スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その86
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431 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/19(水) 08:57:42 tn9MuZ16
ネタではないが、雨の中に佇むマイとラトっていう電波を受信。誰か画像にして。
>>431に対して長編SSが突如投下される
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452 :>>431 絵にはならなかった。反省している :2006/07/19(水) 13:44:02 q8eP23Je
まだ、帰ってこない。
不安で不安でしょうがなく、だから私はここに立つ。
――ラトゥーニなんか、大嫌い。それにもまして、私が嫌い。
まだ、帰ってこない。
不安で不安でしょうがなく、だから私はここで待つ。
――マイなんか、大嫌い。それにもまして、私が嫌い。
スペースノア級全領域戦艦、ハガネ。その甲板上に一人の少女が立っている。
紅い髪と黒い瞳…その瞳が時折、赤と金の色に揺れるのは錯覚だろうか。
彼女は一人、広大な甲板に立ちつくす。
――雨が降っている。ざあざあざあざあ降っている。
山間に身を顰めるハガネに容赦なく襲いかかる雨粒は彼女の小さな身体にしがみつく。
全身をぐっしょりと濡らして、彼女は空を見続ける。
「何してるんですの?風邪を引いてしまいますわよ?」
紅い少女が振り向いた。後ろに少女が立っている。
豪奢なドレスに身を包み、きらきら光る傘差して、まるで絵本の中の王女様のような……。
「シャイン王女か。ちょっと、リュウを待ってる。帰りが遅い上に連絡もない」
紅い少女は小さく答え、再び空に目を戻す。ざあざあざあざあ降ってる雨が、その全身を濡らしていく。
「だったら中で待てばいいでしょう?
どうせ、ちょっと連絡を忘れたとか、そう言う言い訳してひょっこり帰ってくるんですから」
シャイン王女の言い分に、紅い少女は頷いた。その顔に、小さな小さな笑みを浮かべ。
ああ、それはありそうだ。リュウはいつでもそんな人。
危なっかしくてそそっかしくて、それでも最後はきっちり締める。王女の言うことは凄く正しい。
けれども少女は動かない。じっとじっと空を見つめる。
後ろでシャイン王女がため息をついた。呆れかえったと言わんばかりの大きなため息。
「……貴方、ラトゥーニと喧嘩をしたでしょう?」
続いて漏れた一言に、紅い少女は振り向いた。びっくりしたなと驚きながら。
「王女、誰かに聞いたのか?」
「いいえ。けど、わかりやすいんですもの」
実際、10分ほど前にラトゥーニと話している彼女を、シャイン王女は見ているのだ。それから今の態度を見れば、大体の予想は付く。
「――そうだな。喧嘩かもしれない――いや、多分私が一方的に酷いことを言った。
喧嘩じゃなくて―――虐めたんだ。きっと私は」
そうだ。自分が悪い。そうでないのなら――ラトゥーニが泣いていたのに、どうして自分は泣いていないんだ?
「………だから、雨に濡れているのは自分への罰?」
王女が静かに問いかけてくる。
――意識していなかったが、多分そうだ。そう思ってこう立っている――なんて、最悪。私はリュウを言い訳に使っている。
ますます、ここを動けない。自分はもっと、罰を受けなければならない。リュウの分も、きっと。
「戻りましょう?」
「… … …」
シャイン王女の問いかけに、紅い少女は答えない。
シャイン王女はしばしの間、どうしようかと頭を捻り――名案を思いついたのか、手をぽん、と打った。
王女は少女の正面に回ると……おもむろに傘を閉じた。ざあざあざあざあ降りしきる雨が、王女のドレスをぐっしょり濡らす。
そしてあろうことか、王女は傘をへし折った。素手でいきなり容赦なく。
目を丸くする少女の前で、ゴミになった傘を、王女が思いっきり投げ捨てる。
傘は濡れた甲板の上を滑って滑って滑って―――やがて落ちて見えなくなった。
「あら大変。傘が折れてしまいましたわ」
しれっと呟くシャイン王女。ロールを巻いた髪型が、濡れて崩れて寝てしまう。
「急がないと風邪を引いてしまうわ。さあ、帰りましょう」
「ちょっと、それは卑怯だ」
紅い少女がクスリと笑う。ああ、それはもう帰るしかないじゃないか。
「それを言うなら、貴方は気づくのが遅すぎですわ。
――ラトゥーニに謝る方が、ずっと早いのに」
王女の言うことを、少女は正しいと感じた。ああそうだ。でも、そうした時にラトゥーニが許してくれなかったら……。
「大丈夫ですわ、私達は友達でしょう?
喧嘩をしたら、謝って仲直り。それが出来なきゃ嘘ですわよ?」
王女は笑う。ああ、その通りだ。そうじゃなきゃ嘘だ。
「そうだな、帰ろう――ありがとう。王女」
「私達は友人でしょう?当然、ですわ♪」
紅い少女が踵を返す。少女は二人、雨に濡れながら艦の方へと歩き出す。
「だいたい、悪いのはあのロボヲタですわよ。あれがいなければぜぇぇんぶ丸く収まるんですわ!」
「今日はリュウセイは悪くないぞ?そもそも何も知らないんだから」
「無知は罪!―――どちらにせよ、謝ったらあの男に全部押しつけちまいなさいな。それで万事解決ですわよ」
「けど、それはリュウが困るだろうし――」
「上等。いい事、マイ?いい女と言うのはね、男性を手玉にとって弄んで、ぽいっと放り棄てちゃうような、
そんな怖くて悪くて綺麗な女の事を言うんですわよ」
「――王女、それじゃ王女はライを―――」
「らっ、ライディ様は例外ですわっ!」
「ふふ、ははは――!」
「もう―――ふふふ、あははははは――!」
少女は二人、笑いながら船へと戻っていく。
スペースノア級全領域戦艦、ハガネ。その非常口の外に、一人の少女が蹲っている。
紫色の髪と可憐な服。その姿に似合わず、その表情は暗く沈む。
彼女は一人、狭い非常口の外に座り込む。
――雨が降っている。ざあざあざあざあ降っている。
山間に身を顰めるハガネに容赦なく襲いかかる雨粒は彼女の小さな身体にしがみつく。
全身をぐっしょりと濡らして、彼女は空を見続ける。
――泣いているように見えるのはただ、顔を雨粒が伝っているだけなのか……。
「あらあら?どーしたのこんなところで」
声がする。ふと横を見れば、非常口が開いて誰かがこちらを覗き込んでいる。
金髪をポニーテイルにした、大人の女性。
「エクセレン…少尉」
「ちょっと、頼まれてね。お節介しにきたのよ♪」
相も変わらず陽気なエクセレン。いや、今の態度は少し無理をしているように見える。
その空陽気が通じないのが分かったからか、エクセレンの顔からすっと笑顔が消える。
「リュウセイ君の心配、だけじゃないわね?」
「…はい。マイに酷いことをしました―――とても、顔を合わせられません」
エクセレンの問いかけに答える少女。泣いているのか、いないのか。雨の中では分からない。
ぽつり、ぽつりと少女が話を始める。
「リュウセイの事を話してました。偵察の帰り、遅いねって。
なんで喧嘩になったのかは分かりません。いつの間にか、喧嘩になって――」
その時、少女にある考えが浮かんだ。普段マイと一緒にいる時なら絶対考えないような、事を。
「頭に血が上ってたんです。だから――酷いことを考えついて、実行しました」
彼女はマイのことをよく知っている。とてもよく、知っている。
だから、マイが最も傷つくように、し向けた。
「私はただ小さく挑発するだけ。――マイは人を傷つけることに、敏感だから」
あとはただ、待っていればいい。
待っているだけで、マイは怒り、少女を罵る。だが、罵られることを知っている少女は傷つかない。
傷つくのは、ただ、他人を罵ってしまった、マイの方。
なんて――なんて悪意。
「あんなに、あんなに傷つけてしまった……なんて、なんてっ…!」
少女の声が詰まる。しゃくり上げる。
――泣いているように見えるのはただ、顔を雨粒が伝っているだけなのか……。
「……顔、どうしても合わせられない?」
「…はい」
エクセレンの問いに、小さく答える少女。
顔は合わせられない。酷い、酷いことをしたのだ。そして、それより何より。
「また、罵られたら、もうやだ…!」
少女は頭を抱えて小さく叫んだ。
そうだ。なんて自分勝手。罵られることを知っていて、そう仕組んだ自分自身が――こんなに、傷ついているだなんて。
「こんな酷い、こんな自分勝手で、こんな、こんな、こんな――」
「そんなに自分を責めても、どうにもならないわよ」
エクセレンはそう言ってくれる。でも、そんな無責任な。
「それにそれって、悪いのはリュウセイ君じゃない」
エクセレンの、本気で怒ったような言葉が、ラトゥーニの耳に届いた。
「?!え、あ、あの、それって違います!今日のことはただ、私達が…!」
「自分のせいで女の子が泣いても気づかないなんて、最低じゃない。
いーい?世の中にはオトコなんて星の数ほどいるの、リュウセイ君なんてとっととふっちゃってかまわないんだから。
けど、本当の友達はね、そんなに沢山作れる物じゃないの。特に、一生物の親友はね。それに比べたらオトコなんて軽い軽い♪」
まるっきり普段の軽い調子に戻って言うエクセレン。
けど、その言葉には確かに思いが篭もっていて。
「さ、これで悩みは解決!後はマイちゃんに謝って、許してもらいましょ、ね?」
エクセレンが少女に手を伸ばす。
「そしてね、リュウセイ君が帰ってきたら、二人で思いっきり怒ってやりなさい。色々な分を含めて、全部」
少女は迷い、迷い、迷い、迷ってから、ようやくその手を手に取った。
「――エクセレン少尉」
「なあに?ラトゥーニ?」
「少尉は、キョウスケ中尉のこと――」
「あーっ!さっきの話、キョウスケにはオフレコッ!
あいつってばブアイソな癖してそー言うこと聞くとよけいに…!」
「くすくす――わかりました」
「……ラトゥーニ、結構いい性格してるわよねぇ」
ばったりと、出会った。
ハガネ艦内に大きな洗濯室は一つしかないのだから、濡れぼそった二人がそこで出会うのは当然と言えば当然か。
マイの前にラトゥーニが立っている。ラトゥーニの前にマイが立っている。
「ほら」
「ガンバよ」
マイの背中を王女が押した。ラトゥーニの背中をエクセレンが押した。
一歩前に出る。一歩前に出る。
見つめ合う、泣かないように我慢する。見つめ合う、泣かないように我慢する。
そして、意を決して。そして、意を決して。
「ごめんなさっ…!」「ごめんなっ…!」
が ち ん !
マイが謝罪と共に下げた頭と、ラトゥーニが謝罪と共に下げた頭が、額と額で思いっきりキスをした。
「あ」「い?」「うぅ…」「え、えぇ?!」
額を抑えて唖然とする二人。後ろで見守る王女とエクセレンも固まる。
見つめ合うマイとラトゥーニ。そして。
「くっ、くく、あははははは――!」
「あはっ、あはははは!ははははははははは!」
どうにも堪えきれず笑い出す。後はもう、馬鹿みたいに笑い合うだけだった。
王女とエクセレンも、ようやく気を抜いて笑い出す。そんなところへ。
「お、どうしたんだ二人して。楽しそうじゃねぇか」
ひょっこりと、リュウセイが顔を出した。
「リュウ?!」「リュウセイ!帰ってきてたの?!」
二人の驚きの声に、リュウセイが笑う。相変わらずの全然邪気のない、ガキっぽい笑み。
「応よ。いやぁ参ったぜ。バーニアは壊れるし通信機は通じねぇしよ」
笑いながら言うリュウセイ。そんなリュウセイを見ている二人はほっとして――それから、どうしようもなく腹が立った。
ああ、王女やエクセレン少尉の言う通りだ。まったく、人の気も知らないで。こちらはこんなにヤキモキしてて、こんなにも彼のことを――。
だから、「で、なんでそんなに笑ってたんだ?」と聞いてくるリュウセイに、二人は。
思いっきりの笑顔を向けて、その笑顔のまま、思いっきりの足払いを喰らわせた。
「どああ?!?」
訳も分からずずっこけるリュウセイ。マイとラトゥーニはそれを確認する間もなく、廊下の向こうに駆け出していく。
「リュウには教えてあげないんだ!あはははははは!」
「私達、リュウセイの事大っ嫌いだもの!あはははははははは!」
心底楽しそうに笑いながら、二人は廊下の向こうに消えていった。
「俺、なんか二人に悪い事したっけ?」
残されたリュウセイの呟きに、
「いぃえぇ、なぁンにもしてませんわよ、貴方」
「ほぉんと、なんにもしてないわよぉ?」
からかうような、それでいて冷たい王女とエクセレンの言葉が被さってくる。
リュウセイは、後から謝ったら許してくれるかなぁと思いつつ、打ち付けた腰をさすって起きあがる。だがまあ。
「二人は楽しそうだったし、いいか」
彼はそんな風な言葉に、王女とエクセレンは肩を竦めた。
マイもラトゥーニも、この男にはまだまだ苦労しそうだな、と。
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461 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/19(水) 13:53:18 D5q6JdMF
>>460
リアルタイムでキタコレ
実にGJ!!
雨降って地固まるラトマイ可愛いよラトマイ
464 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/19(水) 14:06:18 qG656Hho
>>460
_、_
( ,_ノ` ) n
 ̄ \ ( E) グッジョブ!!
フ /ヽ ヽ_//
465 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/19(水) 14:07:15 Pbk/cvSS
>>460
素晴らしい! よければまた書いてくれ!
470 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/19(水) 15:25:18 SO/Up+kM
>>460
ほのぼのさせてもらった。GJ!
だが素手で傘をへし折るシャイン王女にちょっと引いたのも私だ。
472 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/19(水) 15:55:52 qG656Hho
>>470
王 女 を ,,----、 な め る な
(()) ノ。ヽ
|| || ゚ ヮ゚)リ
, .-‐- くJ( ゝ-rr- 、、
/Y ,r 、 `ー r'"^〃 、 つヒヽ
,ノ '^` i! =テミ i' 天ニ ミ、 ='"^ヾ }
,/ ''=''" ノ-‐'ヾ-人,,__ノnm、''::;;,, イ
i! ,∠-―-、、 `ー'フヾ、 j
f'´ ノし `丶、 ー=ミ-JE=- /
ヾ=ニ- 彡^ 〃 ,,>、、`''ー-::,,_,,ノ
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/ミ`ーt!,_,ィ-‐彡''"^ヽ
/ ヾ::::::::::::::::r''" ぃ ;}
l t:::::::::::/ ノ /
l! `'T7′ / /
474 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/19(水) 16:15:10 WjDu3Anm
>>470
きっと柄がポッキーで出来ていたんだよ
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コメント
プリンセス・マッスル!!!
投稿者 ひかっぺ : 2006年08月01日 14:57