で合掌するほか成すすべが無
かった。
#スレイ彼氏欲しい計画(現状)
彼氏 0
ロボ 1
変態 5(+1)
◇ ◇ ◇
762 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/06/09(土) 22:33:52 Slz0w61A
鰹にマヨ・・・美味しんぼかッ!
763 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/06/09(土) 22:34:28 Coq6vd5C
>>760
最後の何ーーっ!?
あとアカネ・・・w
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