2007年03月03日
 ■  W/Hrlo6Z氏作SS「リクセント王女の休日」

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その127
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1170109601/l50



211 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/31(水) 00:24:35 W/Hrlo6Z
南瓜鋏のメガネ准尉とロリ王女みたいな話を書こうと思ってシャインの話を書いていたら、全然別物になり、
何故かシャインとトウマの話になっていた。

……投下するべき?



215 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/31(水) 00:26:21 gzCYORai
>>211
GO!GO!ブリキ大王!



217 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/31(水) 00:26:42 x8y8Zbpn
>>211
もはや問答無用で投下




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「まったく、爺は!」
シャインは怒りながら街中を歩いていた。その服装は、いつものドレスではなく、
年頃の娘に相応しいセンスの私服だ。
「会議は明日からだというのに……今のうちから口やかましく言われてたら、
参ってしまいますわ!」
ここは、日本の都市部。
シャイン王女は、リクセント公国と日本との交流を深める為に、この国に来ていた。
実際に交流のために会議が始まるのは明日からで、今日は言わばプライベートなのだ。
それなのに色々と言われるのは、シャイン王女にとっては堪らないことだった。
「だけど……どこ行こう」
日本に来る前に、ラトゥーニを始めとする顔馴染みの連中は、見事に全員が任務の為に
日本を出ていることを確認している。感情に任せて宿泊先のホテルを飛び出してきただけで、
どこか行く宛があるわけでもない。
考えながら歩くシャイン。
シャインが曲がり角に差し掛かった時。
「まいど~」
配達を終えたらしき男がシャインの方に向かって走ってきて。
「きゃっ!?」
「うわ、っと」
見事にぶつかってしまい、その反動で尻餅をつくシャイン。大して、ちょっとよろけただけの男。
「ごめんごめん。大丈夫か?」
男はシャインに手を出しだすが、社員はそれを取ろうとせず。
「無礼者!!」
大声で、そう言った。
お付きの執事は口うるさい、それに我慢できなくて街に飛び出してきたが、知っている仲間も
いない、どこに行けば良いのかも判らない。
ストレスと心細さが、限界に達してしまった。
そしてシャインは。
「う……うわあ~ん!」
「お、おい!?」
困る男を気にせず、そのまま泣き出してしまった。


「落ち着いたか?」
「……すみません。突然泣き出してしまって」
男とシャインは、近くの公園に来ていた。あのまま街中で泣かれてたら自分がどんな目に
遭うか判らないと思った男が、シャインをあやしながらここまで連れてきたのだ。
「俺こそ悪かったな。ほら、お詫びってわけでもないけど。飲むか?」
男は、缶ジュースをシャインに差し出す。社員たちが座っているベンチのすぐ横にある
自販機で買ったものだ。
「……これは?」
シャインは、差し出された缶を下から見たり、横にしてみたりしている。
「なんだ、缶ジュースを知らないのか?開けてやるから貸してみ」
男はシャインから缶ジュースを受け取り、プルタブを引いて開けてやる。
「わ……こんな便利なもの、ありますのね」
缶を受け取ったシャインは素直に感動している。
「ははは、さっきの『無礼者!!』といい、まるでどこかの国の姫さんみたいだな」
笑いながら言う男にシャインは「その通りですわ」とあっさりと返す。
「……え?」
「リクセント公国の王女、シャインですわ」
「…………」
「信じていませんわね?」
「そりゃあ、なぁ……」
男は、困ったように笑う。だが、疑ったままだと大人気ないので、そのまま付き合って
やることにする。
「俺はトウマ。で、なんで王女さまが一人で街中を歩いていたんだい?」
「それが、公務があるのは明日からなのに爺ときたら、いろいろ口うるさくて……」
「あー……」
シャインが本当にげんなりして言うので、トウマは苦笑する。この年頃の娘なら、
事細かく言われるのが苦悶なのは簡単に想像できる。
「だから宿泊先を飛び出してきたんですけど、特に行くところもなく……」
きゅるるる……と、シャインの腹から可愛らしい音が聞こえた。
「あー……ひょっとして、お腹空いてる?」
「…………」
シャインは真っ赤になって黙っていたが、コクリと頷いた。
「ははは。ちょっと待ってな」
トウマをベンチから立ち、目に付いた屋台に行く。そしてしばらくして、ホットドックを二つ
持ってきた。
「はい、お待たせ。温かいうちにどうぞ~」
「あ、ありがとうございます……」
例を言ってホットドッグを受け取るシャインだが、手に持ったそれを見ているだけで
食べようとしない。
「ん?どうした?食べないのか?」
トウマはシャインに尋ねながら、自分の分のホットドッグに齧りつく。
「あ……美味しい」
こういう食べ物とは縁が無いシャインは素直な感想を漏らす。
「ああ、中々美味いな。俺もホットドッグ屋でバイトしたことがあるけど、これは悪くない」
「バイト?」
「ああ。俺、いろんなバイトしてるんだ」
そう答えるトウマの格好は、作業着姿。もしかしてと思いながら、シャインはトウマに聞く。
「ひょっとして……仕事中でしたか?」
「ん?ああ、いや。シャインにぶつかる少し前に今の仕事が終わったところ。あとは家に帰って
風呂に入って、夜からの仕事の準備するだけだ」
平然と言うトウマに、シャインは驚く。
「夜からも……ハードな生活を送っているのですね」
「まあ、好き好んでやってるから、それほど大変でもないよ」
「そうなのですか……」
「街の観光案内のバイトとかもしたことあるんだぜ。何なら、シャインぐらいの歳の子が
楽しめるスポットを案内しようか?」
「いいのですか?」
トウマは、腕時計をチラッと見て。
「まあ、大した時間取れないから、あんまり見て回れないと思うけどな。この近くにも
それなりのスポットがあるから、そこを案内しよう」
「それでは……お願いします、トウマ」
「ああ、任せとけ。……でも、歩きながら食べ物を食べるのは行儀悪いから、まずはその
ホットドッグを食べような」


「それでは、トウマ、今日はありがとうございました」
夕日が沈む頃、トウマとシャインは元の公園に戻ってきていた。
シャインは礼儀正しく、トウマにお辞儀をしてお礼を言う。
「ああ。楽しんでもらえたみたいで、俺も嬉しいよ」
「今はお礼できるような物を持っていませんが、後日、お礼を差し上げたいと思うので……
良ければ、住所などを教えてもらっても良いですか?」
「ん?ああ」
トウマはメモ帳とペンを取り出し、住所と電話番号を書き、社員に渡す。
「またこの辺に来たら、声をかけてくれよ。今度は一日がかりで、いろんな所を案内して
やるからさ」
「はい、その時は是非」
「ああ、そうそう。ここから東の方の出口……向こうから公園を出てまっすぐ行けば、
VIP御用達のホテルのある通りに出るから。リクセント公国の人が宿泊しているホテルが
どこかは、通りにある交番ででも聞いてくれ」
突然道を説明するトウマに、シャインは目を丸くする。
シャインに街中を案内してくれていたトウマは、彼女を『王女』としてではなく、『一人の
女の子』として接してくれていた。
それなのに、今の彼の口ぶりは、シャインが王女であることを信じたもののように聞こえた。
「トウマ……もしかして、私が王女であることを信じてくれました?」
「さぁてね……俺はシャインが王女だろうと、片田舎からやってきた女の子だろうと、
縁があったら街を案内してたと思うぜ?」
シャインの問いにトウマは悪戯っぽく笑う。
「さて、あんまり遅くなると国際問題になりかねないからな。早く行きな」
「……わかりました。今日はありがとうございました」
シャインは、もう一度トウマにお辞儀をして、ホテルの方へと歩いていった。
「さて……バイトに2時間の遅刻かー……店長、許してくれるかな……」
シャインがあまりにも嬉しそうにトウマのガイドを喜んでくれるから。
彼が自分のバイトの時間を削ってまで街案内をしてくれたのは、内緒の話。


そして、後日。
彼の部屋に高価な『お礼の品』が届けられ、「あの娘、本当に王女だったのか」と
今更ながらに信じることになるのも、また別の話。





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225 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/31(水) 00:32:35 x8y8Zbpn
長大作ktkr!



227 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/31(水) 00:37:04 gzCYORai
>>220
良かったよ、GJ

まあ、アルマナさんがその役目は私だって怒ってたが、何、気にすることはない



228 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/31(水) 00:38:00 x8y8Zbpn
>>220
読んだ、読みやすくていい感じ
こういう気遣いマジうれしい



229 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/01/31(水) 00:39:13 Ebl4Pz3L
>>220
良い人だなトウマ GJ!


投稿者 ko-he : 2007年03月03日 23:04 : スレ内ネタ:SS

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コメント

こういうSS書ける人って本当にすごいね。

投稿者 N魔 : 2007年03月04日 07:40

何気に南瓜鋏が混じってる気もするけど…いいな、GJだ。

投稿者 Anonymous : 2007年03月04日 12:49

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