―伊豆基地― カズマ「物資の配達完了!さてっと…早く戻らねえとミヒロが心配するな」 その時、鳶は前方に修羅を発見し、ふと足を止めた。 カズマ「ん?あれは確か…フェルナンドさんだよな?こんな所で何してるんだ?」 一方、向こうもカズマを発見したようで、一直線に鳶の方に向かって来る。 フェルナンド「ちょうどいい所で会った。ちょっと聞きたいことがある」 カズマ「俺にか?まあ、答えられることなら何でも聞いてくれ」 フェルナンド「実はな…今度、アイビスの誕生日と言うものがあるらしいんだが…本当か?」 カズマ「ああ、そういえば…もうすぐアイビスさんの誕生日だったな」 フェルナンド「それで、あいつには色々と世話になってるから…その…何か贈りたいんだが        こっちでの習慣はよく分からん、何を用意すれば喜んでもらえるか助言をくれ」 カズマ「ちょ、ちょっと待てよ!何で俺に聞くんだよ?」 フェルナンド「お前はあいつと仲がいい、だから何か分かると思ったんだが」 カズマ「いや待て、そういうのをライバルに聞くってのはどうかと思うぞ?」 フェルナンド「ライバル?好敵手のことか?俺はお前とはまだ戦った事はないが??」 カズマ「いや…そういう意味じゃなくて…なんと言うか…」 するとそこに アラド「おーい、カズマさん、ちょっと頼みたいことがあるんですけどー」 百舌も参加した。 カズマ「ようアラド、ちょうどいいところに…お前からもこいつに何とか言ってやってくれ」 アラド「何を?」 フェルナンド「アラド、お前にも聞きたいんだが、もうすぐ…かくかくしかじか」 アラド「あつあつうまうま、なるほど…そう言うこと…」 カズマ「そういうことだ」 フェルナンド「???」 アラド「フェルナンドさん、そういうのはやっぱり自分で決めた方がいいですよ?」 フェルナンド「ああ、俺も修羅が他人に頼るわけには、と思って色々と探してまわったが…        だが、どうすればいいかは分からなかった。あいつは甘い物が好きだ。        だが、トロンベやタカクラのそれを越えるものは俺には思いつかない。        あいつはイルイが好きだ。だが、イルイはイルイだ。        あいつの夢は星の海を飛ぶことだ。だが、俺には何も出来ない。」 カズマ「いやいや、他にも色々あるじゃないか、装飾品とか、小物とか、ぬいぐるみとか」 フェルナンド「今まで興味がなかったせいか、そういうのはよく分からん」 アラド「それから修羅的にトレーニング用品とか」 フェルナンド「この前、フォルカがショウコにそれを送ったら微妙な反応をされたそうだ」 カズマ「………」 アラド「と、とにかく!俺たちからはもう何も言うことは無いですから!!」 フェルナンド「…そうか…」 カズマ「ところでアラド?俺に用ってのは何だ?」 アラド「え…と、俺もアイビスさん関係で…」 カズマ「はあ?お前の場合、俺に聞くまでもないだろ」 アラド「あ、いや、そうじゃなくて、俺が直接アイビスさんに何か渡すとゼオラが不機嫌になるんで」 カズマ「てんめぇ!うらやましい悩みを持ちおって!!」 アラド「ええっ!?カズマさんだって似たようなもんじゃないですか!」 カズマ「俺の場合は全部身内しかいないんだよ!!(泣き)」 アラド「俺もほとんど身内(のようなもの)ばかりっすよ?」 カズマ「そんなこと言うのはこの口かぁー!!」 アラド「いひゃい!いひゃいふぇふっふぇば!!(痛い、痛いですってば)」 カズマ「くそー、ぷにぷにしおって!このほっぺか?このほっぺが人を狂わせるのか!?」 アラド「ふぉびる!ふぉっぺふぁがふぉびふー!!(のびる、ほっぺたがのびるー)」 フェルナンド「…(なぜあいつに何かを贈る為に争わねばならない?これがこの世界の流儀なのか?        俺も倣うか?いや…暴力はショウコやアイビスに止められている…どうする…)」 カズマ「あーくそ、わかったよ。その代わり正式な依頼として受け取るからな?」 アラド「お、恩にきります…」ヒリヒリ フェルナンド「すまん、ちょっといいか?」 カズマ「ん?どうした?」 フェルナンド「今の闘い…俺も参加すべきだったのか?」 カズマ「は?」 アラド「へ?」 フェルナンド「今の闘いがこの世界の流儀ならば、俺は修羅として逃げるわけにはいかん」 アラド「いやいやいや、今のは戦ってたわけじゃねえですよ」 カズマ「でもまあ…ある一点では戦わざるを得ない間柄ではあるが…」 アラド「と、いっても暴力沙汰は勘弁ですけどね」 フェルナンド「それは一体なんだ?」 アラド「ちょい待ち!それ…本気で言ってるわけじゃないっすよね?」 フェルナンド「………」 カズマ「ナチュラルであれかよ…修羅…恐るべし…」 アラド「ならこの際はっきり言っておきます!俺はアイビスさんが好きだ!なんと言うか…     いつも俺が弄られてばかりだけど、姉さんみたいに接してくれる彼女が好きだ!!」 カズマ「ふっ、なかなか言うな…!なら俺も負けないように…俺もアイビスさんが好きだ!     仕事が出来て、性格も良くて、まっすぐで、おまけに美人な彼女が好きだ!むしろ嫁にほしい!!」 フェルナンド「アイビスのいいところを言えばいいのか?ならば!俺もあいつが好きだ!        あいつは色々なことを教えてくれた。スイーツは甘いということと、えー…と、とりあえず!        あいつといると俺にも他の生き方があるようにさえ思えてくる。だから好きだ!!」 アラド「ふう…こうして確認するとそれぞれ見ている所が違うんですね」 カズマ「さて、これでわかったと思うが、俺たちはそれぞれにアイビスさんが好きだ     だから、おれ達はその一点でライバル関係にある。もしも誰かが選ばれたなら     その他の奴は彼女に近づくのを諦めなくちゃならない」 アラド「アイビスさんも選んだその人と一緒に居たいはずですから」 カズマ「そう!彼女の隣にある居場所は一つしかない。だから俺たちはその座を争わなくちゃならない」 フェルナンド「1つだけの居場所…(俺は…あいつの側にいたい…だが…)」 ドクン… ―殺せ…― フェルナンド「!!」 アラド「どうしたんですか、フェルナンドさん?」 ドクン…! ―力ずくで奪い取ってしまえ― フェルナンド「何故だ!?」 カズマ「え?いや、そういうもんだろ普通」 アラド「まあ、しかたがないことですね」 ドクン ―修羅の掟に従え― フェルナンド「やめろ…」 ドクン! ―お前は修羅なんだろ?― フェルナンド「俺に…俺に気付かせるなあああああああああ!!」 アラド「フェルナンドさん!!」 カズマ「おいっ!どうした!?」 ドクン!! ―さあ! 力をくれてやる!!― 完璧「ウホっ!いい負の感情」 その時、どこかから爆発音とその衝撃が伝わってくる ドォォーーーン!!!ゴゴゴゴゴゴ… カズマ「な、何だ!!今の爆発は!?」 アラド「多分、基地の内部です!!とにかく!何があったか確認を!!ついて来てください!!」 フェルナンド「…」 アラド「フェルナンドさんも早く!!…、フェルナンドさん?」 フェルナンド「!」ギロッ カズマ「アラド!近づくな!!何だか様子がおかしい!!」 メキッ!バキバキバキ…ズウゥゥゥゥゥン!! 近くの壁を突き破り何かが三人の間に割って入る。 カズマ「うわっ!」 アラド「これは…ビレフォールの腕…?」 ビレフォールはそのままフェルナンドを持ち上げると操縦座へと誘い、どこかへと歩んで行く。 カズマ「一体どうしちまったんだよ!?」 アラド「とにかく早く何とかしないと!大変なことになる前に!!」 カズマ「ああくそ!余計な面倒増やしやがって!!」 ―第○演習場― 連邦兵「こちらモブ2、目標は第○演習場中央にて停止、現在、モブ3,モブ4と共に包囲中、指示を請う」 連邦兵「こちらモブ4、後方より機影接近、ビルトビルガーとヴァルホークです」 連邦兵「モブ3、こちらでも確認した」 連邦兵「モブリーダーより各機へ、司令部からの指示だ。髪の毛の回収はあの二機にまかせ、     貴官らはその場で待機、分かったな?待機命令だ。だが油断はするな」 連邦兵「モブ2、了解。ふう…出番はこれで終了かな」 連邦兵「モブ3、了解。さて…名ありの手並み…見せてもらうとするか」 連邦兵「モブ4、了解。モブ2,モブ3、気を抜くな!そういう奴は死ぬぞ?」 カズマ「大事になる前に何とかなったみたいだな」 アラド「カイ少佐に頼んで何とか…、演習場から出ないうちはこっちに任せてもらえます」 カズマ「さてと…何がどうなってるか説明してもらわねえとな」 アラド「フェルナンドさん、聞こえますか?フェルナンドさん!!」 「…………」 カズマ「応答なしか…」 「…るな……」 アラド「フェルナンドさん!!」 フェルナンド「来るな!俺は…お前らをころ!殺………うをおおおぉおおおおおおおぉお!!」 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ… すさまじい量の覇気が渦巻く中でビレフォールがその形を変える。 アラド「ビレフォールが神化した!まさか攻撃してくるつもりすか!?」 カズマ「ちょっと待て!俺たちは…!!」 フェルナンド「フゥー…フゥー!!!」 アラド「駄目だ!話が通じる状態じゃねえ、なんとか動きを止めないと…」 カズマ「おいアラド、神化したビレフォールはどれくらい強い?」 アラド「多分…神化したヤルダバオトぐらい」 カズマ「分かり難い、もうちょっと詳しく」 アラド「…勇○王とか真○ッターとか魔○皇帝とかを相手にすると思ってください」 カズマ「なに…そんなにか…?」 ミヒロ「お兄ちゃん、救援を呼ぼうよ」 カズマ「いや、それはちょっとまずい」 ミヒロ「何で?」 アラド「ミヒロちゃん、これは俺たちの問題なんだ…」 カズマ「その場の勢いとはいえ、あの状況を説明するのはな…」 アラド「最悪…敵が増えますね」 ミヒロ「(後でお姉ちゃん達に頼んで絶対に聞きだしてもらおう…)」 その時、ビレフォールの影が二機の間に割り込んでくる。 カズマ「うわっ!」 ミヒロ「きゃあ!」 アラド「カズマさん!!」 アラドはとっさにビレフォールに接近して、フェルナンドの注意を自分に向けさせる。 それに反応したフェルナンドはビルガーに向かって拳を繰り出す。 アラド「うお!危ねっ!」 ギリギリでそれをかわしたアラド、だがさらに追撃が繰り出される。 カズマ「アラド!!」 援護の為、ビレフォールに向けて撃ち出された射撃を難なくかわしたフェルナンドは 二人の遠方にビレフォールを音もなく着地させた。 カズマ「早え…まるで猛獣じゃねえか…」 アラド「それに、攻撃後にも神化が解けてない。こいつはやばいかも知れない…」 ミヒロ「お兄ちゃん!どうするの!?」 カズマ「こうなったら…アラド!即興で悪いがコンビネーションで行くぞ!!」 アラド「了解!鷹と百舌のツインバード!やってやれないことはない!!」 カズマ「よし行くぞアラド!!ミヒロ!サポートは頼むぜ!!」 ミヒロ「任せて!」 アラド「飛び込む!ジャケットアーマー!ハーフパージ!!」 ウイングを展開したビルガーは、ビレフォールに急速に接近し攻撃を繰り出す。 対して、ビレフォールはそれに応戦しつつ、隙を付いてビルガーを弾き飛ばす、バランスを崩すビルガー。 アラド「ぐっ…!」 そこに渾身の一撃を叩き込もうとするビレフォール アラド「ギリギリまで待つ…!!…今だ!かわせビルガー!!」 接近するビレフォールが到着するわずか直前に最大加速で離脱するビルガー 空を切ったビレフォールの攻撃が地面をえぐる。 アラド「カズマさん!今だ!!」 カズマ「任せろ!!」 いつの間にかビレフォールの後方に回り込んでいたヴァルホークがその無防備な背中に射撃を叩き込む それから逃れようとビレフォールは前方に跳んだ。 アラド「逃がさねえ!ブースト・ドライブ!!」 残り全てのジャケットアーマーをパージしたビルガーが跳躍中のビレフォールに突撃する。 アラド「アインス!!」 格闘による連続攻撃を加えたビルガーが、クラッシャーでビレフォールを掴みヴァルホークの方に示すように掲げる。 カズマ「ツヴァイ!!」 そこにヴァルホークがビームを連射しながら突っ込み、脚部のヒートエッジを突き刺す、 そのままビルガーからビレフォールを持ち去ると、最大出力のビームショットランチャーを発射する。 アラド「ドライ!!」 吹き飛ばされたビレフォールにさらに追撃をかけ、思い切り吹き飛ばすビルガー カズマ「ついでだ、おまけに持っていけ!!」 そこにヴァルホークがプラズマ球を発射し、着弾、プラズマの渦がビレフォールを包む。 カズマ「アラド!飛び込むぞ!!ビビんなよ!?」 アラド「了解!!」 カズマ「よっしゃ!行くぜミヒロ!!」 ミヒロ「うん!!」 ビルガーとヴァルホークがプラズマの渦の中にいるビレフォールに突撃し アラド「ツインバード!」 カズマ・ミヒロ「ストライク(モドキ)!!」 二機の交差攻撃がビレフォールを捉える。そして爆炎が上がる。 アラド「これが俺たちの!」 カズマ「連携の力だ!!」 ミヒロ「お兄ちゃん!それよりもフェルナンドさんの無事を確認しないと!!」 カズマ「っと…そうだった!フェルナンドさん!!聞こえるか?無事なら返事をしてくれ!!」 その時、舞い上がった土煙が薄まり…機影が姿を現す。 ミヒロ「ビレフォール…健在…!ダメージ不明、現在も活動中…生体反応…有り!生きてるよ!!」 アラド「フェルナンドさん!」 フェルナンド「…………お前ら…逃げろ…!!このままだと俺は…お前らを殺してしまう!!」 カズマ「何でだ!?まさか…ビレフォールが暴走を!?」 フェルナンド「違う…暴走しているのはビレフォールではない…俺の方だ…」 アラド「まさか…誰かが、またあんたを操ってるんすか!?」 フェルナンド「判らん…だが…お前達を殺すことを望んでいるのは、修羅である俺自身だ…        けれども俺は…お前達を殺したくない!!…だから…!俺から離れろ!!」 カズマ「けれどもあんたをこのままにしておけるか!」 フェルナンド「心配するな…このままの状態で暴れ続ければ…いずれ俺の覇気は尽きる…」 アラド「でも!覇気が尽きたらあんたは…!!」 フェルナンド「…しばらく動けなくなるだけか…最悪、死ぬだろうな」 カズマ「おい!そんな事、簡単に言うんじゃねえ!!」 アラド「フェルナンドさん!あんたは俺たちが必ず助ける!!」 フェルナンド「やめろ!!お前らが傷つけば…アイビスが悲しむ!!!」 アラド「嫌だね!!」フェルナンド「!!」 アラド「俺には修羅とかそういうことは、全然解んねえ!けど、あんたは俺が死なせない!!     あんたが死んでも!アイビスさんが悲しむことに変わりはないんだ!!」 カズマ「修羅じゃなくても相手が憎いってのはよくある事だ。どの自分に従うかは後で決めりゃいい     生きてればどうすればいいか考える時間もあるだろ?後な…」 アラド・カズマ「他の誰でもない、自分自身から逃げてそれで終わりなんて!許して堪るかぁ!!!」 フェルナンド「…お前ら…!」 アラド「フェルナンドさん!俺たちを信じてくれ!!」 カズマ「しばらくそこを動くな!!俺たちがあんたをそこから引きずり出してやる!!」 アラド「うぉりゃあああああああ!!!」 カズマ「うおおおおおおおおおお!!!」 ガシィィィィーン!!ガガガガガ…バキィッ!! アラド「フェルナンドさん!!今助け!って…あらっ…?」ふにゃふにゃ カズマ「おい!アラド!!大丈夫…っ…力が…」ガクッ ミヒロ「お兄ちゃん!!」 カズマ「ミヒロ…来るんじゃない!!」 ミヒロ「でも!!」 カズマ「大丈夫だ…フェルナンドさんを連れてここから出る…!!」 アラド「フェルナンドさん…一緒にここから出てもらいますよ…」 フェルナンド「お前ら…修羅でもないものが…ここに近づくな…特に今は…!!」 アラド「こうでもしないと…俺たちの言葉は届かないでしょうが…」 カズマ「それに、誰かが危ないなら…それを放っておけないだろが…」 フェルナンド「ふん…馬鹿どもが…」ガシッ アラド「フェルナンドさん…」 フェルナンド「ここから出るぞ…!ここは問答に向かん」ガシッ カズマ「す、すまねえ…」 フェルナンドらがビレフォールから出るとヴァルホークの手が差し伸べられる。 三人はそこに倒れこむように着地する。フェルナンドがビレフォールから出た直後、 まるで役目は終えたとばかりにビレフォールの形態は以前のものに戻った。 フェルナンド「…ビレフォール…俺につきあわせてすまなかった」 ミヒロはそのままヴァルホークの手を地面まで下ろすと、カズマたちに駆け寄った。 ミヒロ「お兄ちゃん!大丈夫だよね!?」 カズマ「大丈夫だ…俺もアラドもフェルナンドさんも…そうだよな?」 アラド「そうですね…」 フェルナンド「ああ…」 カズマ「でもこれ以上動けそうにない…ちょっと人を呼んでもらえるか…?」 ミヒロ「うん、わかった!だからしっかりして!!」 そういうとミヒロは再びヴァルホークの中に駆け込んでいった。 フェルナンド「いい妹だな…」 カズマ「やらないからな?」 フェルナンド「…いらん」 アラド「同じく…」 カズマ「…お前らな…#」 アラド「ところでフェルナンドさん…暴走した理由って…やっぱり…」 フェルナンド「…間違いなくアイビスのことについてだな…」 アラド「そうですか…」 フェルナンド「正直、俺の中にまだあれ程の感情があるとは思っていなかった…        フォルカに抱いていた殺意に匹敵…いや…多分それ以上のものだった」 カズマ「やっぱりそれって…愛故って奴か?」 フェルナンド「解らん…確かに俺はあの時、アイビスの隣にある居場所を失いたくないと思っていた        ほしいものは力ずくで奪う…それが修羅だ。だが…俺はそんなことをしたくなかった」 アラド「アイビスさんが悲しむから…?」 フェルナンド「ああ…あいつは優しい奴だ…自分の誇りを取り戻す為に、ただ闘うことしか出来ない俺に        目標に向かってただ頑張ることにも意味があるということを教えてくれた。もしかしたら…        俺はそんなあいつに依存しているだけかも知れん、だが…俺はあいつの悲しむ顔は見たくない」 アラド「フェルナンドさん…」 フェルナンド「そう思うと訳が分からなくなった。俺は修羅でありたいのか…ありたくないのか…        すまなかったな…俺が未熟なせいでお前たちには迷惑をかけた…」 アラド「気にしなくてもいいですよ…最終的に誰も死なずにすんだし…」 カズマ「それに…俺たちはアイビスさんをめぐるライバルである前に…彼女を守りたい同志だろ?」 フェルナンド「同志…か…」 アラド「へへっ、そうですね!」 カズマ「よぅし!アラド!フェルナンドさん!こぶしを天に掲げろ!!」 三人がこぶしを上に向かって上げ、フェルナンドのこぶしにアラド,カズマがこぶしを重ねる フェルナンド「これでいいのか?」 アラド「カズマさん!誓いを立てる宣言をお願いします!!」 カズマ「よっしゃいくぜ!今これより俺たちは…!!」 ミヒロ「…お兄ちゃん?何やってるの?」 カズマ「うおっ!ミヒロ!!いつからそこに!?」 ミヒロ「お兄ちゃんたちが空に向かって手を上げたあたりから…で、何をしてたの?」 カズマ「お…男の友情って奴だよ!!」 アラド「そうそう」 フェルナンド「名付けるなら、鷹掌上の誓いか」 ミヒロ「???」 カズマ「それよりも、ちゃんと誰かを呼んでくれたのか?」 ミヒロ「うん、近くに待機していた人達が機体の回収をしてくれるみたい。お兄ちゃん達は私が運ぶね」 カズマ「そうか…頼む」 その時、轟音と共に4機の量産型ヒュッケバインが近くに着地する。 連邦兵「モブリーダーより各機へ、これより我々はパイロット不在の二機の回収を行う」 連邦兵「モブ2、了解!よかった…また、出番があった」 連邦兵「モブ3、了解!これよりモブ2と共に、ビレフォールの回収を行う」 連邦兵「モブ4、了解!お前ら…大丈夫なのか?」 ミヒロ「お兄ちゃん達、しっかりつかまっててね」 フェルナンド「…落とすなよ?」 カズマ「おい…人の妹を信用しろ」 アラド「信用はしてますよ。カズマさんよりも」 カズマ「お前なぁ…」 ヴァルホークがゆっくりと上昇し基地の方向に向かう。その掌の上で、 フェルナンド「お前らに言っておきたいことがある…」 カズマ「何だ?」 アラド「何すか?」 フェルナンド「俺たちは同志だ。ならばこれからは俺のことはフェルナンドでいい」 カズマ「わかったぜ、フェルナンド」 アラド「了解っす、フェルナンド」 カズマ「それじゃあ、アラドも俺のことをカズマでいいぜ」 アラド「わかったぜ、カズヤ」 カズマ「わざと言うな!!」 アラド「冗談、冗談」 カズマ「ははっ」 フェルナンド「ふふっ」 特に何の変哲もない空に三人の笑い声が響き渡った… フェルナンド「ところで…お前らに合わせるなら、俺もアイビスのことをアイビスさんと呼ぶべきか?」 アラド・カズマ「いや、そこまでしなくてもいいよ!!」 終わり この後、三人がそれぞれの説教役による連携攻撃を受けたのは、また別の話