2007年03月19日
 ■  51lzdovC氏作SS 「袂を別つ時」

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その133
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前回の続き


499 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/19(月) 02:50:38 51lzdovC
じゃあ俺も対決を。

「降服してください! その機体じゃ無理です!」
ラリアーは叫んだ。既に南極遺跡は炎に包まれている。
恐らくペルフェクティオの軍には、万に一つの勝ち目も残されていないだろう。
目の前に佇む鋼の鷹も、既に満身創痍だ。
「断る」
しかしアクイラは、いつもと変わらず静かに答えた。
「どうしてですか! あの人本気で世界を滅ぼす気なんですよ!?」

「そろそろこの世界、滅ぼしちゃおうか」
とある日の夕食の時、完璧親父ことペルフェクティオは
まるで「次の日曜にピクニックに行こうか」とでも提案するかのように言った。
その時は誰もが「また始まったよ」と聞き流していたのだが
ペルフェクティオは居間を出たその足で遺跡の中心部へ向かい
鼻歌交じりに『門』を開いてしまったのだ。
泡を食ったジョシュアとデュミナス、そしてミーレス達は急いで遺跡を脱出した。
しかしその中に、アクイラの姿は無かった。

「お前は、デュミナスを裏切ることができるか?」
「うっ……」
突きつけられた言葉に、ラリアーは俯いた。
鋼の鷹が残された右の翼を向ける。失われた左の翼を焼いたのは、彼の兄弟達だ。
「最早言葉は不要。破滅の運命に抗う術は、力を於いて他にはない」
最早飛ぶことも叶わない鷹が、それでも一歩一歩凍土を踏みしめて進み
「抗って見せろ、ラリアー」
そして最後の力を振り絞るかのように、飛んだ。
「……ッ!」
ラリアーもまた機体を走らせた。一閃。機体の位置が入れ替わる。
「……この俺を、破るか」
静かに、アクイラが呟く。
「鍛えて……ますから」
静かにラリアーは答えた。
「……そうか」
鋼の鷹が崩れ落ちる。ラリアーは叫んだ。
「脱出してください! アクイラさん!」
言い終わると同時に、南極の中心に一際大きな火柱が立った。
恐らく遺跡内での戦闘も、決着が付いたのだろう。
アクイラはラリアーの叫びには反応せず、ただ静かに火柱を見つめていた。
「一人で、逝かせる訳にはいかん」
「そんな!」
鋼の鷹もまた、火を吹き始めていた。
「脱出してください! 一緒に死ぬことだけが、道じゃ無いはずです!」
ラリアーは叫んだ。哀願した。
「そうだな……だが俺は、この道しか選べなかった。それだけだ」
「アクイラさん!」
もう言葉は返ってこなかった。

「ねえティス、デスピニス」
「んー?」
「何……?」
「もしも……デュミナス様がまた前みたいな事をしようとしたら、どうする?」
「そんなの決まってるじゃない、あたいはデュミナス様についてくよ!」
「ラリアーは……違うの?」
「僕は……」
違う道も、あるはずだ。まだ口には出せないが、ラリアーはそう思った。


投稿者 ko-he : 2007年03月19日 16:27 : スレ内ネタ:SS

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