2006年12月16日
 ■  C+O+D6O2氏作 SS 「立ち上がれ大雷鳳」

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その107
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1161354805/l50


662 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/10/24(火) 01:56:10 C+O+D6O2
「君!逃げろぉ!」
その言葉の後に大きな爆音が鳴り響く。その言葉が聞こえたいた場所は瓦礫の山となり、その瓦礫の隙間からその言葉を発した軍人の腕らしきものが見えている
「う、うわぁぁぁぁぁぁ!!!」

叫び声をあげ、男がベッドから跳ね起きる
「また…、あの夢かよ…」
時々あの時の…、無力だった頃の夢を見る。
嫌な気分を替える為にベッドから起きあがり、ふらふらとした足取りで洗面所に向かう。
しかしいくら顔を洗っても胸のもやもやは消えない。
「クソッ……何だってんだよ……」
雷鳳が暴走した時も、ミナキに雷鳳を下りろと言われた時も、バランに挑んで大雷鳳を粉砕され負けた時も、この夢を見た
この夢を見る時は、必ず悪いことが起きる
そう―――必ず―――



「どうしたトウマ!?隙だらけだぞ!!」
そう赤い長髪の男が、激しい攻撃を浴びせながら、叫ぶ
「クッ……!!」
「もらった!!
刹那、赤い長髪の男の放った正拳突きが、トウマの鳩尾をとらえる
「ぐぁぁぁッ…!!」
「一本!そこまで!!」


「どうしたトウマ?今日は動きに迷いがあるぞ、何かあったのか?」
赤い長髪の男―フォルカ・アルバーグが、トウマに歩み寄りそうたずねる
「いや、何でもないさ」
「何でも無いことは無いだろう、何でもなければあのような、散漫な動きはしない」
「……お見通しってわけかよ」
「トウマとは何百回も組み手をしている、それだけやれば癖ぐらいわかるさ
もし、何か悩みがあるなら相談にのろう。俺でよければな」
「…夢を、夢をみたんだ」
「夢?」
「ああ、夢だ」
トウマが、今日も見た夢の事を、その詳細を話した
自分が無力だった時に、自分を助ける為に目の前死んでいった軍人の事
その夢を見ると毎回、悪いことが起きると言うこと
全て彼に、フォルカに話した
「なるほどな……、だから今日の組み手にも迷いが出たのか」
「ああ、あの夢を見るといっつも、嫌な事が起きる
もしかしたら、今日も……」


ブァァァァン!!
その刹那、警報が鳴る
「敵襲だと!!」
「行くぞ!トウマ!」
あの夢をみると
「クッ…!応ッ!」
悪いことが起きるのだ―――


『遅いわよ、トウマ!フォルカ!』
女は、ミナキ・トオミネは、モニター越しに、そう檄をとばす
「すまねぇ!!他のみんなは!!?」
『みんな、他の地区に現れた敵の迎撃にあたってるわ!
今この艦に残ってるのはあなた達二人だけよ!』
「…敵の数は?」
『およそ100、もしかしたらそれ以上かも……』
「一人50機、何とかなるな…」
「クッ…!簡単に言ってくれるぜ!」
「だが、やるしかなかろう」
『2人とも準備できた!?』
「こちらは大丈夫だ」
「大雷鳳!いつでもイケるぜ!」
『カタパルト!OK!ヤルダバオト!大雷鳳!発進!』

「49!50!」
2体の闘神が敵をなぎ倒し、やがて敵の姿がなくなった――かに見えた
『増援!?しかもこんなに……』
「単体ではあまり強くはないが、こう束になると厄介だな…」
「ゴキブリみたいにウジャウジャ湧きやがって!」
「だがやるしかない!行くぞ!トウマ!」
「応ッ!」

「ハァハァハァ………」
無限に、現れる敵に次第に体力を奪われてゆく
しかし敵は衰えてくれない
「まだ、出るか……!」
「ハァ…、ハァ…、さすがにキツいぜ」
『他の地区の敵は全て撤退したわ!みんなが戻ってくるまで耐えきって!』
「ああ、わかっt」
その刹那だった
「トウマ!後ろだ!」
「なっ……!?」
一瞬、たった一瞬の隙をつかれ、雷の闘神は地に墜ちる
『トォォォォマァァァァ!』


そう、あの夢をみると悪い事がおこる―――

「俺……死んじまったのか……」
男の瞳にうつるのは闇、なにもない真っ黒な深い闇
「ふっ…、あの世ってのは、なにもないもんだな」
俺は自嘲気味に言う
「呆気ねえなぁ、最後ってのは」
苦しい事、辛い事、楽しい事、全ての思い出が蘇る……
「……ん?声が聞こえる」
「も~いいよ」
「女の子の声?でも…どこかで……」
そうどこかで聞いたことがある声
「も~いいよ」
「そっか、もういいのか……」
疲れた、もう戦わなくてすむ、痛い思いをしないですむ……、もう…いいんだ……
女の子が、あの夏の日の女の子が目の前にいる
それにあの日の軍人さんも……


「どうして……」
「君は頑張った、もう辛い思いをしなくていいんだ」
「だからね…、私達と一緒に行こ?」そうか…もういいのか……
もう……いいのか……
みんなを忘れて、みんなを……
フォルカを、ミナキを……
フォルカ……?ミナキ?


「…………違う」
「えっ?」
「違う!もういいわけがない!
まだ戦っているんだ!フォルカは!ミナキは!まだ戦っているんだ!!
俺だけが!俺だけが逃げるわけにはいかないんだ!!全てを忘れていいわけがないんだ!!」
「自分から怖いことを…、戦いを望むの?」
「俺だって!怖いこと!戦いから逃げ出したい!!
だけど!!その先にある未来を掴みとるまでは、逃げ出すわけにはいかないんだ!!」
「強くなったな……少年
行け!少年いや、戦士よ!仲間の、大切な者の元に!」
「応ッ!!」


『トウマ!トウマ!トウマァァ!』
「クッ…!」
敵の数は衰えない……、精神的にも体力的にも衰弱しきっている……、指揮も冷静さをかいている…
「…もうダメか……」
そうフォルカの頭をよぎった……


「ライトニング・プラズマ・スクリュー・ダァァァァァイブ!!!」


その時、雷の闘神が、眩い閃光とともに、蘇った


「トウマ!?」
『トウマ……なの?』
「わりぃな!心配かけちまったな!」
『トウマ………
バカ!バカ!バカバカバカバカァ!!凄く!凄く心配したんだからね!!』
「ごめんな、ミナキ…」
『…生きてくれてて、よかった……』
「……トウマ」
「ん?」
「やれるか?」
「ああ!任せろ!!」


「どうやらこの敵で打ち止めのようだな…」
「だったら最後は、一気に行くぜ!フォルカ!!」
「ああ!」
「プラズマ・コンバータ!出力最大!!」
「切り裂け!ヤルダバオト!!」

「「究極奥義!!」」
「真覇猛撃!」
「神雷!」
「「烈波ァァァ!!」」

『敵反応全て消滅!私達の勝ちよ!』
「やったな、フォルカ!」
「……………」
「どうした?」
「いや、見違えた、何かが吹っ切れた顔をしていたからな」
「そうか?」
「トウマ、お前は顔に出やすい」
「へへっ、かもな」

あの時の俺は、力が無かった、無力だった……
でも今は違う、仲間が、大切な人が、守る力がある
俺はこの仲間と、この力で、未来を掴んでみせる!!絶対に!!

投稿者 ko-he : 2006年12月16日 22:52 : スレ内ネタ:SS

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