2008年08月28日
 ■  コウタVSティス2 その3

コウタVSティス2
http://game13.2ch.net/test/read.cgi/gamerobo/1202206477/l50


前回の続き
260 :それも名無しだ :2008/02/11(月) 18:14:34 Fm3qgrif
ラージろう先生のコーナー

ラージろう「みなさんこんばんわ&お久し振りです」
コウタ「タイトルがさらに短くなってる……」
ラージろう「実際、質問なんかされてませんからね。
      嘘、大袈裟、紛らわしいは放送上なるべく排除しないといけませんからから。米国で訴えられたら100%負けます」
コウタ「前回、思いっきり嘘ついてやがった癖に……」
ラージろう「嘘を、嘘と見抜けない人がインターネッツを使うのは難しい。
                            byラージろう」
コウタ「言ってること、矛盾してやがる……」

ラージろう「そんなことは、おいといて。今日はバレンタインデーにチョコレートを贈るのか? についてです。
      日本で何故、チョコレートを贈るような文化になっ屋のかと言うと(ry」
コウタ「知ってるぜ、バレンタインデーでチョコを贈るのはチョコレート会社の策略ってやつだろ」
ラージろう「それもありますが、ここまで広まったのは恵方巻き同様、デパートとマスコミの力が大きいですね。(あと米軍)
      デパートなどが売り上げを伸ばすために、コーナーを作る。
      それをマスコミなどが流行の最先端として取り上げる。
      マスコミに取り上げられ、一般市民が流行ってると思い、チョコを贈る。
      そのうち贈る人の数が増えると、集団心理が働き、あげていなかった人もチョコを贈るようになる。 
      そしてイベントとして習慣化され、やらなきゃいけない! と言う考えを埋め込ませる。
      ある意味、一種の洗脳みたいなものです。」
コウタ「……そう考えるとなんかこえーな」
ラージろう「まあ、海外でもチョコを贈る習慣がなかったわけではありません。
      イギリスの有名なお菓子会社、キャバドリー社が売り出した、チョコレートボックス。これがチョコを贈る起源とされています
      まあ英語では固形チョコレートはキャンディの一種とされているため、文献ではキャンディボックスと記されてる場合もありますね」
コウタ「日本が最初ってわけじゃねーんだな」
ラージろう「チョコレートを、女性が男性にあげると言う固定概念があるのは日本だけですが。
      ですので、男性が女性に、三か月分をプレゼントして愛の告白をしてもいいのですよ?」
コウタ「ど、どう言う意味でい!」
ラージろう「そのまんま東国原な意味です。
      皆さんも気になるあの子に愛の告白してみませんか?」




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205 :それも名無しだ :2008/02/09(土) 22:47:36 ZVOWQ3cw
2月9日は服の日…ということで、ショウコのおさがりで色々と着せ替えさせられるティス…

…オチが思い付かないから書き出せない。



206 :それも名無しだ :2008/02/09(土) 23:02:13 PgbutB+J
>>205
前スレにショウコのおさがりを着るティスがいたな確か。
凄く、よかったですw

あと、ティスは絶対縞だと思(メタノイア)



211 :1/3 :2008/02/10(日) 02:32:31 JxykjDCh
>>205
こんなのが思いついた。
流れ切っちゃうけどかぶったらごめん。


ラウル「ちわ〜っす」
キサブロー「おお、珍しい客人だのう」
フィオナ「ティスの様子を見にきたんだけど、います?」

コウタ「なんだとこのガキ!」
ティス「べーっだ、この馬鹿コウタ!」
コウタ「てめぇ!今日いう今日は許さねぇ!」
ショウコ「もぅ、二人ともいい加減にしなさいっ」

キサブロー「…聞いての通りじゃ」
ラウル「あはは…相変わらず元気なようで」
フィオナ「じゃあ、お邪魔しま〜す。ほら、デスピニスも」
デスピニス「お、お邪魔します」
キサブロー「ほぅ…?」

コウタ「ガルルルル」
ティス「キシャーッ」
ショウコ「もぅ…あれっ?ラウルさんにフィオナさん?」
ラウル「よぅ、ショウコちゃん」
フィオナ「飽きないわねぇ」
コウタ「お?どうしたんだ二人とも」
ラウル「二人じゃなくて三人だぜ」
ティス「あーっ、デスピニス〜♪」
デスピニス「こ、こんにちは」
ショウコ「あれ?ずいぶん可愛いセーラー服着てるのね」
ティス「ほんとだ、その服どうしたの?」
ラウル「いやな、部屋を整理してたらフィオナが小さい頃着てた服が見つかってさ」
フィオナ「あたし達一応学者の子供だから、私立の小学校に通ってたんだよね。その制服をデスピニスに着せてみたらぴったりだったのよ」
ラウル「で、デスピニスがどうしてもティスに見せたいって言うからさ」
デスピニス「そ、それは言わない約束だったのに…ラウルさんのばか///」
ティス「ふぅん…いいなぁ、あたいも着てみたい!」
コウタ「あぁ?お前には似合わねぇよ」
ティス「うっさい!ねぇ、ショウコが小さい頃着てた服ってないの?」
ショウコ「あたしは私立じゃなかったから…」
ティス「えーっ、あたいも着たい着たいー!」
フィオナ「もう一着あったし、持ってくれば良かったね」
ティス「わぁ〜ん着たいよぅ!」
コウタ「あー泣くな!ないもんはないんだから我慢しろい!」



212 :2/3 :2008/02/10(日) 02:35:35 JxykjDCh
キサブロー「ほれ、これでどうじゃ」
ラウル「お、セーラー服じゃないけど、制服っぽい」
キサブロー「ショウコが幼稚園の卒園式の時に着た服じゃよ」
ショウコ「そんなのあったんだ…全然覚えてないよ」
ティス「これ…着ていいの?」
キサブロー「もちろんじゃよ」
ティス「わぁ〜い♪」
ショウコ「じゃあ着替えさせてあげるね」
ティス「コウタ、覗くなよ!」
コウタ「誰が覗くか!」

ティス「ほら見て見てコウタ!」
コウタ「あぁ?」
ティス「なんだよ、感想くらい言えよ」
コウタ「…馬子にも衣装?」
ティス「なにそれ」
ショウコ「他にも色々服が出て来たよ、着てみる?」
ティス「着る着る!」
デスピニス「あ、あの…」
ラウル「ん?あ、デスピニスにも着せてやれるかな?」
ショウコ「いいよー?」
フィオナ「じゃあ私が選んであげるよ!」
デスピニス「は、はいっ」
ショウコ&フィオナ「覗いちゃダメよ?」
コウタ&ラウル「覗くかよ!」

ショウコ「あーこれ可愛いー☆」
ティス「えへ♪」
フィオナ「これも可愛いよ!」
デスピニス「あ、ありがとうございます…」
ショウコ「でもこれも可愛いかも」
フィオナ「こっちも可愛い!」
ティス「えーっと…また着替えるの…?」
デスピニス(…早くラウルさんに見せたい…)
ショウコ「あとこっちも!」
フィオナ「これも似合いそうじゃない?」
ティス「ひーん…」

ラウル「…ちっとも出てこないな」
コウタ「腹減ったぜ…」
フォルカ「ショウコ、今帰ったぞ」
フェルナンド「飯はまだか、飯!」
コウタ「おぅ、二人ともお帰り」
ラウル「お邪魔してます」
フォルカ「む?客人か?ショウコは?」
ラウル「そっちの部屋だよ」
コウタ「でも今は…」
フェルナンド「おい!飯はまだか!」
コウタ「入るとまずい…」
ガラッ
『覗くなぁぁぁぁ!』

ラウル「あーあ、星になっちゃった」
フォルカ「四人がかりのクロスカウンター…見事だ」



213 :3/3 :2008/02/10(日) 02:39:43 JxykjDCh
ショウコ「あ、フォルカお帰り」
ティス「コウタ見て見て♪ワンピだよワンピ」
コウタ「あぁそうかい」
ティス「むーっ」
デスピニス「ラウルさん…」
ラウル「お、短めのスカートは珍しいね。帽子も似合ってるよ」
デスピニス「あ…ありがとうございます///」
ティス「あんたも似合ってるくらい言えないわけ?」
コウタ「あー似合ってる似合ってる」
ティス「キーッ!ちゃんと心を込めて言えー!」
ラウル「ところでフィオナ…なんだそれ」
フィオナ「あは…ショウコの制服借りてみた…んだけどスカート短すぎっっっ///」
ショウコ「フィオナさん、脚長いから…」
ラージ「これは…!実に興味深い光景です」カシャーカシャー
フィオナ「撮るなぁ!ってかいつからいたのよ!?」
キサブロー「おーい、お客も多いし寿司をとったぞい」
ティス「わーい!」
コウタ「ってなわけでラウル達も食ってけよ」
ラウル「マジで?じゃあ…ごちそうになろうかな」
キサブロー「そうしていくがえぇ」
ショウコ「おじいちゃん、並だよね?並だよね?」
デスピニス(ラリアーとミズホさんはご飯どうするんだろう…)


ラリアー(フィオナさんの服…ドキドキ)
ミズホ「ラリアー、みんな遅いから先にご飯食べちゃおう?」ガラッ
ラリアー「うわぁぁぁぁあ!?」


216 :それも名無しだ :2008/02/10(日) 08:26:15 4v6KcPbv
>>211-213
スモッグが入る2人に朝から興奮せざるを得ないwww
ラリアーがフィオナの服見てハァハァしてたのか、服を着てハァハァしてたのか、
それは非常に過ちな問題ですよ? 後者だったらもうエライことことことこと(残響音含む)



219 :それも名無しだ :2008/02/10(日) 09:33:17 24YS0pXC
>>213 
デスピーかわいいよデスピー 
デスピーはどんな服も似合いそうだな 


261 :それも名無しだ :2008/02/11(月) 18:50:32 odZ6YuSJ
着せ替えティス

>>211を勝手なイメージで描いてしまえ的な。いや、その、スイマセン。
ピニスの帽子は描き手の想像力が欠如していたため、今回見ることが出来ません。
ご了承下さい。


262 :それも名無しだ :2008/02/11(月) 19:24:24 Fm3qgrif
>>261
上手え


264 :それも名無しだ :2008/02/11(月) 19:32:53 hA8rXc8N
>>261
ごめんフィオナに一番萌えたwwGJ!



265 :それも名無しだ :2008/02/11(月) 19:37:26 CI1p1EjL
>>261
GJ!!
絵うますぎw



266 :それも名無しだ :2008/02/11(月) 19:39:34 U988B1V5
>>261
光の早さで保存したぜ。



274 :それも名無しだ :2008/02/11(月) 22:51:57 oYHC7TD+
>>261の神絵がキャッチマイハート! ブルルルゥワァ!



276 :211 :2008/02/11(月) 23:59:52 n2UMX8uK
>>261
投下後にはレスしない主義なのだがこれはレスせざるを得ない

素 晴 ら し い ! !

よくよく考えたらミニスカに帽子はないわな。
思い描いていた以上の絵に、まさに脱帽…ってことで。





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263 :◎ある男の日記 :2008/02/11(月) 19:31:57 U988B1V5
◎1月1日
元旦だというのに相変わらず吾妻家は大騒ぎだ。
コウタ君とティスがお雑煮のお餅の数で喧嘩している。ショウコ君とフォルカは呆れ顔だ。
途中からフェルナンドもお餅争奪戦に加わり、さながら戦争状態だ。
僕はこんな騒がしい正月を迎えたのは初めてで、何というか嬉しくもあったりする。
みんなには解らないくらい小さく微笑んだ。とりあえず僕の隣りでお餅をノドに詰まらせて生死の淵をさ迷うキサブロー氏にも微笑みを向けておいた。
◎1月3日
ティスがお年玉の金額でコウタ君を上回ったとはしゃいでいた。
こんな子供らしい一面を惜しみなく見せてくれるこの子は、もうすでに吾妻家の大切な家族だ。
◎1月10日
僕の部屋のカーテンのシャーのヤツが壊れたので、浅草デパートへ買いに行く。
◎1月13日
ティスとコウタ君が喧嘩した。今回のは深刻らしい。
お互い一歩も引かないので収拾がつかない。ショウコ君もどうして良いか解らないようだ。
◎1月14日
先日買ったカーテンのシャーのヤツが不良品だったようなので、交換しに浅草デパートへ。
◎1月16日
どうやら無事に仲直りしたようだ。浅草家やご近所さんまで巻き込んだ喧嘩は、2人の絆をより一層強くして終わりを迎えたのだった。とりあえず僕も安心してカーテンのシャーのヤツを交換しに行ける。
◎1月30日
ティスやフォルカ達が芸能界デビューしたのをきっかけに、微妙に吾妻家の結束に陰りが見えた。
少年少女達はお互いの意地と見栄が邪魔をして、本当の気持ちが伝えられないようだ。どうしたものか…
◎2月2日
コウタ君達はティスを芸能界から連れ戻す決意をしたようだ。
惜しい気もするけれど、これで良いのかも知れない。だってあまり芸能活動にかまけ過ぎると、いつまで経ってもシャーのヤツを交換しに行けないから。
◎2月10日
バレンタイン前になってみんなソワソワしているみたいだ。
彼らを見ていると微笑ましい気持ちがいつまでも終わらない。こんな日記を続ける必要ももう無いだろう。
とりあえずここでこの日記を終わりにする。
—ラージ・モントーヤ

◎2月13日
またしてもカーテンのシャーのヤツを交換しに行く。



268 :それも名無しだ :2008/02/11(月) 20:09:27 2VO2xWvb
>>263
このスレはコウティス分に加えて俺にラージ分も補給してくれる…
あのシャーってヤツ何て言うんだ…



271 :261 :2008/02/11(月) 21:47:42 odZ6YuSJ
>>263
1ヶ月に渡って、どこの東城さんだw



274 :それも名無しだ :2008/02/11(月) 22:51:57 oYHC7TD+
>>260、>>263 ラージは本当にアレだな、アレだ、よくわからんが、アレだなw



269 :それも名無しだ :2008/02/11(月) 20:24:39 vPXpyTaB
移動させる部分は「ランナー」というらしい。
窓にはじめっから付いてるカーテンレールの白いやつよね?シャーってやつ。



270 :それも名無しだ :2008/02/11(月) 21:36:04 8WN4GfUV
つーか、ラージお前の部屋はカーテンいらんだろ
このスレのド○えもん的に



277 :それも名無しだ :2008/02/12(火) 00:20:39 adY/3/LT
カーテンのシャーのヤツで天丼って元ネタなんだっけ?


286 :それも名無しだ :2008/02/12(火) 09:55:31 urRNy0CY
>>277は銀魂が元ネタですぜい。クエルボな声のソープ通いのおっさんの日記から。





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278 :女は化生 1/4 :2008/02/12(火) 00:25:38 Y0rCG5EW
〜ジャーダ宅・午後5時〜

ガーネット「ふむふむ、大体の事情はわかったわ? じゃあ一つ試してみる?」
ティス「は、はい! よろしくせんせぇーっ!」
ガーネット「うふふ♪ 素直な子は大好きよん♪ ジャーダー? ちょっとだけこの子たち見ててーっ!」
ジャーダ「おいおい、あんまり調子に乗って、派手にしてやんなよ? おーおーよちよち、パパでちゅよー、こっちおいでー?」
ティス(赤ん坊かぁ… あんなに小っちゃいのに人間なんだよなぁ… 凄ー)
ガーネット「まあ、初めてなんでしょうから、軽く行こうかしらね?」
ティス「はい! ミィんとこの川でしっかり顔洗ってきたからだいじょぶ! 超顔きれい!」
ガーネット「パ、パワフルな子ね」

ぽんぽん…

ティス「けほっ、けほっ」
ガーネット「あーあー、ほら、鼻で息しちゃダメよ? まずは下地を作ってぇ…」
ティス「う、うー…」

キュッキュッ、塗り塗り…

ガーネット「うーん、やっぱ化粧ののりがいいわねぇ。羨ましいわ」
ティス「ほ、ほんと?」
ガーネット「あ、ダメよ動いちゃ、マスカラちょっと足すから…」
ティス「あ、うー… くすぐったい…」
ガーネット「ふふっ♪ 年頃の女の子は皆やってることだからね? 我慢我慢♪」

スッ、スッ、キュッ…



279 :女は化生 2/4 :2008/02/12(火) 00:26:11 Y0rCG5EW
ガーネット「ルージュは薄めでいいかな? うん、我ながらなかなかいいわね」
ティス「…うぅー、これ、なめちゃダメ?」
ガーネット「だーめ。体に害はないけど、変に伸びちゃうわよ?」
ティス「うぅ… ごはんも食べちゃダメ?」
ガーネット「んー、食べるときはちゃんとこれで拭きなさい? ついでに化粧水もあげとくから」
ティス「う、うん、ありがとう…」
ガーネット「いいのいいの♪ いやー、ティスちゃんがこんなに素直でいい子だったとは、ほんっと思わなかったわ♪」
ティス「う、うぅ…///」
ガーネット「はい! これで出来上がり!」
ティス「う、うん。よくわかんないけど、顔がむずむずする…」
ガーネット「じゃーん♪ こうなりましたー♪」
そう言って、手鏡を渡される。
ティス「え、え…? わ、うわぁ…///」
ガーネット「うふふ、うふふ♪ 楽しいわぁ♪」
ティス「こ、こんなになるんだぁ、な、なんか凄い、わー、わー///」
ガーネット「か、かわいい反応♪ さ、お楽しみはこれからよ? ティスちゃん、こっち来て?」
ティス「これなら… これならあのバカも… え…?」
ガーネット「いいからいいから、ほら、じゃぁーん♪」
そういって、通されたのは衣装棚。
ティス「わ、わぁーっ! 凄い! 何これーっ!」
ガーネット「実は、あの子たちやラトゥーニに着せようと思って、ちょこちょこ買っちゃってたの」
ティス「わぁ、これ、お姫様みたい! 凄いーっ!」
ガーネット「うう〜んっ! いい反応! ラトゥーニと大違い! じゃ、早速試着していきましょ?」
ティス「え? これ、着ていいの?」
ガーネット「もちのロン! つうかもうイヤって言っても着せちゃう! カメラマーン!」 パチンッ♪
ラージ「はい」
ティス「メガネ!?」
ガーネット「うふふふふ♪ じゃ、まずはこのタイトなドレスからから〜」 すっ。
ラージ「ではどんどん着てみてください。2GのUSBメモリースティック10本用意しましたからどんどん撮影しましょう」 じりじり…
ティス「な、なんか、目が怖いよガーネット; つうかよるなメガネ!」
ガーネット「うふふ♪ 今度デスピニスちゃんとラリアー君も連れてきてね♪」 じり、じりっ
ティス「あ、あわわわわ…」



280 :女は化生 3/4 :2008/02/12(火) 00:26:42 Y0rCG5EW
ショウコ「…はあ、そうですか、すいませんなんかお邪魔しちゃって」
ジャーダ『いいってコト! とりあえずメシ食って泊まっていくみたいだから、明日返すわ』
ショウコ「はぁ、ほんとすいません、ウチの子が…」
ジャーダ『いいっていいって… え? なんだよガーネット、今話してうわっ!?』
ガーネット『チャオー♪ ショウコー、ごめんだけどさ、明日コウタ君暇? 聞いてくれない?』
ショウコ「ガーネットさん? は、はい、ちょっと聞いてみます…」
ガーネット『あ、やっぱいいいい! 聞かなくて大丈夫! 明日の午後にティスちゃん迎えに来るように言っといてー?』
ショウコ「は、はぁ、お兄ちゃんに、ですか?」
ガーネット『こないとお尻にクロススマッシャーかますって言っといてねん♪ じゃあねー♪』
プツッ、ツー、ツー、ツー
ショウコ「…スが一文字多かった気が;」
コウタ「んだよショウコ、俺がどうかしたか?」
ショウコ「う、うん。明日のお昼に、ジャーダさん家にティス迎えに来いだって」
コウタ「な、なんで俺が!? てぃ、ティスを!?」
ショウコ「…? お兄ちゃんどうかした? なんか顔が赤い気が」
コウタ「!!? し、しらねえ! い、いいからメシだ! メシ!」
ショウコ「…ま、いいか。フェルナンドも今日はいらないんだってさ」
コウタ「結構なこった! あーあ、今日は大飯食らいが二人分も浮いたから、たっぷり食えるぜ!」
フォルカ「同感だ。ショウコ、今日のおかずは?」



281 :女は化生 4/4 :2008/02/12(火) 00:27:11 Y0rCG5EW
ショウコ「………」 じとぉーっ…
フォルカ「? しょ、ショウコ…?」
ショウコ「…何? フォルカの口にあうかわかんないけど、はい」 ドン、パチャッ、ピシャァッ
フォルカ「うおっ!?」
コウタ「ッ! 危ねえなっ! 煮えたぎった鍋をたたきつけるように置くなっ!」
ショウコ「いいから、はい。湯豆腐。好きなだけ食べて」
コウタ「湯豆腐、って、豆腐だけかよ!!」
フォルカ「い、いや、豆腐はうまいぞ。ありがたく頂こう」
ショウコ「はいはいどーぞどーぞ。助平フォルカさんのお口にあいますかどうかー。ふんっ!」
フォルカ「すけ?」
コウタ「おい、お玉はないのか? すくえねえぞ?」
ショウコ「!! な、何が玉よっ!! 手ですくいなさい手で! もう、ショウコ知らないっ!!」 ドタドタドタッ
フォルカ「しょ、ショウコ!?」
コウタ「…顔真っ赤にして、なんだよアイツ…」
フォルカ「…わ、わからん;」
コウタ「…つうかフォルカ、おめえ、まさか!? ショ、ショウコに何かしやがったか!? お兄ちゃん許さねえぞ!?」
フォルカ「は!? な、何のことだ! 俺はショウコに何もしてない!」
コウタ「何って、な、ナニだ!? ナンのことだテメエッ!! 説明しろぉっ!!」
フォルカ「落ち着けコウタ! みんな何か変だぞ今日は!」
コウタ「だだだだだぁれが変だ誰がぁっ!! お、俺はいつも通りだぁっ!! ティティッティッティスなんか関係ねえっ!! 表出ろぉっ!!」
キサブロー「おーおー、昆布だしが効いててうまいのう。はて、ポン酢は…」
ラージ「はい」 スッ。
キサブロー「おお、すまんのう。というかラージ君、いつからそこに?」
ラージ「たった今です。いや、明日と言う日は面白くなりそうなので、栄養補給に戻りました」
キサブロー「…はて?」

コウタ『バーナウファードラグゥゥッ!! うらぁあぁあっ!!!』
フォルカ「落ち着けコウタァッ!! くぅっ、ええいっ! せぇりゃぁああああっ!!!」

ドッカンバッタンと仲良くケンカしつつ、明日の夜、後半戦へ続くw



283 :それも名無しだ :2008/02/12(火) 07:04:42 9gPg7Ava
くっはー!!
ここ最近のSSはニヤニヤ度が高すぎてこっぱずかしいぜ!
だが、それがいい


352 :女は化生2 1/4 :2008/02/13(水) 20:03:40 fGAkiYR+
コウタ「ココかぁ、結構デカい家だなぁ」

ピンポーン。
しばらくして、カチャッとドアの開く音。

ジャーダ「おう! ようやくおいでなすったな王子様? って、な、何だその顔!?」
コウタ「こんちわーっす」
ジャーダ「うっわ、絆創膏だらけじゃねえか。何だよ、誰かとケンカでもしたのか?」
コウタ「まあ、ちょっと次期修羅王と殴り合いを」
ジャーダ「ヒュー♪ ファンキーなヤツだなぁ、ま、あがったあがった」
コウタ「お邪魔しまーす」
ガーネット「いらっしゃーい♪ ってうわっ! 何その顔!?」
同じような説明をした後、中庭へ通された。
お茶菓子でも食べていきなさいと言われたので、言われるがまま向かう。

コウタ「へぇー、なかなか立派な中庭だなぁ、花とかいっぱいだな」
ロア『…そう言えば、ティスの姿が見えんな』
コウタ「へっ、大方台所でお茶菓子でもつまみ食いしてんだろ?」
ティス「…するか、バーカ」
コウタ「お? やっと姿を…」
声のする方を見て、かちんと体が固まった。

コウタ「…だ、誰だ?」
ティス「…死ね」
ふいっ、と、顔を背けられた。

おでこのとこにある変な石が、間違いなく目の前にいるのがティスだと教えてるんだが、
何だコイツ、変な服着て、変な化粧して、ちょこんと俺の対面側に座りやがった。
だれだ、コイツ、こんなヤツ、知らない。
こんな変な… ひらひらで、やわらかそうで、あったかそうな色で、高そうな服着やがって。
口になんか塗ってる。まつげも長く見える。頬が白い。変だ。こんな、こんなの、ティスじゃ…

ウソ、だろ。

かわいい、じゃ、ねえか…



353 :女は化生2 2/4 :2008/02/13(水) 20:04:12 fGAkiYR+
コウタ「お…ぉ、よ、よお」
ティス「…何?」
不機嫌そうに返された。
何だ、この居心地の悪さ。
ガーネット「はーい、紅茶持ってきたわよー♪」
ティス「………」
コウタ「…あ、ありがとッス」
ガーネット「ここ置いとくわね? お代わりが欲しくなったら言ってね?」
コウタ「は、はぁ」
去り際に、コン、と、椅子の足を蹴られた。
ガーネット(ほら、ちゃんと言うべきことは言う! ガンバガンバ♪)
奥から、赤ちゃんを抱かかえたジャーダさんがサムズアップしてるのが見えた。

二人に大激励された。
言うべきこと、って、何だ?

ティス「…またケンカしたの? 変な顔」
コウタ「う、うっせぇ」
ティス「ただでさえ変な顔なのに、輪をかいてボコボコじゃん。カッコ悪ー…」
コウタ「何だと!? テメエに関係… あ、いや…」
ティス「…ふん」
そう言ってまたふいっ、と顔をそらすティス。

何かを待ってるってのはわかる。わかるがそれが何かが俺にはさっぱりわからねえ。
困った。言うべきこと、って、何なんだよ。
イライラしてんのか、紅茶にも口をつけないで、じーっとそっぽを向いてるティス。
そのとき、コン、と、俺の頭に何かが当たった。
コウタ「…?」
カサッと、何かが落ちる音がしたので、足元をキョロキョロ見渡すと、小さな紙くずが目に入る。
ティスに気付かれないように、そーっと注意を払いながら拾い上げて、カサカサと広げる。

『自由のためにその一 〜自由なお世辞〜
  レディーが着飾ってる時は自由に褒めるべきだ 自由に讃えてやれ
  さすれば自由に道は開かれん 自由にやりな青春ボーイ
                                   by自由戦士』

コウタ「野郎どこで盗み見してやがっちゃられらぁっ!!!」
ティス「な、何!?」
舌噛んだ。



354 :女は化生2 3/4 :2008/02/13(水) 20:04:37 fGAkiYR+
コウタ「あー、そ、その、だな、ティス」
ティス「…何?」
コウタ「あ、あー… 昨日の晩飯、何食った?」
ティス「…なんでもいいじゃん。コウタに関係ないよ」
コウタ「いやぁー、昨日は湯豆腐でさぁ、つうか豆腐だけ。これがまた素っ気無くってさぁ」
ティス「ふーん」
コウタ「ま、まあ、テメエらがいなかったおかげで腹いっぱい豆腐食えたけどよ、ハハハ」
ティス「…よかったじゃん。あたいがいなかったおかげだね」

ビシィッ!!
空気がまた一段と重くなった。

コンッ、コンコンッとまた紙が頭にぶつかる音。
おもいっくそそっぽを向いたティスに気付かれないように拾い上げる。んでカサコソ広げる。

『何やってんだバカ! 早くフォローいれろ! byミュージシャン』
『もう! 何やってんのじれったいわね!    by子作りのプロ』
『自由じゃないなあバーカ               by自由戦士』

ティス「…何やってんの?」
コウタ「むがむがむが。いや、腹が減ったから草食ってんだ草」
ティス「…あ、そう。豆腐食えばいいじゃん。豆腐が大好きなコウタなんか、豆腐頭にぶつけて死んじゃえばいいよ。フン」
ムカッときたが、紙くずと一緒に飲み込んでやった。
ロア『…普通にほめてやればいいじゃないかコウタ。実際そう思ったのだろうに』
コウタ(うっせぇ! 黙ってみてろ赤色野郎!!)
ロア『赤色野郎ってどういう意味だ…! 俺にまで八つ当たりかコウタ!』
コウタ(てやんでぇ! テメエにわかってたまるかってんだぁ!!)
ティス「…ちょっと、砂糖取って」
コウタ「お、おう! 砂糖な! 入れてやるよ、何個だ?」
ティス「い、いいよ。自分でいれるよ」
コウタ「遠慮すんなって! ほら、2、3、4、5…」
汚名挽回とばかりにポチャポチャとティスの紅茶に角砂糖を入れていく。
ティス「あ、ああ、そ、そんなにいらないって!」
コウタ「いいじゃねえか、甘いの好きだろ? こんぐらいでいいか?」
12個入れた。出血大サービスだ。
コウタ「さ、遠慮すんな、飲めよ」
ティス「…この紅茶、ガーネットが飲み方教えてくれたの」
コウタ「…あん?」
ティス「高くって、香りがすっごくいいヤツだから、お砂糖とか入れすぎちゃダメだって教えてくれたのに…」
コウタ「…へ?」



355 :女は化生2 4/4 :2008/02/13(水) 20:05:08 fGAkiYR+
ティス「せっかくの紅茶が台無しじゃないか… コウタの大馬鹿…」

ズビシィッ!!!
さらに空気が重くなった。

ココン、コンコンコンとまた俺の頭に当たる。
コウタ「あ、あんなとこに過ちが!」
ティス「…?」
そっぽを向かせた隙にぜーんぶ拾い集めてカサコソやる。

『ダメだコリャ。とりあえず謝っとけ    byミュージシャン』
『セイロンの一級葉、高かったのに…   by子作りのプロ』
『汚名は挽回じゃなくて返上だタコ助     by自由戦士』
『 紅 茶 を な め る な          by紅茶王子』
『おなかがすきました              by眼鏡王子』

コウタ「知るか眼鏡王子ぃぃっ!!!!!」
ティス「うるさぁい!! もうこれ飲めコウタ!! 知らないッ!!」
バシャアッ! 
コウタ「熱ぁ!? しみるぅ!!」
顔に熱くて甘すぎる紅茶をかけられた。
あわてて袖で拭った横から、パタパタと、長いドレスのすそを持ち上げて去っていくティスが見えた。
コココココココココンコンコンッ。
頭に紙くずが連打で押し寄せてくる。
ゴンッ!
石も来た。殺す。投げたヤツ後で探して殺す。
ロア『…俺も何か投げつけてやりたい心境だ。本当にコウタというヤツは…』
コウタ「な、なんでこうなっちまうんだ… 畜生…」
ロア『グズグズするな。追いかけないと今度は石以上のものが飛んでくるぞ』
バキューンバキューンバキューン。
コウタ「のわぁあぁっ!!?」
遅かった。三発足元に威嚇射撃が飛んできた。
コウタ「ち、ちくしょぉおっ!! テメエら俺で遊びやがってぇっ!!」
とりあえず飛び起きて急ぎ足で後を追うことにした。

カチーナ「さ、アタシたちも追うぞ。皆続け!」
ガーネット「言われなくても!」
アリオン「つうか好きだね皆、大いに自由で結構」
ぞろぞろと、懐かしい面々が一同に介し、デバガメ一座が移動する。

そんなこんなで続く。



356 :それも名無しだ :2008/02/13(水) 20:12:43 L3mcFcrA
>>352
わるこなにゃう、その3に期待
紅茶王子・カチーナ自重w


364 :それも名無しだ :2008/02/13(水) 23:50:34 uDtB7rub
>>352
GJ!!続きも楽しみだ


370 :女は化生3 1/6 :2008/02/14(木) 03:16:28 AQAMs4n+
裏手の庭においてあったバケツに、ジャーッと水を溜める。
イライラする。イライラしかしない。
9分9厘自分に。コウタに9割1厘イライラ。
わかってたのに。どうせこうなるってわかってたのに。
コウタのクソバカが何か言ってくれるわけないって、わかってたのに。
正直、化粧にも興味があったし、実際自分でもこれはすごいんじゃないかって勘違いしちゃったから、
ひょっとしたら、あのバカを、見返してやれるかなーって、期待しちゃったから。
あのバカが、ノートにあんなこと書かなきゃ、絶対にそういう気にはならなかったし。
ショウコに、今日がどういう日か聞いてなかったら、こうやって着飾る気にもならなかったし。
全部あいつのせいだ。あいつが、あんな、あんなこと書くから、
ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ、嬉しかったから、
ほんのほんのほんっとアリっつうかミジンコっつうかほこりの粒っつうかそんぐらいだけ、そんぐらい、
ほんっとそんぐらいだけ、そんぐらいだけだけど、

コウタが、あたいのこと、   って、
ひょっとしたら、ほんっとひょっとしたらだけど、
化粧のパワーとか、その場の雰囲気とか、因果律とか因子とかなんかしらそういうので、
そういうので、ひょっとしたら    って、言ってくれるんじゃないかなーって、期待しちゃったから。

…はぁ、言うわけないよなぁ。
てやんでぇ、そんなのあのバカが、言うわけねえもん。



371 :女は化生3 2/6 :2008/02/14(木) 03:16:59 AQAMs4n+
あ、ダメだ。やっぱイライラする。期待しちゃった自分にイライラする。もう10割悪いのはコウタのバカだ。
なんかそういうのも含めた上で説明できないぐらいイライライライラする。
もう吹っ切ろう。バカのせいでやきもきさせられるのはもうゴメンだ。
もういっそ、ジャーダとガーネットの子にでもなっちゃおうかなとか、考えてた。

満タンに溜まったので、水を止めて、頭っから被っちゃおうとバケツを持ち上げる。
ドレスもお化粧も水浸し。
これで、ぜーんぶ台無し。お化粧もきっとドロドロになっちゃうはず。
水で流れてこれでおしまい。
あースッキリする。あーせいせいする。ガーネットには後で謝ろう。
化粧なんて二度としない。かわいいドレスなんて二度と着ない。
頼まれたって着てやるもんか、バカ。
コウタのバカ。ほんっとバカ。
バカだよ、バカ。バカバカバカバカバカバカバカバカバカバカ!!
バカ! バカ! バカ…! バカ…

…ほんと、あたいの、バカ。

頭上で、くるっと手を回して、頭から、水をざぱーっと被った。

ばしゃぁーっ。

ぴちゃぴちゃ、と、水滴がたれる音。
ティス「…冷た…」

ざばぁーっと、被っちゃった。

…はずだった。



372 :女は化生3 3/6 :2008/02/14(木) 03:17:26 AQAMs4n+
ティス「…く、ない?」
コウタ「っうぉおおおっ!! 冷ってぇえええっ〜〜〜!!!」
半ば奪い取られるようにして、空っぽになったバケツを投げ飛ばされた。

ティス「…何してんのよ、バカコウタ」
コウタ「お、お前っ! 鬼かぁ!? そんなに俺いじめて楽しいかぁ!? ううわ寒っ!!」
ティス「…何すんのよ…!」
コウタ「ああもう! パンツまで染みたぁっ! くっそ死ぬほど冷てぇっ!! 気持ち悪っ!!」
ティス「何すんのよっていってんのよこのバカァッ!!!」
パシィーーーーンッ!!!
コウタ「ぐはぁっ!!」
コウタのグランドバカの頬を全力で叩いた。
ほんっと全力。もうなんか手加減とかしたくなかった。
たたいた後で、ちょっとだけまずったかなぁって思ったけど、知らない。知るか!
そのままバカはほっといて、蛇口を思いっきり捻って、頭っから水を被ろうとする。
コウタ「く、くそっ! やめろってんだぁっ!!」
後ろから腰を捕まれた。こいつ、ほんっとしつこい!
振り返って見てみると、あ、鼻血出してら。やっぱ、カッコ悪すぎる。
ティス「邪魔しないでよバカのくせに! もういいの! 顔がムズムズするから洗いたいのッ!!」
コウタ「させるか馬鹿力女ぁっ!! いいから落ち着けっ!! つうか本気ではたきやがったなテメエ!!」
ティス「邪魔するなってばぁっ!!」
ガッ!!
コウタ「ぐへぇっ?!」
アゴを膝で蹴り上げた。もう思いっきり。
本当にムカついたのが半分。鬱陶しいから離してほしかったのが半分。
つうか全体的に全面的にこのバカに暴力を振るいたかった。
だから全力で蹴った。大の大人でも粉砕骨折だ。ざまぁみろ。
そう、ざまぁみろだ。
…ざまぁみろ、なんだ。

…ざまぁみろだから、ほんとは、せいせいしなきゃならないのに。

なんでかわかんないけど、せいせいしてなくて、

あとからあとから、ぽろぽろ、ぽろぽろ、なんかこぼれてくる。



373 :女は化生3 4/6 :2008/02/14(木) 03:17:55 AQAMs4n+
ティス「もう… もうっ、いい加減にしてよぉ! いいじゃんかぁもうっ!! バカァッ!!」
コウタ「へ、へへっ、効いたぜ… やっぱ生身でお前の相手は堪えるわ…」
ティス「く、くううっ、うううっ、ううぅぅ…っ!」
ロア『…無理するなコウタ、必要なら…』
コウタ「黙ってろぃ赤野郎!!!」
ロア『…もう知らん。好きにしろ』
コウタ「ケッ、最初っからそうしとけってんだ…」
じりじりと、鼻血出して、顔擦り傷だらけで、絆創膏だらけのバカがにじり寄ってくる。
本当にぶっ飛ばしてやりたいけど、ぶっ飛ばしても、多分こいつはまた寄ってくる。
もうそれが本当にイライラする。
だから多分、こんなにぽろぽろこぼれるんだと思う。

…ああ、畜生め。
やっぱりこうなっちゃうのも、それもこれも、ぜーんぶこいつのせいなんだろうなぁ…。



374 :女は化生3 5/6 :2008/02/14(木) 03:18:22 AQAMs4n+
正直、顔中が死ぬほど痛え。つうか死にてえ。
なんだあの張り手。なんだあの膝蹴り。
生涯最高の痛みを二回も連続で経験させられるハメになるたぁ本当に思ってなかったぜ。ざけんなバーロォ。
ケッ、こうなったら俺も意地だ。
ド根性ってヤツを、底力ってヤツを、
男の意地ってヤツを、みせてやらぁ!!

ティス「なによ、なんなのよ、もういいじゃんか、あたいが、あたいがどうかしてたんだから…っ」
コウタ「うっせえ馬鹿野郎、何のことだかわかんねえが、テメエが水かぶる必要なんてねえだろがよ」
ティス「も、もういいって言ってるんだよっ! なんなのさっ!」
コウタ「だぁから言ってることがわかんねえって言ってんだよこの野郎ッ!!!」
ティス「!! 何だよぉっ!! 怒鳴るなよっ…!! ふ、ふぇぇっ、ふえええ…っ」

ペシペシペシペシコンコンコンコンコンゴンゴンと後頭部に的確になんかが当たりまくってる。
あいつら後で全員ファードラグ。だが今は無視だこの野郎。
無視してメソメソ泣き出しやがったコイツにむかって歩き出す。

コウタ「いいから蛇口止めろ。水がもったいねえだろ? な?」
正直顔が引きつってるんだろうが、知らねえ。
ティス「ひくっ、う、うくっ、う、うるさいっ…! こ、コウタなんて、コウタなんてっ、ひくっ、だ、大ッ嫌いだぁっ! 寄るなぁっ!」
コウタ「おーおー嫌いで結構晩飯食うなっ!! だがなぁ、俺はもうドタマに来たぞこの野郎っ!!」

ゴンゴンゴンゴンゴスンッガスッ! もはや後頭部の感覚がねえがもう無視だ馬鹿野ろぁっ!!!



375 :女は化生3 6/6 :2008/02/14(木) 03:19:09 AQAMs4n+
ティス「ぐ、ひくっ、う、な、なんだよぉっ! う、うぐっ、や、やる気かぁっ!?」
じゃばーっと、ティスが手に水を溜めだした。
被る気だ。絶対させねえ。
コウタ「いいかこの野郎おいティスゥ! 耳の穴かっぽじってよーく聞きやがれぇっ!!」
ティス「近寄るなぁっ! もういいのっ! バカァッ! コウタの、バカァッ!!」
水を溜めた手を持ち上げた。させねえ。絶対させねえ。
俺はまだ言ってねえ。言ってねえ、言わせろ、言わせやがれっ!!
コウタ「てやんでぇバーロォッ!!!」
叫ぶと同時に体が飛んだ。

コウタ「『キレイだ』ぐらいぃっ! 言わせやがれバァァカ野郎ぉおおっ!!!!」
ティス「!!!」
水しぶきが、宙に舞った。
後先考えず、思いっきり胸の中に抱え込んだ。
と、同時に、なんか木製の柵がある方にぶつかった。んで、壊した。
勢いが良すぎた。
つうか俺スゴイ。物凄く飛んだみたい。
ジャーダ「うおっ!? あっちは!!」
ガーネット「坂よ! コウタッ!!!」
ラージ「シャッターチャンス」 カシャシャシャシャシャシャシャッ

コウタ「んぎゃぁああああーーーっ!!!! いたたたたたたたたたたっ」


ゴロゴロゴロゴロゴロゴロッ

バキバキバキ、ずざぁーっ。


………



376 :女は化生4 1/5 :2008/02/14(木) 04:18:40 AQAMs4n+
…タ、
…ウタ、コウタ、
コウタ! コウタ! コウタ!!

ティス「コウタ!! バカ! おきろバカッ!!」
コウタ「ああぁ、三途の川でオヤジとオフクロがぁ…」
ティス「おきた! バカ! おきろっ!!」
コウタ「お、おお、オフクロ、こんなにちっちゃく…」

パシィーーーンッ。

コウタ「おう、お早うクソジャリ」 じぃーん…
ティス「おはようじゃない! 何するのさバカ!!」
コウタ「お、おおっ!? だ、大丈夫か!? 怪我してねえかおい!」
ティス「ざけんなぁ! こ、コウタのせいでぇ、ひぐっ、ぜ、全部、だ、だ、だいなしだぁ〜〜っ!! う、うぐっ、うあああああ〜〜〜んっ」
コウタ「…あ、お、おお…」
見ると、俺のシャツにくっきり唇と目の跡。
ドレスは砂土まみれになり、所々破れてる。
俺はそれ以上に酷い有様だが、全部台無しにしてしまった。
ティス「うぇええっ、ぜ、ぜっがぐ、せっがぐぅ、がぁねっとにぃ、ぎれいにじでもらっだのにぃいいっ、うああああああぁぁぁんっ」
コウタ「お、おお、す、すまん、正直すまん、俺が悪い、許してくれ」
ティス「ゆるずがばがぁぁあっ!!」
ポカッ!
コウタ「痛ぇっ! 後頭部はやめろぉっ!」
ティス「うああああぁぁんっ、うぁぁああああんっ」
…やっちまった。最悪だ。
止めようと思ってやったことが、全部そっくりそのまま裏目に出ちまった。
コウタ「ロ、ロア、ど、どうしたら」
ロア『………知らんと言った』
コウタ「テメエッ!」
ポカ、ポカ、ポカッ。
コウタ「痛ぇっ!? や、やめろ、たたくなっ!」
ティス「うるざいっ! うるざいっ! うるざいぃっ!」
ポカポカと、体をたたかれる、が。
その勢いは、俺に膝くれやがったときとは比べ物にならなほど弱くて、
本気でこいつを悲しませてしまったと、改めて後悔した。
だから、こいつが気がすむまで叩かせておこうと思って、
俺は、こいつの髪や服についた土ほこりを、できる限り気に障らぬよう、払ってやってた。



377 :女は化生4 2/5 :2008/02/14(木) 04:19:14 AQAMs4n+
コウタ「ティス、すまん。俺が悪かった。許してくれ」
泣きつかれたのか叩きつかれたのか、ようやく大人しくなったのを見計らって、もう一度謝った。
ティス「…もう、いいよ、なんか疲れた…」
コウタ「…悪い。何でもするから許してくれ」
ティス「…別に何もしてくれなくていいよ、もう。 …全部、もう、台無しだもん…」
コウタ「…すまん」
酷く滲んだ目元を、俺の袖口で拭ってやる。
ティス「…普通、こういう時は、ハンカチとか、そういうので拭うんじゃないの…?」
コウタ「…んな洒落たもん、俺が持ってきてると思うか?」
ロア『正確には、今朝ショウコに言われなかったから忘れてきているだけだ』
コウタ「いいからテメエは黙ってろッ!!」
ティス「…もういいよ、コウタにそういう、デリカシーとか期待しちゃダメだってわかってるもん」
コウタ「うっせえ! あ、ああいや違くてだなその、つうか、す、すまん;」
ティス「…ねえ」
コウタ「お、おう;」
ティス「…疲れた。おんぶ」
コウタ「…はぁ?」
ティス「何でも言うこと聞くって言ったじゃん。おんぶして」
コウタ「お、おう、いいぜ? よっと」
ティス「………」
正直体中ムチウチだかセイウチだかわかんねえが激痛の嵐だ。
だが、男が一度口にしたことは守らなきゃならん。
背中を向けると、本当に乗っかってきた。
ティス「…絶対にこっち向くなよ。ひどい顔になってんだから…」
コウタ「あ? そんなんいまさら関係」
ティス「あるのっ!!」
コウタ「…了解しました、サー」 キーンキーンキーンキーン…
ロア『耳元で怒鳴られたな。少しは乙女心を理解しろコウタ…』
屋敷の方に向かったら何されるかわかったもんじゃないから、わざとそのまま俺の家の方に向かおうと歩を進めた。
後ろから文句は出なかったから、これでいいんだろうと納得してそのまま歩く。



378 :女は化生4 3/5 :2008/02/14(木) 04:19:42 AQAMs4n+
海沿いの道路をとぼとぼと歩く。
正直へたりこんで寝たい心境だが、男が一度口に出したことは守らないといけない。
なぜなら、俺は男だからだ。
ティス「…とか、考えてんでしょ?」
コウタ「人の心を読むなっ!! あいててて…」
ティス「…痛くても許してあげないよ? 自業自得だもんね? ねーロア?」
ロア『…そうだな』
ティス「ほら、ロアにも呆れられた。味方がいないねコウタって」
コウタ「て、テメエら…っ」
ロア『大体コウタは思慮が足りなさ過ぎる。コウタはもっと思慮深く、慎み深くあるべきだ…』
ティス「そーだそーだ。コウタのバカはもっとバカなりに考えて行動しないとダメだよ?」
コウタ「く、くそぉっ! 我慢だぁっ!」
ティス「…ふふっ、バーカ」
少しだけ、ティスの語調がいつもの調子に戻ってきた。
ひょっとしたらロアは、そんな様子を察してわざと俺に憎まれ口をたたいてくれてるのかもしれない。
ロア『そもそもコウタは勉学の時間が足りない。遊ぶ暇があるなら、先人が遺した書物を読み、知識を蓄えてだな…』
前言撤回だこの赤色野郎。

ティス「…コウタ、さ」
コウタ「ぜぇー、ぜぇー、あ、ああ? なんだぁ?」
ティス「…こっち向くなって言ったよね? バツとして駆け足ーっ」
ロア『確かにそうだな。これも鍛錬だコウタ』
コウタ「鬼だぁ! 畜生節分のときに退治し損ねた鬼がまだここにいるぞぉーっ!!」
もう本当に棒のような両足に力を入れて、100メートルダッシュを慣行する。
ティス「あはは、ちょっと気が晴れたかも」
ロア『よかったなコウタ』
コウタ「も、もう、もういっそ、こ、殺してくれ、バ、カ野、郎、ぜぇー、ぜぇー」
ティス「…ね、コウタ、さ」
ロア『………あ、すまん2人とも。エミィから通信が入った』
ティス「…え?」
コウタ「あん?」
ロア『少し消える。また家でな』
コウタ「お、おい! 通信? どういうこった!」
ティス「…ね、コウタ」
コウタ「お、おう」
少しづつ夕日が指し始めてきた道路沿いの道に、2人っきりで歩いてく。歩いてるのは俺だけだが。
つうかロアのヤツ、まさか、また変な気をまわしやがったか!?



379 :女は化生4 4/5 :2008/02/14(木) 04:20:16 AQAMs4n+
ティス「…どうだった?」
コウタ「な、何がだよ」
ティス「その、さ、さっき、キレイだって、言ってくれた、よね?」
コウタ「…え、ええっとだな、アレは…」
また照れ隠ししようとしてたことに気が付いて、慌てて踏みとどまる。
別に隠す必要はない。だって、本当にそう思ったんだから。
だから、ストレートに言った。
コウタ「…正直、ぜんぜん知らない人かと思った」
ティス「…それ、うれしくない」
肩に乗ってた手が食い込む。痛え。
コウタ「ち、違うぞ!? そういう意味じゃなくてだな、その、アレだ、全く別の人に見えるぐらいにだな、上手に化けてたというか」
ティス「…もう一回走る?」
…観念せざるを得なかった。
コウタ「…すまん、本当にかわいいし、キレイだと思った。本当に正直な感想」
ティス「…そ。どのぐらい?」
コウタ「どのぐらいとは!?」
ティス「どのぐらい可愛かった? 誰より? どのレベル?」
コウタ「そ、そんなんわかんねえよ! 本当にキレイだって思ったんだからもういいじゃねえか!」
ティス「…使えないなぁコウタは。つうか、ずーっと思ってたんだけどさ、後頭部凄いよ?」
コウタ「何ィ!?」
ティス「ふふっ、だって、ボコボコだもん」
コウタ「み、見るなっ! お前ずるい…」

ちゅっ。

ティス「………ッ///」
コウタ「…ティス、さん?」



380 :女は化生4 5/5 :2008/02/14(木) 04:20:49 AQAMs4n+
ぷぅーっ、ぷぅーっ、ぷぅーーっ

コウタ「ぐぉおおっ!? や、やめろっ! 後頭部に口当てて息を吹き掛けるなぁっ!!」
ティス「…だって、ボコボコだもん。ぷぅー、ぷぅーっ」
コウタ「んだぁあっ!! 気持ち悪いぃぃっ!!! やめろぉーっ!!!」
ティス「いいじゃん、早く良くなるかもよ? バーカ。ふふっ、あははっ///」
コウタ「くっそぉっ! お前! 顔見るぞっ! こっち向けっ!」
ティス「やーだ。ぷぅーっ、ぷぅーっ///」
コウタ「あああ背筋がぞくぞくするぅっ! やめろぉおっ!!!」
ティス「やーい、コウタのバーカ! ぷぅぅーっ、あはははは///」
コウタ「ちっくしょぉっ! 降りろぉっ! うああやめろ気持ち悪いぃいーっ!!」
ティス「あはははははっ///」

ロア『やれやれ、あの二人は本当に、世話がやけるな…』


ガーネット「…と、いうことは、やったー一人勝ちーっ!!」
カチーナ「いぃーや審議だ! アレはキスじゃねえ! あんなの認めるかーっ!」
アリオン「まあ、確かに審議には納得だけど、それなりに自由でいいんじゃないかな?」
紅茶「どうでもいいが、お前たち、紅茶の煎れ方がなってない、一級茶葉が台無しだ」
眼鏡「おなかがすきました」

ギャーギャーと審議ランプが灯る中、化生のドタバタ、これにて閉幕。
とっぴんぱらりのぷう。



381 :それも名無しだ :2008/02/14(木) 04:23:50 EXaOc53g
>>380
わるこなにゃううううううううううううううううううううううううううううううううううう



382 :それも名無しだ :2008/02/14(木) 04:45:27 KJoiYclu
カチーナ「うるせぇメガネ!これでも食ってろ!」つ(セロリ)



383 :それも名無しだ :2008/02/14(木) 10:00:14 JGk/gCNT
>>382
コウタ「お前ら」(ゴゴゴゴ
カチーナ「い、いよぉ・・」
ガーネット「な、なんだかんだでうまくいったじゃい」
ユウキ「だがあの紅茶の煎れ方はなってはいない」
ラージ「おなかがすいててもセロリだけは嫌です」
アリオン「言い訳をするのも逃げるのも自由だ というわけで逃げさせてもらう」
コウタ「待ちやがれてめえら! バーナゥ・レッジー・バドー! ファイターロア!」

キャーニゲロー チィッ ドコヘニゲルモジユウダ コウチャヲバカニスルナ オナカスイタ




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307 :小ネタかどうかは分からんが :2008/02/12(火) 21:57:38 QV1XykNX
ごくたまにショウコの料理の手伝いをしているティス
しかし、今日は事件が起こる。
ショリショリショリ…(皮をむく音)ザクッ!!
ティス「…!!」
ショウコ「大丈夫!?これは…とりあえずこれでおさえてて!!
お兄ちゃーん救急箱、もってきてー!!」
—食事時—
ティス「ううう…食べづらい…」
コウタ「まあ、利き手じゃなくて良かったな。」
ラージ「もし利き手だったら食べさせてあげればいいんじゃないですか?」
コウタ「だ…誰がそんなことするかよ!!」
ラージ「別に僕はコウタ→ティスとは、いってませんがね?」ニヤニヤ
コウタ「るせー!!」
ショウコ「はいはい!!ティスが怪我をしてまでも作った料理なんだから!!
もっとありがたく食べなさい!!」
フェルナンド「なるほど…まさに身を削った料理か…修羅にふさわしい!!はぐはぐ…」
アリオン「作ったのは、ほとんど彼女だけどな、と、空気を読まないのも久々の自由!!」
フォルカ「ショウコが作ったものなら何でもうまいな、もぐもぐ…」
—食後inコタツdeテレビ—
ティス「わははは!!こいつばかだよ、本当にばかだよ」
コウタ「ちいっ!!次は正解してやるからな!!」
ロア「今のがわからないのは、少し危ういぞ…コウタ…」
コウタ「るせー!!」
おもむろにミカンに手を伸ばし食べようとするティス、しかし…
ティス「いっ…!!」
傷口に汁がしみてしまう、しかし、それでも諦めない
ティス「ぬ…ぬぬぬぬ…」
それに気付いたコウタはミカンをむいて一つ取ってやる
ティス「ありがとう、あ〜」
コウタ「自分で食え!!」
ティス「う〜、けが人につらくあたる〜」
コウタ「ったく、しょうがねえな」
コウタ→ティス成立
キサブロー「ふぉふぉふぉ…甲斐甲斐しいのぉー…」





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288 :刃蓮蛇印の日(ショウコのバレンタイン)2/6 :2008/02/12(火) 13:47:49 hvYot2Ta
…ティスのバレンタインを投下した後、しばらく考えた。で、スレ違いを覚悟で投下する事にした。というわけで、これから数日に渡って計五編投下する。まずはショウコ編。


ショウコは、自信作のチョコが入った箱を前にあぐらをかき、腕を組んで考えていた。

今日は、女が愛する男にチョコを渡すバレンタインの日。お菓子会社の策略だろうがメディアの扇動だろうが、好きな人に想いを伝える絶好の機会である。
だが、ショウコがこれから渡す相手は、バレンタインの事を「刃蓮蛇印」だなんて呼ぶくらい、知らない。そんな彼だから、普通に渡したとしても「ありがとう、ショウコ」の一言だけで済んでしまうだろう。
しかし、それでは意味がない。彼には改めて自分の想いを知ってもらいたいし、彼から改めて自分への想いを知りたいのだ。

だから、ショウコは考える。
彼に、「バレンタインのチョコ」の意味に気づいてもらうために。
あわよくば、彼といる事が嬉しいと、もっと思えるようにするために。

(…多分、普通の方法じゃ駄目なのよねぇ……)
頬杖をつく。
(となると、少し方向性がずれてても、伝わればいっかぁ…)
髪をいじる。
(それなら…後はショウコが勇気を出せれば…さすがに…)

——立ち上がる。

「…よしっ、決めた」
どうやら考えがまとまったらしい。
彼女はチョコの入った箱を、鼻が良くても気づかれないような場所に置いた。



289 :刃蓮蛇印の日(ショウコのバレンタイン)2/6 :2008/02/12(火) 13:58:18 hvYot2Ta
——夜。

「……ない…」

フォルカは一言、呟いた。
目の前には、目一杯開かれた押し入れ。
しかしその中はがらんどう。ほぼ何もない。
「…布団がない…」
当然、普段はそこに収められているはずの布団も、ない。代わりにあるのは、一枚の紙切れだけ。

『布団は、ショウコの部屋』

「…ショウコの部屋にあるのか…?」

考えてみると、今日は彼女が「今日はフォルカの布団干ししなきゃ」と言っていた気がする。もしかしたら、そのせいでショウコの部屋にあるのだろうか。
しかし、几帳面なはずのショウコが、布団を持ち帰らせるというものぐさな事をするだろうか。

「…考えても仕方がないか」
だがすぐに思案を諦める。
(今は、寝るための布団が大事だ。理由などショウコ自身から聞けばいい)
フォルカはそう思って一人納得すると、自身の部屋を後にした。


そして、ショウコの部屋。
「ショウコ、いるか?」
まずは襖を軽く叩く。ショウコに徹底された「魔那阿」というものを守った結果だ。
「そっちに、俺の布団がないだろうか?」
続いて、用件を述べる。
そして、反応をしばし待ってみる。



290 :刃蓮蛇印の日(ショウコのバレンタイン)3/6 :2008/02/12(火) 14:04:45 hvYot2Ta
——すると。

『…あるよ。入って』

返答。そして入室の許可。
フォルカはショウコの所に布団がある事に安堵し、「入るぞ」と言ってから襖を開けた。

「……」

真っ先に視界に飛び込んできたのは、足を開いた状態での正座で、足の間で両手をついたショウコの姿。彼女はその姿勢で、上目遣いにフォルカを見上げてくる。
それは、普段滅多にない態度。フォルカは、思わずどきっとしてしまう。
「…ふ、布団はどこにあるんだ?」
そして、一瞬のそれを誤魔化すために、彼はショウコの部屋をきょろきょろと見回す。
一方、対する彼女は依然として上目遣い。そのまま、口を開く。

「…ごめん。布団、もうここに敷いちゃった」

告げられた言葉に、フォルカははっとなった。慌てて部屋の畳に目を向けると、確かに布団が二枚敷かれている。
と、その状態を見た彼の頭が、不意に一つの予想をはじき出す。
「じゃあ……今日は、ショウコの隣で寝る事になるのか?」
そして、それは疑問として口からこぼれる。
「ううん」
だが、その疑問に対しショウコは首を振った。

「でも…それよりさ」

手を後ろに持っていき、体の後ろに隠していた箱を前に出す。



291 :刃蓮蛇印の日(ショウコのバレンタイン)4/6 :2008/02/12(火) 14:10:34 hvYot2Ta
「ん……?なんだ、その箱は?」
綺麗な包装に、リボンが一つ。フォルカはそれが何なのかわからず、首を傾げて問いかける。
それに対しショウコは、何か言うわけでもなく、静かにその箱を開けた。

そこに入っていたのは、ハートの形をした五枚のチョコ。

ほのかに香る甘い匂いに、フォルカの喉がごくりと鳴る。
「…今日は、バレンタイン。チョコを食べる日なの」
いかにも食べたそうな彼の様子を見て、ショウコは言う。そして、箱の中から一枚取って、フォルカの前で軽く動かす。
「…ね、食べよ?」
どこか甘ったるい声で、彼女は誘う。
チョコを前に、既に「食べたい」という思いが強まっているフォルカは、一も二もなく頷きたい。
「…しかし…前にショウコは言っただろう?『真夜中に物を食うのはいけない』と…」
だが、つまみ食いが過ぎて彼女に怒られた時の言葉がちらつき、踏みとどまる。
「今日は特別。それに、ショウコだって食べるんだから…おあいこだよ?」
しかしショウコは、その枷を一時的にしろ解き放ち、更には自分も食べると言う。
そうなると、真夜中のつまみ食いが久しいフォルカは、こくりと頷くしかなかった。



292 :刃蓮蛇印の日(ショウコのバレンタイン)5/6 :2008/02/12(火) 14:17:26 hvYot2Ta
「…じゃあ、食べよっか」
「うむっ…いただこう」
箱に手を伸ばすフォルカ。しかしその手は、間髪入れずショウコにはたかれた。
「っ!?……やっぱり駄目なのか…?」
彼は迷わず、ショウコの顔色をうかがう。
「…ううん」
だが、彼女は笑みを浮かべたまま。
「バレンタインはね…好きな人同士の時だけ、食べ方に作法があるの」
「…さ…作法…?」
ショウコは頷く。そして、おもむろに持ったままのチョコを自分の口に運ぶと——

「…ん」

くわえたチョコを、フォルカの前に突き出した。同時に、彼の両手を掴んでしまう。

「……っ!?」
突然迫ったショウコに、彼の胸の鼓動は急激に高鳴る。
「……」
それを知ってか知らずか、ショウコは目を開いたまま、少しずつチョコをフォルカの口へと近づける。
「…これは、つ、つまり…口だけで食べる…と、と言う事か?」
彼女は黙して語らない。しかし、その瞳は告げている。

そうだ——と。

フォルカの喉が、ごくり、と鳴る。
今度は、別の意味で。
その間にもショウコは、じわりじわりとチョコを近づかせていく。

やがて、チョコはフォルカの口に当たる。

そこまで来て、ついにフォルカは覚悟を決めた。



293 :刃蓮蛇印の日(ショウコのバレンタイン)6/6 :2008/02/12(火) 14:23:48 hvYot2Ta
将軍級の修羅と戦う時とは比べ物にならない程の勇気を振り絞って、チョコにかじりつく。
そのまま、少しずつ噛み進めていく。
(半分食べ終わるまでの辛抱だ…)
フォルカは、平等の名のもとに成立する言葉を自分に言い聞かせながら、チョコを食べる。
しかし彼は気づいていない。
ショウコが、ほとんど噛み進めていない事に。

そして、後少しで半分に至る所まで来た時。

「…っ!?」

彼女の顔が、一気に迫る。
何か柔らかいものが触れて、すぐに離れていく。

——フォルカの中で、何かが切れた。

「…美味い。……もっと欲しいぞ」
ただ一言。ショウコは黙って、二枚目をくわえる。
そして一枚目同様、フォルカに突き出した。彼はそれを、今度は躊躇わずにかじる。

二枚目は、互いに押しつけあい。

三枚目は、生暖かいものを吹きかけあう。

四枚目は、チョコとは違う熱を持った何かが入り込み。


そして、最後の五枚目は。


最も長く。深く。そして激しく——


…ショウコ編終わり。「フォルカにバレンタインを自覚させる事」を考えた結果、ショウコはえらい事になった。だが「スレ違い+キャラが違う=大非難」は覚悟している。何とでも言ってくれ。



294 :それも名無しだ :2008/02/12(火) 14:38:43 dXyHB1Ai
凄く…エロいです…
ショウコ…恐ろしい子…!



295 :それも名無しだ :2008/02/12(火) 15:00:05 YVBH6dr7
ちょwwww
ティスと違いエロいっすwwww
他の作品も期待しています



296 :それも名無しだ :2008/02/12(火) 15:26:16 nrfEo45b
けしからん!

MOTTO!MOTTO!!


297 :それも名無しだ :2008/02/12(火) 16:55:14 hdXk69tb
>>288
お前ってやつは真昼間からすれ違いな上にエロいものを投下しやがって……

MOTTO!MOTTO!



298 :それも名無しだ :2008/02/12(火) 17:27:02 b/dVzxD4
ショウコ…中学生なのになんて恐ろしい子…!!


コウタが知ったら即倒だなw





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315 :それも名無しだ :2008/02/12(火) 22:56:54 iyb6OlRu

トリアーエズ単発行きまぁす。


ティス「勝負だ!バカコウタ!」
コウタ「はぁ?」
ティス「スレタイ通りに勝負するぞ!」
コウタ「なんだよスレタイって。だいたいなにで勝負するんだ?」
ティス「む!むむむ……………ならまたスパロボ拳で!」
コウタ「まだ懲りてなかったのか!?」
ティス「うるさいうるさい!いいから勝負!
    じゃなかったらコウタの敵前逃亡であたいの勝ちね!」
コウタ「!そこまで言うなら勝負だ!このクソ砂利!」
ティス「いくよ〜!せ〜の!

………中略…………

ティス  残り2枚
コウタ  残り1枚

ティス「くっ…あと1枚が遠い…!」
コウタ「底力レベル9にインファイトもレベル9でガードまで付けてるのに…
    まずいな…これならアタッカーも付けとくべきだったか…」
ティス「さぁいくよ〜!
ガラガラ
ショウコ「ただい…」
ティスコウタ「「!!!!!」」
ショウコ「………………………………………………………………
     ……………二人とも寒いんだから違う遊びにしなさい(ニコ)」
ティスコウタ((耐えた!!))
ガラガラ
デュミナス「こんにちわ。久しぶりに日本に帰れ…タ……ノデ………」
ティスコウタ「「あっ」」


┣゛┣゛┣゛┣゛┣゛┣゛┣゛┣゛┣゛┣゛┣゛┣゛┣゛┣゛┣゛┣゛


デュミナス「今 日 の 私 は 阿 修 羅 す ら 凌 駕 す る 存 在 だ !!!!」

うん。ごめん。最後のセリフだけ使いたかったんだ。


316 :それも名無しだ :2008/02/12(火) 23:01:30 Rt2mNl9n
デュミハム・エーガー乙



317 :それも名無しだ :2008/02/12(火) 23:12:33 Y0rCG5EW
>>315 耐えた!!でワロタw




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328 :こんなタイミングでも投下するのは自由なのさ! :2008/02/13(水) 02:01:52 7s3z08Sq
〜しりとり〜


ティス「コウタ、今日はおしりで勝負だ!」
コウタ「どこの世界の勝負だよ!てか俺の漫画読んでる最中を邪魔すんなっ」
ティス「おしりで勝負だっつったらおしりで勝負!」グイグイ
コウタ「だーっ、服敗れるっつーの!」
ティス「一番最後の言葉を繋げておしりで勝負!」
コウタ「……バーカ、そりゃしりとりだろ」
ティス「へ?そうなの?」
コウタ「バカは何覚えてもバカだな!分かったらゆっくり漫画読ませろってんだ」

ティス「なっ、……このクソコウタ!クソクソクソ!」
コウタ「……ソース」
ティス「は?そうす?」
コウタ「ソース!次はスから始めろよ、クソガキ」
コウタ「(まぁ、一つの文字で責めればすぐに詰まって終わるだろ)」
ティス「え?ス…ス……スイカっ!」
コウタ「カラス」
ティス「ス…ス……、スルメ!」
コウタ「メス」
ティス「また、ス!?卑怯、卑怯だぞクソコウタ!」
コウタ「まだまだスの付く言葉なんて山ほどあるだろうがよ。それとも降参か?降参」
ティス「ぐっ……、…ス…ス……スの付く言葉…」

ティス「!(スの付く言葉あった!…けどコレは…)」


ティス「ス……、…ス……k」モジモジ
コウタ「は?聞こえねぇよ」
ティス「ス…、好……」
コウタ「あーもう、つまんねー遊びに付き合ってやってんだから早くしろよ!」


ティス「ッ…!言えるワケ無いじゃない!バカじゃないの!バカコウタ!」
コウタ「?何言って…」
ティス「もうおしりは終わり!もう絶対バカコウタなんかとやんないんだからっ!」
スタタタ…

コウタ「なんだアイツ…顔赤くして出て行きやがった」
ラージ「解せないですね、スの付く言葉にあれ程悩むとは」
コウタ「なんでお前が出て来るんだよ」
ラージ「まぁまぁ、続投という事で僕達だけで続きをやりましょう」
コウタ「ヤダね、もう漫画読むのを邪魔されたくねぇんだよ」
ラージ「…僕のメガネが唸りますよ?それでも良いのですか?」
コウタ「はぁ?あーもう訳分かんねーメガネだな!面倒臭ェから一回で終わりな。スから始まる言葉だぞ」
ラージ「分かりました。ス、ですね」
コウタ「……」

ラージ「好き……、大好き!」

コウタ「きめぇよ」




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334 :ブチャラティ3万円 1/2 :2008/02/13(水) 08:17:11 fGAkiYR+
デスピニス「ティス、デュミナス様から仕送りが届いてるから、持ってきたよ…」
ティス「ホント!? わ! でっかい段ボール!」
ラリアー「『新しい服も入れておきました。過ちなきよう衣替えを』って手紙に書いてあるよ」
ティス「デュミナス様…、ありがたやありがたや。なんまんだーなんまんだー」
ラリアー「本当、何万円分なんだろうこれ…」
ティス「? 違うよ? これじーちゃんの真似。神棚にいつもこうやって拝むの」
ラリアー「え? 神棚って高いの?」
ティス「高いんじゃないかなー、金ピカラメラメだし。だからありがたいんじゃない?」
デスピニス「あはは… ち、違うと思うな…」

バリッ、ガサガサゴソゴソ…

ティス「この段ボールもらっていい? 後でミィんとこ持っていくから」
ラリアー「うん。あ、このズボン、履き心地よさそうだなあ…」
ティス「お、バンプレキッドのパンツだ! カッコイー♪ ラリアー履きなよ」
ラリアー「こ、ココで!? や、やだよ!」
デスピニス「………」
ティス「お、靴下の束発見! デスピニス、半分こしよ? …デスピニス?」
デスピニス「はぅ! な、何…?」
ティス「? 何その手にもった包み」
デスピニス「…! な、なんでもないよ…?」
ティス「怪しいなぁ… 見せろぉっ!」
デスピニス「きゃ! や、やめて…! ティスお願いっ…!」
バッ!
ティス「ちゃんとみんなで分けっ子しないと過ちなんだよー? どれどれ…」 ガサゴソ…
デスピニス「は、はわわ…」
ティス「…下着? なんだ、隠すことないじゃん。おー、リボン付きで可愛いね♪」
デスピニス「も、もういいでしょ? 返して…!」
ティス「ん? 奥にもう一枚…」 ガサゴソ…
デスピニス「うぅ! や、やぁーっ! やめてティス!」
ティス「びろーん。 …何これ、ブラジャー?」
デスピニス「うぅぅっ! や、やぁーっ、広げないでっ!」 バッ!
ティス「…あたいのと、形が違う…」 ガサゴソガサゴソッ
デスピニス「うぅぅ…///」



335 :ブチャラティ3万円 2/2 :2008/02/13(水) 08:17:31 fGAkiYR+
ティス「あたいのあたいの… あった。あー! やっぱ違う! デスピニスずるい!」 ビローンビローン。
デスピニス「ち、違うのティス… デュミナス様に、お願いしたの、少し… お、お、大きいのが… 欲しいって…///」
ティス「ずーるーいーっ! あたいたちもおんなじのがいいーっ! ラリアー抗議だ! 抗議の時間だ!」 ビローンビローン。
ラリアー「あ、あの、僕には関係ないんですけど…;」
デスピニス「そ、それに、少しだけ、ほんの少しだけ、か、かわいいのが欲しいって…///」
ティス「なんだとーっ!? さてはいろけづいたな!? ずるいぞデスピニス!」 ビローンビローン。
デスピニス「うぅ…、そう言われると思ったから、隠そうとしたのにぃ…;」
ティス「あたいたちも書くぞラリアー! カッコカワイイブラジャーをデュミナス様におねだりするんだ!」 ビローンビローンビローン。
ラリアー「なんで僕も!? つうか広げないでよソレ! は、恥ずかしいよっ!」
ティス「…あ、伸びた。これやるラリアー。着ていいよ」 スッ
ラリアー「スポーツブラなんていらないよ! やだよぉっ!! や、着せるなぁっ!!」

………

デュミナス『………』
バイト「お疲れ様ーッス。お、デュミさんまたお子さんからの手紙?」
デュミナス『え、ええ… 過ちです…』
バイト「? 何かあったの? どれどれ…?」

『かこかわいい ブチャラティー なんまんだー
                         ティス』

デュミナス『………どう、思いますか?』
バイト「す、凄く… 過ちです…」


おまけ

ラリアー「うぇっ、うぇええっ、こ、コウタさぁあんっ…」 しくしくめそめそ…
コウタ「んぶふぅーっ!! ちょ、ど、どうしたラリアーっ!! なんだその格好!」
ラージ「バンプレキッド柄のパンツにスポーツブラ… 貴重ですね」 カシャーカシャーカシャーカシャーッ



336 :それも名無しだ :2008/02/13(水) 09:31:39 pM2WpOIG
>>334
わるこなにゃう!「おしゃれは下着から」と言うが、デスピニス…やっぱり色気づいたか。そしてラリアーの姿……だめだ、腹筋がちぎれるww




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342 :バレタ院の日(アルフィミィのバレンタイン)1/3 :2008/02/13(水) 14:17:48 pM2WpOIG
アルフィミィは街中を、ため息をつきながら歩いていた。

自分の周りは、誰もかれも「バレタ院」なる行事に心をときめかせ、愛する者にチョコを贈るために苦心していた。
正直に言えば、自分も便乗したい。
ティスのように、チョコ製作に苦労したい。
ショウコのように、チョコの渡し方に悩んでみたい。
フィオナのように、チョコと共につける物について考えてみたい。
ミズホとデスピニスのように、渡す勇気を振り絞ってみたい。
しかしどれだけ望んでみようと所詮、自分は河川敷での段ボール生活。節分にまかれた豆を拾ったりして食をまかなっているような状態なのだ。
それなのに、バレタ院のチョコなど——

「…買うことすら、できないですの…」

がっくりと肩を落とすアルフィミィ。
しかも周りがバレタ院の雰囲気に満ち溢れているせいか、余計に深く落ち込んでしまう。
「…帰るですの…」
だから、彼女は一人、その雰囲気を避けるようにして帰宅の途につく事にした。



343 :バレタ院の日(アルフィミィのバレンタイン)2/3 :2008/02/13(水) 14:22:25 pM2WpOIG
河川敷に戻った。彼女は残念そうな表情を拭えないまま、段ボール豪邸の玄関を開く。

——と、どこかからほんのりと甘い匂い。

「…遅かったじゃないか」

そして、帰りを待ち望んでいたらしいアクセルの声。アルフィミィの目が、驚きに大きく見開かれる。
その目に映ったのは、テーブルの上に置かれた1ラウンドのチョコレートケーキ。
「…これは、夢ですの?」
彼女の口から、驚きがこぼれた。それを聞いたアクセルは、おもむろに立ち上がる。
そして、アルフィミィの前に立つと——

むにぃ。

頬を軽くつねった。彼女に僅かな痛みが伝わる。
「…痛いですの…」
「そういう事だ、これがな」
席に戻るアクセル。
「…さて、お前は疑問に思うだろうな。『どうしてここにチョコレートケーキがあるのか』と」
彼は、頬杖をついてケーキを見つめながら、言葉を紡いだ。その中にあった言葉に、アルフィミィは頷く。
それを確認したアクセルは、やはり頬杖をついたまま言葉を続ける。

「…今日は世に言う『バレンタイン』の日だからな。銅線やストリートライブで稼いだ金を使って買った」



344 :バレタ院の日(アルフィミィのバレンタイン)3/3 :2008/02/13(水) 14:26:26 pM2WpOIG
今度は目をぱちぱちさせて首を傾げるアルフィミィ。
「…バレタ院は、女の子だけの行事ではありませんの?」
「それはこの国だけだ。他の国に行けば、男だって贈り物をしている」
対するアクセルの答えは、明らかに今日という日について下調べをしてきている事が明白。
そして、彼は。

「…大方、知り合いがバレンタインを満喫しているのを羨ましがるだろうと思ってな。望んでいたものではないだろうが、これで我慢してくれ。生憎、チョコを作る上で必要な安定した火はない、これがな」

しばしの空白。

ややあって、アルフィミィの口が開く。

「…大満足ですの…♪」

彼女は笑っていた。それを横目で見たアクセルも、「そうか」と笑う。

「では、いただきますついでに…カップル恒例の『あ〜ん』で一緒に食べますの♪」
「な…っ!さ、流石にそれは…っ!」
「…お嫌ですの…?」
「く…っ!なるようにしかならんか…っ!」


…アルフィミィ編終了。他の編も出来次第投下する。それまではミィの回想から内容を想像してくれ。



345 :それも名無しだ :2008/02/13(水) 16:43:34 SOnmVIuR
アクセルコノやろう!(ニヤニヤ)ミィはもっとこのコノやろう!(ニヤニヤニヤ)



346 :それも名無しだ :2008/02/13(水) 18:22:46 jTOX8GcR
わるこわるこwww
なるようにしかならんよアクセルwww


347 :それも名無しだ :2008/02/13(水) 18:42:18 L3mcFcrA
ほのぼのするねぃ…ラヴィ空気よりもなんと言うか
こういった心があたたかくなるようなラブのほうが好みだ
ところで
ヴァーアレント・ターンティン効果で盛り上がっているが
当日は確か14だよな?息切れしないか心配だ



348 :それも名無しだ :2008/02/13(水) 18:46:32 0dGmmYv9
アクセルが銅線を掻払うところを、競馬帰りのキョウスケに見られてアワアワする場面を受信した俺は、浅草へ行くべきかもしれない。



349 :それも名無しだ :2008/02/13(水) 18:52:09 jTOX8GcR
>>348 もちろん大敗しててエク姐になんて言い訳するか考えてたんだよなナンブさんは…

もうなるようにしかならんな浅草。



350 :それも名無しだ :2008/02/13(水) 19:32:45 uIsWpZRj
このスレタイでアセクミィSSとな!?


いいぞもっとやれ



351 :それも名無しだ :2008/02/13(水) 19:57:47 pO8dcBC+
ダメだ、タイトルからしてもう笑っちまうwww


384 :ヴァーレン・タ・イーン王子の日(ミズホとピニスのバレンタイン)1/6 :2008/02/14(木) 11:22:29 PDSHL0UK
「…デスピニスちゃん、今日は何の日?」
「ヴァーレン・タ・イーン王子の日です」
「……バレンタインね」
「あ…ごめんなさい…」
「大丈夫、誰にでも間違いはあるから…」
テーブルを挟んで、ミズホとデスピニスは話し合う。
「…それで、ここにあるのは?」
ミズホが、テーブルの上に置かれた箱を指さす。
「私達がラウルさんのために作ったチョコですっ」
デスピニスが、即答する。
「うん」
その明確な態度に、ミズホは頷く。と、デスピニスは急に不安げな様子で俯いた。
「…ラウルさんに、ちゃんと渡せるでしょうか…私達……」
「…そうだね…」
それにつられて、ミズホも俯く。
しかし、彼女はすぐにはっとなり、首をぶんぶんと振った。そうして、自分を保つ。
「…って、駄目だよ、デスピニスちゃんっ!渡す前からそんな弱気な事言ってちゃ!それに、私達は二人だよ?一人だと勇気が出なくたって、二人なら互いにフォローし合っていけるじゃない!」
ミズホの言葉は、いつになく強気。デスピニスはそこに込められた彼女の強い決意に、圧倒される。
どうやらミズホにとってバレンタインは、自分の気持ちを確かに持てる数少ない時らしい。



385 :ヴァーレン・タ・イーン王子の日(ミズホとピニスのバレンタイン)2/6 :2008/02/14(木) 11:28:08 PDSHL0UK
「…そうですか?」
しかし、いつになく燃えている彼女の様子を見てもなお、デスピニスは不安を拭いきれない。
「うんっ!恥ずかしいのだって、二人で分け合おうよ!そうすればきっと、ちゃんと渡せる!」
一方、ミズホは彼女に向かって、強い意志のこもった目で、確信を持った者だけに許された確かな笑顔を見せる。

——そこから、勇気をもらったのだろうか。

「…そう…ですよね…!」
次第にデスピニスの不安が、どこかへ飛んでいく。
「二人で、渡すものだから…きっと伝わる…!」
そして、ミズホと同じ確信が彼女にも伝わっていく。
「…やりましょう!今すぐ!」
「うんっ!ラウルさんに、私達の想いを伝えよう!」
とうとう、二人は立ち上がった。
——互いの手を重ね合って。


ドアをノックする音。
「…誰だ?」
部屋で読書をしていたラウルは、本から目を離さずに言う。
『ミズホです。デスピニスちゃんと一緒に、ちょっと話があるんですけど…良いですか?』
ドア越しの声。ミズホらしい。
ラウルは本にしおりを挟みながら、「ああ、いいぞ」と促した。一拍置いて、『失礼します』の声と共に、ドアが開く。



386 :ヴァーレン・タ・イーン王子の日(ミズホとピニスのバレンタイン)3/6 :2008/02/14(木) 11:33:25 PDSHL0UK
開かれたドアから、少し顔の赤いミズホとデスピニスが現れる。
どうやら、何かを後ろ手に隠しているらしい。しかも二人が密着している事から、「隠し物」が割と大きい物であろうと察する事ができる。
「…二人して用事って、何かあったのか?」
だがラウルは、その点については敢えて触れず、気づかないふりを装う。
何となく、その方がいい気がしたのだ。
「…えっと…」
「…その、ですね…」
彼の装いは、正解だったらしい。二人は落ち着かないのか、目をあちらこちらへと泳がせながら、一歩、また一歩とラウルに近づいてくる。
「…あのぅ…」
「な、なんと言いますか…」
何か言おうとして。
ちょっと躊躇って。
それを繰り返して。
どんどん近づいて。
「…そのぅ…」
「よ…用というのは…」
——とうとうラウルの前に来てしまった。
「「……」」
そこに来て二人は、深呼吸を一つ。

「「…こ、これっ、受け取ってください!」」

言葉の後、密着していた二人に隙間ができ、その間から包装紙に包まれた箱が突き出された。



387 :ヴァーレン・タ・イーン王子の日(ミズホとピニスのバレンタイン)4/6 :2008/02/14(木) 11:39:50 PDSHL0UK
「あ、あぁ」
彼女らの勢いに一瞬あっけにとられたラウルは、すぐに立ち直り、その箱を受け取った。
「…これ、開けていいか?」
同時に、二人に聞いてみる。その問いかけに対し二人は、黙ってこくりと頷く。
なんだか、恥ずかしいようだ。顔を真っ赤に染めている。
「じゃあ…開けるぞ」
そんな様子からラウルは、ゆっくり丁寧に開ける事が適切ではないと判断した。故に、躊躇わず一気に包装紙を破る。そして、箱のふたを開けた。

——中にあったのは、片手で摘むには少し重そうな、プレート型のチョコレート。表面には、やや歪な文体で「大好きです ミズホ デスピニス」と書かれていた。

「…これ、くれるのか?」
「「……」」
黙したまま、二人はこくこくと頷く。
承諾を見たラウルは——

「…いただきます」

まずは、一口。

「…うん。美味い」

そして、感想を漏らした。

「「……!」」
顔を見合わせるミズホとデスピニス。二人の表情が、どんどん喜びに満ちていく。
その様子を見て、今日はバレンタインだったな、と思いながらラウルは、一人でいっぺんに食べるには少し重いチョコレートを、味わって食べた。


389 :ヴァーレン・タ・イーン王子の日(ミズホとピニスのバレンタイン)5/6 :2008/02/14(木) 11:45:01 PDSHL0UK
——やがて、ラウルはチョコレートを食べきってしまう。
「…ふう…すごく美味しかったよ。俺にわざわざこんなもん用意してくれて、ありがとうな」
彼は腹を軽くさすりながら、喜びを露わにする二人に礼を言った。
「あ…はい…」
「…どうも…」
しかし、対する二人から返ってきたのは、表情とは裏腹な恥ずかしげな口調の言葉。
「…でも」
「……私達、もう一つ…プ、プレゼントを、用意してあるんです…」
そして、続く言葉。
——どうやら、チョコレートを渡すだけでは終わらない何かがあるらしい。
「…もう一つ?」
まさか、また食べ物ではないだろうか——眉間に皺を寄せながら、ラウルはつい不謹慎な事を思ってしまう。
一方、ミズホとデスピニスはそんな事など知る由もない。「あの…そのぅ…」と、口をぱくぱくさせ、もじもじと体を動かす。

——と。

「……もう一つは…!」
「…こ、これですっ!」

二人が離れ、ラウルの左右に立つ。
彼の腕を抱いて、頬に接近。
そして、密着。

ラウルの目が大きく見開かれ、耳まで真っ赤に染まる。しかし、ミズホもデスピニスも、そのまま離れてくれない。



391 :ヴァーレン・タ・イーン王子の日(ミズホとピニスのバレンタイン)6/6 :2008/02/14(木) 11:53:42 PDSHL0UK
そのまましばらくの間、二人の少女に挟まれた状態が続く。
それはラウルにとって、チョコレート以上に甘い、誘惑。
抱きつく体は暖かくて。
漏れる吐息はくすぐったくて。
押しつけられたものは柔らかくて。
彼の全てをじわじわと麻痺させていく。
体も。
思考も。
全てが——

「「…っ!」」

と、不意に二人が、電撃でも走ったかのような勢いで離れた。
「ご、ごめんなさいっ!こんな、め、迷惑な事して!」
「い、嫌でしたよね!ほ、本当に、ごめんなさいっ!」
直後、二人の平謝りが始まる。だが、全ての麻痺が解けきっていないラウルは、その様子をぼうっと見ているだけ。
「「で、ではっ!失礼しましたっ!」」
そのうち、ラウルからの反応がない事で更に慌てた二人は、ついにその場から逃げ出してしまった。
ばたん、と勢いよくドアが閉まる。

そこに来て、ラウルは我に返った。
片方の頬をさすり、もう片方の頬をさすり、閉められたドアを見つめる。

「……やばい…しばらく二人の顔、見られないかも…」


それから数日間、三人は顔を合わせる度に、照れくさそうに目を逸らすという前置きが必要になってしまった。


ミズホ&ピニス編終了。


392 :それも名無しだ :2008/02/14(木) 11:56:32 viD1b6cc
>>391
わるこわるこ
美味しく頂きました。





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388 :バレバレ大尉ネタ 1/2 :2008/02/14(木) 11:44:50 AQAMs4n+
本来なら普通に綺麗だって言って二人でニヤニヤしながらチョコケーキ食う話だったのにやっぱりダメだった。
そんなわけでバレンタインネタ。


カチャ、コソコソ…

コウタ「うーん、うーん」
ティス「よしよし、うなされてるうなされてる…」
ぺりぺりと、顔面の絆創膏やら包帯やらを剥いでいく。
コウタ「うーん、うーん」
そぉーっと、ガーネットからもらった、ルージュを口に塗る。
ティス「………」
よーくうなされてるのを確認してから、
真っ赤に腫れてて熱を持ってるほっぺたに、キスした。
ティス「…っ、こ、これでよし。ふう、て、手間がかかったなぁ…」
後は、枕元にチョコレートを置いて帰るだけ。
だけ、なんだけど…
コウタ「うーん、うーん」
ティス「…あれ、意外と一度やっちゃったら恥ずかしくないな…」
試す意味で、もう一回塗って、今度はおでこにやってみる。
ティス「…よし。これで大丈夫だろう。ミッション昆布」
後は、置いて帰るだけ…
ティス「…あれ、意外と楽しいかも… も、もう一回だけ…」
おでこにもう一回。
ティス「…なんか味気ないな、今度は反対側にしとこ。あと一回だけだぞ、一回だけ」
反対側のほっぺたにもう一回。
ティス「…あれ、あれれ、た、楽しいな、なんだろコレ///」
鼻んとこ、首筋、耳、こめかみ、あれ、やばい、コレ、楽しい。
コウタ「うぅーん、うぅーん、うぅーん」
ティス「わ、やだ面白っ♪ コレ面白っ♪ も、もう一回だけな、さ、最後に… く、く、くちんとこに…」
コウタ「…っ、だ、誰だぁ…」
ティス「!!」

グキッ。


393 :それも名無しだ :2008/02/14(木) 11:58:33 AQAMs4n+

チュンチュン… チチチ…

コウタ「うぅぅ、寝違えちまった… 首痛ぇ…」
ショウコ「おはよー、ごはん出来てるよー、って、お兄ちゃん!?」
コウタ「すまん、なんか首が真横に向いちまって動かないんだわ。痛え痛え」
ショウコ「いやいやいやいや、な、何なの!? その顔中のキスマーク!!」
コウタ「は? 何? 首が動かないからよくわかんねえんだが」
ショウコ「いいからほら、これで見る!」
そういって手鏡を渡されたので、顔を見る。

『 ギ ャ ー ー ー ー ー ー ー ー ッ ! ! ! 』

コウタ「な、な、な、なんじゃコリャァッ!!」
ショウコ「お、お兄ちゃんのH! スケベ! なななな何したのよもうっ!!」
コウタ「お、俺が知るかぁっ!! つうかなんなんだコレッ!」
ティス「お、おーっす、おはよーみんなー」
コウタ「ティ、ティスゥッ!! テメエか!? テメエの仕業かぁっ!!?」
ティス「わ、わ、何それ、すっごい顔! ぷ、ぷふっ、ま、真っ赤っ赤じゃん!」
コウタ「テメエしらばっくれんなっ!! つうか首が真横から動かないのもお前の仕業だろうがぁっ!!」
ティス「あ、あれれー? コウタ、反対側のほっぺたに何か書いてあるよー?」
コウタ「ああ!? ちょ、ちょっとショウコ、首押えててくれ、戻す」
ショウコ「う、い、いやだなぁ、触りたくないなぁ気持ち悪い;」
ティス「あ、手伝うよー、せーのーっ」

グゴキィッ。

コウタ「…っく、し、死ぬほどいてえっ、ええいっ! 何が書いて…」

『ダイスケ』

コウタ「…ダイスケ?」
ティス「わ、わー、チョコペンで書いてあるね、愛されてるねぇコウタ、ぷ、ぷふふ、あはははwww」
コウタ「ち、ちっくしょぉおおまたかダイスケェェエッ!!! ぶっ殺すっ!! 探し出してぶっ殺すぅっ!!!」

ガシャーンッ!! ダダダダダダダダッ…

ショウコ「お兄ちゃん! 顔ぐらい洗っていきなさーいっ!! も、もう、あんないっぱいキスマーク、恥ずかしい…っ」
ティス「しょ、しょうがないねぇコウタは、さ、ごはん食べよ?」
ラージ「おなかがすきました」
ティス「あんたはメシ抜き!」
ラージ「はい」

マリア「はい兄さん。バレンタインチョコ」
デューク「ありがとうマリアぶぇっくしぃっ!!」
マリア「あら、また宇宙風邪?」

大介さん逃げてーっ!!




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72 :手作りチョコ(1/3) :2008/02/07(木) 12:53:10 J34/AXbV

コウタ「なにお菓子コーナーでじっと立ってるんだよ、ガキだなぁ」
ティス「べ、別にいいじゃんか」
コウタ「チョコか?うちにまだ残ってるぜ?」
ティス「ふん…あんたにはこれ買ったげる」
コウタ「ポッキー?なんで俺に」
ティス「バレンタインのチョコ。あんたなんてこれで充分だよね」
コウタ「なっ…」
ティス「ふふん♪ラリアーには何あげよっかなー」
コウタ「へっ、そうだよな、ガキにゃ手作りのチョコなんて無理だろうしな」
ティス「えっ?」
コウタ「ショウコは毎年手作りだぜ?ま、お前じゃろくなものにならないだろうし、作らなくていいけどよ」
ティス「ムカッ」



75 :手作りチョコ(2/3) :2008/02/07(木) 12:55:22 J34/AXbV
アイビス「…で、なんで私のところに?」
ティス「チョコ好きそうだから、詳しいかなって」
アイビス「チョコの作り方ならショウコに教われば…」
ティス「ダメっ、ショウコに教わったらショウコ以上のチョコ作れないもん」
ツグミ「アイビスは食べるの専門だから聞いても無駄よ」
アイビス「うっ…」
ティス「そうなの?じゃあツグミに教えてほしいな」ツグミ「ごめんね、私はこれからフィリオのお見舞いに行かなきゃいけないの」
ティス「そっかぁ…」
アイビス「わかったよ!私が教える!」
ツグミ「えぇっ?あなたじゃ無理よ」
アイビス「やってみなくちゃわからないよ!私だって女の子だ、チョコくらい…」
ツグミ「やめときなさいって。あとで帰ってきたら教えるから」

???「フッ…その役目、私に任せていただこう」


77 :手作りチョコ(3/3) :2008/02/07(木) 12:57:04 J34/AXbV
ティス「おいバカコウタ」
コウタ「なんだよ」
ティス「じゃーんっ☆これを見てみなさい」
コウタ「なっ…すげぇ高級そうなチョコじゃねぇか、どこで買ったんだよ」
ティス「買ったんじゃないよ、あたいが作ったの」
コウタ「お前…嘘つくならもう少しそれっぽいチョコにしろよ」
ティス「嘘じゃないやい!ちゃんとトロンベとかいう人に教わった通りに作ったもん」
ラージ「馬に習ったんですか?」
コウタ「レーツェルさんに習ったなら、少しはまともなチョコになるか…」
ティス「へへん♪ほら、わかったなら食べてみなさいよ」
コウタ「ちっ、しょうがねぇな、食ってやるか」
ティス「あっ、言っとくけどこれ本命じゃないからね。あんたが手作りチョコなんて作れないだろって言うからわからせるために作ったんだからね」
コウタ「わーったよ、どれどれ…」
フェルナンド「むっ、なんだそのうまそうなスイーツは!よこせ!」
コウタ「あっ」

パクッ

ティス「あぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
フェルナンド「ふむ…悪くない味だ」
ティス「わ、た、し、の、自、信、作、を…」
コウタ「まぁ、味見なら誰でもいいじゃんかよ、好評みたいだぜ?」
ティス「キッ!」


アクセル「このタンスはまだ使えるな」
アルフィミィ「粗大ごみ置き場は宝の山ですの」
アクセル「む…あれはなんだ?」
アルフィミィ「人…ですの」

そこにはボロ雑巾のように捨てられたコウタとフェルナンドの姿があった…


394 :バレンタイン一週間前(1/3) :2008/02/14(木) 16:06:14 0yOvTNEU
>>72の続き

ティス「やっぱりもう一度チョコ作らなきゃ…」
ショウコ「あれ?台所で何してるの?」
ティス「えっ!ななな、なんでもないっ!」
ショウコ「変なの…さて、チョコいっぱい作らなきゃ♪」

アイビス「ティス、今日はどうしたの?」
ティス「ねぇ、トロンベに教わったチョコの作り方覚えてる?」
アイビス「えっ…たぶん」
ティス「もう一度作ろう?」
アイビス「今はツグミもいないし…よーしやろう!」

アイビス「チョコを溶かして…ここに色々入れたよね」
ティス「なんか透明の、ちょっと臭いやつ」
アイビス「あー、これかな」
ティス「『酢』…そんな感じの字だったはず!(本当は『酒』)」
アイビス「じゃあこれを入れて…と」
ティス「あと黄色くて油っぽいの」
アイビス「うーん…これか!(マヨネーズ)」
ティス「色がそれっぽい!(本当はバター)」
アイビス「よし、あとは…何か一番大切なものを忘れている気がする」
ティス「砂糖!」
アイビス「そうそう、砂糖だ(塩を入れる)」
ティス「なんか他にも色々入れてた気がする…」
アイビス「あの人ただのチョコに色んな材料使うから、全然覚えてないよ〜…」
ティス「目につく調味料全部入れちゃおうか」
アイビス「そのくらい色んなもの入れてたしね」
ティス「じゃあこんな感じで…(台所にあるものを片っ端から混ぜる)」
アイビス「よし、一度固めてみようか?レーツェルさんのより美味しいのが出来上がるかも…」
ティス「あは、そしたらあたいら天才だね!」
アイビス「天才…このあたしが天才…スレイじゃなく私が…!」

ティス「できた♪できた♪」
アイビス「見た目は問題ないね」
ティス「そうだね…っ!?なんかすごく変な匂い…」
アイビス「チョコなのに…サラダみたいな匂いが混じってる…」
ティス「味見…してみる?」
アイビス「えっと…だ、誰かに食べてもらおうか?」
ティス「そ、そうしよう!」

フェルナンド「む?なんだ貴様ら」
アイビス「チョコ作ってみたんだけど…食べてみない?」
ティス「あたいら二人で作ったんだよ」
フェルナンド「スイーツだな?ならばもらってやる」
パクッ

フォルカ「どうしたフェルナンド!?お前ほどの奴が一体誰に…」
フェルナンド「ダグラスという奴に気をつけろ…奴は毒入りチョコを自在に…ぐふっ」
フォルカ「フェルナンドォォォ!!」



395 :バレンタイン一週間前(2/3) :2008/02/14(木) 16:09:17 0yOvTNEU
アイビス「やっぱり、レーツェルさんにもう一度聞くしかないね」
ティス「うん」
コウタ「お?珍しい組み合わせだな。何してんだ?」
ティス「コウタ!?な…なんでもないよっ」
コウタ「もしかしてそれ…チョコか?」
ティス「ちっ違うよっ、チョコなんかじゃないよ」
コウタ「この前食べられなかったからな、一口くれよ、レーツェルさん直伝のチョコ」
ティス「ダメっ、コウタにはちゃんとした本命をあげるからっ」
コウタ「え…本命?」
ティス「あ…っ!?そういう意味じゃなくてっ///」
コウタ「じゃあ…どういう意味だよ…」
ティス「え…っとっ…」
コウタ「俺は…お前から本命チョコを貰えるなら…」
ティス「え…っ?」
コウタ「その…なんだ…別に受け取ってやっても…」
アイビス「ティスー、置いてくよ?」
ティス「あっ、まってよっっ」
コウタ「…期待しないで待ってるぜ」



396 :バレンタイン一週間前(3/3) :2008/02/14(木) 16:11:48 0yOvTNEU
ゼンガー「奴ならトロンベの調子を見に行くと言っていたな」
アイビス「じゃあテスラ研かな?」

ジョナサン「レーツェル?来てないぞ」
アイビス「まさか馬の方のトロンベかな…」

レオナ「今聞いてみたけど、エルザム様が実家に戻ったということはないそうよ」
アイビス「おかしいな…どこのトロンベだろう」
ティス「他に行方を知ってそうな人はいないのかな」
アイビス「あ、ギリアム少佐なら…」
ギリアム「フッ…大方の見当はついている」
ティス(いつの間に背後に…)

ギリアム「確かこのあたりのはずだ」
ティス「こんな森の中に?」
アイビス「あ、あそこに立ってるの」
ティス「アリオンの修羅神だ」
アリオン「おっと嬢ちゃんたち、何の用かな?」
ギリアム「レーツェルを知らないか?」
アリオン「奴はおそらく…ほら、マイハニーの足元を見てみな」
アイビス「あ…レーツェルさんが倒れてる」
ギリアム「修羅神に乗ろうとして生体エネルギーを吸われたか…」
アリオン「わざとマイハニーの元を離れて奴をおびき寄せたのさ」
ティス「どうする?瀕死の状態じゃ教えてもらえないよ」
ギリアム「極度の疲労状態と同じようなものだから、ニンニク注射でもすればすぐ治るだろう」
アイビス「なら、ニンニクよりもっと効くものをあげればいいよ」
ティス「なにそれ?」

 その後、昏睡状態でクスハ汁を飲まされたレーツェルは、一度心肺停止になった後、劇的な回復を見せたという。


当日編は夜に投下予定



401 :それも名無しだ :2008/02/14(木) 17:34:31 JeSsVs/B
>>394 わるこなにゃう! 続き機体支援


404 :バレンタイン当日(1/3) :2008/02/14(木) 21:54:17 0yOvTNEU
ショウコ「あれ?ティスもチョコレート?」
ティス「そうだよ〜♪」
ショウコ「凄っ…どこで買ったの?高そう…」
ティス「あたいが作ったんだよ」
ショウコ「ま、またまた…そういう冗談はもっとそれっぽいチョコで言おうよ」
ティス「ほんとだもん。兄妹だけに同じ反応するんだから」
ショウコ「まぁいいや、じゃあ、一緒に義理チョコあげに行こうか?」
ティス「ぎり…チョコ?」
ショウコ「12個詰めだから12人分作ったのかな?」
ティス「えっ…(全部コウタの分のつもりだったのに)」
ショウコ「誰にあげるかは自由だけど、あげた分だけお返しもらえるよ?」
ティス「お返し!?」
ショウコ「そうだよ、3月14日はホワイトデーっていって、バレンタインにチョコをもらった人がお返しを上げる日なの」
ティス「そ、そうなんだ!?」
ショウコ「倍返し、三倍返しは当たり前だよ♪」
ティス「よ、よし!12個全部別々に配る!」
ショウコ「じゃあ行こ♪」

ティス「じーちゃんに、フェルナンドに、アリオンに、ジャーダ…残りは8個か」
ショウコ「次は…あ、いたいた」
アクセル「先月の収入で、どうにかあと半月の生活費は確保できそうだな」
アルフィミィ「一日一食でやっとですの」
ショウコ「あの、チョコレートはいかが?」
アクセル「む?物を恵んでもらうほど落ちぶれちゃいないぞ、こいつがな」
ショウコ「そういう意味じゃないんだけど…」
アルフィミィ「女に恥をかかせるのはよくないですの」
ショウコ「そ、そういう意味でもないかな、あはは」
アクセル「わかったわかった、もらってやればいいのだろう」
アルフィミィ「いい子ですの」
ショウコ「はい、どうぞ♪」
ティス「ありがたく思えよっ」
アクセル「甘いものは久しぶりだ、これがな」
アルフィミィ「じー…っ」
ティス「ミィも、食べる?」
アルフィミィ「でも、私は女ですの」
ショウコ「最近は女の子同士であげるのも珍しくないんだよ?はいっ」
アルフィミィ「食べて…いいんですの?」
ティス「あたいたちに恥をかかせる気?」
アルフィミィ「ありがたく…ちょうだいいたしますの^^」



405 :バレンタイン当日(2/3) :2008/02/14(木) 21:55:25 0yOvTNEU
ティス「残り6個…あ、フォルカだ」
フォルカ「む?」
ティス「はい、チョコ」
フォルカ「くれるのか?」
ティス「うん。あれ、ショウコもあげるんでしょ?」
ショウコ「う、うん…あのねっ」
ティス(え…今までのチョコと目が全然違う…)
ショウコ「…ティス、先に帰っててくれない?」
ティス「ゾクッ」
フォルカ「ショウコ…いつの間に覇気の練り方を覚えた?」
ショウコ「ね…?」
ティス「じゃあ、ラリアー達のとこ行ってくるね、あはは」
フォルカ「…?」
ショウコ「いい子ね、ティス…」


ミズホ「はい、ラリアーにチョコ♪」
デスピニス「あ、あんまりうまくできなかったけど…」
ラリアー「あ、ありがとう」
フィオナ「私のも、コンビニで買ったやつだけど2人のが手作りだからいいよねー?」
ラリアー「あ、あああああ、ありがとうございますっっっ」
ティス「おーい、あたいのもやるぞ、ラリアー」
フィオナ「あ、ティスいらっしゃい」
ラウル「お?みんな揃って何やってんだ?」
ミズホ&デスピニス「あっ…」
フィオナ「チョコレートタイムよん♪」
ラウル「そうか、今日はバレンタインかぁ」
ミズホ(デスピニスより先に渡さなきゃ…!)
デスピニス(ミズホさんより先に…)
ミズホ&デスピニス「あの…っ!」
ティス「はい、チョコあげる」
ラウル「お、サンキュー♪手作りなんだ、良くできてるね。撫で撫で」
ティス「えへへー」
ミズホ&デスピニス「っ…!?」
ラージ「これはこれは皆さん、この僕にチョコをくれるんですか?」
フィオナ「ほらよ」
ラージ「今年も5円チョコ…ですか」
ティス「こっちは手作りだよ、はい」
ラージ「どうも。少しはティスを見習ったらどうです、フィオナ」
フィオナ「うっさい、そういうのはミズホが担当だからいいの」
ラージ「やれやれ…ま、そういうところもフィオナらしいですがね」
フィオナ(ところで、ちゃんと本命チョコも作ったの?)
ティス(えっ?ま、まぁね、一応…)
フィオナ(ちゃんとコウタに渡すんだぞ?)
ティス(う、うん…)


415 :バレンタイン当日(3/3) :2008/02/15(金) 07:53:42 9bZMSrxu
ティス「どうしよ…チョコこれしかないのに…残りは2個…でもこの2個をコウタにあげれば、他の人より特別になるよねっ、うん」
ショウコ「あっ、いたいた、どこ行ってたのよ〜」
ティス「ショウコ…」
フォルカ「迷子になったんじゃないかと探したんだぞ」
ティス「ごめんごめん」
ショウコ「はい、ティスにも義理チョコ」
ティス「えっ?」
ショウコ「ティスも大切なうちの家族だから、ね♪」
ティス「あ、ありがとう…じゃあ、あたいのもあげるね」
ショウコ「ありがとー☆」

ティス「残り1個になっちゃった…まぁいいか、あんなやつに、本命チョコなんか…」
ドテッ
ティス「いってぇ…転んじゃった。あ…チョコが砂まみれに…」

ティス「ひっく…ひっく…」
コウタ「お?お前こんなところで何泣いてんだよ」
ティス「こ、コウタ…」
コウタ「どうした?」
ティス「ごめん…ごめんね…っ」
コウタ「な、なんだよ!?」
ティス「コウタの分のチョコ…なくなっちゃった…っ」
コウタ「は…?」
ティス「ごめんね、コウタのために作ったのに、全部義理チョコに使っちゃったっ」
コウタ「…なんだよ…そんなことかよ」
ティス「えっ?」
コウタ「誰かがお前を泣かせたなら、ぶん殴ってやろうかと思ってたところだ」
ティス「へっ…?」
コウタ「チョコなんてなくったって、その気持ちだけで十分だぜ?」

ぎゅっ

ティス「わぁ…っ」
コウタ「作ったチョコ、みんなにあげたんだろ?ご近所さんを大切に…いい心意気じゃねぇか」
ティス「そ、そうかな」
コウタ「そういうの、好きだぜ?」
ティス「…///」
コウタ「ま、どうせお前のチョコなんて、ショウコのよりまずいに決まってるしな」
ティス「…!こ、コウタのバカァ〜〜〜〜!もう作ってやらないからな!!」
コウタ「なっ!?」
ティス「お前なんか来年からは5円チョコだ!」
コウタ「へっ!勝手にしやがれ!お前の失敗チョコなんてこっちだって願い下げだっつーの!」
ティス「ばーかばーかばーか!」

アリオン「やれやれ…成長しないねぇ、あいつらも」
ラージ「まったくですね」
デュミナス「過ちを繰り返しているだけなのに…何故彼らを見ているとこうも心が和むのでしょう?」
ラージ「ミズホの受け売りですが…それは、人間だからですよ」
デュミナス「私は…人間だったのか…」



416 :それも名無しだ :2008/02/15(金) 09:57:41 vgU+uC6M
>>415 8歳と9歳と10歳と、11歳と13歳のときも俺はずっと待っていたw
    わるこなにゃう。コウタはここ一番ではものっそカッコイイ子w



450 :バンリエッタ・イン侯爵の日(フィオナのバレンタイン)1/5 :2008/02/16(土) 21:11:05 MtXcA5MS

「…どうしたんです、フィオナさん。いきなり『用がある』だなんて」
フィオナの私室にて、ラリアーは彼女に問いかけた。それに対しフィオナは、どこかもったいぶった所のある態度で彼に視線を向ける。
「ん〜……用、っていうのはさ…」
そして、わざとらしくゆっくりな歩き方で、クローゼットへと向かう。それから、そこをゆっくりと開き——

「…これ」

中から、ハートの形をした入れ物を取り出した。振り向きながら、それをラリアーに手渡した。
「…えっと…これは…?」
何だろう——彼は首を傾げながら、フィオナに目を向けた。
「ん……チョコ」
それに対し彼女は、再びクローゼットに向き直り、服を物色しながら答える。
その中に出てきた単語に、ラリアーはすぐ閃いた。
「あ……バンリエッタ・イン侯爵の日だから、ですか?」
「バレンタインね」
すかさずつっこみ。フィオナは一旦手を止め、振り向かないまま苦笑する。
「みんなが作ってたからさぁ、ちょっとそれに便乗したのよ」
言った後、再び手が動く。一方、ラリアーはチョコを持ったまま、「そうなんですか」と相槌を打つ。その様子は、どこか嬉しそうだ。


453 :バンリエッタ・イン侯爵の日(フィオナのバレンタイン)2/5 :2008/02/16(土) 21:20:20 MtXcA5MS
そんな彼の言葉から間を置いて、フィオナが呟いた。
「…嬉しそうね」
どうやら嬉しそうな態度は、口調にも表れていたらしい。ラリアーは一瞬、目をぱちくりさせたが、それを察してからすぐ、嬉しそうな表情に戻る。
「はいっ。なんだか、ちゃんと男の子として見ていただけるのがすごく嬉しくて…」
「あ、なるほど…」
妙に納得してしまう。と同時に——

(……ど、どうしよう…)

——自分がこれからやろうとしている事に、躊躇いを持ち始めた。
彼は「男の子と認められた事」に、予想外の喜びを見せている。それはそれで喜ばしい。
だが、これから自分が頼もうとしている事は、彼の喜びを思い切り砕くもの。
やって、いいのかどうか。

「…どうかしましたか?」

と、不意にラリアーの顔が目の前にあった。彼がフィオナの顔をのぞき込んだのだ。それによって彼女は、自分が無表情で固まっていた事に気付く。
「……」
しまった——彼女は内心、後悔した。
これでは、誤魔化しきれない。「しない」という選択肢が、潰れてしまった。

「…はぁ」

——こうなったら、なるようにしかならない。
彼女は、決断した。

「…ラリアー。チョコのお返しとして、って言っちゃあなんだけどさ…」



454 :バンリエッタ・イン侯爵の日(フィオナのバレンタイン)3/5 :2008/02/16(土) 21:26:05 MtXcA5MS
——数分後。

「…あの…これでいい、ですか?」

ラリアーが、恥ずかしそうに呟いた。それに対しフィオナは、「ごめんねぇ…」と後頭部をかきながら、内心でガッツポーズをとる。

目の前のラリアーは、ロングスカートにブレザーという、女子校生の格好をしていた。

「クローゼットの整理してたら出てきてさ、どうしても着せてみせたくなっちゃったのよ」
「…そう、ですか…」
「あはは…本当、ごめんね…傷つけるような真似しちゃって…」
若干俯き気味になったラリアーに、フィオナは少々の後悔がわく。
「…でも…フィオナさんは僕の事、男の子だと思ってくれているじゃないですか……だから、平気です」
だが、ラリアーの健気な言葉に、些細な後悔など吹き飛んでしまった。

ごくり。

フィオナの喉が鳴る。
「…ラリアー。一回だけでいいからさ…」
そして——

「……『お姉様』…って、言ってみてくれる?」

——思考回路が、暴走を始める。
「私、妹だからさ…そういうのに、憧れてるの…」
躊躇いなく。
恥じらいなく。
彼女は、傍目には普通に見える様子で、その実かなり際どい願いを口走る。



455 :バンリエッタ・イン侯爵の日(フィオナのバレンタイン)4/5 :2008/02/16(土) 21:30:44 MtXcA5MS
「…えっと…」

対するラリアーは。

「…い…一回だけ、ですよ?」

承諾してしまう。
彼は最初に、目を閉じて一呼吸。気持ちを落ち着けて、ゆっくりと目を開けると、フィオナを上目遣いに見上げる。
綾町三姉妹の時に駆使した、女の子らしさ——それを思い出しながら、ラリアーは口を開いた。

「……フィオナ…お姉様…?」

呼びかけるようにして、一言。

その時、フィオナの中で何かが決壊した。

「……」
言葉なく、ラリアーを思い切り抱きしめる。当然、抱きしめられたラリアーは慌てるが。
「え?え?ど、どうしたんですか、フィオ」「駄目じゃない、ラリアー…私は教えてないはずよ、そんな呼び方」
呼びかけが遮られる。同時に、彼の顎をフィオナの手がさすり、彼女の顔が目の前を埋め尽くす。
それによって、ラリアーは気付いてしまった。
フィオナの目が、普段は決して存在しない何かを宿している事に。

「…お姉様、でしょう?」

彼女はその目で、ラリアーの心を絡めとり、じわり、じわりと侵していく。
逆らえない。
抗えない。
体だけでなく、心まで。



457 :バンリエッタ・イン侯爵の日(フィオナのバレンタイン)5/5 :2008/02/16(土) 21:43:35 MtXcA5MS
そして、彼は呟いた。

「…お姉、様…」

彼女が望む、その呼び方を。
「…よくできました」
それを聞いたフィオナは、妖しい笑みを口元に浮かべる。
「…だから…ご褒美を、あげないといけないわね」
それから、ラリアーの顎を軽く持ち上げた。
フィオナの顔が、迫る。
その意図を察したラリアーは、動かない。
二人の顔が、次第に近付き——


シャッター音。


二人の動きが、止まる。
「あ、そのままそのまま。いい距離ですね」
そして、声。フィオナが壊れた玩具のように、ゆっくりとそちらに目を向けると——

誰が呼んだかラージろう。
彼がいつの間にか、カメラを構えていた。
「…う〜ん、これならコンテストも優勝間違いなしですね」
そう呟いて、再びパシャリ。
次の瞬間。

「…ラァァァジィィィッ!!」

怒号。直後、ハイキック。
「おっと、逆鱗でしたか」
それを難なくかわしたラージは、そそくさとその場から去る。
「逃がすかぁぁっ!」
そして、顔を真っ赤にしたフィオナはそれを追う。

後には、硬直したままのラリアーが残った。彼はしばし茫然としていたが、ふと自分を抱きしめて、呟く。


「…お姉様…って……何だか、癖になりそう…」

フィオナ編終了。



458 :それも名無しだ :2008/02/16(土) 21:48:29 xSiHYtxg
>>457
きたあああああああああ!!らああああああじいいいいいいい!!
空気呼んでNEEEEEEEEEEEEEEEEE!!
ラージとフィオナのその後が気になるが…
とりあえずお疲れ様



459 :それも名無しだ :2008/02/16(土) 21:56:54 alueIbVr
>>457
グッジョォォォォヴ!
フィオナとラリアーのコンビはなんかいいねぇ。
おじさんドキがムネムネしちゃう。



460 :それも名無しだ :2008/02/16(土) 22:22:20 i06g6jDr
わ・る・こ! わ・る・こ!

「蝕む! その心までも!!」なフィオナがイイよ〜



461 :それも名無しだ :2008/02/16(土) 22:32:06 MIn1IELT
うん。やっぱり全員分揃った方が良かったですよ。お疲れ様です



462 :押し入れ内で裏事情(バレンタイン番外編)1/2 :2008/02/16(土) 23:58:07 MtXcA5MS
…じゃあ最後に、事後ネタである番外編を投下する。

——数々の苦悩と純情と暴走を生んだバレンタインの、過ぎた後。
吾妻家、押し入れにて。

ラージ「…苦いですね」モグモグ
アリオン「確かにそうだが、こいつはなかなか良い苦さだ」ヒョイパクッ
レーツェル「苦さ、というのも食には必要な味覚だからな。この程度、造作もないさ」ズズー
ラージ「…とは言っても……この量は異常ではないですか?」
レーツェル「……」(目をそむける)
アリオン「…ラージろう先生や。聞くのは自由だが、これが何なのかわかって聞いてるのかい?」
ラージ「チョコレート、ですかね」
レーツェル「……努力の結果の、な」
アリオン「つまり、これは全部あの子達の失敗作、ってわけ」
レーツェル「物が物だから、捨てるのも可哀想でな。それならばと思い、預かって後で手を加えた」
ラージ「で、これだけの量というわけですか。正直、迷惑な話です」パクッ
アリオン「…言うと思った。だが、努力だって自由だぜ?そしてその努力は、誰かが覚えておく、っていうのが優しさってもんさ」
ラージ「……」ズズー
レーツェル「…あぁ、ちなみに一つ言っておこう。そのチョコには、隠し味として刻んだセロリを入れてある」
ラージ「っ!?」ガタタッ



463 :押し入れ内で裏事情(バレンタイン番外編)2/2 :2008/02/17(日) 00:23:32 4ODaR4c4
レーツェル「ラージろう先生があまり他人の努力を否定しなければ、黙っていようと思っていたのだが……少々度が過ぎているように感じられた。だから」
ラージ「トイレに行ってきます」
ポチッガタッパカッヒューニャー
アリオン「…トロンベさんや。さっきの話、冗談だよな?」
レーツェル「無論だ。…ただ、言っていない事はある」
アリオン「…言ってない事?」
レーツェル「これはまだ一部だ」
アリオン「っ!?」ガタタッ
レーツェル「クロガネ艦内で全て分けようにも、あそこにはユウキにカーラという恋愛分があるからな。いろいろな知り合いに送って、残ったのがこれだけ…というわけだ」
アリオン「……」


「……」
特殊戦技教導隊カイ・キタムラ少佐は、言葉を失っていた。
目の前には、「速達・トロンベ便」と貼られた箱に、「食べてくれ」の一言が添えられたカード。
そしてその中には、ギッシリと詰まったチョコレート。
「失礼しま……どうされもうしたで候、少佐?」
部屋に入ってきたラミアが、一拍のたじろぎの後に問いかけてくる。しかしカイは、それに気付かず、一人呟いた。

「……レーツェル…お前は俺に何をしろと言うんだ…」



464 :それも名無しだ :2008/02/17(日) 02:03:43 1a8+HFZk
も、もの凄い量だったんか( ゚д゚)

ラージざまぁみ


465 :それも名無しだ :2008/02/17(日) 02:47:24 Oj4kOTDw
バレンタイン連作、お疲れ様〜
全部面白かった!
けど、ラージが可哀想になった…


467 :それも名無しだ :2008/02/17(日) 09:00:48 ajFSAffI
面白かったし大満足だ!
惜しみないわるこなにゃうを送ろうw

カーテンランナー(8個入)
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投稿者 ko-he : 2008年08月28日 20:47

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コメント

amazonwwwそれ売ってるのかwww

投稿者 Anonymous : 2008年08月29日 21:42

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