2006年04月04日
 ■  作戦コード「B」

リュウセイを落としたい!ラトとレビはある作戦を実行する。
ところがひょんな事からヴィレッタ隊長が乱入し作戦に参加することに……



発端はクスハの一言だった。
「隆盛君はマニアだから大変ね」
レビ・ラトゥーニのロリコンビが自分の幼馴染みの隆盛に想い
を寄せているという事実に、微笑ましいと思うと同時に朴念仁
の隆盛相手では相当苦労するだろうなと思ったクスハ。
たまたま所用で極東軍基地を訪れていた彼女が、たまたま顔を
合わせたレビに何気なく言った一言。
もちんクスハは「女の子よりもスーパーロボットの方に夢中」
という意味で「マニア」と言ったのだが…。

「リュウがマニア?」
クスハから重大な情報(笑)を仕入れたレビは一目散に目下の所
共同戦線を張っているラトゥーニの下に駆け込んだ。
「確かにそう言ってた」
「うーん、クスハさんはリュウの幼馴染みだから色々と私たち
の知らないことを知っているけど」
マニアと言われてもまったく意味を理解しないままラトゥーニ
に報告に来たレビと違い、ラトゥーニにはマニアという言葉は
あまりいい意味には思われない。
しかし恋は盲目、隆盛がマニアなら自分もそのマニアな趣味に
あわせようという気概とも言うべき物がラトゥーニにはある。
もちろん一般常識には無色透明なレビは隆盛の趣味だと思えば
無条件に染まってしまう。

数ある「マニア」と言われる趣味のうち、隆盛の趣味はどんな
物なのか?
手当たり次第にためすつもりのラトゥーニはまずは「マニア」
という言葉をネット検索し、その中の一つをランダムに抽出。
一つの画像サイトに行き着いた。
ラトゥ「こ、これは…」
レビ「これなのかラトゥーニ、この格好をすればリュウは喜ぶ
のか?」
ラトゥ「わからないけど、試してみる価値はあるわ…あなたは
どうするの?」
レビ「わたしは何でもする、リュウのためなら」
ラトゥ「わたしだってそうよ」

翌日。
とある基地内の一室にラトゥーニとレビの姿があった。
訓練に関することで相談があるという名目で隆盛を呼び出し、
幸いにも基地に「備品」として用意されていた「対伊達隆盛用
特殊装備第一候補」を身に纏って。
ガチャリ。
ドアが開き、隆盛が来たと思って勇んで駆け寄った二人の目に
見えたのは。
「あなた達、こんな所で何をしているの?」
SRXチーム臨時隊長。
麗しのクール・ビューティー、ヴィレッタ・バディムその人であった。
他の誰でもない彼女が来たこと収拾のつかない事態になること
を神ならぬ身が知る由もなかった。
上司であり上官である年上の女性の予想外の登場。
レビはともかく、ラトゥーニは動揺する。
レビ「わたし達はリュウにこの格好を見せ....」
ラトゥ「ト、トレーニングなんです!」
正直に答えようとするレビの口を抑えて弁解するラトゥーニ。
ヴィレ「それはいいが、その格好は?」
ラトゥ「こ、これはその、柔軟性吸湿性に優れたトレーニング
・ウェアなんです」
自分でもこんな言い訳が通用するわけはないと半分諦めながら
の必死の詭弁だったのだが。
ヴィレ「そう、わたしも一着欲しいな」
ラトゥ「え?」

ヴィレッタ・バディム。
その実体はイングラム・ブリスケンが操られながらもまだ自我
を保っていた時に制作した性別反転コピー。
外見は二十代後半の大人の女性であり、それらしい落ち着きの
ある雰囲気を醸し出しているが、実際はその人生はまだ数年に
しかならない。
それでも軍事や諜報に関するあらゆる知識を生来持ち合わせて
いるため仕事の上ではまったく支障はない。
いや、なかったというべきか。
実際にはかなりの面で非常識であり、他人と私的につきあう事
がないためにたまたまボロを出していないに過ぎなかった。
そして今、その非常識の一端が白日の元にさらされようとして
いた。
ヴィレッタの意外な言葉に、ラトゥーニはどうリアクションを
してよいものやら一瞬迷ってしまった。
その迷いの隙をついて。
レビ「はい隊長」
レビがビニール梱包をヴィレッタに手渡す。
ヴィレ「これは」
レビ「私達のと同じ物、一番サイズが大きいやつ」
ヴィレ「いいのか?」
レビ「基地の備品だから」
ヴィレ「そうか、ではちょっと試着してみよう」
そのやりとりを唖然として見つめていたラトゥーニだったが。
ラトゥ「ヴィ、ヴィレッタ大尉!」
ヴィレ「どうしたの....」
ラトゥ「い、いいよ、着替えるのならその奥についたてがあり
ます....」
ヴィレ「そう」
今更嘘だとは言えずに、せめてヴィレッタが外で恥をかかない
ようにこの場で着替えさせようとした。
一番大きなサイズでも長身でぼい~んでぼよ~んなヴィレッタ
にはきつく、着るのを断念するだろうと。
彼女は忘れていた。
トレーニングの名目でリュウセイを呼び出していた事を。

その日、極東基地は千客万来状態だった。
日頃北米基地にいるATXチームが所用で訪れていたのはまあ
二、三ヶ月に一度くらいはあることだが。
月のマオ社の面々が来るのは年にそう何度もある事ではなく。
ましてや日頃は遥か外惑星圏の小惑星帯にあるイカロス基地に
いるタスクとレオナまでが、しかも偶然にもその他のメンバー
が揃っている時に来ていたのは神の見えざる采配であろう。

と、いうわけで。
キョウスケ、エクセレン、ブリット、クスハ、リョウト、リオ
、タスク、レオナ。
かつての共に死線を潜り抜けた仲間たちと語らっていた隆盛。
それでもラトゥーニやレビとの約束を忘れたりしないのはこの
男の美点なのだが。
「そういやラトゥーニとレビが何か用があるとか行ってたな、
丁度いいや、みんなもあの二人に会いたいだろ?」
別に一人で来いと指示があったわけではないが、仮にも女の子
からの呼出にその他大勢を引き連れていくデリカシーのなさは
万死に値する欠点。
そして、こういう場合は辞退して隆盛を一人でいかせるような
気配りの出来る人間は、その場には一人もいなかった。

隆盛の後にゾロゾロとついていく人々の内、エクセレンとタスク
は隆盛が呼ばれた理由に気づいていながら面白半分で。
リオとレオナは薄々感づいていながら興味には勝てず。
隆盛の同類とまではいかないがそっち方面には鈍感なクスハ、
リョウト、そしてブリットはまったく何も気づかず。
そしてキョウスケはいつも通り一見マイペースなようで生死
に関わるような事柄以外は割りと周囲に流されやすい性質を
発揮して、とそれぞれ違う思惑でいた。

さてその頃。
ヴィレッタ「うーん、やはり少しキツいようね、これより上の
サイズはないのね?」
ラトゥーニ「はい、ないです!き、きついでしょう大尉、すぐ
着替えましょう」
自分たちと同じ格好に着替えたヴィレッタの姿に恐慌状態寸前
のラトゥーニ。
レビ「何を慌ててるの?」
自分が蒔いた種なのに他人ごとのように尋ねてくるレビに、
さらなる一般常識講習の必要性を痛感する。
だがそんな彼女の弧軍奮闘も空しく。
隆「レビ、ラトゥーニ、用ってな....た、隊長っ!....うおっ」
部屋に入って来た隆盛が、目についたヴィレッタの姿に唖然と
し、そして大量の鼻血を吹き出した。
レビ、ラトゥーニとお揃いの、そしてサイズが全然あってない
白い丸首Tシャツと黒いブルマの体操服姿に。
常日頃からデリカシーがないと言われている隆盛ではあるが、
いくら向こうから呼び出されたにせよこれがラトゥーニやレビ
の私室ならとりあえずノックくらいはしたであろう。
しかし基地内の一室ということで気軽に入った隆盛。
その視界に飛び込んで来たものは。
不必要な迄に整ったプロポーションを誇るヴィレッタの体を、
キツキツのシャツとブルマか包んでいる姿。
悪いことに、入ってきた流星に振り向いて身体をひねっていた
ために。
白いシャツの胸元には形のいい乳房の形がはっきりと出ている
のも。
シャツの丈もたりなくて腰回りの素肌が露出しているのも。
明らかに小さなブルマが引き締まってはいるが柔らかいヒップ
に食い込んでいるのも。
全てが一度に隆盛の視覚を襲った。
日頃朴念仁と言われ、隊長とチームリーダーが美人の上に二人
の美少女に慕われている境遇をどうとも思っていないような節
で基地内の寂しい男どもに顰蹙を買っている隆盛だったが。
さすがにこの姿は刺激が強すぎた。
必死に鼻血を抑える隆盛、そして。


「二人ともひさしぶ....」
ぶーっ!
続いて入ってきた人物が、隆盛とは比較にならない勢いで鼻血
を噴きあげて卒倒した。
それから一分ほどのタイムラグでわらわらと室内に入ってきた
人々の目をひいたのは入り口の血の池だった。
勇んで走り込んできた隆盛に唯一自分も走ってついて来たため
皆より一足先についたブリットが鼻血の海に沈んでいて、それ
を自らも鼻血を流している隆盛が必死で起こそうとしていると
いう地獄絵図。
タスク「どうしたお前ら、何があっ....うわっ!」
エクセレン「何やってんのあんたたち」
めざとい二人が、日頃のクールな態度を崩さないまま非常識な
格好で突っ立っているヴィレッタ、その背後できょとんとして
いるレビと頭を抱えているラトゥーニに気がついた。
エク「わーお、大尉ったらなんて大胆な格好を!さては二人に
男殺しの技を伝授してたのかな?」
鼻血地獄の惨状を気にせず、いつも通りのテンションで口走る
エクセレンだったが、ヴィレッタとレビには理解不能といわん
ばかりの顔で、ラトゥーニには完全な無視で返答される。
クスハ「だっ、大丈夫ブリット君!駄目隆盛君!鼻血が止まら
なくなるから揺すらないで」
仕事柄的確な指示を出し、ポーチから取り出した綿花で素早く
ブリットの鼻の穴を塞ぐクスハ。
そこまでは良かったが。
クス「あとはこの万能回復ドリンクを」
どこからか謎のドリンク入りの水筒を取り出し、周囲が止める
間もなくブリットの口に流し込んでしまう。
生命活動が鈍ったのか、ブリットの鼻血は止まった。

そこへちょうど通りかかり、騒ぎを聞きつけ踏み込んで来たの
は、先刻まで隆盛達と談笑していたが、所用で中座し、たった
今用事をすまし戻って来たアヤとライとイルムとリン。
当然、目についたのは当然ヴィレッタの艶姿(笑)
アヤ「なっ、なんて格好してるんです隊長!」
誰も言わなかったことをはっきりと口にしたアヤだが。
ヴィレッタ「まさかあなたにそんなことを言われるとは思わな
かったわね、アヤ」
正論である。
アヤ「だって、そんな胸の形がはっきりわかって....」
ヴィレ「あなたも胸元を出しているわ」
アヤ「そんな生足で」
ヴィレ「あなたもスカートを短くしてるわ」
アヤ「だって、だって、そんな格好は隊長のような年齢の人が
していい格好じゃないんですって!」
ライ「...人のこと言えませんよ大尉...」
即座にライの足の甲にアヤのヒールが食い込む。
しかしヴィレッタはようやく何をみんなが騒いでいるのか納得が
いった。
ヴィレッタ「そうだったの?」
ラトゥーニの方を振り向く。
ラトゥ「ご、ごめんなさい、言い出せなくて」
びくびくと脅えるラトゥーニ。
そしてレビも。
レビ「隊長、悪いのは私、ラトゥーニは悪くない」
事情はよく飲み込めないが自分が体操服を手渡したことが原因
とわかっているレビもあやまる。
しかしヴィレッタは。
ヴィレッタ「別にかまわないわ、私から言い出したことだから」
そう言って二人の頭を撫でる。
実際「また一般常識を間違えたか」くらいにしか思っていなく
恥をかいたとは認識していなかったのだが。
イルム「そういうこと、それじゃあっちに行って着替えようか、
俺が手伝ぐわっ!」
ヴィレ「遠慮するわ」
いつのまにか隣に立ち、さりげなく腰に手を回しているイルム
の顔面に裏拳が炸裂する。
さすがにそこまで非常識ではなかった。

奥の部屋へと消えていくヴィレッタのヒップが揺れるのを凝視
しつつ。
タスク「何だよもうきがえちゃうのかよ、もっと見痛タタタ!」
素直な感想を口にした馬鹿者の頬をつねり上げるレオナ。
タスク「何すんだよっ!」
レオナ「フンッ!」
そっぽを向くレオナ。
タスク「ああ痛」
頬を摩るタスクの肩をリョウトが叩く。
タスク「何だよ」
リョウト「いい加減にしないとああなるよ」
そう言ってリョウトが指さした方向では新たな地獄絵図が展開
していた。


ヴィレッタの裏拳にふらついたイルムが倒れかかったのは。
リン「まったく懲りない男だな」
どうみても無理して笑顔を作っているリンであった。
イルム「ば、馬鹿だな、違うよ、そんなんじゃないよ、あれは
単なるジョーク、いくらなんでもそこまで節操が....」
リン「ないだろうが貴様はーっ!」
殴る、蹴るの暴行がはじまったが、いつものことなので別に気
にも止めない。
リョウトとタスクだけがそれを見て、そしてとばっちりが怖い
ので止めようとはしない。
リョウト「いいかげんにしないとタスクもああなるよ」
タスク「お、俺はあそこまで無節操じゃない!それよりもさ、
意外だったな」
リョウ「え?」
タスク「てっきりお前もブリットみたいに鼻血吹いて倒れるか
と思ってたら、顔色一つ変えねえ」
リョウト「タスクだって平気じゃないか」
タスク「平気じゃねえよ、鼻血は出してねえけど興奮して興奮
して、ああ今夜寝られなくなったらどうしよ...うがぁっ!」
背後からレオナがタスクの首を絞める。
レオナ「そう、なら私が永眠させてあげるわ」
タスク「ば、馬鹿っ、や、止めっ!」
新たな地獄絵図が展開され出したのを見て。
リョウト「あーあ、だから注意したのに」
ため息をつくリョウト、しかし人事のように思っていられるの
もそこまでだった。

リオは呆れていた。
確かに女のリオから見てもヴィレッタの大人の色気はわかるが
それで鼻血を出す隆盛とブリットや、あろうことか恋人の目の
前で欲情して制裁を受けるイルムとタスクに。
(その点リョウト君は違うわ)
興奮するでもなく、回りの修羅場に眉をひそめているリョウト
がいつもにもまして好ましく思える。
しかしそんな乙女気分を台無しにしてくれる一言。
エクセレン「わお!意外、リョウト君ってば顔を赤らめすら
しないなんて」
この事態をさらに引っかき回して楽しもうとしている確信犯
がリオに言う。
リオ「そうですか?」
エク「もしかして女性に興味がないとか」
リオ「そ、そんなバカな!」
エク「そうよね、あなたという大切なカノジョがいるもんね」
リオ「....ええ....」
頬を染めるリオ、しかし陽気な悪魔の追い打ちが耳にささる。
エク「ということは、きっとよほど見慣れているのね、オトナ
のオンナのカラダ」
その一言はリオの逆鱗をダイレクトに刺激した。

リオ「なんですって....リョウト君が....大人の女の人の...身体
に....慣れてるぅ!」
エクセレン「あくまでもあたしの想像だからそう熱くならない
ようにね」
逆上するリオに一応釘を指すが、もちろん最初からそれを狙い
煽っているエク姉。
エク「真相は本人に聞いてみないとわからないということで」
その言葉が終わる間もなく、リョウトの胸倉を掴んで迫るリオ。
リオ「どういうことよリョウト君っ!」
リョウト「い、いきなりどうしたのリオ?」
リオ「どうしたもこうしたもないのっ!正直に言って、大人の
女の人と浮気してるでしょ?」
リョ「は?」
リオ「誰なの、まさかリン社ちょ....」
リン「わたしは年下に興味はないっ!」
イルムの背中に馬乗りになって顔面掻きむしり式ラクダ固めを
決めつつ耳ざとく聞き咎めて否定する美人社長。
イルム「そうそう、リンちゃんが初めてのオトコである俺以外
に興味をしめすはずが....」
リン「人前で何を言うっ!この馬鹿っ!」
ボキッ!
イル「うげっ!」
悲惨な目にあいつつも口の減らないイルムだったが、予想外の
言葉にリンが赤い顔で照れ隠しに力をこめたため、背骨が破砕
する音とともに沈黙した。

タスク「大方ラーダさんにヨガを習ってんじゃないのか?その
時はラーダさんがレオタード姿か何かで、手取り足取りで体が
密着したりして」
こちらもレオナにサソリ固めをかけられながら口を挟むタスク。
リオ「それ本当っ!」
さらに勢いをつけてリョウトに迫るリオ。
こんな事態だというのに、目と鼻の先に女の子の顔が迫ってる
ことに少しだけどぎまぎするリョウト。
そして。
レオナ「随分具体的ねタスク君」
タスク「え?」
レオナ「まるで体験者は語るのようね」
タスク「あ、あれはお前に告白するずっと前のはな....し」
墓穴を掘ったら蛇が出た状態のタスク。
レオナ「愉しい思い出のようね、ふっ、残念ながらわたしには
ヨガの心得はないけど、自己流の柔軟体操を教えてあげるわ、
中世から伝わる由緒正しい方法よ」
言いつつサソリ固めを外し、らに複雑怪奇な関節技を決める。
タスク「ぐわぁぁぁぁ、こ、これは柔軟体操じゃなくて拷問、
ひぃぃぃぃ」
レオナ「ほら、こっちはまだまだ曲がるわよ、身体を柔らかく
すればあなたも少しは運動が得意になるかしら」
タスク「あべしっ」
こうしてまた一人の馬鹿者が犠牲者となった。

自分たちの痴話喧嘩に巻き込まれ、二人の馬鹿者が愛する女性
の手で生死の境をさ迷わされていることなど気にも止めず。
リョウトを追求し続けるリオ。
リオ「本当の事、言ってくれないのね」
ついに目を潤ませるリオに流石に慌てふためくリョウト。
リョウト「ま、待ってよ、何を言ってるのかわからないけど、
僕は大人の女の人の身体なんて姉さん達しか知らないよ」
リオ「本当?」
リョ「うん、姉さん達がさっきのヴィレッタさんみたいにキツ
そうな体操服や水着とか、バスタオルを巻いただけの姿で僕の
部屋に来たりしてたから、自然に慣れただけだよ」
その場がシーンと静まり返る。
リオ「体操服?水着?なんでそんな格好でリョウト君の部屋に
来るのよ?」
リョ「さあ、学校で部活か体育でもあったんじゃ....」
リオ「そのままの格好で帰ってくるわけないでしょっ!それに
バスタオル巻いただけって何よ?」
リョ「風呂あがりだったのかな」
リオ「リョウト君の部屋はお風呂とお姉さん達の部屋の途中に
あるの?」
リョ「僕の部屋は一番奥だったけど....」
リオ「じゃあわざとじゃないのっ!」
この時であった、リオが自分の恋路を邪魔する最大の敵は父親
ではなく相手の姉達であることを自覚したのは。

カップルの修羅場が展開する中。
エルザム「やれやれ、美しい女性は存在自体が罪だとは良く
言ったたものだな」
いつからそこにいたのか、神出鬼没のお兄さんが登場する。
ライ「いつからここに」
エルザム「お前たちの後についてきたのだが気づかなかった
のか?まだまだ甘いな弟よ」
ライ「何とでも言ってくれ」
エルザム「しかし先ほどのヴィレッタ嬢の姿、私にありし日の
カトレイアを思い起こせてくれた」
ライ「義姉さんがあんな格好を?」
エルザム「うむ、わたしが頼んでな」
ライ「何だって.....ううっ」
カトレイアのブルマ姿を想像して鼻血第三号になるライ。
エクセレン「あの~、色男のお兄さま、本当にそんなことして
いたんですか?」
さしものエクセレンも少し引き気味に尋ねる。
エルザム「うむ、わたしの手編みのトロンベを....」
タスク「それもトロンベかよっ!」
レオナに拷問されながら、魂の突っ込みを入れるタスク。

目の前の事態にレビは唖然とし、ラトゥーニは混乱していた。
何がどうしてこんな大騒ぎになったのか。
そんな二人の肩に、掌が乗った。


「リュウセイ?」
「リュウ?}
鼻血止めの綿花を鼻の穴に詰めたしまらない姿ながら、二人には
とても眩しく見える笑顔のリュウセイ。
「ああ、二人とも似合ってるな、そうしてると普通の女の子って
感じだよ」
リュウセイとしては学生時代よく目にしていた女子の体操着姿の
二人が本当にその辺の女子中高生のように見えたのでありのまま
の感想を言っただけだったが。
その言葉は、それぞれに異なる事情ながら世間並みの少女らしい
育ちをして来なかった二人にはとても嬉しいものだった。
それだけで、気苦労(したのは主にラトゥーニだが)も報われる気
がして、もうこんな格好をしている必要もないと、満足げに奥の
更衣スペースに向かった、後に混乱を残したまま。

「ブリット君、もう鼻血は止まったのに、どうして?」
「ちょっと、あなたまでどうしたのよライ」
血の海に沈んでいるブリット、ライと、二人を介抱するクスハと
アヤ。
「これはどうかしら?」
「ぐっ、ぐえっ、ギ、ギブアップ!」
レオナに拷問されているタスク。
「起きろ、起きろ馬鹿者、勝手に死ぬなんて許さないぞ」
やり過ぎて幽体離脱させてしまったイルムを涙ながらに介抱する
リン。
「いくら姉弟だからって、不潔よッ!」
「いや、そんなこと言われても」
食ってかかるリンを宥めるのに必死なリョウト。
そんな中、周囲をかき回すだけかき回したパートナーがいつの間
にか姿を消していることにキョウスケは気づいた。

「タスク」
ようやく拷問から介抱されたものの、まだご機嫌斜めなレオナの
前に土下座しているタスクのかたわらにしゃがみこむキョウスケ。
「なんスか?」
「一口ノらないか?」
何かを耳打ちされて。
「それはかまわないっスけど、それっていつもにもまして分が悪い
賭けじゃ?」
「賭けるのか?賭けないのか?」
「賭けますよ、今度こそ勝たせてもらいますよ」
二人が何かの賭けに合意した刹那。
「じゃーん!」
どこかから戻って来たらしいエクセレンが現れる。
身体にはフードをかぶっている。
それを見た瞬間、タスクは「勝った」と思った。
キョウスケとタスクの賭け。
それは姿を消したエクセレンが、ヴィレッタ達と同じ格好をして来る
否か、という賭けであった。
エクセレンのノリの良さを考え、当然して来る方に賭けたタスク。
だが。
「わたしもちょっと学生気分になって見ました~」
パッとフードを放り捨てるエクセレン。
次の瞬間、タスクの勝利の予感は…粉々に砕け散った。

エクセレンがフードの下に着ていたのは…水着だった。
紺色のワンピースタイプで、日頃から割と露出の多い服装を好む彼女
が着るには地味とさえ言えたが、不自然に胸が強調されている。
「フッ」
静かに勝ち誇るキョウスケ。
「同じ格好」はして来ない方に賭けたキョウスケが勝利の笑みを浮かべる。
「なんで、まさか口裏合わせてたんじゃ?」
疑いの目を向けるタスクに。
「あいつはバカなノリは好きだが、人と同じことをするのは嫌うんだ」
何のかんのと言ってパートナーのことを知り尽くしているキョウスケが
答えた。
「どう?これスクール水着って言うのよ」
この水着は本来極端に露出の少ないカッティング・ラインなのだが、今は
普通のワンピース程度に見える。
つまりサイズがあわないものを無理に着ているのだ。
だから遠目には地味に見えても、近くによるとボディラインがはっきりと
出た実に際どい格好になっている。
だが残念なことに、それを見て鼻血を噴出すような人間は既にリュウセイ
一人しか残っていなかった。
「ちっ、一人だけか、残念」
エクセレンは呟いた。

この事件はここで終わる。
だがこの時明らかになった、ヴィレッタ・バディム嬢の常識知らず、それを
矯正しておくべきであったのに、そうせず放置したことが後日の「惨劇」を
生んだといえよう。


数日後、アヤは訓練施設のプールで余暇時間を過ごしていた。
ハイレグ水着というおよひ軍施設にはそぐわない水着を着た彼女に、あちこち
から視線が飛ぶが、不快に感じたり怒ったりする様子は無い。
鈍いのか、見られて嬉しいのかは不明。
そこへ現れたのはヴィレッタ。
彼女がプールで泳ぐのは日課のトレーニングの一環で、今迄もその肢体を包む
競泳水着姿が居合わせた男性陣の視線を浴びてはいた…だが。
ブオゥ!
プールに居合わせた全男性が鼻血を噴きあげ、前かがみになる。
そのいつもと違う反応に怪訝な顔をするヴィレッタ。
「一体何が…アヤ、あなたもいたのね、何かあったの?」
「た、隊長、そ。それってまさか…」
ヴィレッタの常識では、水着はビーチやプールで着る物であり、それ以外の
場所で着るのはアヤのような露出狂のみ。
だが泳ぐ場所であれば、どんな水着を着ても問題ないと思っていた。
そう判断し、特に深く考えず、アヤが用意してくれていた水着の中にいつも着て
いる物より動きやすそうな物を見つけて選んだのだった。
一番布地の少ない、前は辛うじて乳首と下腹部を覆うのみ、後ろから見れば
Tバックというよりほとんど紐一本のビキニを。
そう、俗に言う「ブラジル水着」と呼ばれるしろもの。
勢いで購入したものの、さすがのアヤも着れずに死蔵していたものを誤って
ヴィレッタに用意した競泳水着の中に混入してしまったのだった。

こうして。
「ブルマ」と「ブラジル」この二つのBがヴィレッタ・バディムの秘密兵器
として認識された。


おしまい。

作戦コード「B」は旧萌えスレで投稿されていたSSでしたが未完のまま終演
ヴィレッタ萌えスレで完結した名作であります


投稿者 ko-he : 2006年04月04日 02:17 : スレ:ヴィレッタ

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