【テツヤ】OG艦長総合スレ 参番艦【レフィーナ】
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/gamerobo/1163468624/l50
148 :前半 :2006/11/21(火) 09:32:42 dADTarwb
勢いだけで駄文投下だ!
火星地表。
帝国監察軍第一艦隊との総力戦は、並み居る強敵を退け、敵旗艦・コード「グリーンフラワー」を残すのみとなった。
そして、
「————斬艦刀!逸騎刀閃!!」
黒馬のサムライの極大の一太刀が、敵船を一刀両断にした。
「我等に……」「断てぬもの無し!」
『くっ、見事だ……だが汝等も、我が死への道連れに……』
両断されたヘルモーズは、火星の大気を揺るがせながら爆砕した。
「やったか?!」
「だが、まだアレがあるわ……」
爆煙の中から一瞬閃光が走り、そこに、
「何っ!?」
紫光を放つ異形の巨体が顕現した。
『陛下より賜いしこのズフィルード……今神罰が、汝等に下る…!』
「あれは…」
「ナイトメアクリスタル……!?」
現れたのは監察軍旗艦に秘められた切り札。
だがその外見は、かつて戦った第七艦隊のものとは大きく違っていた。
特徴こそラオデキヤのそれと相似していたものの、いま目の前のソレはどことなく戦艦を彷彿とさせた。
「あの形は……」
「……あの物の性質は、敵対する文明によって変化する…
ならばアレは、我々と異なる軍勢と対峙した時のモノだろう…」
コクピットシートに凭れ掛けたギリアムが言った。
バルシェム隊、あのバラン・ドバン、そして真龍王機を相手した味方軍。
その消耗の度合は激しかった。
「…まだだ!まだ俺の……いや、俺達の闘志は燃え尽きちゃいない!」
「あぁそうだ。ディーンレヴよ、その力を解放しろ!」
「ツグミ、アレのコアはどこ?」
「待ってて、今計算を……」
「…いや、あれは一片も残していけない…」
テツヤが厳かに言った。
「艦長?」
あの機体の構成物質は、敵軍の情報端末を兼ねるズフィルードクリスタル。
それを逃してみすみす、自分達の敵勢を強化させてしまう訳にはいかない。
さらに生半可な攻撃では、あれが持つ超常の自己修復能力の前に無力にされてしまうだろう。
ならば、その再生が追い付かない程、かつ組成レベルでの破壊をしなければならない。
だが、現在のハガネ一隻ではその威力に遠い。
149 :後半 :2006/11/21(火) 09:37:19 dADTarwb
「エイタ、主砲のエネルギーは残っているな?」
「は、はい!ですが、あと一発分です」
「そうか、よし、艦内の全回路を回せ。それから……」
テツヤは操舵士に、ハガネをヒリュウ改へと近づけさせた。
「エンフィールド艦長」
「オノデラ艦長、やはり……」
二隻の戦艦は、ズフィルードから少し距離を置いた所で接近した。
「自分に、考えがあります」
レフィーナはテツヤの意図を理解していた。彼女も、同じことを考えていたのだ。
そして。
二隻は接舷する程に近付いた。
等速に同期化させ、二門の艦首砲を目前の結晶巨体に照準する。
だがそこに、
『神の裁きを受けよ!』
ズフィルードはその体を十に分割し、そのひとつひとつから微光が迸る。
『心せよ!ジーベンゲバウト!!』
十のクリスタル体から、十の光線が放たれた。
その強烈かつ高密度の光芒は位相を複雑に変えながら、体勢を整えつつあったハガネとヒリュウへと迫る。
「———ここはおれが!」
光線が迫る間際、ジガンスクード・ドゥロが高速でヒリュウの後背から飛び出した。
十の閃光が激しくその装甲を穿つ。
「タスクッ!」
スィーガーリオンのコクピットでレオナが叫ぶ。
十の光が高明に交錯する中、タスクは耐え続ける。
「ぐっ…うぅ…うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
晴れた噴煙から、紫電と火花を散らすジガンスクードが現れた。
「受けきったぜ、艦長さん、あとは任せた……」
地表に激突する直前でズィーガーリオンに回収され、黒煙を上げながら後方へと引き下がる。
「ありがとうございます、後は私が———いえ、私たちが!
艦艇前進、最大船速!」
「総員、対ショック!」
二隻は、再結合し始めたズフィルードへと突撃した。
放たれた矢の如く、その距離を急速に縮めて行く。
『ぐっ…おのれ、汝等………ッ!』
展開されたフィールドをも、両艦の艦首自体で貫通させる。
そして今まさに、巨大結晶体を目前に捉えた。
「この距離だ。これで……!」
「ええ、終わりにします!」
「ハイパートロニウムバスターキャノン、」
「艦首超重力衝撃砲、」
「「発射ァァァァァァ!!!!」」
猛る二条の咆光が、空間を灼きながら紫の異船に放たれた————
膨大な閃光が、結晶の機動体を直撃する。
『バ、バルマーに……栄光あれ—————』
エペソの今際の残響もろとも、ズフィルードは消滅した。
150 :蛇足なおまけ :2006/11/21(火) 09:38:52 dADTarwb
静寂の訪れた火星に、二隻の戦艦が鎮座している。
「……状況は?」
「はい!敵勢力、残存機無し。作戦、終了です」
「そうか、ふぅ……」
ホッと胸を撫で下ろすテツヤ。
「——それにしても、無茶なやり方でしたね」
「ああ、自分でもそう思う……」
そこへ、通信が入ってきた。
「お疲れ様です、オノデラ艦長」
レフィーナが、凛と敬礼する。
「見事なお手前です」
「い、いえ……ヒリュウのお力添えがあってこその……」
「…ですがこれで、少しは…」
「ええ。今日は、静かに眠れそうですね———」
テツヤはどっと、艦長席に身を預けた。
151 :それも名無しだ :2006/11/21(火) 10:27:09 /Xetubx1
GJ!
152 :それも名無しだ :2006/11/21(火) 12:58:30 HHdKAsfD
GJ!
しかしタスクかっけー!
153 :それも名無しだ :2006/11/22(水) 19:50:07 aYaa+g7R
二人の最初の共同作業GJ
154 :それも名無しだ :2006/11/22(水) 20:03:59 UpHCHRuD
軍えらい人会議がそろそろ行われてもいい時期ではないかと。
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
ディバイン・ウォーズに関する艦長クラスの扱いに関して討論している中
158 :それも名無しだ :2006/11/23(木) 02:59:55 6SwM8HKp
リューネもクスハもリオもガーネット姉さんも普通に原作どおり可愛かったのに(アヤ姉は凛々しかったがw)
レフィーナたんだけなんで毎回毎回あんな微妙な作画なんだ……
もう再登場の時はあの清楚さと可憐さをちゃんと前面に押し出すべきだな
159 :それも名無しだ :2006/11/23(木) 03:27:53 i2H2uX2w
ハゲドウ
OPとEDぐらい可愛く描いてホスィ
つーかこのペースで本当にテツヤとレフィーナ出会えるんだろうか
なんか非常に不安になってきたお
160 :それも名無しだ :2006/11/23(木) 03:44:17 99LUKhoM
そんな発狂しそうなこと言うんじゃない……ッ!!
『出会えるんだろうか。』じゃなくて出会って貰わなきゃ困る……ッ!
出会ったらせめて身長差が知りたいので隣に立つくらいは……ッ!
隣に立ったらついでに話してみたり……ッ!
話ついでにラブコメなんかも必要でしょうが……ッ!
161 :それも名無しだ :2006/11/23(木) 03:49:17 2et4Kxp9
まずはお互いとっとと敵目標を攻略してもらわないとな。
今回で艦と人間との大きさのバランスがわかったわけだが、やっぱり宇宙戦艦はでかいな。
リアル空母にも一つ二つ街が作れる程度の施設が整っているらしいが、
ハガネ・ヒリュウ改には何がどれくらいあるんだろうか?
マクロスとかヱクセリヲンほどとは思わないが、片方が片方を案内できるくらい多彩ならいいなぁ。
162 :それも名無しだ :2006/11/23(木) 04:01:01 lQzD9D8F
案内で一日一緒にいられそうだなぁ……んで翌日はもう片方の艦を案内すると
>>160
それなんて萌えアニメwww
個人的にダイテツの「行くぞテツヤ大尉〜」のセリフの後にテツヤの返事を入れてほしかったかな
なんていうかちょっと戸惑いながらも決意して返事するカンジで
167 :それも名無しだ :2006/11/23(木) 16:37:04 mmBlMmC8
>>161>>162
とりあえず 案内=デート という見解でおk?
168 :それも名無しだ :2006/11/23(木) 16:51:55 2et4Kxp9
>>167
本人達はともかく、周囲はそのようにしか見ないだろうよw>案内=デート
169 :それも名無しだ :2006/11/23(木) 20:45:39 MwSllJej
もちろん食堂とか入浴場とかも社会科見学のように実際に体験してもらいながら案内するんだよね?
170 :それも名無しだ :2006/11/23(木) 20:58:51 oEt5xVqi
ハガネに降り立つヒリュウ改の艦長を案内するのはてっちゃんだけ!
171 :それも名無しだ :2006/11/23(木) 21:05:23 wtKNOzds
なんか戦艦内部を想像するって秘密基地とかの想像するみたいでちょっと燃える
娯楽施設の類と普段いるブリッジの案内も頼むぜてっちゃん!
172 :それも名無しだ :2006/11/23(木) 21:25:22 LJQF+j/L
シメは自室案内の方向でお願いします
173 :それも名無しだ :2006/11/23(木) 21:33:34 Te9WuLPu
自室案内なら>>162にちなんで翌日ヒリュウ改の案内の為にお泊りの方向でヨロシク
174 :それも名無しだ :2006/11/23(木) 22:04:45 32d0LSEi
どっちがベッドで寝るかで譲り合いバトルが始まるんだな?
もうテツヤと会話=レフィたん大活躍の感覚になってきつつある
175 :それも名無しだ :2006/11/24(金) 04:15:40 cRSVRExz
>>174
お互いパジャマ着て枕持ってベッドの横でそんなことやってるのかと思うと……!
176 :それも名無しだ :2006/11/24(金) 07:24:11 ROaCVf1c
>>174
リー(ナイトキャップ+愛用枕装備)「首席かつ年長の俺がベッドに寝るのは当然だろう。貴様らは床に寝ていろ!」
テツヤ「どこから出てきた!女性を床に寝かせられるわけないだろう!!」
リー「(ぬぅ、この俺が貴様らが心置きなく一緒に寝られるように気を使ったというのに……)だからお前はいつまでたってもNo.2
なのだ!」
テツヤ「なんだとぉッ!」
で、レッフィーそっちのけで口論するテツヤとリー、あたふたするレッフィー。そんな様子を見て微笑みつつ目が笑っていないショ
ーン、と。
177 :それも名無しだ :2006/11/24(金) 09:07:19 dxYGGYzx
自分から憎まれ役を買って出るリー、モエス。
178 :それも名無しだ :2006/11/24(金) 14:30:34 C6btZMJR
内心すごく気を遣ってるのに根本的な部分が気遣いできてねーよリーたんwww
181 :それも名無しだ :2006/11/24(金) 20:23:53 kmx/DLFH >>176
前スレのコタツネタの時といい完全に部屋に居座る気満々だなリー!
180 :それも名無しだ :2006/11/24(金) 20:21:05 GGV6TvJ5
№1の俺としては珍しく、休憩室でテツヤとコーヒーなぞ飲んでいた。
まぁそれだけでは暇なので、少々ちょっかい出してやろう。
「ところでテツヤ、レフィーナ中佐との仲はどうなった?」
「ななな、なにを言っている!?」
こいつの反応は分かりやすい。
こちらもからかい甲斐があると言うものだ。
「お前も結構良いと思ってるんだろ、ええ?」
「う、うるさい!お前には……か、関係ない」
顔を赤らめて俯いた。お約束だな。
じゃあここは一つ、揺すってみるか。
「彼女もなかなかだよな。弱冠の艦長、しかも才女だ。ハッハッ、まるでこの俺に巡り逢うために現れたようなものじゃないか?」
「な、なんだと?!」
「フッ、お前がほっとくならこの俺が……」
「何ぃっ!?」
ほらほら、立ち上がっちゃって。
まったく遊ばれ者め。
「そうだな、今度酒席にでも誘うか。うん、そうしよう」
「リー!」
「おおっと、お前は呑めないんだったな。フッ、詰まらん男だ」
「くっ…うぅ……」
おいおい、ここまで言われて「俺は!」とか無いのか?
こいつの旧態思考回路には頭が下がる。
「………本当に、お前は…」
おっ、来たか。
「俺が?」
「お、お前は…その……エンフィールド中佐を……」
「ハッキリ言って欲しいな」
さぁ聞かせろ、お前の本音を!
「……………いや、何でもない」
ん?待てよ。帰る気か?
何だその寂し過ぎる背中は。
「彼女と、楽しんで来てくれ…」
違うだろ。
だから、俺はお前のことをだな!
「……もうすぐ休憩も終りだ、先に行ってるぞ」
そして、彼女をデートに誘うと誤解された俺が残された。
———まったく、これくらいの策も見破れんとは、
「……だからお前は、いつまで経っても№2なんだ」
あいつに奢らせてやった不味いコーヒーを飲み干し、その場を後にした。
182 :それも名無しだ :2006/11/24(金) 20:36:34 kmx/DLFH
>>180
リロってなかったゴメソ
リーカッコイイぞリー、あと一押しだGJ!!
184 :それも名無しだ :2006/11/25(土) 00:39:27 CFsj94wq
リーの株が急上昇中ですね
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
185 :それも名無しだ :2006/11/25(土) 02:25:30 agewPCti
リーたんハァハァ流れを豚ギって木綿
レフィが小型船に乗ってハガネに着いて乗り移る時に
ハガネがグラついてレフィがこけそうになる
それを案内するために待っていたテツヤがすかさず
手を差し延べて「だ、大丈夫ですか?」
しばし見つめ合った後に紳士がレフィの後ろから咳払い
というのを風呂入ってる間ずっと考えてた
186 :それも名無しだ :2006/11/25(土) 06:31:16 4FFhTkzl
>>185
よし、そのナイス萌えの続きを今度はご飯食べながら考えるんだ!
テツヤの方に思いっきり倒れこむ位の揺れと
紳士の咳払いで慌てて離れて赤面するアクションを期待
187 :それも名無しだ :2006/11/25(土) 08:03:48 MvgLcJrf
分かってるさ……次は寝ながら考えるんだろう?
枕元に写真でいいかな?
188 :それも名無しだ :2006/11/25(土) 08:31:23 qqGXap6u
うん。起きたら夢で見た事を思い出して語る・・・って夢にまでみるなんてウラヤマシス
>>185
会った早々ラブコメとはやりすぎだ…! 朝からこれじゃもたないぞ…!!(*゚∀゚)=3
189 :それも名無しだ :2006/11/25(土) 09:11:17 1piqrOX+
>>187
>枕元に写真
てっちゃんなら…てっちゃんならきっと
自室に案内してる最中に気付いちゃったりするんだろうなぁ…
そういえば枕元に艦長さんの写真を置いてるコトを。
190 :それも名無しだ :2006/11/25(土) 09:25:02 ioi4/mN8
右側の枕元にレフィーナ艦長
左側の枕元にダイテツ艦長
頭上の枕元にリー艦長(本人が無理矢理設置)
の三竦みか('∀`)
191 :それも名無しだ :2006/11/25(土) 10:00:15 75KmZyJJ
>>190
なにその朝まで右側向いてしか寝ること確定な配置www
192 :それも名無しだ :2006/11/25(土) 10:02:27 Gw+0yP64
冬の割に良く晴れた日の正午前。
その日の午後からは、ハガネ艦内での会議が行われる。
ヒリュウ改の発進口では、連絡艇に乗り込むレフィーナとショーンの姿があった。
「…本当に、宜しいのですね?」
改めての、念を押すショーン。
「ええ、決めた事です」
涼しい顔で応えるレフィーナ。
この日彼女は、ハガネへ行く小型艇の操縦を自ら買って出たのだった。
「操縦を、なさったことは…?」
「仕官学校時代に、何度か」
実践の経験はないと言うことか、とショーンは内心溜め息を付く。
「———ところで、自転車は乗れますか?」
我ながらどうでもいいようなことを口にしたショーン。
彼女の返答は爽やかな微笑みと共に、
「自転車ですか? ええ、もちろん…」
随分細い藁に縋ったものだと、思ったのも束の間。
「……乗れません」
「!?」
こんなことなら、自室の棚に仕舞い込んだ取って置きのVVSOPのコニャックを飲んで置くべきだったと、天を仰ぎ見るショーン。
(ああ、ダイテツ艦長、そちらで一席汲み交わせるかも知れませんな……)
「ヒリュウからの連絡艇、発艦しました」
「そうか」
ハガネの艦橋でクルーが画面を見詰めていた。
「あれ……でもあの動き…」
「どうした、リョウト?」
「あ、はい、あの船の動きがどうも……何と言うか、アクロバティック過ぎるんですよ」
「何っ?」
「アイビスさんかな…?」
「レオナじゃないの?」
「う〜ん、でも、ちょっと違う気が……誰が操縦してるんだろう…」
「そうか……よし、俺はハッチに行く。お前達は、引き続き様子を見ていてくれ」
「分かりました」
そして、ハガネの船倉。
開け放たれた艦口の向こうから、猛スピードで迫り来る機影があった。
「な……!? か、各自、自分の身の安全を!」
構内に突き刺さるとも思われた機体は、急激に速度を緩め、極めて静かにハガネへの着艦を済ませた。
「ふ〜ぅ、何とかなりましたね……」
「エ、エンフィールド中佐……まさか…貴方が操縦を?」
コクピットから、僚艦の艦長が顔を覗かせた。
「はい、そうです。あっ、出迎えて下さったんですか?」
「え、ええ…まあ」
彼女は立ち上がり、小型船から降りようとした。
だがその時、ハガネが大きく揺れ動いた。
『艦長、前方に乱気流が発生しました。みなさん、何かに掴まって下さい!』
「な、なんだと?!」
「きゃ……!」
身がよろけ、倒れそうになるレフィーナ。
「あ、危ない!」
テツヤはとっさに右手を伸ばし、自分の方に倒れ掛かったレフィーナの手を掴む。
だがまだ彼女の体は揺らいでいた。その勢いで、レフィーナは体ごとテツヤに向かって倒れ込んだ。
———今、二人の様子を俯瞰出来る者がいたら、その人は。上下に重なり合った男女の姿を目撃しただろう。
艦の揺れはまだ収まらない。テツヤは必死に腕の中の彼女を守った。
数十秒後に揺れは収まり、艦内は安堵の空気に包まれた。
ほっと息を吐くテツヤとレフィーナ。
「大丈夫ですか…?」
「え…ええ、有り難う御座いま………」
一瞬後、二人は自分達の現状を鑑みて、固まった。
自分の目の前、極々至近距離に、相手の顔が存在している。
思考も感覚も追い付かない。言葉は詰っていたが、合った視線が離れない。
二人はしばし、ただ見詰め合っていた。
「ん〜……コホンッ」
そしてそこへ、今まさに連絡艇の中から出て来た副官が、左手を背中に、右手を口元に当てた模範的な咳払いをした。
顔をやや下に向け、器用に片目だけで二人に視線を送った。
「お二方、お取り込み中申し訳有りませんが、これから会議が……」
「「!!??」」
互いに飛び退るように身を引いた。
恥じらいと戸惑いと困惑と逡巡と、ほんの少しの名残惜しさを抱きつつ、二人はショーンをちらりと見、そして再び互いの顔を見てぎこちなく笑った。
見れば、互いの顔は赤よりもなお紅い。
「あっ、そ、その…で、では、こちらへ……」
震える真っ赤な手を行き先に伸ばし、テツヤは議室へと、二人の前に立って歩き出した。
「ふむ、なんともまぁ……」
ショーンはふと独り言ち、今日の空の冒険と、数刻前のアクシデントを思い浮かべた。
「まあ、生きていて何よりですな……」
まだ青い自分の顔を撫でつつ、ショーンは若い二人の艦長に付いて行った。
194 :それも名無しだ :2006/11/25(土) 10:37:01 ry/KtS0l
>>192-193
GJ!超GJ!勝手万歳!
この後会議中にふと目が合ってしまい思い出して意識しまくるのかと思うとたまらんな
195 :それも名無しだ :2006/11/25(土) 12:00:02 vUpo+lMK
>>192-193
ものすごい萌えの中で紳士副長イイ味出してるな〜グッドジョブ!!
>>194
書類とか記録媒体の受け渡しで手と手が触れ合って意識するのも忘れないでくれ。
198 :それも名無しだ :2006/11/25(土) 18:16:34 71VlnQwU
周りに誰も邪魔をする人はいないのに、なぜか進展しない。
手を繋ぐだけでドキドキ。ちょっとした事故でも起きれば顔が真っ赤。
そんな二人をみんな歯がゆそうに見守っている。
そんな関係が大好きだ。
なにが言いたいかというと>>192-193GJ
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199 :それも名無しだ :2006/11/25(土) 20:35:19 N9SAxbvd
うっかりレフィたんのパジャマ姿想像したら萌え死にかけた
200 :それも名無しだ :2006/11/25(土) 23:11:32 QVjvc6J3
>>199
もちろんピンクにウサギさん柄のパジャマだよな?
抱き枕とか使ってるのかなぁ…
201 :それも名無しだ :2006/11/25(土) 23:23:35 JqdYKbi0
俺にはテッチャン人形を抱いてるのが来た。
202 :それも名無しだ :2006/11/25(土) 23:30:14 N9SAxbvd
>>200
すまん、黄色か水色の薄手のパジャマをイメージしたんだ…柄までには至らず。
想像力不足で申し訳ない。
ただ、酷く破廉恥で書くのも憚られるが、うっすらとぱんつが透けて見れる様をちょっと…
204 :それも名無しだ :2006/11/25(土) 23:35:54 /6Rusbfi
てっきり男物パジャマの上だけをブカブカ状態で着てるのかと(´・ω・`)
218 :それも名無しだ :2006/11/26(日) 23:25:55 jIQtsh+e
>>204
うわあああああああ
テツヤ「あ、あの……よ、よいのですか?……その」
レフィーナ「いいんです、ふふ……テツヤさんの匂いがします」
うわあああああああ
205 :それも名無しだ :2006/11/25(土) 23:57:29 N9SAxbvd
パジャマって、薄手だと透けて見えたり線がはっきりと浮き出たりで何かもうたまらないところがあるんです。
かといって、緩めなつくりですから翻ったりめくれたりも。なぜかパジャマのときって結構無防備に動いたりするのでなおさら。
あと、パジャマを着ているときっていうのは素足でいる場合が多いですし、
だいたいお風呂あがりなので清潔感もあるし、いい匂いがしたりお風呂上り独特の色っぽさも感じます。
部屋着がパジャマ、という人もいますが、生活感があってそれはそれで。
起き抜けのパジャマ姿も素晴らしいですね。寝乱れていたり、寝ぼすけさんだったり。
サイズも、大きめでもぱっつんでもアリですよね。
つまるところ、レフィたんでそんなこと考えてしまったわけです。ごめんてっちゃん(´・ω・`)
206 :それも名無しだ :2006/11/26(日) 00:03:15 uDNkyiDR
なんか長々とキモくてすみませんでした。
207 :それも名無しだ :2006/11/26(日) 00:05:37 kgRMB65D
いやいやパジャマの良さを実感した
208 :それも名無しだ :2006/11/26(日) 00:07:51 jIQtsh+e
>>206
なかなかのパジャマ談義ですよ
インド発祥の言葉らしいね >パジャマ
ちなみに欧米では『パジャマパーティー』と言う素敵な風習がある
209 :それも名無しだ :2006/11/26(日) 03:47:33 0+smE9uh
一人だけてっちゃんのパジャマ姿で萌えててゴメン(´・ω・`)
一人だけてっちゃんのパジャマでパンツスケを想像しててゴメン(´・ω・`)
210 :それも名無しだ :2006/11/26(日) 07:40:43 xcscvRT4
テツヤの寝間着……
シャツとトランクスだけって考えた俺は破廉恥なのかも知れん。
211 :それも名無しだ :2006/11/26(日) 15:26:28 bJKv+BWh
今日、N9SAxbvd氏のおかげでパ ジ ャ マ 萌 え に 目 覚 め て し ま っ た 。
新天地に一歩踏み出した気分だ。
212 :それも名無しだ :2006/11/26(日) 21:36:42 jIQtsh+e
パジャマか……実に良いな。
213 :それも名無しだ :2006/11/26(日) 21:37:37 uDNkyiDR
>>211>>212
(`・ω・´)人(`・ω・´)人(`・ω・´)
214 :それも名無しだ :2006/11/26(日) 21:51:01 rptaNX6K
急ごしらえで やけに首が長くなり
色ムラが目立つが 俺はこのパジャマを
推して参る
ホント急いだから変なのさ…
ω・)ノシ
215 :それも名無しだ :2006/11/26(日) 21:54:30 FQBDXGDy
>>211-213
俺も……パーティに参加させてくれないか?
216 :それも名無しだ :2006/11/26(日) 21:56:19 aw0Thm39
>>214
まさにエロス!
これはテツヤとy(ry
217 :それも名無しだ :2006/11/26(日) 23:20:51 TbRzFQM+
>>214
ちょwwwWwGJ!!
このシャツはテツヤのでFA?
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
220 :それも名無しだ :2006/11/27(月) 04:48:40 6RGT7+ck 多少長引いた作戦協議が終わり、テツヤとレフィーナは、計らずもいっしょに廊下を歩いていた。
「また基地が墜とされたようですね——」
「やはり、敵の目的が——」
あくまで事務的な会話が続けられていた。
しばらくして、二人がテツヤの私室に程近い曲がり角に差し掛かった時、
「ニャハハ〜♪く〜らえ〜!」
「んニャ!あぶニャーでしょ!」
道の奥から、戯れる子供たちのような声がして来た。
「あれは、確かマサキの連れの…」
「あの可愛い子猫さんたちですね」
ふっ、と今までの険しかった二人の表情が和らいだ。
テツヤは訝しそうに、レフィーナは好奇そうに、声のする方へ歩み寄った。
二匹の楽し気なお喋りが大きくなって行く。
「お前たち、どうしてこんな所に」
「ふふ、楽しそうね」
「ニャ?艦長さんたち…」
「そっちも仲良さそうだニャ〜ン」
「な、ななな……何を言って…!?」
とたんに赤くなるテツヤ。
「ニャッハッハ〜、赤くニャった〜」
「分かりやすいニャ〜」
その様子をクスクス笑う白と黒の猫。
一方レフィーナは意に介さずか、平静を装っているのか、膝を折って猫と目線の高さを合わせるように屈み込んだ。
それからふと気付き、不在の主人を尋ねる。
「あら、マサキさんは?」
「それが…マサキはまた迷子にニャっちゃって……」
「探すのもメンドーだからオイラたち遊んでるのニャ。えいっ!」
「あら、そうな……キャ!?」
突然、白猫が前足に持っていた水鉄砲が、目の前のレフィーナに向けて火を、いや、水を吹いた。
「シロ!ニャにするニャ!」
抗議する黒猫。
その小さい銃からは想像出来ない程の水量が、レフィーナを濡らした。
「ニャ〜ハハ〜、逃〜げろ〜!」
正に猫の素早さで去って行く白猫。
「もうシロ!…ごめんニャさい、今度ゼッタイ謝らせるニャ」
一礼して追い掛ける黒い猫。
二匹が風のように去って行った後には、うろたえる男と、濡れた服を着た女が残された。
「あ…アハハ、やられちゃいました…」
服が体にまとわり付いたレフィーナが、童心に帰ったような笑顔を向けた。
舌を少し出したその表情が、それを向けられた男の困惑さを加速させる。
「あぁ……いや、その…」
あたふたと考えを巡らす、小踊りをしているようなテツヤ。
「じ、自分の部屋がすぐそこにありますので、そこで…」
衣服を乾かそうと、彼なりの精一杯の気遣いで、やましさの無い進室を勧める。
「いえ、このくらい大丈夫で………へくしょん!」
小さくも大きいくしゃみが、二人を数瞬沈黙させた。
「……やっぱり、良いですか?」
ほんのり赤らんだ顔で尋ねる。
「え、ええ…風など引いてしまってもいけませんし……では、こちらへ」
テツヤは、何故か彼女よりも赤い顔で、レフィーナを自室へと案内した。
「で、では、これで乾かせますので…」
暖まった部屋で、固いままのテツヤが言った。
部屋の隅に立った彼の眼前には、白く四角い中型の乾燥機がある。
「あの…それが…」
肩口に手を掛け、少しもじもじした様子のレフィーナ。
「…な、中まで、濡れてしまったようで…」
ピンク色の頬と、恥じらいを秘めた上目遣いで呟く。
「 」
声にならないテツヤ。
「できれば……着替も、貸して頂けたら…」
驚愕と呆然の中、何とか空返事をし、フラフラと衣装棚を開ける。
「……いやぁ…着て頂けられるようなモノは…」
中身をぎこちなく漁り、嘆息するテツヤ。
すると後ろから、
「これで良いです。あっ、良いです……か?」
白いYシャツを手に取り、哀願するような目線を送るレフィーナ。
体の濡れではない潤いが、その眼に見えたような気になる。
「あ、は…はい、そそそれで…よろしければ…」
そして、レフィーナは大事そうにシャツを抱えて、
「では、着替えて来ますので…」
「は、はいっ」
タオルを渡し、洗面所を兼ねた脱衣所へ見送る、気もそぞろなテツヤ。
静かな部屋に布の擦れる音が細やかに伝わる。
数分後に戻ったレフィーナを、テツヤは更なる驚愕で迎えた。
彼女の手には、濡れてはいるが綺麗に折り畳まれた衣服。
そして、彼女自身は——
テツヤが見たのは、シャツと、その隙間から覗く生地だけを纏った姿だった。
露でありながら隠されてもいる、たおやかな肢体。際どくも流麗な曲線が、テツヤの目を引き付け、同時に反らさせる。
彼の顔はまだ赤く、寧ろ一層色濃くなった。
「こんなに、濡れてしまったので……」
指が少ししか出ていない手を小さく振り、裾下から細く延びた裸足の脚でテツヤに近付く。
「か、乾燥機が…ありますので」
目の向け場に困りつつ、テツヤは部屋の隅へ向かった。
「あとは、乾くのを待つだけですね」
憂いが去った為か、元気を取り戻した様子のレフィーナ。
「それにしても、あの猫さんたちには困りましたね」
座布団に座り込み、穏やかな視線をテツヤに送る。
「そ、そうですね…」
どうにか目線の向け場を見い出そうとするも、結局テツヤは失敗し続けた。
「さ、寒くは、ありませんか…?」
熱さによるものでは無い汗をかきながら、ちらりと、極めて薄着な彼女を伺う。
「いえ、大丈夫です」
手の出ていない右手を上げ、にこやかに頷き返す。
そしてその上げた手を顔に近付け、
「優しい香り…テツヤさんの、匂いですね…」
袖の匂いを確かめる様に、薄く色付いた頬を隠す様に、レフィーナは言った。
静かな部屋には、規則正しい乾燥機の駆動音が沈黙を妨げるように鳴り続く。
その言葉に、真っ赤になったテツヤは必死に繕った微笑で答えた。
223 :それも名無しだ :2006/11/27(月) 07:15:04 JRshafsO
朝からこんな素晴らしい萌え絵と萌えSSを拝めるとはっ!
みなさん超GJです!パジャマの上半分&Yシャツサイコー!!(*゚∀゚)=3
224 :それも名無しだ :2006/11/27(月) 07:36:54 oY5dM6G4
絵師さん&>>220-222
な、なんてGJな萌え……ッ!!
エロスやら匂いやら男性用で大きいやら……もうダメだ……萌え死にそう
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
229 :それも名無しだ :2006/11/27(月) 23:02:56 v1osmWhN
〜連邦軍士官学校卒業式当日〜
「もう卒業か………はやいものだな……」
士官学校前にて校舎を見上げつつ呟く青年、テツヤ・オノデラは今日士官学校を卒業する。
人一倍努力をし、人一倍実力をつけていった彼は卒業生中2番の成績をおさめた。
なぜ2番か?それは、
「はやかったな、テツヤ」
この男、リー・リンジュンがいたからだ。
常にリーはテツヤの上を行き、将来有能な上士官になることを約束される実力を持っていた。
「リー、お前は卒業したらどうするんだ?」
「俺はすでに配属先が決まっている。人のことより自分の事だろう?」
「…………そうだな…」
この時、テツヤはまだ配属先が決まっていなかった。しかしテツヤはそんなことを気にしていなかった。
「そんなことは卒業してからでも遅くない。今日は卒業することを共に祝おうじゃないか、リー」
「ふっ、だからお前はいつまでたっても二番手なんだよ。だが、今日くらい悪くないな……」
「とにかく、他のやつらも誘って今日は楽しくやろう」
「ふっ、いいだろう。…………卒業おめでとう……だな」
「あぁ、卒業おめでとう」
231 :それも名無しだ :2006/11/28(火) 03:41:41 JnBWxcwZ
>>229
GJだったぜ!
あいかわらずリーはツンデレだなwwwwW
238 :それも名無しだ :2006/11/29(水) 20:02:38 +2fJ+6zb
上で士官学校とか書いておきながら、まったくの別ネタで初SS投下
たぶんOG2後
239 :週末の過ごし方 :2006/11/29(水) 20:03:49 +2fJ+6zb
「……こちら伊豆基地、ハガネを確認しました。伊豆基地はハガネを歓迎します」
「誘導レーザー受信、オートパイロットに移行」
「進路そのまま、まもなく接岸します」
「……よし、機関部の点検を行ったあと半舷上陸にする!」
各オペレーターの了解が聞こえたあと、誰にも聞かれないよう小さく、テツヤ・オノデラ艦長はそっと吐息をついた。
艦長業務に突入してから一年が経ったとはいえ、副長の時とは違った緊張感にはやはり慣れることはない。
「少佐は休暇、どう消化するんです?」
「……ダイテツ艦長の親族からお誘いを受けてな、俺がこちらにいる間に一周忌をやろうという話になっている」
「…ああ。もう一年になるんですね」
配属が遅れているので副長代行をしているエイタが顔を曇らせる。
ダイテツ・ミナセが鍛えてきたこの艦のクルーにとって、彼は大きな父親のような存在であったのだ。
だがエイタはニタリと笑い(本当にそう表現するにふさわしい表情だった)、
「僕はてっきり、レフィーナ艦長をデートにでも誘うのかと思っていましたよ」
とかのたまった。
「なな、なにゅ、何を言っているんだ!」
「いや、ちょうどヒリュウ改もここに停泊してますし。ユンから聞いた話では上陸のスケジュールもピッタリ合うみたいだし」
「そ、それは機密漏洩だぞ!」
「細かいことはいいっこなしで。
で、どうなんです?なにか進展ありました?」
エイタが嬉々として尋ねてくる。
…えらくハイになっている。ユンから聞いたとか言ってたから、案外彼もデートでもするのかもしれない。
「そもそもだな、一年前にこの基地で会ったきりなんだが」
「…あの、戦いが終わってから?」
「ああ」
「…通信とか、手紙とかも?」
「まったくしてないな」
そもそもお互いに単独航行している艦なので、そうそう接触はできない。
「……………」
「…………?」
「……階級差とか役職とか年長者への敬いとか、そういうの全部抜きで言うんですけど」
「あ、ああ」
「バカじゃないですか?」
呆れ顔から一転、急に烈火の如く怒りだす。
「マイちゃんですら"リュウとデートに行くんだ"とか嬉しそうに言ってんのに、なんでそんなにオクテなんですか!」
「そ、そもそもだな、別に俺はレフィーナ艦長のことなど…」
「…本気で言ってるんですか?」
「…レフィーナ艦長は階級で言えば上官だぞ?あまりそういう噂が出ても彼女も迷惑するだろうし」
そのときエイタが浮かべた表情はなんだっただろうか。
呆れだったかなんだったのか、もう覚えてはいない。
PiPiPiPi!!!
「あー……もう朝か…」
軍人にとって貴重な休暇の一日の始まりに、テツヤ・オノデラは伊豆基地の士官室で目を覚ました。
髪の毛をかきあげながらベットから降りる。
ここ何日かは海の上だったので、窓から覗く伊豆の緑は気分を明るくする。のに。
「…あの夢はちょうど半年前か」
この男、どーんと沈んでいる。
半年前の半舷休暇の際には結局レフィーナと顔すら合わせず、ミナセ家にて振舞われた酒で轟沈。
寝坊してハガネに戻ってみたらヒリュウ改は出航したという。
エイタはどうやらレフィーナと顔を合わせたようだが、あんなやりとりをした直後なだけに、
「お元気そうでしたよ」
と、はぐらかすように言われ、どうにもそれ以上聞けない雰囲気になってしまったのである。
「はぁ……。とりあえず朝メシでも食べるか…」
服を着替え、身支度を整えて士官室を出る。
あんな夢を見たせいか、こころもち肩を落としながら食堂へ向かう。
トレイを受け取り食堂を見渡すと、見知った顔があったので隣に座る。
「お、艦長じゃねぇか」
「テツヤ艦長、おはよう」
「リュウセイにマイか。おはよう。
そんなにめかしこんでどうしたんだ?」
「聞いてくれ」
マイは、えへんと胸を張り、
「私はリュウとデートするんだ」
「…………」
エイタ伍長の言う通り。
彼女の方が自分なんかよりよっぽど進んでいる。
「おいおい、映画を見に行くだけじゃねぇか」
「本には、男が女と二人っきりで遊びに行くのはデートというものだと書いてあったぞ」
「…そんなもんか?」
リュウセイは首を捻る。
はて、子供と一緒に『湾岸大決戦・レインボー卿vs99ベイスターロボ』を観に行くのはデートの内に入るのだろうか。
「お、そろそろ出発しないと間に合わないな。行こうぜ、マイ」
「じゃあな、艦長」
「ああ、楽しんでこい」
二人がウキウキと去り、テツヤも食べ終わったトレイをキッチンに戻し食堂を出る。
…部屋に戻っても書類が待っているだけだし、屋上にでも行くか。
屋上へ向かうドアのノブをつかもうとしたところで、
ガチャ
「あ……………」
「…………ら?」
レフィーナが目の前に現れた。
「お久しぶりです、テツヤ少佐!」
「…………………」
「……少佐?」
「え?お、お久しぶりです、レフィーナ艦長」
以前、戦争のさなかで毎日のように顔を合わせていた時と違い、
艦長帽をかぶっていない。私服である。唇の淡い桜色のルージュが眼を惹く。という格好であった。
ぼうっと見惚れていると、怪訝に思ったのか心配そうな顔をしている。なにしろ彼女はとても優しいので。
「少佐?大丈夫ですか?」
「あ、ああ、いえ、今日は私服でいらっしゃるんですね」
「……変ですか?」
少しうつむき、上目遣い気味に見つめられ、テツヤはえらい狼狽した。
「え、いや、その、初めて見ましたので…、とても似合っていると思います」
このような褒め言葉を口にできるとは、テツヤ・オノデラにとっては『白き魔星を撃て!』と叫んで以来の手ごたえであった。
その言葉を聞いて彼女は、花がほころぶかのように微笑む。
「ああ、良かった。この服、半年ぶりに着たんですよ。久しぶりに休暇になったので」
「レフィーナ艦長も休暇ですか?ハガネも半舷上陸に入ってますよ。
リュウセイとマイがデートに行くと言ってはしゃいでいました」
「デートに行く相手がいるというのは羨ましいですよね。
レオナ少尉もタスク少尉にデートに誘われて、なんだかまんざらでもなさそうで」
レフィーナはそう言うと、なんかもの凄いぎこちない感じで
「ええと、その、少佐はそういう、特定の人はいらっしゃらないのですか?」
目をあさっての方向に向けながら尋ねた。
「は?いえ、自分はそういうのはどうも苦手で。こういう仕事ですし」
「そ、そうですよね!」
「時々、港ごとに恋人を作るクルーもいますが、自分にはどうにもピンとこなくて…」
「でも男の人はそういう誠実な方が、女の人は嬉しいとおもいますよ」
「え、そうですか?」
一回り年が違うとはいえ、そうやって褒められて悪い気はしない。
「そういえば、中佐はここでなにを?」
「私もデートの相手はいませんし。景色を見ていました」
「景色?」
「ヒリュウ改は滅多に地球には降りてきませんから。伊豆基地は海の眺めが良いので、用事がない時はここでぼーっとしてます」
そんなものだろうか。ハガネは逆に地球でのパトロールが多いので、海は割と頻繁に見る。
やはり普段見ていないものの方が貴重に思えるのだろうか。
「じゃあ邪魔になってもいけませんので、自分は部屋に戻ります」
「…え?」
「それでは」
そう言い、屋上から立ち去ろうとドアに向かおうとしたテツヤの背に、
「あ、あの、別に邪魔じゃありませんから!」
「え?」
「テツヤ少佐がお暇でしたら、もうちょっとお話ししませんか?」
「えーあー」
彼女の熱心な視線を受け、
テツヤは少し目をさまよわせると、基地からエレカでデートに向かうリュウセイとマイの姿が見えた。
『私はリュウとデートするんだ』
マイという少女の浮かべた、照れくさそうな、でもとても嬉しそうな、そんな表情を思い出す。
……………………
レフィーナは少し頬を赤らめて、少し上目遣いにこちらを見ている。
「いえ、やはり行きます」
「…あ、そうですか」(´・ω・`)
「そのかわりと言ってはなんですが」
テツヤは二度三度深呼吸をした。そもそもこういうセリフを言うのは初めてなので。
「午後から、俺と一緒に遊びに行きませんか?」
END
#半舷上陸についての知識はほぼデタラメ
#半年前にエイタとレフィーナが顔を合わせたくだりでは、レフィーナの方からハガネにデートに誘いに来てたのに、
#テツヤにエイタが報告せず、フラグ進行が遅れた。
#おのれエイタめ
245 :それも名無しだ :2006/11/29(水) 21:04:30 YA3Unqff
>>238->>244
もどかしい!しかしこのもどかしさがイイ!GJ!
しかし『湾岸大決戦・レインボー卿vs99ベイスターロボ』の内容が激しく気になるw
246 :それも名無しだ :2006/11/29(水) 21:15:00 ptObdB7v
>>238
GJ!!
しっかし、エイタは進展させたいのかしたくないのかどっちなんだw
245 :それも名無しだ :2006/11/29(水) 21:04:30 YA3Unqff
>>238->>244
もどかしい!しかしこのもどかしさがイイ!GJ!
しかし『湾岸大決戦・レインボー卿vs99ベイスターロボ』の内容が激しく気になるw
246 :それも名無しだ :2006/11/29(水) 21:15:00 ptObdB7v
>>238
GJ!!
しっかし、エイタは進展させたいのかしたくないのかどっちなんだw
261 :それも名無しだ :2006/11/30(木) 23:38:01 iUs+6yAK
>>244
#半舷上陸についての知識はほぼデタラメ
#半年前にエイタとレフィーナが顔を合わせたくだりでは、レフィーナの方からハガネにデートに誘いに来てたのに、
#テツヤにエイタが報告せず、フラグ進行が遅れた。
#おのれエイタめ
「・・・・・・つまり、すべての元凶は——————」
「・・・・・・貴方だと———————」
「え?え?あ、いや、ちょ——ま———」
「「我らのこの手が真っ赤に燃える!!悪を倒せと轟き叫ぶ!!!」」
「究極!石!」
「破!」
「「天驚拳ェェェェェェんんッッ!!!!」」
「ギャアァァァァァーーーーーーッッッ!!!!!!」
「王大人、死亡確認!」
262 :それも名無しだ :2006/11/30(木) 23:41:01 iUs+6yAK
>>261
あ、名前振り忘れた・・・・・・
会話はユンとショーンとエイタです。
263 :それも名無しだ :2006/12/01(金) 00:04:48 omqNbvaC
レフィーナ>テツヤ
ユン>エイタ
非常に解り易い力関係だなぁ
ハガネの男共はヒリュウ改の女性に弱すぎるw
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コメント
ヘルモーズを揺るぐんだね
投稿者 BlogPetのちびアラド : 2007年02月13日 11:01
ヘルモーズを揺さぶる、愛の攻撃と申したか。
投稿者 雷精 : 2007年02月13日 11:53
ちびシグルイ読んでる!?
投稿者 Anonymous : 2007年02月13日 12:57
水鉄砲と黒猫から連想
・・・「敵は海賊」の続巻、いつ出るのかなぁ・・・
投稿者 Anonymous : 2007年02月13日 15:49
週末の〜を書いた名無しなんだけど、これ一部盗作気味なところがあるんだ
階級を間違えてるところもあるし、もし可能だったら削除してもらえるとありがたいんだけど、無理かな?
投稿者 Anonymous : 2007年02月14日 04:34
↑
「週末の過ごし方」を書いた方ですね。見る限りどこかから丸々文章を持ってきたようにも見えませんし、階級も時事系列が或程度後で昇進したとも解釈できますし、
一度再考してみては如何でしょうか?もし改定案、文章があればコメント欄に投稿していただければ修正いたします
投稿者 Anonymous : 2007年02月14日 11:11
んー、それじゃあ大佐→中佐に修正しておいてもらえませんか?
あと、『バカじゃないですか?』のくだりを書いたアグリアススレの人、大変申し訳ありませんでした。
ここで謝罪します。
投稿者 Anonymous : 2007年02月14日 23:52