膝蹴小姫フェステニア・ミューズ其之参 その5
膝蹴小姫フェステニア・ミューズ其之参
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671 :自治スレにてローカルルール検討中 :2006/04/27(木) 22:12:18 ID:ZoExP4QR
朝8:25
カルヴィ「起きなさい」
テニア「...う~ん......もう食べられない~」
カルヴィ「起きなさいテニア。そんな在り来りな寝言言ってないで」
テニア「カルヴィナ~...それ......あたしがねらってた...にく~」
カルヴィ「起きなさいってば......(ボソ)......ぺちゃぱい」
テニア「なんだとーーー!!」
がしっ!
カルヴィ「やっと起きたわね」
統夜「あの蹴りを...指一本で!?」
メルア「凄いです~! ガンダムファイターみたいです!」
テニア「誰がぺちゃぱいだって!?」
カルヴィ「統夜が言ってたわよ」
テニア「とーーーーやーーーーー!!!」
統夜「何故にーーー!?」
カルヴィ「朝から元気だこと」
カティア「本当ですね」
沖「...私に出来ることはないか?」
カティア「そうですねぇ...朝食の準備と掃除洗濯に、物置の整理をお願いします」
沖「...わかった」
統夜「何故沖さんが此処にっ?ってやめ...テニぎゃあああああああ!!」
なんとなく浮かんだのを投下した。反省はまるでない
カルヴィ「起きなさい」
テニア「...う~ん......もう食べられない~」
カルヴィ「起きなさいテニア。そんな在り来りな寝言言ってないで」
テニア「カルヴィナ~...それ......あたしがねらってた...にく~」
カルヴィ「起きなさいってば......(ボソ)......ぺちゃぱい」
テニア「なんだとーーー!!」
がしっ!
カルヴィ「やっと起きたわね」
統夜「あの蹴りを...指一本で!?」
メルア「凄いです~! ガンダムファイターみたいです!」
テニア「誰がぺちゃぱいだって!?」
カルヴィ「統夜が言ってたわよ」
テニア「とーーーーやーーーーー!!!」
統夜「何故にーーー!?」
カルヴィ「朝から元気だこと」
カティア「本当ですね」
沖「...私に出来ることはないか?」
カティア「そうですねぇ...朝食の準備と掃除洗濯に、物置の整理をお願いします」
沖「...わかった」
統夜「何故沖さんが此処にっ?ってやめ...テニぎゃあああああああ!!」
なんとなく浮かんだのを投下した。反省はまるでない
672 :自治スレにてローカルルール検討中 :2006/04/28(金) 00:39:42 ID:P4HlU27c
あえて突っ込ませてもらおう。
テニアはカルヴィナを「クーランジュ」と呼ぶ
テニアはカルヴィナを「クーランジュ」と呼ぶ
673 :自治スレにてローカルルール検討中 :2006/04/28(金) 01:17:32 ID:I6FoG+mX
話が進むとみんなカルヴィナって呼ぶようにならなかったっけ?
674 :自治スレにてローカルルール検討中 :2006/04/28(金) 07:58:19 ID:wolxGrtA
テニアタンが可愛いければそんなことどうでもいいよ。
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
675 :自治スレにてローカルルール検討中 :2006/04/28(金) 08:31:05 ID:fwez9Mb3
ずっとテニアが誰かに似てると思ってたけどやっと分かった。
NG騎士のお姫様だ。
NG騎士のお姫様だ。
680 :自治スレにてローカルルール検討中 :2006/04/28(金) 21:22:23 ID:yzF8/tv4
>>675
じゃあCV横山智佐っつーことで、どっすか?
じゃあCV横山智佐っつーことで、どっすか?
681 :自治スレにてローカルルール検討中 :2006/04/28(金) 21:31:10 ID:5ieAEWU9
>>680
採用
採用
676 :自治スレにてローカルルール検討中 :2006/04/28(金) 12:45:18 ID:kYOYVQPq
さすがにテニアは自分の体の何倍もあるケーキを数秒で平らげるキャラしゃないだろ。
まあたしかに赤毛で大食いで彼氏に暴力的ではあるが。
まあたしかに赤毛で大食いで彼氏に暴力的ではあるが。
696 :自治スレにてローカルルール検討中 :2006/04/28(金) 23:23:19 ID:gCl+sRdg
>>676
いやいやまだあるよ、胸がちっさいのと彼氏が浮気なのもだ
てうわなにをするやqwせdrftgyふじこlp;
いやいやまだあるよ、胸がちっさいのと彼氏が浮気なのもだ
てうわなにをするやqwせdrftgyふじこlp;
677 :自治スレにてローカルルール検討中 :2006/04/28(金) 15:30:21 ID:XfL77lGD
テニアは極限まで腹が減ると自分で勝手に料理を作り出すんだ。多分。
統夜「オイィィ!何勝手に本格的なクッキングに挑戦してんだァァ!」
テニア「いやー、アタシ腹減ると調子でないんだわ。」
統夜「オイィィ!何勝手に本格的なクッキングに挑戦してんだァァ!」
テニア「いやー、アタシ腹減ると調子でないんだわ。」
678 :自治スレにてローカルルール検討中 :2006/04/28(金) 16:10:28 ID:tmJp+6Gs
テニアが暴力娘と誰が決めたんだ♪
679 :自治スレにてローカルルール検討中 :2006/04/28(金) 16:28:02 ID:Htge9Bz2
つ「スレタイ」
682 :自治スレにてローカルルール検討中 :2006/04/28(金) 22:14:23 ID:7CkO48kq
久しぶりにSSを投下してみる。
テニアEND後ってことで
テニアEND後ってことで
683 :自治スレにてローカルルール検討中 :2006/04/28(金) 22:15:06 ID:7CkO48kq
気がつくとテニアは白い部屋に寝かされていた。
壁、天井、照明、自分の寝ている台。
全てが白かった。
『実験体No102・・・これより・・・・を開始・・・』
その声にテニアは全身の血液が凍るほどの恐怖を覚えた。
(いや!!やめて!!)
叫ぼうとしても声が出ない。動こうとして始めて手足が拘束されていることに気づいた。
『前頭葉及び・・・海馬・・・刺激によるサイトロン・・・』
(アタシに触るな!誰か助けて!!)
しかし言葉は音を伴わず、かすれた吐息が僅かに空気を震わせるだけだった。
(いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだ!!)
『頚部に・・・・注入・・・・』
(これ以上アタシを壊さないで!!)
「ぅぅううわああああああああああああ!!・・・・っ!?」
自分の叫び声で目を覚ました。
全身が嫌な汗に濡れている。
見開いた瞳に写るのはテニアが良く知っている造型のものばかり。
ここが自分の部屋である事に気がついた。
痺れのような物が残っているが体も動く。
「・・・・・・・・・・・夢?」
安堵感に全身の力が抜けた。
焼け付くような喉の渇きを潤すためテニアはベッドから起き上がった。
それとほぼ同時にドアが開かれ部屋が白い光で満たされた。
「テニア!大丈夫か!?」
「統夜・・・・・?」
「どうしたんだ!?顔が真っ青じゃないか!」
「だいじょうぶ、なんでもないよ。」
笑顔を作ったがそれはどう見ても無理があるものだった。
「どこがだ!待ってろ、救急車を呼ぶからな!」
「きゅうきゅうしゃ・・?病院?いや!!絶対にいや!!」
先ほどの悪夢がテニアの脳裏に蘇った。
「テニア?」
「いや!絶対に・・・いや・・・いやだ・・・」
テニアは泣いていた。そして歯の根が合わないほどに震えていた。
統夜は無言でテニアの小柄な体を抱き締めた。
小動物のように震える姿はいつものテニアからは想像も出来ないほど弱々しかった。
「いや・・いやなの・・・怖いよ・・・・」
「・・・・・悪かった。もうテニアが怖がるような事はしない。」
「うう・・うぇ、うああああああああん!!」
緊張の糸が切れたテニアは子どものように泣いた。
684 :自治スレにてローカルルール検討中 :2006/04/28(金) 22:15:43 ID:7CkO48kq
ひとしきり泣いた後、しゃくりをあげながらテニアは言った。
「・・・すん・・・統夜、苦しいよ。」
その声に統夜は腕の力を緩める。
「平気か?」
「・・・うん。」
「何か欲しいものは?」
「・・・お水。」
「ん、待ってろ。」
統夜に渡されたペットボトルの水をテニアは貪るように飲んだ。
焼け付いた喉に水が染み透る感覚がこの上なく心地よく感じられた。
「んく・・・っ、けほけほ!」
「ほら、慌てなくていい。ゆっくり飲め。」
濡れた口元をタオルで拭き取ってやりながら優しく微笑みかけるとようやくテニアは笑顔を見せる。
「うん・・・ありがと。」
しかしその笑顔には明らかに陰りがあった。
「他に何かして欲しい事はあるか?」
「・・・・一緒に寝てくれない?」
突然なお願いに統夜は大いに慌てた。
「いや、その、それはまずいだろう、色々。若い二人がだな、もし間違いでも」
「統夜はそんなことしないよ。」
この信頼を喜ぶべきかどうか、悩みどころだった。
緊張しながらもベッドにはいった。余り広くないが距離はしっかりとる。
余計な事は考えるな今はそんな時じゃない。自分を戒め統夜は切り出した。
「・・・・どうしたんだ?」
短いが核心をつく言葉にテニアは明らかに動揺を見せる。
「無理にとは言わないけど、言ってくれれば力になる。」
しばらく迷うそぶりを見せていたがやがて決心したのか下唇を噛み、口を開いた。
「・・・夢を見たんだ。ううん、違う。思い出したんだ。昔の事を。」
「フューリーの、カティア達と一緒だった頃の?」
「違う、もっと前。アタシが独りぼっちだった頃の記憶。」
「・・・・・・・・・」
「統夜にはくわしく話した事無かったよね。フューリーにいた頃の話。」
「・・・ああ。でも辛い話なら無理には」
「大丈夫。もう平気。・・・聞いて欲しい。それに・・・言いたいこともあるから。」
「・・・わかった。」
685 :自治スレにてローカルルール検討中 :2006/04/28(金) 22:16:28 ID:7CkO48kq
フェステニア・ミューズの最も古い記憶、彼女は白い部屋にいた。
ひたすら白い無機質な部屋に一人、いた。
彼女は泣いた。不安でただひたすら泣いた。
しかし、泣いても誰も助けてくれなかった。やがて彼女は泣く事に疲れ、諦めた。
食事は日に三度、味気の無いものが支給された。
美味しいものではなかったがそれでも食べた。お腹は空くからだ。
部屋には奇妙な玩具や本があった。
それを使ったり読んだりいると頭がボーっとしていつの間にか時間が経っていた。
他にする事も無かったテニアはひたすらそれらで時間を潰した。
そして寝る時間になると突然照明が落ちた。
暗闇にテニアは怯えたが泣きはしなかった。助けてくれない事はわかっていたからだ。
実際彼女はすぐに孤独に慣れた。
どれくらいの月日が過ぎたか曖昧になった頃、テニアの部屋に白い服を来た人たちがやって来た。
久しぶりに見た自分以外の人間に彼女は沸き立った。
『ねえ、アタシを助けに来てくれたの?』
『ここは何処なの?』
『あなたたちは誰なの?』
一人でいるときは出来なかった『会話』が出来ることをテニアは喜んだ。
しかしすぐに不安になった。
白い服の人達はマスク越しに難しい言葉で仲間と喋っていて、テニアの話をまるで聞いていなかったからだ。
外国の人たちなのかもしれない。
テニアはそう考えた。
やがてその中の一人がテニアの手を取った。
やっとここから出られるんだ。そう思ったテニアはうかれながらついていった。
だから彼女は気づかなかった。その手を持った人間の目がどこまでも無機質だった事に。
テニアが連れてこられた場所は彼女がいた部屋とよく似た白い部屋だった。
違うのは中央に置かれた台、そして良くわからない器具類。
特にその器具類の鋭利さはテニアを不安にさせた。
そしてテニアは台に寝かされた。
『どうやってここから出るの?』
『ここはどこ?』
『外国なの?どうすればいいの?』
不安を押さえつけるため彼女は喋り続けた。
しかしテニアの意思を無視して事態は進んだ。
手足を拘束されたところでテニアの不安は最高潮に達した。
『いやだ!ひどいことしないで!怖いよ!!』
その声を聞いてくれる者はそこにはいなかった。
686 :自治スレにてローカルルール検討中 :2006/04/28(金) 22:17:24 ID:7CkO48kq
それからの日々はテニアにとって今まで以上に辛いものになった。
白服の人間は不定期にやって来た。
日に二回来るときもあれば何週間も来ないときもあった。
白服達には何を言っても、抵抗しても、無駄だった。
暴れても、泣き叫んでも、白服達はただじっと待ち、テニアが疲れ果てた所で例の部屋に連れて行った。
そして得体の知れない薬品を投与されたり、妙な実験をさせられた。
それらによる副作用は酷くテニアを痛めつけた。
吐き気や悪寒、頭痛は日常茶飯事だった。
酷い時は一日中耳鳴りが止まず、発狂しそうになったこともある。
そんな日々が続くうちにテニアは徐々に感情を失っていった。
「あいつらさ、アタシの話を全然聞いてないんだ。」
「・・・・・・・・・・・・」
「でも暴力を振るったりもしなかった。ただひたすら冷静に、無関心に、物を扱うみたいに、」
その時の恐怖を思い出したのか、ふたたび体を震わせた。
「アタシを壊そうとするんだ・・・!!」
その震えを止めようと統夜はテニアを強く抱き締めた。
「・・・・・・・・」
紫雲統夜は唇を噛み締め、やり場の無い怒りにただ耐えた。
「・・・ありがとう。落ち着いた。」
やや憔悴した表情で微笑んだ
「本当にあの時は地獄みたいだったよ、毎日が。」
「・・・・・・・・・・」
「・・・だから忘れてたんだと思う。思い出したくなかったから。」
「テニア・・・」
「でも嬉しい事もあったんだ。」
687 :自治スレにてローカルルール検討中 :2006/04/28(金) 22:19:06 ID:7CkO48kq
食べる、寝る、起きる、機械のように同じ行動を繰り返していたテニアの生活に、ある日変化が訪れた。
ルームメイトとして二人の少女と共同生活することになったのだ。
二人ともテニアと同世代くらいの年齢だった。
黒髪の少女の目は光を失い澱んでいた。
テニアはなんとなく理解した。
ああ、自分もこんな目をしているんだな、と。
『私はメルア・メルナ・メイアっていうの。あなたは?』
その少女の目を見た時、テニアは本当に久しぶりに驚いた。
生気を失ってなかったのだ。自分と同じ境遇のはずなのに。
『ねぇ、あなたの名前は?』
『・・・テ、テニア。フェステニア・ミューズ。』
『よろしくね、テニアちゃん。』
『あなたは?』
『・・・カティア・グリニャール。』
『わたしはメルア。これからよろしくね、カティアちゃん。』
メルアの笑顔が眩しかった。
どうしてこんな風に笑えるのだろう。
『どうして・・・?』
心中の疑問が自然に口からこぼれた。
『え?』
『・・・どうして笑えるの?』
楽しい事なんて無いのに。辛い事ばっかりなのに。
『・・・嬉しい事も無いのに。』
『嬉しい事ならあったよ。』
『・・・何が?』
『友達が出来たよ。二人も。』
『ともだち?』
『うん!』
その言葉の響きにテニアは胸の奥が少し温かくなるのを感じた。
「メルアがね、言ったんだ。」
『かなしいと泣きたくなっちゃうよね。泣いてるとかなしくなっちゃうよね。
だからどこかでやめないとずっとかなしいし涙もとまらないままだよ?
ね、だからテニアちゃんもカティアちゃんも一緒にわらおうよ。
わらってたら、かなしい気持ちも涙もどこかにいっちゃうよ!』
「マイペースに引きずられちゃった感じだね。カティアはちょっと時間がかかったけど。」
微笑むテニア。
ようやく見せた自然な笑みに統夜はなによりもほっとした。
「それからも実験は続いたけど生活は少しだけまともになったんだ。
部屋の外にも少しだけなら出られるようになったし。」
この笑顔が失われていたかもしれない。
その恐ろしい想像に統夜は背筋が凍る思いだった。
メルア、ありがとう。心の中で感謝した。
ふっ、と一息つくとテニアは話を続けた。
「それから随分経った頃、あの人がアタシ達のところに来たんだ。」
688 :自治スレにてローカルルール検討中 :2006/04/28(金) 22:21:08 ID:7CkO48kq
『本当に逃げられるの?』
『ああ、私の命にかけて保証する。』
『でも・・・。』
『ここは君達がいるべき場所ではない。君達にはもっとふさわしい場所がある。』
『・・・三人一緒に逃げられる?三人一緒じゃないとアタシはいやだ。』
断固とした口調でテニアは告げた。
『テニアちゃん・・・』
男は目を細めて微笑んだ。
『当然だ。』
『わかった。じゃあ』
『待って。』
カティアが猜疑の目を男に向ける。
『この男を信用するのはまだ早いわ。私たちを罠にかけようとしているのかもしれない。』
『私が君達を罠にかけることで何かメリットがあるのか?』
『意図的に深い絶望を与える実験・・・なんてどうかしら?』
『カティアちゃん、この人はそんな人じゃないと思う。』
『アタシもそう思う。だって目が優しいかんじだもん。』
『貴女たちは黙ってて!ここにいる奴等なんて誰一人信用できないわ!!』
それも当然だろう。
その男、エ=セルダは思った。自分達は彼女達にそれだけの事をしてきたのだ。
それと同時に嬉しくもあった。
目の前の少女、カティア・グリニャールは二人の少女の盾になるように立ちはだかっていた。
その瞳からは二人を絶対に守るという覚悟が伺えた。
数年前は生きることに絶望していた少女が、だ。
改めて自分達の罪の重さを思い知った。
エ=セルダは腰から銃を引き抜いた。
少女達の表情に緊張が走る。
そのまま銃を投げてよこした。
『使い方くらいわかるだろう?わたしが裏切ったそのときは遠慮なく撃つがいい。』
『・・・・わかったわ。とりあえずは信用する。』
『これって・・・』
格納庫と思しき場所にその機体は佇んでいた。
『【クストウェル】君達はこれに乗って脱出するんだ。』
『動かし方が・・・わかる?』
『ああ、そのはずだ。だが君達だけでは完璧には扱えない。この機体が正しき搭乗者の下に導いてくれる。
その者がお前達を守ってくれる』
ドォォォォォン
『!?』
突然前方から爆発音。
『始まったようだ。この混乱に乗じて逃げるんだ。・・・・・どうした?早く行くんだ。』
『どうしてアタシ達を助けてくれるの?』
純粋な疑問。
『・・・そうね。仲間なんでしょう?あいつらの。』
『・・・だからこそ、だ。・・・さあ、人が来ないうちに行け。』
本当に時間が無い。
半ば無理やりコクピットに三人を追いやった。
『幸運を祈る。』
そう言い残してハッチを閉じる。
『あ、あの!ありがとうござぃ・・・』
メルア達の声は途中で遮断された。
礼は言わないでくれ。
自分にそんな権利は無い。
この上まだ、クストウェルの乗り手として彼女達を危険にさらそうとしているのだ。
だが今となってはその小さな希望にかけるしかない。
我ながら本当に身勝手な男だ。
エ=セルダは自嘲の笑みをこぼした。
クストウェルがカタパルトから射出されるのを確認して、エ=セルダは呟いた。
『頼んだぞ、テニア、カティア、メルア。そして―――』
689 :自治スレにてローカルルール検討中 :2006/04/28(金) 22:23:39 ID:7CkO48kq
親父・・・・
今は亡き父に当夜は思いを馳せた。
「それからさ、地球に辿り着いておじさんの言ってた正しき搭乗者に会ったんだ。」
「それって」
テニアの指が統夜の口を遮った。
「その人最初は戦う事すごく嫌がってた。当然だよね。いきなり空から降ってきて戦え、だもん。
でもアタシは自分を守ってくれる人だって思ってたからさ、その人のこと罵った。臆病者って。」
ああ、そうだった。目を閉じるとあの時の事が鮮明に思い出せる。
「ホンと酷いよね。全部アタシ達の都合なのに戦うこと強要して。何とかその人を戦わせようとしてた。」
「それは違う!あの時は」
「でも!!」
強い口調に遮られた。
「その人は逃げなかった。戦って、戦って、ボロボロなりながらアタシを守ってくれた。
ううん、今も守ってくれてる、アタシの側で。」
テニアは泣いていた。
「ごめん・・ね・・・いつも・・・迷惑かけて・・・ごめん・・」
テニアは嗚咽混じりの声で謝り続けた。
「ありが、とう・・・いつも・・・守ってくれて・・・・すごく・・・嬉しかった・・」
いつもの明るく快活なテニアの姿はそこには無かった。
過酷な過去を思い出すことで、幸せな現在に怯えていた。
「なのに・・・守ってもらっ、てばっかりなのに・・・アタシは統夜に何も・・・」
「勘違いしているようだから言っとくけど――
いいか?俺が戦いから逃げなかった一番の理由は、クストウェルが重要な機体だったからでも『テニアを守らなきゃいけなかった』からでもない。
『俺がテニアを守りたかった』からだ!
今こうしてお前の側にいるのも俺がテニアのことを守りたいから、ここにいるんだ。
俺が自分の意志でやっている事に謝ったり礼を言ったりするのは筋違いだ。」
「統夜・・・」
「勘違いしないように先に言っとくぞ。俺はこれからもお前の事を守る。他の誰でもない自分の意志で。
異星人だって、機械獣だって、たとえ悪夢が相手だってな!」
自分でも不思議なぐらい自然に言葉が出たことに統夜は驚いた。
普段ならこんな事絶対言えないはずだった。
「・・・迷惑か?」
「・・・ううん、迷惑じゃ、ない・・・すごく嬉しい・・・・」
まだ頬は濡れていたがテニアは笑った。
しかし涙は止まらなかった。
メルア・・・うれしい時の涙はとめなくてもいいよね?
690 :自治スレにてローカルルール検討中 :2006/04/28(金) 22:26:39 ID:7CkO48kq
「ねぇ、統夜。」
「ん?」
「アタシのこと迷惑じゃないんだよね?」
「そう言ったろ?」
「じゃあアタシのこと、好き?」
「・・・・ああ、好きだ。」
ややぶっきらぼうに応えた。
「アタシのこと・・・愛してる?」
「何でそんな事を」
「アタシは統夜のこと愛してる。」
「・・・・・・・・・ああ、愛してる。」
聞かなくてもわかっていた事だがテニアはどうしても確認したかった。
後押しが欲しかったから。
「じゃ、じゃあね・・・しても・・ぃぃょ・・・」
最後は消え入りそうな声で呟いた。
顔は炎上しそうなくらい赤くなっている。
「は?なにを?」
「だから・・・その・・・ェ・・」
ごにょごにょと言いよどむテニア。
「・・・?」
察しの悪い統夜に業を煮やしたテニアは統夜に抱きついた。
「おい!?」
「だから・・・こういうことだよ・・・・」
ようやく意図を悟った統夜は狼狽した。凄まじいまでに狼狽した。
「あー、うー、えーと、その・・・つまり・・・・・・あれ?」
真っ赤になったテニアは小さく頷いた。
「あー・・・、だから気にしなくてもいいって。
俺がテニアを守るのは俺自身の意思であって別に見返りとか」
「・・・そんなんじゃないもん・・・・自分の意思で言ってるんだもん・・・」
思わず言葉に詰まってしまった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
お互い一言も発せず時間が流れた。
ようやく統夜が口を開いた。
「だめだ。」
「・・・そうだよね。アタシ、カティアやメルア程スタイル良くないしそんな気にならないよね。」
「そんなことはないよ。テニアはすごく魅力的だ。」
「ほんと?」
「ああ。」
テニアはもぞもぞと布団の中で動いた。
「・・・・・・ほんとだ。」
「お前な・・・・」
「えへへ、ごめん。・・・じゃあなんで?」
「・・・守るって言った当人が手を出したら話にならないだろ」
「統夜なら・・・いいのに。」
「と、とにかくまだ早い!!」
「・・・うん、わかった。」
『まだ』統夜はそういった。
それでテニアは満足だった。
「それじゃあそろそろ寝よう。明日学校だしな。」
「うん。・・・お休みのキスしていい?」
正直なところ恥ずかしかったがそれまで断るのは悪い気がした。
「・・・ああ。」
「それじゃ失礼するね。」
テニアは統夜に覆い被さると首筋に腕を回した。
「お、おい!?」
頬だと思っていた統夜はおもわず上ずった声を出す。
「目、閉じて。」
観念して目を閉じた。
691 :自治スレにてローカルルール検討中 :2006/04/28(金) 22:27:42 ID:7CkO48kq
柔らかい感触が統夜の唇に触れた。
そのままテニアは統夜の唇を甘噛みする。
驚いて目を見開いた統夜をよそにそのまま口腔に舌を挿し込んだ。
「ん!?・・・んん!っは!てにっ・・・!」
最初は抵抗していた統夜もやがて脱力し、されるがままになっていった。
お互いに舌を絡ませ、唾液を交換しあった。
静かな部屋にやや乱れた呼吸の音と水音だけが響く。
「ん・・・・・」
ようやく口を離すとしばし、お互いに上気した表情で見つめ合った。
「えへへ、大人のキスだよ♪それじゃ、おやすみ!」
テニアは統夜から隠れるように背中を向けた。
一方、統夜の方は大変な事になっていた。
これはつまりあれかわざとしているわけですかそうですかうわどうすればいいんだこれ持て余すってこういうことかつかねむれないだろこれぜったいまておちつけ対処に冷静するんだ
「・・・統夜ぁ」
「な、なんだ?」
「もし、もしだよ?その・・・したくなったら・・・言ってね?アタシは・・・ぃぃょ」
「・・・・・俺なら大丈夫だ。」
統夜は必死で意識を逸らそうと関係のないことを考えるよう務めた。
大化の改新645匹、【愛、突撃】、1467し応仁の乱、【気合、熱血、突撃、】、1333北条氏、【覚醒、狙撃、必中】、1492燃えるコロンブス、【加速、魂、突撃】・・・・・
ああ、くそ!!余計なノイズが!!
全然関係ないことを考えるんだ!!
結局、統夜は黄色い朝日を拝む事になった。
そのままテニアは統夜の唇を甘噛みする。
驚いて目を見開いた統夜をよそにそのまま口腔に舌を挿し込んだ。
「ん!?・・・んん!っは!てにっ・・・!」
最初は抵抗していた統夜もやがて脱力し、されるがままになっていった。
お互いに舌を絡ませ、唾液を交換しあった。
静かな部屋にやや乱れた呼吸の音と水音だけが響く。
「ん・・・・・」
ようやく口を離すとしばし、お互いに上気した表情で見つめ合った。
「えへへ、大人のキスだよ♪それじゃ、おやすみ!」
テニアは統夜から隠れるように背中を向けた。
一方、統夜の方は大変な事になっていた。
これはつまりあれかわざとしているわけですかそうですかうわどうすればいいんだこれ持て余すってこういうことかつかねむれないだろこれぜったいまておちつけ対処に冷静するんだ
「・・・統夜ぁ」
「な、なんだ?」
「もし、もしだよ?その・・・したくなったら・・・言ってね?アタシは・・・ぃぃょ」
「・・・・・俺なら大丈夫だ。」
統夜は必死で意識を逸らそうと関係のないことを考えるよう務めた。
大化の改新645匹、【愛、突撃】、1467し応仁の乱、【気合、熱血、突撃、】、1333北条氏、【覚醒、狙撃、必中】、1492燃えるコロンブス、【加速、魂、突撃】・・・・・
ああ、くそ!!余計なノイズが!!
全然関係ないことを考えるんだ!!
結局、統夜は黄色い朝日を拝む事になった。
692 :自治スレにてローカルルール検討中 :2006/04/28(金) 22:29:25 ID:7CkO48kq
――その日の夜
今日は最悪だった。
授業中に度々舟を漕いで先生に大目玉を食らった。
その上、男子連中からは妙な誤解を受けるし。畜生、兜の野郎。
苦い記憶に統夜は顔をしかめた。
「・・・とっとと寝よう。」
『統夜、入っていい?』
ノックとともにテニアの声。
「いいぞ。なんのよ・・・」
思わず言葉を失った。
入ってきたテニア。いつものチェック柄のパジャマで枕を抱えている。
「・・・その手にもった枕は何だ?」
「怖い夢からも守ってくれるんだよね?」
「・・・・・ああ、言ったな。」
それはつまりこれから毎日・・・?
「えへへ、おじゃましまーす♪」
ベッドにもぐりこむテニア。
敵は極めて凶暴かつ好戦的、しかも根絶も不可能。
すがるような気持ちで祈った。
頼むぞ俺の理性。俺の欲望に負けないでくれ。
「・・・統夜、またおやすみのキスしていい?」
「それは断る!!」
==
まぁその、なんだ。いろいろスマン
693 :自治スレにてローカルルール検討中 :2006/04/28(金) 22:38:32 ID:6ltwwDuK
>>682-692
どうみてもGJです。
本当にありがとうございました。
どうみてもGJです。
本当にありがとうございました。
694 :自治スレにてローカルルール検討中 :2006/04/28(金) 22:44:10 ID:8ioHg2GN
>>692の続き
「...ケチ!」
ガスッ!
「ひでぶっ!」
こうですか!?間違えました!!
「...ケチ!」
ガスッ!
「ひでぶっ!」
こうですか!?間違えました!!
697 :自治スレにてローカルルール検討中 :2006/04/28(金) 23:49:56 ID:kYOYVQPq
>>692
ぐぐぐぐぐぐGJ!
俺ちょっとウルっときたわ。
ぐぐぐぐぐぐGJ!
俺ちょっとウルっときたわ。
698 :自治スレにてローカルルール検討中 :2006/04/28(金) 23:52:31 ID:CKZbm1TJ
>>682―>>692
まぁ、その.........なんだ。
神GJ!!
まぁ、その.........なんだ。
神GJ!!
700 :自治スレにてローカルルール検討中 :2006/04/29(土) 04:40:32 ID:FW1xDKa+
>>683-692
さっきカティアスレでGJ言ってきたんだが、
こっちにもこんな良質SSが投下されとるとわ。
今夜はいい夢見れそう。(もう朝ですが)
さっきカティアスレでGJ言ってきたんだが、
こっちにもこんな良質SSが投下されとるとわ。
今夜はいい夢見れそう。(もう朝ですが)
701 :自治スレにてローカルルール検討中 :2006/04/29(土) 19:35:34 ID:gBiFqNtV
>>683-692
(;´Д`)ハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァ
やっぱテニアが一番だよ。
ディモールトモエス
(;´Д`)ハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァ
やっぱテニアが一番だよ。
ディモールトモエス
702 :自治スレにてローカルルール検討中 :2006/04/29(土) 22:46:46 ID:3qCkGiy7
>>683-692
ひさびさに覗いたらこんあGJなものが投下されていたとは不覚
クリティカルヒットな代物をありがとう
ひさびさに覗いたらこんあGJなものが投下されていたとは不覚
クリティカルヒットな代物をありがとう
703 :自治スレにてローカルルール検討中 :2006/04/29(土) 23:50:00 ID:5XCRn36v
>>683-692
あなたが神か
あなたが神か
704 :自治スレにてローカルルール検討中 :2006/04/30(日) 03:00:15 ID:7jiG2OzF
>>682-692
すみません、先生と呼ばせてくださいませんか
すみません、先生と呼ばせてくださいませんか
709 :それも名無しだ :2006/05/03(水) 01:01:06 ID:TEtScCZt
>>682-692
ちょ、プロですか?!
完成度高すぎるんだが
ちょ、プロですか?!
完成度高すぎるんだが
695 :自治スレにてローカルルール検討中 :2006/04/28(金) 23:14:08 ID:QNx3fD13
公式ストーリーか何かの転載ですか?この完成度は。
706 :それも名無しだ :2006/05/01(月) 18:41:53 ID:xTI9J6Z/
活性化期待age
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
707 :それも名無しだ :2006/05/02(火) 18:35:17 ID:ZcnoiCJe
カティアスレ見てて思ったんだがテニアの普段着ってどんなんだろう?
とりあえずスカートはいてる姿が想像できんw
とりあえずスカートはいてる姿が想像できんw
710 :それも名無しだ :2006/05/03(水) 20:25:33 ID:BjBctROB
>>707
統夜「お願いだよぅ!スカートはいて見せてくれよぅ!!」
統夜「お願いだよぅ!スカートはいて見せてくれよぅ!!」
711 :それも名無しだ :2006/05/03(水) 22:19:42 ID:kmWGJBUu
>>710
テニア「ヤだよ。なんかスースーするし。」
テニア「ヤだよ。なんかスースーするし。」
716 :それも名無しだ :2006/05/05(金) 13:03:44 ID:9FqPdfsx
>>711
メルア「陣代の制服があるじゃないですか。」
メルア「陣代の制服があるじゃないですか。」
712 :それも名無しだ :2006/05/03(水) 23:54:45 ID:9emMoCiB
>>710
テニア「統夜がはいて見せてくれたら考えてもいい」
テニア「統夜がはいて見せてくれたら考えてもいい」
713 :それも名無しだ :2006/05/04(木) 00:02:52 ID:knFRdWRc
>>712
カティア「私の衣装を貸すわ。その代わり統夜の服も貸して。」
カティア「私の衣装を貸すわ。その代わり統夜の服も貸して。」
714 :それも名無しだ :2006/05/04(木) 15:07:16 ID:fuYtj5Kb
>>713
その服で何をするつもりだww
その服で何をするつもりだww
715 :それも名無しだ :2006/05/05(金) 02:24:57 ID:D6xd80QI
>>714
ヒント:カティアスレの460辺り
愛しいあの人のワイシャツくんかくんか
ヒント:カティアスレの460辺り
愛しいあの人のワイシャツくんかくんか
718 :それも名無しだ :2006/05/06(土) 21:15:46 ID:K890GGYv
「妙にうれしい気分なのはこのせいか」
俺はカレンダーについている青い丸で囲った日を見た。五日。
毎月五日は給料が発生する日だ。つまり俺の給料日。
アルバイトなので大した額にはならないが、四人分の食費、生活費の足しにするには十分だった。
今までは一人分の生活費だけだったので、父さんが残してくれた金だけでなんとかなっていたが、
四人になったことでその金もついに底をつく。
ネルガルからもらった給料も無限にあるというわけではないので、働かなければならなくなったのだ。
「そういえば・・・あいつらがうちに来てからもう一年もたつんだな。」
ぼそっとつぶやく。確かにバイトを始めた理由は生活費の足しにするためだったが、
前々から浮いた分であいつらに何か買ってあげようと思っていたからだ。
と言っても、俺は女が欲しいものなんて知るわけもないので、少し前に聞いておいたんだけど。
「カティアは何でもいいって言ってたからペンダントだな。メルアはチョコレートケーキ。問題はあいつか・・・」
一週間くらい前に遡る。
俺は学校から帰った後、居間で煎餅を食べながら本を読んでいるテニアに聞いてみた。
「テニア、ちょっといいか?」
「あ、おかえり統夜。何、どうかしたの?」
「あのさ、お前今欲しいものとかさ、そういうの何かあるか?」
「欲しいもの?」
俺はストレートに聞いた。無理に考えて言葉を選んでもすぐばれるだけだと知っていたので。
テニアは読んでいた本を閉じるとあぐらをかいて唸り始めた。
「欲しいものかぁ・・・うーん・・・」
「別に欲しいものじゃなくても、必要なものでもいい」
「んんんんん・・・・」
上を向いたり下を向いたり、首を傾げたりしてしばらく悩む。そして、
「・・・特にないなぁ。」
返事が返って来た。意外な返事に戸惑ったが、これだけ悩んで何もないってことは本当に何もないんだろう。
「そうか、ならいいんだ。時間とらせて悪かったな」
「いや別にいいんだけどさ。一体どうしたのさ?」
「何もしないよ。俺、部屋に戻るからさ。ゆっくりしててくれ」
「変なの。じゃあごはんになったら呼ぶからね。寝ちゃ駄目だよ」
「こんな時間に、お前じゃないんだから寝るわけないだろ」
「失礼な!ごはん食べるまで寝るわけないでしょ!」
俺は自分の部屋に戻る。机に座り、頭を抱えた。
「カティアの何でもいいにも困ったけど、何もないってのもつらいな。まぁ一週間もすればいい案が浮かぶだろ」
そして今日。結局いい案なんてものはちっとも浮かばず、ただ悩んでいるだけだった。
「あれから一週間たったんだけど。まったく分かんないんだよなぁ」
おいしいものを食べに行くという考えがあったんだけど、
俺はカティアにはカティアに、メルアにはメルアに、テニアにはテニアに別々の形で何かをしてやりたいと思っていた。
「こう考えても埒があかない。とりあえず街に出てみよう・・・」
俺は着替えて家を出た。
俺はカレンダーについている青い丸で囲った日を見た。五日。
毎月五日は給料が発生する日だ。つまり俺の給料日。
アルバイトなので大した額にはならないが、四人分の食費、生活費の足しにするには十分だった。
今までは一人分の生活費だけだったので、父さんが残してくれた金だけでなんとかなっていたが、
四人になったことでその金もついに底をつく。
ネルガルからもらった給料も無限にあるというわけではないので、働かなければならなくなったのだ。
「そういえば・・・あいつらがうちに来てからもう一年もたつんだな。」
ぼそっとつぶやく。確かにバイトを始めた理由は生活費の足しにするためだったが、
前々から浮いた分であいつらに何か買ってあげようと思っていたからだ。
と言っても、俺は女が欲しいものなんて知るわけもないので、少し前に聞いておいたんだけど。
「カティアは何でもいいって言ってたからペンダントだな。メルアはチョコレートケーキ。問題はあいつか・・・」
一週間くらい前に遡る。
俺は学校から帰った後、居間で煎餅を食べながら本を読んでいるテニアに聞いてみた。
「テニア、ちょっといいか?」
「あ、おかえり統夜。何、どうかしたの?」
「あのさ、お前今欲しいものとかさ、そういうの何かあるか?」
「欲しいもの?」
俺はストレートに聞いた。無理に考えて言葉を選んでもすぐばれるだけだと知っていたので。
テニアは読んでいた本を閉じるとあぐらをかいて唸り始めた。
「欲しいものかぁ・・・うーん・・・」
「別に欲しいものじゃなくても、必要なものでもいい」
「んんんんん・・・・」
上を向いたり下を向いたり、首を傾げたりしてしばらく悩む。そして、
「・・・特にないなぁ。」
返事が返って来た。意外な返事に戸惑ったが、これだけ悩んで何もないってことは本当に何もないんだろう。
「そうか、ならいいんだ。時間とらせて悪かったな」
「いや別にいいんだけどさ。一体どうしたのさ?」
「何もしないよ。俺、部屋に戻るからさ。ゆっくりしててくれ」
「変なの。じゃあごはんになったら呼ぶからね。寝ちゃ駄目だよ」
「こんな時間に、お前じゃないんだから寝るわけないだろ」
「失礼な!ごはん食べるまで寝るわけないでしょ!」
俺は自分の部屋に戻る。机に座り、頭を抱えた。
「カティアの何でもいいにも困ったけど、何もないってのもつらいな。まぁ一週間もすればいい案が浮かぶだろ」
そして今日。結局いい案なんてものはちっとも浮かばず、ただ悩んでいるだけだった。
「あれから一週間たったんだけど。まったく分かんないんだよなぁ」
おいしいものを食べに行くという考えがあったんだけど、
俺はカティアにはカティアに、メルアにはメルアに、テニアにはテニアに別々の形で何かをしてやりたいと思っていた。
「こう考えても埒があかない。とりあえず街に出てみよう・・・」
俺は着替えて家を出た。
719 :それも名無しだ :2006/05/06(土) 21:21:10 ID:K890GGYv
「・・・とりあえずペンダントとケーキは買った。でも・・・」
誤算だったとしかいいようがなかった。
俺は淡い瑠璃色をした丸い形のペンダントと、水中メガネをかけた人が作ったおいしいと評判のチョコレートケーキを買ったのだが、
意外に値段が高くて予算が一気に減ってしまったのだ。
「まいったな・・・これじゃあ買えるものなんて」
がっくりした俺はベンチに座って顔を手で覆った。もうすぐみんな帰ってくる頃だ。
このまま何も決まらないで帰るのだけは防ぎたかった。どうすれば・・・
「もしもし、そこの少年」
ふと、突然声をかけられ顔をあげる。俺の前に紅い髪の男がたっていた。
「隣に座ってもいいかな」
俺はベンチの真ん中に座っていたので、他の人の座るスペースが無くなっていた。
「あ、ええ。すいません、無駄にスペースとっちゃって」
「悪いな。よっこいしょっと」
紅い髪の男は俺の隣に座る。持っていたコーヒーを飲みだした。
しばらくの沈黙。すると、男が口を開いた。
「考え事かい?」
「え?」
図星をつかれて上擦った声が出てしまった。男は続けて言う。
「あんたを見たら随分辛そうだったんでね。俺でよければ相談にのるんだな、これが」
男はにっと笑った。雰囲気とは別にとても明るい笑顔だった。
「いえ、これは俺の問題ですし、何より迷惑がかかるんで」
「おせっかいだと思ってくれればいい。見たところ誰かへのプレゼントってとこだろ」
再び図星をつかれ俺は驚いた。このときの俺の顔は我ながら情けない顔だったと思う。
「どうして分かったんですか?」
「いやぁ、甘ったるいうまそうな匂いがしたし、その小さい袋はアクセサリーかなんかじゃないか?」
「・・・」
的確すぎる推察に、俺は驚きとともに不信感が浮かび上がる。しかし、
「彼女へのプレゼントかぁ・・・なかなかやるねぇ君も」
「はぁ?」
男が急に的外れなことを言ったので、思わず素が出てしまった。
「いやいや、照れなくてもわかるんだなこれが。ケーキに指輪。最高じゃないの。彼女も喜ぶぞ」
「そ、そんなの!彼女なんかじゃなくて、これは」
慌てて否定する。男が笑い出したので、多分俺の顔が赤くなってるんだろう。
「でもな少年。もう一つ足りないものがある。一緒にケーキ食べて最後に指輪を出すのはいい。
だけど一番最初にやらなきゃなんないことがあるんだな、これが」
男は俺が女にプロポーズするとでも思っているのだろうか?こっちまで吹き出しそうになった。男はたんたんと続ける。
「花だよ。一番最初に花をあげればきっと喜ぶと思うぞ」
「花・・・ですか」
花、か。確かにいいかもしれない。その案はまったく考えてなかったので俺は嬉しくなる。
「いいかもしれませんね、それ」
「だろ?」
男は嬉しそうにいった。そして時計を見ると、そろそろあいつらが帰ってくる頃になっていた。
「あっと、そろそろ時間だ。すいません、わざわざ俺なんかのために」
「全然気にしてないんだな。それじゃあな」
俺はベンチから立ち上がると、男に軽く礼をして花屋へ向かった。
誤算だったとしかいいようがなかった。
俺は淡い瑠璃色をした丸い形のペンダントと、水中メガネをかけた人が作ったおいしいと評判のチョコレートケーキを買ったのだが、
意外に値段が高くて予算が一気に減ってしまったのだ。
「まいったな・・・これじゃあ買えるものなんて」
がっくりした俺はベンチに座って顔を手で覆った。もうすぐみんな帰ってくる頃だ。
このまま何も決まらないで帰るのだけは防ぎたかった。どうすれば・・・
「もしもし、そこの少年」
ふと、突然声をかけられ顔をあげる。俺の前に紅い髪の男がたっていた。
「隣に座ってもいいかな」
俺はベンチの真ん中に座っていたので、他の人の座るスペースが無くなっていた。
「あ、ええ。すいません、無駄にスペースとっちゃって」
「悪いな。よっこいしょっと」
紅い髪の男は俺の隣に座る。持っていたコーヒーを飲みだした。
しばらくの沈黙。すると、男が口を開いた。
「考え事かい?」
「え?」
図星をつかれて上擦った声が出てしまった。男は続けて言う。
「あんたを見たら随分辛そうだったんでね。俺でよければ相談にのるんだな、これが」
男はにっと笑った。雰囲気とは別にとても明るい笑顔だった。
「いえ、これは俺の問題ですし、何より迷惑がかかるんで」
「おせっかいだと思ってくれればいい。見たところ誰かへのプレゼントってとこだろ」
再び図星をつかれ俺は驚いた。このときの俺の顔は我ながら情けない顔だったと思う。
「どうして分かったんですか?」
「いやぁ、甘ったるいうまそうな匂いがしたし、その小さい袋はアクセサリーかなんかじゃないか?」
「・・・」
的確すぎる推察に、俺は驚きとともに不信感が浮かび上がる。しかし、
「彼女へのプレゼントかぁ・・・なかなかやるねぇ君も」
「はぁ?」
男が急に的外れなことを言ったので、思わず素が出てしまった。
「いやいや、照れなくてもわかるんだなこれが。ケーキに指輪。最高じゃないの。彼女も喜ぶぞ」
「そ、そんなの!彼女なんかじゃなくて、これは」
慌てて否定する。男が笑い出したので、多分俺の顔が赤くなってるんだろう。
「でもな少年。もう一つ足りないものがある。一緒にケーキ食べて最後に指輪を出すのはいい。
だけど一番最初にやらなきゃなんないことがあるんだな、これが」
男は俺が女にプロポーズするとでも思っているのだろうか?こっちまで吹き出しそうになった。男はたんたんと続ける。
「花だよ。一番最初に花をあげればきっと喜ぶと思うぞ」
「花・・・ですか」
花、か。確かにいいかもしれない。その案はまったく考えてなかったので俺は嬉しくなる。
「いいかもしれませんね、それ」
「だろ?」
男は嬉しそうにいった。そして時計を見ると、そろそろあいつらが帰ってくる頃になっていた。
「あっと、そろそろ時間だ。すいません、わざわざ俺なんかのために」
「全然気にしてないんだな。それじゃあな」
俺はベンチから立ち上がると、男に軽く礼をして花屋へ向かった。
720 :それも名無しだ :2006/05/06(土) 21:28:48 ID:K890GGYv
花屋でディモルフォセカ、という名前の花を買う。
それは黄色の綺麗な花で、なんとなくテニアの気に入りそうな花だと思ったので。
・・・俺の小遣いはなくなったけど、とても満足した気分になった。
三つの袋を持って、俺は帰路についた。
「ただいま」
俺は玄関を開けて、いつもよりも元気な声で言った。
「おかえりー」
テニアの声。いつもなら三人の声がするのだけど、今日はテニアだけみたいだった。
「あれ?カティアとメルアはどうしたんだ?」
「カティアは晩ごはんの材料買いに行って、メルアは部屋で寝てるよ」
「そうなのか」
これはチャンスなんだろう。俺は買ってきた袋からディモ・・・ディモなんとかを取り出した。
「はいテニア」
俺テニアに花を差し出す。
「ん?なにこれ。・・・・あっ」
テニアは少し驚いて俺を見た。
「えーと。何だったかな、・・・ああ、ディモルフォセカって名前の花だ」
「・・・これ、あたしに?」
テニアは複雑な顔をしてディモルフォセカを眺める。
「いつも世話になってるからさ。俺からの気持ち、ってほどのものでもないけど」
「統夜・・・」
テニアは頷いていた。しばらくして、
「統夜、あのね」
「ん?」
「実はあたしも買ってたんだよね、これ」
「・・・は?」
俺は不思議そうに聞き返した。テニアも買ってた、ということは一体どういうことなんだろうか。
「ちょっと待っててね」
そう言うとテニアは立ち上がり、ディモルフォセカを置いて自分の部屋へ走っていく。
それは黄色の綺麗な花で、なんとなくテニアの気に入りそうな花だと思ったので。
・・・俺の小遣いはなくなったけど、とても満足した気分になった。
三つの袋を持って、俺は帰路についた。
「ただいま」
俺は玄関を開けて、いつもよりも元気な声で言った。
「おかえりー」
テニアの声。いつもなら三人の声がするのだけど、今日はテニアだけみたいだった。
「あれ?カティアとメルアはどうしたんだ?」
「カティアは晩ごはんの材料買いに行って、メルアは部屋で寝てるよ」
「そうなのか」
これはチャンスなんだろう。俺は買ってきた袋からディモ・・・ディモなんとかを取り出した。
「はいテニア」
俺テニアに花を差し出す。
「ん?なにこれ。・・・・あっ」
テニアは少し驚いて俺を見た。
「えーと。何だったかな、・・・ああ、ディモルフォセカって名前の花だ」
「・・・これ、あたしに?」
テニアは複雑な顔をしてディモルフォセカを眺める。
「いつも世話になってるからさ。俺からの気持ち、ってほどのものでもないけど」
「統夜・・・」
テニアは頷いていた。しばらくして、
「統夜、あのね」
「ん?」
「実はあたしも買ってたんだよね、これ」
「・・・は?」
俺は不思議そうに聞き返した。テニアも買ってた、ということは一体どういうことなんだろうか。
「ちょっと待っててね」
そう言うとテニアは立ち上がり、ディモルフォセカを置いて自分の部屋へ走っていく。
721 :それも名無しだ :2006/05/06(土) 21:29:41 ID:K890GGYv
数秒後、テニアは見覚えのある花を左手に持ってやってきた。
「統夜、最近帰り遅いじゃん。疲れた顔してさ」
「そりゃ、働いてるからな」
「でね、少しでも統夜に元気出してほしいなって思って、みんなで相談してたんだ」
「相談?」
「うん。はいこれ・・・」
テニアから見覚えのある花・・・ディモルフォセカを受け取った。
「これ・・・」
「これはあたしから。統夜が元気だしてくれるかなと思って買ったんだけど」
「・・・被っちゃったのか」
つまり俺はテニアのために、テニアは俺のために花を買ったのだった。
「ははは・・・じゃあ、あんまり嬉しくないよな」
「そんなことない!統夜があたしのために花をくれるなんて、すっごい嬉しいよ。本当に。でも・・ごめんね」
「な、何で謝るんだよ。俺だって、お前らが俺のためにしてくれるのはすごい嬉しいのに」
それは本心だった。テニア達は俺のためにわざわざプレゼントを用意してくれたのだ。
俺のときのように何が欲しいときいたわけでもないから、随分と悩んだんだろう。
「この花の花言葉ね、元気って言うんだって。統夜が元気出してくれるように選んだんだよ」
「そうだったのか」
この花言葉は全然分からなかったけど、テニアに元気っていうのは、何よりもピッタリだなと思った。
「・・ありがとうなテニア」
「あたしも。ありがと統夜。・・・・てい」
テニアが突然俺に抱きつく。俺は後ろに倒れた。
「うあ、ちょ、ちょっと待て。どうしたんだよ」
「だって嬉しかったんだもん。わざわざあたしのために選んでくれたんでしょ?」
「え、選んだのは選んだけどさ、もういいだろ、恥ずかしいから離してくれよ」
「やだよ。しばらくこのままがいい」
すると玄関のドア開く音がなった。
「ただいま・・・って、何やってるの二人とも?!」
カティアが帰ってきた。俺は慌ててテニアを引き離す。
「カ、カティア!いや、あのこれは」
「あ、おかえりカティア!あのね、統夜があたしにね、花を買っもがもご」
「ば、ばか。恥ずかしいから言うな!」
「恥ずかしいことをしてたのね?」
「い、いや待て!そうじゃない!!」
俺が慌てて否定すると、メルアが部屋から顔を出してきた。
「もー。みんなうるさくて起きちゃったじゃないですかぁ。もっと静かにしてくれなきゃ・・・って、何してるんですか?」
「もごもごもご」
「だから言うんじゃないって!」
「統夜・・・不潔です!今日は晩ご飯抜きですね」
「だから違うっていってるだろ!!」
「ねぇねぇ、みんなで何してたの??教えてカティアちゃん」
「もごもが」
「ああ、もういいだろ!後で説明してやるから、俺は風呂にはいる!!」
そう言って俺は風呂場へ走った。
次の日。
カティアもメルアも分かってくれてほっとしたが、プレゼントを渡すことができなかった。
とりあえず、今日渡すとしよう。俺は身支度を整えて玄関へ向かった。
ふと居間を見る。テーブルの真ん中、朝日に輝く花瓶にはいったディモルフォセカが綺麗だった。
「統夜、最近帰り遅いじゃん。疲れた顔してさ」
「そりゃ、働いてるからな」
「でね、少しでも統夜に元気出してほしいなって思って、みんなで相談してたんだ」
「相談?」
「うん。はいこれ・・・」
テニアから見覚えのある花・・・ディモルフォセカを受け取った。
「これ・・・」
「これはあたしから。統夜が元気だしてくれるかなと思って買ったんだけど」
「・・・被っちゃったのか」
つまり俺はテニアのために、テニアは俺のために花を買ったのだった。
「ははは・・・じゃあ、あんまり嬉しくないよな」
「そんなことない!統夜があたしのために花をくれるなんて、すっごい嬉しいよ。本当に。でも・・ごめんね」
「な、何で謝るんだよ。俺だって、お前らが俺のためにしてくれるのはすごい嬉しいのに」
それは本心だった。テニア達は俺のためにわざわざプレゼントを用意してくれたのだ。
俺のときのように何が欲しいときいたわけでもないから、随分と悩んだんだろう。
「この花の花言葉ね、元気って言うんだって。統夜が元気出してくれるように選んだんだよ」
「そうだったのか」
この花言葉は全然分からなかったけど、テニアに元気っていうのは、何よりもピッタリだなと思った。
「・・ありがとうなテニア」
「あたしも。ありがと統夜。・・・・てい」
テニアが突然俺に抱きつく。俺は後ろに倒れた。
「うあ、ちょ、ちょっと待て。どうしたんだよ」
「だって嬉しかったんだもん。わざわざあたしのために選んでくれたんでしょ?」
「え、選んだのは選んだけどさ、もういいだろ、恥ずかしいから離してくれよ」
「やだよ。しばらくこのままがいい」
すると玄関のドア開く音がなった。
「ただいま・・・って、何やってるの二人とも?!」
カティアが帰ってきた。俺は慌ててテニアを引き離す。
「カ、カティア!いや、あのこれは」
「あ、おかえりカティア!あのね、統夜があたしにね、花を買っもがもご」
「ば、ばか。恥ずかしいから言うな!」
「恥ずかしいことをしてたのね?」
「い、いや待て!そうじゃない!!」
俺が慌てて否定すると、メルアが部屋から顔を出してきた。
「もー。みんなうるさくて起きちゃったじゃないですかぁ。もっと静かにしてくれなきゃ・・・って、何してるんですか?」
「もごもごもご」
「だから言うんじゃないって!」
「統夜・・・不潔です!今日は晩ご飯抜きですね」
「だから違うっていってるだろ!!」
「ねぇねぇ、みんなで何してたの??教えてカティアちゃん」
「もごもが」
「ああ、もういいだろ!後で説明してやるから、俺は風呂にはいる!!」
そう言って俺は風呂場へ走った。
次の日。
カティアもメルアも分かってくれてほっとしたが、プレゼントを渡すことができなかった。
とりあえず、今日渡すとしよう。俺は身支度を整えて玄関へ向かった。
ふと居間を見る。テーブルの真ん中、朝日に輝く花瓶にはいったディモルフォセカが綺麗だった。
722 :それも名無しだ :2006/05/06(土) 22:08:50 ID:y4SVleRX
>>718-721
グレート乙
暖かな気持ちになった
グレート乙
暖かな気持ちになった
723 :それも名無しだ :2006/05/06(土) 22:55:45 ID:QvWistUU
>>718-721
GJ
花言葉に意味があるのかと思ってググってみたが、「富・豊富」、あるいは「元気」などが該当した
最後の一つがテニアにあってると思ったから...かな?
GJ
花言葉に意味があるのかと思ってググってみたが、「富・豊富」、あるいは「元気」などが該当した
最後の一つがテニアにあってると思ったから...かな?
724 :それも名無しだ :2006/05/06(土) 23:08:45 ID:7Ksh8nld
>>723
本文でそれっぽいこといってないか?
本文でそれっぽいこといってないか?
725 :それも名無しだ :2006/05/07(日) 00:02:13 ID:kkBg3b24
>>718-721
イイ!凄くイイ!!
というか紅毛の男よ、何やってんだw
イイ!凄くイイ!!
というか紅毛の男よ、何やってんだw
726 :それも名無しだ :2006/05/07(日) 00:32:05 ID:k/iZpl2z
まぁ、口調からして記憶喪失ver.っぽいから無問題
733 :それも名無しだ :2006/05/10(水) 10:42:17 ID:lgKVS2fX
>>718-728
おい、謎の美食家と記憶喪失の隊長!あんたらいったい何やっとんじゃww
まぁそれはともかくとして、相変わらずここの住人は神揃いだぜ!GJ!!
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
おい、謎の美食家と記憶喪失の隊長!あんたらいったい何やっとんじゃww
まぁそれはともかくとして、相変わらずここの住人は神揃いだぜ!GJ!!
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727 :それも名無しだ :2006/05/08(月) 18:20:46 ID:wLgc2LfQ
てにあさんはとてもびじんだとおもいました
しうんとうや X歳
しうんとうや X歳
728 :それも名無しだ :2006/05/08(月) 23:28:56 ID:APj7poIe
テニアは美人じゃない
かわいいんだ!!
かわいいんだ!!
729 :それも名無しだ :2006/05/09(火) 00:07:43 ID:ncW37EmR
いいやこういう事だね!!
黙ってりゃ、ちょー美人。
接してりゃ、ちょーカワイィ!!
そういうことだろう?
黙ってりゃ、ちょー美人。
接してりゃ、ちょーカワイィ!!
そういうことだろう?
730 :それも名無しだ :2006/05/09(火) 01:08:22 ID:HxxhaEbz
>>729
食ってりゃ、ちょーオバQ
膝ってりゃ、ちょークリティカル
こういうことか?
食ってりゃ、ちょーオバQ
膝ってりゃ、ちょークリティカル
こういうことか?
731 :それも名無しだ :2006/05/10(水) 01:58:55 ID:ia/Kv2Bq
Gj
732 :それも名無しだ :2006/05/10(水) 10:13:45 ID:aS11oo7i
ふむ、まとめると『フェステニア・ミューズは最高だ』という事でよろしいかな?
紳士淑女の諸君
紳士淑女の諸君
734 :それも名無しだ :2006/05/10(水) 15:25:43 ID:M9hL6FBw
>>732
果たして確認の必要があるのか?
と質問で返してみる。
果たして確認の必要があるのか?
と質問で返してみる。
735 :それも名無しだ :2006/05/10(水) 15:46:13 ID:Dpi4fS9L
>>734
質問に質問で返したらテスト0点なんだけど
質問に質問で返したらテスト0点なんだけど
736 :それも名無しだ :2006/05/11(木) 00:38:03 ID:Rk0UT2VJ
>>735
イケメン乙
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
イケメン乙
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
744 :それも名無しだ :2006/05/12(金) 22:05:16 ID:tbHsHebV
帰宅。じゃあ投下その1
テニア「統夜~。コレって何」
統夜「ん?また買い食いしたのか、テニア...これってチョコ○ッグ?」
テニア「チョコエッ○?」
統夜「オマケ付きのお菓子の1つだよ。人形とか模型が入ってるんだ」
テニア「ふ~ん...。ね、開けて組み立ててみて」
統夜「どれどれ...」
カティア「あっ!テニア!あれほど買い食いは1日100円までって言ったのに!3つも!」
テニア「100円じゃうま○棒10本で終わりじゃない!じゃなくて、これはマ...」
メルア「くんくん...チョコの匂いがします~」
テニア「メルアまで...チョコはメルアにあげるよ。で、統夜、できた?」
統夜「ん...こんなもんかな」
ttp://kigaruni-up.ath.cx/~kigaru/cgi-bin/imageboard/file/1147438718.png
カティア「...食べてるわね」
メルア「食べてますね~」
統夜「まぁテニアらしいというか」
テニア「っていうか!なんでアタシなのよ!統夜!次!」
統夜「はいはい...」
メルア「このミルクチョコけっこう美味しいです~」
続く
---
そういや肉まん食わずに冬越してたな...
メルアスレより
一人リレーその2
統夜「ほれ、2つ目できたぞ」
ttp://kigaruni-up.ath.cx/~kigaru/cgi-bin/imageboard/file/1147438775.png
テニア「...パイレー○?」
カティア「だっちゅーの...」
統夜「なんで2人ともそんな懐かしいネタを知ってるんだ」
テニア「かなめから借りたDVDに入ってたんだもん」
メルア「?え~と...こうですか?統夜さん」
ムニュッ
統夜「うわっ!メルア、同じポーズをとるんじゃない!」
メルア「え?なんでですか?前屈みになって、お腹痛いんですか?」
テニア「...アタシだってその内大きくなるんだから...」
カティア「...それにしてもこの襟のラインの塗り忘れが気になるわね...
まるで電○HMのFAFのようにスパッと無かったかのような...
やはり生産国であるネオチャイナの...ぶつぶつ...」
続く
---
あぁカティアの独り言は気にしちゃめーっ!でしょー!
1人リレーその3
統夜「これで最後、と」
テニア「アタシとメルアが出たってことは...」
メルア「やっぱり最後は...もぐもぐ」
ttp://kigaruni-up.ath.cx/~kigaru/cgi-bin/imageboard/file/1147438800.png
統夜「...普通だな」
メルア「普通ですねぇ...もぐもぐ」
テニア「普通だね」
カティア「......orz」
統夜「ほ、ほら、カティアってその普通なトコロがいいんじゃないか!?」
テニア「そ、それにさ、アタシ達ってけっこうキャラ濃いしさ!膝とか駄々こねとか!」
メルア「もぐもぐ(うんうん)」
カティア「...まぁしょうがないわね。私も戦争が落ち着いてからすっかり世帯じみてきたし」
統夜「でも、俺はそういうカティアの一面が見れて嬉しいよ。
なんだかんだ言っても、やっぱり女の子なんだなぁ、って」
カティア「と、統夜......ありがとう...」
テニア&メルア「「ブーブー」」
統夜「はいはい、2人もね」
テニア&メルア「「ブーブー」」
続いてるような続いてないような
---
"普通なトコロがいい"ってのは個人的な見解なのですよ。
つーか、なんかカティアだけ考え込んでたなぁ。
テニア「統夜~。コレって何」
統夜「ん?また買い食いしたのか、テニア...これってチョコ○ッグ?」
テニア「チョコエッ○?」
統夜「オマケ付きのお菓子の1つだよ。人形とか模型が入ってるんだ」
テニア「ふ~ん...。ね、開けて組み立ててみて」
統夜「どれどれ...」
カティア「あっ!テニア!あれほど買い食いは1日100円までって言ったのに!3つも!」
テニア「100円じゃうま○棒10本で終わりじゃない!じゃなくて、これはマ...」
メルア「くんくん...チョコの匂いがします~」
テニア「メルアまで...チョコはメルアにあげるよ。で、統夜、できた?」
統夜「ん...こんなもんかな」
ttp://kigaruni-up.ath.cx/~kigaru/cgi-bin/imageboard/file/1147438718.png
カティア「...食べてるわね」
メルア「食べてますね~」
統夜「まぁテニアらしいというか」
テニア「っていうか!なんでアタシなのよ!統夜!次!」
統夜「はいはい...」
メルア「このミルクチョコけっこう美味しいです~」
続く
---
そういや肉まん食わずに冬越してたな...
メルアスレより
一人リレーその2
統夜「ほれ、2つ目できたぞ」
ttp://kigaruni-up.ath.cx/~kigaru/cgi-bin/imageboard/file/1147438775.png
テニア「...パイレー○?」
カティア「だっちゅーの...」
統夜「なんで2人ともそんな懐かしいネタを知ってるんだ」
テニア「かなめから借りたDVDに入ってたんだもん」
メルア「?え~と...こうですか?統夜さん」
ムニュッ
統夜「うわっ!メルア、同じポーズをとるんじゃない!」
メルア「え?なんでですか?前屈みになって、お腹痛いんですか?」
テニア「...アタシだってその内大きくなるんだから...」
カティア「...それにしてもこの襟のラインの塗り忘れが気になるわね...
まるで電○HMのFAFのようにスパッと無かったかのような...
やはり生産国であるネオチャイナの...ぶつぶつ...」
続く
---
あぁカティアの独り言は気にしちゃめーっ!でしょー!
1人リレーその3
統夜「これで最後、と」
テニア「アタシとメルアが出たってことは...」
メルア「やっぱり最後は...もぐもぐ」
ttp://kigaruni-up.ath.cx/~kigaru/cgi-bin/imageboard/file/1147438800.png
統夜「...普通だな」
メルア「普通ですねぇ...もぐもぐ」
テニア「普通だね」
カティア「......orz」
統夜「ほ、ほら、カティアってその普通なトコロがいいんじゃないか!?」
テニア「そ、それにさ、アタシ達ってけっこうキャラ濃いしさ!膝とか駄々こねとか!」
メルア「もぐもぐ(うんうん)」
カティア「...まぁしょうがないわね。私も戦争が落ち着いてからすっかり世帯じみてきたし」
統夜「でも、俺はそういうカティアの一面が見れて嬉しいよ。
なんだかんだ言っても、やっぱり女の子なんだなぁ、って」
カティア「と、統夜......ありがとう...」
テニア&メルア「「ブーブー」」
統夜「はいはい、2人もね」
テニア&メルア「「ブーブー」」
続いてるような続いてないような
---
"普通なトコロがいい"ってのは個人的な見解なのですよ。
つーか、なんかカティアだけ考え込んでたなぁ。
746 :それも名無しだ :2006/05/12(金) 22:14:04 ID:tbHsHebV
1人リレーその4にしてアンカーというかおまけ
統夜「で、テニア、これいくらしたんだ?」
カティア「そうね、この質からすると...」
メルア「チョコも美味しいですし~」
テニア「あぁ、それは...」
???「ふはははははっ!はーはっはっはっはっはっ...げほっごほっ...
それも私だ!!」
統夜「...この高笑いは...やっぱりマサキか...」
マサキ「フン、次元連結システムの力を以てすれば造作もない」
統夜「さっきから別次元のキャラが混ざってないか?ていうか意味わからん」
マサキ「ゼオライマー量産計画の資金を得るためだ。
貴様らをモデルに作ったのだからな。タダでサンプルをくれてやらんこともない」
テニア「もうもらってるし」
メルア「ごちそうさまでした~」
カティア「...ということは、これは既に販売されている...?」
マサキ「当然だ。『次元連結チョコ』1つ740円(税別)で市内のコンビニで新発売だ」
統夜「...なんでこうおかしなモノばかり作るんだ...」
-その日、町中のコンビニで次元連結チョコを買い漁り、シークする三大勢力の姿があったという...。
終わり
---
3スレ使ってオチのない微妙な事をしてしまったが、私はまだ倒れるわけにはいかない。
関係ないけど、3つ並べて直立させるとメ>カ>テの身長順になってしまった...。
これで1~9までは全部終わり。次で10か...。
ノシ
統夜「で、テニア、これいくらしたんだ?」
カティア「そうね、この質からすると...」
メルア「チョコも美味しいですし~」
テニア「あぁ、それは...」
???「ふはははははっ!はーはっはっはっはっはっ...げほっごほっ...
それも私だ!!」
統夜「...この高笑いは...やっぱりマサキか...」
マサキ「フン、次元連結システムの力を以てすれば造作もない」
統夜「さっきから別次元のキャラが混ざってないか?ていうか意味わからん」
マサキ「ゼオライマー量産計画の資金を得るためだ。
貴様らをモデルに作ったのだからな。タダでサンプルをくれてやらんこともない」
テニア「もうもらってるし」
メルア「ごちそうさまでした~」
カティア「...ということは、これは既に販売されている...?」
マサキ「当然だ。『次元連結チョコ』1つ740円(税別)で市内のコンビニで新発売だ」
統夜「...なんでこうおかしなモノばかり作るんだ...」
-その日、町中のコンビニで次元連結チョコを買い漁り、シークする三大勢力の姿があったという...。
終わり
---
3スレ使ってオチのない微妙な事をしてしまったが、私はまだ倒れるわけにはいかない。
関係ないけど、3つ並べて直立させるとメ>カ>テの身長順になってしまった...。
これで1~9までは全部終わり。次で10か...。
ノシ
747 :それも名無しだ :2006/05/12(金) 23:19:35 ID:PBkE8y3l
>>746
いただきますた
カワ(・∀・)イイ!
いただきますた
カワ(・∀・)イイ!
748 :それも名無しだ :2006/05/13(土) 00:53:23 ID:YKU36wJc
>>746
GJ!!
絵が書ける人はいいなぁ・・・
さて、俺も投下しますよ
GJ!!
絵が書ける人はいいなぁ・・・
さて、俺も投下しますよ
749 :それも名無しだ :2006/05/13(土) 00:54:44 ID:YKU36wJc
『バイト?』
『うん。ちょっと遠い場所なんだけどなかなか良さそうな条件だったから。』
『いやそうじゃなくて。なんでいきなり?』
『欲しい物があるんだ。』
『小遣いじゃ足りないのか?』
『んー、まぁね。』
『なら別にいいけど、働くって大変だぞ?バイトだからって責任を負わなくていいわけじゃないんだぞ?』
『わかってるよ。』
『そうか。ま、がんばってみろ。』
『うん!』
それが一ヶ月ほど前の事。
テニアは週に二回、夕方から夜九時過ぎまで駅四つほど離れた場所にあるファミレスで働いている。
帰宅時間はいつも十時を過ぎている。
クラスメイトによるとファミレスには珍しく安くて美味しい、その上サービスも良いと評判の店だそうだ。
そこでウェイトレスをやっているらしい。
『働く上では色々あるだろうけど、それも一つの経験だ。辛いことがあっても挫けるなよ。』
一応、経験者として統夜こんな言葉を贈った。
実は週二日とはいえ、灯りの点いていない家に帰るのは結構寂しかった。
それを口に出すほど統夜は素直な性格ではなかったが。
「ま、そのうち慣れるだろうな。」
独り言を口にしながら紙パックのコーヒーを一口啜った。
「紫雲くん?」
前方からの女性の声に顔を上げた。
「どうしたの?ぼーっとして。」
「ああ、ごめん千鳥さん。」
統夜は生徒会の冊子作りを手伝っていたことを思い出した。
パックコーヒー一個という安い報酬だったが特に予定が無かったため引き受けたのだ。
「テニアがバイトちゃんとやっているか気になって。」
その言葉を聞いた少女、千鳥かなめの表情がわずかに曇った。
「ごめんごめん、報酬貰ったからにはちゃんと働くから。」
上の空であったことを咎められたと思った統夜はそう詫びたが、かなめは小さく首を振った。
「ううん、そうじゃないの。・・・最近テニアちゃんの様子、ちょっと変だとか感じない?」
「うーん・・・そうだな、ちょっと元気が無いみたいだ。たぶんバイトで失敗したりして凹んでるんだと思うんだけど。」
質問の意図がよくわからなかったが、とりあえず答えた。
『うん。ちょっと遠い場所なんだけどなかなか良さそうな条件だったから。』
『いやそうじゃなくて。なんでいきなり?』
『欲しい物があるんだ。』
『小遣いじゃ足りないのか?』
『んー、まぁね。』
『なら別にいいけど、働くって大変だぞ?バイトだからって責任を負わなくていいわけじゃないんだぞ?』
『わかってるよ。』
『そうか。ま、がんばってみろ。』
『うん!』
それが一ヶ月ほど前の事。
テニアは週に二回、夕方から夜九時過ぎまで駅四つほど離れた場所にあるファミレスで働いている。
帰宅時間はいつも十時を過ぎている。
クラスメイトによるとファミレスには珍しく安くて美味しい、その上サービスも良いと評判の店だそうだ。
そこでウェイトレスをやっているらしい。
『働く上では色々あるだろうけど、それも一つの経験だ。辛いことがあっても挫けるなよ。』
一応、経験者として統夜こんな言葉を贈った。
実は週二日とはいえ、灯りの点いていない家に帰るのは結構寂しかった。
それを口に出すほど統夜は素直な性格ではなかったが。
「ま、そのうち慣れるだろうな。」
独り言を口にしながら紙パックのコーヒーを一口啜った。
「紫雲くん?」
前方からの女性の声に顔を上げた。
「どうしたの?ぼーっとして。」
「ああ、ごめん千鳥さん。」
統夜は生徒会の冊子作りを手伝っていたことを思い出した。
パックコーヒー一個という安い報酬だったが特に予定が無かったため引き受けたのだ。
「テニアがバイトちゃんとやっているか気になって。」
その言葉を聞いた少女、千鳥かなめの表情がわずかに曇った。
「ごめんごめん、報酬貰ったからにはちゃんと働くから。」
上の空であったことを咎められたと思った統夜はそう詫びたが、かなめは小さく首を振った。
「ううん、そうじゃないの。・・・最近テニアちゃんの様子、ちょっと変だとか感じない?」
「うーん・・・そうだな、ちょっと元気が無いみたいだ。たぶんバイトで失敗したりして凹んでるんだと思うんだけど。」
質問の意図がよくわからなかったが、とりあえず答えた。
750 :それも名無しだ :2006/05/13(土) 00:56:22 ID:YKU36wJc
かなめは周囲を見回して誰もいないこと確認すると小さな声で切り出した。
「あー・・・・これはあくまであたしの独り言なんだけど、」
そう、かなめは切り出した。
「テニアちゃん、バイト帰りの電車内で妙な奴にあったらしいの。」
「え?」
「紫雲くんには言うなって言われてるからあくまで独り言なんだけど、
まぁその妙な奴ってのがそのアレなわけよ。テニアちゃんに密着して色々」
「まさかそれって・・・」
「うむ。間違いない。反体制派のテロリストだろう。」
いきなりの珍回答にかなめは盛大にずっこけた。
「ンなわけないでしょうが!!ていうかいつからいた!?」
「『不審な奴に接触された』のくだりからだ。」
回答者、相良宗介は応えた。
「今はフューリーやコーディネイター等を含めた新たな体制が作られつつあるデリケートな時期だ。
得てしてこういう時は旧体制支持の過激派が行動を起こすものだ。
おそらくは先の大戦の被害者であるフェステニアを拉致しプロパガンダとして利用するつもりなのだろう。」
朗々と的外れな推論を披露する。
「あー、もう!何でテロリストがテニアちゃんのおしり触ったりするのよ!」
「それは俺には判りかねるが・・・おそらくは尻を触ることが何らかの暗号になっているのではないか?」
どんな暗号だ、オイ。
脳内で突っ込んだ後、かなめはこのバカを無視する事を決め込むと統夜に向き直った。
「このバカはおいといて紫雲くん?口止めを破ってまで伝えたのはテニアちゃんの力になってあげて欲しいからなの。」
「あー・・・・これはあくまであたしの独り言なんだけど、」
そう、かなめは切り出した。
「テニアちゃん、バイト帰りの電車内で妙な奴にあったらしいの。」
「え?」
「紫雲くんには言うなって言われてるからあくまで独り言なんだけど、
まぁその妙な奴ってのがそのアレなわけよ。テニアちゃんに密着して色々」
「まさかそれって・・・」
「うむ。間違いない。反体制派のテロリストだろう。」
いきなりの珍回答にかなめは盛大にずっこけた。
「ンなわけないでしょうが!!ていうかいつからいた!?」
「『不審な奴に接触された』のくだりからだ。」
回答者、相良宗介は応えた。
「今はフューリーやコーディネイター等を含めた新たな体制が作られつつあるデリケートな時期だ。
得てしてこういう時は旧体制支持の過激派が行動を起こすものだ。
おそらくは先の大戦の被害者であるフェステニアを拉致しプロパガンダとして利用するつもりなのだろう。」
朗々と的外れな推論を披露する。
「あー、もう!何でテロリストがテニアちゃんのおしり触ったりするのよ!」
「それは俺には判りかねるが・・・おそらくは尻を触ることが何らかの暗号になっているのではないか?」
どんな暗号だ、オイ。
脳内で突っ込んだ後、かなめはこのバカを無視する事を決め込むと統夜に向き直った。
「このバカはおいといて紫雲くん?口止めを破ってまで伝えたのはテニアちゃんの力になってあげて欲しいからなの。」
751 :それも名無しだ :2006/05/13(土) 00:57:34 ID:YKU36wJc
真剣なまなざしで訴えるかなめ。
「痴漢って本当に怖いんだよ?なんていうかな・・・恐怖で縛り付けられちゃうような感じ。
あたしも経験あるんだけど、本当に怖くて何も出来なくなっちゃうのよね。」
「なんだと!?千鳥、その時の状況を出来るだけ詳しく話せ。君を狙う組織の」
「やかましい!!このセクハラ朴念仁!!」
顔を赤らめながらハリセンで宗介を殴り倒した。
「なかなか痛いぞ。」
「うるさい!」
ごほん、と咳をし、仕切り直すとかなめは再び切り出した。
「テニアちゃんには口止めされたけど、このまま放っておくのも良くないと思う。」
「なんで・・・なんで言ってくれなかったんだ・・・・」
「うーん・・多分紫雲くんに対する罪悪感みたいなものがあったんじゃないかな。」
勿論テニアが悪いわけではない。
それでもそういう目に遭ってしまった事実を後ろめたく感じているのではないか。
かなめはそう考えていた。
「なんてことだ・・・」
うなだれる統夜にかなめは優しく言った。
「仕方ないわよ。あたしも聞くまでは気づかなかったんだし。」
「テニアが・・・まさかテニアが・・・テロリストに狙われていたなんて!」
「でも落ち込んでる場合じゃないわ。紫雲くんが力になってあげないと、って・・・はい?」
「くそっ!!一緒に住んでいて気づかないなんて・・・なんて間抜けなんだ俺は!」
「紫雲、今はそんな事を言っている場合ではない。早急にテロリストを捕らえ目的を聞き出すべきだ。」
「あんたは黙ってなさい!!紫雲くん!あんたがしっかりしなくてどうすんのよ!!」
襟元をつかんでがくんがくんと揺する。
「それはちがうぞ千鳥。紫雲は現実を見据えているだけだ。」
「やかましい!!あんたが見てる現実は世間一般の現実から次元がずれまくってるのよ!」
「大丈夫だよ、千鳥さん。俺はしっかりしてる。こんな世の中だ。テロリストがいたっておかしくないだろ?」
妙に落ち着いた様子の統夜にかなめは気圧された。
「いやまあ・・・ミジンコがある日突然知性を持って言葉を話しだす確率程度にはあるかもしれないけど・・・」
「いや、そいつはきっとテロリストだ。むしろテロリストに違いない。早急にふん捕まえて拷も、もとい尋問して危険な芽を残らず摘む必要がある。」
統夜の目に灯る危険な光にかなめは思わず後ずさった。
「それに万が一―――」
打って変わってさわやかな表情で統夜は言った。
「そいつがただの痴漢でも嫌がる女の子の体を無理矢理触るようなゲスだし誰も困らないよね?」
「あんたわかってて言ってるでしょ!?」
喚き立てるかなめに涼しい顔で応える統夜
「いやいや、テロリスト、相手はテロリストだとも。相良、貸して欲しい物があるんだけど?」
「うむ。事態は緊急を要する。クラスCの装備を貸与しよう。」
「するな!!紫雲くん!人死にはダメ!!人死にはダメよ!?」
「やだなぁ、そんなことしないって。でも・・・・・・・」
「『でも』!?でも何!?」
それには応えず統夜は宗介と連れ立って出て行った。
かなめは当初自分が考えていた予想の180°逆を行く展開に戦慄していた。
普通に統夜がテニアを助けてめでたしめでたし、そうなるはずだったのに。
まさかこんなにも統夜がブチ切れるとは想定していなかった。
あたしか?あたしが悪いのか?
自問するがそうは思えない。悪いのはどう考えても痴漢だ。
しかしこのままでは・・・・
ええい!あたしが何とかするしかないか!!
そう腹を決めたかなめの目に未だ綴じられていないプリントの山が映った。
やる気が凄まじい勢いで削がれていくのを感じた。
「痴漢って本当に怖いんだよ?なんていうかな・・・恐怖で縛り付けられちゃうような感じ。
あたしも経験あるんだけど、本当に怖くて何も出来なくなっちゃうのよね。」
「なんだと!?千鳥、その時の状況を出来るだけ詳しく話せ。君を狙う組織の」
「やかましい!!このセクハラ朴念仁!!」
顔を赤らめながらハリセンで宗介を殴り倒した。
「なかなか痛いぞ。」
「うるさい!」
ごほん、と咳をし、仕切り直すとかなめは再び切り出した。
「テニアちゃんには口止めされたけど、このまま放っておくのも良くないと思う。」
「なんで・・・なんで言ってくれなかったんだ・・・・」
「うーん・・多分紫雲くんに対する罪悪感みたいなものがあったんじゃないかな。」
勿論テニアが悪いわけではない。
それでもそういう目に遭ってしまった事実を後ろめたく感じているのではないか。
かなめはそう考えていた。
「なんてことだ・・・」
うなだれる統夜にかなめは優しく言った。
「仕方ないわよ。あたしも聞くまでは気づかなかったんだし。」
「テニアが・・・まさかテニアが・・・テロリストに狙われていたなんて!」
「でも落ち込んでる場合じゃないわ。紫雲くんが力になってあげないと、って・・・はい?」
「くそっ!!一緒に住んでいて気づかないなんて・・・なんて間抜けなんだ俺は!」
「紫雲、今はそんな事を言っている場合ではない。早急にテロリストを捕らえ目的を聞き出すべきだ。」
「あんたは黙ってなさい!!紫雲くん!あんたがしっかりしなくてどうすんのよ!!」
襟元をつかんでがくんがくんと揺する。
「それはちがうぞ千鳥。紫雲は現実を見据えているだけだ。」
「やかましい!!あんたが見てる現実は世間一般の現実から次元がずれまくってるのよ!」
「大丈夫だよ、千鳥さん。俺はしっかりしてる。こんな世の中だ。テロリストがいたっておかしくないだろ?」
妙に落ち着いた様子の統夜にかなめは気圧された。
「いやまあ・・・ミジンコがある日突然知性を持って言葉を話しだす確率程度にはあるかもしれないけど・・・」
「いや、そいつはきっとテロリストだ。むしろテロリストに違いない。早急にふん捕まえて拷も、もとい尋問して危険な芽を残らず摘む必要がある。」
統夜の目に灯る危険な光にかなめは思わず後ずさった。
「それに万が一―――」
打って変わってさわやかな表情で統夜は言った。
「そいつがただの痴漢でも嫌がる女の子の体を無理矢理触るようなゲスだし誰も困らないよね?」
「あんたわかってて言ってるでしょ!?」
喚き立てるかなめに涼しい顔で応える統夜
「いやいや、テロリスト、相手はテロリストだとも。相良、貸して欲しい物があるんだけど?」
「うむ。事態は緊急を要する。クラスCの装備を貸与しよう。」
「するな!!紫雲くん!人死にはダメ!!人死にはダメよ!?」
「やだなぁ、そんなことしないって。でも・・・・・・・」
「『でも』!?でも何!?」
それには応えず統夜は宗介と連れ立って出て行った。
かなめは当初自分が考えていた予想の180°逆を行く展開に戦慄していた。
普通に統夜がテニアを助けてめでたしめでたし、そうなるはずだったのに。
まさかこんなにも統夜がブチ切れるとは想定していなかった。
あたしか?あたしが悪いのか?
自問するがそうは思えない。悪いのはどう考えても痴漢だ。
しかしこのままでは・・・・
ええい!あたしが何とかするしかないか!!
そう腹を決めたかなめの目に未だ綴じられていないプリントの山が映った。
やる気が凄まじい勢いで削がれていくのを感じた。
752 :それも名無しだ :2006/05/13(土) 00:59:04 ID:YKU36wJc
ホームにベルが鳴り響き、注意を促すアナウンスが流れる。
仕事帰りの人波に半ば押されるようにテニアは電車に乗り込んだ。
もしかしたら空いている席があるかも、そんな淡い期待は車内に乗り込んだ瞬間に砕け散った。
諦めてなるべく目立たないよう端の方に立つことにした。
ゆっくりと前方に向けて慣性がかかる。
このまま何も起こらずに着いて欲しい。
ただそれだけをテニアは祈っていた。
隣の駅に止まると更に多くの乗客が乗り込み、車内はますます混雑してきた。
小柄なテニアは瞬く間に人の壁に囲まれてしまった。
再び発車すると共に、テニアは自分の下半身に触れる手の存在に気づいた。
(っ!?また来た!?)
いつものように自然に触れているかのごとく手の甲を押し当ててくる。
テニアは手を後ろに回しガードする。
当初、痴漢に遭う前は痴漢など簡単に撃退する自信がテニアにはあった。
しかし、いざ遭遇するとその自信は瞬く間に崩れ去った。
怖かった。
見ず知らずの他人に無遠慮に触れられる事は想像もしなかったほどの恐怖をテニアに与えた。
また満員電車=騒げば周囲の人間の注目を浴びるという状況もテニアの枷となった。
いっそのこと夜道ででも襲い掛かってくれれば心置きなく叩きのめせるのに。
テニアは悔しさに涙を滲ませた。
消極的な抵抗しかしないテニアに気を大きくしたのか痴漢の行動はますます大胆になった。
テニアの手を半ば強引に押しのけ指を這わせてきた。
(や、やだ!)
「ちょっとあんた!何やってるの!!」
不届き者の手を掴むと闖入者、千鳥かなめは威勢良く啖呵を切った。
しかし場慣れしているのか、弁面しようともせず痴漢は腕を振り払い逃げていった。
「あ!?コラ、待ちなさい!後悔するわよ!!・・ってもう聞いてないか。大丈夫?テニアちゃん。」
優しく微笑みかけるかなめにテニアは感情を爆発させた。
「カナメーーー!!怖かったよーー!!」
抱きついてわんわんと泣いた。
「よしよし。ごめんね、ちょっと移動に手間取っちゃって。」
頭を撫でて宥めるかなめ。
とはいえ参ったわね。出来ればここで終わりにしたかったんだけどなぁ。
そんな事を考えながらPHSに手早く入力していく。
送信ボタンを押すとかなめはテニアに向き直った。
「ね、テニアちゃん、今日うちに泊まらない?紫雲くんには後で連絡しとくから。」
「え・・・?で、でも・・・」
「紫雲くん、今日あのバカと何かやってて遅くなるみたいよ?」
「そうなの?」
「それに、あんな事があった後に一人でいるのもね。あたしでよければ相談相手になるから。」
「・・・ありがとう、カナメぇ・・・」
「はいはい、もう泣かないの。」
紫雲くん、これ以上テニアちゃんを泣かせないように節度を守ってよね・・・
753 :それも名無しだ :2006/05/13(土) 01:00:22 ID:YKU36wJc
ヴゥーン、ヴゥーン、ヴ
ピ
from千鳥かなめさん
『テニアちゃんは無事保護したわ。
一人にするのもなんだから今日はあたしのうちに泊めるから。
それとごめん、痴漢は逃がしちゃった。
発信機はつけておいたから後は追えると思うけど・・・
いい?やりすぎて紫雲くんが捕まるような事態だけには絶対しないでよ?
それが一番テニアちゃんを傷つけることになるんだからね!』
ピ
754 :それも名無しだ :2006/05/13(土) 01:02:19 ID:YKU36wJc
ゴロゴロ
全く今日はついていない。
不機嫌そうに顔を歪ませ男は嘆息した。
せっかく良い獲物だったのにあんな事があってはしばらくあの路線は使えない。
クソ!何なんだあの小娘は!
男は自分の邪魔をした少女に向けて腹の中で呪詛の言葉を吐き出した。
ゴロゴロ
次はどこにするべきか、いやほとぼりが冷めるまで間を空けてまたあの赤毛の娘を狙った方がいいかもしれない。
ろくに抵抗もしない上、あそこまで上等な獲物はそういないしな。
ゴロゴロ
問題はあの後もあの娘が電車に乗り続けるかどうかだな。
交通手段を変えられては元も子もない。
まぁこればかりはわからんな。
ゴロゴロ
そこで男は足を止めた。
さっきから聞こえるこの音は何だ?
駅を出てからからずっとだ。まさか、つけられているのか?
男は携帯をかけるふりをして背後の様子をうかがった。
ゴロゴロ
もう初夏と呼ばれる時期に差しかかろうとしているのにトレンチコートを着込んだ男が歩いてくる。
ご丁寧にサングラスとマスクも着用している。
傍目にも怪しさ大爆発という風体だ。
その男は巨大なスーツケースを引きずりながら徐々に男に近づいてくる。
男の体に緊張が走るが、コートの男はそのまま素通りして歩いていった。
考えすぎか。
まぁ現行犯でなけりゃいくらでもごまかしは効くがな。
さて、ほとぼりが冷めるまではどうするかな。
そんな事を考えながら再び歩き始めた。
そしてやや傾斜のきつい坂道に差し掛かったところで急に男に影がかかった。
何とはなしに男は顔を上げた。
755 :それも名無しだ :2006/05/13(土) 01:04:16 ID:YKU36wJc
坂の頂上、巨大な月を背負ってそいつはいた。
そいつはどう見ても人間ではなかった。
身の丈は明らかに2メートルを越えており、腕の太さは男の倍以上の太さがあった。
妙に胴が長く短い足はそいつが人間離れした存在である事を主張していた。
そして真っ赤な光を放つ巨大な目が男を真直ぐに捉えていた。
わけがわからなかった。
なぜこんなところにこんな化け物がいて俺を見ているんだ?
異質な物への恐怖から男は一歩後ろへ下がった。
それを見たそいつは男に向かって歩き始めた。
恐怖に駆られた男は更に二歩、三歩後ろに下がった。
そいつは走り出した。
短い足からは考えられないほどの速度で男に迫る。
恐怖に絶えられなくなった男は背を向けて走り出した。
そうだ!叫べばいいんだ!
「だれか」
男の口、というより顔の下半分がそいつの巨大な手に鷲掴みにされた。
「――――――!?」
くぐもった声を上げる男にそいつは厳かに告げた。
「ふも」
767 :それも名無しだ :2006/05/13(土) 20:34:04 ID:66E5yXcm
>>755の最後の行で吹いたw
756 :それも名無しだ :2006/05/13(土) 01:05:12 ID:YKU36wJc
ヴヴ
ピ
『紫雲か。どうやら成功したようだな。待っていろ、少し時間がかかるがそちらに向かう。
・・・・そういうわけにはいかん。こと尋問に関しては君は素人だ。血に酔う可能性もある。
千鳥からもターゲットを殺さぬように指導してくれといわれている。
・・・・そうか、わかった。では俺がそちらに着くまでの暫定的な処置を伝えておく。
まず針金を――――』
757 :それも名無しだ :2006/05/13(土) 01:06:04 ID:YKU36wJc
次の日
目を覚ましたテニアはいまだ夢の中のかなめに目を向けた。
遅くまで話を聞いてもらったせいで熟睡しているようだ。
ありがとう、カナメ。
起こさないように小さく呟くと、置手紙を残してかなめ宅を後にした。
通勤時間にはまだ早いためか人通りもまばらな道を小走りに駆けていく。
自宅の玄関前に着くと呼び鈴を押そうとして、とどまった。
まだ統夜は寝てるかもしれない。そう考えたためだ。
合鍵を差込み、そっとドアを引いた。
「ん?」
「え?」
新聞を取りに来た統夜と鉢合わせた。
「・・・おかえり。」
「・・・ただいま。」
なんとなく間の抜けた空気が流れた。
「朝飯、まだだろ?出来てるから早く上がれ。」
「・・・うん!」
758 :それも名無しだ :2006/05/13(土) 01:08:42 ID:YKU36wJc
居間のテーブルの上に並べられた鮭、納豆を始めとした純和風な朝食をテニアがぱくついている。
何とはなしにつけられているTVでは猿被害の実態が報道されている。
「なぁ、テニア。」
「ん?何?」
「千鳥さんにちゃんとお礼言ったか?」
「うん。色々相談に乗ってもらったし・・・今日学校でもう一回お礼言うつもり。」
「そうか。俺からもよく言っとかないとな。ところで何か悩み事でもあったのか?」
「え?・・・うん。でももう大丈夫!」
無理のない自然な笑顔に統夜の顔も自然とほころんだ。
どうやらもう心配ないようだ。
こりゃ千鳥さんには足向けて寝られないな。
「それとは関係ないんだけど・・・今度からバイト先まで迎えに行っていいか?」
「へ?迎えにって・・・どうやって?」
「チャリで。」
「10キロはあるよ?」
「時速30キロなら20分で着くな。」
「・・・どうしたの?急に。」
テニアの問いに統夜は言葉を濁した。
「ああ、その昨日相良からいろいろ話を聞いて。最近物騒みたいだし・・・」
「心配・・・してくれてるんだ・・・」
「当たり前だろ。」
「・・・ありがと。統夜のそういうとこ、好きだよ。」
「・・・何言ってんだか。」
テニアの笑みに顔を逸らしわざとぶっきらぼうに応える統夜。
「あ、照れてる~、アタシって男殺し?」
「うるさい。さっさと食べろ!遅刻するぞ!」
「まだ大丈夫だよ、ねぇそれよりさっきの笑顔どうだった?グッと来た?」
「しつこい!いいから食え!・・・いやあんまり食うな。
これからテニアを乗せてチャリを漕ぐ事を考えるとこれ以上は危険だ。」
「なんだとー!!」
こうして傍目にはバカップルにしか見えない二人は遅刻寸前までじゃれ合うことになった。
759 :それも名無しだ :2006/05/13(土) 01:10:35 ID:YKU36wJc
『次のニュースです。
昨夜遅く、泉川署前に手足を拘束された男性が放置されているのを署員が発見しました。
身分証明証から近くに住む28歳の男性であることがわかりました。
男性は『すいません俺はただの痴漢です。でも他は何も知らないんです。もうふもふもしないでください。警察行きますから許してください。やめてくださいやめてください』
等、うわ言のように呟いており時折『増えたあああああああああああああああああああああ!!?』
などと絶叫するなど極度の心労状態にあるため、警察は男性の回復を待って事情を聞く方針です。』
==
フルメタ分多めなのは仕様。
何のためにテニアがバイト始めたかとかは伏線として取っといてくださいな。
761 :それも名無しだ :2006/05/13(土) 02:35:53 ID:jh4bcZ13
>>748->>759
あなたが神か?とにかくGJ
あなたが神か?とにかくGJ
763 :それも名無しだ :2006/05/13(土) 14:57:08 ID:ST+zxKuo
>>748-759
GJ!
統夜が陣代通ってる設定が凄く生きてて面白かった
こんな文章を書けるようになりたいなぁ・・・
GJ!
統夜が陣代通ってる設定が凄く生きてて面白かった
こんな文章を書けるようになりたいなぁ・・・
764 :それも名無しだ :2006/05/13(土) 17:41:34 ID:9ndXsSFn
>>748-759
(;´Д`)ハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァ・・・ウッ!!
GJッ!!
(;´Д`)ハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァ・・・ウッ!!
GJッ!!
765 :それも名無しだ :2006/05/13(土) 19:04:31 ID:KDkBmnGR
>>748-759
超絶GJ!!
ついさっきまでアニメのふもっふを見てたんだが、
そのおかげでより楽しめたよ。ともかくGJ!!
超絶GJ!!
ついさっきまでアニメのふもっふを見てたんだが、
そのおかげでより楽しめたよ。ともかくGJ!!
766 :それも名無しだ :2006/05/13(土) 20:21:31 ID:Q5K+DD8e
>>748-759
GJ!
21世紀に生きてて良かったッス
GJ!
21世紀に生きてて良かったッス
768 :それも名無しだ :2006/05/13(土) 22:28:54 ID:ePk+oHSM
>>748-759
マジサイコーです。GJ!
マジサイコーです。GJ!
769 :それも名無しだ :2006/05/14(日) 00:17:08 ID:tANzfN2c
>>748-759
GJ !
ヤバげな統夜に吹いたw
一瞬宗介に感化されたかとおもったら
冷静にブチ切れてたとはw
GJ !
ヤバげな統夜に吹いたw
一瞬宗介に感化されたかとおもったら
冷静にブチ切れてたとはw
760 :それも名無しだ :2006/05/13(土) 01:13:52 ID:SaM7Wbk+
リアルタイムで見てた、GJ!!
フルメタ好きな俺としては三人娘のSSにちょくちょくソースケが登場するのが嬉しいわ。
キャラの描き方が上手いなー。あと、ボン太君って表現の仕方ではそんなんになるのねw
フルメタ好きな俺としては三人娘のSSにちょくちょくソースケが登場するのが嬉しいわ。
キャラの描き方が上手いなー。あと、ボン太君って表現の仕方ではそんなんになるのねw
762 :それも名無しだ :2006/05/13(土) 03:55:07 ID:1oXg0cfo
>>748-759
>>760に同意。
読ませる文章書けるって凄い。
フルメタはアニメしか観た事ないけど、面白かったです。
自分も精進したい。
>>760に同意。
読ませる文章書けるって凄い。
フルメタはアニメしか観た事ないけど、面白かったです。
自分も精進したい。
773 :それも名無しだ :2006/05/15(月) 04:18:13 ID:252C13jX
超GJ!
痴漢は泣くまでふもふもされたのかw
「増えたあああああ!?」にバロスwwwww
痴漢は泣くまでふもふもされたのかw
「増えたあああああ!?」にバロスwwwww
774 :それも名無しだ :2006/05/15(月) 09:52:16 ID:H12Y1QoA
ちょっと待てボン太君が増えた事について一言言いたい
それは単純に量産型を用意したのかクストウェル・ブラキウムにテニアを乗せた
必殺技の如くオルゴンスレイブで増えたのか真意を問いたい
それは単純に量産型を用意したのかクストウェル・ブラキウムにテニアを乗せた
必殺技の如くオルゴンスレイブで増えたのか真意を問いたい
776 :それも名無しだ :2006/05/15(月) 12:17:50 ID:jSKHNC0Z
>>774
ソースケは量産型ボン太君をアメリカの警察に売っていたくらいだし、常に量産型を数機ストックしていたような希ガス
ソースケは量産型ボン太君をアメリカの警察に売っていたくらいだし、常に量産型を数機ストックしていたような希ガス
777 :それも名無しだ :2006/05/15(月) 12:35:05 ID:nld9Sm7j
>>776
正確に言うと大量に売れ残ったやつを引き取っただけ
正確に言うと大量に売れ残ったやつを引き取っただけ
775 :それも名無しだ :2006/05/15(月) 12:10:49 ID:OrxUd+3x
「てめーはオレを怒らせた」的に、オルゴンスレイヴを出したんだろう。
778 :それも名無しだ :2006/05/15(月) 14:20:37 ID:252C13jX
あれ
量産型が増援にきたのか
宗介がきたんだと思ってた
量産型が増援にきたのか
宗介がきたんだと思ってた
779 :それも名無しだ :2006/05/15(月) 17:56:09 ID:wRQQLt1J
俺も、統夜ボン太に宗介ボン太が増援に来たから「増えたぁぁぁぁぁ!」だったのかと思ってた。
真相はいかに?
真相はいかに?
859 :それも名無しだ :2006/05/27(土) 00:39:35 ID:T7AItguW
紫雲統夜のこの宣言、後に『騎士道大宣言』と呼ばれる宣言により、反発していた男子諸侯は一斉に紫雲統夜側に寝返る。
『誤魔化すな!』となおも責める女生徒にある男子生徒は涙ながらにこう語ったという。
『男が!冗談でこんな事が言えるか!俺はあいつの【覚悟】を見た!!』
こうして男子諸侯の心からの説得により、事態は沈静化した。
全てが終わった後で紫雲統夜は友人にこう語った。
『信頼は取り戻した。しかし何かを失った。』
【からかい、我が人生】 著 木原マサキ
==
また無駄に長いのも仕様。
なお素人による赤ちゃんへの投薬は大変危険です。
まずお医者さんに連れて行きましょう。
とフォローw
>>779
亀レスだがそこの所は自由に想像してくださいな。
そのために統夜側のセリフを削ったわけでw
860 :それも名無しだ :2006/05/27(土) 00:53:52 ID:yMLXjxgn
>>859
いつもいつもGJ!
普通に楽しませて貰うつもりが途中のサンドイッチ・テニアで
リビドーが刺激されてもう寝れません。何とかしる!
いつもいつもGJ!
普通に楽しませて貰うつもりが途中のサンドイッチ・テニアで
リビドーが刺激されてもう寝れません。何とかしる!
861 :それも名無しだ :2006/05/27(土) 01:16:35 ID:2dDCU7M+
>>859
私的には爆笑でした。あと「むく ひろみ」のひねりはかなりうまいな~と感じました
GJを進呈しましょう
私的には爆笑でした。あと「むく ひろみ」のひねりはかなりうまいな~と感じました
GJを進呈しましょう
862 :それも名無しだ :2006/05/27(土) 01:25:59 ID:YxysToZq
>>859
>アッー!!
ちょwwwTDNwwwww
萌えと笑いが沢山詰め込まれてて非常にGJでした!
とりあえず自分も選べません
>アッー!!
ちょwwwTDNwwwww
萌えと笑いが沢山詰め込まれてて非常にGJでした!
とりあえず自分も選べません
865 :それも名無しだ :2006/05/27(土) 02:29:18 ID:0B2Rn5oR
>>859
GJです。小ネタも効いてて笑かしてもらいましたw
GJです。小ネタも効いてて笑かしてもらいましたw
868 :それも名無しだ :2006/05/27(土) 16:49:06 ID:6bnc5+X2
>>859
GJ
GJ
869 :それも名無しだ :2006/05/27(土) 22:33:23 ID:0wvhT04X
くそう!GJしかないじゃないか!
キーボードが壊れるまでGJし続けてやる!!
>>859GJGJGJ
キーボードが壊れるまでGJし続けてやる!!
>>859GJGJGJ
870 :それも名無しだ :2006/05/27(土) 22:44:25 ID:uoOyAcNO
>>859,864
くっそおおお!GJしろっていうならGJしてやるさ!!
くっそおおお!GJしろっていうならGJしてやるさ!!
780 :それも名無しだ :2006/05/15(月) 20:25:17 ID:Hg+oLRIA
知らなかったよ、
針金って使いようによってはこんな怖い言葉になるんだ・・・・・。
針金って使いようによってはこんな怖い言葉になるんだ・・・・・。
781 :それも名無しだ :2006/05/16(火) 02:21:54 ID:lVxjeVJB
やはり針金はシャープペンの芯や線香でも代用できる使い方をしたのだろうか・・・
拷問の歴史 (Truth In Fantasy)
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