2006年09月06日
 ■  SRWJ+α3リアル女性ルート風 シンデレラ

スーパーロボット大戦OGで萌えるスレ その90
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1154247984/l50


134 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/30(日) 22:17:25 fGRSpRMv
唐突だが長い電波が来たので
SSを晒してみる。

シンデレラ→スレイ
魔法使い→統夜
王子→アイビス
継母→ツグミ
連れ子→カティア
連れ子→テニア
連れ子→メルア
王→セレーナ


――私はこの家で『シンデレラ(灰かぶり)』と呼ばれている。

フィリオ兄様が死んだ後は、継母ツグミとその連れ子三人に
実権を握られ・・・

「シンデレラー、夕飯、掃除、買い物、洗濯、整備、よろしく!」
「あ、インクの買出しにも行ってきて頂戴。それ済んだら原稿の手伝いもよろしく。」
「ちょっとー、ジャガイモ切れてるよ!今すぐ買ってきて!」
「チョコレートもよろしくお願いしますね♪(裏がありそうな笑顔)」

・・・今では人権団体が憤慨しそうな生活の毎日だ。
・・・時々、ベッドの中で兄様のいた頃を思いだし・・・泣いたりもした。

そんなある日、継母達の元に一通の手紙が届いた。
どうやら城からの手紙のようだ。

「お城で王子様の嫁を決めるパーティーがあるの。
招待状貰ったから行って来るわね♪」

・・・と言って、竜巻印の馬車をチャーターして自分達だけとっとと行ってしまった。
・・・連れ子たちが「玉の輿」だの何だの言っていたが、聞く気にもなれなかった。

(パーティー・・・。それなのに私はホウキ片手に一人で我が家の掃除・・・か。
・・・せめて兄様がいるときにやってくれれば・・・こんな惨めな思いは・・・。)

思わず、目から涙が零れ落ちた。
あわててその涙を腕でぬぐって否定する。

「・・・いや、泣いている場合じゃないな。泣いたらもっと惨めになる・・・。」

そう自分に言い聞かせ、ホウキを握りなおし、いざ掃除をしようと思った矢先―――
後ろから声をかけられた。

「俺もそう思いますよ。」
「!?」

・・・突然現れた赤茶色の髪を持つ17歳前後の男は、
小奇麗な薄紫色のローブを纏い、頭には茶色の三角帽子をかぶっている。
手にしているのは・・・巨大な三角の、槍?

・・・いきなり現れた、明らかに怪しい男・・・だが不思議と敵意は感じない。
とりあえず、コンタクトを試みる事にした。


「・・・まず質問させてくれ。お前は何者だ?」
「俺は魔法使いの「統夜=セルダ・ジューン」です。
月の魔法使い協会「フューリー」から派遣されて来ました。」
「・・・はぁ。」

月から来た?魔法使い?
・・・やはり怪しい。
「恵まれない人間の多角的支援が俺の役目。
・・・さっきまでの出来事は協会を通して全て見ていました。」

・・・日常生活は頼むから覗いてくれるな。惨めだから。
「舞踏会に行きたいのなら、俺が力を貸してあげますよ。」

その言葉に、少し心が動いた。
まるっきり興味がない訳ではないが、城には以前から行きたいと思っていた。

「どうやって行くんだ?」
反射的に質問を返す。統夜はすぐに言葉を返した。

「魔法の力で、です。」

――なんですと?

あまりに突拍子な答えに、思わず笑ってしまった。

「・・・ふっ、あははははははっ!
そんなあからさまに怪しい格好して、あまつさえ人の敷地に無断で入り込んでおいてよく言う!
本当にお前が魔法使いなら、証拠を見せろ証拠を!」

私の反応を聞いた魔法使いは一瞬顔をしかめたが、すぐに表情を戻すと頷いてこう言った。


「わかりました、やれって言うならやりましょう。
じゃあ俺が舞踏会にふさわしい用意をしますから、あなたはこれから俺が言う物を集めてください」

・・・何を用意させる気だ・・・?

「カボチャを一個、ハツカネズミを四匹、あとはトカゲを一匹用意してください。」

――屋敷の中を駆け回り、私は言われたとおりのものを用意した。
ネズミを捕まえるのに少し手間取ったが・・・。

「……それで。これからどうすれば?」
一仕事終えた疲れもそこそこに、たずねる。

「それじゃそこに立っていてください。カボチャやネズミから離れないで・・・。」
魔法使いはそう私に言うと、距離を取り、そのまま持っていた突撃槍を私の方に向けた。

「・・・お、おい、何をする気だ?」

魔法使い・・・統夜は槍を構えたまま言った。
「このオルゴンクリスタルの突撃槍に魔力を込め、破裂させて魔法を掛けます。
後は仕上げをするだけ・・・。」

そう言うと魔法使いは槍に気合を込めた。緑色に透き通った槍が輝きを増す。

「ちょ、待て!破裂って・・・危ないだろうが!」
破片が私に突き刺さったらどうするつもりだ、冗談じゃないぞ。
と言う意味を込めて統夜に抗議する。だが――

「動かないでくださいよ、予備はないんだから。」
・・・私の言葉を聞かず、躊躇無く――槍を破裂させた。

「殺す気か―――」

「・・・テンペストフラッシャー!」

叫び終わらないうちに目の前を閃光が支配した。

やがて爆煙が晴れてくると、そこにはさっきまでとは全く違う光景があった。

「けほっ……一体何が……?」
 
言いながら魔法使いの方へ振り向くと、驚いたことにそこには豪華な馬車の一式が。
魔法の力・・・と言う奴なのか、カボチャは馬車に、ネズミは馬に、そしてトカゲは御者へと変身していたのだ。
・・・何と非常識な。

「よくお似合いですよ。」
統夜が手鏡を渡してきたので、中をのぞき込んだ。

・・・一瞬我が目を疑った。

そこには純白のドレスにガラスの靴を身につけた私の姿があった。
きらびやかなネックレスに金剛石のティアラ。ぼさぼさの青い髪はきれいに梳かれた感じで流れ、
ドレス姿にピッタリと合っていた。

「こ、これが・・・私なのか?」
「さ、後は招待状ですね。」
統夜はそう言うと1通の封筒を私に手渡した。

・・・綺麗だの一言も言えんのか、コイツは・・・。

そんな心の中の毒つきを知ってか知らずか、統夜は続ける。
「これはフューリーの科学力の粋をこらして作ってあるので、
例えプロの鑑定でも見分けることが出来ませんから。安心して行ってらっしゃい。」
・・・魔法使い協会なのに何故に科学力?
・・・まぁ、せっかく城にいけると言うのだ。細かい事は後で考えよう。

「あ、あぁ・・・ありがとう。」
頭を下げて礼を言い、馬車に乗り込むと、統夜は声を潜めて言った。
「それよりも、あなたのドレスと馬車にかかった魔法は
本日の00:00時をもって消滅してしまうので注意してください。
それまでに目的を果たして速やかに城から撤収してください。
・・・さもないと城のDC兵にとっ捕まりますから。」

・・・何?
「ちょっと待て、主催はDCが噛んでたのか!?」
「じゃ、行ってらっしゃい。」
「って何で目をそらすか!おい!ちょっと待て!」
「じゃ、後は頼んだぞ。」
「答えろぉぉぉぉ・・・・」

私の怒鳴り声は、瞬く間に数㌔先へ遠ざかって行った・・・。

-城 舞踏会場-

舞踏会場の奥の玉座では、桃色の髪の女帝、セレーナ女王がアイビス王子と共に舞踏会の様子を見ていた。

「どう、王子。気に入った子はいた?」
「いや、まだ・・・確かにどの子も可愛いけど。
・・・さっきみたいに取り合いで喧嘩して連行される人もいるし・・・。」
「茶髪メガネと黒髪鼻血娘、赤髪膝蹴にチョコ狂いの金髪チャンね。
ま、誰でもいいって訳じゃないからねぇ。」
セレーナは溜息をつき、自分の後ろ髪を掻いた。

―おお・・・―
―あんな娘、いたっけ?―
―俺の攻略ゾーンじゃねーkいででで!―

不意に、会場がざわついた。
アイビスの目は、その騒ぎの中心・・・一人の女性に向いた。

「・・・あ。」


・・・視線の先には純白のドレスにガラスのハイヒールを身につけた、青い髪の女性の姿があった。
その女性はゆっくりとアイビスのいる玉座の前に近づき、軽く会釈をした。

「初めまして・・・王子。」

アイビスはその女性の姿に見とれているようだが、しばらくして口を開いた。

「スレイ、綺麗・・・。」

「・・・ッ!?」

おもわず「ズルッ」と言う効果音つきでつんのめりそうになる衝動を必死にこらえて、
私は言葉を返そうとする。

「え、えぇと・・・私はスレイでは・・・」
無い、と言おうとしたがその前に王子に腕をつかまれ、ぐいと引っ張られる。
「さ! 踊ろうよ、スレイ!」

・・・いや、だから私はスレイでは・・・。

・・・しばし、王子とのダンスのひと時が続いた。
だが、やたら熱いノリの曲ばかりで、どうしてドレス姿なのだ・・・?


~Motto! Motto!~

「楽しいね!スレイ!!」
ノリノリで踊りながら王子が私に言う。
「あ、ああ!」
半ばやけくそ気味に私も返す。
こうなれば、継母たちには悪いが、私が――

・・・と、その時。

―カラーン―

12時を知らせる城の鐘が、鳴った。

(―――――はっ!)

とっさに魔法使い・統夜の言葉を思い出す。

あなたのドレスと馬車にかかった魔法は
本日の00:00時をもって消滅してしまうので―――

(まずい・・・12回目の鐘が鳴り終わるまでに城を出ねば・・・ッ)

とっさにダンスを中断し、王子の手を離す。
「・・・スレイ?」
「すまない、王子様・・・ちょっとした用事を思い出してしまって。
あ・・・その、犬の散歩を忘れてきてしまって・・・はは。」

・・・我ながら苦しい言い訳だ。
「は・・・?」
「楽しかったが・・・ここで帰らせていただきます!じゃ!!」


そういい終わると、私は舞踏会場を猛ダッシュで抜け出し、城の出口へ急いだ!
「ま、待ってよ!」
後ろで王子が何か叫んでいるが、もう時間が無い。しかし――

「クソッ、走りづらい!」
当然だ。ドレス姿はただでさえ走りにくいのに、それに加えて今はハイヒール装備。
こうなったら・・・。

ドレスの裾を手でつかみ、ガラスのヒールを片方脱ぎ捨て、階段を駆け下りる!
「これでよし!」

「衛兵!彼女を止めて!」
後ろから王子の声が響く。その声に反応し、
出口をふさぐように数人の衛兵が私の進行方向に立ち塞がった!
「くっ!!」
鐘はすでに7回目だ。もはや時間が無い。
・・・万事休すか!

「ぐあっ!」
その時、衛兵の一人が前のめりに倒れた。
「!?」
その背後から現れたのは・・・
薄紫色のローブに、茶色の三角帽子・・・そして透き通った緑色の突撃槍。
「統夜!?」
「早く!時間が無い!」
統夜はそう叫ぶと、私を抱きかかえ、猛然と走り出す!!
「お前ッなんでここにいる!?」
私が訪ねると、統夜は走りながら答える。
「アフターケアって奴です。・・・この格好で侵入するのは骨が折れましたよ。」
・・・律儀な奴だ。

途中に立ち塞がる衛兵達を突撃槍であしらい、走る、走る、走る!!


――何とか馬車が繋いである門にたどり着いた。追っ手はまだここへは来ていない。
鐘はすでに10回鳴った。すばやく馬車に飛び乗る。
「馬車を出せ!」
統夜の言葉に反応し、馬車が走り出す。

―馬車の窓から、統夜が身を乗り出し、後ろの様子を確認する。
・・・騎兵隊が土煙を上げながら追ってくる。このままでは追いつかれるのも時間の問題だろう。

「タイムリミットも近い・・・一か八かだな。」
そう言うと統夜は突撃槍を構え、集中し始めた。
「何をするつもりだ?」
「槍先のクリスタルを地面に炸裂させて、その衝撃で俺達も遠くに飛びます。」
・・・アラド=バランガみたいな考えだな・・・って、アラドって誰だ。
「ちょっと待て、危ないだろうが!また――」

私が言うより先に、統夜は突撃槍の先を地面に発射した。

爆発。


――どれぐらいの時が経ったか。
私たちは、館の前の木に引っ掛かっていた。
魔法が解けたのか、いつものみずぼらしい服装に戻った私が枝に身を預けている横では、
統夜が枝に腰掛けている。

「はぁ・・・
いい所まで行ったのに、また逆戻りか・・・。
・・・こんな中途半端な夢なら、返って見ないほうがよかったかもしれん・・・。」
そう言ってうなだれる私に、統夜は言った。
「・・・それは間違ってると思います。」
「何?」

「・・・俺の先輩がこんな事を言っていました。
『不利な状況でいかに最善の選択をするか、それが生き延びる道だ。』と。
それに、一度や二度の挫折だって、時にはチャンスも与えてくれるんですから。
・・・いつも誰か助けてくれるとは限らない。あの城で暮らしたところで同じだ。
・・・貴女は自分ひとりでは何もしないんですか?」
「・・・。」

統夜はここで言葉を切った。
・・・そしてやにわに枝から飛び降りると、突撃槍を持ち直して言った。
「先輩の受け売りだけど・・・
『魔法は無くとも頭を使えば状況は変わる』・・・ってね。それじゃ。」
そう言うと、統夜は森の奥へ消えていった。

・・・魔法が無くとも・・・か。

-城の中-

城の会議室では、先ほどシンデレラが逃げる際に落としていったガラスの靴を片手に、
アイビスが兵士達に任務を伝えていた。
「この靴のレプリカを38セット作って、
38チームで持ち主を探して!
もう片方も持っているかどうか、チェックも忘れないで!」


それから3週間――


隣の町へ続く山道を、一人の男が歩いている。
薄紫色のローブを纏い、頭には茶色の三角帽子。そして手には突撃槍。

「・・・今日も野宿か・・・もう慣れたけどな。」

統夜=セルダ・ジューンは、沈んでいく夕日を見つめて呟いた。
その時、後ろからをが聞こえた。

「乗っていくか?」

聞き覚えのある声がガシャガシャ、ガラガラという馬車の音と同じ方向から聞こえた。
統夜が振り向いた先には・・・


「フッ、どうだ?
言われたとおり頭を使ってみたのさ。」

・・・数日前に、統夜が助けたシンデレラであった。

馬車を引くブフェールトモードのアウセンザイターに跨ったシンデレラは、
以前のみずぼらしい服装ではなく、頭にテンガロンハットを被り、
カウガールと言う言葉が相応しい姿になっている。

「久しぶりですね。で・・・頭を使ったって?」
「何、片方残っていたガラスの靴を競売に掛けたんだ。
そうしたらどうだ、信じられん額で落札されたのさ。」

そう言うとシンデレラは、少し笑って帽子をかぶり直した。
「だからこれからは、自分のために生きていくつもりだ。
もう兄様の過去の事には囚われないようにしてな。」

「・・・驚いた。こうまで変わるなんてな。
それで・・・良かったら、乗せてもらえますか?」
「あぁ、そのつもりで声を掛けたんだから。」

―統夜を馬車に乗せ、私は手綱を握りなおしつつ、後ろに居る統夜に尋ねた。
「それで、どこへ行くつもりだったんだ?」
「西の町です。」
「・・・私と同じだな。一緒に行こうか。」

――馬車は、再び走り始める――

ぎゅう・・・

取り残された継母たちが、とっかえひっかえでガラスの靴に足を突っ込んでいる
・・・が、誰もサイズが合わないようだ。

「誰もサイズが合わないってどーゆーコト!?」バリィ
黒髪の女性が本を破り捨てる。
「家財道具全部売り払って手に入れたのに!キーーーッ!!」グシャ
メガネの女性が酒瓶を握りつぶす。


「・・・そういえば、一人足りなくない?」
「そうですか?いつもどおりですよ。」

なし崩し的に幕。



154 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/30(日) 22:28:54 4Ok8keXB
~ココで豆知識なんじゃよ~
実はシンデレラ作中で鳴ってる鐘の音は12時の鐘の音ではなく11時45分の鐘の音なんだね
当時の時計にはクォーターリピーターという15分ごとになる鐘があったんだってバッチャが言ってた!


157 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/07/30(日) 22:30:09 OxIXsVOt
>>154
よく考えりゃそうだよな。
12時に魔法が解けるのに12時の鐘が鳴った時点で帰ろうとすれば間に合うはずないからな


投稿者 ko-he : 2006年09月06日 19:57 : スレ内ネタ:SS

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コメント

このアクティブな結末どこかで見たような・・・?

投稿者 Anonymous : 2006年09月07日 01:29

元ネタはフルメタル・パニックだな。詳しく言うと原作小説版の短編集第一巻の書き下ろし、シンデレラ・パニック。
「魔法を使う。この杖は一見すると単なるパンツァー・ファウストだが、実は魔法のロケット弾なのだ。通常炸薬の代わりに、最新の魔法テクノロジーを駆使した魔法炸薬が封入してある。操作は簡単。魔法照準機を覗いて、魔法レバーを押すだけだ」

投稿者 Anonymous : 2006年09月07日 02:24

>「魔法を使う~押すだけだ」
これ、「魔法」を全部抜いてもしっかり意味が通ってるなw

投稿者 Anonymous : 2006年09月07日 03:00

シンデレラ・パニック……他人の口から聞いたのは何年ぶりかのう。

投稿者 Anonymous : 2006年09月07日 03:32

しかしこれを見るとあれだな。
スレイの場合シンデレラじゃなくてツンデレラ(ダレガウマイコト(ry

投稿者 Anonymous : 2006年09月07日 08:15

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