2006年12月22日
 ■  agE+z/pO氏作SS「Respect-for-the-Aged Day」

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その108
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1161800129/l50



685 :651もとい超常現象 :2006/10/29(日) 09:04:13 agE+z/pO
設定完無視でも顔文字ずれても!
めげずに投稿するのが鋼の魂だって信じてる!
前スレの>>12氏が読みたいと言ってくれたんだ!


……これでさらに自爆してたらどうしよう……orz


Respect-for-the-Aged Day

「レーツェル艦長」
 北大西洋を潜行航行中のクロガネ艦内でユウキ・ジェグナンはちょうどブリッジをでた
ところのエルザム・V・ブランシュタインを捕まえた。
「ユウキ少尉か、何か用かね?」
「は、はい……あの、まことに身勝手な願いで恐縮なのですが……ブリテン近くを通ると
きに自分の自由行動を許可していただきたいのです」
「ふむ……親族でもいるのかな」
「その……祖母がロンドン郊外に。……いえ、無理なことをお願いして申し訳ありません
でした」
 一つ礼をしてその場を離れようとする。
「いや、待ちたまえ少尉。孝行したいときに親は無しと言うし、実際私はそうなってしま
っている。DC壊滅後私に付いてきてくれた者達もこの近辺に親族のある者がいるかもし
れない。彼ら達のためにも一度帰郷させなければ士気の維持も難しいだろう」
「では……」
「行ってきたまえ。他にもそういったメンバーがいるなら彼らの方にも声をかけよう」

 エルザムの声かけによって最終的に十八名ほどが要望し、またエルザム自身も最近材料
の鮮度が悪くなってきたからと市場へ足を運んだ。
「ユウのおばあちゃんてさ、どんな人なの?」
 祖母への手みやげに買ったお茶菓子と茶葉の入ったかごを持ちながら、ユウはげんなり
とした顔をしていた。
「?どうしたの?」
「……くるだろうとは思っていたが、やっぱり付いてきたな」
「何よ、そんな言い方ないでしょ?それに、将来的に親戚になるんだし」
 リルカーラ・ボーグナイン、上陸を要望してきた時点でどーせ自分に付いてくるんだろ
うと思っていたが案の定か。
 盛大にため息をついてやる。
「ちょっと、何よそれ!」
「どうせ止めたって付いてくるだろうがな、とりあえず行動には気をつけてくれ。おばあ
さまは優しいが、礼儀にはとてもうるさい人だ」
「それはもちろん!孫のお嫁さんとして、明るくって元気で、よく気の利く姿を見せなき
ゃね?」
「…………」
 ナンブ中尉は彼女以上のブロウニング少尉をよく押さえきれるモノだと感心する。
 もちろん自分は彼女に好意を抱いているし、それを否定する気など毛頭無いがそれはそ
れで接し方に苦慮する。
 訪れた住宅地。年季が入った建物に呼び鈴はなくドアノックで戸をたたく。
「はいはい、今でますよ」
 程なく戸が開いた。
「まぁ!……ユウちゃん!お久しぶり!」
「お久しぶりです、メリッサ」
 顔を出した恰幅のいい初老の女性にユウは一つお辞儀する。
「奥様!奥様ぁ!ユウちゃんが来ましたよ!」
 メリッサが奥へと入りながら呼びかけた。
「さ」
 ユウに促されてカーラも入る。
「今の……メリッサさん?……は」
「ああ、お手伝いさんだよ住み込みの。俺も世話になった」
 ……なんか違うな、と思う。この家の空気がそうさせたのか、ユウが柔らかい。
 リビングに入ると、既に待っていた。
「グランマ!」
「ユウキ!」
 テーブルの上に籠を放り、久方ぶりに再会した祖母とユウは抱擁を交わした。
「まったくこの子は……ずっと連絡の一つも寄越さないで」
「済みません、それどころではなかったもので……」
「それに久しぶりに来たと思ったら……女の子連れ?」
 抱擁を解き、カーラの方を向く。あわててお辞儀する。
「あ、り、リルカーラ・ボーグナインですっ」
「ジェシカ・ジェグナン。よろしくね……リルカさんで……よろしいかしら?」
「は、はいっ!」
 綺麗な人だなと、近づいてきた女性を見る。理想的な、そう。年をとるのならこんな風
になりたいと思える人だった。
「メリッサ、お茶の準備をお願い。準備だけでいいわ」
「はい奥様!久しぶりのユウちゃんお手製のお茶がいただけそうですものね」
「あ……メリッサ、これでお願いします」
 自身が持ち込んだ籠を預ける。
 はい、と頷きメリッサは下がった。
「さ、二人とも座って。どう出会ったのか、話してちょうだい」
 促されたとおりソファに着き、話し出す。
「あまり、楽しい話ではありませんが……」
 自分は士官学校からそのままDCへ行ったこと、しかしほとんど活動もしないまま総帥
が倒れてしまって、残党のような形になってからもL5戦役の最中エアロゲイターの襲撃
を受けていたサンディエゴへ赴き、そこでカーラを助けたことを話した。
 アーチボルドの元に居た時のことはあまり触れないようにしつつオペレーション・プラ
ンタジネットの後、ハガネ隊へと異動してそこで出会った様々な人たちのことも。
 話の間、ジェシカはずっと表情を変えなかったが、メリッサはずっと不安げな顔をして
いて話が終わるとユウに詰め寄った。
「もう!ユウちゃん!そんな危ないことをして!だから私は士官学校に行くことに反対だ
って言ったはずですよ!」
「メリッサ、いけませんよ。ユウキは人々を守るためにあえてその身を危険にさらしたの
だから私たちはそれを称えるべきです」
「奥様、でも!」
「それに、ユウキがその道に歩んだからこそリルカさんはご無事だったのでしょう?」
 にっこりとほほえんでカーラの方を見るジェシカ。
「はい。それにだからこそ私はユウに会えたって思ってますし」
 当のユウはそんなカーラの言葉に照れるわけでも困惑するでもなく、黙って自分の煎れ
たダージリンを一口啜った。
「ちょっと、どうしたのユウ。いつもなら『何を言っている』って呆れたみたいな顔するのに」
「別に何でもない」
「あ、わかった。ジェシカさんの前だからってちょっと女の子に優しい、みたいな顔しよ
うとしてるんでしょう」
「……そんなんじゃない」
 ここでようやくいつものような呆れ顔。
「あら、ユウちゃんは優しい子ですよ?」
 メリッサがカーラを咎める。
「そりゃ分け隔て無い思いやりはありますよ?でも、やっぱり女の子としては男の子にと
ってのオンリーワンでいたいじゃないですか。ユウってなーんかその辺が希薄なんですよ
ね~」
 当の希薄な男はさながら嵐が過ぎるのを待つかのように黙って茶を啜っていた。
「気恥ずかしいのよね、ユウキは」
「からかわないで下さい、グランマ」
 ジェシカの言葉には口を挟んだ。
「それよりもあなた達、いつまで居てくれるの?」
「……残念ですが、あと三時間もすれば撤収の時刻になってしまいます」
「そんな……帰ってきたばかりなのに……」
 目に見えて落胆するメリッサ。
「それなら早いほうがいいわね。リルカさん、ちょっと来てちょうだい」
「はい?……はい」
 ジェシカに連れられて、彼女の私室と思しき部屋へと来た。
「これ、貴女に身に付けてもらいたいの」
 鏡台の引き出しを開けていたジェシカから、スッと小箱が差し出される。
「これは?」
「開けてみてちょうだい」
 一つ頷き、言われたとおり箱を開けると、石が一つだけ嵌った指輪があった。
 簡素だが、年代物であると一目見て判る。
「あの子の母親、つまり私の義娘が身に付けていた物なの」
「それって……」
「昔は私も付けていて……今度は貴女の番でしょ?」
「えっと……つまり……」
 これは、保護者公認となったということでいいのだろうか。おずおずと申し出る。
「私も、グランマって呼んでいいですか?」
「おばあちゃん、とは呼んでくれないかしら?」
 そうほほえみ返されて、カーラも力を抜いた笑みを浮かべた。
「!……はい、ジェシカおばあちゃん」

 帰り道。既に日も暮れて、海岸は陸地側の外灯でほのかに薄明るい程度だ。
 ジェシカに連れられて帰ってきたカーラの手に、どこかで見た指輪が填っているのは見
て取れたが、特に何も言わなかった。ただ、出来ればその位置にある指輪は自分で贈りた
いと思っていたので、いささか悔しかったが。
 ご機嫌なカーラに、先程聞けなかった質問を思い出した。
「……そういえば、あれが普通だな」
「なにが?」
「お前の愛称だ」
 ワンテンポ遅れて、カーラの元気が弱まる。
「考えてみれば、リルカという愛称の方がすぐに浮かぶものだ」
 瓦礫と化した街で、保護した少女はこう名乗った。
『カーラ……リルカーラ・ボーグナイン……』
 そう言われたのでカーラと呼んでいたが……。
「何か、理由があるのか?」
「……昔はさ、みんなからリルカって呼ばれてたんだ」
 少し前を歩いたまま、こちらは見ずに話し始める『リルカ』。
「でも、あの時にそう呼んでくれる人、みぃんないなくなっちゃった」
 言うまでもなく、エアロゲイター襲撃の時だ。
「だから、そう呼ばれるとなんか思い出しちゃいそうで……カーラって言うのは、私が業
界に入ったら使おうと思ってた呼び名なんだ」
 彼女が業界と言うからには、芸能界のことだろう。
「ほら、テレビに映る人って私的なことでぐらついちゃいけないでしょ?だから、私が倒
れないように半分おまじないのつもりでああ名乗ったんだ」
 結局、ユウの方を見ずに『リルカ』は話し終え、カーラに戻る。
「これで、おしまい」
 ……髪をかき上げながら、ユウは若干苛立った顔をしていた。
「……成る程。一年以上もの間、俺は名女優に騙くらかされていたわけか……」
「だ、だましてたなんてそん、なあっ!?」
 慌てて振り向いて弁解しようとしていたカーラだが、結局弁明することは叶わず、強引
に腕を引いたユウに抱きしめられる事になっていた。
「ゆ、ユウぅぅぅっ!?」
 一体なにがどうなったのか、自分のボーイフレンドはこんな風に急に抱きしめてくるよ
うな情熱的なタイプではなかった筈だ。
 そこでハッとカーラは気づく。
 先程も言ったとおり、既に日は暮れていて薄明るい程度だ。
 夜の海岸線を訪れる人などほとんどいない。
 ……マックラヤミニフタリキリ……
(え……え……ええぇ~っ!)
 現在自分の置かれている状況は、ちょっと期待していた事もあるわけで、でもやっぱり
ちょっぴり怖くって。ただ、状況を考えてみ「何で……」るとこっちがずっと黙っていた
ことを打ち明け……
「……え?」
 今現在、地球圏のどこかでバイト中であろう史上最強のフリーター張りに妄想全開にな
っていたカーラの思考が、ピタッと止まる。
「何で、グランマにそう呼ばせていた?」
「それは……うん。ジェシカおばあちゃん、安心させてくれるんだよね。素のあたしでも
いいって」
「俺じゃ……」
「え?」
 何か呟いた気がしたが、それを聞き直すより先にさらにぎゅっときつく抱きしめられた。
「俺も……二人きりの時はリルカと呼んでいいか?」
 ……全身の血がこそばゆい。今さらユウと触れている部分が熱い……
「うん……そう呼んで……?」
 カーラの返事を受けると、体を離し手を引いて歩き出す。
 暗くて、カーラにその表情は読めなかった。が
(……俺、今なにをしていた?)
 内心、凄く焦っていた。
 ただ、カーラと名乗っていた彼女の心境に気づくことも出来ずにいた自分が腹立たしく、
そしてその心を酌んでやれたのが自分ではなく祖母であったことに嫉妬に似た暗い感情さ
え覚え、目の前の少女を無性にこの腕で掻き抱きたく思えて、自分にしては全くらしくも
なく衝動的に、ああ、いや違う。思考の課程と結論が逆転している。
 落ち着け、ユウキ・ジェグナン。思考を安定させろ。
 そうしてようやく冷徹な本来の思考に立ち返ってから、いたってシンプルな答えをユウ
は察した。
 ……つまり、それだけ自分がこの少女のことを好きなのだと言うことだろう。
「ユ~ウ?」
 繋いでた手を、抱きかかえるように腕で引き寄せたカーラが甘えた声を上げた。
 あと数瞬速ければ、自分の脳神経は焼き切れていたかも知れない。今も動悸は速まった
ままだが。
 声に応じようとして、本当に自分では希なことに彼女の意図するところが酌み取れてい
た。
「何だ、リルカ?」
 そう応じると、嬉しそうにしたのも感じられた気がした。
「ん~ん、呼んでみただけっ」
 躍っている声を聞いただけで気分が軽くなるが、こうあまりべったりしているのは自分
らしくないな、とつまらんことを考える。
「こら、こう密着してたら歩きにくいだろう」
 エルザムに指定されていた集合場所も近いし、こんな状況を見せるわけにはいかない。
「もう!自分から手は繋いできてくれるようになったのに!」
 だからだよ。俺たちはもっと段階を踏んで、先に進むべきだろう?リルカ……




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687 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/10/29(日) 10:19:19 9NgpXI4l
>>685
GJだぜコノヤロウ!(´Д⊂ヽ
久しぶりにユウカラにスポットライトが当たった…しかも良作…これ程嬉しい事はない…



698 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/10/29(日) 12:34:37 P9UZ361/
>>692

  すっちゃかちゃっちゃん、すっちゃかちゃんちゃん…(出囃子)

ブリット「戦場で出会った女の子に粋な計らいをするユウ。
     :
     君は、名前は何と言うんだ?リルカーラか。そうか、家族を……
     とりあえず、ついてくるんだ。食料と着るものぐらいは支給してやる。
     (なに?部隊には余計な物資がない?だったら俺の私物を分けてやればいいだけだ。問題はない)
     ん?いや、こっちのことだ。気にするな。
     ともかく、行くぞ。こんな廃墟で佇んでてもどうにもなるまい。

     それから約半年後のユウ。
     :
     おい、いつまで寝てるんだ。お前が朝食を作らないと遅れてしまうぞ、カーラ」

  バズン!(落下音)

こうですか?わかりまs


>>685
GJ



699 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/10/29(日) 12:42:52 4gtVbT6Q
>>698
GJ!
だがいい話すぎて逆に優勝できません><


704 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/10/29(日) 12:49:33 4YJH0Qi1
>>698
トウマ「Is this TUNDERE?」
ミッテ「NO, that is a tea」
助手「なんですか、その中学一年英語」

ハイル、ウキーラ!!

投稿者 ko-he : 2006年12月22日 23:17 : スレ内ネタ:SS

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