2006年04月12日
 ■  チョコバーの人SS 最終決戦前

124 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 :2003/05/10 00:34 UqP3xKBJ
おまいら頑張れ。支援する!

ゼオラ

     '´, 、ヽ.
    ! #ノノ))キ
    ムリ ゚ -゚ノ§
    ⊂))介)つ
      〈_A」
      し'ノ

オマケ アラDQN

       ノソリハゞ
  ⊂ ´⌒つ゚ー゚)つ

チョコバーの人のSSはいい……


251 名前:チョコバーの人 :2003/05/18 21:04 UVdnsPMH
まさに空中庭園ねと、ベラ艦長が戦慄の篭もった声で呟いた。
ゆっくりと気配を殺すような長い息をついたのが、無線機越しの
コクピットでもわかる。スクリーン越しの映像に、私も同じような
長い息を吐いた。
周囲は静まり返っている。
回線はフルオープンなのに、誰も声を発しないからだ。
いつも発進前には高揚と興奮の入り混じった会話が飛び交うのに
今ここにあるのは厳粛ですらある静寂だ。
ガンエデンが、近づいてくる。
圧倒的に大きい。庭園どころではない。一つの島だ。
戦うことを選んで尚、皆にはまだ迷いがある。あそこで待っているのは
あの小さな、いや小さかったイルイなのだ。
戦える? いや、戦うだろう。自分たちは戦士だから、戦えてしまうだろう。
それもわかっている。
所詮迷いはそれを心の中から拾い出して玩ぶことができる間だけの
手慰みでしかない。いつの間にか自分もそういう戦士になった。


252 名前:チョコバーの人 :2003/05/18 21:04 UVdnsPMH
初陣の時を思い出した。
並のパイロットより使える自信はあったし、シミュレーションも充分
だった。チームプレイはともかく、単機での動きには絶対と言える自負があった。
それでもいざ本物の機体に乗り込んで計器のチェックをする頃には指先が
震えて、そんな自分に息を飲んだものだ。
あの時もこんな風に周り中が静かで……でもあれは、自分が緊張して
いたからだ。
今は皆が同じような気持ちで居るのだろう。
そしてあの時も今も、きっと誰より複雑なのは。
『おい、ゼオラ』
個人回線が開く。すぐ隣の機体からだ。
「アラド。そっちは大丈夫?」
『おう。お前の方は?』
「ファルケンはいい調子よ」
『ビルガーもOKだ』
上滑りに、ありふれた出撃前と同じ会話を交わす。
「アラド」
ふと名前を呼んで、次が続かなくなった。


253 名前:チョコバーの人 :2003/05/18 21:05 UVdnsPMH
ちりちりと、胸のうちが騒ぐ。大きな戦いの前にはいつもそうだけれど、
今回は少し事情が違う。
今までで一番激しい戦いになるだろうし、一番、辛い戦いだ。
そしてきっと最後になる。
『心配すんな』
間が開くと約束のようにアラドが口にする、これもいつもの安請け合い。
心配要らないなんて言える腕でもないくせに。
この戦いにアラドがでることを気遣わない仲間は居ない。イルイと一番
関わりが深く、一番懐かれていたのは誰の目から見てもアラドだ。
そして、多分あの子はアラドが思っている以上にアラドのことが好きだった。
自分にはわかる、なんて言うつもりはない。きっと、皆も気付いていた。
私でなくてあの子だったら。
あの寄る辺無い女の子だったら、自分を助けてくれた人が心配するなと
言ってくれるなら、それをそのまま信じるだろう。
その幼い信頼の形は、アラドには気負いではなく力になっていた。
あんな風に出来ればきっと喧嘩にもならないだろうに。


254 名前:チョコバーの人 :2003/05/18 21:05 UVdnsPMH
「アラド、お願いだから無理はしないで」
『わーってるよ』
わかってない。絶対にわかっていない。いつもの台詞にいつもの答えを
返しているだけ。
カッときて怒りの言葉を続けかけた時、ブライト艦長の出撃を告げる
凛とした声が響いた。
『よし! 行くぜゼオラ!』
「ちょっと、アラド!」
『とにかく、皆助ける! 誰も死なせねえ!』
馬鹿。出来ることと出来ないことがあるのよ。
その台詞は飲み込んだ。
喉元まで出かかったがすんでのところで間に合った。
どうせ、何度言ってもアラドにはわかりはしないし、認めはしない。
口でいくら合わせて見せても、何度でもいつまでも同じことをするのだ。
スクールの頃からそうだった。おかげで自分たちのチームの成績は
いつでも散々で、アラドと組まされたことを周りから同情される始末で。
失敗に怒れば謝るし本当に反省もするけど、でも進歩は全然なかった。
今も同じ。
口うるさく言っても何も変わりはしない。
もう私の言うことなんて、聞き流す程度のものなのだろう。


255 名前:チョコバーの人 :2003/05/18 21:05 UVdnsPMH
けれどだからと言って、私までが貴方を諦めてるわけじゃないのよ。
私、貴方のそういうところ、救いがたいとも思ってるけど。だけど。
「とにかく生き延びて」
答えは返らなかった。もう回線を閉じてしまったのだろう。ほんのわずか
返事を待ってから、気持ちを切り替えた。
まずは自分が生き残らなければ話にならない。
どんなに腕を上げても、どんなに経験を積んでも、私は無力だ。
貴方がそう言うように、貴方を助けると言い切れたらどんなにいいか。
私にはわかってしまっている。
どんなに腕を磨いても、どんなに意志を強く持ってもそれが出来ないことがあると。
貴方は一度私を置いて行ったから、もう、わかってしまっている。
もう二度とあんなのは嫌。
でも、何度言ってもアラドにはわかりはしないし、何度でもいつまでも
きっと、同じ事をするだろう。
祈りや願いなんて何の役にも立たないのに、結局できることはそれだけだ。
「お願いだから一人では行かないで」
違う。
「……置いて行かないで」
発進準備のランプがオールグリーンに代わり、愛機が戦場へ飛び出すまでの
短い間、私はただそれだけを祈った。
祈りを聞く神様なんて居ないことは、百も承知で。

256 名前:チョコバーの人 :2003/05/18 21:07 UVdnsPMH
いつぞや、ゼオラの方の心境も~っていうようなレス頂いたんで
ゼオラでやってみました。
SS希望って言ってくれた人ありがとー。
外してたらゴメンー。

259 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 :2003/05/18 21:24 htPbKYEi
>>256
健気なゼオラタン(;´Д`)ハァハァ

投稿者 ko-he : 2006年04月12日 21:04 : スレ:ゼオアラ

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